根室本線

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川、トンネルは主要なものを示す

|} 根室本線(ねむろほんせん)は、北海道滝川市滝川駅から帯広市および釧路市を経て根室市根室駅を結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線幹線)である。このうち釧路駅から根室駅までの区間には「花咲線」(はなさきせん)の愛称が付けられている。

全線単線の非電化路線で、JRの幹線路線としては日本最東端となる。さらに支線部を含めない鉄道路線としてはJR北海道最長路線でもある(支線部を含めた鉄道路線では函館本線がJR北海道最長)。

路線データ

  • 管轄(事業種別)・区間(営業キロ
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:68(起終点駅含む)
    • 根室本線所属駅に限定する場合、起点の滝川駅(函館本線所属[1])が除外され、67駅となる。
  • 信号場数:9
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 閉塞方式
    • 滝川駅 - 東釧路駅間 自動閉塞式
    • 東釧路駅 - 根室駅間 特殊自動閉塞式(電子符号照査式)
  • 交換可能な駅は駅一覧を参照。
  • 最高速度(2013年11月現在)[2][3][4]
    • 130km/h(上落合信号場 - 新得駅間)
    • 120km/h(新得駅 - 帯広駅間)
    • 110km/h(帯広駅 - 釧路駅間)
    • 95km/h(滝川駅 - 上落合信号場間)
    • 85km/h(釧路駅 - 厚床駅間)
    • 80km/h(厚床駅 - 根室駅間[5]

滝川駅 - 落合駅間は本社鉄道事業本部、落合駅(構内除く) - 根室駅間は北海道旅客鉄道釧路支社の管轄である。

歴史

1896年の北海道鉄道敷設法により北海道内1000マイル(約1600km)の鉄道整備が決まり、北海道庁長官の北垣国道はルート選定のための踏査を帝国大学工科大学教授の田辺朔郎に依頼[注 1]。田辺は帝国大学を後にし、北海道庁鉄道敷設部長として踏査にあたった。

十勝ルートの踏査にあたっては、樹木が繁茂し見通しのきかない夏期を避け、初春の堅雪の季節に2名の鉄道技師と数名の荷物運搬人らとともに旭川を出発。ヒグマやオオカミが跋扈する原生林や、蚊やアブや蜂が飛び交う湿地など未開の地を歩き、地形、地質、経済効果、資材の入手方法など細部にわたって釧路までの間を20日間かけ踏査した。当初はサホロ岳の北方が最適かと見当をつけていたが、踏査の結果、現在の国道38号線にほぼ沿う旧狩勝トンネルルートを最適とし、田辺はここに「狩勝峠」と名付けた。後に田辺が完成した鉄路で釧路を訪れた際、「12時間もの間さぞご退屈だったでしょう」との労いの声に「私が以前ここへ来たときは20日かかりました。昔日のことを思えばわずか12時間でこの地を通過するのはなんだかもったいないように思います」と応えたという。

ルート決定後、旭川と釧路を結ぶ幹線鉄道として北海道官設鉄道によって旭川、釧路双方から着工された。旭川側は1899年に旭川 - 美瑛間が、釧路側は1901年に釧路 - 白糠間が開業したのを皮切りに、1907年には狩勝トンネルの完成をもって、狩勝峠を含む落合 - 帯広間が開業、旭川 - 釧路間が全通し、釧路線となった。

1913年に、滝川 - 下富良野(現在の富良野)間の新線が開業し、起点を旭川から滝川に変更。旭川 - 富良野間は富良野線として分離した。

以後は、釧路以東への延伸が行われ、1917年に厚岸、1919年に厚床、1920年に西和田、1921年に根室まで延伸し全通、同時に線路名称を根室本線に改めた。

以来、道央と道東を結ぶ主要幹線としての地位を保っているが、1966年に落合 - 新得間の狩勝峠の区間を新線に切り替え、1981年には短絡ルートとなる石勝線の開業により、道央と十勝釧路を結ぶほとんどの列車運転系統が従来の滝川経由から石勝線経由に変更され、大幅な到達時間の短縮が図られた。この変更により、根室本線においては新狩勝トンネル以北を通過する優等列車はほとんどなくなった。さらに1997年には、釧路市と帯広市の出資による「道東高速鉄道開発」(本社 札幌市、現在の北海道高速鉄道開発の前身)が設立され、石勝線とともに根室本線新狩勝トンネル - 釧路間の高速化改良事業が実施された。

年表

十勝線

  • 1899年(明治32年)
    • 9月1日 北海道官設鉄道十勝線として旭川 - 美瑛間が開業、辺別駅・美瑛駅を新設
    • 11月15日 美瑛 - 上富良野間が延伸開業、上富良野駅を新設
  • 1900年(明治33年)
    • 8月1日 上富良野 - 下富良野間が延伸開業、中富良野・下富良野駅を新設
    • 12月2日 下富良野 - 鹿越間が延伸開業、山部信号停車場・金山駅・鹿越駅を新設
  • 1901年(明治34年)
    • 4月1日 山部信号停車場を駅に変更
    • 9月3日 鹿越 - 落合間が延伸開業、落合駅を新設
  • 1902年(明治35年)12月6日 幾寅駅を新設
  • 1905年(明治38年)4月1日 官設鉄道に移管

釧路線→釧路本線

  • 1901年(明治34年)7月20日 北海道官設鉄道釧路線釧路(後の浜釧路) - 白糠間が開業、白糠・庶路・大楽毛・釧路駅を新設
  • 1903年(明治36年)
    • 3月1日 白糠 - 音別間が延伸開業、音別駅を新設
    • 12月25日 音別 - 浦幌間が延伸開業、浦幌駅・厚内駅を新設
  • 1904年(明治37年)
    • 8月12日 浦幌 - 豊頃間が延伸開業、豊頃駅を新設
    • 12月15日 豊頃 - 利別間が延伸開業、利別・池田駅を新設
  • 1905年(明治38年)
    • 4月1日 官設鉄道に移管
    • 12月1日 利別 - 帯広間が延伸開業、帯広駅・止若駅を新設
  • 1907年(明治40年)
    • 9月8日 落合 - 帯広間が延伸開業により旭川 - 釧路間全通、狩勝給水給炭所・新内(旅客貨物とも取扱わず)・新得・清水・佐念頃・芽室・伏古の各駅を新設
    • 10月25日 直別駅を新設
  • 1909年(明治42年)
  • 1910年(明治43年)
  • 1911年(明治44年)
  • 1913年(大正2年)
    • 10月1日 下金山駅を新設
    • 11月10日 滝川 - 下富良野間 (57.6km) 開業[6]、幌倉・上赤平・平岸・下芦別・野花南・奔茂尻・島ノ下の各駅を新設、滝川 - 釧路間を釧路本線と改称し、下富良野 - 旭川間を富良野線として分離
    • 12月1日 波若信号所を新設
  • 1916年(大正5年)4月1日 函館 - 釧路間1・2列車に食堂車(和食)連結開始
  • 1917年(大正6年)12月1日 釧路 - 厚岸を延伸開業 (46.6km)、釧路 - 浜釧路 (1.8km) および厚岸 - 浜厚岸 (1.2km) 貨物線開業、上別保・上尾幌・尾幌・門静・厚岸・(貨)浜厚岸の各駅を新設
    • この時に釧路駅が現在の位置に移転し、同時に浜釧路駅(貨物駅)が開設され、釧路 - 浜釧路間の貨物線が開業したことになっている。実際は、浜釧路駅は釧路駅(旧)の改称であり、釧路 - 浜釧路間の貨物線は新規開業ではなく既設線の貨物線化である。
  • 1918年(大正7年)12月28日 (貨)茂尻駅を新設
  • 1919年(大正8年)11月25日 厚岸 - 厚床間 (42.9km) を延伸開業、糸魚沢・茶内・浜中・姉別・厚床駅を新設
  • 1920年(大正9年)
    • 1月16日 上芦別駅を新設
    • 4月1日 (貨)尺別駅を新設
    • 11月10日 厚床 - 西和田間 (34.7km) を延伸開業、初田牛・別当賀・落石・西和田の各駅を新設

全通以後

  • 1921年(大正10年)8月5日 西和田 - 根室間 (10.2km) 延伸開業により全通、花咲駅・根室駅を新設、滝川 - 根室を根室本線と改称
  • 1922年(大正11年)
    • 4月1日 狩勝給水給炭所を信号場に、上厚内信号所・波若(廃止時期不明)信号所を信号場に変更
    • 10月15日 佐念頃駅を御影駅に改称
  • 1923年(大正12年)
    • 9月23日 釧路 - 天寧間貨物線 (3.0km) を開業、(貨)天寧駅を新設
    • 12月25日 新富士駅を新設
  • 1925年(大正14年)3月16日 釧網線との分岐点として別保信号所を新設
  • 1926年(大正15年)
    • 7月15日 茂尻貨物駅を一般駅に変更
    • 8月1日 上厚内信号場を駅に変更
  • 1927年(昭和2年)12月26日 布部駅を新設
  • 1928年(昭和3年)11月11日 別保信号場を駅に変更し、東釧路駅に改称
  • 1930年(昭和5年)4月1日 尺別を貨物駅から一般駅に変更
  • 1934年(昭和9年)
    • 8月12日 根室 - 根室港間貨物支線 (1.2km) を開業、(貨)根室港駅を新設
    • 11月20日 清水駅を十勝清水駅に改称
  • 1935年(昭和10年)2月 厚岸駅に入換用機関車DB10形を配置
  • 1940年(昭和15年)
    • 1月15日 釧路 - 天寧間貨物支線の起点を東釧路駅に変更 (-1.5km)、この時、天寧駅は東釧路駅北方から材木町に移転したとされる
    • 10月10日 函館 - 釧路間に急行列車1往復設定(釧路 - 根室間普通列車)
  • 1941年(昭和16年)
  • 1942年(昭和17年)4月1日 下富良野駅を富良野駅に、下頃部駅を新吉野駅に改称
  • 1943年(昭和18年)6月15日 上赤平駅を赤平駅に改称
  • 1946年(昭和21年)
    • 3月1日 東鹿越信号場を駅に変更
    • 5月1日 下芦別駅を芦別駅に、奔茂尻駅を滝里駅に改称
  • 1952年(昭和27年)
    • 3月5日 西庶路信号場を駅に変更
    • 11月15日 上別保駅を別保駅に改称
  • 1954年(昭和29年)
    • 7月1日 古瀬信号場を新設
    • 11月10日 幌倉駅を東滝川駅に、伏古駅を西帯広駅に改称
  • 1955年(昭和30年)12月1日 帯広 - 根室間で気動車運転開始
  • 1956年(昭和31年)5月20日 急行「まりも」に三等寝台車復活
  • 1958年(昭和33年)9月10日 羽帯駅を新設
  • 1959年(昭和34年)
  • 1961年(昭和36年)
    • 2月1日 昆布盛駅を新設
    • 9月1日 東根室駅を新設
    • 10月1日 一ノ坂信号場を新設
  • 1962年(昭和37年)
    • 9月30日 幌岡信号場・高根信号場を新設
    • 10月1日 特急「おおぞら」を釧路まで延長
    • 10月15日 釧路 - 浜釧路を改キロ (+2.0km)(実態は浜釧路駅移転による新線開業)
  • 1963年(昭和38年)11月1日 止若駅を幕別駅に改称
  • 1964年(昭和39年)10月1日 函館 - 釧路間に特急「おおとり」新設
  • 1965年(昭和40年)
    • 9月30日 平野川信号場・常豊信号場を新設
    • 10月1日 根室 - 根室港の貨物支線廃止 (-2.6km)、(貨)根室港駅廃止
  • 1966年(昭和41年)
    • 3月27日 釧路機関区にDD51形を初めて配置
    • 9月27日 昭栄信号場・東庶路信号場を新設
    • 9月29日 鹿越駅を信号場に(金山ダム建設にともなう線路付替)変更
    • 9月30日 落合 - 新得間の新線を開業 (+28.1km)[7]、上落合・新狩勝・広内・西新得・上芽室・常豊の各信号場を新設
    • 10月1日 落合 - 新得間の旧線を廃止 (-27.9km)、新内駅・狩勝信号場廃止
  • 1969年(昭和44年)4月1日 富良野 - 釧路間ディーゼル機関車化達成
  • 1971年(昭和46年)5月1日 釧路 - 東京間に冷蔵コンテナ急行列車運転開始
  • 1982年(昭和57年)
    • 10月25日 鹿越信号場を仮乗降場に変更
    • 11月15日 厚岸 - 浜厚岸間の貨物支線を廃止 (-1.2km)、(貨)浜厚岸駅廃止
  • 1983年(昭和58年)2月15日 滝川 - 落合間CTC使用開始
  • 1984年(昭和59年)2月1日 東釧路 - 天寧間の貨物支線を廃止 (-1.5km)、(貨)天寧駅廃止、東釧路 - 根室間の貨物営業を廃止 (-132.5km)。一ノ坂・幌岡・高根の各信号場廃止
  • 1986年(昭和61年)11月1日 大成臨時乗降場・柏林台臨時乗降場新設、鹿越仮乗降場廃止
  • 1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割民営化に伴い北海道旅客鉄道が承継(第1種)滝川 - 根室間、日本貨物鉄道(第1種)釧路 - 浜釧路間、(第2種)滝川 - 富良野間、東鹿越 - 東釧路間、富良野 - 東鹿越間の貨物営業廃止、大成・柏林台の各臨時乗降場を駅に、稲士別仮乗降場を駅に、古瀬信号場を駅に変更
  • 1988年(昭和63年)3月13日 武佐駅を新設
  • 1988年(昭和63年)11月3日 新大楽毛駅を新設
  • 1989年(平成元年)8月1日 釧路 - 浜釧路間の貨物支線を廃止 (-3.8km)、(貨)浜釧路駅廃止
  • 1990年(平成2年)12月10日 厚内トンネル(新ルート)使用開始
  • 1991年(平成3年)
    • 7月1日 花咲線全線ワンマン運転開始
    • 10月22日 野花南 - 島ノ下を改キロ (-3.0km)(滝里ダム建設にともなう線路付替)、滝里駅廃止
  • 1993年(平成5年)3月18日 滝川 - 釧路間で全普通列車ワンマン運転開始
  • 2001年(平成13年)
    • 7月7日 花咲線全通80周年記念式典
    • 7月20日 白糠 - 釧路間開通100周年記念式典
  • 2002年(平成14年)4月1日 日本貨物鉄道が釧路 - 東釧路間の第2種鉄道事業廃止 (-2.9km)
  • 2006年(平成18年)4月1日 日本貨物鉄道が新富士 - 釧路間の第2種鉄道事業廃止 (-2.7km)
  • 2007年(平成19年)10月1日 滝川 - 東釧路間で駅ナンバリングを実施
  • 2011年(平成23年)3月12日 日本貨物鉄道の帯広駅を帯広貨物駅に、同じく新富士駅を釧路貨物駅に改称
  • 2013年(平成25年)6月1日 - 7月31日の間、花咲線 厚岸 - 糸魚沢間で国の天然記念物であるタンチョウと列車の衝突事故を回避するため、花咲線を走行する一部の列車で減速運転を試行[8]

運行形態

広域輸送

上落合信号場 - 新得駅 - 帯広駅 - 釧路駅間は、石勝線と合わせて道東への主要幹線を形成しており、2014年3月15日現在、札幌駅発着の特急列車が数多く運転されている。札幌駅 - 釧路駅間の特急「スーパーおおぞら」が6往復、札幌駅 - 帯広駅間の「スーパーとかち」が5往復運転されている。滝川駅 - 富良野駅間については、札幌駅との間を直通で結ぶリゾート特急(「フラノラベンダーエクスプレス」など)が不定期で運行される。

石勝線が全通するまでは、函館駅・札幌駅 - 帯広駅・釧路駅間の特急・急行列車も滝川駅・富良野駅経由で運転していた。

地域輸送

快速を含むすべての普通列車ワンマン運転となっている。

滝川駅 - 新得駅間

帯広駅まで運行される快速「狩勝」2往復とそれに接続する快速以外は、各駅に停車する普通列車のみの運転で、1 - 3時間に1本程度運行されている。4時間ほど運行のない時間帯がある。1往復は落合駅で折り返すため、新得駅発着の部分は4時間50分 - 5時間ほど間隔が開く。この区間では富良野線直通列車を除くと滝川駅が起点になっており、新得・帯広方面に運行される列車のほか、滝川駅 - 芦別駅・富良野駅・落合駅間の区間列車がある。22時台まで列車が運行されている。

沿線からは大雪山連峰や十勝岳が望め、無人地帯を貫く石勝線と違って穏やかな丘陵地帯と農村が広がる。また空知川金山ダム滝里ダム建設により一部の区間が滝里トンネル金山トンネル・鹿越鉄橋経由の新線に付け替えられている。

上落合信号場・新得駅 - 帯広駅 - 釧路駅間

上落合信号場で石勝線と結び、札幌駅 - 釧路駅間の幹線ルートを形成する区間である。高速化改良が実施されており、特急列車が最高速度130km/hで駆け抜ける。ただし、広内信号場 - 西新得信号場間は、山脈から吹き下ろす風の通り道となっており、1994年の特急おおぞら脱線事故以前もたびたび脱線や転覆事故が起きてきた。対策として、防風柵を設置しているほか、「早め規制区間」とし、風速20m以上で45km/hに減速、25m以上で運転を中止する措置をとっている。

池田駅を過ぎると厚内川沿いの蛇行した区間と、太平洋岸の丘陵や湿地、河口を避けた区間は、距離は短いものの当線中最も線形が悪く、これを克服するためにキハ283系の仕様が詰められた。カーブ区間はすべてPC枕木化されているものの、他の一部区間では枕木に木材を使用した軌道も残っており、最高速度130km/hで走行できる区間は少ない[注 2]。また、この区間ではエゾシカの線路侵入が多い(詳細は後述)。

上記2区間の地域輸送は、普通・快速列車が新得駅 - 帯広駅間・滝川駅 - 帯広駅間帯広駅 - 釧路駅間に運行されており、どちらの方向も朝夕の一部の列車を除き、帯広駅折り返しとなっている。車両は通しで運転されるが、帯広駅での20 - 30分程度の停車の後、列車番号が変わる列車もある。

帯広駅・釧路駅周辺は1 - 2時間に1本程度の運転頻度で、帯広圏では芽室駅・池田駅・浦幌駅発着、釧路圏では厚内駅・音別駅・白糠駅・大楽毛駅発着の区間列車もある。滝川駅 - 釧路駅の直通列車も1日1往復あり、2012年3月17日現在、所要時間は上り6時間50分、下り8時間2分を要する。この下り普通列車2429Dは、普通列車としては日本最長の308.4kmを走行する(後節も参照)。この区間を運転する上り列車は帯広駅 - 滝川駅間が快速「狩勝」となる2522D - 3430Dであり、釧路駅の始発列車を兼ねている。2001年6月30日までは5時台に始発があった。

過去には帯広駅 - 池田駅間にふるさと銀河線乗入れ列車が設定され、この区間で併結運転があったが、2006年4月21日のふるさと銀河線の廃止によって消滅した。羽帯駅・大成駅・稲士別駅・古瀬駅は普通列車でもかなりの数が通過するが、大成駅については通過列車がある駅の中では停車本数が多い。

滝川発釧路行普通2429D列車

普通2429D列車は、2014年3月15日現在、滝川駅9時37分発釧路駅18時02分着で日本一運行時間が長い(8時間25分)普通列車であり、308.4kmを走る。ただし、単一の列車番号を持ち、かつ走行距離が日本一長い列車は山陽本線岡山駅(16時17分)発新山口駅(22時2分)行き普通列車371Mで315.8km[9]

2012年10月27日のダイヤ改正でこれまで特急を退避する都合で通過していた羽帯駅稲士別駅にも停車するようになり、滝川駅 - 釧路駅間のすべての駅に停車することになった。

2010年から、2429Dで滝川駅 - 釧路駅間を1日で乗り通した人に釧路駅有人改札口で完全乗車証明書を発行しており、2012年10月26日までで2860人に発行されている[10]

毎月第2、第4土曜日は国鉄色といわれる朱色5号の車両で運転されるが、変更されることもあるので、運転日はJR北海道のホームページに掲載されている。

釧路駅 - 根室駅間(花咲線)

ファイル:花咲線.jpg
2006年まで車両に張られていたマーク(2005年6月)

花咲線」の愛称を名乗るこの区間は、釧路駅以西とは運転系統が完全に分離されている。快速2往復(「ノサップ」・「はなさき」)のほかは普通列車のみの運転で、釧路駅 - 根室駅間直通列車のほか、釧路駅 - 厚岸駅間と厚床駅 - 根室駅間(ただし後者は登校日のみ)の区間列車があり、2 - 3時間に1本程度が運行されている。普通列車の中には、厚床駅 - 根室駅間の一部の駅を通過するものもある。1991年7月1日に発足した「花咲線運輸営業所」がこの区間の管理運営を行っている。

夏の一時期は夜行列車「まりも」が根室駅まで延長運転されることがあったが、札幌駅 - 根室駅間を通して乗る旅客が減少しているため、2006年以降は延長運転されないことになった。

ほとんどの列車が釧路駅で札幌からの特急列車と接続しているが、朝・夜の1往復は特急とは接続しない(かつては特急「まりも」と接続していた)。

この区間は釧路駅以西にも増してエゾシカの線路侵入が著しく多い(後述)。

貨物輸送

貨物列車は、滝川駅 - 富良野駅間と上落合信号場 - 帯広貨物駅 - 釧路貨物駅間で運転されている。

滝川駅 - 富良野駅間
滝川駅 - 富良野駅間の列車は、コンテナ車で組成された最高速度95km/hの高速貨物列車で、札幌貨物ターミナル駅 - 富良野駅間に秋冬限定の臨時列車が2往復設定されている。
上落合信号場 - 帯広貨物駅 - 釧路貨物駅間
上落合信号場 - 帯広貨物駅 - 釧路貨物駅間の列車は、石油輸送用のタンク車で組成された専用貨物列車とコンテナ車で組成された高速貨物列車で、石勝線直通で運転されている。
専用貨物列車は定期列車(土日運休)として本輪西駅 - 帯広貨物駅間に1往復設定され、室蘭製油所からの石油輸送を行っている。東室蘭発帯広貨物行きが1本と帯広貨物発本輪西行き1本の片道1本ずつの臨時専用貨物列車も設定されている。いずれも最高速度は75km/hである。
高速貨物列車は、札幌貨物ターミナル駅 - 帯広貨物駅間に臨時1往復を含めて4往復、札幌貨物ターミナル駅 - 釧路貨物駅間に下り3本(うち1本は苫小牧駅経由)と上り1本、釧路貨物駅 - 帯広貨物駅間に上り2本が設定されている。札幌貨物ターミナル駅 - 釧路貨物駅間の列車は、いずれも帯広貨物駅でコンテナ車の増解結を行い、うち1往復は音別駅で増解結を行い、大塚製薬の製品輸送コンテナを扱う。本州方面への直通列車も設定され、帯広貨物駅から隅田川駅梅田駅にそれぞれ片道1本運転されている。これらの列車には釧路貨物駅から別列車で帯広貨物駅に到着したコンテナ車の一部も連結される。本州直通列車にはコキ100系貨車が使用される。最高速度は帯広貨物発隅田川行きが100km/hのほかはすべて95km/hである。
列車の牽引機関車は、ディーゼル機関車である。高速貨物列車はDF200形、専用貨物列車はDD51形を使用する。DD51形も新富士駅(現在の釧路貨物駅)まで乗り入れていたが、2008年3月15日の改正で消滅した。

エゾシカによる運行支障

ファイル:Cape Ochiishi and Groups of Ezo-deer 1.jpg
花咲線列車内から見たエゾシカの群れ(落石駅付近、2010年2月)

エゾシカは本州のニホンジカと同種だが、ニホンジカより大きく(ベルクマンの法則)、体重200kgを超えるものもおり、列車と衝突した場合、看過できない問題となる。

JR北海道全体において、エゾシカとの衝突や、衝突に至らないまでも急制動を強いられるなどにより報告される運行支障件数は、近年著しく増加を続けている。その原因は禁猟などによるエゾシカの個体数激増にあると見られている。1990年代前期に年間200 - 300件程度だったものが、2004年度に年間1,000件を超え、2007年度は1,474件にのぼっている。衝突時の衝撃としては300kgを超えるヒグマの方が大きいものの、ヒグマは臆病な性格のため線路周辺に現れることはほとんどなく、列車衝突事故の件数はエゾシカにくらべ極めて少ない。

根室本線は、北海道の中でもエゾシカの線路侵入が目立って多い。2007年度の全道1,474件中、752件が釧路支社管内で、そのうち463件は落合以東の根室本線で占めている[11]

落合 - 釧路間
落合 - 釧路間の2007年度支障件数は128件で、減速して警戒するほか、特に出没が多い浦幌 - 直別間ではエゾシカ侵入防止フェンスの設置を進めている。
釧路 - 根室間(花咲線)
花咲線区間での2007年度支障件数は335件にものぼる。これは絶対数であり、釧路以西と比較すると、特急・急行も貨物列車もなく、列車本数や営業距離も勘案すれば、列車営業キロあたりでは釧路以西の10倍以上エゾシカの影響を受けているといえる。警笛によりシカに注意を促すために、花咲線用のキハ54はタイフォンをホイッスル(通称「シカブエ」と呼ばれる。JR北海道の車両にはキハ283系など広く用いられている)に換えている。

輸送密度

輸送密度は、滝川 - 新得間と釧路 - 根室間のみ公表されている。

滝川 - 新得間
  • 2012年度 289人[12]
  • 2013年度 284人[12]
釧路 - 根室間
  • 2012年度 423人[12]
  • 2013年度 428人[12]

使用車両

現在の使用車両

すべて気動車で運転されている。

特急列車

普通列車

  • キハ40系(滝川 - 釧路)
    滝川 - 釧路間で使用される。また、かつてはふるさと銀河線(池田 - 足寄間のみ)にも朝の1往復のみ乗り入れていた。
  • キハ54形(音別 - 根室)
    基本的に花咲線区間の釧路 - 根室間で使用されるが、一部の音別・白糠 - 釧路間の区間列車にも使用される。
  • キハ150形(富良野 - 帯広)
    快速狩勝」の旭川直通列車で使用される。また、間合い運用で帯広近辺で運転されることもある。

過去の使用車両

テンプレート:節stub 国鉄時代はキハ22形気動車も全線で運用されていた。

2006年4月にふるさと銀河線が廃止されるまでは、ふるさと銀河線の気動車(CR70形またはCR75形)も池田 - 帯広間に2往復乗り入れていた。

特急列車

急行・準急列車

駅一覧

滝川 - 東釧路間において駅ナンバリングが設定されているが、駅ナンバリング順ではなく、滝川駅から下り方向に記述。駅ナンバリングの詳細については「北海道旅客鉄道の駅ナンバリング」を参照。

  • 駅名 … (貨):貨物専用駅、◆・◇:貨物取扱駅(貨物専用駅を除く。◇は定期貨物列車の発着なし)
  • 停車駅
  • 線路(全線単線) … ◇・∨:列車交換可、|:列車交換不可
  • 全駅北海道内に所在
駅番号 駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 普通 快速 接続路線 線路 所在地
A21 滝川駅 - 0.0 北海道旅客鉄道函館本線 滝川市
T22 東滝川駅 7.2 7.2  
T23 赤平駅 6.5 13.7   赤平市
T24 茂尻駅 3.5 17.2  
T25 平岸駅 3.5 20.7  
T26 芦別駅 5.9 26.6   芦別市
T27 上芦別駅 3.9 30.5  
T28 野花南駅 4.7 35.2  
T29 島ノ下駅 13.9 49.1   富良野市
T30 富良野駅 5.5 54.6 北海道旅客鉄道:富良野線
T31 布部駅 6.3 60.9  
T32 山部駅 5.8 66.7  
T33 下金山駅 8.0 74.7   空知郡
南富良野町
T34 金山駅 6.9 81.6  
T35 東鹿越駅 13.2 94.8  
T36 幾寅駅 4.0 98.8  
T37 落合駅 9.4 108.2  
  上落合信号場 - 112.2 根室本線と石勝線との実際の分岐点
  新狩勝信号場 - 117.8   上川郡新得町
  広内信号場 - 124.0  
  西新得信号場 - 129.5  
K23 新得駅 28.1 136.3 北海道旅客鉄道:石勝線(営業上の分岐点)
K24 十勝清水駅 9.1 145.4   上川郡清水町
  平野川信号場 - 151.6  
K25 羽帯駅 7.5 152.9  
K26 御影駅 3.0 155.9  
  上芽室信号場 - 160.6  
K27 芽室駅 10.6 166.5   河西郡芽室町
K28 大成駅 2.1 168.6  
K29 西帯広駅 4.8 173.4   帯広市
  帯広貨物駅 2.6 176.0  
K30 柏林台駅 0.6 176.6  
K31 帯広駅 3.5 180.1  
K32 札内駅 4.8 184.9     中川郡幕別町
K33 稲士別駅 3.6 188.5    
K34 幕別駅 5.8 194.3    
K35 利別駅 6.5 200.8     中川郡池田町
K36 池田駅 3.5 204.3    
  昭栄信号場 - 208.5    
K37 十弗駅 8.5 212.8     中川郡豊頃町
K38 豊頃駅 5.4 218.2    
K39 新吉野駅 7.1 225.3     十勝郡浦幌町
K40 浦幌駅 6.4 231.7    
  常豊信号場 - 236.0    
K41 上厚内駅 11.8 243.5    
K42 厚内駅 6.6 250.1    
K43 直別駅 7.2 257.3     釧路市
K44 尺別駅 4.0 261.3    
K45 音別駅 3.8 265.1    
K46 古瀬駅 9.7 274.8     白糠郡白糠町
K47 白糠駅 6.3 281.1    
K48 西庶路駅 5.4 286.5    
K49 庶路駅 2.1 288.6    
  東庶路信号場 - 293.8    
K50 大楽毛駅 10.4 299.0     釧路市
K51 新大楽毛駅 1.8 300.8    
K52 新富士駅 4.9 305.7    
  (貨)釧路貨物駅    
K53 釧路駅 2.7 308.4  
B54 東釧路駅 2.9 311.3 北海道旅客鉄道:釧網本線[* 1]
  武佐駅 1.2 312.5  
  別保駅 4.5 317.0   釧路郡釧路町
  上尾幌駅 14.7 331.7   厚岸郡厚岸町
  尾幌駅 9.2 340.9  
  門静駅 9.2 350.1  
  厚岸駅 4.9 355.0  
  糸魚沢駅 10.6 365.6  
  茶内駅 9.6 375.2   厚岸郡浜中町
  浜中駅 7.0 382.2  
  姉別駅 10.1 392.3  
  厚床駅 6.6 398.9   根室市
  初田牛駅 7.1 406.0  
  別当賀駅 8.5 414.5  
  落石駅 10.3 424.8  
  昆布盛駅 4.0 428.8  
  西和田駅 4.8 433.6  
  花咲駅 4.6 438.2  
  東根室駅 4.1 442.3  
  根室駅 1.5 443.8  

テンプレート:Reflist

  • 上落合信号場 - 新得駅間は根室本線との重複区間
  • 武佐 - 根室の各駅には、駅番号が付番されていない。

廃止区間

1966年10月1日廃止区間
落合駅 - 狩勝信号場 - 新内駅 - 新得駅 (27.9km)
日本新八景鉄道省が選定した日本三大車窓の一つでもある狩勝峠を含んでいた。残る二つの篠ノ井線姨捨駅肥薩線矢岳越えは現存する。
峠は最大勾配25‰、最小半径180mのカーブが連続する難所で、峠のすぐ落合側の狩勝信号場はスイッチバックとなっていた。峠付近のS字大カーブ築堤や橋梁、隧道などの鉄道施設群は2003年土木学会選奨土木遺産に選定されている。
廃止後の新内 - 新得間は、1967年 - 1979年の間鉄道事故の原因究明、及びその対策に関する実験を行う、通称・狩勝実験線として使われていた。
貨物線(1989年8月1日廃止)
釧路駅 - (貨)浜釧路駅 (3.8km)
貨物線(1984年2月1日廃止)
東釧路駅 - (貨)天寧駅 (1.5km)
貨物線(1982年11月15日廃止)
厚岸駅 - (貨)浜厚岸駅 (1.2km)
貨物線(1965年10月1日廃止)
根室駅 - (貨)根室港駅 (2.6km)

廃駅・廃止信号場

廃止区間上にあるものは除く。

過去の接続路線

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

テンプレート:Sister

テンプレート:-

外部リンク

テンプレート:北海道旅客鉄道本社

テンプレート:北海道旅客鉄道釧路支社
  1. 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
  2. テンプレート:PDFlink - 北海道旅客鉄道、2013年9月4日、2013年9月5日閲覧。
  3. テンプレート:PDFlink - 北海道旅客鉄道プレスリリース 2013年9月21日
  4. JR北海道:一部特急を減速・減便 11月ダイヤ改正発表 - 毎日新聞 2013年9月20日
  5. 「列車追跡シリーズ394 〝望郷の岬〟を恋うる旅路(おおぞら13号)〜(はなさき)」『鉄道ジャーナル』1993年9月号(通巻323号)p85
  6. 「下富良野線建設概要」1913年11月10日-11日付北海タイムス(神戸大学附属図書館新聞記事文庫)
  7. “狩勝新線開通”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1966年10月1日)
  8. テンプレート:PDFlink - JR北海道 2013年5月23日
  9. 運賃計算上は営業キロ294.1kmだが、これは岩国駅 - 櫛ヶ浜駅間を岩徳線経由で計算するためで、371Mが実際に走る山陽本線経由で計算すると315.8kmとなる。
  10. 北海道新聞2012年10月27日
  11. テンプレート:PDFlink
  12. 12.0 12.1 12.2 12.3 テンプレート:PDFlink - 北海道旅客鉄道、2014年5月9日


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