ラジオ
ラジオ(テンプレート:Lang-en)Radio.ogg 聞く </span>とは、無線通信により音声を送受信する技術である。一般的にはラジオ放送(放送無線電話[1])やラジオ受信機の略称[1]の意味で使用される。radiotelegraphy(無線電信)の短縮語を語源とする。レディオ、レイディオと呼称される場合もあり、古くはラヂオ[2]とも表記した。
目次
概説
会話や音楽などの音声信号を、電波を使って送受信する。いくつかの方式があるが、最も歴史の長いのは振幅変調による中波放送で、基本的な方式は100年間も変わらず、現在でもラジオ放送の主流である。この方式および受信機は一般に「AM放送」「AMラジオ」と呼ばれる。また周波数変調による超短波ラジオ放送も広く普及しており、「FM放送」「FMラジオ」と呼ばれる。本項目でも特筆しない限り、この呼び方を用いる。
災害耐性
送信システムは比較的簡単な構造で、仮に地震などで放送局が破壊されても、肩に担げる程度の大きさの小型送信機から放送することも可能。これを活かし、大規模災害の発生時には臨時災害放送局が開設されることがある。一部のラジオ放送局ではこの特長を利用し、自分以外の局員が全員操作できない状態になっても、1人いれば、全てを遠隔操作して放送が続けられるようになっている。東日本大震災以降、開局が盛んとなっている。
ラジオ放送の種類
変調方式による分類
電波に音響情報を乗せて送るためには、高周波の電波を低周波の音響信号で変調(modulation)する必要がある。変調方式の違いにより幾つかのラジオ放送方式が存在する。
- アナログ変調
- デジタル変調 - 衛星デジタル放送や地上デジタル放送ではテレビジョンだけでなく、ラジオ放送(音声放送)も行われる。
- アナログ音声放送
- CS-PCM音声放送
- BSアナログ放送(独立音声放送)
- デジタル音声放送
- 衛星デジタル音声放送
- BSデジタル音声放送
- CSデジタル音声放送
- 地上デジタル音声放送(地上デジタルラジオ) - 日本国外では既に本放送が開始された。日本でも2003年10月10日に東京・大阪で実用化試験放送を開始したが2011年3月末廃止。
- 衛星デジタル音声放送
- アナログ音声放送
周波数による分類
また、放送に用いられる電波の周波数の違いにより分類することもできる。日本では、中波放送、短波放送、超短波放送の3種類の放送が、外国ではこれに加えて長波を用いる長波放送が行なわれている。
なお、極超短波以上を用いるラジオ放送は、世界のどこの国でも行われていない(電波の性質上不適当であるためと見られる)。
- 長波放送(LF・LW) - 高緯度(北緯60度超)地域の国内ラジオ放送で使用(AM)。
- 中波放送(MF・MW) - 国内ラジオ放送、近隣諸国向け国際放送で使用。いわゆるAM放送(AM)。
- 短波放送(HF・SW) - 国際放送と広域国内ラジオ放送で使用(AM)。
- 超短波放送(VHF) - 国内ラジオ放送で使用。いわゆるFM(ラジオ)放送(FM)・BSデジタルラジオ。
長波放送
振幅変調(AM)による国内ラジオ放送である。放送バンドの周波数は153 - 279kHz。
ロシアやヨーロッパなどの高緯度地域で放送に利用される。これは送信機が簡単に製作出来る事、低出力で広大な地域に伝播させられるためである。
日本では、放送法や電波法施行規則に長波放送の定義がなされず実施もされていないので、ロシア極東地域のラジオ放送が比較的良好に受信できるものの一部の受信愛好家以外に需要はなく、ラジオ受信機も少ない。
中波放送(AM放送)
振幅変調(AM)による国内ラジオ放送である。近距離向けの国際放送に利用される場合もある。日本で「AM放送」「AMラジオ」という場合は、中波放送を指して呼ぶことが一般的でAMによる短波放送は含まれないことが多い。電波法施行規則や放送法では「中波放送」は「526.5kHzから1,606.5kHzまでの周波数の電波を使用して音声その他の音響を送る放送」と定義されている(電波法施行規則第2条第1項第24号、放送法第2条2の第3号)。
周波数はアメリカ州以外の地域では531kHz - 1,602kHzの9kHz間隔ですべて9の倍数となっている。例えば、1,134kHz〔東京・文化放送〕→1,143kHz(京都・KBS京都)というように9kHz空いている。以前は10kHz間隔で、1978年11月23日国際協定時0時から現在の9kHz間隔となった[3]。日本では国際協定時の前日20時から24時に相当する5時から9時までは名目上は「試験電波」扱いで、本放送と同じ内容で番組を行った。現在でも、国際電気通信連合第2地域、即ちアメリカ州は10kHz間隔のままである。
伝送周波数帯域幅が狭く(占有周波数帯幅の許容値は15kHz)、変調方式の特性としてノイズ等に耐性が弱い。特に送信所から遠い放送局、一部の家電品の近くや雷発生時に起きやすい。これは同じくAMを使用する長波・短波放送も同様である(FM放送でも電波が極端に弱ければノイズが発生することがある)。また、FM放送に比べて低音質である。そのため、スポーツ実況中継・ニュース・交通情報などの情報を提供するような生番組やトーク番組が主に放送されている。位相変調を用いたステレオ放送も行われている。
受信機の回路構成が単純で済み、電波が減衰し音質は悪くなるが、送信所から遠方の地域でも聴取可能であるため、高額な設備投資や維持が出来ないような発展途上国でも標準的に利用されている(FM波は遠方まで届きにくく、近傍に大出力の送信所がある場合には、弱いFM波はマスキングされてしまう欠点がある)。一方で、古い設備が使用され続けており、多くの放送局では設備更新を行う必要がある。先進国ではFM放送の受信機もAM放送と同程度に普及しており、FM変調方式はノイズ混入が少ないため音質が明瞭である事などを理由に、次回の設備更新の際にAM放送からFM放送に変更することを予定している放送局もある。
昼間は下部の電離層(D層)に吸収されるため、長距離には届かない。夜間はD層が消失し、E層からの反射が届くので、海外を含めて遠方のラジオ局が聞けるようになる反面、放送局同士の混信が激しくなる欠点がある。実際に、日本でも地域によっては夜間は韓国や中国の放送局の混信のため聞きづらくなる国内局もある。また日本でヨーロッパやアフリカの放送局が受信されたり、逆にヨーロッパで日本の放送局が受信されることもある。
日本国外の一部地域ではデジタル化対応が行われている。 テンプレート:Main
日本
放送局(送信所)から到達する距離が長いため、一道県内(一部は二府県内)を放送対象地域とする県域放送と三以上の都府県を放送対象地域とする広域放送がある。但し、隣県の県域放送が受信できる県は珍しいものではなく、広域放送の地域並みまたはそれ以上の数の放送が受信できる県も、青森県、静岡県、香川県、徳島県、山口県、佐賀県など多数ある。
コールサインは、NHKの東京および拠点局ではJO*K(第一放送)かJO*B(第二放送)である。民間放送の親局はJO*R(主に先発局)かJO*F(主に後発局)である。このほかに民放の中継局にはJO*O、JO*E、JO*W(以上、主に先発局。但し、JO*Wの一部は外国語放送局に指定)、JO*L、JO*M、JO*N(以上、主に後発局。但し、JO*L、JO*Mの一部はテレビ単営局に指定)などが指定されている。コールサインを持つ中継局では、親局とは別に独自の番組を放送したり、CMを独自のものに差し替えることもある。
デジタル化は行われていないが、地上デジタル音声放送(ISDB-TSB方式)の試験放送で一部の局のサイマル放送が行われたことはある。
特殊なものとして特定者に向けた放送がある。但し、電波法令上は特別業務の局による同報通信[4]である。
- 路側放送
- 道路管理者・警察が1620kHz(一部で1629kHz)で行う。ハイウェイラジオ・道路情報ラジオなどと呼ばれ、付近の道路状況等を案内する。高速道路等で路側のワイヤー型アンテナから送信[5]しており、カーラジオなどで聴くことができる。
- 船舶気象通報
- 海上保安庁が灯台などから1670.5kHz、電波型式はH3E(上側波帯:USB)で行う。内容は海上などの気象情報や海上交通情報。放送周波数帯の直上にあるため、バリコンを用いたラジオなら旧式のものでは誤差範囲に入り聴取可能だったが、現行の民生機においてこの周波数を受信できるラジオはソニーなどの一部機種のみに限られる。
- 海上交通情報(MARine Traffic Information Service)
- 略称のMartis(マーチス)として知られる。海上保安庁が海上交通センターから1651kHz、1665kHz、2019kHzで行う。内容は大型船の入出港情報などの海上交通情報や気象情報。1651kHzと1665kHzは、船舶気象通報と同様に旧式ラジオなら受信できるが、現行の民生機では限られる。
短波放送
テンプレート:Main 国際放送に、また国土の広大な国では広域の国内放送に使われる。日本では、NHKが国際放送(NHKワールド・ラジオ日本)を、日経ラジオ社(ラジオNIKKEI)が全国放送を実施している。
超短波放送(FM放送・BSデジタルラジオ)
周波数に超短波(60MHz帯または87.5 - 108MHzのVHF。日本のみ76 - 90MHz)を使い、周波数変調(FM)を用いて放送されている。電波法施行規則や放送法では「超短波放送」は「30MHzを超える周波数の電波を使用して音声その他の音響を送る放送(文字、図形その他の影像又は信号を併せ送るものを含む)であって、テレビジョン放送に該当せず、かつ、他の放送の電波に重畳して行う放送でないもの」と定義されている(電波法施行規則第2条第1項第25号、放送法第2条2の第4号)。
1チャンネルの搬送波周波数間隔が200kHzあり(オフセットにより周波数割当ては100kHz間隔)、伝送できる周波数帯域が広く(占有周波数帯幅の許容値は200kHz)、S/N比が高く雑音に強いことやAM放送に比べて高音質のため主に音楽番組等が放送されている。音声信号の最高周波数は15kHzである(総務省令 超短波放送に関する送信の標準方式第5条)。
多重技術を利用して、音声多重放送(ステレオ放送)、文字多重放送(愛称・見えるラジオなど)が行なわれている。音声多重放送はすべてのFM局で常時実施されている。NHKの場合は『ラジオ深夜便』の時間帯以外で放送されるニュース、緊急報道および高校野球中継はモノラル放送で、ほかは常時ステレオ放送(時報を含む)していたが、2010年3月9日以降は一部地方放送局のローカルニュースを除き全番組が常時ステレオ放送となり、その後地方放送局のローカルニュースも放送局単位で段階的にステレオ放送へ移行し、民放FMラジオ局と同様に終日ステレオ放送となっている。
使用周波数の特性上、放送局(送信所)から到達する距離が短いため、特定地域向け(都道府県内に向けた県域放送など)、あるいはさらに細かな中継所単位で放送が行なわれている。この特性を利用して、最近では地域に密着した情報を提供することを目的とするコミュニティFM局と呼ばれる、1つの市町村・特別区・政令指定都市の区を放送対象地域とし、空中線電力(出力)を20W以下で放送を行う形態もある。この変形として、地震などの大きな災害が発生した場合に、地域に密着した情報を提供するための臨時災害放送局も、FMラジオで開設される。
免許が不要な微弱電波による送信機が多く流通しており、ミニFM局が各地にある。
FM放送などのVHF帯電波を反射するスポラディックE層(通称「Eスポ」)と呼ばれる特殊な電離層が、春から夏頃にかけての日中に突然出現し、普段聞くことの出来ない遠隔地や外国のFM放送が受信することができる場合がある。
日本国外の一部地域ではデジタル化対応が行われている(デジタルラジオ#放送技術の規格を参照)。
日本
コールサインは民間放送の場合、JO*U-FM(先発局)やJO*V-FM(後発局)、JO*W-FM(外国語放送)など。
沖縄県のNHK・民放各局、鹿児島県の奄美諸島のNHK、富山県の北日本放送の新川中継局と砺波中継局において、中華人民共和国・中華民国(台湾)・大韓民国(韓国)・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からのAM(中波)放送の混信が夜間に特に激しいため、AM放送の中継局用にFM放送が使用されている。韓国側も、混信対策などを理由にAM放送の多くはFMでサイマル放送されている。これは「標準FM」と呼ばれる。
関東広域圏(一部地域を除く)とCS衛星放送(2011年にBSデジタルに移行)では、大学通信教育を行う放送大学学園が大学教育放送を行っている。かつては東海大学が、保有していた実験局「FM東海」で通信制高等学校「東海大学付属望星高等学校」の授業番組を放送し、同局がエフエム東京に移行してからも、平日の18時30分 - 21時に放送していたが、ステレオ音声とは別に専用受信機を用いて独立音声を多重する放送を経て、現在はCSのPCM音声チャンネルに移行している。放送大学と異なり、市販CS受信機では受信不可能で特殊チューナーが必要。
au(KDDI・沖縄セルラー電話連合)が2003年12月発売したA5503SA(三洋電機製)を皮切りに、携帯電話各社からFMラジオが聴ける携帯電話が発売されている。PHSではアステルからAT-15(東芝製)が発売されたことがある。PSPやニンテンドーDSといったゲーム機でもゲーム機本体のバッテリーをエネルギーとして使用するFMラジオ受信装置が開発され、発売されている(ニンテンドーDS版は任天堂のライセンス商品ではない)。また、iPodにおいても近年チューナーが発売されており(なお、iPod nano(第5世代・第6世代・第7世代)にはチューナーが内蔵されている)、携帯機器でのFM放送受信の手段は格段に進歩している。
76.0 - 90.0MHzが超短波放送に割り当てられる以前の1953年に、65.51MHzを用いて長岡市をサービスエリアとする長岡教育放送が設立されたが、これは免許上は固定業務の実用化試験局であり、1977年まで放送(電波法令上は同報通信)を続けた。テレビ放送に1ch(90 - 96MHz)を使用していた地域では86 - 90MHzの周波数を使用することができなかったが(86.3MHzのFMぐんまなど一部例外あり)、デジタル(地デジ)完全移行後はこれらの帯域も使用できるようになった(当初はアナログ1〜3chで使用されていた90MHz - 108MHz帯をマルチメディア放送に供される予定であったが、FM放送への割り当ても検討されている。FM補完中継局を参照)。また、近畿地方ではテレビ放送当初から1chを使用していないため、親局が88.0MHz以上のFM局もある。なお、80.8MHzから81.4MHzは軍用航空無線の国際緊急周波数(243MHz)及びその近辺の1/3低調波に相当し、遭難通信妨害の原因になるため割り当てられていない。
文字多重放送は一般に普及せず、受信機は一部のタクシーに装備されたにとどまった。2007年時点で購入可能な新品の単体受信機は存在しない。現在はJFN系のFM局と東京のJ-WAVE[6]、東京、大阪、名古屋など8都県で実施していたNHK-FMの局、大阪のFM802、京都のα-stationなどの局で文字多重放送が終了した。文字多重放送の仕組みは、カーナビに道路交通情報を提供するシステム「VICS」に組み込まれている。全国のNHK-FMを通じてデータが提供されていて、光ビーコンや携帯電話からの情報と合わせ、利用されている。
現在デジタル化は行われていない。
ラジオ受信機の種類
詳細は受信機も併せて参照されたし。
回路方式による分類
回路方式により、以下の種類に分類できる。
- 鉱石
- 受信したものを増幅せず、鉱石検波器やゲルマニウムダイオード等で直接検波し、クリスタル・イヤホン等で聴取する。
- ストレート
- 受信した周波数のまま増幅・復調を行う。戦前はほとんどこのタイプ。戦後は電子回路を理解するための電子工作で製作する程度の利用のみ。正帰還を用いた再生検波も広く用いられた。
- レフレックス
- ラジオ搬送波と復調後の音声の周波数帯域が異なるのを利用し、検波前の高周波増幅と検波後の音声増幅を一つの増幅素子で兼ねる方式。増幅素子には真空管やトランジスタ等を用いる。昔は高価だった増幅素子を節約するために考案された。原理的にはストレート、スーパーヘテロダイン共にレフレックス方式とする事が可能ではある。
- スーパーヘテロダイン
- 受信した周波数を一定の周波数(中間周波数)に変換した上で増幅・復調を行う。戦中は規制されており、戦後に主流となる。
- ダイレクトコンバージョン
- 受信した周波数に近い高周波を発生させ、直接、音声信号を取り出す。近年、技術革新により安定して高周波を作り出すことが容易となり、中間周波数に変換する部品が省け小型化できるメリットから携帯電話などに盛んに用いられるようになった。
- DSP(デジタル信号処理)
- 受信した周波数を一定の周波数(中間周波数)に変換し増幅・復調をデジタル信号処理して再びアナログ信号に変換してから音声信号を取り出す。近年、ソフトウェアラジオなどに用いられている。
チューニング方式による分類
チューニング(tuning、同調、選局)方式による分類は以下の通りである。
- アナログ
- 可変容量コンデンサ(バリコン)や可変インダクタンス(μ同調器)やバリキャップと可変抵抗、などで選局するもの。大まかに振られた目盛りを頼りに(「コリンズ」のように精密なものもあるが)選局する。昔からあるタイプ。
- デジタル表示式アナログ
- 同調回路はアナログと同様であるが、デジタル表示の周波数カウンタが内蔵されたもの。デジタルのように周波数を数字で確認しながらの直感的な選局が可能だが、テンキーやメモリによる選局は出来ない。また、中間周波の周波数をカウントし定数を足して(または引いて)受信周波数として表示するものであるから、調整がズレていると正確ではない。PLLが安価になる以前に、高級機やBCLラジオなどで採用が見られたが、次に述べるデジタル式の普及によりほとんど見られなくなった。しかし近年、PLLは消費電力が多い、コストがPLLより安い、などの理由で、デジタルをうたっているがこの方式、というラジオが見られるようになってきている。
- デジタル(PLLシンセサイザ)
- 基準周波数を元に、一定ステップの周波数を合成して同調回路を構成するもの。高級機や、近年は薄型機にも多く使われる。民生機では1970年代後半頃から登場している。
形態による分類
厳密な線引きは必ずしもないが、形態によりおおよそ以下に分類できる。
- 大型
- 部屋などに置いて使う大型のもの。真空管時代は殆どこれに属する。
- 通信型(通信用)受信機
- 送信機と組にする無線設備としての性能を重視したもので、外観としてはチューニング・ダイアルが大きく操作しやすい、読みとりやすい周波数目盛りがあるかデジタル表示になっている、感度や選択度を可変できるつまみ類が付いている、電波型式を切り替えるスイッチがある、外部アンテナ端子があるなどの特徴がある。ただし必ずしもこれらすべてを満たしているとは限らず、また機能が豊富なものではよりたくさんのつまみ、スイッチ、接続端子を備えているものもある。
- チューナー
- コンポーネントオーディオのコンポーネントのひとつ。ラジオの受信機能のみ。アンプを通してスピーカーを鳴らす。
- ポータブル
- VHSカセット - タバコの箱位の大きさ。乾電池で動作可能。真空管時代にも電池管という電池で動作するミニチュア管やサブミニチュア管を使い、数十ボルト程度の積層乾電池を用いたものがあったが、消費電力の少ないトランジスタの登場により電池管ラジオは急速に衰退し、代わってトランジスタラジオが急速に普及していった。
- 薄型
- シャツの胸ポケットに入る程度のもの。スピーカーを内蔵していないイヤホン専用のものもある。
受信周波数による分類
- 1バンド
- 多くは中波(530〜1605kHz)AMのみ、またはFMのみの製品で、安価な携帯ラジオやライトバン・トラックなどの商用車のカーラジオに多い。その他、ラジオNIKKEI受信専用の短波ラジオも市販されている(受信周波数が固定されておりスイッチ切り替えだけで済む代わり、周辺の局を聴くことは出来ない)。
- 2バンド
- 中波+FMが多い。アナログチューニングの機器は76.0MHz〜108.0MHzまで受信できるものが主流。FMステレオが受信できるものや、わずかではあるがFM・AMともにステレオで受信できるものがある。デジタルチューニングのうち、一部の携帯ラジオやラジカセなど90.0MHz以降が「テレビ(TV)1〜3チャンネル」のようにチャンネル(音声周波数)が決まっているものは海外では受信できない。なお、FM放送開始以前の1960年代前半(FM東海が動き出したのが1958年末、NHK-FMが動き出したのが1969年)までは中波+短波(3.9〜12MHz)が多かった。現在でも、中波+短波(ラジオNIKKEI受信用)のラジオは市販されている。
- 3バンド
- かつては中波+FM+テレビの1〜12チャンネルの音声が受信できるものが多く市販され、中波+FM+短波(3.9〜12MHz)も市販されていた。現在は中波+FM+短波(ラジオNIKKEI受信用)のラジオが市販されているほか、2012年に入ってからは中波+FM+テレビUHF(ワンセグ)の音声が受信できるラジオも市販されている。
- 4バンド以上
- 中波+FM+短波放送のバンド75〜13mの各バンド、あるいは(長波)中波・短波の150〜530kHz〜30000kHzを連続受信可能な、「ゼネラルカバレッジ」と呼ばれるもの。ラジオとしては日本ではソニーのみ。他にはソニーのICF-890V(生産終了)や、一部のラジカセなどで中波+FM+テレビVHF(1〜12チャンネル)+テレビUHF(13〜62)というタイプもあったが、1〜3チャンネルを除く(ハワイ及びアメリカ本土では88MHz〜108MHzまでが放送バンドである。#超短波放送(FM放送・BSデジタルラジオ)参照)VHFバンドとUHFバンドは2011年7月24日(岩手・宮城・福島の各県は2012年3月31日)に地上デジタルテレビ放送への完全移行による地上アナログテレビ放送の終了で受信できなくなるため生産が打ち切られ、中波+FM+テレビVHFの1〜12チャンネルの音声が受信できる3バンドラジオや中波+FM+短波(ラジオNIKKEI受信用)+テレビVHFの4バンドラジオも同様の理由で生産が打ち切られた。
歴史
世界
無線での音声放送(ラジオ)を世界で初めて実現したのは元エジソンの会社の技師だったカナダ生まれの電気技術者レジナルド・フェッセンデンで、1900年に歪みはひどいものの最初の通信テストに成功した。彼は引き続き、ヘテロダイン検波方式や、電動式の高周波発振器を開発してラジオの改良に取り組んだ。
1906年12月24日には、アメリカ・マサチューセッツ州の自己の無線局から、自らのクリスマスの挨拶をラジオ放送した。フェッセンデンはこの日、レコードでヘンデル作曲の「クセルクセスのラルゴ」を、そして自身のバイオリンと歌で“O Holy Night”をそれぞれ流し、聖書を朗読した。この放送はあらかじめ無線電信によって予告されたもので「世界初のラジオ放送」だっただけでなく「最初のクリスマス特別番組」でもある。フェッセンデンは「史上初のラジオアナウンサー&プロデューサー」と言えるだろう。
フェッセンデン以後、実験・試験的なラジオ放送が世界各地で行われるようになるが、正式な公共放送(かつ商業放送)の最初ははるかに下って、1920年11月2日にアメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグで放送開始されたKDKA局と言われる。これはAM方式によるものだった。最初のニュースは大統領選挙の情報で、ハーディングの当選を伝えた。
あるマンハッタンの住人は、ラジオについて手記を残している。
「ラジオの世界、それは、私にとってリアルそのものだった。まるで目の前に映画スターやミュージシャンがいるかの様に思えた・・・。ある日のこと、私たちがラジオを聞いている間に、女の子が近くの井戸に落ちたことがあった。誰もそのことに気づかず、井戸に落ちた女の子が見つかるまで3日もかかったのだ・・・。どこにいても、『何か新しいこと聞いた?』というのが人々の合言葉だった。」。[7]。
極長距離を伝送できる短波ラジオ放送を最初に行ったのはオランダの国営放送で、1927年11月から海外植民地向けに試験放送を開始、翌1928年には当時オランダ領だったインドネシア・ジャワ島での受信に成功する。この実績に追随してドイツ、ソ連、フランス、イタリア、イギリス等が1929年 - 1932年にかけて植民地向け放送や海外宣伝放送を短波で開始している。
周波数変調方式(FM方式)は、フェッセンデンによって1902年に考案されているが、実用化されたのは1933年になってからで、アメリカのエドウィン・H・アームストロングの手による。アームストロングは1920年にスーパーヘテロダイン検波方式も実用化している。 FM方式による公共放送はアメリカで1938年から試験的に開始された。
2000年代に入って、先進国で地上デジタルラジオ放送が開始され、またアメリカのシリウスXMラジオのような衛星デジタルラジオサービスも開始されている。
日本
国民のラジオ熱(免許制以前)
アメリカでのラジオ放送開始は、即座に日本にも伝わった。
ラジオ受信機の製作に関する雑誌(現在はオーディオ雑誌に変わっているが誠文堂新光社刊の「無線と実験」など)が数多く発売され、また新聞社による独自のラジオ中継が行われたりした(1924年には、大阪朝日新聞による皇太子(昭和天皇)御成婚奉祝式典や大阪毎日新聞による第15回衆議院選挙開票の中継をはじめ、数多くの実験的要素の強い中継が行われている)。
1923年12月、逓信省は放送用私設無線電話規則を制定。翌年、当面東京、名古屋、大阪の3地域で、公益法人として各1事業者ずつ、ラジオ放送事業を許可する方針を打ち出した。
日本初のラジオ放送
日本初のラジオ放送は、1925年(大正14年)3月22日9時30分、社団法人東京放送局(JOAK:現在のNHKラジオ第1放送東京。略称:AK)が東京・芝浦の東京高等工芸学校(千葉大学工学部の前身)内に設けた仮送信所から発した京田武男アナウンサーによる第一声は テンプレート:Quotation だった。当時使われていたラジオは「探り式鉱石受信機」がほとんどで、第一声の「アーアー」は、この間に聴取者が鉱石の針先を一番感度の良い部分に調節できるようにするための配慮と言われている。
波長は375m(周波数800kHz)、空中線電力(出力)約220Wだった。当時の受信機の性能に比して出力が弱かったため、東京市内でないとよく聴こえなかった。
元々は3月1日に放送を開始する予定だったが、購入する予定だった、当時日本に1台しかないウェスタン・エレクトリック(WE)社製の放送用送信機が、前年12月に同じく設立準備中の社団法人大阪放送局(JOBK:現在のNHK大阪放送局、略称:BK)に買い取られてしまった。
そこで東京放送局は、東京市電気局電気研究所が放送実施のために購入したゼネラル・エレクトリック社製の無線電信電話機を借り放送用に改造して使用することにしたが、2月26日の逓信省の検査で「放送設備が未完成のため3月1日の放送開始は時期尚早」と判断された。
既に3月1日から放送を開始すると発表しており、また、大阪放送局よりも先に日本初のラジオ放送を行いたいということで、「試験送信」の名義で逓信省の許可を受け、何とか3月1日から放送を開始することができた。
3週間の試験放送の後、逓信省の検査に合格し、3月22日に仮放送(仮施設からの正式な放送という意味)を開始し、7月12日に東京府東京市芝区(現在の東京都港区)の愛宕山からの本放送が開始された。これには改めて購入した出力1kWのWE社製送信機を使用した。
大阪放送局はその年の6月1日から仮放送を出力500Wで開始した。
さらに、社団法人名古屋放送局(JOCK:現在のNHK名古屋放送局、略称:CK)も同年7月15日に、出力1kWのマルコーニ社製送信機を使用して放送を開始した。
1945年まで
社団法人東京・大阪・名古屋放送局は翌年の1926年に「社団法人日本放送協会」として統合された。これは実質的には政府機関的な性格を持っていた。「全国鉱石化」(日本全国のどこでも鉱石受信機によるラジオ聴取を可能とするインフラの整備)を目標に日本各地に放送局を開設したほか、当時日本領だった南樺太(豊原放送局)や南洋群島(パラオ放送局)にも置局した。さらに、朝鮮には朝鮮放送協会、台湾には台湾放送協会が設立され、日本放送協会の番組を多く中継した。
受信機としては、交流商用電源や大容量電池によって作動する真空管を使ったものが登場し、鉱石式のイヤホンに代わって、スピーカーで大きな音量の放送が聞けるようになる。ラジオ受信機自体は国内メーカーによって生産が可能となっており、アマチュアによる受信機自作も当時から趣味の一ジャンルとして広まり始めていた。
やがてラジオ受信機の普及が進み、音楽、演芸、スポーツ中継、ラジオドラマなどの多彩なプログラムが提供されるようになったことで娯楽の主役となったが、1941年の太平洋戦争(大東亜戦争)開戦とその後の戦局の進行と共に大本営発表を行なうための機関と化しプロパガンダ的な番組が増えた。この傾向は終戦まで続いた。
1945年8月15日に終戦ノ詔勅(いわゆる玉音放送)が放送され、戦後は海外領土を失う。「社団法人日本放送協会」は連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の管理・監督下に置かれ言論統制が行われた。アメリカ軍とイギリス軍を中心とした(中華民国軍及びソビエト連邦軍は日本に進駐していない)、いわゆる進駐軍向け放送局が主要都市に置かれた。アメリカ軍向けは後にFEN、現在のAFNの前身である。一部の局については日本放送協会から施設や役務の提供が行われた。
1945年 - 1959年
1950年に「社団法人日本放送協会」が公共企業体としての「特殊法人日本放送協会」に改組され、翌1951年には9月1日朝に中部日本放送(現・CBCラジオ)、同日昼に新日本放送(現・毎日放送〔MBS〕)が、同年12月25日にはラジオ東京(現・TBSラジオ)と、民間放送も相次いで開始された。1953年にはテレビ放送も開始されたが、白米10kg680円、銭湯の入浴料15円程度だった時代にテレビ受像機の価格は20 - 30万円程度と高価で一般には買えず、ラジオが一家の主役であり続けた。
ラジオ受信機にしても当時は物品税が高価で、メーカー製完成品を購入するよりは秋葉原などから真空管などの部品を買い集めて自作したほうが安かったために、受信機を製作する人が多かった。彼らは「少年技師(後のラジオ少年)」とも呼ばれ、高度成長期の日本のエレクトロニクス産業の発展の基礎を作る要因の一つともなった。
しかし、当時の皇太子・明仁が1959年に正田美智子と結婚しパレードのテレビ中継が行なわれたのをきっかけに、テレビ受像機が普及し始め、ラジオは斜陽化の時代を迎える。
一方、超短波を使用したFMラジオ放送については、1957年12月にNHK-FMが東京で試験放送を開始し、翌1958年12月には学校法人東海大学により、放送教育を目的とした「東海大学超短波放送実験局」が放送を開始した。1960年には日本最初の民放FM局であるFM東海となり、1970年には同局を引き継ぐ形でFM東京が開局している。
1960年 - 1974年
この頃、部品のトランジスタの普及が進み、これを使ったトランジスタラジオの商品化や、さらにモータリゼーションにより、カーラジオが普及するなど、ラジオは一家に一台から一人に一台というパーソナル化の方向へ向かう。ラジオ放送は家族をターゲットにした編成から、個人をターゲットにした編成へと転換していく。情報トーク番組や音楽番組が増えた他、ターゲットを絞った深夜放送も盛んになった。
1950年代後半から試験放送を続けていたFMラジオ放送は、1969年にNHK-FMの本放送が開始され、同年にはFM愛知が開局している。1970年から71年にかけては、FM大阪、FM福岡、そして東海大学から一企業に運営が引き継がれたFM東京の3局が相次いで開局した。いずれも音楽を中心とした編成で、高音質のステレオ放送により、レコードに次ぐHi-Fi音源として人気を集めることになる。放送される楽曲を、オープンリールテープやカセットテープで録音する「エアチェック」も流行し、エアチェックを目的として放送される楽曲が載ったFM情報誌も創刊された。しかし、民放局を中心に「楽曲そのものを楽しむ」から「トークの合間に楽曲が流れる」など番組スタイルの変化などから、次第にエアチェックという言葉自体が廃れていくようになる。
1975年 - 1989年
1970年代後半に、中東戦争やオイルショックをきっかけとして海外の国際放送を受信するBCLブームが中学生・高校生を中心に起こった。この時期には、日本向け日本語放送の充実を図る放送局も多く、時事ニュースに留まらずその国の文化などの理解を深めるうえで一定の役割を果たした。また、受信報告書を送ると受け取れるベリカードの収集も盛んに行われた。さらに、送信方向が日本向けではないなど、一般的には受信困難な放送を工夫を重ねて受信しようとするマニアも増えた。これに応じ、受信周波数帯域の広いラジオ受信機、いわゆるBCLラジオが各社より発売され、戦後2回目の黄金期だった。しかし、日本からの海外旅行の一般化や通信の自由化を遠因とする国際放送の縮小などで、BCLブームも終わりを遂げ、2006年現在、BCLラジオもソニー以外は撤退した(そもそも一般のラジオ受信機自体、ソニーとパナソニックに整理されている)。
1978年11月23日には国際電気通信連合(ITU)の取り決めによりAMラジオの周波数一斉変更(10kHz間隔→9kHz間隔。通称:9キロヘルツセパレーション)が行われた[3]。
1982年のFM愛媛をはじめに全国に民放FM放送局が相次いで開局する。1988年には東京で2番目となるエフエムジャパン(現:J-WAVE)が開局、大都市圏では複数の民放FM局が開設されるようになり、対象セグメントの多様化が進んだ。
1990年 - 1999年
1992年にはコミュニティ放送が制度化され、都道府県単位よりもかなり狭い地域を対象としたラジオ放送が行われるようになった。1992年にはAMステレオ放送が開始した。1995年にはFM文字多重放送もスタートする。
1995年の阪神・淡路大震災では、災害時における情報伝達メディアとしてのラジオの重要性がクローズアップされる結果となった。以降、各局とも災害への対応を重点に置くようになり、また大都市圏には外国語FM局も開局する。
2000年 - 2009年
インターネットラジオの登場、さらに衛星や地上デジタルラジオも加わり、従来のアナログラジオ放送とともに、ラジオの多様化が進んでいる。
一方、メディアの多様化が起因となりラジオ離れの動きが顕著化してきており、それに伴い広告費も減少し続けていることから、ラジオ局は厳しい運営状況を強いられている(詳細はラジオ離れを参照)。
AMステレオ放送を実施していた放送局も会社の合理化に加え、送信機更新の際に必要な装置が2000年半ばまでに生産中止になったのに伴い、AMステレオ放送を終了して元のモノラル放送に戻す放送事業者も2000年代後半に九州地区で出てきた。
2010年以降
2010年にAMステレオ放送を終了する局が相次ぎMBSラジオとHBCラジオが2月28日深夜(3月1日未明)、ABCラジオが3月14日深夜(3月15日未明)、STVラジオが3月28日深夜(3月29日未明)の放送をもってAMステレオ放送を終了した。翌2011年1月30日深夜(1月31日未明)にはTBSラジオも終了し、今後も縮小傾向が続く様相である。
2010年3月14日深夜(3月15日未明)より、地上波のラジオ放送と同内容をインターネットを利用してサイマル配信するIPサイマルラジオ「radiko」の実証実験が開始された。またこれとは別に、RNBラジオでは、独自で2010年10月1日にCATVサイマル放送を、同年12月18日から2011年3月31日までIPラジオ実験放送をした。
ステレオ放送
複数の放送波による立体放送
民放ラジオ放送が開始された頃の1950 - 1960年代、NHKのラジオ第1、第2放送や民放各社などが2つまたはそれ以上の放送波を使った立体放送を行った。NHKの例でいえば第1放送が左側の音声、第2放送は右側の音声をそれぞれ放送して2つのラジオを並べて置くとステレオ音声が楽しめるという試みだった。また、ラジオとテレビを併用した立体放送も実施された。
この方法では問題点が多く、「モノラル放送との互換性がとれず、受信機を2台用意しないと片方のチャンネルしか聞くことができない」「左右用の受信機に位相特性、周波数特性、レベル等の特性差があると正しいステレオイメージが得られない」「周波数帯域を必要以上に占有する」「NHK等を除くと2局が協力しないと実現できない」などである。現在のFMステレオ放送や中波ステレオ放送ではこれらの問題点は解決されている。
沿革
- 1952年
- 1953年
- 1954年
- 11月13日 - NHK第1・第2放送、世界初の立体放送による定時番組『立体音楽堂』放送開始(当番組の2波ステレオでの放送は1964年4月5日まで。その後は当時同時に放送していたFMのみでの放送に変更。同番組終了は1966年4月2日)。
- 11月27日 - 第3回オーディオ・フェアにちなみ、ラジオ東京(現・TBSラジオ&コミュニケーションズ)・文化放送・ニッポン放送(東京)による三元立体放送実施(ドラマ『われを呼ぶわれの唄』など3番組を連続放送)。
- 12月25日 - NHK東京、『立体音楽堂』の時間にラジオ第1・第2・総合テレビを使っての三元立体放送を実施(俳優座劇場中継 メノッティ作曲、歌劇『アマールと夜の訪問者』)。
- 1958年
- 1959年
- 1960年
- 1965年4月3日 - 前年にNHK-FMのステレオ放送が全都道府県で聴けるようになったことを機に、NHK第1・第2放送はこの日に放送された『夜のステレオ』の最終回を最後に中波2波によるステレオ放送を終了する。
FMステレオ放送
アメリカで1961年、ゼネラル・エレクトリックとゼニス社の共同に基づく「AM-FM」方式が標準ステレオ方式として採用され放送が開始された。日本でも1963年6月25日から当時のFM東海によってこの方式による試験放送が開始される。
日本においてステレオ放送開始の当初、地方都市などに電電公社のステレオ中継回線が整備が整備されるまでNHKでは各基幹局(札幌、仙台、東京、金沢、名古屋、大阪、広島、松山、福岡)に、民放では各放送局に2トラック19cm/sのオープンリールのパッケージテープを送りそれを再生して放送し、更に基幹局でないNHKのFM局では沖縄県及び鹿児島県奄美大島地域を除いて全て放送波中継にて全国番組のステレオ番組が放送されたというテンプレート:誰。その後、1978年10月1日からFM放送用のPCMステレオ回線が整備され始め1980年代には全国のNHK及び全民放FM局にその設備が導入されるようになった。2010年頃からこれまでのPCMステレオ回線に代わり、AM・FMラジオ共用の光デジタル回線が用いられていて、全国一律安定した音質で届けることができるようになっている。詳細はNHK-FM放送の項を参照のこと。
沿革
- 1960年8月 - FM東海が、米クロスビー研究所が開発したFM-FM方式によるステレオ実験放送を開始(1961年にAM-FM方式が標準ステレオ方式になるまで実施)。
- 1963年
- 1964年 - NHK-FMが全国に放送局を相次いで開局させ(この時に同時にステレオ放送を開始した局も多い)、遂にFMステレオ放送が全都道府県で聴けるようになる。
- 1969年3月1日 - 全国のNHK-FMの本放送開始。
- 1977年12月 - 全国のNHK-FMのローカル放送ステレオ化工事完了。NHK-FMのローカル番組が全局でステレオで放送できるようになる。これに伴い、NHK沖縄のFM放送でもローカル番組のみステレオで聴けるようになる(全国放送はモノラル放送のまま)。
- 1978年10月1日 - NHKのFM放送用PCMステレオ回線が東京-名古屋-大阪間で開通し、運用を開始する。
- 1979年12月24日 - 全国のNHK-FMの基幹局全てにFM放送用PCMステレオ回線が開通し、運用を開始する。これに伴い、ステレオ放送開始当初から行っていた各基幹局へのパッケージテープの送付が廃止される。
- 1980年 - FM民放4局間(FM東京 - FM愛知 - FM大阪 - FM福岡)にFM放送用PCMステレオ回線が開通、運用開始。全国FM放送協議会の興り。
- 1984年 - NHK沖縄にFM放送用PCMステレオ回線が開通し、同県及び鹿児島県の奄美大島地域がようやく全国放送のFM番組がステレオでの放送が可能になった。
- 1985年頃テンプレート:いつ - 全てのNHK放送局に、FM放送用PCMステレオ回線が導入される。
- 2010年頃テンプレート:いつ - 全てのNHK放送局でこれまで使用していたFM放送用PCMステレオ回線から、AM(ラジオ第1・第2)・FMラジオ共用の光デジタル回線に切換。
AMステレオ放送
テンプレート:Main 1波による中波ステレオ放送の開発は昔から行われていたものの、FMステレオ放送の開始が先だったために本格的に実用化されはじめたのは1980年代に入ってからだった。アメリカで方式が乱立した経緯があり、またAMステレオよりもFMステレオの方が遥かに音質が良いこともあるため余り普及されていないのが実情である。
AM1波によるステレオ放送の開発は1926年11月、アメリカ電信電話会社(現在のAT&T)のP.K.ポッターが直交変調方式(QUAM方式)を発明し特許を取ったことが最初である。これは後のモトローラ方式の基礎となっている。
1975年9月、AMステレオ放送の実施に向けてそれを行いたい全米のAM局が集まって全米AMステレオラジオ委員会(NAMSRC)を設立。実験放送や討議を行い1977年12月、連邦通信委員会(FCC)に報告書を提出した。これを受けFCCは1978年、AMステレオの標準方式を決めるためにカーン方式(ISB方式)、モトローラ方式(C-QUAM方式)、マグナボックス方式(AM-PM方式)、ベラー方式(AM-FM方式)、ハリス方式(VCPM方式)の計5方式を選定。その後、NAMSRCによって再度実験、討議され、その中から1979年、NAMSRCはマグナボックス方式を標準方式として決定した。FCCもこれを受けて同方式を1980年4月に標準方式として仮決定したがその後他のメーカーや放送技術者からの異議申し立てがあり撤回され1982年3月、FCCは統一方式を決めず5方式全てを認可する決定を下し、自由競争に任せた。
その後米では1982年7月、米のKDKA、KTSAの2局がカーン方式による全米初のAMステレオ放送の本放送を開始した。しかしその後、アメリカの大手自動車メーカーであるGM、クライスラー、フォード等が車載するAMステレオラジオ(米デルコ社製など)としてモトローラ方式(C-QUAM方式)を採用することがきっかけでモトローラ方式を採用するAMラジオ局が多くなった。これを機に1984年10月にオーストラリアで、その後相次いでAMラジオ放送の標準方式としてモトローラ方式を採用する国が多くなった。その後、日本、カナダを始め各国でAMステレオの標準方式としてモトローラ方式を採用したり、全米でもAMステレオを実施しているほとんどの局がモトローラ方式を採用するようになったため1993年、FCCは遂に同方式をAMステレオの標準方式とする決定を下した。
日本では1991年にモトローラ方式を標準方式と決定。1992年3月15日にモトローラ式によって東京と大阪にある東京放送(TBS、現・TBSラジオ&コミュニケーションズ)、文化放送(QR)、ニッポン放送(LF)、毎日放送(MBS)、朝日放送(ABC)の民放5局でステレオ放送がスタート。ラジオ大阪(OBC)は新社屋完成を待って1993年から開始した。その後も各地で順次ステレオ放送が開始された。しかし、NHKは実施に至らなかった。実施局は大都市と一部地域の民放局に留まっており、一部局を除き親局のみ対応。
なおAMステレオ対応受信機は割高であまり普及せず、またモトローラ社はAMステレオ放送維持に必要なラジオマスター及び受信機用付属部品(ICチップ)生産を(採算割れ等を理由に)2000年代半ばまでに打ち切った事から、日本国内のAMステレオ実施局は2000年代後半以降減少傾向となっており、2007年4月1日深夜(4月2日未明)にKBCラジオ(AMステレオ終了局第1号)、2008年は9月29日深夜(9月30日未明)にRKKラジオ、2010年は2月28日深夜(3月1日未明)にMBSラジオとHBCラジオ、3月14日深夜(3月15日未明)にABCラジオ、3月28日深夜(3月29日未明)にSTVラジオ、5月30日深夜(5月31日未明)にRKBラジオが、2011年は1月30日深夜(1月31日未明)にTBSラジオが、同年3月13日深夜(3月14日未明)にRCCラジオが、同年3月27日深夜(3月28日未明)にRSKラジオ[8]がラジオマスター更新に際してAMステレオ放送を終了しモノラル放送に戻した。引き続きAMステレオ放送を実施している放送事業者[9]でもラジオマスター次回更新時にモノラル放送に戻すことを検討している。対応受信機も寡少となっており、日本国内の現行機種はパイオニアのチューナー1機種が現在も継続販売されているのみである(2013年現在、メーカーでの生産が終了した模様で、HP上では「品薄」と表示されている)[10]。
インターネットを利用した展開
SimulRadio
テンプレート:Main 2006年4月1日に正式運用を開始したコミュニティFM局による配信サービスで地域に関係なく利用可能。
IPサイマル放送
テンプレート:Main 都市化などの様々な要因で受信障害が増えたことでラジオ受信機自体が減少傾向であることや、ラジオ局の経営環境悪化が窮する状況になっていることから聴取者と広告費の減少傾向が顕著となり、打開策として、2010年3月中旬から東京と大阪の民放AM・FM・短波ラジオ各局の計13社が、地上波と同内容の放送をインターネットでサイマル(同時)配信実施の予定であることが同年2月12日・13日に報道された。同年3月15日(実際は3月14日夜)より、IPサイマルラジオ「radiko」による試験サイマル配信が開始された。試験サイマル配信であることから地域制限(在京局のラジオ放送は東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県、在阪局のラジオ放送は大阪、京都、兵庫、奈良の2府2県のエリア)はあるものの、対象地域でパソコン・スマートフォンが使用可能であれば登録なしにradiko.jpの公式ウェブサイト・公式アプリより即座に利用可能。初日はアクセスの集中により、公式ウェブサイトが一時つながりにくい状態が続いた。試験放送終了後、2010年9月より新しいラジオの聴取形態になると考えられている。
AM放送についてはラジオチューナーの問題点としてあったノイズの問題が解消されており、着うたフルと同等レベル(HE-AAC48kbpsのステレオを採用)の音質で聴取できる[11]。地域制限がかけられていることの背景にはラジオ放送の広告形態の問題があり[11]、試験配信期間中は現行の地域条件が維持される予定。稀に地域がうまく判定されずエリア外のPCから聴取が可能であったり、エリア内であっても聴取できないことがあるが試験期間内においても個別に対応を検討する予定がある[12]。
NHKでも、受信障害の改善を図る理由から、2011年9月よりインターネットによるラジオ3チャンネルの同時配信「NHKネットラジオ らじる★らじる」を開始している。こちらは日本国内であれば利用可能である。
テレビとの違い
室外アンテナが主流のテレビと異なり、受信機に備え付けのアンテナを使った室内での受信が普通なので、受信環境がチャンネル選択に影響を及ぼす。放送区域内だからといって必ずしも全ての局が安定して受信できる訳ではない。そのため、そういった環境下では、チューニングしやすい局がよく聴かれる傾向にある。とくに、室内受信する場合、建物によって電波が遮られたり電気製品などのノイズを受けたりすることも多く、電波状態の良好な局が好まれる。受信環境は別売りの外部アンテナを使用したり、FMの場合はVHFアンテナを使用し改善できる場合もある(電界強度の弱い地域ではVHFアンテナを使用しても改善できない場合がある。この場合はFM帯域に対応した外部アンテナが必要となる)。ただし、VHFアンテナはアナログテレビ放送の終了が近づいていることもあり、2010年に大手メーカー各社が相次いで生産打ち切りを発表した。
仕事や作業をしながらでも番組を楽しむことができるため、職場やカーラジオなどで聴取されることも多い。首都圏では10:00 - 11:00にテレビの視聴率よりもラジオの聴取率が高くなる。地域・放送内容・機器などの影響により、長時間にわたり1つの局を聴取する傾向のリスナーもいる。番組ごとのスタッフ数は、テレビと比較して少ない[13]。
放送局の選択は、ダイアルを回してチューニングするタイプが安価なものを中心に多数採用されており、テレビ同様プリセット式で局をボタンで一発選局できる受信機もある。
短波による国際放送の場合、同じ内容の放送を同時に複数の周波数で放送し、聴取者が最も受信状態の良好な電波を選んで受信できるようにしているのが一般的である。
音声と画像を記録するテレビ番組は予約可能で録画機器が独立/内蔵レコーダー・パソコン・ワンセグ対応機器などとなっているが、音声のみ記録のラジオ番組を予約録音できる商品はラジカセ・CD/MDラジカセ・コンポ・ICレコーダー・HDDレコーダー・パソコン対応機器などの種類がある。また、ラジオ機器とタイマー・録音可能な機器などの機材を組み合わせて予約録音を行うことも可能であり、録音機器としてカセットデッキやMDデッキ以外にもテープ部分が機械式のラジカセ・ビデオデッキ・DVDレコーダー・HDDレコーダー・パソコン(適切なソフトが必要)が活用できる場合もある。
テレビがデジタル放送を開始しているのに対して、衛星放送を除きラジオのデジタル化はまだ実験段階である。これは正式な周波数割当てが行われていない事、コピーガードに関する技術策定が遅れている事、一般向けの受信機が携帯電話やワンセグテレビチューナーに限られ殆ど発売されていないなど複合的な要因がある。
ラジオをテーマにした作品
- 映画
- 引き出しの中のラブレター(2009年)
- ラジオ・デイズ
- 波の数だけ抱きしめて
- グッドモーニング, ベトナム(1987年製作のアメリカ映画 原題:Good morning, Vietnam)
- パイレーツ・ロック(原題:The Boat That Rocked)
- F(エフ)(鷺沢萠『F 落第生』を元にした映画 民放ラジオ95社企画制作)
- 演劇
- テレビドラマ
- 小説
- 漫画
- 音楽
- RADIO GA GA(クイーンのロジャー・テイラーがラジオに対する愛着を詞にした曲)
- ラジオ・スターの悲劇(バグルス。初期のMTVでヘビーローテーションで流れていた)
- ミュージック・アワー(ポルノグラフィティ。パーソナリティーとリスナーの投稿をテーマにした作品)
- 壊れかけのRadio(徳永英明)
- トランジスタ・ラジオ(RCサクセション)
- Oh! RADIO(忌野清志郎の遺作)
- ラヂオのうた(ビリー・バンバン)
- 悲しきRADIO、ラジオ・デイズ(佐野元春)
- ラヂオ(ザ・ぼんち)
- Radio Magic(EARTHSHAKER)
- Valentine's RADIO(松任谷由実)
- RADIO(JUDY AND MARY)
- ラジオ(aiko)
- Radio-Aktivität(クラフトワーク。タイトルはラジオと放射能を掛けたもの[14][15])
フォネティックコード
脚注
関連項目
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- ラジオ放送局
- ラジオ放送局の一覧
- ラテ兼営
- ラジオネットワーク
- ラジオ番組
- デジタルラジオ
- 鉱石ラジオ
- トランジスタラジオ
- 聴取率
- テレビ
- 有線放送
- 深夜放送
- 国際放送
- ケーブルテレビ
- インターネットラジオ
- ラジオカー
- フェージング
- AMステレオ対応受信機の歴史テンプレート:Link GA