ミニコンポ
ミニコンポ(和製英語:mini compo)は音響機器の一形態。ミニ・コンポーネント・システムの略。セットコンポ、システムステレオ、と呼ばれる場合もある。時代や地域、メーカー、販売店などによって定義内容に幅があるが、一般的に据置型でスピーカーが分離できるオーディオ・システム一般を指すことが多い。
目次
概要
元来はレコードプレーヤー、アンプ、スピーカーなどが独立した製品として提供されるコンポーネントステレオ(コンポはコンポーネントの省略形)に分類され、19インチラック実装のプロ用オーディオ機器を範とした幅17インチ(約432ミリ)の「フルサイズコンポ」を横幅で80%程度に縮小したサイズの製品群をミニコンポと称した。ミニコンポには最初から各コンポーネントがシリーズ化され、セット販売を前提とした、いわゆるシステムコンポとされるものが多い。
音楽パッケージの形態がLPレコードからコンパクトディスクに移行すると、横幅半分のサイズをミニミニコンポ、更に小さいものや一体型のものをマイクロコンポなどと呼ぶこともあるが、今日ではサイズにこだわらず据置型でスピーカーが分離できるオーディオシステム一般を指すことが多い。
一般に、一体型であるラジカセより高性能ではあるが、高性能ラジカセとの比較の場合、一概には言えない。また、ケンウッドのKseriesの一部機種に代表されるように、中高級機のブランドや性能でありながら、一体型である機器もある。
ちなみにコンポーネントステレオ自体が和製英語なので、ミニコンポも当然、和製英語の一つである。コンポーネントステレオ、システムコンポは英語圏では「Stereo component system」と呼ぶ。一体型ミニコンポは、英語圏では「シェルフ・ステレオ」(Shelf stereo)、「ミニシステム」、「マイクロシステム」などと呼ばれる。
特徴
ステレオの普及は1960年代から始まるが、1970〜1980年代に流行したコンポーネントステレオに代表される、大型のシステムが大半だった。これらよりも小型のステレオとして、レシーバーとレコードプレーヤーをひとつの筐体に収め、それにスピーカーを付属したモジュラーステレオが1960年代後半から登場する。後にカセットデッキが搭載されたモデルも登場し、1970年代後半までステレオのエントリーモデルの主流となっていた。
1978年から1979年にかけて、各ユニットの幅や奥行きを大幅に小型化したコンポーネントステレオが、ソニー、テクニクス、アイワ、Aurex(東芝)から相次いで発売されている。小型でありながら大出力のプリメインアンプや、当時の高級チューナーで採用されつつあったPLLシンセサイザー方式のチューナーをラインナップに据えたモデルが特徴となっていた。これらが源流となり、1980年代前半からミニコンポが登場するようになる。
1980年代後半になるとCDプレーヤーの搭載が標準となり、一部の高級機ではレーザーディスクプレーヤーの搭載や、テレビと連携したサラウンド音声にも対応するなど、多機能化が進んだ。この当時は従来からのコンポの流れを受け継ぎ、各ユニットが別体になったモデルが大半だった。
1990年代に入ると、アイワが各ユニットの接続が不要な一体型(オールインワン)のミニコンポを発売し、低価格モデルを中心に主流となる。同時期にMDが台頭すると、カセットデッキに代わりMDデッキを搭載した機種が登場している。低価格モデルの価格競争が激しくなる一方で、ケンウッド、オンキヨー、デノンなどからは、小型サイズの高級オーディオといった趣きを持つ、従来のミニコンポとは一線を画した高級モデルが発売される。これらは「ハイコンポ」とも呼ばれ、他のミニコンポを持つメーカーも追随した。
2000年代になりiPodに代表されるデジタルオーディオプレーヤーが普及すると、コンポに内蔵されたハードディスクドライブやフラッシュメモリへ音楽を取り込み、デジタルオーディオプレーヤーへの転送や充電も可能なモデルが登場した。
2010年代に入ると、AirPlay対応のネットワークオーディオプレーヤー機能を内蔵したり、インターネットラジオの再生に対応したものなどが登場している。その一方で、カセットデッキ及びMDデッキを搭載したミニコンポは、2013年現在では全てのメーカーで生産が終了した。カセットデッキ搭載のコンポに関しては上記の用途とは異なるが保存用途向けのUSBやCD-RW対応レコードプレイヤー一体コンポには搭載されている。またシステムコンポではなく単品コンポ的なスペックとごくちいさな筐体サイズ(CDケース数枚ぶん)という新しいコンセプトの製品が、東和電子(Olasonicブランド)からNANOCOMPOという名前で登場した。
主なメーカー別ミニコンポの歴代シリーズ名
(★マークのつくシリーズは現在発売中のシリーズ)
アイワ
A&D
オンキヨー
- Liverpool(リバプール)
- Radian(ラディアン)
- ESSAY(エッセイ)
- INTEC(インテック)★
- FR(エフアール)★
ケンウッド
- ROXY(ロキシー)
- ESPACE
- ALLORA(アローラ) - 末期にはNEW ALLORAと表記していた
- FORVISM - LDプレーヤー搭載
- K's(ケイズ)
- WOODSTOCK(ウッドストック) - CDラジカセとシリーズ名を共用
- Avino(アヴィーノ)
- AFiNA(アフィーナ) - 販売はソーテック(現・オンキヨー)
- Kseries(Kシリーズ)★
- ProDino(プロディノ)
サンスイ
- CLUB SANSUI(クラブサンスイ)
- E-COMPO(イー コンポ)
シャープ
ソニー
- PRESICE(プリサイス) - プリメインアンプとチューナーの幅を215mmにまで小型化した点が特徴となっていた
- FALCON(ファルコン) - パワーアンプをスピーカーに内蔵させることでユニットの小型化を実現した
- Liberty(リバティー)
- STANZ(スタンツ)
- pixy(ピクシー)
- COMPO S(コンポエス)
- Qbric(キューブリック)
- pepz(ペップズ)
- Listen(リスン)
- SoundGate(サウンドゲート)
- BitPlay(ビットプレイ) - Windows 2000搭載のAVコンポ。パーソナルコンピュータとしても使用可能
- NETJUKE(ネットジューク)
ティアック
- EARNEST(アーネスト)
- Reference(リファレンス)★
デノン
東芝
- Aurex(オーレックス)
ナカミチ
- SoundSpace(サウンドスペース)
日本ビクター
- CREATION(クリエイション)
- ROBOT COMPO(ロボットコンポ) - 発売当初はクリエイションシリーズの一つであった
- MEZZO(メッツオ) - BSチューナー、コードレス留守番電話搭載機種あり
- Arte(アルテ)
- O Compo(オーコンポ)
- Lip×Lap(リップ×ラップ)
- aosis(アオシス)
- ETERNO(エテルノ)★
- Memory COMPO(メモリーコンポ)★
日本マランツ
- ZEROCON(ゼロコン)
- Half-Size(ハーフサイズ)
- Music LInk(ミュージックリンク)
- SLIM(スリム)
- SLIM ARIA(スリムアーリア)
- ARCH(アーチ)
- DESIGN(デザイン)
- CINEMARIUM(シネマリウム) - AVコンポ
パイオニア
- Mini Component(ミニ・コンポーネント)
- private(プライベート) - クラスで唯一レーザーディスクプレイヤーを搭載
- WAVE - Privateベースの上位機
- SELFIE(セルフィー)
- FX(エフエックス) - 各ユニット間、光ケーブルによりフルデジタル接続
- RMX(アールエムエックス)
- FILL(フィル)
- L+(エルプリュス)
- I-D(アイディ) - DVDプレイヤー搭載
- Zシリーズ(ゼットシリーズ)★
- MusicTap(ミュージックタップ)★ - PLC搭載
パナソニック
- コンサイス - 初めはテクニクスブランドでの生産、その後現在のパナソニックブランドでも生産
- HALFコンポ(ハーフコンポ)
- RESTY(レスティ) - 上位機種にはDCCデッキ搭載
- P-COMPO(ピーコンポ)
- D-dock(ディードック)
日立製作所
- Lo-D(ローディー)
- Wing(ウィング)
- PeeWee(ピーウィー)
ブラザー工業
ボーズ
- AMS
- WestBorough(ウエストボロウ)
- 3・2・1 - AVコンポ
ヤマハ
- TIFFANY(ティファニー) - ASTシステム搭載
- TOP-ART(トップアート)
- CinemaStation(シネマステーション) - AVコンポ
- Piano Craft(ピアノクラフト)