アイワ

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:Mbox アイワ (Aiwa) は、かつて存在したオーディオ機器のブランドである。2002年までは独立企業のアイワ株式会社後述)だった。2002年、同社はソニー吸収合併され、アイワはソニーの1ブランドとなった。

「アイワ」という単語はアラビア語で"yes"(はい)の意味であるので、中近東ではソニーよりも知名度が高いという。中国語では「愛華」と表記する。発音はAi Hua。中国を愛するという意味も含み、ヘッドホンステレオなどが中国大陸で人気が高かった。

歴史

アイワ株式会社

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XK-S7000(カセットデッキ)

1951年に愛興電気産業株式会社の名で創立、1959年にブランド名アイワを社名にした。1960年代には日本で初めてカセットテープレコーダー、ラジカセを発売。末期のアイワブランドからは考えられないような高級オーディオも製造し、ヴェロシティマイクロホンなどはNHKに用いられた。BTS1級のDM68、国会で用いられたDM99等名機を生んだ。特にバブル絶頂期に発売された高級カセットデッキ(機種名XK-****など)は音質面でもすぐれており、ベルトを用いないダイレクトドライブ採用機種だと現在テンプレート:いつでも大規模な修理をする必要も少ないため今も人気が高い。ドルビーSもこうした高級機に世界初として搭載された。

1980年代にはヘッドホンステレオ「カセットボーイ」を発売、当時のミニ独立国ブームに乗って「カセットボーイ共和国」なる企画も展開した。カセットボーイシリーズではAMラジオFMラジオ・TV音声チューナー付きや、中にはタイマー録音も出来るハイスペック機種(HS-JX30/JX50/EX50/JX70/EX3000/JX929)や、ゴールドモデル(HS-JX50)を発売するなど、他社との差別化を図った。コンシューマー向けDATデッキ(ポータブル型含む)を日本で初めて発売したのもアイワだった(EXCELIAブランド)。

1990年代には、アマチュア無線を用いたパソコン通信の一種であるパケット通信用インターフェース、ターミナルノードコントローラの製造販売にも参入した。

1992年AMステレオ放送が開始されると、ソニーとともに積極的にAMステレオ対応機種を発売したが実際にはソニーよりも膨大な数のAMステレオ対応機を世に送り出した。ミニコンポ、ラジカセはもちろん上記カセットボーイシリーズでもAMステレオ対応機種(HS-RX626/RX727/JX828/JX929等)を発売したことがある。

また、「AIWA」とは別に別ブランドとして高級オーディオ向けの「EXCELIA(エクセリア)」とゼネラルオーディオ向けの「STRASSER(シュトラッサー)」の2つのブランドを展開していた。

しかし、デジタル・IT化の流れが急速に押し寄せ、アナログ商品主体だったアイワ単独の生き残り策は描ききれなかった上、親会社であったソニーの不振が最終的な後押しとなり、ソニーへの合併に至った。経営幹部は「最新のデジタルがわかる技術者がたった10人程度しかいなかった」と苦渋の決断を経済誌に語っている。

歴代社長

  • 1946年〜1951年 - 池尻光夫(愛興電機産業社)
  • 1951年〜1969年 - 池尻光夫(愛興電機産業株式会社)
  • 1969年9月〜1981年2月 - 三辺祐介(ソニー出身)
  • 1981年2月〜1987年2月 - 中島平太郎(ソニー出身)
  • 1987年2月〜1990年2月 - 吉田進(ソニー出身)
  • 1990年2月〜1996年6月 - 卯木肇(ソニー出身)
  • 1996年6月〜2000年11月 - 石垣良夫(ソニー出身)
  • 2000年11月〜2001年1月 - 大曽根幸三(ソニー出身)
  • 2001年1月〜法人格消滅 - 森本昌義(ソニー出身)

国内生産・開発拠点

  • アイワ岩手株式会社(岩手県紫波郡矢巾町又兵ヱ新田5-15-28)
  • アイワ花泉株式会社(岩手県西磐井郡花泉町金沢上寺袋55)
  • アイワ秋田株式会社(秋田県仙北郡仙北町横堀字佐野92)
  • ポローニア株式会社(岩手県紫波郡矢巾町南矢幅7-96)
  • 宇都宮事業所(栃木県宇都宮市徳次郎町2620)
  • 川口センター(埼玉県川口市飯塚一丁目12-18)
  • テクノロジーセンター(栃木県宇都宮市上戸祭4-1-11)
  • テクノコア浦和(埼玉県浦和市針ヶ谷4-2-20)
  • 宇都宮ロジスティックスセンター(栃木県河内郡上河内村大字高松字宮の下223)

合併後

合併後、アイワのブランドはソニーマーケティング株式会社が扱った。

日本国内では低価格のCDラジオ、ラジオ、ラジオカセットレコーダーなどが主力商品であった。特にラジカセとテレビデオスーパーマーケットショッピングモールなどの店舗や売り場の前で使用する商品PR用に大量に使用された(合併前も同様)。

ロゴマークは2002年にソニー株式会社のブランドとなった際に新たに採用したもの。基本的にソニーのロゴマークは併記されていない。

デジタルオーディオプレーヤーでは、ソニー/ウォークマンブランドと異なり、MP3のみ対応のプレーヤーも発売していた。

とはいえMP3CDプレーヤー「XP-ZV1」及びヘッドホン型メモリープレーヤー「AZ-FS256」が発売中止に追い込まれ(前者はCD-DA方式のCD-R/RW再生時に音声の途切れなどが発覚し、後者はFMチューナーの開発が予想以上に難航したことで、製品化の遅れが予想されたため)、「HZ-WS2000」および「HZ-DS2000」がHDDを小容量のものに変更して発売されるなど(当初搭載を予定していた2GBのHDDが、ソニー側の信頼性基準を下回っていたことが発覚し、基準を満たした1.5GBに変更された)、製品トラブルにも見舞われていた。

事業の終息

2005年1月21日に発売されたダブルカセットCDシステムを最後に新製品の開発は終了。ただし設計はソニーに引き継がれ、2008年2月よりソニーブランドにて発売のダブルカセットCDシステム「CFD-W77」は、最後に発売されたアイワブランドのダブルカセットCDシステム「CSD-W330」と一部のデザインを除いてほぼ同一である。

日本国外においては2007年頃よりアイワブランド製品の販売を順次終了。各国のアイワウェブサイトは製品紹介のページが閉鎖され、サービス告知のみとなっている。

日本においては2008年春に製品の出荷を終了。同年5月14日ソニーが正式にアイワブランドの終息を発表した。ただしアフターサービスは今後も行うとしている。

年表

ファイル:AIWA HS-P05 Mk II 5.jpg
HS-P05 Mk II(ポータブルオーディオ)
1991年まで使用された旧ロゴが付されている
  • 1946年(昭和21年) - 愛興電機産業社設立
  • 1951年(昭和26年)6月20日 - 愛興電機産業株式会社設立(東京都千代田区末広町)。
  • 1955年(昭和30年)4月 - 千代田区元佐久間町に本社ビル完成。
  • 1957年(昭和32年) - NHKと共同開発した日本初の可変指向性リボンマイク、「VM-17」を発売。
  • 1959年(昭和34年)10月 - 商号をアイワ株式会社に変更。
  • 1960年(昭和35年)7月 - 資本金を3億円に増資。
  • 1960年(昭和35年)11月 - 千駄木工場開設。
  • 1961年(昭和36年)10月2日 - 株式を東京証券取引所市場第二部に上場。
  • 1963年(昭和38年)3月 - 板橋工場を設置。
  • 1964年(昭和39年)6月 - 通産省の「昭和39年度輸出貢献企業認定証」を受領。
  • 1965年(昭和40年)1月 - 板橋工場に電算機導入。
  • 1966年(昭和41年) - 日本初のダイナミック型単一指向性マイク「DM-47」を発売、国鉄駅の標準機として多く販売。
  • 1967年(昭和42年) - トランジスタテレビ「11T-05」、日本初のステレオ再生・モノラル録音カセットレコーダー、「TP-720」を発売。
  • 1968年(昭和43年) - 日本初のラジオ付きカセットレコーダー(ラジカセ)「TPR-101」、日本初のカセットデッキ「TP-1009」を発売。
  • 1969年(昭和44年) - ソニー株式会社と資本提携。新株発行に際し、株主代位訴訟を泡沫株主が提起・棄却(ソニー=アイワ事件)。以後、ソニー出身社長が続く。
  • 1971年(昭和46年)2月 - 香港にAiwa Dransfield & Co.,Ltd. を設立。日本初のFM搭載カセットカーステレオ「TPR-2010」を発売、三菱ギャラン純正指定となる。
  • 1972年(昭和47年)9月 - ベイルートにAiwa Sales & Service Center 設立。
  • 1973年(昭和48年)8月 - 台東区上野に本社事務所移転。
  • 1974年(昭和49年)
    • 10月 - 岩手県西磐井郡花泉町にアイワ精機(後のアイワ花泉)設立。
    • 12月 - シンガポールアトラス社に資本参加 、海外生産拠点にする。
  • 1975年(昭和50年)
    • 世界初のシンクロオペレーション採用ステレオシステム「シンクレートAS-30」を発売。
    • 5月 - 東京証券取引所市場第一部に指定。
    • 6月 - 宇都宮市徳次郎町に工場完成、操業開始。
  • 1976年(昭和51年) - 世界初のダブルニードルメーター、また民生機器で初めて発信器内蔵メーター直読のバイアス微調整を採用したカセットデッキ「AD-7800」を発売。
  • 1978年(昭和53年) - エリザベス女王来日時に宮中晩餐会のスピーチ用に特別開発した世界初の2カプセル、アウト方式高信頼性VIPマイク、「DM-99」を発表。
  • 1980年(昭和55年)
    • 世界初、ADMS(自動消磁装置)、マイクログレイン・プロセシング処理キャプスタン採用のカセットデッキ、「AD-F600」を発売。
    • 6月 - 世界最小最軽量、世界初録音できるヘッドホンステレオ、「カセットボーイTP-S30」を発売。
    • 9月 - イギリスにGwent Factory(Wales)を設立、生産開始。
  • 1981年(昭和56年)
    • 日本初のドルビーC搭載カセットデッキ、「AD-FF5」発売。
    • 6月 - 宇都宮センターにVTR専門工場設立。
  • 1982年(昭和57年)
    • 世界初のオートリバースヘッドホンステレオ、「HS-P2/F2」を発売。
    • 6月 - ヘッドホンステレオの出荷が100万台を突破。
  • 1983年(昭和58年)
    • 業界初のオートNRセンサー搭載カセットデッキ、「AD-FF90」、世界最小・最軽量の再生専用ヘッドホンステレオ、「HS-P5」を発売。
    • 7月 - ベータハイファイビデオデッキAVIMAXを発表。
  • 1984年(昭和59年)
    • 2月 - 中島平太郎副社長が社長に就任。
    • 4月 - 川口センター開設。
  • 1985年(昭和60年)
    • 世界初のフルリモコン、フルロジックのヘッドホンステレオ、「HS-P8/G8/R8/J8」を発売。
    • 世界初のオートソーティングシステム・カセットデッキ、「AD-WX99」を発売。
    • 4月 - 中島社長がコンパクトディスク(CD)の開発、実用化、育成の功績により科学技術庁長官賞を受賞。
  • 1986年(昭和61年)
    • 業界初のテレビ(UHF/VHF)音声多重受信対応ヘッドホンステレオ、「HS-UV9」を発売。
    • 円高による業績悪化。以後NICS中国などの新興国へ生産拠点をシフト。
    • 11月 - 岩手工場を別会社化した「岩手アイワ株式会社」が発足。
  • 1987年(昭和62年)
    • DAT第一号機、「XD-001」を発売。
    • 1月 - 本社を東京都台東区池之端に移転。
    • 2月 - 吉田進最高顧問が社長に就任。
  • 1988年(昭和63年)
    • 世界初のAMTS、世界最高水準のワウフラッター0.018%、世界初のバイアスシールド付ヘッドブロックを搭載したカセットデッキ、「XK-009」発売。
    • 世界初BBEを搭載したミニコンポ「CDS-3300」を発売、「STRASSER」ブランド第一号機。
    • 9月 - BBE技術説明会を開催。
  • 1989年(平成元年)
    • 世界最小・最軽量、世界初、アダプター方式で静止画記録もできるポータブルDAT、「HD-X1」発売。
    • 3次元CAD・CAMシステム(FRESDAM)による新感覚流面デザインを採用した高級CDラジカセ、「CSD-XR90」を発売。
    • 3月 - 英国グウェント工場拡張工事が完成。
  • 1990年(平成2年)
    • 5,000台限定発売、高音質・高機能フル装備ゴールド仕上げのカセットボーイ発売10周年記念モデル、「HS-EX50」を発売。
    • インナーイヤー型として世界初のバーチカル方式を採用したヘッドホン、「HP-J7」を発売。
    • 6月 - 卯木副社長が社長に就任。
  • 1991年(平成3年)
    • 世界初のデジタルBBE搭載 DSPプリアンプ、「DSP-C100」を発売。
    • 世界初、3色電池残量表示・自動音漏れ低減機構を搭載したヘッドホンステレオ、「HS-PL77」を発売。
    • 日本初、DOLBY Sを搭載した最高級カセットデッキ「XK-S9000」を発売。世界初のドルビーSを筆頭に安定したデッキ構成、電源トランスを本体の側面に装着、新品生テープに消去ヘッドを通さない機能などが網羅。
    • 7月 - 創立40周年を記念してロゴを「AIWA」から「aiwa」に変更。
  • 1992年(平成4年) - 新興国への生産拠点シフトを加速。現地法人を相次いで設立。
  • 1993年(平成5年)
    • 生活家電分野に参入、空気清浄機「ACL-M1」を発売。
    • 世界初のCD-G対応ポータブルCDプレーヤー、「XP-80G」を発売。
    • 2月 - UAEドバイに物流センターを開設。
    • 11月 - 吉田名誉会長が勲三等瑞宝章を受章。
  • 1994年(平成6年)
    • 水道工事不要のトイレ温水洗浄器、「アクアレットWT-L1」を発売。
    • アイワ初のデスクトップパソコン、「infoteiment PC-MT466」を発売。
    • 11月 - アイワ・シンガポール社創立20周年式典を開催。
    • 12月 - 東洋経済賞 カンパニー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
  • 1995年(平成7年)
    • アイワ初の充電電動歯ブラシ、「HA-C10」発売。
    • アイワ初のDDIポケット向けPHS携帯電話機、「PT-H50」発売。最新機能を装備し、当時最強PHSと言われていた。
    • 新メカニズムを採用した世界最小・最軽量のポータブルDAT、「HD-S200」を発売。
    • 6月 - アイワUKウェールズ・マニュファクチュアリング・センターを開設。
  • 1996年(平成8年)
    • 業界最小のポータブルMDレコーダー、「AM-F3」を発売。
    • 洋式トイレ用脱臭機、「クリアレットWK-A1」を発売。
    • カビの胞子やバクテリアなどを捕らえて消却除去する防カビ器、「ミクロクリアKS-100」を発売。
    • 5月 - アイワ・インドネシアを開設。
    • 6月 - チャールズ皇太子を迎えてアイワUKウェールズ工場開所式を開催。
  • 1997年(平成9年)
    • PHSや携帯電話の着信を電子音でお知らせする「ピッチ携帯番」を搭載したヘッドホンステレオ、「HS-PX580」を発売。
    • 霧を使って空気を浄化する、水フィルター方式空気清浄機、「ACL-W1」を発売。
    • 6月 - ホームページを開設。
  • 1998年(平成10年)
    • 世界中のビデオ方式を変換、録再できるデジタルコンバーターとワールドワイドチューナーを搭載したビデオデッキ、「HV-MX100」を発売。
    • アイワ初のスカイパーフェクTV!受信用CSデジタル放送受信セット、「SU-CS1SET」を発売。
    • 8月 - アイワ・ヨーロッパ社を設立。
  • 1999年(平成11年)
    • 世界最小・最軽量・最長時間再生を実現したポータブルMDプレーヤー、「AM-HX50」を発売。
    • 5月 - アイワ・インターナショナル・タイランド社を設立。
    • 12月 - 通商産業省より貿易貢献企業表彰を受ける。
  • 2000年(平成12年)
    • 6月 - ヘッドホンステレオ20周年記念モデル、「HS-JXM2000」を発売。
    • 半導体の供給不足と他社との価格競争により、160億円余の赤字発生。
  • 2001年(平成13年)
    • 4月 - 高密度実装技術、低消費電力化により世界最小・最軽量・最長時間再生を実現したポータブルMDプレーヤー「AM-HX100」を発売。
    • 11月 - 世界初、再生開始約0.6秒を実現したマッハスタート、世界最長165時間連続再生を実現したポータブルMDプレーヤー「AM-HX400」を発売。
    • 資本増強目的の株主割当増資を実施するも、株価が半減し、1/7が失権。ソニーが第三者割当増資を実施し、持ち株比率が50.6%から61.4%に上昇。
  • 2002年(平成14年)
    • 2月28日 - 株式交換によりソニー株式会社の完全子会社となることを発表するも、交換比率の悪さから株価は急落。
    • 4月15日 - 本社社屋・土地の売却契約を締結。
    • 9月25日 - 上場廃止(前日終値244円)。
    • 10月1日 - 株式交換によって、ソニー株式会社の完全子会社となる。
    • 10月21日 - 東京都台東区池之端の本社ビルを売却。
    • 12月1日 - ソニー株式会社と合併(登記は12月2日)しアイワ株式会社は解散。ソニーのブランドとして再スタート。
  • 2003年(平成15年)1月8日 - 「AIWA」を図案化した新ロゴを発表[1]
  • 2005年(平成17年)1月21日 - 新製品開発終了。
  • 2008年(平成20年)5月14日 - ブランド終了発表。

商品

ファイル:Aiwa XR-V10MD.jpg
XR-V10MD(DVDミニコンポ)
ファイル:Aiwa XR-FD55.jpg
XR-FD55(MDミニコンポ)

AV機器

オーディオ系

映像系

AV機器以外

など。

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク


テンプレート:ソニー
  1. ソニー、吸収合併したアイワの新ロゴデザインを発表 AV Watch、2003年1月8日