温水洗浄便座
温水洗浄便座(おんすいせんじょうべんざ)とは洋風便器に設置して温水によって肛門を洗浄する機能を持った便座のことである。商標の普通名称化により「ウォシュレット」や「シャワートイレ」などの呼称で総称している場合があるがウォシュレットはTOTO、シャワートイレはINAX(LIXIL)の商標である。日本ではこの温水洗浄便座を装備した便器が増加しており、現在の普及率は70%程度に達する。
歴史
温水洗浄便座は、アメリカで医療・福祉用に開発された。日本では1964年に東洋陶器(現:TOTO)がアメリカンビデ社(米)の「ウォシュエアシート」を輸入販売開始したのが始まりとされる。その後、ライバルの伊奈製陶(ina)[1]も1967年に国産初の温水洗浄便座付洋風便器「サニタリーナ61」を発売(1976年にはシートタイプ(便座単体タイプ)の「サニタリーナF」を発売)、TOTOも1969年に国産化に踏み切った。
しかし初期のこれら商品は温水の温度調節が難しかったことから温水の温度が安定しないために火傷を負う利用者もいたほか、価格も高く普及には程遠かった。もっとも1970年代以前はまだ和風便器も多く採用されていた上、下水道の普及も進んでいなかったのも一因である。
1980年、TOTOは独自に開発を進めてゆき「ウォシュレット」の名称で新たな温水洗浄便座を発売した。このウォシュレットでは温水の温度調節、着座センサーの採用、さらにビデ機能の搭載などが盛り込まれ改良が年々進んだ。日本人の清潔志向の高まりとウォシュレットの積極的なCM展開が普及へと繋がることになる。なお、ウォシュレットに限った歴史についてはウォシュレットの記事も参照されたい。
1980年代半ばには伊奈製陶が「サニタリーナ」に代わって「シャワートイレ」の名称を前面に出すようになり、また電機メーカー各社も松下電工(現:パナソニック)を始めに参入、一部はOEM供給によってしのぎを削るようになる。
1990年代には日本の新築住宅で多くが温水洗浄便座を採用することになる。さらにオフィスビルや商業施設、ホテルといったパブリック用途にも採用が広がり、2000年代には住宅/パブリック問わず採用されるのが一般的となってきている。さらに鉄道駅[2]、鉄道車両[3]のような不特定多数の利用がある場所でも、採用例が出てきたほか、和歌山県は2013年に県内の全公衆トイレに温水洗浄便座を設置する計画を発表した[4]。
機能
温水洗浄便座はノズルから噴出する温水によって肛門を洗浄するという基本的なものからビデ機能によって女性の局部を洗浄する、脱臭、乾燥、暖房便座の機能、室内暖房、さらには便器の自動洗浄や音楽再生まで様々な機能が盛り込まれている。また、操作もユニバーサルデザインの観点から本体ボタンからリモコン操作式に変わりつつある。こういった機能は日本が特に進んでおり、海外から来日した人が驚くこともあるという[5]。
電子部品で多く構成されサイズのコンパクト化という指向もあり、メーカーは年々改良を続けている。近年は海外での生産・販売も行われるようになった。
洗浄機能
肛門の洗浄は、一般的に「おしり」と書かれたボタンを押すことによって温水がノズルから噴出する。温水は温度や噴出量を調整できるのが一般的である。近年は噴出位置の調整も可能になっている。ノズルの角度はTOTOが43度なのに対し、INAXは70度とメーカーによって差がある。噴出量は商品によって差がある。
ビデ洗浄は、「ビデ」と書かれたボタンを押すことで[6]、女性の局部へ温水が当たり洗浄する。肛門洗浄とは温水の噴出角度が異なるため、TOTOでは1本のノズルで対応する場合ではノズル内に別の配管を設けて53度の角度で噴出する。INAXやパナソニックは別のノズルを設置して噴出するタイプとなっている。このあたりはメーカーによる考え方の違いでもある。なお、ビデは欧州で使われているビデとは機能的には異なるので注意されたい。またパブリック用の男性用便座(TOTOの旧Pシリーズ、INAXのPシリーズ)にはビデ機能は不要なので省略されている。
温水供給の方法
温水洗浄便座にて重要なのは温水をどのように供給するかである。
基本的には便器洗浄用の配管から分岐させて温水洗浄便座に接続、本体で温水を作り噴出させるようになっている。温水の作り方は、貯湯式(ちょとうしき)と瞬間式の2タイプに大別される。
前者は温水を作った後、本体内蔵のタンクに溜めておき、使用する際にはタンクから温水をノズルに供給する方式である。本体にタンクが必要なため以前はサイズが大きくなりがちであり、温水を保温する関係で電力消費量では不利である。ただ一度に噴出する温水の量が豊富にできること、コストが安いため比較的多くの機種で採用されている。
一方、瞬間式は使う瞬間に水を温めて噴出する方式である。噴出する温水の量は貯湯式よりも少ないため、少ない温水で効果的に洗浄できるように工夫がなされていることが多い。使う時の瞬間消費電力は大きくなるが、温水を溜めておく必要がないためトータルの電力消費量は抑えられる。上位機種やタンクレストイレ一体型に比較的多く使われているタイプである。
ホテルのユニットバスに設置可能なタイプでは、浴槽や洗面に使う給湯配管を使って湯水を混合して適温になるようにしたタイプも作られている。この場合、電源を電池式としたり、さらには電源を必要としないものも存在している[7]。
多彩な機能
当節の冒頭にも書いた通り、「おしり」「ビデ」の他にも様々な機能が搭載されている。
暖房便座
温水洗浄便座の場合、便座カバーを取付けても温水で濡れる可能性があるため便座カバーは取付けないことも多い。冬場など便座がむき出しの場合、冷たさを感じるため便座を温める機能が一般的に付いている(前述したホテル用の無電源タイプには搭載していない)。節電に対応すべく使用する時に限り温める機能を持った商品も存在する(パナソニックなど)。なお、温水洗浄機能がない「暖房便座」もメーカーでは発売している。
脱臭
用便時の臭気を取取り除く脱臭機能が付くタイプがある。オゾン、酸素による脱臭が一般的で脱臭カートリッジに臭気を吸収する。また、INAXの製品ではシャープの開発した「除菌イオン」を使った脱臭が行われている。
乾燥
洗浄機能使用後に乾燥させることが可能な機種もある。ただ、乾燥の機能だけでは短時間に乾ききらないのが一般的で紙で一旦ふいてから「仕上げ」に使う人もいる。近年発売されている製品は上級機種に限られている。
自動洗浄
便器を使用後に自動洗浄する機能を持たせた機種もある。センサーで便座から人が離れたことを感知し、使用時間に応じて大洗浄もしくは小洗浄をする。リモコンによって任意に行うこともできる。便座を上げている場合は男子小洗浄としてさらに水を減らして流す機種もある。
パブリック用(オフィスや商業施設、公共の場所のトイレ)では便座ではなく、フラッシュバルブにその機能が付いていることが多いが、温水洗浄便座と連動しているものも存在する。
便蓋・便座開閉
便蓋や便座を人感センサーで自動開閉する機能。便座の前に立つと自動的に蓋が開き、立ち去ると自動的に閉まる。リモコンのボタンで開閉も可能。
音楽
INAXやTOTOの上位機種では音楽を再生する機能を持たせている。INAXの場合、「リラックスミュージック」と称したクラシック音楽や自然の音をSDカードにMP3形式収録して本体に搭載し使用時に再生する。TOTOではリモコンに同様の機能が取付けられており(こちらもSDカードに収録)、ケンウッドとの提携によるスピーカーを搭載している。なおTOTOは2012年をもってこの機能は廃止された。
擬音装置
パブリック用に用意されており、ボタンを押すと一定時間、便器の洗浄音を流す。流しながら用便されるのを防ぎ、節水に役立つ。利用率の高い女性用温水洗浄便座に装備される。 テンプレート:Main
スマートフォン連動
INAXでは、市販のスマートフォンに専用アプリケーションをインストールすることにより、付属リモコンと同様の操作や設定情報(水勢・洗浄位置など)の記憶、音楽再生が出来る機種を発売している。アプリ内に便の状況を記録することも可能である。
その他
INAXの製品などでは、便器部分を照らす「ほのかライト」機能を持った機種がある。便座にLED照明が組み込まれており、深夜にトイレを利用した際に室内照明の代わりに使用することで目をさましにくくする効果があるとしている。
問題点
感電、漏水などの事故
現在、温水洗浄便座による火災や感電、漏水などの事故がしばしば起きている。
これは、長年使用していることによる老朽化が一因とされるものが多い。温水洗浄便座は電化製品の一つとして、メーカーおよび業界団体では10年以上使用している製品については点検や取替えを勧める告知をしている[8]。
洗浄水の衛生面
東海大学の研究グループが一般住宅や公共施設の計108カ所の温水洗浄便座の洗浄水を検査したところ、洗浄水から厚生労働省の水道水質基準を超える一般細菌が検出された。大学の研究者は「ノズルの先端やすき間から細菌が侵入し、タンク内の温水で増殖したのではないか。タンク内は塩素が揮発され、菌に適した環境下にあったと思う」と推測している。
これに対して業界団体の温水洗浄便座協議会は、「これまで約4000万台が生産されているが、感染症などの健康被害は一件も報告されていない。タンクに水が逆流することは構造上ありえず、タンク内で菌が繁殖する危険性は低い。研究ではノズルにもともと付着していた汚物から菌が検出されたのではないか」と疑問を呈した[9]。
各社の温水洗浄便座
TOTO
衛生陶器業界最大手のTOTOは「ウォシュレット」の製品名で発売する。1980年6月に発売以来、2011年1月には累計販売台数が3000万台を突破した。温水洗浄便座では高いシェアを誇り、INAX(同社の名称はシャワートイレ)や他社製の同種類のものも含め「ウォシュレット」と呼ばれるほど定着しているが、ウォシュレットの名称はTOTOの登録商標(日本第1665963号など)である。
シートタイプ
- ウォシュレットアプリコット(瞬間式)
‐ワンダーウェーブ洗浄を売りに現行品は2012年2月に発売。初代(1999年発売)はCαの後継品であったが2代目のN(2003年発売)からはシートタイプの上級機種(N1を除く)として2007年発売のFに至る。先代のFは途中、マイナーチェンジを2回行っており2009年発売品は断熱材を入れたダブル保温便座を採用。2011年2月発売品には電解除菌水ノズル洗浄を追加して2012年2月に新型(現行品)にモデルチェンジを行った。N以降の製品からバリアフリー(リモコン)仕様(N2・F2のみ)も発売され、多目的トイレなどを中心に採用されている。なお2012年1月まではレギュラーサイズも用意されていた(現行品は大形・普通共用便座。2004年下期発売のN以降も大形サイズは共用便座になった)。
- ウォシュレットS2・S1(貯湯式)
- グレード
- S2A・S1A(リモコン便器洗浄機能付き)
- S2・S1(リモコン便器洗浄機能なし) -アプリコットとSBの中間に位置する。Sシリーズは袖スイッチ式が基本だが本製品はリモコン式でかつて1998年に発売されたSS以来のリモコン式Sシリーズである。現在の製品は2010年8月発売の2代目で初代は2004年に発売された。量販店用で採用された大形・普通共用便座(便座サイズは大形。現行品は若干小さくなった。)を一般商品としては初採用された(初代には普通サイズが特殊品で用意)。初代のおしり洗浄はワンダースピン洗浄を採用していたが現行品は従来の洗浄になった。アプリコット同様バリアフリー(リモコン)仕様も初代から発売されている(S2のみ。S1は特殊品で対応)。
- グレード
また途中からデザイン便器専用(エバジオン・ロマンシア・デリシアシリーズ)の商品を発売した。ただしGシリーズで発売されていた製品と異なり若干形状が異なる。 なおデザイン便器用は初代のタイプを継続販売されている。
- ウォシュレットSB(貯湯式)
・グレード SB -初代Sシリーズからの系譜を受け継いでいる本体スイッチ式。現行品は脱臭付でデザインはS2・S1と共通。かつては温風乾燥付の製品や脱臭無しの製品も発売されていた。 また、多目的トイレ向けのバリアフリー仕様も用意され、固定部分が金属製に変更されている(アプリコット・S2・S1、後述のP・PSにも用意されている)。
- ウォシュレットP/PS(パブリック・オフィス向け) - 過去に男性用と女性用があった。現在は男女兼用。男性用はおしり洗浄と脱臭機能、女性用はこれにビデと擬音装置(商品名「音姫」)が追加される。またPのモデルチェンジの2011年2月からはリモコンタイプのPSが追加された。デザインはそれぞれウォシュレットS1・S2・SBに準じる。PSにはオート洗浄タイプ (PSA)、バリアフリー(リモコン)仕様も用意されている(Pはバリアフリー金属固定仕様)。
- ホテル用HX
- UD・Uシリーズ
- ホテル全体の給湯設備から温水の供給を受ける。UDシリーズはバッテリ駆動が可能。
- トラベルウォシュレット - 携帯用のウォシュレット。
- Jシリーズ(デペロッパー向け。形状はSBと共通でSBからやわらかなど一部機能をのぞいたもの。)
- 量販店向け製品 - 量販店で販売し取り付けはユーザーが自ら出来るよう、工具や接続用フレキホースを添付。賃貸住宅などでの設置にも対応する。なお上記の一般商品は総合カタログに掲載されるが、これら量販店用は掲載されない。また、専用カタログも別個に用意されている。
- KFシリーズ(形状はアプリコットFの現行品に類似するがリモコン等一部機能が異なる。)
- KMシリーズ(量販店用のオリジナルデザインでKVの後継品だが温風乾燥付商品はない。上位機種はKFと機能がほぼ共通する。)
- K・KHシリーズ(Jシリーズと形状と機能は同じ)
- 上記の他にも家電量販店・ホームセンターのオリジナル商品も存在し、専用カタログが用意されている。
ウォシュレット一体型便器
ウォシュレット一体型の便器。従来は機能部の老朽化による取り替え時には便器も含めた取り替えが必要であったが、機能部のみの取り替えも可能になった。●印の機種はフチなし形状・トルネード洗浄を採用している。
- ●ネオレストハイブリッドAH
- ネオレストAシリーズをベースに水道直圧式(ボール内洗浄用)に小型タンク(ゼット穴洗浄用)を組み合わせ新開発のポンプで加圧して低水圧でも対応可能にし、更に洗浄水量を大3.8L・小3.3L(2012年2月までは大4.8L・小4L、2009年8月までは大5.5L・小4.5L)に引き下げた「ハイブリッドエコロジーシステム」を搭載した機種。AH1・2Wの2機種。AH2 (AH2W) 以上の機種は室内暖房・オートフレグランス、
- ●ネオレストハイブリッドRH
- ネオレストハイブリッドAHシリーズをベースに丸みを帯びた形状とし、2009年2月モデル以降のアプリコットと同様に便座の蓋を断熱仕様としている。更に機能を絞って定価を20万円台とした機種を追加した。RH1以上のモデルは基本的にAHと同じ機能。RH0・1・2Wの3機種。2009年8月3日から発売開始。
- ●レストパル
- 収納一体型。タンク式洗浄。ウォシュレットはアプリコットFシリーズを使用する。洗浄水量は大4.8L・小3.6Lであり、GGシリーズも同じ水量。
- ●レストパルF
- 収納一体型。タンク式洗浄。基本はレストパルに準ずるが、便器がパブリック便器によくみられる壁付になっている。こちらも、洗浄水量は大4.8L・小3.6Lである。
- ウォシュレット一体形取替機能部
- 旧型ウォシュレット一体型便器機能部の取り替えに対応(2005年8月29日発売)。
- ●GG/GG‐800
- Zシリーズの後継機種、GGは2010年4月発売、GG-800は2010年8月発売。双方ともに2014年5月にモデルチェンジ。基本機能はGG1・2はウォシュレットS1A・S2Aに準じ、GG3はS2Aにオート開閉とオート小洗浄がプラスされる。派生機種としてGG-800もあり、GGとの違いは、ローシルエット(タンク式)ではなく、手洗い付きのタンク式であること。
- ●パブリックウォシュレット一体形便器
- 2011年2月に発売したINAXのセンサー大便器の対抗品である。基本仕様はGGに準じるため、タンク式である。ウォシュレット機能はPSAに準じ標準リモコンとバリアフリーリモコン(AC100V電源)が選べる。なお、INAXのセンサー大便器とは違い、ウォームレット(暖房便座)タイプ、車いす仕様は用意されていない。価格は対抗のセンサー大便器と比べ、10万程度安い。
INAX
業界2位のINAX(LIXIL)は「シャワートイレ」の名称で発売する。便座単体(シートタイプ)と温水洗浄便座一体型便器が発売されている。同社はTOTOより先に製造を開始しており1967年に温水洗浄便座一体型便器の「サニタリーナ61」を発売、1976年にはシートタイプの「サニタリーナF1」を発売している。
ウォシュレットとの相違点としてはおしり洗浄ノズルの角度が70度と真下からの洗浄に近く、このためビデ用のノズルは別個に設けられている点が大きい。同社では「レディスノズル」と称してアピールしている。リモコン付きモデルには、ペーパーホルダーに取り付けできる「インテリアリモコン」がオプション設定されている。一部は便器自動洗浄にも対応する。
また、シャワートイレ一体型便器「サティス」に関しては、初代モデル(2001年4月から3年間販売)や第2世代モデル(2004年4月から5年間販売)からの交換用として、機能部(便座)を載せ替え、止水栓や給水ホースを交換するだけで現行モデルの「サティス」と同等の機能へ性能向上できる「リフレッシュサティス」が2010年4月に発売された。これは、便器前出寸法とバルブの位置・取付ボルトの位置が初代モデルから変更されていないために、交換用の設定が実現できた。旧型タンクレストイレの機能部(便座)を交換する製品としては業界初である。
TOTOとINAXは、総合カタログにも掲載される一般の工事店向けと掲載されない量販店向けがラインナップされている。また、デベロッパー向けの製品もあるが[10]ここでは省略する。
シャワートイレシートタイプ
- 瞬間式
- PASSO(パッソ) EA14、EA13、EA12、EA11
- PASSOはリモコン操作タイプ。E70型から2013年9月にモデルチェンジされた。EA14はプラズマクラスターを便器に発生させる鉢内除菌を搭載。
- スリムタイプ E55Aグレード
- 旧パッソのうち、E55のみパブリック向けに存続している。
- PASSO(パッソ) EA14、EA13、EA12、EA11
- 貯湯式
- スリムタイプ E61Aグレード
- 旧パッソのうち、E61のみパブリック向けに存続している。
- Kシリーズ(現行は2008年発売のK47・45・43・41グレード)
- KA・KBシリーズ
- KBシリーズはKAシリーズより少し前に発売され、独立したグレードだった。KAシリーズが2013年2月に発売されたと同時にKBシリーズはK43・41の後継機としてKBシリーズも同時に発売された。KAはリモコン式、KBは本体スイッチ式でKBではリモコンもオプション対応している。機能面はKAシリーズがパッソE73・71をリファインしたものである。
- KS220タイプ
- 旧カスカディーナ便器専用のリモコン式タイプ。便座サイズは他の商品より小さい。
- RVタイプ(量販店専用・デザインは旧パッソに類似。)
- RSシリーズ(量販店専用・デザインはUSに類似。)
- RKシリーズ(量販店専用・デザインはKBシリーズと共通。)
- Hシリーズ(デベロッパー向け商品・デザインはKBシリーズと共通。)
- パブリック用PA・PBシリーズ
- Pシリーズの代替品として2014年2月に発売されたパブリック用。PAはリモコン式、PBは本体スイッチ式で、それぞれに男性用と女性用を設定。女性用には便座に座ると自動で流水音が鳴り始める「オート擬音」を搭載。併せて、全機種に継ぎ目がなくお手入れしやすい「キレイ便座」も新たに採用された。
- ホテル用US・UHシリーズ
- スリムタイプ E61Aグレード
- 湯水混合式
- U・U3Eシリーズ
- 温水は給湯・給水配管から直接給水する。なお、U3Eシリーズは無電源タイプで暖房便座機能はない。
- U・U3Eシリーズ
シャワートイレ一体型便器
サティスとPitaの上記機種は瞬間式、他は貯湯式。一部にオプションで便座のべたつきをなくした「さらっと便座」も選べる。一部製品の便器部は2006年以降、洗浄水量を大6L・小5Lに改良した「ECO6」となり注目された。
- レジオ
- INAXのフラッグシップモデル(2008年6月発売)。温水は貯湯式。
- サティス
- ダイレクトバルブ(TOTOのシーケンシャルバルブに相当)洗浄を採用したタンクレスタイプ。上位機種では室内暖房・音楽再生機能を搭載。便器の洗浄水量は2009年のモデルチェンジで大5L・小4Lに、2011年には大4L・小3.3Lへと節水化が進んでいる。2013年からはバリエーション増やし、上級のGタイプとスタンダードのEタイプを追加した。従来モデルはSタイプにモデルチェンジされ5月から発売される。G・Sタイプは瞬間式、Eタイプは貯湯式。
- アステオ
- サティスのデザインに準じたタンク式モデル。貯湯式。登場当初はサティスシリーズの派生機種だったが2010年6月から独立したモデルとなった。
- エレシャス/Pita(ピタ)
- 収納一体型。シャワートイレはPASSOを使用(グレードはPASSOに準じるので上位機種は瞬間式、下位機種は貯湯式)。かつては便座別売タイプも発売されていた。2011年より一部モデルチェンジにより床排水は「エレシャス」になった。
- アメージュZシャワートイレ
- アメージュVシャワートイレ(現在はマンションリフォーム用のみ。)
- ベーシア(収納一体型とアメージュシリーズのデベロッパー向け商品。)
- センサー大便器(パブリック用)
- サティスと同じダイレクトバルブ洗浄。大6L・小5L洗浄(床上排水は大8L・小6L)。パブリック向けのため、女性用は擬音装置やビデ装備、男性用はそれらが省略される。貯湯式。
取換用機能部
- リフレッシュサティス
- 初代モデル並びに第2世代モデル「サティス」の機能部を取り換えるだけで現行「サティス」とほぼ同じ機能に性能向上できる「サティス」専用取換用機能部。交換により、おしりワイドS洗浄、おしりマッサージ洗浄、スーパーワイドビデ洗浄、ノズルそうじ、省エネ暖房便座(SS8Eのみ)/キレイ便座(SS5/SS6のみ)、ターボ脱臭が追加されるほか、第2世代モデルに搭載されていたノズルシャッターは形状を変更したスッキリノズルシャッターに、お掃除リフトアップは全モデル電動式になるなど、既存機能も性能向上される。
- リフレッシュシャワートイレ(タンク付)
- アメージュ(アメージュM・アメージュG・アメージュMC・アメージュC・アメージュ)やベーシアなどのタンク付シャワートイレ一体型便器専用取換用機能部。
パナソニック
パナソニック(旧:松下電器産業)の商品名はビューティ・トワレ、パナソニック電工(旧:松下電工)の商品名はクリーンシャワレ。パナソニックブランドであるが、クリーンシャワレはビューティ・トワレに統合される形で、ナショナルブランドの時代に廃止された。また、1980年代半ば以前の旧松下電工の製品はクリーンベンザの商標を用いていた。 多くは電器量販店での販売であるがシェア的には小さいものの便器も発売しており、一体型も発売されている(パナソニック電工が製造)。ノズルはINAXと同様の2本ノズル式が主流であったが、最新機種は1本ノズル式になっている。ビューティ・トワレでは近年の機種ではノズルがステンレス製になっている。
- ビューティ・トワレ WF、UF(エコナビ搭載 便座・シャワー瞬間式)、RF(シャワーのみ瞬間式)、Mシリーズ(旧・パナソニック電工扱い)
- ビューティ・トワレ MF、EFX(貯湯式)、Sシリーズ(旧・パナソニック電工扱い) ・UF、EFXは本体スイッチ式、その他はリモコン式
- クリーンシャワレ
- ホテル向けの一部機種は現在も、旧松下電工系のクリーンシャワレを継続販売している。
- 温水洗浄便座一体型便器/専用便座付組み合わせ便器
- アラウーノ/アラウーノS/アラウーノV
- 2006年12月1日発売。瞬間式。便器の材質は陶器ではなく有機ガラス系の新素材。便器洗浄水に洗剤を混ぜて汚れを落としやすくする「激落ちバブル」機能を搭載。2010年の製品からはエコナビ搭載商品も発売された(アームレスト付も選択可能。2010年以降の製品は後付けも可能)。2008年に貯湯式のアラウーノSを発売(機能はアラウーノとほぼ共通。同商品は最初からパナソニックブランドで発売)。2012年2月21日には組み合わせ便器アラウーノVを発売(手洗い付きもある。洗剤洗浄は対応していない)。専用便座のほかTOTO、INAXの便座も設置可能(一部を除く)。
東芝
東芝はクリーンウォッシュの商品名で2012年4月現在、4機種が発売されている。ノズルは一本ノズルだが、おしり洗浄とビデ用は位置を変えた2段ノズル式となっているのが特徴。
かつては松下電器産業「ビューティ・トワレ」のOEM品を細々と販売しており一時撤退していたが、近年になりサムスン電子からのOEM供給により韓国製の廉価商品を発売。価格の割に多機能であることから人気を呼びシェアを伸ばしている。しかし韓国製であることから品質、性能が若干劣るとの声もある。
積水ホームテクノ
名称はウォッシー積水化学が製造している。ノズルは2本方式である。貯湯方式・リモコン付き(本体にも操作部はある)モデルで6機種が発売される。
アサヒ衛陶
衛生陶器メーカーのアサヒ衛陶は、サンウォッシュの商標で発売されている。同社が得意とする簡易水洗便器にも装着可能である。
ジャニス工業
衛生陶器メーカーのジャニス工業は、サワレットの商品名で発売している。タンクレスのスマートクリーンやタンク式のイーフィットクリーン・ココクリンなどの温水洗浄便座標準搭載型も販売している。
同社の温水洗浄便座は以前より日立ファミレットのOEMであったが現在は韓国メーカーから製品供給を受け販売しており、製品には東芝クリーンウォッシュとの類似性が見られる。また、同社のOEM供給先であるタカラスタンダードも同様な製品を販売している。
ナスラック
不動産業の東建コーポレーション傘下にある住宅設備機器メーカー・ナスラック(旧・東建ナスステンレス)はシャワレッシュの名称で韓国製品のOEM品を発売していたが、2008年より一部を除きパナソニック・ビューティトワレのOEMに切り替わった。2013年に自社生産を開始して独立したモデルになり、OEMに頼らなくなった。
なお、同社では上記ジャニス工業からのOEM供給により便器も発売している。
その他
- ネポン プリティシャワー(INAXシャワートイレのOEM)
- ロンシール機器 マルチシャワー(INAXシャワートイレのOEM)
- ダイワ化成 カルチュア(INAXシャワートイレのOEM)
- カクダイ ネオウォッシュ(ジャニスサワレットのOEM)
- 三栄水栓製作所(SAN-EI) シャワンザ(パナソニックビューティトワレの姉妹品。スペックや機能は同じだが袖などのデザインが異なる)
- タカラスタンダード(ジャニスサワレットのOEM。ブランド名がない)
- DURAVIT センソウォッシュ(ドイツ製。日本の便器に取り付けられるかは不明)
- アイクール ジャパン オートビデシャワー(操作部が小型になっている)
販売終了
- 日立 ファミレット(積水ウォッシーのOEM。2012年3月販売終了)
- 三洋電機 ki・re・i(テガ三洋工業が製造[12]。パナソニックの子会社化後はNCM[13]のOEM[14]。三洋電機がパナソニックの完全子会社になったため販売終了)
- ノーリツ ハートレア(積水ウォッシーのOEM。2008年12月販売終了)
- 喜多村合金製作所(MYM) はればれ(喜多村合金が廃業のため販売終了)
- フジクリーン工業 モア(現在は絶版)
- 三菱電機 シャワーリリカ(現在は絶版)
- アイワ アクアレット(現在は絶版)
類似の機能を持った商品
和風便器用
TOTOが1996年に和風便器用の機種「ウォシュレットW」を発売した。しかし、和風便器では温水が命中しないなどで使用しにくいことや洋風便器への移行が進んだことから普及せずに2003年頃に生産が終わった。こちらは2003年放送のフジテレビ系列『トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜』でも紹介された。
携帯用
旅行先など温水洗浄便座のない場所で使用できるよう携帯タイプとしたもの。本体に温水を入れて使う。以前はINAX、松下電池工業(現:パナソニック株式会社 エナジー社)なども発売していたが現在はTOTO、パナソニックのみ。
その他
海外において用便後の洗浄方法を水のみで行う文化圏では、洋式便器を取り入れているトイレには洗浄用のノズルを用意しているケースを漫画家のマミヤ狂四郎が自身の旅行記漫画で紹介している。
普及率
内閣府の消費動向調査によると日本における温水洗浄便座の世帯普及率は1992年には約14%だったが2000年には約41%、2008年には約68%、2010年には71.3%に達した。温水洗浄便座における世界のシェアは大部分は日本の企業だがアメリカやヨーロッパなどではコンセントが便所に無い場合が多いこともあり、日本以外での普及率は高くない。
注釈
- ↑ 社名は1985年のCIによるINAX(イナックス)を経て2011年の合併でLIXIL(リクシル)に。ブランド名としてのINAXは当面存続するため本項ではINAXとする。
- ↑ JR東日本や西武鉄道、大阪モノレールなど。西武は全駅への整備を行っている。
- ↑ 新幹線E5系電車のグリーン車や近鉄22600系電車など
- ↑ すべての公衆トイレに温水洗浄便座計画! 和歌山 - YOMIURI ONLINE 大手小町 2013年2月6日
- ↑ マドンナが「日本の温かいトイレシートが恋しかった」と発言した、という報道がされた事もある(マドンナを虜にしたホット便座は日本名物か?(エキサイトニュース))。
- ↑ 1998年頃までのINAXなど一部のメーカーでは「ビデ」と呼ばず「チャーム」など別の名称を使っていることがある。
- ↑ ただし、無電源タイプでは便座の暖房機能は装備できない。
- ↑ INAXは、ご使用開始から長期間経過した温水洗浄便座をお使いの皆さまへ 安全と安心のための呼びかけをしていきます。 - 株式会社LIXIL INAX 大切なお知らせ 2008年11月26日(2013年2月17日閲覧)
- ↑ 温水洗浄便座は清潔なのか? 過剰な不安には及ばずも…
- ↑ デベロッパー向け製品は、INAX:GINZA(ショールーム)で見ることが出来る。
- ↑ アイシン精機>製品・事業 > 住生活関連 > 住宅設備機器
- ↑ 会社情報 テガ三洋工業株式会社 Panasonic
- ↑ New Culture Meeting NCM Co., Ltd.
- ↑ ki・re・i PT-SB100の本体にNCM Co., Ltd.の表記あり