データレコーダ

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ファイル:LCR-C-1.jpg
データレコーダ
ファイル:ZX Spectrum Plus2.jpeg
データコーダーを標準で搭載したパソコンZX Spectrum +2(1986年)

データレコーダとは、音楽用として大量に出回っていたテープレコーダーを利用してカセットテープにデータを書き込むというもの。CMT(Cassette Magnetic Tape:カセット磁気テープ)などとも呼ばれた。これはコンピュータ業界では磁気テープをMTと略すため、それにカセットのCを付けたものである。

本項では1980年代以前のホビーパソコンブームにおける磁気テープによるデータの記録について扱う。2000年代以降現在にかけてのデータ用磁気テープについてはテープドライブを参照のこと。

歴史

1970年代、マイクロコンピュータが発展したが、手頃な補助記憶装置がなかった。このため、民生用大量生産されており非常に安価で便利な記録媒体録音再生機器である、コンパクトカセットマイクロカセットなどとカセットテープレコーダーを流用するというアイディアが生まれた。

これは、情報FSKなどの変調方式でオーディオ周波数帯の信号に変調して記録するもので、代表的な記録方式にKCS(カンサスシティスタンダード)があり1200Hz/2400HzのFSK方式で300bpsの記録ができた。やがて電子工作の延長的なマイクロコンピュータは様々なコンピュータメーカーから発売された初期のパーソナルコンピュータへと置き換えられていったが、フロッピーディスクは当初、読取装置となるドライブもディスクメディア自体も高価なものであり、ディスクドライブ搭載機は高価な機種に限定され、ホビーパソコンのような廉価で一般家庭への普及を目指した機種では採用し難いものであったことから、データレコーダーは依然として利用され続けた。

8ビット時代のパソコンへの具体的な採用例としては、日本においてはNECPC-8000シリーズなどではキャリア周波数はそのままでシンボル長のみ短縮した600bpsでの記録を標準としていた。シャープMZシリーズではコンピュータ本体に直接内蔵され、ソフトウェア制御によるパルス幅変調方式で記録を行い、他の機種と比較し、エラーの少ないアクセスと共に、1200bpsの速度を実現していた。この筐体に直接内蔵される専用のデータレコーダはMZ-80B、並びにその系譜にある機種では2000bpsに速度を変更すると共に、後述の通り、制御の多くもソフトウェアから行うことが可能であった。CPUからの直接制御であるため、そのタイミングの書き換えによって、そのレコーダの信頼性も手伝い、更に高速な読み書きも可能であった。別部署から発売されたX1でも、この電磁制御が可能なデータレコーダを採用しており、速度は2700bpsになっている。他に千葉憲昭の提唱したサッポロシティ・スタンダードがある。

また、コンピュータ周辺機器として使い勝手がいいようにモディファイされたカセットテープレコーダーが作られ、データレコーダと呼ばれた(後述)。

なお初期の8ビット時代のパソコンにはハードディスクドライブは全くといって良いほどに採用されておらず、フロッピーディスクドライブも高価なためほとんど付属していなかった。メーカー純正のドライブがパソコン本体より高価ということもザラだったため、データレコーダがよく使われた。ただ時代を下ってディスクドライブやディスクメディアが低価格化するようになると、廉価なホビーパソコンでもデータ転送速度の遅さからロード時間が長く、またシーク(データ読み出しのために媒体の該当データ箇所に読み取りヘッドを移動すること)に対応していないか、対応していたとしても時間の掛かるデータレコーダーからランダムアクセス性の優れたフロッピーディスクメディアへと切り替えられていった。ただその過渡期では、ランダムアクセス性を備えたディスクドライブが複雑で高価になりがちであったことに関連して、クイックディスクのようなディスクメディアとテープメディアの中間のような規格も存在した。

機能

データの保存自体は普通のアナログテープを録音/再生できるテープレコーダー、極端な話ではラジカセのような音響機器としての製品でも行えるが、データレコーダはデータの保存に特化した機能を備えている。例えば、スピーカー用と別にデータ出力専用のボリュームが付いていたり、コントロールができるものもある。パーソナルコンピュータに内蔵された専用のものでは、後述するようにテープの早送り・巻き戻しを行って、記録されたデータの先頭にシークする機能もあった。そこまででなくても、専用の製品としてデータロードに際してパーソナルコンピュータ側から再生を開始するリモート端子ぐらいは付いているものが多い。

仕様

データレコーダの仕様ではないが、当時使われた記録方式の仕様について記す。論理フォーマットについても様々なものがあったが、ここでは物理フォーマットについてのみ述べる。

カンサスシティスタンダード

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サッポロシティ・スタンダード

TBD

実装

N-BASICなど初期のマイクロソフトBASICなどではデータレコーダへのセーブはCSAVE、ロードはCLOADだった。CLOAD?でベリファイも行なえる。のちのN88-BASIC富士通F-BASIC系などでは、カセット専用命令を持たず通常のSAVE・LOADコマンドでデバイス名「CASx:」(xは数字)を指定した。

シャープX1およびMZ-80B/2000、その後継機種のデータレコーダは、デッキのオープン、並びに、メカ部の制御(ヘッドやキャプスタンのローディング)が、ボタンを操作する人力によるものではなく、電気制御によるものであったため、コンピュータ側からレコーダの動作を制御することができた。このためHu-BASICにはカセット制御用のコマンドが用意されている。また自動頭出し(ヘッドを軽く接触させた状態で高速送りし無音部を検出するもの)もできたため、データレコーダでありながらランダムアクセスに近い使い方も可能であった。

ファミリーベーシックのプログラム保存にも使われていた。ファミリーコンピュータ本体にはカセットテープインタフェースがなく、エディットモードのあるゲームで作成した面を保存する場合にもキーボードを介してデータレコーダを接続する必要があった(それ故か重く場所を取るキーボードを接続する煩わしさを解消する為、エディットデータのみ対応のS.D.ステーションが使われることがあった)。

現代テンプレート:いつ、レトロコンピューティング(en:Retrocomputing)などで実機のコンピュータ製品本体を使おうとする場合、録音の機能を備えたミニディスクレコーダーやICレコーダーなどを使ったりする。ただし位相が保証されない非可逆圧縮などにより、データエラーが出る可能性がある。 テンプレート:Sister