国際電気通信連合
国際電気通信連合(こくさいでんきつうしんれんごう、テンプレート:Lang-en; ITU、テンプレート:Lang-fr、UIT)は、国際連合の専門機関の一つである。
概要
国際電気通信連合憲章に基づき無線通信と電気通信分野において各国間の標準化と規制を確立することを目的としている。そもそもは、1865年5月17日にフランスのパリで設立された万国電信連合(テンプレート:Lang-en、テンプレート:Lang-fr)に端を発しているため、ITUは世界最古の国際機関とみなされている。
主な業務は標準化、無線周波数帯の割当て、国際電話を行うために各国間の接続を調整すること(郵便の分野で万国郵便連合の果たしている役割を、電気通信の分野において担っている)などであり、無線通信部門(ITU-R)、電気通信標準化部門(ITU-T)、電気通信開発部門(ITU-D)と事務総局からなる。本部はスイスのジュネーヴ。
日本は1959年から理事国としてITUの管理・運営に参加している。
事務総局長
ITUの事務総局長は、全加盟国の代表により4年に1度の頻度で組織される「全権委員会議」における選挙によって、加盟国から推挙された候補者の中から選出される。
現在の事務総局長は、マリ出身のハマドゥン・トゥーレである。トゥーレは2006年にトルコのアンタルヤで開催された第17回全権委員会議において、選挙によって選出されている(前任者は日本の元郵政官僚の内海善雄)。
歴代事務総局長
標準
ITUによる国際標準は、「勧告(テンプレート:Lang-en)」という形式を採る。国際機関としての歴史も古く国際連合の専門機関であるということもあって、ITUによってまとめられる標準はデジュール(テンプレート:Lang-la、公式)標準として、他の機関(フォーラムなど)によってまとめられる(大半が技術仕様の範疇にとどまる)デファクト(テンプレート:Lang-la、事実上)の民間標準よりも、より位置づけの高いものとして扱われる。
加盟国
ITUの業務は、加盟国の協力により成り立っている。国際連合の系統であることから、一つの国が一つの主体として加盟国となる。私企業や他の組織も、セクターメンバーやそれに準ずるものとして、加盟することが可能である。セクターメンバーなどであれば、私企業であっても国際標準の策定過程に参加することが可能である(この点は、ISOをはじめとする他の標準化機関と異なっている。それら機関においては、標準についての投票権が国ごとに一票ずつしかなく、私企業は各国の代表として参加するほかない)。また、ITUの多くの取り組みにおいて、他の機関との連絡体制が維持されている。
加盟国はほぼ全ての国連加盟国にバチカンを加えた191ヶ国(2008年4月時点)、セクターメンバーは700社以上(2008年4月時点)である。
会合
ITUは多くの事項を議論し、決定するため、加盟国、私企業などを交えてさまざまな研究委員会(テンプレート:Lang-en、SG)、作業班(テンプレート:Lang-en、WP)、地域会合(テンプレート:Lang-en、RRC)、全体会合(全権委員会議)などを開催する。
DOI
デジタル・オポチュニティ・プラットフォーム(テンプレート:Lang-en、DOP)の取り組みの一環として、ITUではデジタル・オポチュニティ・インデックス(テンプレート:Lang-en、DOI)というICTについての指標を開発している。この指標は、「コアICT指標」と称される11の基本的なICT指標を基として算出される。DOIは、世界情報社会サミットにより是認されたものであり、デジタル・オポチュニティ(情報通信ネットワークに人々が接することができる度合いのこと)を世界的規模で把握するための単一指標として、同サミットの関係文書(チュニス・アジェンダのパラグラフ117)に記されているものである。
DOIは、2005年に180の国または地域についてまとめられ、これは現在において最も広範なICT関連指標であり、世界中のICTの状況を国際的に合意されたベンチマークとして捉えることができるものである。DOIは、ICTについて社会基盤(テンプレート:Lang-en)、機会(テンプレート:Lang-en)、利用(テンプレート:Lang-en)の3つのカテゴリごとに経年変化を追えるようになっている。デジタル・ディバイドを測定し、科学的に有意な証拠に基づき分析することで、とりわけ途上国における政策の決定過程を助け、ICTにより利益を最大化することを目指している。