特殊法人
テンプレート:Ambox 特殊法人(とくしゅほうじん)とは、法人のうち、その法人を設立する旨の具体的な法令の規定に基づいて設立され、独立行政法人、認可法人、特別民間法人のいずれにも該当しないもののことである。2014年4月現在、33の特殊法人がある。
目次
定義
総務省設置法第4条第15号に基づくもの
法令において、特殊法人とは、「法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第15号の規定の適用を受けるもの」をいうことが多い。なお、総務省設置法第4条第15号において、独立行政法人は、対象の法人から除かれている。
総務省設置法の第4条第15号の規定等において「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人(独立行政法人を除く)」の新設、目的の変更その他当該法律の定める制度の改正および廃止に関する審査は、総務省がつかさどる事務とされている。
独立行政法人等登記令(旧・特殊法人登記令)等に基づくもの
伝統的な特殊法人の定義について、狭義には、独立行政法人等登記令(旧・特殊法人登記令)の別表に掲げられている法人のことをいい、広義には、別表に掲げられている法人に特殊会社を加えたものをいう。
なお、独立行政法人等登記令(旧・特殊法人登記令)の別表に掲げられている法人には、一部の認可法人(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人)も含まれている。
概要
特殊法人は、営利目的の市場原理による実施では不可能か、不可能に近いような事業を実施を目的として設立されることが通常である。公団、公社、事業団、特殊銀行、金庫、公庫、特殊会社など多岐にわたる形態があり、多くは「特殊法人」と呼ぶ場合が多く、公団や事業団などを指す場合が多い。
運営上は、法人税や固定資産税などの納税が免除されたり、国の財政投融資による資金調達が可能であるなどの大きな特典を有している反面、事業計画には国の承認が必要となること、不採算事業からの撤退等が簡単にはできない点など、国の意向に大きく左右される点も有する。
近時、特殊法人はいわゆる天下り先として利用されているとか、業務効率が悪いなどとの世論も高まっている。このため、特殊法人等改革基本法(同法附則第二項の規定により2006年3月31日を以て失効)に基づき、特殊法人の事業については廃止、整理縮小又は合理化、他の実施主体への移管などの措置(同法5条2項1号)を、特殊法人の組織形態そのものについても廃止、民営化、独立行政法人への移行などの措置をとることも視野に入れた検討が行われた。
現存する特殊法人
専ら個別法で運用される特殊法人
- 日本私立学校振興・共済事業団
- 沖縄振興開発金融公庫
- 日本中央競馬会(JRA)
- 日本放送協会 - 放送法に根拠条文。
- 日本年金機構 - 日本年金機構法に根拠条文。
特殊法人である会社
- 「特殊会社」を参照。
特殊法人である学校法人
- 放送大学学園(放送大学)- 2003年(平成15年)10月1日に、放送大学学園法3条に基づく特別な学校法人に移行した。
- 沖縄科学技術大学院大学学園(沖縄科学技術大学院大学) - 2011年(平成23年)11月1日に、沖縄科学技術大学院大学学園法2条に基づく特別な学校法人として設立[1]。
過去に存在した特殊法人(類似形態含む)
特殊会社化
特殊法人から「特殊法人たる特殊会社」に改組されたもの。
- 旧公社
- 旧公団
- 旧公庫
- 旧金庫
- 商工組合中央金庫 - 2008年(平成20年)10月1日に解散し、株式会社商工組合中央金庫に移行の後、完全民営化の予定。
- 旧特殊銀行
- 旧事業団
- 環境事業団 - 2004年(平成16年)4月1日に解散し、PCB廃棄物処理部門は日本環境安全事業株式会社に改組。
独立行政法人化
主に2001年(平成13年)12月の特殊法人等整理合理化計画に基づき独立行政法人に改組されたもの。
- 旧公団
- 緑資源公団 - 2003年(平成15年)10月1日に独立行政法人緑資源機構(現:独立行政法人森林総合研究所森林農地整備センター)に改組。
- 水資源開発公団 - 2003年(平成15年)10月1日に独立行政法人水資源機構に改組。
- 日本鉄道建設公団 - 2003年(平成15年)10月1日に運輸施設整備事業団と統合し、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に改組。
- 石油公団 - 2004年(平成16年)2月29日に金属鉱業事業団と統合し、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に改組。
- 地域振興整備公団及び都市基盤整備公団 - 2004年(平成16年)7月1日に統合し、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)に改組。前身組織の改編は下記の通り。
- 日本住宅公団 + 宅地開発公団 → 住宅・都市整備公団 → 都市基盤整備公団
- 産炭地域振興事業団 → 工業再配置・産炭地域振興公団 → 地域振興整備公団
- 旧事業団
- 国際協力事業団 - 2003年(平成15年)10月1日に独立行政法人国際協力機構(JICA=ジャイカ)に改組。
- 宇宙開発事業団 - 2003年(平成15年)10月1日に航空宇宙技術研究所及び宇宙科学研究所と統合し、独立行政法人宇宙航空研究開発機構に改組。
- 社会福祉・医療事業団 - 2003年(平成15年)10月1日に独立行政法人福祉医療機構に改組。
- 科学技術振興事業団 - 2003年(平成15年)10月1日に独立行政法人科学技術振興機構に改組。
- 運輸施設整備事業団 - 2003年(平成15年)10月1日に日本鉄道建設公団と統合し、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に改組。
- 金属鉱業事業団 - 2004年(平成16年)2月29日に石油公団と統合し、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に改組。
- 労働福祉事業団 - 2004年(平成16年)4月1日に独立行政法人労働者健康福祉機構に改組。
- 環境事業団 - 2004年(平成16年)4月1日に公害健康被害補償予防協会と統合し、独立行政法人環境再生保全機構に改組。
- 中小企業総合事業団 - 2004年(平成16年)7月1日に独立行政法人中小企業基盤整備機構に改組。また一部業務を中小企業金融公庫及び独立行政法人都市再生機構に移管。
- 農畜産業振興事業団 - 2004年(平成16年)10月1日に野菜供給安定基金と統合し、独立行政法人農畜産業振興機構に改組。
- 旧その他の特殊法人
- 日本貿易振興会 - 2003年(平成15年)10月1日に独立行政法人日本貿易振興機構に改組。
- 日本労働研究機構 - 2003年(平成15年)10月1日に厚生労働省労働研修所と統合し、 独立行政法人労働政策研究・研修機構に改組。
- 理化学研究所 - 2003年(平成15年)10月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 国際観光振興会- 2003年(平成15年)10月1日に独立行政法人国際観光振興機構に改組。
- 日本芸術文化振興会 - 2003年(平成15年)10月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 日本学術振興会 - 2003年(平成15年)10月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 北方領土問題対策協会 - 2003年(平成15年)10月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 国民生活センター - 2003年(平成15年)10月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 農業者年金基金 - 2003年(平成15年)10月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 心身障害者福祉協会 - 2003年(平成15年)10月1日に独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園に改組。
- 国際交流基金 - 2003年(平成15年)10月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 新エネルギー・産業技術総合開発機構 - 2003年(平成15年)10月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 勤労者退職金共済機構 - 2003年(平成15年)10月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 日本体育・学校健康センター - 2003年(平成15年)10月1日に独立行政法人日本スポーツ振興センターに改組。
- 雇用・能力開発機構 - 2004年(平成15年)3月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 日本育英会 - 2004年(平成16年)4月1日に財団法人日本国際教育協会、内外学生センター、国際学友会及び関西国際学友会と統合し、独立行政法人日本学生支援機構に改組。
- 公害健康被害補償予防協会 - 2004年(平成16年)4月1日に環境事業団と統合し、独立行政法人環境再生保全機構に改組。
- 奄美群島振興開発基金 - 2004年(平成16年)10月1日に同名の独立行政法人に改組。
- 日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構 - 2005年(平成17年)10月1日に両法人を統合し、独立行政法人日本原子力研究開発機構に改組。
- 年金資金運用基金 - 2006年(平成18年)4月1日に年金積立金管理運用独立行政法人に改組。
民営化あるいは民間法人化
特殊法人から民営化されたもの、あるいは公益法人、株式会社等の民間法人化されたもの。
- 旧特殊銀行
- 旧特殊会社
- 東京中小企業投資育成株式会社 - 1986年(昭和61年)7月1日に民営化。
- 名古屋中小企業投資育成株式会社 - 1986年(昭和61年)7月1日に民営化。
- 大阪中小企業投資育成株式会社 - 1986年(昭和61年)7月1日に民営化。
- 日本航空株式会社(JAL) - 1953年(昭和28年)10月設立、1987年(昭和62年)11月18日に完全民営化。
- 国際電信電話株式会社(KDD) - 1998年(平成10年)7月30日に完全民営化。(→現・KDDIの前身の一社)
- 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) - 2002年(平成14年)に完全民営化。
- 電源開発株式会社(電発) - 2004年(平成16年)10月に完全民営化。(→現愛称・Jパワー)
- 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本) - 2004年(平成16年)に完全民営化。
- 東海旅客鉄道株式会社(JR東海) - 2006年(平成18年)に完全民営化。
- 旧公営競技
- 旧その他の特殊法人
地方共同法人化
特殊法人から地方共同法人化されたもの。
- 旧公庫
- 公営企業金融公庫 - 2008年(平成20年)10月1日に解散し、地方共同法人の地方公営企業等金融機構に業務移管。
その他
- 産炭地域振興事業団 - 1972年(年)10月1日に工業再配置・産炭地域振興公団に改組。
- 工業再配置・産炭地域振興公団 - 1974年(昭和49年)8月1日に地域振興整備公団に改組。
- こどもの国協会(こどもの国を運営) - 1981年(昭和56年)に同名の社会福祉法人に改組。
- 日本住宅公団及び宅地開発公団 - 1981年(昭和56年)10月1日に統合し、住宅・都市整備公団(現・独立行政法人都市再生機構)に改組。
- 国立競技場 - 1986年(昭和61年)に日本学校健康会と統合し、日本体育・学校健康センター(現・独立行政法人日本スポーツ振興センター)に改組。
- 船舶整備公団及び鉄道整備基金 - 1997年(平成9年)10月1日に統合し、運輸施設整備事業団(現・独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)に改組。
- 中小企業退職金共済事業団及び建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合 - 1998年(平成10年)4月1日に統合し、勤労者退職金共済機構(現・独立行政法人と同じ)に改組。
- アジア経済研究所 - 1998年(平成10年)7月1日に日本貿易振興会と統合し、日本貿易振興会アジア経済研究所(現・独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所)に改組。
- 動力炉・核燃料開発事業団 - 1998年(平成10年)10月1日に核燃料サイクル開発機構(現・独立行政法人日本原子力研究開発機構)に改組。
- 私立学校教職員共済組合及び日本私学振興財団 - 1998年(平成10年)10月1日に統合し、日本私立学校振興・共済事業団に改組。
- 日本国有鉄道清算事業団 - 1998年(平成10年)に解散し、日本鉄道建設公団(現・独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)に業務移管。
- 中小企業信用保険公庫及び中小企業事業団 - 1999年(平成11年)7月1日に統合し、中小企業総合事業団に改組。2004年(平成16年)7月に中小公庫に統合された信用保険部門は除き、独立行政法人 中小企業基盤整備機構に統合。
- 北海道東北開発公庫及び日本開発銀行 - 1999年(平成11年)10月1日に統合し、日本政策投資銀行に改組。
- 海外経済協力基金及び日本輸出入銀行(旧・日本輸出銀行) - 1999年(平成11年)10月1日に統合し、国際協力銀行に改組。
- 住宅・都市整備公団 - 1999年(平成11年)10月1日に都市基盤整備公団(現・独立行政法人都市再生機構)に改組。
- 国民金融公庫及び環境衛生金融公庫 - 1999年(平成11年)10月1日に統合し、国民生活金融公庫(現・株式会社日本政策金融公庫)に改組。
- 森林開発公団及び農用地整備公団 - 1999年(平成11年)10月1日に統合し、緑資源公団(現:独立行政法人森林総合研究所森林農地整備センター)に改組。
- 雇用促進事業団 - 1999年(平成11年)10月1日に雇用・能力開発機構に改組。
- 国立教育会館 - 2001年(平成13年)4月1日に廃止され、文部科学省国立教育政策研究所教育研究情報センターに業務移管。
- 年金福祉事業団 - 2001年(平成13年)4月1日に年金資金運用基金(現・年金積立金管理運用独立行政法人)に改組。
- 簡易保険福祉事業団 - 2003年(平成15年)4月1日に日本郵政公社(現・日本郵政)に業務移管。
- 農林漁業団体職員共済組合 - 2004年(平成14年)4月1日に厚生年金と統合し、共済組合になる。
脚注
- ↑ 沖縄科学技術大学院大学学園の創立式典を挙行(沖縄科学技術大学院大学、2012年2月20日閲覧)
関連項目
外部リンク
- 総務省行政管理局 - 独立行政法人・特殊法人について
- 特殊法人等整理合理化計画
- 我が国の特殊法人制度と類似制度 - 平成10年当時存在した特殊法人の分類。『特殊法人の情報公開の制度化に関する調査研究』の一章