文部科学省
テンプレート:行政官庁 文部科学省(もんぶかがくしょう、英訳名: Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology, MEXT)は、日本の行政機関の一つ。略称は文科省(もんかしょう)。
教育の振興および生涯学習の推進を中核とした豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成、学術、スポーツおよび文化の振興並びに科学技術の総合的な振興を図るとともに、宗教に関する行政事務を適切に行うことを任務とする(文部科学省設置法3条)。
目次
概要
上記の文部科学省設置法第3条に示された任務を達成するため、文部科学省は、教育、科学技術、学術、文化、および健常者スポーツ(障害者スポーツは厚生労働省管轄)の振興に関する事項をつかさどる。 2001年(平成13年)1月6日、中央省庁再編に伴い、学術・教育・学校等に関する行政機関だった旧文部省と科学技術行政を総合的に推進する行政機関で旧総理府の外局だった旧科学技術庁とが統合されて誕生した。歴代の文部大臣、歴代の科学技術庁長官参照のこと。
中央合同庁舎第7号館東館に所在(2004年(平成16年)1月から2008年(平成20年)1月まで、庁舎建替えのため、丸の内の旧三菱重工ビルを仮庁舎としていた。現在は、みずほフィナンシャルグループの本社として使用されている)。
沿革
- 明治4年7月18日(1871年9月2日):文部省が設置される。
- 1950年(昭和25年)8月29日:文部省の外局として、文化財保護委員会が設置される。
- 1956年(昭和31年)5月19日:科学技術庁が設置される。
- 1968年(昭和43年)6月15日:文化財保護委員会を廃止して、文部省の外局として文化庁が設置される。
- 2001年(平成13年)1月6日:中央省庁再編により、文部省と科学技術庁を廃止。これらを統合した文部科学省が設置される。
所掌事務
文部科学省設置法第4条は計97号に及ぶ所掌事務をつかさどると規定している。具体的には以下に関することなどがある。 テンプレート:Col-begin テンプレート:Col-3
- 教育改革(第1号)
- 生涯学習(第2号)
- 地方教育行政の企画・指導(第3号)
- 地方教育費(第4号)
- 地方公務員である教育関係職員の人事行政(第5~6号)
- 初等中等教育(第7~9号)
- 教科用図書検定(第10号)
- 教科用図書の発行及び無償措置(第11号)
- 学校保健・学校安全・学校給食及び災害共済給付(第12号)
- 教員養成(第13号)
- 海外子女教育および帰国・外国人児童生徒教育(第14号)
- 大学及び高等専門学校(第15~18号)
- 大学入試・学位授与(第19号)
- 奨学・厚生補導(第20号)
- 外国人留学生(第21~22号)
- 専修学校及び各種学校(第23~24号)
- 国立大学(第25号)
- 国立高等専門学校(第26号)
- 宇宙航空研究開発機構(第27号)
- 私立学校(第28~30号)
- 私立学校教職員の共済制度(第31号)
- 社会教育(第32~33号)
- 青少年の団体宿泊施設・訓練(第34号)
- 通信教育および視聴覚教育(第35号)
- 日本語教育(第36号)
- 家庭教育(第37号)
- 文教施設(第38・39号)
- 学校施設及び教育用品(第40・41号)
- 青少年健全育成(第42号)
- 体力の保持及び増進(第43号)
- 科学技術政策(第44号)
- 研究開発の計画(第45号)
- 学術振興(第48号)
- 研究者養成(第49号)
- 技術者養成(第50号)
- 技術士(第51号)
- 研究開発の環境整備(第52~54号)
- 研究開発の成果の普及・活用(第55号)
- 発明・実用新案(第56号)
- 科学技術知識の普及(第57号)
- 研究開発が経済社会に及ぼす影響の評価(第58号)
- 基礎研究(第59号)
- 理化学研究所(第62号)
- 放射線利用(第63号)
- 宇宙の開発および利用(第64・65号)
- 原子力に関する科学技術・研究開発(第64・68・69・72・73号)
- 資源の総合的利用(第67号)
- 原子力損害の賠償(第70号)
- 原子力の平和的利用のための規制(第71号)
- 放射線による障害の防止(第74号)
- 放射能水準の監視及び測定(第75号)
- スポーツ振興(第76~80号)
- 文化振興(第81・82号)
- 劇場・音楽堂・美術館等(第83号)
- 展示会・講習会(第84号)
- 国語の改善・普及(第85号)
- 著作権の保護・利用(第86号)
- 文化財の保存・利用(第87号)
- アイヌ文化(第88号)
- 宗教法人(第89号)
- 国際文化交流(第90号)
- ユネスコ活動(第91号)
- 文化功労者(第92号)
- 教育関係者にたいする管轄分野の指導助言(第93・94号)
組織
文部科学省の内部組織は一般的に、法律の文部科学省設置法、政令の文部科学省組織令および省令の文部科学省組織規則が重層的に規定している。
幹部
- 文部科学大臣(法律第2条第2項)
- 文部科学副大臣(国家行政組織法第16条)(2名)
- 文部科学大臣政務官(国家行政組織法第17条)(2名)
- 文部科学事務次官(国家行政組織法第18条)
- 文部科学審議官(法律第5条)(2名)
内部部局
- 大臣官房(政令第2条第1項) - 人事課(政令第16条第1項)、総務課、会計課、政策課、国際課、文教施設企画部(政令第2条第2項)
- 文教施設企画部 - 施設企画課(政令第16条第2項)、施設助成課、計画課、参事官
- 生涯学習政策局 - 政策課(政令第26条)、調査企画課、生涯学習推進課、社会教育課、男女共同参画学習課、参事官
- 初等中等教育局 - 初等中等教育企画課(政令第33条)、財務課、教育課程課、児童生徒課、幼児教育課、特別支援教育課、国際教育課、教科書課、教職員課、参事官
- 高等教育局 - 高等教育企画課(政令第44条第1項)、大学振興課、専門教育課、医学教育課、学生・留学生課、国立大学法人支援課、私学部(政令第2条第2項)
- 私学部 - 私学行政課(政令第44条第2項)、私学助成課、参事官
- 科学技術・学術政策局 - 政策課(政令第54条)、企画評価課、人材政策課、研究開発基盤課、産業連携・地域支援課、計画官、国際交流官
- 研究振興局 - 振興企画課(政令第61条)、基礎研究振興課、学術機関課、学術研究助成課、ライフサイエンス課
- 研究開発局 - 開発企画課(政令第70条)、地震・防災研究課、海洋地球課、環境エネルギー課、宇宙開発利用課、原子力課、参事官(2人)
- スポーツ・青少年局 - スポーツ・青少年企画課(政令第78条)、スポーツ振興課、競技スポーツ課、学校健康教育課、青少年課、参事官(2人)
- 国際統括官
審議会等
- 科学技術・学術審議会(法律第6条第1項)
- 宇宙開発委員会
- 国立大学法人評価委員会(国立大学法人法、法律第6条第2項)
- 放射線審議会(放射線障害防止の技術的基準に関する法律、法律第6条第2項)
- 独立行政法人評価委員会(独立行政法人通則法、法律第6条第2項)
- 中央教育審議会(政令第85条)
- 教科用図書検定調査審議会
- 大学設置・学校法人審議会
施設等機関
特別の機関
- 日本学士院(法律第21条第1項)
- 地震調査研究推進本部(地震防災対策特別措置法、法律第21条第2項)
- 日本ユネスコ国内委員会(ユネスコ活動に関する法律、法律第21条第2項)
地方支分部局
文部科学省の地方支分部局の区分は原子力事務所のみである。現在、水戸原子力事務所のみが置かれている。文科省は他省の「○○地方~局」に相当する、全国を分割網羅する地方支分部局をもたない。かつて、地方にある大学や地方教育委員会の施設整備に関する補助金交付事務を行う「○○地方工事事務所」が国立大学の敷地内に存在したが、国立大学の法人化に伴い廃止された。補助金交付事務は本部で行えば足り、教育行政は完全地方分権であるため必要がないというのが廃止理由である。
- 水戸原子力事務所(政令第92条第1項)
外局
所管法人
文部科学省が主管する独立行政法人は2012年4月1日現在、国立特別支援教育総合研究所、大学入試センター、国立青少年教育振興機構、国立女性教育会館、国立科学博物館、物質・材料研究機構、防災科学技術研究所、放射線医学総合研究所、国立美術館、国立文化財機構、教員研修センター、科学技術振興機構、日本学術振興会、理化学研究所、宇宙航空研究開発機構、日本スポーツ振興センター、日本芸術文化振興会、日本学生支援機構、海洋研究開発機構、国立高等専門学校機構、大学評価・学位授与機構、国立大学財務・経営センターおよび日本原子力研究開発機構の23法人である[1]。ほかに国立大学法人として全国86法人および、大学共同利用機関法人として人間文化研究機構、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構および情報・システム研究機構の4法人を主管している。
主管する特殊法人は2012年7月1日現在、日本私立学校振興・共済事業団および放送大学学園の2法人である[2]。放送大学学園は総務省が共管している。特別の法律により設立される民間法人、特別の法律により設立される法人および認可法人は所管しない。
文部科学省が所管していた旧公益法人の一覧は、旧財団法人に関しては「Category:財団法人_(文科省所管)」を、旧社団法人に関しては「Category:社団法人_(文科省所管)」をそれぞれ参照のこと。これらの法人は2008年12月1日の新公益法人制度の施行にともない、すべて特例民法法人に移行した。
財政
2012年度(平成24年度)一般会計当初予算における文部科学省所管予算は5兆4127億5300万円である[3]。組織別の内訳は文部科学本省が5兆3045億200万円と全体の約98%を占め、以下、文部科学本省所轄機関が50億5000万円、文化庁が1032億円と続く。本省予算のうち義務教育費国庫負担金の1兆5575億2800万円(対本省比29.4%)および国立大学法人運営費の1兆1366億1200万円(21.4%)が大きな比重をしめる。本省所轄機関とは国立教育政策研究所、科学技術政策研究所、日本学士院等をさす。
また一般会計とは別に、特別会計として東日本大震災復興特別会計を復興庁などと共管し、エネルギー対策特別会計の電源開発促進勘定を経済産業省と共管している。
職員
一般職の在職者数は2011年1月15日現在、文部科学省全体で2247人(うち、女性447人)である[4]。機関別内訳は本省が2002人(388人)、文化庁245人(59人)となっている。行政機関職員定員令に定められた文部科学省の定員は特別職1人を含めて2204人である[5]。本省および各外局別の定員は省令の文部科学省定員規則が、本省1968人、文化庁236人と規定する[6]。
文部科学省職員は一般職の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は認められており、職員は労働組合として国公法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国公法第108条の2第3項)。2011年3月31日現在、人事院に登録された職員団体は存在しない。[7]。2005年度以降、組織率が数パーセントの状況が続き、2011年度にはついに0%となった。かつては国公労連加盟の文部省職員労働組合が活動していたが、2011年3月31日をもって解散した[8]。
広報
文部科学省が編集する白書には「文部科学白書]および「科学技術白書」があり、後者は科学技術基本法の規定により、政府が毎年国会に提出する「政府が科学技術の振興に関して講じた施策に関する報告書」(年次報告書、同法第8条)を収録している。
文部科学省が発行ないし編集する広報誌としては、本省の『文部科学広報』(月刊)、文化庁の『文化庁月報』(月刊)および『月刊文化財』、日本学士院の『日本学士院ニュースレター - 明六社だより』(年2回刊)、地震調査研究推進本部の『地震本部ニュース』(月刊)、などがある。『月刊文化財』の発行主体は第一法規株式会社で、文化庁は監修に携わっている。かつては、ぎょうせい発行の『文部科学時報』(月刊)があったが、2012年3月10日号をもって終刊となった。
ウェブサイトのURLのドメイン名は「www.mext.go.jp」。他に文化庁は「www.bunka.go.jp」、日本学士院は「www.japan-acad.go.jp」、地震調査研究推進本部は「www.jishin.go.jp」、国立教育政策研究所は「www.nier.go.jp」、科学技術政策研究所は「www.nistep.go.jp」等と一部の機関は独自のドメイン名を持つ。
歴代事務次官
代 | 氏名 | 出身 | 在任期間 | 前職 | 退任後の役職 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 小野元之 | 文部省 | 2001年1月6日 - 2003年1月10日 |
文部省官房長 →文部事務次官 |
日本学術振興会理事長 |
2 | 御手洗康 | 文部省 | 2003年1月10日 - 2005年1月11日 |
文部科学審議官 | 放送大学学園理事長 |
3 | 結城章夫 | 科学技術庁 | 2005年1月11日 - 2007年7月6日 |
文部科学審議官 | 山形大学学長 |
4 | 銭谷真美 | 文部省 | 2007年7月6日 - 2009年7月14日 |
初等中等教育局長 | 東京国立博物館館長 |
5 | 坂田東一 | 科学技術庁 | 2009年7月14日 - 2010年7月30日 |
文部科学審議官 | ウクライナ大使 |
6 | 清水潔 | 文部省 | 2010年7月30日 - 2012年1月6日 |
文部科学審議官 | |
7 | 森口泰孝 | 科学技術庁 | 2012年1月6日 - 2013年7月8日 |
文部科学審議官 | |
8 | 山中伸一 | 文部省 | 2013年7月8日 - |
文部科学審議官 |
文科省出身の著名人
前身の文部省・科学技術庁出身者を含む
- 木場貞長 - 元文部次官、元行政裁判所評定官、元図書編纂審査会委員長、貴族院議員、正三位、勲一等、錦鶏間祗候
- 濱尾新 - 東京美術学校初代校長、元文部省専門学務局長、東京帝大第三代・第八代総長
- 菊池大麓 - 元文部次官、東京帝大第五代総長、学習院院長、京都帝大第三代総長、元文部大臣、理研初代所長
- 岡田良平 - 元文部次官、京都帝大第二代総長、元文部大臣
- 澤柳政太郎 - 元文部次官、東北帝大初代総長、京都帝大第五代総長、大正大学初代学長、成城学園創立者
- 上田萬年 - 東京帝大国語研究室初代主任教授、元文部省専門学務局長、臨時仮名遣調査委員会委員
- 南弘 - 元文部次官、元内閣書記官長、元台湾総督、元逓信大臣、元国語審議会会長
- 内藤誉三郎 - 元文部事務次官、元文部大臣 / 放送大学創設に関わった
- 天城勲 - 元文部事務次官 / のちの大学審議会設置に連なった
- 木田宏 - 元文部事務次官、元臨時教育審議会第一部会委員
- 遠山敦子 - 元文化庁長官、元文部科学大臣
- 高石邦男 - 元文部事務次官
- 寺脇研 - 元文科省大臣官房広報調整官、コメンテーター / ゆとり教育推進者のひとり
- 伊原義徳 - 元科学技術事務次官
脚注
関連項目
外部リンク
テンプレート:国立大学法人- ↑ 「独立行政法人一覧(平成24年4月1日現在)」 総務省。
- ↑ 「所管府省別特殊法人一覧(平成24年7月1日現在)」
- ↑ 単位:100万円。2012年度(平成24年度)当初予算 - 一般会計(内閣 「平成24年度予算書関連」 財務省)。
- ↑ 人事院 「参考資料;6 - 一般職国家公務員府省別在職者数」『公務員白書 - 平成24年版』 日経印刷、2011年6月、p.244。2011年1月15日現在。テンプレート:リンク切れ
- ↑ 「行政機関職員定員令」(最終改正:平成24年4月6日政令第120号)
- ↑ 「文部科学省定員規則」(最終改正:平成24年4月6日文部科学省令第19号)
- ↑ 人事院 「第1編第3部第6章:職員団体 - 資料6-2;職員団体の登録状況」『公務員白書 - 平成24年版』 日経印刷、2011年6月、p.185。2012年3月31日現在。
- ↑ 大原社会問題研究所 「主要な労働組合の現状」『日本労働年鑑. 第80集(2010年版)』 旬報社、2010年6月、p.438。2010年3月末現在。