電波
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電波(でんぱ)は、電磁波のうち光より周波数が低い(言い換えれば波長の長い)ものを指す。光としての性質を備える電磁波のうち最も周波数の低いものを赤外線(又は遠赤外線)と呼ぶが、それよりも周波数が低い。
音などと同様に、空間を伝播する性質がある。
電波法第2条の1では電波を「三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波」と定義する。3,000,000MHz=3,000GHz=3THzである。ただし、電波を周波数のみにより他の電磁波から区別する場合の境界(特に、その周波数上限)は曖昧である。ごく一部の辞書においては、通信(無線通信)に用いられる電磁波を指すとの見解も見受けられるが、一般にはあまり支持されていない。
物理的には光も電波も電磁波のある帯域を指している用語であり、光としての性質(粒子性)と波としての性質(波動性)を持つため、技術的にどちらの性質を利用しているかで区別することがある。電波天文学などでは測定方法によって電波として扱ったり、光として扱える周波数帯がある。これは、高周波技術の発展によって従来は遠赤外線領域とみなされていた周波数領域までヘテロダイン方式で受信できるようになったことによる。
社会的には電波は公共の財産である。日本では総務省が利用者に割り当てている、他の先進国でも政府機関が周波数帯の割当を行なっている。オークションをして割り当てる場合もあり、電波利用料には大きな差がみられる。
用途
次が挙げられる。
- 放送・(広域、複数対象の)通信
- データの送受
- 遠隔操作
- 位置測定
- 加熱
- 反射を利用したもの
- 分析化学
電波における電磁スペクトル
テンプレート:See also 周波数と対応する波長によって電磁波は以下の周波数帯に分割される。
周波数帯 | 略称 | ITU基準 | 周波数と波長 | 用途例 |
---|---|---|---|---|
3Hz以下 100,000km以上 |
||||
極極極超長波 | ELF | 1 | 3 - 30Hz 100,000km - 10,000km |
潜水艦の通信 |
極極超長波 | SLF | 2 | 30 - 300Hz 10,000km - 1000km | |
極超長波 | ULF | 3 | 300 - 3000Hz 1000km - 100km |
鉱山における通信 |
超長波 | VLF | 4 | 3 - 30kHz 100km - 10km |
雪崩ビーコン、無線心拍計、地球物理学 |
長波 | LF | 5 | 30 - 300kHz 10km - 1km |
電波航法、電波時計、AM長波放送 |
中波 | MF | 6 | 300 - 3000kHz 1km - 100m |
AM放送 |
短波 | HF | 7 | 3 - 30MHz 100m - 10m |
短波放送、アマチュア無線、業務通信、核磁気共鳴分光法 |
超短波 | VHF | 8 | 30 - 300MHz 10m - 1m |
FM放送、VHFテレビ放送、業務通信、核磁気共鳴分光法 |
極超短波 | UHF | 9 | 300 - 3000MHz 1m - 100mm |
UHFテレビ放送(地デジ含)、電子レンジ、携帯電話、無線LAN、Bluetooth、GPS、業務通信、核磁気共鳴分光法 |
センチメートル波 | SHF | 10 | 3 - 30GHz 100mm - 10mm |
ETC、無線LAN、衛星放送、最新レーダー、電子スピン共鳴 |
ミリ波 | EHF | 11 | 30 - 300GHz 10mm - 1mm |
電波天文学、高速中継放送、最新レーダー(ミリ波レーダー)、電子スピン共鳴 |
テラヘルツ波 | 300GHz以上 1mm以下 |
関連項目
- 電波の周波数による分類 - アマチュア無線の周波数帯
- 電離層
- 電波工学・無線工学
- 電波障害
- 通信・電気通信・無線通信
- エレクトロニクス用語一覧
- 電波利用料
- 電波天文学
- 電波の日(6月1日)
- 電磁波過敏症
- 非電離放射線
- ラジオ
- アンテナ
- マクスウェルの方程式
- 電波系 - 人間の類型のひとつ