試験放送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンプレート:Ambox 試験放送(しけんほうそう)とは、基幹放送の一種である。 本記事では、関連する衛星試験放送もあわせて述べる。
定義
総務省令放送法施行規則第60条に基づく別表第5号の第9項その他の基幹放送の区分(3)に「放送及びその受信の進歩発達に必要な試験、研究若しくは調査のため又は当該放送を実用に移す目的のため試験的に行う放送」と規定している。
「衛星試験放送」は、同区分(4)に「衛星放送及びその受信の進歩発達に必要な試験、研究若しくは調査のため又は当該衛星放送を実用に移す目的のため試験的に行う衛星放送」と規定している。
概要
定義から敷衍されるとおり、最終的には新しい基幹放送の形式を規定し、実用とする為に行う放送である。 地上基幹放送試験局(従前の種別では「放送試験局」)又は実用化試験局(衛星試験放送では、衛星基幹放送試験局(従前の種別では「衛星放送試験局」)又は実用化試験局)が実施するものである。 なお、放送試験局が定義される以前は「実験局」(現実験試験局)で実施された。
「試験、研究若しくは調査」の段階では放送方式の比較検討が実施されるもので一般人には縁遠いものである。 放送方式が決定されれば総務省令・告示となり、「実用に移す」段階に移行し実用化試験局により実施されるものになって受信機器が製造・市販され、一般に受信できるものとなるのが通例である。 もちろん、現行放送と両立性を図る為に現行の受信機器でも受信できたり、実用化試験に至りながらも普及しなかった事例もある。
実例
- 放送試験局によるもの
- NHK UHFテレビ実験局(日本放送協会:1956年・1961年・1970年・2013年など複数)
- NHK衛星第1テレビジョン(1984年-1989年)
- NHK衛星第2テレビジョン(1986年-1989年)[1]
- 実用化試験局によるもの
- イベント放送局としてのもの(1988年(昭和63年)9月30日に放送法令改正により「イベント放送局」の制度ができるまでは、試験放送として扱われていた。)
- 財団法人国際科学技術博覧会協会所属筑波放送試験局(科博放送局ラジオきらっと 財団法人国際科学技術博覧会協会):1985年(昭和60年)3月17日 - 1985年(昭和60年)9月16日
- 天王寺博覧会FM放送試験局(FMてんぱく 財団法人大阪21世紀協会):1987年(昭和62年)8月1日 - 1987年(昭和62年)11月10日
その他
放送機器の調整等を目的に行われる試験電波の発射も「試験放送」ということがある。
- 予備免許取得後、本免許取得までの放送
- 2003年には地上デジタルテレビ放送が東名阪の3大都市で開局するのに合わせ、深夜の時間を使い一般向け放送を休止して試験電波を放送した(アナログは静止画による写真を放送[4])
- 放送機器の保守
- NHKラジオ第1放送:毎月第2月曜日深夜
- NHK総合テレビジョン:毎月第1・3日曜日深夜
- 周波数変更
市町村の同報系防災行政無線は放送局ではないが、試験電波の発射を「試験放送」と称して広報することがある。
関連項目
脚注
テンプレート:Reflist- ↑ 当初は1984年5月に衛星第1・2放送同時に試験放送を開局予定だったが、ゆり2号aの太陽電池のトラブルがあったため、1ch分の放送しかできず、開局当初は衛星第1放送のみで開始した。衛星第2放送はゆり2号bの打ち上げ成功(1986年2月)を待って1986年12月に開局した
- ↑ 1994年(平成6年)11月24日まではハイビジョン推進協会に対してコールサイン・周波数を割り当てた「ハイビジョン試験放送」。1994年(平成6年)11月25日以後は周波数はハイビジョン推進協会の割り当てだが、コールサインはNHK・在京民間放送キー局・朝日放送(大阪)に個別に割り当てられた「ハイビジョン実用化試験放送」
- ↑ このBS9チャンネルでは2000年(平成12年)12月1日にデジタルBSがNHKと民放系一斉に開局したことに伴い実用化試験は終了、この日以後2007年(平成19年)9月30日まではNHKデジタル衛星ハイビジョンのサイマル放送のみとして継続した
- ↑ テレビ・ラジオ技術