日本学士院
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(帝国学士院会員から転送)
テンプレート:行政官庁 日本学士院(にっぽんがくしいん、テンプレート:Llang)は、日本の官公庁の一つ。日本学士院法(以下「法」)に基づいて設置されている、文部科学省の特別の機関である。
目次
概要
法第1条でその目的を「学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関とし、学術の発達に寄与するため必要な事業を行う」と定めている。文部科学省の特別な機関として位置づけられており、東京都台東区上野公園の上野恩賜公園内に立地する。
外国のアカデミーは研究活動も行っているが、日本学士院では内部に「今更、研究をするのはいかがなものか」という考えが多く、研究機関としての面は他国に比べ薄い「殿堂」的機関と化している[1]。しかしながら、毎月定例の研究会を開催し、そこで研究発表が行われ、また研究成果は『日本学士院紀要』として公刊されている。また、恩賜賞や日本学士院賞、エジンバラ公賞、日本学士院学術奨励賞の授賞も行っている。エジンバラ公は日本学士院の名誉会員である[2]。
学士院会員は終身であり(3条2項)、定員は150名である(2条2項)。死亡により欠員が生じた分科ごとに各部分科会員の投票により毎年12月に新会員が選定される(常に全欠員が補充されるわけではない)。文化功労者より低い年金(250万円)が授与されるが(9条)、これは特別職の非常勤国家公務員(3条3項)としての給与名目で支給されており課税対象になる。また、検察官適格審査会令1条2項の規定により、日本学士院会員から互選で一名が検察官適格審査会の委員になっている。
1879年に東京学士会院として発足した。その後、帝国学士院に改組された。太平洋戦争後に日本学士院となり現在に至る。
沿革
- 1873年 - 明六社発足
- 1879年 - 東京学士会院創設(会員定員40名)。
- 1890年 - 東京学士会院規程公布。
- 1906年 - 帝国学士院規程公布(会員定員60名)。
- 1911年 - 恩賜賞創設。
- 1911年 - 帝国学士院賞創設。
- 1919年 - 国際学士院連合(UAI)加盟
- 1925年 - 貴族院に帝国学士院会員議員が設置される(1部・2部から各2名ずつ計4名、任期7年)
- 1947年 - 日本学士院と改称。貴族院廃止とともに帝国学士院会員議員も廃止される。
- 1949年 - 日本学術会議の附置機関となる(会員定員150名)。
- 1956年 - 日本学士院法公布、日本学術会議から独立。
- 1987年 - エジンバラ公賞創設。
- 2004年 - 日本学士院学術奨励賞創設。
会員の構成
事業(8条)
- 授賞
- 紀要の編集及び発行
- 日本学士院紀要
- PROCEEDINGS OF THE JAPAN ACADEMY
- その他学術の研究を奨励するため必要な事業で、日本学士院が行うことを適当とするもの
- 国際交流
- 研究費補助活動
- 公開講演会
歴代院長
東京学士会院(会長)
現在の会員
過去の主な会員
創立会員(21名)
- 伊藤圭介 1879
- 市川兼恭 1879
- 内田五観 1879
- 小幡篤次郎 1879
- 加藤弘之 1879
- 神田孝平 1879
- 川田剛 1879
- 栗本鋤雲 1879
- 阪谷素 1879
- 重野安繹 1879
- 杉亨二 1879
- 杉田玄端 1879
- 津田真道 1879
- 中村正直 1879
- 西周 1879
- 西村茂樹 1879
- 福澤諭吉 1879
- 福羽美静 1879
- 細川潤次郎 1879
- 森有礼 1879
- 箕作秋坪 1879
明治期任命
- 箕作麟祥 1880
- 大鳥圭介 1881
- 黒川真頼 1881
- 小中村清矩 1882
- 寺島宗則 1885
- 谷干城 1885
- 外山正一 1887
- 菊池大麓 1889
- 木村正辞 1890
- 井上哲次郎 1895
- 穂積陳重 1896
- 根本通明 1899
- 坪井九馬三 1900
- 山川健次郎 1901
- 小金井良精 1902
- 寺尾寿 1903
- 穂積八束 1906
- 北里柴三郎 1906
- 田中館愛橘 1906
- 一木喜徳郎 1906
- 青山胤通 1906
- 三浦守治 1906
- 本居豊穎 1906
- 長岡半太郎 1906
- 元良勇次郎 1906
- 末松謙澄 1907
- 上田萬年 1908
- 三上参次 1908
- 大槻文彦 1911
- 石川千代松 1911
- 美濃部達吉 1911
- 高楠順次郎 1912
大正期任命
- 高峰譲吉 1913
- 芳賀矢一 1915
- 萩野由之 1916
- 服部宇之吉 1917
- 池田菊苗 1919
- 白鳥庫吉 1919
- 野口英世 1923
- 姉崎正治 1923
- 市村瓚次郎 1925
- 寺田寅彦 1925
- 鈴木梅太郎 1925
- 大塚保治 1925
- 滝精一 1925
- 新渡戸稲造 1925
- 狩野直喜 1925
- 三宅米吉 1925
- 徳富蘇峰(猪一郎)1925
- 丘浅次郎 1925
- 桑木厳翼 1925
- 中田薫 1925
- 小川琢治 1926
- 清水澄 1926
- 内藤湖南(虎次郎)1926
昭和戦前期(1927年 - 1944年)任命
- 西田幾多郎 1927
- 幸田露伴(成行)1927
- 関根正直 1928
- 新村出 1928
- 藤井乙男 1930
- 岡田武松 1931
- 和田英松 1931
- 浜田青陵(耕作)1931
- 辻善之助 1932
- 佐佐木信綱 1934
- 羽田亨 1936
- 長与又郎 1936
- 林毅陸 1936
- 藤原咲平 1937
- 穂積重遠 1937
- 市河三喜 1939
- 鈴木虎雄 1939
- 田中耕太郎 1941
- 竜野一雄 1942
- 武内義雄 1942
- 小泉信三 1943
昭和戦後期(1945年 - 1970年)選出
- 宇井伯寿 1945
- 上野直昭 1946
- 湯川秀樹 1946
- 大西克礼 1946
- 南原繁 1946
- 阿部次郎 1947
- 久松潜一 1947
- 高橋誠一郎 1947
- 田辺元 1947
- 津田左右吉 1947
- 我妻栄 1947
- 古畑種基 1947
- 藪田貞治郎 1947
- 金田一京助 1948
- 駒井卓 1948
- 志賀潔 1948
- 大内兵衛 1948
- 高木八尺 1948
- 本庄栄治郎 1948
- 後藤格次 1949
- 和達清夫 1949
- 柳田國男 1949
- 波多野精一 1949
- 宮沢俊義 1949
- 和辻哲郎 1949
- 恒藤恭 1949
- 矢内原忠雄 1949
- 小島祐馬 1949
- 鈴木大拙 1949
- 木原均 1949
- 土居光知 1949
- 横田喜三郎 1949
- 山田盛太郎 1950
- 松村松年 1950
- 大塚金之助 1950
- 末川博 1950
- 尾高朝雄 1950
- 牧野富太郎 1950
- 野村兼太郎 1950
- 二木謙三1951
- 八木秀次 1951
- 小宮豊隆 1951
- 朝永振一郎 1951
- 辻直四郎 1953
- 青木正児 1953
- 石原謙 1953
- 瀧川幸辰 1953
- 長谷部言人 1953
- 菊池正士 1957
- 鈴木醇 1957
- 高木貞二 1958
- 坂本太郎 1958
- 坂口謹一郎 1960
- 茅誠司 1961
- 斎藤勇(英文学)1961
- 金倉円照 1963
- 中山伊知郎 1963
- 新関良三 1963
- 中川善之助 1964
- 東畑精一 1964
- 西谷啓治 1965
- 大河内一男 1965
- 桂寿一 1965
- 小平邦彦 1965
- 岡崎義恵 1965
- 岩生成一 1965
- 内村祐之 1965
- 冲中重雄 1965
- 落合英二 1965
- 藤田良雄 1965
- 渡辺一夫 1966
- 小川鼎三 1966
- 麻生磯次 1966
- 木村亀二 1967
- 手塚富雄 1967
- 山本達郎 1967
- 村川堅太郎 1967
- 石田幹之助 1968
- 蝋山政道 1968
- 大塚久雄 1969
- 竹内敏雄 1970
昭和後期(1971年 - 1988年)選出
- 渡辺武男 1971 - 1986
- 岡義武 1972 - 1990
- 服部四郎 1972 - 1995
- 中島文雄 1974 - 1999
- 下村寅太郎 1975 - 1995
- 末永雅雄 1976 - 1991
- 市古貞次 1976 - 2004
- 塚本善隆 1976 - 1980
- 杉捷夫 1976 - 1990
- 金子武蔵 1977 - 1987
- 古野清人 1977 - 1979
- 石井良助 1977 - 1993
- 丸山眞男 1978 - 1996
- 川島武宜 1979 - 1992
- 宮本又次 1979 - 1991
- 高村象平 1979 - 1989
- 長尾雅人 1980 - 2005
- 鵜飼信成 1980 - 1987
- 梅津八三 1981 - 1991
- 團藤重光 1981 - 2012
- 井筒俊彦 1982 - 1993
- 大内力 1982 - 2009
- 関根正雄 1982 - 2000
- 木村資生 1982 - 1994
- 吉識雅夫 1982 - 1993
- 吉川逸治 1982 - 2002
- 隅谷三喜男 1982 - 2003
- 吉田精一 1983 - 1984
- 平井正穂 1983 - 2005
- 矢島羊吉 1983-1986
- 福井謙一 1983 - 1998
- 藪内清 1983 - 2000
- 中村元 1984 - 1999
- 増田四郎 1984 - 1997
- 館龍一郎 1985 - 2012
- 松井正直 1985 - 2012
- 目加田誠 1985 - 1994
- 関集三 1985 - 2013
- 河野六郎 1986 - 1998
- 澤瀉久敬 1986 - 1995
- 阿部秋生 1987 - 1999
- 竹内理三 1988 - 1997
- 平野龍一 1988 - 2004
- 登張正實 1988 - 2006
- 尾高邦雄 1988 - 1993
平成期選出
- 小川環樹 1989 - 1993
- 団勝磨 1989 - 1996
- 西島和彦 1989 - 2009
- 斎藤眞 1989 - 2008
- 芦部信喜 1990 - 1999
- 伊藤正己 1990 - 2010
- 都留重人 1990 - 2006
- 細谷千博 1991 - 2011
- 西塚泰美 1991 - 2004
- 三ヶ月章 1991 - 2010
- 林屋辰三郎 1992 - 1998
- 護雅夫 1992 - 1996
- 加藤一郎 1992 - 2008
- 福田歓一 1992 - 2007
- 平川彰 1993 - 2002
- 辻村公一 1993 - 2010
- 宮崎義一 1993 - 1998
- 入矢義高 1994 - 1998
- 織田敏次 1994 - 2012
- 滋賀秀三 1994-2008
- 武内義範 1995 - 2002
- 荒松雄 1995 - 2008
- 築島裕 1995 - 2011
- 森亘 1995 - 2012
- 児玉幸多 1996 - 2007
- 鈴木弘 1996 - 2009
- 乾崇夫 1996 - 2012
- 星野英一 1996 - 2012
- 永井博 1996 - 2012
- 井口洋夫 1996 - 2014
- 相良亨 1997 - 2000
- 島田虔次 1997 - 2000
- 鈴木禄弥 1998 - 2006
- 山田晶 1998 - 2008
- 石川滋 1998 - 2014
- 西田龍雄 1999-2012
- 吉田民人 2001 - 2009
- 尾藤正英 2002 - 2013
- 金谷治 2002 - 2006
- 岡村總吾 2005 - 2013
- 外村彰 2007 - 2012
- 平井宜雄 2010 - 2013
脚注
参照文献
- 日本学士院ウェブサイト「名誉会員・客員一覧」
関連項目
外部リンク
テンプレート:文部科学省- ↑ 水田洋「学士院会員 水田 洋君の話を聞く」『十二月クラブ通信』第103号 平成11年12月号
- ↑ 日本学士院ウェブサイト「名誉会員・客員一覧」参照。
- ↑ 会員一覧(日本学士院、2011年12月13日閲覧)
- ↑ 新会員の選定について(2011年12月12日)(日本学士院、2011年12月13日閲覧)
- ↑ 新会員の選定について(2012年12月12日)(日本学士院、2013年1月1日閲覧)
- ↑ 新会員の選定について(2013年12月12日)(日本学士院、2013年12月12日閲覧)