中根千枝
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中根 千枝(なかね ちえ、1926年11月30日 - )は日本の社会人類学者。専門はインド・チベット・日本の社会組織。東京大学名誉教授。女性初の東大教授。女性初の日本学士院会員。学者として女性初の文化勲章受賞者[1]。イギリス人類学民族学連合名誉会員、国際人類学民族学連合名誉会員など。
来歴・人物
東京府豊多摩郡戸塚村(現・新宿区)生まれ。東京都立第八高等女学校(現・東京都立八潮高等学校)、津田塾専門学校外国語科卒業。東京大学文学部東洋史学科に入学し、卒業後は同大学院に入学し、修了。
1959年『未開の顔・文明の顔』で毎日出版文化賞受賞。1967年に出版した著書『タテ社会の人間関係』は代表的な日本人論として100万部を超えるベスト&ロングセラー、世界13カ国語に翻訳された。2005年5月現在、日本国内での発行部数112万部。
津田塾から東大に入った同期に森山真弓元法務大臣がいる。
略歴
- 東京府豊多摩郡戸塚村(現・新宿区)生まれ。
- 1939年 北京日本小学校卒
- 1944年 東京都立第八高等女学校(現・東京都立八潮高等学校)卒業
- 1947年 津田塾専門学校外国語科卒業
- 1947年 東京大学文学部東洋史学科入学
- 1950年 同卒業、大学院入学
- 1952年 同修了、東京大学東洋文化研究所助手
- 1953年から57年までインド、英国、イタリアに留学
- 1958年 東大東洋文化研究所講師
- 1959年から60年までシカゴ大学客員助教授
- 1960年から61年までロンドン大学客員講師
- 1962年 東大東洋文化研究所助教授
- 1970年 東京大学東洋文化研究所教授、東大社会学系研究科文化人類学課程主任
- 1975年 大阪大学人間科学部教授併任(-79)、国立民族学博物館教授併任(-80)、英国王立人類学会名誉会員、コーネル大学特別客員教授(-81)
- 1980年 東大東洋文化研究所所長(-82)、東大評議員。
- 1987年 東大を定年退官、民族学振興会理事長(99年解散)、国際交流基金賞受賞
- 1988年 帝京大学教授、国際人類学・民族学連合ゴールドメダル賞受賞
- 1990年 紫綬褒章受章
- 1991年 福岡アジア文化賞学術研究賞受賞
- 1993年 文化功労者
- 1998年 勲二等宝冠章受章
- 2001年 文化勲章受章
- 2002年 東京女学館大学初代学長(2004年まで)
著書
下記以外に、外国語に翻訳されたものや外国語資料もある。
単著
- 『未開の顔・文明の顔』(中央公論社、1959年/普及版・中央公論文庫、1962年/中公文庫、1990年7月、ISBN 4122017297)
- 『タテ社会の人間関係:単一社会の理論』(講談社現代新書、1967年7月、ISBN 4061155059)
- 『タテ社会の人間関係:Japanese Society』(チャールズ・イー・タトル出版、2009年2月、ISBN 480531026X)
- 『家族の構造:社会人類学的分析』(東京大学出版会、1970年)
- 『人間と経営:トップビジネスマンとの対話』(文藝春秋、1971年)
- 『適応の条件:日本的連続の思考』(講談社現代新書、1972年)
- 『家族を中心とした人間関係』(講談社学術文庫、1977年)
- 『タテ社会の力学』(講談社現代新書、1978年/講談社学術文庫、2009年7月、ISBN 4062919567)
- 『日本人の可能性と限界』(講談社、1978年)
- 『社会構造の比較:アジアを中心として』(旺文社、1981年)
- 『社会人類学:アジア諸社会の考察』(東京大学出版会、1987年/講談社学術文庫、2002年4月、ISBN 4061595407)
- 『中国とインド:社会人類学の観点から』(国際高等研究所、1999年)
共著
編著
- 『韓国農村の家族と祭儀』 東京大学出版会 1973
共編
翻訳
- 『砂漠 フオルコ・クイリチ』([[it:Folco Quilici|テンプレート:Llang]]) フレーベル館 1971
雑誌発表論文
- 中央公論 64年5月号 「日本的社会構造の発見」タテ社会の人間関係」のもとになった論文。[2]