名誉教授
名誉教授(めいよきょうじゅ、Professor emeritus)とは、大学などに教授などとして勤務した者であって、功績のあった者に対して授与される称号[1]。法的・国際的に認められた栄誉称号であり学術称号の一つ。日本では学校教育法にその根拠規定がありテンプレート:Refnest[2]、それぞれ大学または高等専門学校の規程・規則の定めるところにより授与される。
目次
概要
大学(短期大学を含む)および高等専門学校は、当該大学または当該高等専門学校に学長・校長、副学長、学部長、教授、准教授または講師として勤務した者であって、教育上または研究上、特に功績のあった者に対し、当該大学または当該高等専門学校の定めるところにより、名誉教授の称号を授与することができる。
名誉教授は各教育施設より授与されるものであるが、称号そのものは法的に定められたものであり、学校教育法にその根拠規定を見ることができる。同法では「大学は、当該大学に学長、副学長、学部長、教授、准教授又は講師として勤務した者であって、教育上又は研究上特に功績のあった者に対し、当該大学の定めるところにより、名誉教授の称号を授与することができる」(平成19年6月27日法律第98号第9章106条)と規定されている。
名誉教授の称号は、退職後に、退職した大学(短期大学を含む)、高等専門学校より授与される。かつては、名誉教授の称号を受ける大学・短期大学・高等専門学校に一定年数以上(5年以上)所属していなければならなかったが、学校教育法の改正により、現在、所属年数は問われなくなった。
名誉教授は、授与した大学(短期大学を含む)、高等専門学校から研究室などが用意されることもあるが、職ではなく「称号」である。なお、名誉教授を専任職でない客員教授や兼任講師(非常勤講師)もしくは役員の理事として当該大学が再び任用することも少なくない。
日本では、定年により退職した教員に対し、勤続年数や理事職歴任を基準に授与されることが多い。 諸海外では、終身在職権のある教授が定年で退職した際などには、Professor emeritus(退役教授)の称号を与えて、研究・教育・社会生活上の便宜を図っており、これが日本の現在の名誉教授に最も近い称号である。日本でも大学構内に名誉教授室[3]が用意されていたり、個人として文部科学省・日本学術振興会の科学研究費補助金への申請が認められている[4]など、学術的な便宜が図られている。 一般に「名誉教授」と訳されるhonorary Professorは、もっぱら、学歴はないが専攻領域で多大な業績をあげた者や著名な芸術家やスポーツ選手へ授与される称号であることも多く、日本の名誉教授とは異なる。 また、ドイツや中欧の制度でいうHonorarprofessorは、学外の実務家等を副業として大学教員に招聘する場合の職であり、就任の際に正教授並みの業績が必要で退職後も申請すれば教授と称することができるなどの違いはあるが、おおむね日本でいう「客員教授」と同様のものである。この制度の国では、学歴に基づかない名誉称号としての「名誉教授」を、Ehrenprofessorなどと呼んで区別している。
省庁大学校の名誉教授
省庁大学校においては、大学校の校名を付した「○○大学校名誉教授」の称号が、大学校を設置する国や独立行政法人の責任者(長官、理事長など)から、授与されることがある。「○○大学校名誉教授」は、「名誉教授」と性質が類似しているが、厳密には同じものではない。
「○○大学校名誉教授」の称号が存在する大学校
- 警察大学校 - 警察大学校名誉教授 (警察庁長官が授与)
- 防衛大学校 - 防衛大学校名誉教授 (学校長の推薦に基づき、防衛大臣が授与)
- 防衛医科大学校 - 防衛医科大学校名誉教授 (学校長の推薦に基づき、防衛大臣が授与)
- 海上保安大学校 - 海上保安大学校名誉教授
- 水産大学校 - 水産大学校名誉教授
- 職業能力開発総合大学校 - 職業能力開発総合大学校名誉教授
関連する称号
- 学校教育法上の称号ではないが、東京大学及び大阪府立大学では大学規則において特別栄誉教授の称号を制定し、功労ある教授が退任する際などに授与している。その他に名誉客員教授、特別功労教授などがあるが、いずれも学校教育法によらない大学独自の称号である。
脚注
注釈
出典
- ↑ 新村出編『広辞苑 第六版』(岩波書店、2011年)2757頁および松村明編『大辞林 第三版』(三省堂、2006年)2495頁参照。
- ↑ 電子政府ウェブサイト「学校教育法」参照。
- ↑ 名誉教授の個人個人に与えられる居室ではなく、来学の際に利用できる部屋として設定されている場合が多い。
- ↑ 称号を持たず、研究が可能な団体(大学・企業等を含む)に所属しない元教員は申請出来ない。
参照文献
文献資料
- 新村出編『広辞苑 第六版』(岩波書店、2011年)ISBN 400080121X
- 松村明編『大辞林 第三版』(三省堂、2006年)ISBN 4385139059
インターネット資料 (外部リンク)
- 電子政府ウェブサイト「学校教育法」
- 東京大学ウェブサイト東京大学名誉教授称号授与規則