警察大学校

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警察大学校(けいさつだいがっこう、National Police Academy)は、警察法第27条を設置根拠とする警察庁附属機関教育訓練施設である。略称は警大

概要

警察上級幹部に対し必要な知識技能、指導能力及び管理能力を修得させるための教養を行うほか、警察業務に関する研究を行う。文部科学省の所管下ではない省庁大学校であり、幹部警察官等を対象にしているので、実際は研修施設に近く、一般の新規高卒者等の入学は行われない。省庁大学校ではあるが防衛大学校海上保安大学校などとは異なり、課程修了により学士学位は得られない。

所在地

歴史

ファイル:Entrance of former site of national police academy nakano tokyo japan.JPG
東京都中野区中野にある跡地(2009年、中野区役所隣の入口より撮影)。再開発により中野四季の都市となり、2012年以降は高層マンションや商業施設、大学キャンパス、公園などとしてオープンしている。

校長・副校長・教員

  • 警察大学校長が校務を掌理し、副校長が校長の補佐を行う。また、教授助教授が置かれている他、校長は特に必要がある場合は講師を委嘱出来る。

内部組織

  • 教務部(会計、庶務、教務)
  • 警務教養部(警務警察総務警察、警察行政一般に必要な法学その他の科学及び警察内部の管理に関する教育訓練をつかさどる)
  • 生活安全教養部(生活安全警察犯罪事故その他の事案に係る市民生活の安全と平穏、犯罪の予防及び保安警察に関する教育訓練をつかさどる)
  • 地域教養部(地域警察その他の警らに関する教育訓練をつかさどる)
  • 刑事教養部(刑事警察(国際的な犯罪捜査及び国際刑事警察機構との連絡を除く。)犯罪鑑識及び犯罪統計に関する教育訓練をつかさどる)
  • 組織犯罪対策教養部(組織犯罪対策警察、国際的な犯罪捜査、国際刑事警察機構との連絡、暴力団対策、薬物及び銃器に関する犯罪の取締り、組織犯罪の取締り(刑事局の所掌に係るものに限る。以下同じ。)並びに国際捜査共助に関する教育訓練をつかさどる)
  • 交通教養部(交通警察に関する教育訓練をつかさどる)
  • 警備教養部(警備警察、警衛、警護及び警備実施(雑踏警備を除く。)に関する教育訓練をつかさどる)
  • 教官教養部(警察学校の教官の養成及び指導に必要な教育方法その他の専門的な知識及び技術に関する教育訓練をつかさどる)
  • 術科教養部(柔道剣道逮捕術、教練、けん銃操法、体育等の術科に関する教育訓練をつかさどる)

中野区時代には公安警察の諜報活動を統制運用する秘密部署、コードネームサクラ」が置かれていた事が判明している(日本共産党幹部宅盗聴事件)。

教育課程

  • 警察運営科:所属長任用予定者を対象とする課程
  • 警部任用科:警部昇任者を対象とする課程
  • 課長補佐任用科:県警本部の課長補佐(警部クラス)を対象とする課程
  • 初任幹部科:国家公務員採用Ⅰ種試験合格者(キャリア)が警部補に任命された際の課程
  • 行政実務科:国家公務員採用Ⅱ種試験合格者(準キャリア)が警部に昇任した際の課程
  • 術科指導者養成科:警察術科指導者を対象とする課程
  • 教官養成科:警察学校教官に予定されている警部又は警部補を対象とする課程
  • その他、警部補以上の警察官に特定の分野の高度な知識、技術等を教養する「専科」「研究科」「指定職種任用科」などがある。

特別捜査幹部研修所

特別捜査幹部研修所(特捜研)とは、上級の捜査幹部として必要な捜査の指揮及び管理その他高度の専門技術に関する研修を行う機関として、1967年(昭和42年)6月1日に創設された。全国の警察の警視または警部の階級にある者の中で、一定の捜査実務経験がある各都道府県警察本部における将来の捜査担当部課長としての適格性を有する警察官に対して約半年間の研修を年二回実施している。少人数制の教育が特徴。著名な学者、実務家、法曹等を交えたゼミナール形式の教育を行っており、全国から選抜された研修生は、捜査幹部としての実践的研修に励むと共に、捜査に関する諸問題についての共同研究を行い、その成果は「課題研究報告」としてまとめられ、警察実務の教養資料として広く活用されているところである。又、平成19年から同研修所では、特別捜査幹部養成科という短期課程の研修も年二回実施している。

国際警察センター

国際警察センターは、1985年(昭和60年)4月設置された国際捜査研修所(国際研)を前身とする組織で、2006年(平成18年)の組織改編で発足した。警察職員又は外国からの研修員に対し、国際犯罪捜査、国際捜査共助その他国際的な警察活動に関する学術の研修を行い、必要な調査研究を行うことを目的に、国際捜査第一研修室、国際捜査第二研修室及び国際協力研修室が置かれる。国際捜査第一研究室においては「警察職員に対し、国際的な犯罪捜査、国際捜査共助その他国際的な警察活動に関する専門的事項について研修を行い、あわせてこれに必要な調査研究を行う」こととされ、国際捜査第二研修室においては「警察職員に対し、国際的な犯罪捜査、国際捜査共助その他国際的な警察活動に必要な外国語について研修を行うい、あわせてこれに必要な調査研究を行う」こととされ、国際協力研修室においては「警察職員に対し、所管行政に係る国際協力に関する学術の研修を行うこと、外国からの研修員に対し、警察に関する学術の研修を行うこと、あわせてこれらに必要な調査研究を行うこと」とされている。

財務捜査研修センター

財務捜査研修センターは、警察職員に対し、財務に関する専門的な知識及び技術を必要とする捜査に関する学術の研修を行い、並びにこれに必要な調査研究を行うために、2003年(平成15年)4月に設置された。高度な財務捜査力を養うための研修の他、財務捜査、会計制度等の研究をも併せて行っている。

警察政策研究センター

警察政策研究センターは、警察に関する政策並びに学術及びその運用に関する調査研究、警察職員の研究の指導に関すること及び警察における教育訓練及び学術の研修に必要な資料に係る総合的考査及び管理に関する事務を行うために、1996年(平成8年)5月に設置された。

警察情報通信研究センター

警察情報通信研究センターは、警察通信研究センターを前身とする機関で、情報通信機器・システムの研究・開発を行うことを目的に設置されたものである。基礎研究室(警察に関する情報通信に関する研究に関する事務のうち、技術に関する基礎的な研究に関すること、警察情報通信研究センターにおいて行う研究の計画の策定に関すること、以上のほか、他の研究室の所掌に属しない事務をつかさどる)、応用第一研究室(警察に関する情報通信に関する研究に関する事務のうち、技術の応用及び開発に関する研究に関する事務(応用第二研究室の所掌に属するものを除く。)をつかさどる)、応用第二研究室(情報の管理に関する技術の応用及び開発に関する研究に関すること、犯罪の取締りのための情報技術の解析に係る技術の応用及び開発に関する研究に関することをつかさどる)の三研究室が置かれている。

附属警察情報通信学校

警察の情報通信技術に関する教育訓練を行う機関として設置され、特別教養部、情報管理教養部、通信技術教養部、応用技術教養部、情報技術解析教養部の5部が置かれている。 情報通信局の管轄である。

関連項目

  • 中野四季の都市 - 2001年に現在の府中市に移転するまで同大学校があった場所で、東京都中野区中野にある同跡地は再開発により中野四季の都市となった。

参考文献

  • 警察大学校史編さん委員会『警察大学校史-幹部教育百年の歩み』警察大学校学友会、1985年。
  • 警察大学校編『警察學論集』(立花書房)

外部リンク