島田虔次
テンプレート:Mbox 島田 虔次(しまだ けんじ、1917年(大正6年) - 2000年(平成12年)3月21日)は、日本の東洋史学者、京都大学名誉教授。1997年(平成9年)から日本学士院会員。1940年代から中国近世・近代思想史の研究を続け、その後の日本の中国近世・近代思想史研究を牽引した研究者である。
生涯
広島県三次市生まれ。広島高等師範学校附属中学校(現・広島大学附属中学校・高等学校)、広島県立三次中学校(現広島県立三次高等学校)、中華民国青島日本中学校を経て、1938年第三高等学校文科丙類卒業、1941年(昭和16年)、京都帝国大学文学部史学科を卒業する。
長野県立野沢高等女学校(現長野県野沢南高等学校)勤務を経て、1943年(昭和18年)、東方文化研究所(現京都大学人文科学研究所)助手就任。東海大学予科教授を経て、1949年(昭和24年)に京都大学人文科学研究所助教授(東方部)。1969年(昭和44年)に同教授に就任する。1975年(昭和50年)に京都大学文学部教授に配転となる。東洋史学の第3講座を担当。1981年(昭和56年)、停年によって京都大学を退官、同大名誉教授及び同大人文科学研究所名誉所員の称号を授与される。
研究業績
研究の中心となるのは、中国の近世および近代の思想史である。主著である『中国における近代思惟の挫折』(1949年)は、明代の陽明学(明学・王学)の思想や意義を考究したものであった。この書に対して、当時の学界はほとんど無関心であったが、後に中国近世・近代思想史の先駆的研究とみなされるようになった。
一方、近代のヨーロッパから影響された中国思想界の展開についても研究が及び、『中国革命の先駆者たち』(1965年)や、『新儒家哲学について : 熊十力の哲学』(1987年)を著した。
また、陽明学の前提として朱子学を捉え、その研究成果として『大学・中庸』(1967年。翻訳)や『朱子学と陽明学』(1967年)を著した。
著書
※学術論文は、ほぼ以下の書物に所収。
- 『中国における近代思惟の挫折』 (筑摩書房、1949年 改訂版1970年、新版1986年/平凡社東洋文庫 上下 井上進補注・解説 2003年) ISBN 978-4582807165 & ISBN 978-4582807189
- 『中国革命の先駆者たち』 (筑摩書房〈筑摩叢書〉 初版1965年、新版1985年)
- 『朱子学と陽明学』 (岩波新書 初版1967年)-口述筆記をまとめた著作 ISBN 978-4004120285
- 『王陽明集 中国文明選6』 (朝日新聞社、1975年)
- 『隠者の尊重-中国の歴史哲学』 (筑摩書房、1997年) ISBN 978-4480842039
- 『中国の伝統思想』 (みすず書房、2001年) ISBN 978-4622031116
- 『中国思想史の研究』 (京都大学学術出版会、2002年 新版2005年) ISBN 978-4876985241