トムとジェリー
トムとジェリー(英語原題 テンプレート:En)は、アメリカ合衆国の映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー (MGM) に所属していた、ウィリアム・ハンナ (William Hanna) とジョセフ・バーベラ (Joseph Barbera) が制作したアニメーション、カートゥーン。略称は「トムジェリ」(ワーナー・ブラザーズwebサイトより)「TJ」など
その後、ジーン・ダイッチ (Gene Deitch) やチャック・ジョーンズ (Chuck Jones) らによって続編が制作されたが、ハンナ=バーベラの2人による初期の作品に対しての評価がずば抜けて高い。
目次
- 1 概要
- 2 誕生の背景
- 3 登場キャラクター
- 4 MGM製作分
- 5 ターナー/ワーナー・ブラザーズ製作分
- 5.1 トムとジェリーキッズ(1990年)
- 5.2 トムとジェリーの大冒険(1993年)
- 5.3 The Mansion Cat(2001年4月8日)
- 5.4 トムとジェリー魔法の指輪(2001年)
- 5.5 トムとジェリー 火星へ行く(2004年)
- 5.6 トムとジェリー ワイルドスピード(2005年)
- 5.7 The KarateGuard(2005年10月11日)
- 5.8 トムとジェリーの宝島(2006年)
- 5.9 トムとジェリー テイルズ(2006年 - 2008年)
- 5.10 トムとジェリーのくるみ割り人形(2007年)
- 5.11 トムとジェリー シャーロック・ホームズ(2010年)
- 5.12 トムとジェリー オズの魔法使(2011年)
- 5.13 トムとジェリー ロビン・フッド(2012年)
- 5.14 トムとジェリー ジャックと豆の木(2013年)
- 5.15 トムとジェリー ショー(2014年)
- 5.16 トムとジェリーと迷子のドラゴン(2014年)
- 6 劇中で使われたアイテム類
- 7 日本でのテレビ放送
- 7.1 トムとジェリー(TBS版)
- 7.2 新トムとジェリー
- 7.3 おかしなおかしな トムとジェリー 大行進/トムとジェリー大行進
- 7.4 トムとジェリーとゆかいな仲間
- 7.5 トムとジェリー(新日本語吹替版)
- 7.6 トムとジェリー(カートゥーン ネットワーク版)
- 7.7 トムとジェリー(BSプレミアム版)
- 7.8 ポップコーン
- 7.9 トムとジェリー テイルズ (カートゥーン ネットワーク・地上波・BSプレミアム版)
- 7.10 トムとジェリーの宝島
- 7.11 トムとジェリーのくるみ割り人形
- 7.12 トムとジェリー シャーロック・ホームズ
- 7.13 トムとジェリー オズの魔法使い
- 7.14 トムとジェリー ロビン・フッド
- 8 日本で発売されたビデオ・LD・DVD
- 9 関連作品
- 10 その他
- 11 参考文献
- 12 脚註
- 13 関連項目
- 14 外部リンク
概要
体が大きく凶暴だが、おっちょこちょいでどこか憎めない部分のあるネコのトムと、体は小さいが頭脳明晰で、追い掛けてくるトムをことも無げにさらりとかわすネズミのジェリーのドタバタを、ナンセンスとユーモアたっぷりに描いたアニメ作品で、アカデミー賞を幾度となく受賞。日本でも、1964年にTBS系列で地上波初公開されて以来、幾度も繰り返し再放送、ビデオとDVDも数多くリリースされ、現在に至るまで愛され続けている、非常に馴染みの深い作品である。PlayStation Portable向けのUMDとしてもリリースされており、こちらはワーナーのUMD980円キャンペーン時に最も高い売り上げを記録した。なお日本のテレビ放送ではテレビ朝日版の「新トムとジェリー」を除きトムとジェリーの双方に声優が付いたが、元々は例外的な一部作品を除いて明確なセリフはほぼなく、ナレーターの他は叫び声や効果音・音楽のみ(まれに歌声)で構成されていた。
また、現在ではぬいぐるみや文房具など、キャラクター商品でも人気が出ている。作品をモチーフにしたCM(日本生命の保険口座「生きるチカラ」)も放映されたほか、人気が非常に高い上、子供からも親しまれるキャラクターのため、横浜銀行(神奈川県)・鳥取銀行(鳥取県)・みちのく銀行(青森県)・十六銀行(岐阜県岐阜市)・四国銀行(高知県)・佐賀銀行(佐賀県)等一部の金融機関、西日本旅客鉄道(JR西日本)のコーポレートキャラクターにも採用されている。
キャラクターゲームとしてもたびたび題材に選ばれるなどしている。
誕生の背景
1930年代後半、当時アメリカでアニメーション(カートゥーン)の分野では、ウォルト・ディズニー・カンパニーが人気面で先頭を走っており、他の映画会社が負けじとカートゥーンを手掛けはじめていた。MGMも例外ではなく、新しいカートゥーンを創るべく、ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラの2人のアニメーターに製作を依頼した。当初、この猫と鼠の追い掛けっこをモチーフにしたカートゥーンは、現場サイドでの評判は決して良くなかったと言われている。
1940年に第1作目「上には上がある」("Puss Gets the Boot") をアメリカで公開。公開当時、テンプレート:En というタイトルは付けられておらず、トムは「ジャスパー (Jasper)」、ジェリーは「ジンクス (Jinx)」という名前だった。製作も、お馴染みのハンナ=バーベラの2人の連名ではなく、ルドルフ・アイジング (Rudolf Ising) という、全く別の製作者の名前が冒頭で公開されていた。しかしいざ公開すると、この作品の人気が瞬く間に上昇し、ハンナ=バーベラの2人のアニメーターの名をアメリカ中に轟かせる結果となった。
風刺映画として始まった
もともとトムとジェリーは、新聞の4コマ漫画や風刺漫画のような、大人向けのコミカルな風刺物の劇場用短編作品として公開されていた。アメリカでテレビ放送が開始されたのは1941年であり、放送開始後もしばらくは裕福な家庭しかテレビは所持できなかった。従って当時はアメリカに限った話ではなく、映画館では典型的な娯楽映画以外にもニュース映画などの、現在ではテレビ番組として放送される内容も映画館で上映されており、これらの上映時のフィルムの架け替えの時間を埋める作品として製作された。1話の時間10分弱程度と短い(1カートン)のはそのためである。日本ではテレビ用に映画版のフィルムであったものに台詞を吹き替え解説を入れたりして毎週(再放送では毎日も)放送されたテレビアニメシリーズとしたものが最も良く知られているが、本来はMGM系の劇場用長編映画の添え物として作られており,年に数本の不定期製作であった。 従って、公開年次と内容をよく観察すると、作品一つ一つにその当時の社会風俗の描写、あるいは社会風刺が入っている。また制作された時代にヒットしていた実写映画のオマージュやパロディ作品もある。
風刺には、大都会へ上京したジェリーが、結局は都会に馴染めずに郊外の田舎に戻るといった分かりやすい物(イソップ物語の説話「田舎のネズミと町のネズミ」のパロディ)から、感謝祭のごちそうをめぐって、インディアンの扮装をしたトムが、入植した英国人に扮したジェリーと争った末で白旗を揚げる話、閑静な住宅街に住む黒人女性のお手伝いさん(日本語版のナレーションより)が飼い主として描写されているエピソードといった、現代の視点では一見気づきにくいが、実は微妙な描写まで様々である。
そもそも、タイトルの「トムとジェリー」自体が、アメリカ(あるいはイギリス)とドイツの当時の俗称である(トムとジェリー (曖昧さ回避)も参照のこと)。日本の視聴者にもわかりやすい事例としては、ハンナ=バーベラ第2期ではロッキード事件を風刺したセリフがある。なお、戦時中の作品「勝利は我に」では、これとは逆にジェリーがアメリカ兵、トムがドイツ兵に扮してかなり容赦ない「戦争」をした。
現代では、アメリカでも、普通のスラップスティックなアニメとして鑑賞されることも多いが、ある程度の年配者やアメリカの社会風俗を学んでいる人に対して、トムとジェリーを幼年向けのアニメ文化という前提で話すと困惑されることもある。
登場キャラクター
トム
- 吹替 - 八代駿(TBS版)→ダン小路/肝付兼太(VHS・DVD版)→肝付兼太(新作、ヘラルド・ポニー版)、高橋和枝(おかしなおかしな トムとジェリー 大行進)、高木渉(新トムとジェリー)、富山敬、堀内賢雄/肝付兼太(『ポップコーン』枠)
ドタバタコンビの一方。猫。正しくはThomas Cat(トーマス・キャット)だが、ほとんどの作品ではTom Cat(トム・キャット)と表記されていることが多い(注:もともとTom Catとは猫の種類「とら猫」を意味する)。色はグレーまたは水色。製作時期により顔の形、色が若干異なる。 時に毛皮を刈り取られたとき、下着(?)としてランニングシャツと猿股を着用する(ブッチはじめ他のネコは、猿股だけか下着そのものを着ないことが多い)。二足歩行ができ、身長は人間の腰ほどもあって、子犬やハイハイをしている人間の赤ん坊を片手でつまみ上げられるくらい大柄である。 お手伝いさんにネズミを捕まえるよう頼まれ、ジェリーを捕まえることになった。 親族は、容姿はトムと瓜二つだが、ネズミ恐怖症のいとこ・ジョージがいる。飲酒や葉巻を吸っているシーンから、人間年齢では成人していると推測される。作品によっては、世界猫連盟の事務総長、ねずみ取り選手権のチャンピオンだったりする。
ジェリーのライバルにして親友。彼との追いかけっこ=喧嘩は大抵トムの負けで終わるが、稀に勝ったり引き分けたり共闘するときもある。ジェリーを見つけるととにかくいじめようと追いかけるが、そこを反撃されて負けるパターンが多い。要は調子に乗りやすいタイプ。初期作品では本気でジェリーを殺そうとしたり、ジェリーに助けられてもすぐに裏切るなど性格の悪さも目立ったが、後発作品ではだいぶ性格が丸くなっている。 ジェリーを初めに、基本的に小動物は獲物とみなして追いかけまわす猫らしい性格をしているが、自らになついたアヒルの子のためにアヒル母になりきる、落雷の日に放り出した子犬を心配して連れ戻す、孤児に扮したブッチを可愛がる、飼い主の赤ん坊を(ジェリーと共に)死ぬ気で守り通すなど、お人よしかつ優しい面も持つ。なにより、ジェリーに関してはそのセンチメンタルな面が強くでるようで、ジェリーが苦しがるふりをした際、急いで「救急箱」を持ってきたり、出て行ったときは寂しそうにしたり、さらにはジェリーが死んだと勘違いした際には泣き出したりしたこともあった。何かのアクシデントで追いかけっこがなあなあに終わった時など、わざと自分に攻撃させてから再戦開始させようとしたりするほど、彼にとって追いかけっこは大切なことらしい。クリスマスプレゼントをあげたり、時には休戦して、一緒に出かけたりもするのでまさに「仲良く喧嘩」している。 ただし雌猫(トゥードル他)に対しては非常に惚れっぽく、その場合は他の何事も目に入らなくなるようだ。親友でもある野良猫のブッチとは恋の鞘当てを演じることもある。 ミルクと魚(缶詰類も含む)が大好物だが、ジェリーの大好物であるチーズは匂いがダメらしく、苦手である。
非常に多才な猫である。芸術面では音楽の才能に長けている。特にピアノの演奏は絶品で、足の指でリストを弾け、野良猫仲間とは見事なジャズセッションをする。指揮者としての才能はドタバタ劇の末、ジェリーに負けてしまう。また、オーケストラの楽器の大半をこなすことができるほど、楽器への順応性が強い。歌声には自信が無かったと見え、レコードの口パクでごまかしていた。しかし後に克服したらしく、人気絶頂のバリトン歌手として、大舞台でセビリアの理髪師・「町のなんでも屋」を熱唱する。
運動神経も異常に良く、テニス、ボウリング、サーフィン、ビリヤード、やり投などレパートリーも広い。特にビリヤードではプロ顔負けのドローショット(引き球)を披露する。またバンクショットの名手であり、イージーボールでも必ずクッションを使う。ただし、ゴルフはPAR4のホールで33打たたくなど、得意ではないようだ。水泳も大の苦手で、川に落ちて溺れたところを、食べようとしていたアヒルに救われるほどだった。しかし新作などで普通に泳いでいることから、現在は克服しているようである。
このように非常に器用なため、軽業のような芸当にも秀でており、ジャグリングなどを披露することもしばしばだが、これは専らジェリーに遊ばれている時に急場を凌ぐための芸当であることが多く、大抵は途中でジェリーに邪魔されて散々な結果に終わる。また、倒立の状態で、手の指だけで進むことができる。他にもアニメ的演出として、ジェリーの家の穴やビリヤードのポケットなど、空間をねじ曲げることができる。物を作るのには才能があるらしく、作品によってはネズミ捕り機(失敗)やレースカー、ロケットなどを作ったことがある。
ジェリーの仕掛けた罠によく尻尾や指を挟まれ(あるいは鋭い針で突き刺されて)、すさまじいまでの断末魔のような叫び声をあげる。大きく分けて「アォアォアーッヒャホホホゥ!」「アアアアアアアーーー!」の2種類がある。この叫び声が、トムの被った傷みの度合いを表現しているといえる。また、ジェリーにはセロリと一緒に指を食べられたことがある。
マッチを擦るときは自分の尻で擦る。ただしこれはトム特有ではなく、ジェリーも同様に自分の尻を使うことがある。なお1940年当時のマッチは黄リンを使用しているため、何に擦っても火が点いた。
「首を切断させられる」・「車に轢かれる」・「高い場所から落ちる」・「大爆発に巻き込まれる」・「破裂させられる」・「全身が燃えて黒こげになる」・「頭に大きなものがめりこむ」などの行為によっても死なない不死身の猫である。また、分断されたしっぽをきれいにつなげ、その部分を握りしめることで傷跡が残ることなく修復する、というあり得ない生命力も持っている(しかし、ジェリーの隠れ家の前に多数の大型爆弾を仕組んだところ、ジェリーに逃げられ、自分だけ爆死する話もある)。しかし階段から落ちたピアノの下敷きになり、臨死体験をしたことがある。
なお、作中で登場する他の動物が人語を話す場合があるのに対し、トムはセリフをめったにしゃべらないキャラクターとして設定されており、必要な場合は筆談を用いることもある。日本語版では、日本の視聴者に対しての説明のため、筆談のため英語でトムが書いた文章を、日本語のセリフでしゃべる場合があるが、ヘラルド・ポニー版には日本の視聴者に対しての説明されているが、筆談のため英語でトムが書いた文章を、日本語のセリフでしゃべっていない。
ジェリー
ドタバタコンビの一方。鼠。正しくは"Jerry Mouse (ジェリー・マウス)"。色は茶色。 劇中、ハツカネズミに間違われることもある。 親族としては従兄弟のニブルスやマッスル、伯父など、トムと比べて多く存在する。飲酒や葉巻を吸っているシーンから、こちらも人間年齢では成人していると推測される。
トムのライバルにして親友。彼との追いかけっこは、大抵ジェリーの勝利で終わる場合が多い。時に負けることもあるが、直接的な被害をこうむることはあまりなく、話の中には引き分けや共闘もある。圧倒的な勝率を誇り、トムの攻撃を完封することもしばしばあるが、ほとんどの物語では、序盤または中盤では劣勢なものの、そのすぐれた頭脳を使い、トムの仕掛けてきた攻撃を逆手に取って反撃をし、最後に巻き返す作品が大半である。ジェリーが敗北する作品は実に10本に満たない。 トムに悪戯をすることが大好きで、わざわざ危険を冒してまで彼を怒らせているときもしばしば。ややちゃっかりしたところがあり、トムが単独で美味しい思いをしていると、便乗するためにやってくることも多い。 鼠以外の小動物とは、サイズゆえかすぐに仲良くなれる上、ライオンのような巨大な生き物にも懐かれることが多い。前者はトムに襲われているところを助けて共闘し、後者は窮地を助けて恩返しに来てくれるパターンが多い。鼠嫌いの人・猫以外の動物に対しては好かれるようだ。 トム同様、実はトムがいないと非常に寂しがるセンチメンタルな面も持ち合わせている(そもそも追いかけっこ自体、彼の方から無理にでも仕掛けている時がある)。このため、トムが家から追い出されるとトムが家に戻れるように画策したり、トムが自分ではなく雌猫を追うようになると、恋路を妨害することもある。 チーズが大好物だが、別段偏食はしない。
トムと同じく多才で、やはり芸術面・体力面などで才能を発揮する。そしてその悪戯好きな性格で、トムが演奏会に出たり、大金を手に入れたりするとありとあらゆる方法で邪魔をし(時に同じ土俵の上で戦い、実力で負かしたりして)、最後は台無しにしてしまう。 文筆の才能に秀で、常日頃から日記をつけている(『ジェリーの日記』)他、自ら手掛けた小説が大ヒットし、5万ドルの印税を手にしたこともある(トムと折半)。書籍類も数多く持ち合わせており、身の丈にあったミニサイズから巨大な辞典まで家からひっぱりだしてくる。 田舎暮らしをしていた時に一度、都会に出たことがあったが、都会の喧噪に嫌気がさして一晩で戻ってきてしまったことがある。
体力面では、サイズゆえかトムに比べると息が切れやすいが、小回りが利き速い。体に似合わぬ怪力ではあるが、普段はトムより下らしい。だがニブルスをトムがいじめたときなど、激怒した時には脅威的な力を発揮することもある。 空手や柔道などの格闘技の素養もある。両利きである。剣の腕前はトムと互角だが、ニブルスが加わることにより、加勢というよりはジェリーの邪魔ばかりしているがトムに勝ってしまう。また、ダンスの腕も一流である。机の脚や壁の端から、片足だけを出してトム他を転ばせる技もある。
普段はマッチ箱や菓子の箱などを利用した家具、オイルサーディンの缶でできたベッドのある(両親らしき写真も飾ってある)壁の半楕円形の鼠穴に住んでいるが、その旺盛な食欲を満たすために冷蔵庫や食卓を蹂躙する。また、家中のありとあらゆる場所に非常口とその経路を張り巡らせており、金庫の中さえも進入することができる。これによって、トムの隠したミルクを強奪したこともあった。 この巣穴にはトム撃退用の様々な仕掛けが施されていることもあり、扉がついていたりファスナーで閉じられるものや、コンセントの非常口や壁の隠し扉もある。
いかなる場所に閉じ込められても必ず脱出できるという特技を持つ。その脱出劇はイリュージョンさながらであり、トムをたびたび驚愕させる。理由としては、前述の脱出口の存在や、携帯できるのこぎりのようなものを常備しているとも考えられる。トムがジェリーを飲み込んだ話もあったが、その時はジェリーはトムの鼓膜を破って脱出している。 トム同様に「重たい物に押しつぶされる」・「高い場所から落ちる」、または、トムのいたずらで散々な目に遭うなどの行為によっても死なない不死身の鼠である。しかしトムによって冬の屋外に放り出された時は、低体温症で氷菓のようになり凍死しかけことがあるが、その時トムは自分の行いを反省し、ジェリーを救出することで事無きを得た。
トム同様に人語をめったにしゃべらないキャラクターとして設定されているが、日本語版では同じく文章をセリフとしてしゃべる場合があるが、ヘラルド・ポニー版では同じく文章をセリフとしてしゃべっていない。また、一部のパブリックドメイン版DVDでは声に加工が施してある(声優は不詳)。
脇役
トムとジェリーを語る上で重要視されているものに、脇役の存在が挙げられる。事実、ハンナ=バーベラ第1期には、ニブルスやスパイク、ブッチなど、個性的な脇役たちによって、話を盛り上げていくこともしばしばあった。なお、トムとジェリーが人語をめったにしゃべらないキャラクターとして設定されているのに対し、脇役の動物の中にはセリフをしゃべる者もおり、中にはテレビ出演して歌を歌った者すらいる。
メイン
- ニブルス/タフィー(ジェリーの従兄弟、または孤児)
- 吹替 - 藤田淑子(TBS版)→小桜エツコ(VHS・DVD版)→前田ゆきえ/小桜エツコ(トムとジェリー テイルズ)
- 主にジェリーの従弟として登場する灰色の幼い鼠。名前は基本的に「ニブルス」であるが、媒体によっては「タフィー」という名前で登場する場合もある。また、インディアンの恰好をして、2匹登場することもある。おむつを着用している点が特徴的。大変な大食らいで、七面鳥の丸焼きを一瞬で骨に変えてしまう。ジェリーとともに、トムとフェンシング対決をすることが多い。
- ニブルスの大食らいっぷりを見受けられるのは、アカデミー賞受賞作品の「台所戦争」がある。まずネズミ取りにかかったチーズを丸呑みした後、トムのミルクを一滴残さず飲み干し(この時トムに見つかりそうになったが、ジェリーのおかげで難を逃れた)、さらに感謝祭の食卓のロウソクにまでかじりついた。
- このキャラクターの登場する話は、数あるトムとジェリーの話でも特にドタバタの激しい点が挙げられる。アカデミー賞を獲得した「パーティ荒しテンプレート:Enlink」などは、その最たる例と言える。「我こそ勇者」ではニブルスの方がリーダーシップを取っていると見受けられる描写がある。
- なお、ジェリーの従兄弟にはニブルスの他にもう一匹腕力の強い「マッスル(Mr.ダイナマイト)」がいる(後述)。
- スパイクとタイク(ブルおじさんと息子)
- スパイクの吹替 - 北村弘一(TBS版)→宝亀克寿/島香裕(VHS・DVD版)、滝口順平/緒方賢一/玄田哲章(ヘラルド・ポニー版)、渡部猛(トムとジェリー キッズ)
- ブルドッグの親子。スパイクはもともとは凶暴なキャラクターとして登場したが、登場回数を重ねていく毎に性格が次第に丸くなっていった。子供を授かったあとその傾向が強い。子供のタイクを授かっているが、なぜ子供が誕生したのかは謎のままである。骨を好物にし、しばしばそれを舐めているが、この骨を巡るドタバタ劇もある。怪力で努力家であるが、割と間抜けな面も持ち合わせている。諸般の事情でトムをしばしば目の仇にするが、これを出し抜こうとするトムとのやり取り(更にこの試みを邪魔するジェリー)を軸に展開するストーリーも多い。ジェリーとは比較的友好関係にある場合が多いものの、そのジェリーによっても散々な目に遭うこともある。
- なお、登場する話によっては、スパイクという名前ではなく、キラーやブッチ(トムの悪友の名前)という名前で登場することもある。また、「天国と地獄」では、地獄の釜茹での番人役も務めている。毛皮は灰色であるが、服のように脱いだりすることができ、左腕をまくり上げた下には、船乗りのような碇のマークがある。
- 彼らが登場する回で、トムが勝利した作品が二作ある(命の恩人、止まらないシャックリ)。ごくまれにだが、トムと共同戦線を張ることがある。
- 実力からして向かうところ敵なしのように思われるが、後述の「アリの群れ」には物語で唯一完敗している。
- 初登場時の「共同作戦」ではかなり凶暴でトムはおろか、ジェリーにも吠え付いた。
- 後にスパイクとタイクは「スパイクとタイクテンプレート:Enlink」という作品でスピンオフしている。
- トムの悪友(ブッチ他)
- ブッチの吹替 - 鹿島信哉(TBS版)→田中亮一→西村朋紘
- 悪友の代表格である野良猫のブッチ(黒猫、時に赤毛)はしばしばトムと恋人を巡って争う関係で、自信家で喧嘩も強い。どちらがジェリーを食べるかで揉めることもあるが、一緒に遊ぶこともある。テニスもうまい。ブッチが単独で登場する際は、最初に、「虹の彼方に」("Over the Rainbow") を口ずさんでいたり、BGMとして流れたりすることが多い。
- その他にも、赤い猫や茶色い猫、灰色の子猫など、複数の野良猫が登場する。ブッチ同様に敵として登場する回もあるが、仲間として登場する回もあり、彼らとのパーティーで行ったジャズセッションはかなりのものだった。赤い猫は「ジョー」、茶色い猫は「フランキー」と呼ばれていたシーンが存在するが、これらのキャラクターは話や翻訳によって名前が変わることがあるので、正しい名前は定かではない。
- お手伝いさん/ミセス・トゥー・シューズ
- 吹替 - 片岡富枝(VHS・DVD版)、加藤悦子(トムとジェリー テイルズ)
- 登場すると足や手しか見えない、全身が出たのは後姿とシルエットのみの、かなり大柄で気の強い黒人女性。普段は顔が出てくることはないが、「土曜の夜は」では、ジェリーからの通報で自宅でパーティーをしているトムとその悪友達を追い出すために自宅に走り帰った際に一瞬顔が見えている。服装はスカートを何十枚も履いており、ジェリーが出たらイスに飛び乗り、その大量のスカートを1枚ずつまくり上げ、避難する。トム(トーマスと呼ぶことが多い)の飼い主だが、イタズラしたトムには容赦がない(実際の犯人はジェリーだが)。腕力はお手伝いさんとは思えぬほどで、第一作の「上には上がある」以降再三トムに容赦なくお仕置きをしている。また外野手顔負けの遠投の名手でもあり、地平線の彼方へと逃げるトムに石炭を投げつけて見事に命中させたことがある。また、2階の階段から平然と飛び降りたこともある。ネズミが大嫌いなため悲鳴を挙げてしまうほどで、しばしばトムとジェリーの追い掛けっこに巻き込まれては散々な目にあっているほか、時々ジェリーにからかわれている。しかしそれでもジェリーを家から追いだしたことがある。お手伝いさんというわりには家でパーティーの準備するなど、まるで自分の家のように振舞うこともしばしばある。コントラクトブリッジに目が無いようで、その際にはお手伝いさんとはとても思えないような豪華な宝飾品を身につけている。寝室は家の二階。入れ歯をしているらしいが、いつでも元気いっぱいである。
- 「人造ネコ」を最後に長らくトムとジェリーの作品には登場しなくなり、トムをお仕置きする役回りは後述の「主人」に明け渡される形になるが、「トムとジェリー テイルズ」において「ミセス・トゥー・シューズ(足だけおばさん)」として数十年ぶりの再登場を果たした。ただし、テイルズ版のミセス・トゥー・シューズは大柄で気は強いが、白人女性である。
その他
- 雌猫(トゥードル他)
- 吹替 - 荘司美代子(TBS版)→津村まこと/岡村明美(VHS・DVD版)
- 優美な白猫で、主にトムとブッチを誘惑しては、彼等の友情と恋仲を天秤に掛けさせる存在。ちょっと太目で子供っぽいトゥーツなど複数が登場する。トムのガールフレンドとして登場する事もあるが、時々ジェリーとも仲が良かったりする。「バラ色の人生」で初登場。
- 金魚
- 金魚鉢などに住んでいる。ジェリーと親友であることが多いが、ブッチが狙っており、主人に怒られることを怖れたトムが守ることもある。トムがたまたま聞いていたラジオ番組に感化されて食べようとしたこともある。
- アヒル
- 吹替 - 荘司美代子(TBS版)→南央美(VHS・DVD版)
- 水鳥ながら全く泳げなかったり、トムを母親と思い込んだり、童話を読んで鬱になり自殺願望からトムに食べられたがったり、アヒルは冬になると南へ飛ぶものだと思い込んだりするなど、登場する話によってキャラクターも様々な子供のアヒル。黄色い毛で、いずれの回でもジェリーを慌てさせる。ぐちっぽくて傍迷惑な泣き虫であることが多い。また、猫をも恐れぬ気の強い母親アヒルや猫の方が恐れる力の強い父親アヒルもいる。
- カナリア
- 吹替 - 荘司美代子(TBS版)
- 勇敢な性格で、ジェリーの友達。ジェリーの危機にボウリングの球をつかんで飛ぶなど、意外と力持ちである。物理が得意。
- キツツキ
- 木製製品なら何でも粉々にしてしまう嘴を持つキツツキの子供。生まれたばかりの時にジェリーを見て、刷り込みで母親と思い込む。数学が得意。
- 子ガモ
- 吹替 - 大谷育江(VHS・DVD版)
- 非常にお喋りで落ち着きのないカモの子供。仲間と渡り中、トムに猟銃で羽を撃たれ墜落した所をジェリーに介抱される。
- 主人(男性・女性)
- 吹替 - 小林清志・荘司美代子(TBS版)→八代駿・滝沢ロコ(VHS・DVD版)
- 白人夫婦。「忍法ネコだまし」の回によれば、妻の名は「ジョニー(但し、カードに書かれた綴りは「JOAN」)」。2人の間に赤ちゃんもいるようだが、あまり登場しない。夫婦でよく外出する。夫は無類のイヌ派でもあるようだが、妻は小さくか弱い生き物が好きなようだ。その点でなぜトムが飼われているのかが謎となるが、どちらもいたって動物好きのようではある。犬と猫・猫と小鳥や金魚やハツカネズミと仲良くするよう言い付けるなど少々無茶な要望をする、のんき家族である。
- 一方、「いそうろう」では、犬好きの夫に猫好きの妻が、飼っているトムとスパイクのどちらを追い出すかを巡って騒動になる。
- ブル公
- 「逃げろや逃げろ」、「ロックンロール騒動」などチャック・ジョーンズ期の作品に多く登場するブルドッグ。トムに制裁を加えたりジェリーと友好関係を結んだり等、前述のスパイクのような役回りを持つ。
- 「忠犬ブル公」や「夢よもう一度」では、ジェリーよりも体が小さいブル公が登場する。トムの掌にも乗ってしまうが、その小ささからは想像もつかないパワーを誇り、幾度と無くトムの全身を丸裸にしたり地面に埋めたりしてしまう。飼い主であるジェリーにとって頼れるボディーガードでもある。
- クリント・クローバー(短気おやじ)
- 吹替 - 島香裕
- 「自慢のバーベキュー」、「狩はこりごり」、「くたびれもうけの魚釣り」などジーン・ダイッチ期の作品に多く登場する中年男性。坊主頭の肥満体。ジェリーの仕業を何でもトムのせいだと思っていては、顔を真っ赤にして殴っている。「西部のあばれもの」では、同じ性格のキャラクター(チーズ店店主)が出ているが、顔は異なる。
- ジェニー(一部の話では「ジミー」、「ジニー」とも呼ばれている)
- 吹替 - 藤田淑子(TBS版)→大谷育江(VHS・DVD版)
- ベビーシッター(「赤ちゃんは楽だね」では娘として登場)。天然で、両親が出かけると、友達との電話のことでいっぱいになり、赤ちゃんのことを忘れてしまう上、赤ちゃんが体の上に乗っていることに気づかない。挙げ句、「自分はちょっと目を離しただけ」などと言い出す。
- 赤ちゃん
- ジェニーがベビーシッターをする赤ちゃん。ジェニーの妹か弟かわかっておらず、男の子なのか女の子なのかもわかっていない。ジェニーが電話するたびに、ベビーカーから出ていく。なぜか、ドアの隙間に入ることができる。マンションと思われる工事現場に入り込み、トムとジェリーを巻き込んで大騒動を繰り広げる。
- ジョージ
- 吹替 - 八代駿(VHS・DVD版)
- トムのいとこ。容姿はトムに瓜ふたつだが、ネズミ恐怖症。トムと団結してジェリーを撃退した。「なにがなんだかわからない」に登場。
- マッスル(一部翻訳では「ミスターダイナマイト」)
- 吹替 - 真殿光昭(VHS・DVD版)→大川透(トムとジェリー魔法の指輪)
- 「ごきげんないとこ」に登場。ホーガンズ・アレーという通りに住むジェリーのいとこで、容姿はジェリーと瓜ふたつ。深緑色の帽子と胸部に黒のラインが入った黄色い服を着ている。ネズミとは思えないほどの怪力の持ち主で、普段は近所の野良猫達を投げまわしている。ジェリーから「トムにいじめられている」との相談を手紙で受けて、トムとジェリーの家へ向かう。こてんぱんにやられたトムはギャングの猫達に助けを求めるも、その猫達をも張り倒してちり取りで外に捨ててしまい、ついにトムは降参する。その後ジェリーに自分と同じ服をあげ、トムは勘違いしてジェリーに降参し続ける。
- 「トムとジェリー魔法の指輪」にも登場しているが、こちらはニブルスやジェリーをいじめる悪いネズミとして登場。
- アンクル・ペコス
- 吹替 - 鹿島信哉(TBS版)→辻村真人(VHS・DVD版)
- 「ひげも使いよう」に登場。ジェリーのおじさんで、ギターを弾きながら歌う歌手。TV出演のためテキサスからやってきた。テキサス風の度胸と豪腕の持ち主で、演奏中によく弦を切るため、トムのヒゲを弦として欲しがり、嫌がるトムを追い回し、その反撃をものともせずに次々とヒゲを引き抜く。そしてTV出演中にも弦を切り、そのさまを観て大笑いしていたトムの最後のヒゲをブラウン管越しに抜いて演奏をしめくくった。テイルズ版では、スピナーと言う人間の妻がいる。
- ライオン
- サーカスから逃げてきた気の弱いライオン。肉は好きだが、サーカスの騒がしい音楽とポップコーンの弾ける音が嫌い。アフリカのジャングルに帰りたがる。最後はジェリーの手引きでアフリカ行きの船に乗って、アフリカへと帰る事ができた。
- イナズマ
- ジェリーを捕まえられないトムを見かねたお手伝いさんが新しくペットとして飼ったオレンジ色の毛のネコ。電光石火のごとく高スピードで移動する。一見紳士風に見える反面、その裏では冷蔵庫の食糧を食い散らかしたり、その濡れ衣をトムに擦り付けるなどズル賢い一面も併せ持つ。最後はトムとジェリーの作戦により役立たずと見なされ、トムによって家から追い出されてしまった。「強敵あらわる」に登場。
- 仔ゾウ(ジャンボ)
- 列車から転げ落ちてトムの家に入り込んだ子象。ジェリーと仲良くなる。全身にペイントを施して巨大ネズミに変装し、ジェリーと何度も入れ替わってトムを大いに混乱させた。後に探しにきた母象も同様のペイントを施して大中小のトリオとなり、猟銃まで持ち出してジェリーを虐めるトムを懲らしめるのに一役買った。
- ワシ
- トムのサンドイッチを奪った。女装したトムにメロメロになる。
- クマ
- サーカスから逃げてきた熊。音楽を聴くと寄って来て二人で踊り出す癖があり、ジェリーはその癖を逆用して、トムに追い詰められるたびにラジオから音楽番組を流してクマを呼び寄せ、トムとダンスをさせた。
- オットセイ
- サーカスから逃げ出したオットセイ(一部翻訳では「アザラシ」とも)。ジェリーと友達になる。
- 白いネズミ
- 研究所で飼われていた、新型爆弾を食べたネズミ。強い衝撃を受けると、大爆発するらしい(実際にトムが蹴ったら、町が跡形もなく爆発したが、ネズミ自体がどうなったかは不明)。ジェリーがこれのマネをして、トムを恐怖に陥れる。「恐怖の白ネズミ」に登場。
- 悪魔のジェリー
- 恐らくジェリーの心の中に潜んでいると思われるジェリーの風体をした悪魔。トムが雌猫に一目ぼれして駆け寄るやいなや登場し、ジェリーをけしかけてトムを攻撃させようとするが、ジェリーは通りすがりの雌ネズミに一目ぼれしてしまう。そして、その醜態を嘆く悪魔もまた、通りすがりの雌ネズミ形悪魔に…。
- アリの群れ
- 行進曲とともに現れる蟻。なぜか頭の部分が赤い。ステーキ肉や果物・野菜・サンドイッチなど、ありとあらゆる食料品を強奪していく。その集団力は驚異的なもので、誰も阻むことができない。また、小さい身体にしては歩く時の衝撃が非常に大きく、トムが乗っているハンモックをも地震のように揺らすほどである。先頭のリーダーと思しき蟻はラッパを持ち、隊を統率する。
- 唯一、スパイクが勝てなかった相手である。
- ドルーピー
- 吹替 - 玉川良一(TBS版)→滝口順平/緒方賢一(トムとジェリー大行進)→中尾隆聖
- 常に少し眠そうな表情をした犬(バセットハウンド)。元はテックス・アヴェリーによる短編作品のキャラクターだが、「トムとジェリー大行進」や「トムとジェリー テイルズ」、他トムとジェリーの長編映画作品で共演している。
MGM製作分
作品一覧は、トムとジェリーの短編作品一覧を参照。
ハンナ=バーベラ第1期(1940年 - 1958年)
全作品がテクニカラー製作。アカデミー賞受賞、ノミネート作品が多く並ぶ。今日フルアニメーションと呼ばれる動きのなめらかな作画が特徴。またディズニーの作品に対抗意識を持って作られた一種のディズニー短編へのパロディ作品がいくつも見うけられる。 第二次世界大戦が行われた時代には、「勝利は我に」に代表される、戦時色(国威発揚)の濃い作品も見受けられ、ヒトラーを揶揄する表現も登場する。
1955年公開の「ひげも使いよう」までは、ハンナ=バーベラの2人は監督という立場で作品製作に携わっているが(製作はフレッド・クインビー名義)、その次の「素敵なママ」以降は、製作・監督の両面で彼らがメインとして携わっている。
この時期の音楽を担当した作曲家スコット・ブラッドリーは、映像のあらゆる細かい動きにタイミングを合わせてふさわしい音楽を付けていくという、緻密な構成を備えたフルオーケストラ曲をそれぞれの作品のために書いている。同じ作品内でも場面によってジャズ風からクラシック風まで曲調がめまぐるしく変化する独特の伴奏音楽は、この時期の作品群の大きな魅力の一つである。
この時期のオープニングは実写映画と同様だが下に「CARTOON」のロゴが入るMGMのロゴ(動画)で始まり、タイトルカード、サブタイトルカード、クレジット1、クレジット2となる。著作権標記はクレジット1に入る。リニューされたかどうかは不明。また、「上には上がある」のみ、著作権標記が入らない。また、エンドカードは統一デザインとなっている。実写映画の著作権表記とエンドカードに入るMGMの社章は入らない。
1950年代後半、テレビの普及と撮影所システムの崩壊でMGMの経営は傾き始めた。しかし、トムとジェリーも予算は削られたものの人気は依然高かった。MGMは当初、アニメーションなどの短編映画もシネマスコープ化して対抗しようとしたが、やがて旧作の上映のほうが新作上映よりも儲かる事実に気付いた。その結論は、MGMのアニメーション部門の閉鎖だった。1957年スタジオは閉鎖され、1958年8月1日公開の作品が最後となった。ハンナとバーベラは独立し、ハンナ・バーベラ・プロダクションを設立する。
ジーン・ダイッチ期(1961年 - 1962年)
1960年、MGMはトムとジェリーの新作短編シリーズを再開することにし、プロデューサーのウィリアム・L・スナイダー(William L. Snyder)はチェコスロバキアのプラハに拠点を置くジーン・ダイッチ(Gene Deitch)のスタジオ、レンブラント・フィルム(Rembrandt Films)に製作させた。ダイッチとスナイダーのコンビは、シュルレアリスティックな短編13編を作った。全作品カラーフィルム製作。
この時期のオープニングは実写映画と同じMGMのロゴ(動画)で始まり、タイトルカード、サブタイトルカード、クレジットとなる。BGMは、『ごきげんないとこ』で使われたものを流用。後にTBS版で使われる統一版となる(ただし新カルメン物語のみ、カルメン序曲となる)。
この期のトムとジェリーは、唯一ラストに「メイド・イン・ハリウッド、USA」が付いていない。しかもダイッチのスタジオは東側陣営のチェコにあり鉄のカーテンの反対側だった事情もあり、スタジオがどこの街にあるかはクレジットからは完全に省略された。通常版のDVDには未収録だが1コインDVDには一部収録。
この期間の作品にはサブタイトルカードに著作権標記が入るが、リニューされたかどうかは不明。
チャック・ジョーンズ期(1963年 - 1967年)
ダイッチ製作分の最後の一本が公開されたあと、MGMは『ルーニー・テューンズ』や『メリー・メロディーズ』など、バッグス・バニーやダフィー・ダックを主人公にしたアニメーション短編シリーズで名高かったアメリカ人監督チャック・ジョーンズ(Chuck Jones)を起用することとした。ジョーンズは30年以上在籍したワーナーのアニメーションスタジオを辞し、新たに自らのスタジオである「シブ・タワー・12プロダクションズ(Sib Tower 12 Productions)」をパートナーのレス・ゴールドマン(Les Goldman)と立ち上げたところだった。
ジョーンズとゴールドマンは1963年から34本の短編を製作した。全作品メトロカラー製作。これらの作品はジョーンズの演出が特徴的である。同時期のサイケデリック・ムーブメントの影響も見られた。ジョーンズは、トムとジェリーのブランドに自分のスタイルを当てはめようとした。ストーリーラインやキャラクターの個性はあまり変わらないが、キャラクターデザインが大きく変わった。トムはボリス・カーロフのような太い眉毛になり、頬の毛もふさふさになった。ジェリーは目や耳が大きくなり、ポーキー・ピッグ(Porky Pig、ワーナーのルーニー・テューンズのキャラ)のような姿形になった。
この時期のオープニングは日本のテレビ放送でもおなじみの「ライオンの代わりにトムが吠える」MGMのロゴで、真ん中の丸が、そのまま、TOMのOになり、そのあと、JERRYのYの上にジェリーが降りてくる。この後、サブタイトルカード、クレジット1、クレジット2となる。著作権標記はクレジット1に入る(リニューされたかどうかは不明)。
シブ・タワー・12はMGMのアニメーション部門になり、MGMは1967年にはアニメーション短編の製作を停止した。ジョーンズはすでにテレビスペシャルや、ノートン・ジャスターの児童書『マイロのふしぎな冒険』の長編映画化・『The Phantom Tollbooth 』など他の仕事に取り掛かっていた。ここまでは劇場用に作られたため収録時間が6分から9分の間で一定しない。
この期にはBGM作曲家が3人いて、話の雰囲気や制作時期などに応じてEugene Poddany、Dean Elliott、Carl Brandtが楽曲を提供している。Eugeneは弦楽器や管楽器を中心とした明るめでメロウな曲調を、Deanはブラスが幅を利かせた、時に軽快、時に激しい曲調の楽曲を、Carlは金管や木管を基調としたジャズおよびロックンロール調の楽曲を得意としており、3人それぞれ強い個性を放っているが、いずれの作曲家もBGMと映像がシンクロした繊細かつ流麗な劇伴音楽を書くという意味では共通している。
テレビでの放送(1965年 - )
1965年以降、ハンナ=バーベラ第1期の作品がCBSで土曜の朝からテレビ放映され人気を博した。チャック・ジョーンズの製作班はテレビ放送や政治的正しさへの配慮のために黒人のお手伝いさんをロトスコープで取り除き、白人女性に入れ替える描き直し作業や声の差し替えも行っていた(近年の再放送では描き直し前の黒人のお手伝いさんが放映されているが、声はステレオタイプな黒人英語を和らげている)。また、テレビ向けには暴力的とされたアクションも編集で削られた。CBSは1967年から放送を日曜に移し、1972年9月まで放送した。
近年アメリカやイギリスのカートゥーン ネットワークやBOOMERANGで放送を行っているが、トムが喫煙しているシーンで視聴者からの「教育上良くない」という意見が理由で削除されたケースが問題化している。
ハンナ=バーベラ第2期(1975年 - 1977年)
『The New Tom & Jerry Show 』というタイトルでテレビシリーズとして製作。ABCで土曜の朝のカートゥーン枠に放送され、再びハンナとバーベラが製作にあたることになった。日本では『新トムとジェリー』のタイトルで放映された。テレビの厳格な暴力描写の規制のため、トムとジェリーが喧嘩をせず、一緒に冒険に出るなどストーリーは大きく変わった。またトム、ジェリーとも蝶ネクタイを着用している。これ以降の短編作品群はテレビでの放送を考慮して収録時間がきっちり7分となった(The KarateGuard(劇場用)のみ8分)。全作品カラーフィルム製作。現在、日本ではDVD未発売。
この時期の作品には著作権標記が入り、保護期間中。
トムとジェリー大行進(1980年 - 1982年)
『The Tom and Jerry Comedy Show 』の名前で1980年にテレビ向けに制作された短編作品群。1983年までの間CBSで繰り返し放送された。日本では『トムとジェリー大行進』内で放送されたが、日米共にDVD発売予定が無い。MGM名義で制作された最後の作品群となった(フィルメーションと合同)。全作品カラーフィルム製作。
この時期の作品には著作権標記が入り、保護期間中。
ターナー/ワーナー・ブラザーズ製作分
1986年にCNN創業者テッド・ターナーがMGMを一時的に買収し、このとき「トムとジェリー」も含む古いMGM作品の権利(旧作、及び、新作製作権)がターナーの手に移ったため、以後シリーズはターナー系列の会社(1996年より、タイム・ワーナー)で製作されるようになった。
これらの作品は「エグゼクティブ・プロデューサー」としてハンナとバーベラの2人が関わっており、2001年のハンナが死去後の作品はバーベラが単独で担当した。
尚、2006年のバーベラが死去後の作品(『トムとジェリー シャーロック・ホームズ』以降の作品)には「キャラクター制作」としてハンナ=バーベラコンビがクレジットされている。
☆はカートゥーン ネットワークで現在放送している作品。 ★は過去にカートゥーン ネットワークで放送された実績のある作品。
トムとジェリーキッズ(1990年)
『トムとジェリーキッズ』☆は、1980年代から1990年代にかけて続いた、「クラシックなトゥーンキャラを大人から子供に変えて再利用する」という風潮に伴い、トムとジェリーも子供バージョンが作られることになった。トムとジェリーの幼年期を描いたアニメ作品。原題は『Tom and Jerry Kids Show 』。ハンナ・バーベラ・プロダクションとターナー・エンタテインメントの製作、FOXでの放送。全作品カラーフィルム製作。VHSでは発売されたがDVDは未発売。日本ではCNで放送されている。
トムとジェリーの大冒険(1993年)
『トムとジェリーの大冒険』☆は、初の劇場版長編作品。原題は『Tom and Jerry: The Movie 』。カラーフィルム・スタンダード・サイズ製作。ヘンリー・マンシーニの遺作となった。日本語吹き替え版では篠原涼子と小林幸子がゲスト声優として参加している。VHS・DVDが発売中。
The Mansion Cat(2001年4月8日)
『The Mansion Cat 』★は、2000年に60周年記念に製作されたTV向け短編作品。日本ではカートゥーン ネットワークの『カートゥーン カートゥーン ショー』で2001年4月20日に放送。デジタルビデオ製作。DVD未収録。
トムとジェリー魔法の指輪(2001年)
『トムとジェリー魔法の指輪』☆は、初のOVA長編作品。原題は『Tom and Jerry: The Magic Ring 』。デジタルビデオ製作。ハンナの遺作となった。この作品以降ワーナー・ブラザーズ・アニメーションがアニメ制作を行っている。
トムとジェリー 火星へ行く(2004年)
『トムとジェリー 火星へ行く』☆は、OVA長編作品2作目。原題は『Tom and Jerry: Blast Off to Mars 』。デジタルビデオ・ハイビジョン製作。専門チャンネルであるカートゥーンネットワーク放送では、画面左右両端をカットし、画面アスペクト比率が地上波アナログ放送と同じ4:3となっている。ひかりTVビデオ・サービスでは、字幕スーパー版がハイビジョン画質(画面アスペクト比率16:9)で登録・配信している。
トムとジェリー ワイルドスピード(2005年)
『トムとジェリー ワイルドスピード』☆は、OVA長編作品3作目。原題は『Tom and Jerry: The Fast and the Furry 』。デジタルビデオ・ハイビジョン製作。
The KarateGuard(2005年10月11日)
『The KarateGuard 』★は劇場版作品2作目にあたる短編作品(8分)。アニー賞ノミネート。劇場用の短編作としては現時点で最終作。日本ではカートゥーン ネットワークの『カートゥーン カートゥーン ショー』で2006年1月27日に放送(『カウ&チキン/I amウィーゼル』との併映)。デジタルビデオ製作。DVD未収録。
トムとジェリーの宝島(2006年)
『トムとジェリーの宝島』☆は、OVA長編作品4作目。原題は『Tom and Jerry: Shiver Me Whiskers 』。デジタルビデオ製作。画面アスペクト比率は、地上波アナログ放送と同じ4:3。
トムとジェリー テイルズ(2006年 - 2008年)
『トムとジェリー テイルズ』☆は、30年振りに製作を再開した短編作品群。テレビシリーズ。CWテレビジョンネットワークで放送。原題は『Tom and Jerry Tales 』。全作品デジタルビデオ製作。この作品ではバーベラがエグゼクティブ・プロデューサーを担当している。
トムとジェリーのくるみ割り人形(2007年)
『トムとジェリーのくるみ割り人形』☆は、OVA長編作品5作目。原題は『Tom and Jerry: A Nutcracker Tale 』。デジタルビデオ・ハイビジョン製作。バーベラの遺作となった。
トムとジェリー シャーロック・ホームズ(2010年)
『トムとジェリー シャーロック・ホームズ』☆は、作者死後作品。OVA長編作品6作目。原題は『Tom and Jerry Meet Sherlock Holmes 』。デジタルビデオ・ハイビジョン製作。
トムとジェリー オズの魔法使(2011年)
『トムとジェリー オズの魔法使』☆は、作者死後作品。OVA長編作品7作目。原題は『Tom and Jerry and the Wizard of Oz 』。デジタルビデオ・ハイビジョン製作。
トムとジェリー ロビン・フッド(2012年)
『トムとジェリー ロビン・フッド』☆は、作者死後作品。OVA長編作品8作目。原題は『Tom and Jerry: Robin Hood and His Merry Mouse 』。本作からの日本語吹き替えでは、ヘラルド・ポニー版と同じ英語版のようなコミカルがなされた。デジタルビデオ・ハイビジョン製作。
トムとジェリー ジャックと豆の木(2013年)
『トムとジェリー ジャックと豆の木』☆は、作者死後作品。OVA長編作品9作目。原題は『Tom and Jerry's Giant Adventure 』。デジタルビデオ・ハイビジョン製作。
トムとジェリー ショー(2014年)
『トムとジェリー ショー』☆は、トムとジェリー テイルズ以来8年ぶりの新作テレビシリーズ。原題は『Tom and Jerry Show 』。デジタルビデオ・ハイビジョン製作。
トムとジェリーと迷子のドラゴン(2014年)
『トムとジェリーと迷子のドラゴン』は、作者死後作品。OVA長編作品10作目。原題は『Tom and Jerry: The Lost Dragon 』。デジタルビデオ・ハイビジョン製作。
劇中で使われたアイテム類
劇中で使われるアイテムは「トムとジェリー」のドタバタを盛り上げるのに非常に欠かせないものとなっている。なお、広義でアイテムの意味を捉えれば、トムの尻尾もアイテムに含めうるかもしれない。他のカートゥーンでも同様の用法で登場するものが多い。
工具、小道具系
- ばね式の鼠取り
- 大抵は餌としてチーズが乗っかっている。初登場は第3話。掛かるのはトムの尻尾や指がほとんど。ジェリーは逃走する際に引っ掛からないように自分の尻尾をつかむことがある。羽根が触れただけで作動するほど感度が高いが、ジェリーの場合どんなに弄り回しても全く作動しない。『ジェリーとジャンボ』では大ネズミ(実は子象のジャンボが化けたもの)を捕らえようと、トムが巨大なものを用意した。
- 蝿叩き
- ジェリーを叩く道具。「あべこべ物語」ではジェリーが使用したこともあった。
- 金槌・木槌
- 金槌はジェリーが、木槌はトムが主に使用する。金槌の方が小さいため大抵トムが打ち負ける。
- 投げ縄
- トムがジェリーを捕まえるための道具。西部劇シチュエーションでしばしば登場する。
- 剣
- トムの尻尾がよく切られる。腕前はトム、ジェリーとも互角。ニブルスも使うことがある。
- 斧、鋏などの刃物
- 剣と同様。斧は罠や偶然でトムをきれいに真っ二つにできるほど鋭利で頑丈。また、斧を持ったトムには、なぜがスパイクは下手に出る。
- 火掻き棒
- ジェリーを叩く道具だが、ジェリーの体より柔らかいらしく、簡単にひん曲がってしまう。
- 葉巻/紙巻き煙草
- ジェリーがトムに差し出し、トムはそれを勿体ぶって吸うが、大概の場合それは葉巻に偽装されたダイナマイト(後述)である。
- 紙巻き煙草は西部劇のシチュエーションで登場。ジェリーが紙を舐めさせられて葉を巻き、拳銃を発射することで点火し、トムが一気にこれを吸って吐き出した煙で文字を作る。
- 最近は葉巻が登場するシーンがカットされたり別のものに擦り替えられたりしていることもある。
- U字型の磁石
- 使用すると、リモコン同様、稲妻の形をした磁力線が出る。小さいながらも驚異的な磁力を誇り、数メートル離れていようと壁を挟んでいようと任意の鉄製品を吸引できるほど。ナットや空き缶など鉄製品とセットで出てくる。トムなどに飲み込ませて鉄製のものを引きつけるいたずらに使われることもある。
- ナット
- トムがチーズの色を塗って(ネズミ退治の職人ネコはこれに加えてチーズの香りまで付ける)ジェリーがチーズだと思い飲み込む。その後は決まって強力な磁石が登場する。
- 蝋燭(ろうそく)
- 火矢として使われる。
- 金床
- 本来は、鍛冶屋が鉄を打ち鍛える際、台として使う鉄の固まり。重りやジェリーを潰すための罠として使われるが、大抵トムがひっかかる。「南へ行こう」では、空を飛べないアヒルが飛び上がるために利用したシーソーの重りにも使われた。なぜ、鍛冶屋の道具がトムが飼われているような一般家庭にあるのかは不明。
雑貨類
- アイロン台
- 壁と一体型。トムがぶつかり、体が変形することも。
- マッチ
- ジェリーの家具の材料。擦るときはなぜかトム、ジェリーとも自分の尻で擦る。
- フライパン
- 主にトムを引っ叩く道具だが、まれに調理に用いられる。
- 鍋
- アヒル料理や魚料理などの調理に用いられることが大半。トムが人参と間違えて切り刻んだダイナマイトを他の食材と一緒に入れたこともある。
- やかん
- たいていダイナマイトが放り込まれる。
- 缶詰、またはその空き缶。
- よく磁石とともに登場する。オイルサーディンのそれはジェリーのベッドになっていることもある。
- お皿
- 「上には上がある」で初登場。投げたり割ったりするもの。壁に大量に飾られており、ジェリーが落としてまわる。初期の作品では皿が割れた音でお手伝いさんがよく現れる。
- グラス
- お皿と同様。
- フォーク
- 主にトムの尻に刺さる。
- タンス、食器棚など
- バリケードに使われる。
- 熊手
- レーキとセットで庭に放り出されている。ジェリーを追うトムが踏んだ拍子に柄が起き上がり、顔にあたる。
- トムの枕
- ふかふかの羽毛枕である。
- 絨毯
- ジェリーがこれに隠れて移動する。
- ブラインド
- トム他が巻き込まれる。
- 窓
- アメリカに多い上に引き上げてあけるタイプ。トムの首が挟まる。
- 空気入れ
- トム/ジェリーを風船のように膨らませることができる。針などと併用すると部屋中を飛び回らせることも。
- 針
- サボテンや、巣箱の屋根の裏面に付いている。トムの尻などに刺さったあと、水を飲んだり水に飛び込んだりすると、刺さった穴から水が漏れる。
- 縫い針
- トム、ブッチ、スパイクなどの尻に突き刺す。
- 板状のゴムひも・パチンコ
- ジェリー他様々な物を飛ばすのに使う。
- ゴミ箱
- 主にトムが飛び込む。レバーを踏んで蓋を開けるタイプの物は、トムがぶつかった拍子にトムの顔をはたく。
- ゴミバケツ
- こちらもトムがよく飛び込むが、被ったまま鎧や甲冑として使用されることがしばしばある。
- スロットマシン形式の物体
- ゴミ箱や暖炉などにこれが存在し、トムが飛び込むとなぜかレモンの絵柄が揃い大当たりが出て、大量のゴミやレンガと一緒にトムが排出される。
- メールボックス
- たまに郵便物が来る。トムが突っ込むことも。また、ジェリーが引っこ抜いてトムに叩きつけたことも。
- かつら
- 主に頭が焦げたりした際にトムが着用する。
- 毛ばたき
- 柄付きで1本1本の羽が長い。柄を取り除いて頭に着用することでインディアンに変装する。
- からくり時計
- トムの頭に落下するとトムと一体化し、トムの口からからくり(鳩時計の鳩)が飛び出す。
- 聴診器
- 目覚まし時計のベルの音を聞かせて耳を吹っ飛ばす。
- 便所の汲み取り棒
- ジェリーを捕まえる。
- 鞴(ふいご)
- 本来は暖炉の火を熾す際に用いる送風機だが、トムがジェリーを穴から吸い取る目的で使われる。
- 乳母車
- 野良猫のプッチがトムの家に侵入するため、乳母車に入って捨て子に変装した。普通に赤ちゃんが乗っていたこともある。
- 箒(ほうき)
- 本来は掃き掃除に使う道具だが、お手伝いさんがトムやジェリーをぶちのめす目的でも多用される。これで殴られたトムが記憶喪失に陥り、自身をネズミだと思い込んで大混乱になった。
- 魔女が空を飛ぶ際に使う道具でもある。主人に叱られ、家出したトムが訪れた魔女の家では、箒が部下として使役されていた。トムがこの箒を盗み出し、大騒ぎになる。
スポーツ、レジャー用品
- バット
- ビリヤードのキューなどをジェリーがバット代わりに用いることもある。
- ビリヤード(玉突きゲーム)
- トムの超絶的キュー捌きを披露する道具。11番のボールはジェリーをにらみつけ、8番のボールはジェリーにしつこく付きまとう。列車のように隊列を組んでジェリーを追いかけ回す。
- ボウリング
- 投擲するための球がよく用いられる。
- スケート
- トムは専用靴がないと滑って氷上を動けないが、ジェリーは靴がなくても氷上を自由自在に動き回れる。
- ローラースケート
- トムが履かされ、止まらなくなる。
- ピクニック・セット
- 大きなサンドイッチやソーセージが入っている。
- ハンモック
- 昼寝以外に用途多数。
- 折りたたみハンモック椅子
- トムが乗ると挟まる。これに隠れてトムが様子を見ていると、燃えるマッチ棒による火の矢などを飛ばされて、一瞬にうちに丸焼けになることもある。
- ゴルフ
- ジェリーがティーにされる。
- テニス
- バドミントン
- 「インディアンごっこ」で、ニブルスたちがシャトルを使って仲間が増えたような偽装をしたことがある。
- 釣竿
- 大物がかかると円形に近いぐらいしなる。
- 銃
- 鳥銃、拳銃など様々。当たっても死なず、焦げ目が付く。場合によっては銃口から息を吹き込んだり、銃身に直接入り込むなどして銃弾をトムの口や目にめり込ませた後、背後から衝撃を与えて火薬を暴発させるという荒技を使う者もいる。
- ライフル
- 客間に飾られている狩猟用のハンティングライフル。キレたトムが持ち出してジェリーに対して乱射する。
楽器
- ピアノ
- トムが超人的才能を発揮する道具。ヨハン・シュトラウスの簡単なレッスン書によりワルツをはじめとする見事な演奏をこなしたことがある。トムや仲間のネコが、演奏中に鍵盤の蓋をジェリーに閉められ、手を挟まれる描写がよくある。トムの頭上に落とすと、トムの歯が鍵盤になる。ジェリーの家になっている事もある。トムが階段の上から落下してきたこれに挟まれて臨死体験をしたこともある。
- ギター
- トムが奏でるか、トムを奏でるための道具になる。スペインではフラメンコ風の演奏も。アンクル・ペコスの得意な楽器であり、その弦が切れるとトムのヒゲを所望する。
- ウッド・ベース
- トムが足で弾きながら歌うのは有名。
- シンバル
- オーケストラでは、ジェリーが挟まれぺちゃんこになった。
- ラッパ
- オーケストラで演奏されるほか、リーダーのアリが持っている。また、ロビンフッドが脱走した際には脱走を知らせる合図としてトムが吹いたこともある。
電化製品
- アイロン
- 第2話で初登場。盾に使われ、トムの頭を変形させる。ジェリーを潰そうとして失敗する場合が多い。また、ジェリーがこれを持ってトムを待ち構えることもある。上から落下してきた(ジェリーが落とした)ものを床に寝そべったトムが息を吹きかけて浮上させようとしたこともある(結局、落下した)。
- 大きな冷蔵庫
- ローストチキンや骨付きハムなど、色々な物が入っていて豪華。「夜中のつまみ食い」で初登場。ジェリーがよく中身を荒らす。「いそうろう」でトムとスパイクが追い出されついでに持ち逃げしようとしたものでもある。
- 電球
- 破裂すると跡形もなく消える。割れる音は銃声に似ている。
- コンセント
- 電気製品のほか、トムにも電力を供給する。因みに型は日本のタイプと同じ。
- オーブントースター
- トム他が焼かれる。
- トースター
- 「インディアンごっこ」で2匹の小ネズミたちがのろしを上げるのに使用。
- ワッフル焼き機
- トムのしっぽを挟むとこんがり焼ける。
- ラジオ
- バラ色の人生 (トムとジェリー)と土曜の夜はなどに登場。
- 蓄音機
- どうやらSP用蓄音機。鋼鉄針を入れるところがある。
機械類
- 人造ネコ
- 商品名は「メカーノ」。猫型ロボットで、足の車輪で滑走する。ネズミ捕りの腕は確かだが、ネズミの姿をした玩具にも反応し、邪魔になる家具類を破壊してしまうことも。生身の動物が、機械に内蔵されているコンピュータ部を飲み込んでしまうと、プログラムに洗脳されてしまう。
- リモコン
- 操作するとアンテナから稲妻の形をした電波が出る。
- 芝刈り機
- 手動のものとエンジン付のものがある。ジェリーがエンジンをかけると暴走し、トムの毛を刈り上げる。手動式ではトムが逃げるジェリーとアヒルの子を追いかけていた時に、母アヒルの胸を刈ってしまい、怒った夫アヒルに逆襲されたこともある。トムのハンモックを刈ってしまったこともある。
- 自動車
- トムが轢かれてペッタンコになる。保健所のトラックだと、ジェリー以外が中に放り込まれることもある。古くさいものからやたらにロングボディのリムジンまで出てくる。トムが必死に借金をしても非常に古くさいものしか買えなかった。
- 電線
- トムやジェリーが綱渡りなどをする。三本の架線の場合、途中で束ねられることがある。
- 宇宙ロケット
衣類
食品、飲料
- 大きなビーフステーキ
- しばしばスパイクが焼く。焼く前は非常に巨大だが、ひとたび焼き始めるとあっという間に縮んでしまう。また、よく取り合いになり、取り分を巡ってトムとジェリーとスパイクが大もめしたこともある。トムがスパイクを誘惑してジェリーを捕まえる回もある。
- 七面鳥の丸焼き/アヒルの丸焼き
- 七面鳥の丸焼きはアメリカの感謝祭で出るごちそう。丸呑みしたり、投げたり、着たりする。アヒルの丸焼きはトムが時々食べたがり、子アヒルを捕まえようと躍起になる。脚の部分をもいでつまみ食いすることも。
- チーズ
- 穴が開いているためエメンタールチーズと推察できる。「夜中のつまみ食い」で初登場。ジェリーの大好物で、ジェリーのおびき寄せによく使われる。「ナポリよいとこ」では巨大な円盤形のチーズの塊を転がして、悪役犬三匹を撃退した。
- ゼリー
- カラフルで透明な食品。非常に弾力性があり、トランポリンに使える。「氷あそび」ではカクテル光線の材料にされたこともある。
- パイ
- パーティのパイはジェリーのパイ投げに使われる。トムがこれを使ってジェリーを挟む攻撃に使うこともある。
- りんご酒の樽
- 「トラになったトム」に登場。トムがジェリーを追いかけている最中に、これに頭から突っ込み、トムが酔っ払う、という場面が登場。
- シャンパン(またはスパークリングワイン)
- コルク栓が弾丸代わりになることが多い。ニブルスが呑んだり浴びたりすることもあり、その度にニブルスはへべれけに酔っぱらう。
- バナナ
- 劇中に登場する果物の中でも特に多く、皮で滑るギャグは頻繁に登場する。
- ミルク
- トムの大好物。毎朝大きな瓶に入れられて配達される。失恋などで傷心の時にはヤケ酒ならぬヤケミルクを呷る。まれにクリームがミルク以上のごちそうとして登場する。あまりジェリーに盗み飲みされるので、トムがでたらめに薬を混ぜたものをジェリーに飲ませたことがある。
- 鶏卵
- 投げる物。たいてい生卵が使用される。目に当たった時には、黄身がはりつきモノアイのようになる。
- 西瓜
- 日本のスイカと異なり楕円形をしている。トム、ジェリーとも、勢いよく食べた後に、種を口からマシンガンのように連射して互いを攻撃する。威力のある種を大量に発射するため、トムは自分の頭を大砲状に変形させたことがある。食べる前のスイカも投擲攻撃に使われる。
- リンゴ
- 「ナポリよいとこ」で、ジェリーがかごに盛ってあったこれをぶちまけて、トムを転ばせた。
爆発物・薬品類
- ダイナマイト
- 1940年代後半以降の作品にしばしば登場。赤い筒に導火線の付いた形。豆粒程度の大きさでもとてつもない破壊力を誇るものがある。爆発に巻き込まれても死なない(ただし「ネズミ取り必勝法」ではトムが大爆発の末ハープを片手に昇天している)。どんな状態でも爆発するらしく、トムがニンジンと間違えて切り刻んで鍋に放り込んだにもかかわらず爆発したこともある。
- 花火・爆竹
- ダイナマイトとほぼ同様。小さくても強力。
- 風邪薬
- トムが病気を感染されそうになると飲む。
- アスピリンの錠剤
- なぜか洗面所に置いてある。調子が悪いと感じたトムが飲むこともある。
- 劇薬
- 「あべこべ物語」などに登場。防虫剤、殺虫剤、アンモニア、等を調合して作る。ジェリーが飲むと巨大化したり肉体改造されて最強になったり超高速移動ができるようになる。一方でトムが飲むと筋肉が膨張した末に破裂して、逆に体が縮みジェリーより小さくなってしまった。
- ベイラムの瓶
- 「トラになったトム」に登場。ラム酒に各種薬草などを配合したアフターシェーブローション(飲用ではない)。落下してトムの口を直撃、これを飲んだトムがさらに泥酔する。
- 麻酔薬
- 「ただいまお昼寝中」では、これをトムに飲まされたスパイクが一時意識不明に陥る。
透明化アイテム
- 不可視インク
- 「透明ネズミ」に登場。本来はいわゆる「消えるインク」だが、この話では逃げ場所として瓶に飛び込んだジェリーが外に出てみると、下半身が消えてしまった。これをいいことにジェリーは全身を透明にし、トムに対してこれでもかというほど悪戯を働く。体は見えないが、影や足跡などは映ってしまうらしく、これが原因でトムに見破られてしまうが、それでも透明の体を生かしてトムを出し抜く。なお、ジェリーの体とほとんど同じ色をしたチョコレートドリンクを飲むと、元に戻る。
- バニシングクリーム
- 「忍法ネコだまし」に登場。本来は皮膚に吸収されて消えるクリームだが、ここでは、上記同様、姿を隠すためにジェリーとアヒルが使い、トムに悪戯を仕掛けた。ふき取ると元に戻るが、これを見られたために透明化の秘密がトムにばれてしまい、ジェリーとアヒルは透明化したトムの仕返しを受けるはめになった。
その他
- 白旗
- 降参・休戦のサインにトムが多用する。
- 消火栓
- 家の外に飛び出したトムがぶつかる。これにズタ袋をかぶせて他のものに偽装したこともあり、その際にもトムが激突した。
- 遺言書(遺書)
- スパイクに制裁される前にトムが書く。タイトルは「MY WILL」。ジェリーが書いた回もある。
- 墓
- トム他が自分で掘って自分を埋める。「ごきげんないとこ」では、マッスルが住んでいる通りにいる猫が、マッスルの外出を知ると同時に自分で掘って自分を埋めた。「空飛ぶほうき」では、それまでにブッチなどの七匹の猫がそれぞれの墓に入っていたらしく、魔女の婆さんによって(トムのものになる予定の)八番目の墓が用意されていた。
- 格子の付いた床の穴
- ゴミや水を流すための物と思われる。トムが落ちたり、ジェリーがこの上で轢かれて格子模様につぶれる。「なにがなんだかわからない」では、ジェリーを恐れたトムのいとこのジョージが吸い込まれた。
- キッチンの扉
- 上下二つに分かれたドアで、上だけを閉めるとジェリーを追うトムがぶつかる。
- 地下への階段
- トム・ジェリー他が落ちたり、逃げ込んだりする。大抵は、ジェリーが扉を開け、追いかけてきたトムが落ちる。お手伝いさんがトムもろとも落下したこともある。
日本でのテレビ放送
トムとジェリー(TBS版)
1964年(昭和39年)5月13日から1966年(昭和41年)2月23日まで、毎週水曜日の19:30から20:00にTBS系列で放送された。本放送時の提供はサンスターシオノギ(当時、サンスター社は歯磨き粉に関して塩野義製薬と業務提携していた)[1]。開始当初はモノクロでの放送で、後にカラー放送へと移行した。2話目にテックス・アヴェリーなどの作品が挿入されたのは1971年(昭和46年)から(後述)。
谷幹一による軽快なナレーションや、トム、ジェリー達のオリジナルの台詞が当該番組の大きな特徴の一つである。原語版の吹替としての台詞を除いても、キャラクターが非常によく言葉を話しており(「ネズミ取り必勝法」に至ってはトムがナレーションと会話まで交わしている)、近年DVDや地上波放送で視聴できる吹き替え版とは印象が大きく異なる。特に八代演じるトムがややソフトな江戸っ子口調で話したり、藤田演じるジェリーがトムを「さん」付けで呼んだり等、TBS版独自のキャラ設定がこれらの吹き替えによって生まれている。しかし、中には原語版の台詞の吹き替えを除き、トムやジェリーが全く喋らない回もある。放送する回がアカデミー賞受賞作品の場合、必ずナレーションまたはジェリーが冒頭でその旨を説明する。
第1回に放送された話は、「白ねずみは人気者」、「くたびれもうけの魚釣り」、「ワルツの王様」の3つ(当時の毎日新聞・朝日新聞の番組欄より)。新番組紹介の欄では、トムは力持ちだが、おっちょこちょいでお人好しとして記されていた。
主題歌の「トムとジェリー」は、三木鶏郎により作詞・作曲され、梅木マリとフォーコインズによって歌われており、現在発売中のビデオおよびDVDにも収録されている。当時この曲はレコードではなくソノシートのみ発売された。ソノシート版はテレビ版より少し歌詞が長い。現在はCD化済み。
3話構成の1話目と3話目のオープニングはチャック・ジョーンズ期の、トムが「ニャーオ」と吠えるMGMのロゴで(ただし吠え声はオリジナルではなく八代によるものが使われている)、バックの音楽はジーン・ダイッチ期のオープニングのものが使われる。2話目の、映画館のロビーで追いかけっこをしているオープニングは、「おしゃべり子ガモ」のクレジットで使われたものが使用されている。またこのオープニングではタイトルの出る場面でその作品のもとの音楽が途中から流れることがある。
この番組で放送された作品には、「へんてこなオペラ」、「悪人の誕生」、「ウルトラ子ガモ」、「へんな体験記」、「僕はジェット機」、「ノミのサーカス」、「こんなお家は」などがある。放送順は固定されている。"His Mouse Friday" という原題の作品は当初「南の島には土人がいたよ」という邦題だったが、後に土人という単語が消され「南の島」に変えられた。
放送終了後も1990年頃まで何度も再放送が繰り返されており、個人で録画したビデオが多数存在する。
初回放送時の放送局
前述のとおり、初回放送時はTBS系列で放送された。ただし再放送に関しては、TBS系列よりもむしろ他系列での再放送が頻繁に行われる傾向がある(中京広域圏でのメ〜テレなど)。この項では、後年になり他系列で再放送されたケースは含めない。
- 関東広域圏:東京放送
- 北海道:北海道放送、北海道テレビ(テレビ朝日系列、1968年開局から)
- 岩手県:岩手放送
- 宮城県:東北放送
- 福島県:福島テレビ - 当時はTBS系列主体のオープンネットだった。
- 長野県:信越放送
- 新潟県:新潟放送 - 新潟地震の影響による放送休止が行われた可能性あり。
- 静岡県:静岡放送
- 中京広域圏:中部日本放送 - 再放送はテレビ朝日系列であるメ〜テレが圧倒的に多い。
- 石川県:北陸放送
- 近畿広域圏:朝日放送 - 当時は、JNNの準キー局だった。再放送はフジテレビ系列の関西テレビが圧倒的に多い。
- 岡山県:山陽放送 - 当時は岡山県のみの放送エリア。
- 島根県:山陰放送 - 当時は島根県のみの放送エリア。
- 広島県:ラジオ中国→中国放送 - 1967年までは旧社名を使用していた。
- 福岡県:RKB毎日放送 - 再放送はテレビ朝日系列局である九州朝日放送が圧倒的に多い。
- 長崎県:長崎放送
- 熊本県:熊本放送
- 大分県:大分放送
- 宮崎県:宮崎放送
- 鹿児島県:南日本放送
- 琉球政府:琉球放送 - 当時はまだアメリカ合衆国の統治下だった。
TBS版で挿入されたアニメ作品
TBS版『トムとジェリー』では、30分の番組内で『トムとジェリー』が2作品放送され、その間に他のキャラクターを主人公としたアニメーション(主にテックス・アヴェリー作品)が1作品挿入されて放送された。
挿入された作品一覧はこちらを参照。一部は『トムとジェリー』通常版DVDに特典として1作ずつ収録された。
新トムとジェリー
1970年代後半にNET系列で放送。『The New Tom and Jerry Show 』を日本で放送したもの。主題歌はアメリカ版のものを使用している。トムとジェリーは叫び声、笑い声などは発するもののセリフは入っていない。
なお、本作は再放送は度々民放にて行われたが日本ではビデオ化されていない。日本で1992年にビデオで発売された「新トムとジェリー」はシーズン1による「トムとジェリーキッズ」のビデオ化で、本作とは別物。
おかしなおかしな トムとジェリー 大行進/トムとジェリー大行進
1980年から1981年に日本テレビ系列、『木曜スペシャル』で『おかしなおかしな トムとジェリー 大行進』として単発で放送。ここでは当時未公開だったチャック・ジョーンズ期を放送。「お好みサンド」と「ジェリーの親友」の2話のみTBS版で放送されここでは放送されていない。
ナレーションは植木等が務めた。
その後、同じく日本テレビ系列で1981年から1982年まで『トムとジェリー大行進』をレギュラー番組として放送。こちらはフィルメーション作品を日本で放送したもの。
トムとジェリーとゆかいな仲間
2000年10月1日から2001年6月24日まで日曜日の7:00 - 7:30にテレビ東京系列で放映。本放送時の提供はワーナー・ホーム・ビデオ。
主題歌はTBS版で使われた「トムとジェリー」をそのまま使用している。 放送形態が特殊で、2話目に「トゥイーティー」が挿入されたり、1話目のみが『トムとジェリー』で、2話目が『チキチキマシン猛レース』で3話目が『偉大なるケンケン劇場』(The Magnificent Muttley )だったり、また3話総てが『トムとジェリー』だったこともある。
トムとジェリー(新日本語吹替版)
現在はワーナー・ブラザース・テレビジョンが配給し、各地方局などで放送。放送プログラムはどこで放送されても同じ。オープニングは「いそうろう」の音楽を使用、エンディングは「DVD全10巻のジャケット」画面で曲はTBS版を使用しクレジットになっている。映像ソースがLD版と同じ為、黒人差別を指摘される恐れのある部分があまりカットされず、そのまま放送されることがある。作品により、トムとジェリーの声優が異なる。
2006年6月から7月にかけて同じ時間帯にKBS京都(金曜のみ、4月頃開始)とサンテレビ(月曜 - 金曜)で30分枠(3話総てが「トムとジェリー」)が放送された。
その他にも、TOKYO MXでも放送され、九州では九州朝日放送の自社製作の『アサデス。』内にて夏休みや祝日に毎日1話ずつ放送していた(オープニング・エンディングは基本的になし。※まれにエンディングの映像が数秒映ることがある)。2013年12月23日から2014年2月19日までテレビ大阪(朝のこども劇場)で8:00から放送されていた。
現在は、千葉テレビ放送で2014年4月29日より、毎週火曜の17:30から放送されている。
トムとジェリー(カートゥーン ネットワーク版)
カートゥーン ネットワークでの放送では、DVD版や現在の地上波での放送の吹き替えとは違い、日本語吹き替え音声が入らない作品がまれにある。また、作品により、トムとジェリーの声優が異なる。放送プログラムはランダムで、DVD未収録作品も放送される。
シネマスコープのトリミングではDVD版のような中央のみしか映らないものではなく左右に動いたり、縦に引き伸ばされたりしている。
番組冒頭で「原作者のオリジナリティを尊重し…」の注釈を入れている為、DVD版ではカットされたシーンがそのまま放送されることがある。
2010年6月1日からは生誕70周年を記念してHDリマスター版が放送されている。これにより、シネマスコープ作品がハイビジョンで視聴可能になった。
トムとジェリー(BSプレミアム版)
3話ずつ火曜 18:30 - 18:55に放送。2013年4月2日から12月24日までハンナ&バーベラ、ダイッチ、ジョーンズ期の各作品がセレクションされ、2014年1月8日からは同じ順番の再放送となっている。よく知られた作品の邦題が変更された回がある[2]。
スタンダード・サイズで制作された回は左右にサイドバーが付けられ、厳密には画面縦横比3:4より僅かに横長(約1:1.42)。スコープサイズにリメイクされた回は左右をカットしてハイビジョン画面に合わせている。エンディングにはTBS版主題歌「トムとジェリー」が使用されている。
台詞のある回の吹替音声はレーザーディスク版の流用で、エンディングでLD-BOX3巻に出演した声優ほぼ全員に加え演出・翻訳スタッフまでクレジットされる点はデータとしては貴重。それに伴い、日本語吹き替え音声が入らない作品のものが抑えられている。ただし表記は放送回に沿ったものではなく毎回同一である。
ポップコーン
2005年にカートゥーン ネットワークの「ポップコーン(旧:カートゥーン シアター)」で放送された「トムとジェリーの大冒険」以降、不定期でトムとジェリーの長編作品が放送されるようになった。作品により、トムの声優が異なる。
特に『トムとジェリーのくるみ割り人形』は2008年以降毎年クリスマスシーズンの12月限定に必ず放送されている。
トムとジェリー テイルズ (カートゥーン ネットワーク・地上波・BSプレミアム版)
2007年6月2日からカートゥーン ネットワークで放送されるのを皮切りに2010年以降は地上波各地方局で放送されている他、2012年4月4日からはBSプレミアムでも放送されている。
DVD版とは異なり、トムとジェリーの声のみ原語版の声が使われている。
- 声の出演
- トム - ドン・ブラウン
- ジェリー - サムエル・ビンセント
トムとジェリーの宝島
2008年8月1日にBS2の「2008 BS夏休みアニメ特選」内で放送された。 衛星及びNHKで「トムとジェリー」が放送されたのはこれが初めてと思われる。
トムとジェリーのくるみ割り人形
2011年12月25日にBSプレミアムの『BSプレミアム 冬休みキッズスペシャル』内で放送された。
トムとジェリー シャーロック・ホームズ
トムとジェリー オズの魔法使い
トムとジェリー ロビン・フッド
日本で発売されたビデオ・LD・DVD
現在正規版では、『新トムとジェリー』はバンダイビジュアル。『トムとジェリー キッズ』は、アミューズビデオ。それ以外の旧作・新作はワーナー・ホーム・ビデオから発売されている。それ以前はパイオニアLDCやヘラルドポニーでも発売されていた。
新トムとジェリー/トムとジェリーキッズ(VHS版)
声の出演
『トムとジェリーキッズ』では、原語版の声が使われている。
- トム - 高木渉/フランク・ウェルカー
- ジェリー - ならはしみき/フランク・ウェルカー
トムとジェリー(LD版)
LD版は全3巻。「トムとジェリー スペシャルBOX(Cartoon Festival)」という商品名で発売された。新規収録された日本語吹き替え版は既成版を踏襲しない声優を据えた(「著作元の意向によりアメリカで製作されました」と記述があり米国内で配役・収録された模様)第1巻(1995年発売)に対し、第2巻以降はテレビシリーズや既成のビデオ・LDにより近いキャスティングが行われている。[3]
「パパは強いな」、「赤ちゃんは楽だね」、「みーちゃったみーちゃった」、「必殺ネズミ取り」及び日本未公開リメイク作品は未収録。ジーン・ダイッチ期については「トムとジェリー ドルーピーといっしょ」(全2巻)に収録されている。
発売時期の関係からか、黒人差別を指摘される恐れのある部分があまりカットされていない。
映画評論家の森卓也が監修を務めており、彼による作品解説シートが同梱されている。
声の出演
作品により、トムとジェリーの声優が異なる。(括弧内は担当巻)
- トム - ダン小路(1)/肝付兼太(2-3)
- ジェリー - チマ(1)/堀絢子(2-3)
トムとジェリー(VHS版)
VHS版は全20巻。
「パパは強いな」、「赤ちゃんは楽だね」、「みーちゃったみーちゃった」、「必殺ネズミ取り」及び日本未公開リメイク作品は未収録。ジーン・ダイッチ期については「トムとジェリー ドルーピーといっしょ」(全4巻)に収録されている。
発売時期の関係と映像ソースがLD版と同じ為、黒人差別を指摘される恐れのある部分があまりカットされていない。
LD版同様、森卓也が監修を務めている。
声の出演
作品により、トムとジェリーの声優が異なる。(括弧内は担当巻)
- トム - ダン小路(1-7)/肝付兼太(8-20)
- ジェリー - チマ(1-7)/堀絢子(8-20)
トムとジェリー(DVD・UMD版)
通常版DVDは全10巻(ソフトシェル版もあり)、UMD版はそのうちの4巻までが発売されている。それに加え、テーマに沿って4作品をセレクトした廉価版の1コインDVDがある。
「パパは強いな」、「赤ちゃんは楽だね」、「みーちゃったみーちゃった」、「必殺ネズミ取り」及び日本未公開リメイク作品は未収録。ジーン・ダイッチ期についてはDVD版では全巻購入者特典で付いてきた「スペシャルDVD」または1コインDVDで収録されている(「猫はワンワン犬はニャーオ」、「友達はいいな」は未収録)。
また、黒人差別を指摘される恐れのある部分がカットされているものも幾つかある。
アカデミー賞受賞&ノミネート作品を集めた「アカデミー・コレクション」もDVD・UMDにて発売されている。
声の出演
作品により、トムとジェリーの声優が異なる。(括弧内は担当巻)
- トム - ダン小路(1-4)/肝付兼太(4-10)
- ジェリー - チマ(1-4)/堀絢子(4-10)
トムとジェリー テイルズ(DVD版)
全6巻。
Vol.1-3までは「第1シーズン」放映分、Vol.4-6までは「第2シーズン」放映分がそれぞれ収録されている。
尚、Vol.1-3収録分は1コインDVDにも収録
パブリックドメインDVD
1940年から1953年までの作品は日本で著作権の保護期間が終了したものと考えられており、主に以下のDVDが発売されている。
- トムとジェリー DVD BOX (宝島社)
- トムとジェリー DVD BOX vol.2 (宝島社)
- トムとジェリー プレミアム DVD BOX (宝島社)
- トムとジェリー (コスミック出版)
- トムとジェリー2 (コスミック出版)
また、上記各シリーズとは別に、一枚あたり8話収録でリリースされている廉価版DVDシリーズもあるが、日本語吹き替え音声が出るたびにBGMが消えたり、ジェリーの声が加工されていたりと、吹き替えの出来は良くない。また、このシリーズではスタッフクレジット画面にあるはずの権利者表記が削除されている。また1940年から1953年までの作品は日本で著作権の保護期間が終了しているためYouTubeに(主にトランスグローバル版)多数投稿されていたが権利者が、その多くを削除するなど著作権ラインが曖昧である。
なお本国では"Golden Collection"と銘打ちHD修復・リマスターを行ったBlu-Rayディスク化が進行中で、ハンナ=バーベラ第1期から37話を収録した第1巻が2011年10月末に発売された。続く42話を収録した第2巻が2013年12月に発売される予定である。
関連作品
- 1931年から1933年までヴァン・ビューレン・スタジオが制作したヴァン・ビューレンのトムとジェリーというトムとジェリーとは別物の作品があるがバーベラもこの作品において、アニメーターと脚本家を務めるなど、あながち無関係とは言えない。
- 1945年にジェリーがジーン・ケリーと映画『錨を上げて』で共演した(わずか数秒だがトムも登場している)。この映像は後に「アカデミー・コレクション」の特典映像として収録されている。
- 1953年に製作された映画『濡れたらダメよ』で主演のエスター・ウィリアムスが夢の中の場面でトムとジェリーと一緒に泳ぐシーンがある。
- アメリカのテレビアニメーションザ・シンプソンズの劇中アニメ「イッチー&スクラッチー」はトムとジェリーのパロディになっている。
- カートゥーンと実写の合成によって撮影された『ロジャー・ラビット』(1988年公開)では様々なカートゥーンキャラクターが登場した。同作品には当初、MGMの人気カートゥーンとしてトムとジェリーも作中に登場させることも検討されたが、米国では「トムとジェリー」が明確なセリフを持たないアドリブ・カートゥーンのため、作中「私生活もある俳優として出演させる」ことが断念されたという。また、当時MGMは「トムとジェリー」の長編映画作品を製作中だったため、キャラクターの貸し出しを断られたともいう。代わってドルーピーが出演した。
- 上原ひろみが2003年に発表したアルバム『アナザー・マインド』の日本盤ボーナス・トラックとして収録したオリジナル(自作自演)曲「トムとジェリー(The Tom and Jerry Show)」は、カートゥーンの「トムとジェリー」のイメージを盛り込んで作曲された。
その他
- ハンナ=バーベラコンビはトムとジェリーで声優をやっていた経歴がある。ハンナはトムとジェリーの声とトムのすさまじい悲鳴の声を、バーベラは短編作品『The Mansion Cat 』でトムの主人を担当した。
- スタッフクレジットでハンナが先に名前が来るのはハンナ=バーベラコンビがコイントスの賭けをした時にハンナが勝ったからといわれている。
- トムとジェリーの第1作目「上には上がある」を製作する際、当初「犬と狐」という設定で登場させるつもりだった。
- 前述の通り、日本ではトムとジェリーをイメージキャラクターとして使用する企業が多いが、中でも1978年頃の日立製作所の冷蔵庫では女優の黒柳徹子とトムとジェリーを起用。テレビCMでは合成共演する形で放送された。因みにトムとジェリーの声はTBS版で吹き替えを務めた八代と藤田がそれぞれ担当した。
- 『ルパン三世』の銭形警部はトム、ルパン三世はジェリーと本作を参考にしたものである[4]。
- 1969年から放送中の『サザエさん』の放送開始当初は本作を参考にしたドタバタ超のギャグアニメ路線だった。
参考文献
- 森卓也『定本 アニメーションのギャグ世界』アスペクト、2009年、ISBN 4-7572-1537-1
- DVD『トムとジェリー 魔法の指輪 特別版』ワーナー・ホーム・ビデオ、2002年
脚註
- ↑ なお当番組終了後は朝日放送(ABC)に製作枠が委譲したが、引き続き「サンスターシオノギ」1社提供が続いていた
- ↑ 「インディアンごっこ」が「二匹のネズミ」と改められた。放送は13年9月3日。
- ↑ 第1巻では既出のトム、ジェリー役のほかに渡米した作曲家の三沢郷(スパイク)、"Toshi Toda"名義で『パール・ハーバー』などにも出演している俳優・戸田年治(ナレーター)の記載もあるが、この2名は同一音源によるBSプレミアムの放送でもクレジットされていない。第2巻解説書に記載のある日本語版スタッフは以下の通り。プロデュース:今村敬三(ワーナー・ホーム・ビデオ)翻訳:杉田朋子、桜井裕子、小寺陽子、演出:木村絵理子、編集:オムニバス・ジャパン、調整:阿部佳代子
- ↑ 2012年ルパン三世40周年記念イベントで作者のモンキーパンチが語ったところによる。
関連項目
- トムとジェリーの短編作品一覧
- 新トムとジェリー
- トムとジェリー大行進
- トムとジェリーキッズ
- トムとジェリー テイルズ
- テックス・アヴェリー
- ルドルフ・アイジング
- ディック・ランディー
- トランスグローバル
- 東北新社(日本語版製作会社)
- アメリカン・アニメーションの黄金時代
- みちのく銀行(青森県) - イメージキャラクターに起用されている。
外部リンク
- ワーナー・ブラザーズ(トムとジェリーキャラクターページ)
- カートゥーン・ネットワーク(トムとジェリー)
- カートゥーン・ネットワーク(トムとジェリー テイルズ)
- TOKYOMX(トムとジェリー)
- T&J_DVD/LD - DVD収録一覧
- ワーナー・ホーム・ビデオ 1コインDVD