鷲
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鷲(わし)とは、タカ目タカ科に属する鳥のうち、オオワシ、オジロワシ、イヌワシ、ハクトウワシなど、比較的大き目のものを指す通称である。タカ科にて、比較的大きいものをワシ、小さめのものをタカ(鷹)と呼ぶが、明確な区別はなく、慣習に従って呼び分けているに過ぎない。
鷲の尾羽は矢羽根として最高のものとされる。陸奥国の名産として朝廷や伊勢神宮の遷宮の折などに鷲の尾羽を献上したという記録が残っている。
象徴としての鷲
テンプレート:Main 鷲はその姿から鳥の王者とされ、信仰の対象にもなった。ローマ皇帝の紋章は双頭の鷲である。のちにハプスブルク家によって神聖ローマ帝国からオーストリア帝国へと受け継がれていった。ナチス・ドイツもそれにならい、軍服や建築物の随所に鷲の意匠を施した。 ナポレオンやイギリス王室なども鷲を紋章に取り入れている。 また、12世紀以前からセルビアの国旗には白い双頭の鷲が描かれている。メキシコ国旗に描かれているワシは「ウィツィロポチトリの予言鷲」と呼ばれる。「蛇をくわえた鷲がサボテンの上にとまっている場所を見つけ、そこを都とせよ」という神託に従い、現在のメキシコシティに安住の地を見つけたというアステカ族の神話にちなんだものである。 アメリカ合衆国はハクトウワシを、フィリピンはフィリピンワシを国鳥としている。
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アポロ11号のミッションバッジ
ワシの名を冠した物事
ワシは「鳥の王者」として、力強い印象を与えることから、その名を冠した様々な物事が存在する。
- アメリカの戦闘機であるF-15は「イーグル」の通称で知られている。また、F-15イーグルのマルチロール戦闘爆撃機版であるF-15Eは「ストライクイーグル」の通称で知られている。
- 人類を初めて月に運んだアポロ11号の月着陸船の名前は「イーグル」である。
- ゴルフで、規定打数のパーより2打少なくホールに入れることを「イーグル」と呼ぶ。ちなみに3打少ないとアルバトロス(アホウドリ)と呼ぶ。
- 鼻筋が大きく突き出した鼻をワシの嘴の形から連想して「鷲鼻」と呼ぶ。
- J・R・R・トールキンの小説『指輪物語』にも鷲として出てくる。
- スポーツチームではプロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルス、アメリカンフットボールNFLのフィラデルフィア・イーグルスなどがある。
- 楽天の監督である星野仙一も愛称として「ワシ」と呼ばれることがある。
- イーグルスはアメリカのロックバンド
- 大正製薬の社章…健康を表すものだと思われる。かつて鷲と幸せと言葉を掛けたイメージキャラクター「しあわし君」があった。
- 『科学忍者隊ガッチャマン』シリーズの大鷲の健、『太陽戦隊サンバルカン』のバルイーグル、『百獣戦隊ガオレンジャー』のガオイエロー、『超星艦隊セイザーX』のイーグルセイザーとアドルイーグル(宇宙戦艦)→流星神ウィンドイーグル(ロボット)、『魔弾戦記リュウケンドー』のサポートアニマル・獣王サンダーイーグルなど、アニメや特撮のヒーローのモチーフとなる事もある。
- 石川県の県鳥は、白山連峰に生息するイヌワシである。同県警のマスコットはいぬわし君・いぬわしちゃん。同県小松基地・306飛行隊の部隊マークは、これをデザインしたものである。
- AMCイーグルは、クロスオーバーSUVの先駆けとも言える自動車。また、現時点では最初で最後のV型8気筒エンジンを搭載したトラディショナルジープであるジープ CJ-7の上級グレード、「ゴールデンイーグル」のボンネットには大きな金色の鷲が描かれている。どちらも絶版車。
- TOTO(当時は東洋陶器)は1962年まで鷲を社章に使用していた。
- 鷲という姓がある(江戸時代期にはすでに存在した姓である)
関連項目
- 鳥の一般名の記事
カタカナ名の記事が自然科学的な内容を中心とするのに対し、一般名の記事では文化的な側面や人との関わりなどについて解説する。 テンプレート:Col-begin テンプレート:Col-2