イギリス王室
テンプレート:British Royal Family イギリス王室(イギリスおうしつ、British Royal Family)は、イギリスの国王とその家族・親族(王族)で構成される集団を言う。
王族
王族の範囲に関する明確な定義は存在しないが、少なくとも His/Her Majesty(HM, 陛下)や His/Her Royal Highness(HRH, 殿下)の敬称を持つ人物は、一般的に王族であると考えられている。そこで有力な指針のひとつとされているのが、1917年11月にジョージ5世により発表された、王子・王女の身分と陛下・殿下の敬称の運用方針を定めた勅許状である。これによると、王子・王女の身分と陛下・殿下の敬称は、国王、国王の子供、国王の息子の子、プリンス・オブ・ウェールズの長男の長男に与えられるものとされている。
ただし、出生時に王族と認められなくても、王位の継承など時がたてば国王またはその近親になることが確実である人物が存在しうる場合などには、必要に応じて王族の範囲が広げられる場合がある。
たとえば、1948年にエリザベス王女の息子チャールズが誕生した時、チャールズは国王ジョージ6世の女系の孫であったため本来ならば王族とはならないが、状況からしてチャールズが将来国王に即位することは確実であったため、勅令によってチャールズは王子となった。
近年でいえば、プリンス・オブ・ウェールズの長男の全ての子が王子・王女の身分と殿下の敬称を与えるように勅許が与えられた。これは、女王エリザベス2世の孫の一人ウィリアム王子が結婚し、女王在位中の曾孫たる第三王位継承者の誕生が現実味を帯び、またそれと同時期に王位継承法が改正され、兄弟間男子優先制から長子優先制に変わったことから、プリンス・オブ・ウェールズの長男の第一子が女子であっても、自動的に王位を継ぐことになったためである。
なお、現時点では結婚せず子供も有さない「プリンス・オブ・ウェールズの次男」ヘンリー王子が結婚し、子供を持った場合、女王在位中はその子は王子・王女の身分を有さない立場にあり、現プリンス・オブ・ウェールズであるチャールズ王太子が即位した際には王子・王女の身分を与えられるという特異な立場にあるが、現時点でプリンス・オブ・ウェールズの長男の子以外の、王の曾孫に身分・敬称を与える旨の勅許や法改正案は出ていない。
また、これらの敬称を持つ男性王族と結婚した女性は、夫の爵位・称号に対応する夫人としての称号を与えられ、陛下や殿下の敬称を冠して呼ばれる。一方、女性王族と結婚した男性は、特別に爵位・称号を賜らない限り、称号や王族特有の敬称を名乗ることができない。エリザベス2世の夫であるフィリップは、結婚時にエディンバラ公爵位と殿下の敬称をエリザベス2世の父ジョージ6世から賜り、エリザベス2世から「prince」の称号を授けられたため、His Royal Highness The Prince Philip, The Duke of Edinburgh(エディンバラ公爵フィリップ王子殿下)と呼ばれる。しかし、アン王女の夫であるティモシー・ローレンスは、結婚時に特別の爵位や敬称を賜っていないため、結婚後も軍人としての肩書きであるVice-Admiral(海軍中将)で呼ばれている。
これらの敬称の使い分けは次のようになる。
- His Majesty - 男王
- Her Majesty - 女王、男王の妻
- His Royal Highness - 王子(国王の息子、国王の息子の息子、ウェールズ公の長男の長男)
- Her Royal Highness - 王女(国王の娘、国王の息子の娘)、王子の妃
なお、イギリス王室には日本の皇族と同様、ファミリーネーム(日本人の名字ならびに姓に該当)が存在しない。現在のイギリス王室はウィンザー家と称しているが、これは家名であって、日本の皇族が用いる宮号や称号に近い。一般的なイギリス人のファミリーネームとは異質のものである。
狭義の王族のリスト
英国で2011年現在、陛下または殿下の敬称を名乗っている、もしくは名乗る権利がある人々は、次の通りである。女王のみが Her Majesty を冠して呼ばれ、その他はウェセックス伯爵令嬢ルイーズを除き His/Her Royal Highness の敬称を冠して呼ばれている。エディンバラ公爵は、1917年の勅許状が定めるプリンスではないが、特別に出された勅許状により1947年に殿下の敬称を、1957年にプリンスの身分を賜った。
ウェセックス伯爵夫妻の長女ルイーズは、1917年の勅許状によると、王女の身分と殿下の敬称を名乗る権利を持っているが、The Lady Louise Windsor(ルイーズ・ウィンザー令嬢)という一般的な伯爵の娘としての呼称で呼ばれている。これは、ウェセックス伯爵夫妻の結婚時に、夫妻の希望を汲む形で、女王が「ウェセックス伯爵夫妻の子供は、王子・王女の身分と殿下の敬称を名乗らない」と宣言したからである。
なお、ウェセックス伯爵夫妻には2007年12月17日に長男ジェームズ・ウィンザーが誕生し、Viscount Severn(セヴァーン子爵)を襲爵した。上記の宣言に従えば、ジェームズも王子・殿下と呼ばれることはない。
- 女王夫妻
- 女王の息子とその家族
- 女王の娘
- 女王の従兄弟とその妻
王子・王女と結婚したが、その後離婚した人々は、以下の通り。
- マーク・フィリップス - アン第一王女の前夫
- セーラ・ファーガソン(ヨーク公爵夫人セーラ) - ヨーク公爵アンドルーの前妻
- アンソニー・アームストロング=ジョーンズ(スノードン伯爵) - マーガレット王女(エリザベス女王の妹)の前夫
なお、チャールズ(ウェールズ大公)の最初の妻で1996年に離婚したダイアナは、離婚後もイギリス王室の一員であると見なされ、王族としての責務を果たした。王室は、彼女が「ウェールズ大公妃」(プリンセス・オヴ・ウェールズ)を名乗り続けること、そしてケンジントン宮殿に住み続けること(Grace and Favour)に同意した。これは一般に女性が離婚後も前夫の名字を名乗り続ける慣行による。
広義の王族のリスト
次の人物は、1917年の勅許状によると王子・王女の身分が与えられず、殿下の敬称を名乗る権利がなく、実際に名乗っていないが、王族として扱われることがある。
- アン第一王女の家族
- ティモシー・ローレンス - アン第一王女の夫
- ピーター・フィリップス - アン第一王女とマーク・フィリップスの長男
- オータム・ケリー - ピーター・フィリップスの妻
- ザラ・ティンダル - アン第一王女とマーク・フィリップスの長女
- ティモシー・ローレンス - アン第一王女の夫
- マーガレット王女の子供とその家族
- デイヴィッド・アームストロング=ジョーンズ(リンリー子爵) - 故マーガレット王女とスノードン伯爵の長男、ジョージ6世の孫
- セリーナ・アームストロング=ジョーンズ(リンリー子爵夫人) - リンリー子爵デイヴィッドの妻
- チャールズ・アームストロング=ジョーンズ - リンリー子爵夫妻の長男
- マーガリタ・アームストロング=ジョーンズ - リンリー子爵夫妻の長女
- セーラ・チャット - マーガレット王女とスノードン伯爵の長女、ジョージ6世の孫
- ダニエル・チャット - セーラ・チャットの夫
- サミュエル・チャット - チャット夫妻の長男
- アーサー・チャット - チャット夫妻の次男
- グロスター公爵リチャード王子の子供とその家族
- ケント公爵エドワード王子の子供とその家族
- ジョージ・ウィンザー(セント・アンドリューズ伯爵) - ケント公爵夫妻の長男
- シルヴァナ・ウィンザー(セント・アンドリューズ伯爵夫人) - セントアンドリューズ伯爵ジョージ・ウィンザーの妻
- エドワード・ウィンザー(ダウンパトリック男爵) - セント・アンドリューズ伯爵夫妻の長男
- マリナ=シャーロット・ウィンザー - セント・アンドリューズ伯爵夫妻の長女
- アメリア・ウィンザー - セント・アンドリューズ伯爵夫妻の次女
- ヘレン・テイラー - ケント公爵夫妻の長女
- ティモシー・テイラー - ヘレン・テイラーの夫
- コロンバス・テイラー - テイラー夫妻の長男
- キャシウス・テイラー - テイラー夫妻の次男
- エロイズ・テイラー - テイラー夫妻の長女
- エステラ・テイラー - テイラー夫妻の次女
- ニコラス・ウィンザー - ケント公爵夫妻の次男
- パオラ・ウィンザー - ニコラス・ウィンザーの妻
- アルバート・ウィンザー - ニコラス・ウィンザー卿夫妻の長男
- マイケル王子(マイケル・オブ・ケント)の子供
- フレデリック・ウィンザー - マイケル王子夫妻の長男
- ガブリエラ・ウィンザー - マイケル王子夫妻の長女
- アレクサンドラ王女(オギルヴィ令夫人)の子供とその家族
- ジェームズ・オギルヴィ - アンガス・オギルヴィ夫妻の長男
- ジュリア・オギルヴィ - ジェームズ・オギルヴィの妻
- フローラ・オギルヴィ - ジェームズ・オギルヴィ夫妻の長女
- アレクサンダー・オギルヴィ - ジェームズ・オギルヴィ夫妻の長男
- マリーナ・オギルヴィ - アンガス・オギルヴィ夫妻の長女
- ゼノースカ・モワット - マリーナ・オギルヴィと前夫ポール・モワットとの長女
- クリスチャン・モワット - マリーナ・オギルヴィと前夫ポール・モワットとの長男
イギリス王室の財産
米フォーブス誌によると、バッキンガム宮殿や王冠などの国有財産を除く、エリザベス女王の個人資産は、5億ドルと推計されている。また、イギリスの国有財産であるバッキンガム宮殿の資産価値は50億ドル、王室が所有する不動産の価値は100億ドルと推計されている。[1]
イギリス王室はDuchy of LancasterとDuchy of Cornwallの二つの王族公領を所有している。
Duchy of Lancasterは462km²の広さがあり、2011年においてその価値は3億8319万ポンドと推計されている。また、2011年においてDuchy of Lancasterの利益は1338万ポンドであった。[2]
Duchy of Cornwallは540.9km²の広さがあり、2010年においてその価値は6億7700万ポンドと推計されている。また、2010年においてDuchy of Cornwallの利益は1720万ポンドであった。[3]
1997年、労働党政権のコスト削減により王室専用船ブリタニア号を退役させ、エリザベス 女王が公衆の面前で涙を見せる。
NHK BSプレミアムで放送された「女王陛下のおサイフ~華麗なるロイヤルファミリー・ビジネス」(君塚直隆監修)によると、2012年まで国会承認で王室費(内訳=スタッフの制服の一部支出、スタッフの給与、宮殿等維持費)が支払われているが、2013年からは王室費が支払われないので、伝統文化継承にかかる費用捻出の為にも財テクをして準備している。尚、以前から王室メンバーの個人収入は代々受け継がれた領地・個人資産の運用から得ている。
テレビ朝日で放送されたトリハダ(秘)スクープ映像100科ジテン(君塚直隆)によると、イギリス王室は、ロンドン塔の王冠などの財宝の観覧入場券を1983年から徴収し年間250万人の入場者で売上30億円、バッキンガム宮殿の観覧入場券を1993年から徴収し売上32億円、ウィンザー城なども王室不在時に観覧入場の収入が有り、王室領の不動産の地代やテナント料など推定総資産9000億円なので、政府からの王室費52億円が2013年4月から支払われなくても問題が無い。
TBSテレビで放送されたもてもてナインティナイン英国王室スペシャルで、竹田恒泰によると、英国王室総資産は8000億円で、1900人参列したウィリアム王子の結婚式費用60億円の半分は王室の自腹で、日本の皇室が全て国費であるのと違うと解説していた。
2013年7月18日放送のミヤネ屋のイギリス王室特集で、年2回の晩餐会と年数十回の園遊会で5万人を招待し、費用が、食器費用が一人当たり15万円、料理が一人当たり16000円、シャンパンが12000円、晩餐会等費用が年間2億円、年間400回の公務移動費が、年間60回500時間乗る専用ヘリコプター維持費に3億円、ロイヤルトレインに年間維持費1億円、ベントレー・ロールス・ロイスの年間維持費1000万円、馬車・自家用機を含む公務移動費総額8億円、ハンプトン・コート宮殿やバルモラル城など王室所有建築物70件の維持費・人件費を捻出するために、日本の銀座に相当するリージェント・ストリートのテナント料が1軒当り6500万円×店舗数約10000軒の収入が有り、イギリス本国の海岸線の土地の55パーセントが王室の土地で風力発電会社に貸し、ウィンザー城では1992年の火災で92億円の税金投入のクレームを受け公開入場料を自力再建し、イギリス王室メンバーは、民間企業に王室御用達許可とは別に王室ブランドとして王族自身が商品開発し年間収入100億円以上を稼いでいて、費用を除いた収益360億円の15パーセントを政府に納付している。バッキンガム宮殿も公務に差し支えない範囲で公開し入場料収入を上げている点は、日本の京都御所の一般公開が無料である点と違う。
王朝の歴史
ウェセックス王国、ノルマン朝、プランタジネット朝、ランカスター朝、ヨーク朝、テューダー朝、ステュアート朝、ハノーヴァー朝、サクス=コバーグ=ゴータ朝、ウィンザー朝、イングランドとの合併前のスコットランド王国、ウェールズ、その他フランス、ドイツ等の血筋が脈打っている。
その他
- ウォールストリート・ジャーナルは、集団の様子を「85歳の女性CEOによって経営される非上場の株式会社」と評している[4]。
関連項目
脚注
外部リンク
- イギリス王室公式サイト(英語)
- テンプレート:YouTube channel YouTubeに開設された王室公式チャンネル。