ベントレー
ベントレー(Bentley )は、イギリスの高級車・スポーツカーメーカー、ブランドである。
1998年以降はドイツ・フォルクスワーゲングループ傘下となり、同グループのフォルクスワーゲン部門に属する。 [1][2]
名称は創業者のウォルター・オーウェン・ベントレー(以降W.O.)にちなむ。
目次
独立会社時代(1919年-1931年)
ベントレーモーターズ設立
1919年8月、W.O.はベントレー・モーターズをロンドンのクリックルウッドに設立。その後、1924年-1930年にル・マン24時間レースで5回の優勝を飾るなどモータースポーツで名を上げ、高性能スポーツカーメーカーとして世界の富裕層に好んで使用された。しかしその翌年の1931年にロールス・ロイスに買収され、レース活動が封印された。
ベントレー・ボーイズ
1923年に始まったル・マン24時間レースにベントレーのファクトリーチームとして参戦したドライバーを指す。多くは大富豪の子孫だった。1930年の撤退までに5回の総合優勝を果たした彼らの勇猛果敢な活躍、人間的な魅力、勝利への執念は現在に至るまで語り継がれている。
- ジョン・ジャック・ダフ(ベントレー・ディーラー経営、白洲次郎は彼の店で購入した)
- J.B.ベンジャフィールド(細菌学者)
- ウルフ・バーナート(実業家の息子、1927年ベントレー社の会長に就任)
- ジョージ・デュラー
- サミー・デイヴィス(後年モータージャーナリスト)
- バーナード・ルービン
- ヘンリー"ティム"バーキン(南アフリカの車メーカー"バーキン"創始者の祖父、アルファロメオでもル・マン優勝)
- グレン・キッドストン
- ジャック/クライヴ・ダンフィー兄弟
- フランク・クレメント(ベントレー社チーフテストドライバー)
車種一覧
- 3リットル (1921年-1929年)
- 4½リットル (1927年-1931年)
- 6½リットル (1926年-1930年)
- スピード6 1928年-1930年)
- 8リットル (1930年-1931年)
- 4リットル (1931年)
ロールス・ロイス時代(1931年-1998年)
1920年代後半に世界を襲った大恐慌の影響を受けベントレーモーターズは経営不振に陥り、ネイピアと合併交渉が進んでいたが、ライバルであるネイピアとベントレーの合併を恐れたロールス・ロイスが偽名を使って買収、1931年に吸収合併された。その後W.Oは1935年にラゴンダに移籍しルマンで再び勝利したが、アストンマーチンのディビッド・ブラウンがW.O.を欲したためにラゴンダごと買収され、W.OはDBシリーズの直列6気筒エンジンを設計した。
W.O.がいなくなった後のベントレーはロールス・ロイスのモデルとのバッジエンジニアリング化が進み、第二次世界大戦後にかけてロールス・ロイスのオーナーカー版としてベントレーは姉妹車化され、その後はオーナーカー用のスポーティーモデルとして、ロールス・ロイスとの差別化が計られた。
1971年、親会社であったロールス・ロイス社(Rolls-Royce Limited )は倒産、イギリス国有化された。1973年ロールス・ロイス社のうちベントレーを含む自動車部門のみが分離され、同国を代表する製造メーカーであったヴィッカースに売却された。1992年にはBMWとの提携を開始、ベントレー・アルナージに搭載されるV型8気筒エンジンの供給を受けるなどした。
車種一覧
- 3½リットル (1933年-1937年)
- 4¼リットル (1936年-1939年)
- マークV (1939年-1941年)
- マークVI (1946年-1952年)
- Rタイプ (1952年-1955年)
- Sタイプ (1955年-1965年)
- Tシリーズ (1965年-1980年)
- コーニッシュ (1971年-1984年)
- コンチネンタル (1984年-1995年) — コンバーチブル
- コンチネンタル・ターボ (1992年-1995年)
- コンチネンタル (1984年-1995年) — コンバーチブル
- カマルグ (1975年-1986年)
- ミュルザンヌ (1980年-1987年)
- ミュルザンヌL (1984年-1988年) — リムジン
- ミュルザンヌ・ターボ (1982年-1985年)
- ミュルザンヌS (1987年-1992年)
- エイト (1984年-1992年) — 基本モデル
- ターボR (1985年-1995年) — ハイパフォーマンスモデル
- コンチネンタルR (1991年-2002年) — ターボチャージャー付き2ドアモデル
- コンチネンタルRマリナー (1999年-2003年) — ハイパフォーマンスモデル
- コンチネンタルS (1994年-1995年) — インタークーラー付き
- ブルックランズ (1992年-1998年) — エイトの後継
- ブルックランズR (1996年-1998年) — ブルックランズのハイパフォーマンスモデル
- ターボS (1994年-1995年) — 限定ハイパフォーマンスモデル
- ターボR (1995年-1997年) — '後期型'ターボR
- アズール (1995年-2003年) — コンチネンタルRのコンバーチブル版
- コンチネンタルT (1996年-2002年) — ショートホイールベースなハイパフォーマンスモデル
- ターボRL (1997年-1998年) — '後期型'ターボRのロングホイールベース版
- ターボRT (1997年-1998年) — ターボRLの後継
- ターボRTマリナー (1997年-1998年) — 最高級パフォーマンスモデル
- アズール・マリナー (1999年-2002年) — ハイパフォーマンスモデル
- コンチネンタルTマリナー (1996年-2002年) — ハードサスペンション
フォルクスワーゲングループ時代(1998年-)
1998年、ヴィッカースはロールス・ロイス(ベントレーを含む)の売却を決定、ドイツのフォルクスワーゲングループがその買収に成功した。この際、同じく買収を試みたBMWとのあいだにトラブルが生じたが、ベントレーについてはフォルクスワーゲンが所有、ロールス・ロイスは2002年までフォルクスワーゲンが生産・販売し、2003年1月からはその権利がBMWに移動することで決着した。
2004年に登場した2ドアクーペの「コンチネンタルGT」は、フォルクスワーゲン・フェートンと大幅なパーツ共有化を図られている。ベントレーの生産は2008年、史上最大である年間10,000台規模に成長した後、翌2009年には年間5,000台規模にまで急減した。
王室専用車
2002年にイギリス女王エリザベス2世即位50周年祝賀記念としてベントレー・ステートリムジンがイギリス自動車業界協会より進呈された。エリザベス2世女王の公務専用車として使用されている。ベントレーがイギリス王室のメンバーの私用車として使用されたことはあったが、元首の公務専用車として使用されたのは史上初めてのことである。
ル・マン復帰
2003年、ベントレーは、フォルクスワーゲングループの高級車メーカーのアウディの開発による、EXP スピード8で、2年前にカムバックしたル・マン24時間レースにおいて、21世紀になってから初めての総合優勝を成し遂げている。なお、スピード8のルーツは、1999年のアウディR8ファミリーにおける、クローズドボディのR8Cとなる。
車種一覧
- アルナージ (1998年-2009年)
- ユーノディエール (1999年)
- ステートリムジン (2002年)
- コンチネンタルGT (2003年-)
- コンチネンタル・フライング・スパー (2005年-)
- アズール (2006年-)
- コンチネンタルGTC (2006年-)
- コンチネンタルGTスピード (2007年-)
- ブルックランズ (2008年-)
- コンチネンタル・フライング・スパー・スピード (2008年-)
- コンチネンタルGTCスピード (2009年-)
- アズールT (2009年-)
- アルナージ・ファイナルシリーズ (2009年)
- コンチネンタル・スーパースポーツ (2009年-)
- ザガート GTZ (2009年)
- ミュルザンヌ (2010年-)
日本における現行車種
現在6車種を展開しており、いずれも現在日本においては2000万円を超える価格が設定されている。
- コンチネンタルGTスピード(2007年-)
- コンチネンタルGTCスピード(2009年-)
- コンチネンタル・フライング・スパー・スピード(2008年-)
- コンチネンタル・スーパースポーツ(2009年-)
- スーパースポーツ・コンバーチブル(2009年-)
- ミュルザンヌ(2010年-)
アルナージ、ミュルザンヌは前述のル・マンでの活躍から、サルト・サーキットのコーナー名に由来する。
ベントレー・マリナー
ベントレー・マリナーはベントレー傘下のベントレー車をカスタマイズするための高級コーチビルダーである。第二次世界大戦前からヨーロッパ有数のコーチビルダーとして、ベントレーをはじめとするイギリスの高級車を扱っていたH・J・ミュリナー及びパークウォードは1962年に合併しミュリナー・パークウォードとなり、ロールス・ロイスに買収された。現在はベントレーの特別注文部門のベントレー・マリナーとして、顧客の好み通りにベントレーをカスタマイズさせることが可能となっている。
1980年代以降のベントレー2ドアモデルは、ほぼ全てがベントレー・マリナー製を標準としている。
日本における輸入販売
- 総輸入元
- 2001年までコーンズ
- 2002年から2003年までロールスロイス&ベントレーモーターカーズジャパン (フォルクスワーゲン グループ ジャパンの一事業部)
- 2003年以降ベントレーモーターズジャパン (フォルクスワーゲン グループ ジャパンの一事業部)
- 販売店
- 2002年以降コーンズ
関連項目
- コーンズ - 日本における正規販売代理店。
- フォルクスワーゲングループ - 親会社。
- ミッレミリア
- 白洲次郎 - イギリス留学時代にベントレーを愛用していた。
外部リンク
テンプレート:- テンプレート:Bentley ownership & road car timeline テンプレート:Bentley Mulsanne timeline テンプレート:Bentley timeline 1998 to date テンプレート:自動車