ポパイ
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ポパイ(Popeye)は、アメリカ合衆国で発表されたアメリカン・コミック・カートゥーン作品及びその代表的な登場キャラクターの1人で、架空の水兵又は船乗りである(作品によって水兵であったり船乗りであったりする)。
目次
概要
1929年、エルジー・クリスラー・シーガー (Elzie Crisler Segar)により「シンブル・シアター(Thimble Theatre)」という作品で生み出されたキャラクターで、初めは主人公ハム・グレイヴィ(Ham Gravy)とその恋人オリーブ・オイル(Olive Oyl)、オリーブの兄カスター・オイル(Castor Oyl)が中心人物の漫画だった。オリーブ達よりも10年遅れて登場したポパイは当初脇役であったが、何をやっても不死身な所から一躍人気キャラクターとなり、ハムの主役の座とその恋人オリーブを瞬く間に奪い去ってしまった。1930年代に入ると、同作の短編アニメ(カートゥーン)映画がフライシャー・スタジオによって次々と制作されるようになった。今日知られるポパイはこのアニメ版といっても過言ではない。
物語は、ほうれん草を食べると超人的パワーを出すセーラー服姿の男ポパイと、その恋人オリーブ、そしてポパイの天敵である大男ブルート(ブルータス)の三人をめぐるコメディである。時々物語の舞台が西部劇や中近東などのシチュエーションになったり、他の物語、映画などのパロディになったりする事もある。その場合にはそれに適した役回りを演じることもある。
ポパイのほうれん草パワーは、ほうれん草等の野菜を食べない小学生に野菜が必要な事を説く際、多くの母親たちが引き合いに出したエピソードでもある。なおこの作品が制作された当時、ほうれん草の缶詰は製造されていなかった。 ヘラクレスとほうれん草(Greek Mirthology)(1954)では、当初ポパイの先祖はにんにくの匂いを嗅いで力を出していたが、ブルータスに除草剤のような液体をかけられ匂いがなくなった玉ネギの代わりにほうれん草を食べたところ、玉ネギの匂いを嗅いだ時以上の力を発揮し、以後ほうれん草を食べるようになったという説もある。
1960年代には初めてテレビアニメシリーズが制作され、1970年代にも、ハンナ・バーベラ・プロダクションの手によって新作のテレビアニメが制作された。1970年代頃には、ポパイそのものがほうれん草のあだ名にもなった。1980年に監督にロバート・アルトマン、主役のポパイにロビン・ウィリアムズ(日本語吹き替えはいかりや長介)でアメリカで実写映画化。2004年、ポパイ誕生75周年を機にポパイの3DCGアニメがアメリカで放映された。2009年12月8日、エルジー・クリスラー・シーガー生誕115年を記念してgoogleのロゴに登場した。
著作権・商標権
ハースト新聞社のキング・フィーチャーズ・シンジケートにより著作権が管理、運用されている。但し、著作権については一話完結形式であったことから、米国司法による判断では初期作品については保護期間が満了しており、キャラクターグッズなどの商品化、あるいは二次創作については、著作権満了した作品からの引用であれば許可を得ずに製作することが可能。但し、キング・フィーチャーズ・シンジケートは、ポパイのタイトル、タイトルロゴ、及び各キャラクター名を商標登録しているため、無断でロゴを入れたり名前を記述に入れたりすることが出来ない。そのため、司法判断前に作られたゲームソフト「ポパイ」(任天堂)には(C)キング・フィーチャーズ・シンジケートの表示があるが、司法判断後に作られたパチンコ及びパチスロ「ポパイ」には、(R)キング・フィーチャーズ・シンジケートと表示されている。
アニメの内、フライシャー・スタジオ(1933~42)、フェイマス・スタジオ(1942~57)製作分は倒産と版権不継承によりパブリックドメインとなった作品が多いことから幾つかの作品が廉価版DVDとして流通している。
日本での評価
日本でも、1959年から1965年までTBS『不二家の時間』(不二家一社提供枠)で放映されたテレビアニメは最高視聴率33.7%を記録した[1]。その後昭和50年代にNHKにて15分弱の短編アニメを放映した後に1980年6月30日から同年8月20日まで東京12チャンネル(現:テレビ東京)で『まんがポパイ』というタイトルで、平日19:15 - 19:30に放送された[2]。
2006年にはCS放送のカートゥーン ネットワークで放送。
日本への紹介は早く、戦前の雑誌『新青年』で漫画の翻訳が掲載されている。また戦時中の漫画でもアメリカ海軍に見立てたブルートを日本兵が倒すというものがある。『エノケンの孫悟空』(昭和15年作品)でエノケン扮する孫悟空がポパイのテーマ曲をバックに中村メイコからほうれん草をもらいたちまち元気になるシーンがある。TBS版アニメ放送中は、森田拳次によってコミカライズ版が『少年画報』(少年画報社)に連載された。『ポパイ』の名は社名や店名などでも数多く採用されており、特に業務用ソースなどを製造・販売しているポパイ食品工業は、ロゴマークにほうれん草を模っていた。
登場人物であるポパイ、オリーブ、ブルート(ブルータス)の名前はそれぞれ、「POPEYE」「Olive」「BRUTUS」としてマガジンハウスから発行された若者向けの代表的な雑誌の名前に採用されている。
1969年には阪急ブレーブスのウインドブレーカーに、勇者の冑を着けたポパイのイラストが登場したが、版権元から「使用許諾を得ていない」とクレームがついたため、たった2日でお蔵入りとなった。 1978年、日本のバンド「スピニッヂ・パワー」がテーマ曲をディスコ調にアレンジした『ポパイ・ザ・セーラーマン』を発表、40万枚のヒットとなった。同年公開の東映映画『皮ジャン反抗族』(舘ひろし主演、長谷部安春監督)では、挿入歌として使われている。又日本の高校野球では、応援歌の定番曲として現在もよく使用されている。
日本航空では「JALスキーツアー北海道キャンペーン」のキャラクターにも起用された。(1984年まで)
1981年に放送された仮面ライダースーパー1では、後半のエピソードにユートピヤン知事に変身した幽霊博士がベッドに書かれた文字を指して「ポパイ!」と叫ぶシーンがある。
1982年に任天堂からアーケードゲーム、ゲーム&ウオッチ、ファミリーコンピュータ用アクションゲームポパイ (任天堂)が、1983年12月にファミコン用教育ソフトポパイの英語遊びがリリースされた。
1988年にスズキから発売している軽自動車『アルトワークス』のCMキャラクターにポパイが起用された。2004年に日野自動車から発売している小型トラック『デュトロ』のCMキャラクターにポパイが起用された。
2005年にサミーからポパイのパチスロ機が登場し、全国のパチンコ店に設置された。テンプレート:Main
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンではポパイがエントランス(入り口)でグリーティングを行っている。
戦争と「ポパイ」
第二次世界大戦が始まると、ポパイが枢軸国軍と戦うプロパガンダ的なエピソードが何種類か作られた。例えば1942年の『You're a Sap, Mr. Jap』(あんたは間抜け、ミスター・ジャップ)では、ポパイが日本海軍の戦艦を破壊するが、登場する日本人はいずれも眼鏡、出っ歯などのステレオタイプ的な要素を強調して醜く描かれている。1943年の『テンプレート:仮リンク』(対英ほうれん草輸送)では、無制限潜水艦作戦を展開するナチス・ドイツ海軍の潜水艦(Uボート)と戦う。登場するドイツ兵は全員がちょび髭で、事ある毎にナチス式敬礼をして「ハイル・ヒトラー」と叫ぶなど滑稽な存在として描かれている。同年の『テンプレート:仮リンク』(星条旗を見よ)も、海軍に志願したポパイとブルートが協力して日本軍のスパイを一掃するという内容で、クライマックスではアンクル・サムの拳が昭和天皇やアドルフ・ヒトラーを殴り飛ばすシーンもあった。
登場人物
※声優は日本語吹き替え版
- ポパイ(Popeye)
- 声‐浦野光/高松しげお/緒方賢一(大陸書房版)/長島雄一(現・チョー)(IVC版)
- 水兵(船乗り)のセーラー服姿でいつも口にパイプを銜えている、ひしゃげた顔の小男。両腕には錨の形の入れ墨をしている。普段は温厚でお人好し、子供(特にポパイに似た四つ子の甥)に対する面倒見もいい。力持ちだが、ブルートと比べるとやや劣る面もある。恋人オリーブを巡ってブルートといつも騒ぎを起こし、最初は自力で対応しようとするが、物語が終盤に近づいていよいよ危機的状況になると、缶詰に入ったほうれん草を食べて超人的なパワーを生み出し、ブルートをやっつける。殆どの場合、缶詰は缶きりを使わず、握り潰して開封し、ほうれん草を流し食いする。地面にほうれん草の種をまき、見る見る成長したほうれん草をちぎって食べたこともある。ほうれん草だけでなく、わかめを食べても超人的な力を発揮する場合がある(ポパイ曰く、「ワカメは海のほうれん草」)。自分で食べるだけでなく、おんぼろ自動車のガソリンにほうれん草を混ぜて超パワーを出したこともある。困った時の口癖は「なんてこったい!」。
- オリーブ・オイル(Olive Oyl)
- 声‐京田尚子/山本嘉子/深見梨加(大陸書房版)/水谷優子(IVC版)
- ポパイの恋人。痩せっぽちで決して美人とはいえないが、牧場や店を興したりなどして自活しているしっかり者の女性。気が強いところもあり、ポパイがだらしない態度をとるとブルートへ浮気に走ることもある。二人に振り回されて痛い目によくあう。なぜか彼女も缶詰のほうれん草を食べるとパワーが出る。
- ブルート/ブルータス(Bluto/Brutus)
- 声‐熊倉一雄/小松方正/内海賢二(大陸書房版)/島香裕(IVC版)
- ポパイの同僚で恋敵。ヒゲ面の身長2メートルを越す大男。物語冒頭ではポパイと仲良くしている事が多いが、オリーブに惚れており、ポパイから何とか奪い取ろうと画策しすぐに喧嘩を始める。だが最後には必ずポパイにやられている損な役回りだが、時々、ポパイと協力して、彼以外の悪役キャラクターに立ち向かう場面も見せつけている。別人の悪役としても登場する事がある。ポパイとオリーブと同様、なぜか彼も缶詰のほうれん草を食べるとパワーが出る。
- ウィンピー(Wimpy)
- 声‐明石一/原田一夫(大陸書房版)
- 太った中年男性。無類のハンバーガー好きで、いつも片手に食べかけのハンバーガーを持ち歩いている。ハンバーガー欲しさにポパイに金をせびる事も。本名はJ.ウェリントン・ウィンピー(J. Wellington Wimpy)。
- スウィーピー(Swee'Pea)
- ポパイが「養子にした」という[3]ませた赤ん坊。かなり賢く、言葉を話す。時折目を放した隙に危険な場所へ出歩き、騒動を起こしてはポパイ達を困らせている。実はデモニア国の皇太子という設定。
- ジープ(Jeep、Eugene the Jeep)
- 犬に似たミステリアスな動物。超能力を持っており、瞬間移動や予言をしたりする。第2次世界大戦時にアメリカが開発した4輪駆動車「ジープ」の名は、ここから採られたという説もある。英語版では本名「ユージーン・ザ・ジープ(ジープのユージーン)」。
- プープデック・パピー(Poopdeck Pappy)
- ずっと昔にポパイを捨てたというポパイの父。性格はポパイと正反対。
- 海の魔女(The Sea Hag)
- ブルートと同じく敵役的な存在。
- パパイ・ピパイ・プパイ・ペパイ
- ポパイの甥。度々ポパイを困らせている。
- アリス(Alice the Goon)
- 腕とすねが毛深い乱暴者の大女。
サブタイトル
- 放送当時でのサブタイトル
- バカンスは宇宙へ
- 馬鹿騒ぎな昼食
- 西部きっての名きこり
- ポパイがシンデレラ!!
- どっちがお客?
- ポパイは乱暴者
- ポパイの畑に手を出すな!
- ポパイは大統領
- ポパイのおばけ退治
- DVD版で収録されているサブタイトル
- 気まぐれオリーブ
- ポパイ・ザ・チャンピオン
- ポパイとエイリアン
- セーラー・ポパイ
- 自慢の名馬
- ポパイ N.Y.へ行く
- 血は争えない!?
- 配管工 ポパイ
- 最強ベビー・スウィーピー
- オリーブのポリー
長編
ポパイ(1980年実写版)
- 作品名「POPEYE(ポパイ)」
- パラマウントが制作した実写版映画。ロビン・ウィリアムズが特殊メイクで前腕と脹脛をふくらませポパイに扮し、ブルートと対決する。ロケ地はマルタ島アンカー湾。撮影セットはそのまま「ポパイ・ビレッジ」として残されている。
スタッフ
- 監督:ロバート・アルトマン
- 脚本:ジュールス・ファイファー
- 制作:C・O・エリクソン
- 制作総指揮:ロバート・エヴァンス
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え版1 | 日本語吹き替え版2 |
---|---|---|---|
ポパイ(Popeye) | ロビン・ウィリアムズ | いかりや長介 | 内海賢二 |
オリーブ(Olive) | シェリー・デュヴァル | 向井真理子 | 高島雅羅 |
ブルート(Bluto) | ポール・L・スミス | 石田太郎 | 渡部猛 |
プープデック提督 | レイ・ウォルストン | 八奈見乗児 | 杉田俊也 |
ウィンピー(Wimpy) | ポール・ドゥーリイ | 上田敏也 | 滝口順平 |
オリーブのママ | ロバータ・マクスウェル | 京田尚子 | |
オリーブのパパ | マッキンタイア・ディクソン | 西川幾雄 | 北村弘一 |
キャスター | ドノヴァン・スコット | 大滝進矢 | 安西正弘 |
ジージル | リチャード・リバティーニ | 村松康雄 | 池田勝 |
税金取り | ドナルド・モファット | 石井敏郎 | 千田光男 |
吹替え翻訳 | トランスグローバル | ||
演出 | 田島荘三 | ||
調整 | 杉原日出弥 | ||
制作 | トランスグローバル |
- 日本語吹き替え版1:初回放送:1989年5月20日『ゴールデン洋画劇場』
ポパイの大冒険(2004年長編アニメ)
- 作品名:『Popeye's Voyage:The Quest for Pappy』(邦題:ポパイの大冒険~海にひそむ謎を追え!~)。
- 2004年にポパイ誕生75周年を記念して3DCGアニメがアメリカで放映された。アメリカ・カナダの共同製作。日本では2006年にカートゥーン ネットワークで放送された。
キャスト
左はオリジナル、右は日本語吹き替えの声優。
- ポパイ(Popeye)
- 声‐ビリー・ウェスト/山寺宏一
- オリーブ(Olive)
- 声‐タバサ・セント・ジェルマン/雨蘭咲木子
- スウィーピー(Swee Pea)
- 声‐タバサ・セント・ジェルマン/松山薫
- ブルート(Bluto)
- 声‐ ゲイリー・チョーク/天田益男
- ウィンピー(Wimpy)
- 声‐サンダース・ホワイティング/長嶝高士
- 海の魔女シーハッグ(The Sea Hag)
- 声‐キャシー・ベイツ/高乃麗
- ポパイの父(Poopdeck Pappy)
- 声‐ビリー・ウェスト/たてかべ和也
関連項目
- アメリカン・アニメーションの黄金時代
- en:List of Popeye the Sailor theatrical cartoons (Fleischer Studios)
- en:List of Popeye the Sailor theatrical cartoons (Famous Studios)
- (上記はパブリックドメインになった作品が多い)
- 船乗りシンドバッドの冒険
- You're a Sap, Mr. Jap
- グリーン・ジャイアント
- 隆の里俊英
- 高校野球
脚注
外部リンク
- ポパイ公式ウェブサイト(英語)
- ポパイ番組詳細 (カートゥーン ネットワーク)
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