近畿車輛
近畿車輛株式会社(きんきしゃりょう、英文社名:The Kinki Sharyo Co.,Ltd.)は、鉄道車両などの生産を行う近鉄グループの企業である。
目次
概要
- 創業: 1920年12月19日(田中車輛工場、兵庫県尼崎市にて)
- 設立: 1939年11月18日(田中車輛株式会社)
- 本社所在地:大阪府東大阪市稲田上町2-2-46
- 東証1部上場(証券コード7122)
本社・工場の最寄駅は西日本旅客鉄道(JR西日本)片町線(学研都市線) 徳庵駅。
太平洋戦争前からの客車・電車メーカーである田中車輛が前身であり、終戦後の近畿日本鉄道(近鉄)傘下入りに伴って、1945年11月に現社名に改称した。
田中家から近鉄に経営権が移ってからは、代々日本国有鉄道の工作局長が社長に就任していた(田中車輛の社長だった田中太一は、近畿車輛に改組後も監査役を務めていた)。国鉄分割民営化後は国鉄から帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)理事を務めた運転畑の出身者が社長を務めた後、近鉄出身者が務め、現在はJR西日本の役員経験者が社長を務めている。
かつては様々な製品を製造していたが、現在は鉄道車両関連の製品のみにほぼ特化したメーカーとなっている。車両以外は後述の通り子会社が製造を行っている。また、三菱重工業と業務提携を行っている。
当社から製造された車両はローレル賞やブルーリボン賞に加え、ブルネル賞を受賞した車両も数多い。
主に電車の製造を行っているが、2012年には気動車の製造にも再参入することが発表されている[1]。
2012年5月10日、JR西日本が近鉄より発行済み株式の5%を約11億円で取得し、近鉄に次ぐ第2位株主となると同時に、車輌製造の業務提携契約を締結した[2][3][4]。
鉄道車両
大手私鉄・地下鉄
- 近畿日本鉄道(ごく一部を除き全ての車両)
- 帝都高速度交通営団(01系、02系、03系、05系、500形、2000形、3000系、5000系、6000系、7000系、8000系など。東京地下鉄移行後は受注なし)
- 埼玉高速鉄道(2000系。川崎重工業が全車を受注し、うち3編成を近畿車輛にて製造)
- 東京都交通局(10-000形・5300形など。台車も納入。6300形も含まれているがプレートは川崎重工業)
- 京阪電気鉄道(260形→現在の700形の一部まで、以後は車体本体の受注なし)
- 阪神電気鉄道(1000系)※それ以前の車両部品。8000系の途中よりデザイン協力。
- 南海電気鉄道(7000系・7100系の一部まで、以後は車体本体の受注なし)および21001系の昇圧改造
- 大阪市交通局(10系・20系(2代)・新20系・30系・50系・66系・70系・80系・30000系・ニュートラム100系など)および諸改造
- 京都市交通局(10系・50系ほか)
- 西日本鉄道(1000形の一部まで、以後は受注なし)
- 福岡市交通局(1000系・2000系)
- 仙台市交通局(2000系[5])
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近畿日本鉄道 21020系
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近畿日本鉄道 9020系(シリーズ21)
- Hanshin-1000.jpg
阪神電気鉄道 1000系
- Kyoto Municipal Subway 50 Series 5614.jpg
京都市交通局 50系
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大阪市交通局 66系
- Osaka Subway 32601F 20090918.jpg
大阪市交通局 30000系
- Fukuoka city subway type1000 chikuzen-maebaru 1.jpg
福岡市交通局 1000系
国鉄・JR・第三セクター(地下鉄を除く)
- 日本国有鉄道(国鉄)
- 新幹線電車
- 新幹線1000形電車(B編成1006号)
- 新幹線0系電車
- 新幹線100系電車
- 新幹線200系電車
- 新幹線962形電車(962-2)
- 旧型電車
- 新性能電車
- 気動車
- 新幹線電車
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- 東海旅客鉄道(JR東海)
- 西日本旅客鉄道(JR西日本)
※205系1000番台、287系FA・FC編成、321系、683系2000番台R編成は全車受注
- 四国旅客鉄道(JR四国)
- 九州旅客鉄道(JR九州)
- 鉄道総合技術研究所(鉄道総研・JR総研)
- 北海道旅客鉄道(JR北海道)・日本貨物鉄道(JR貨物)とは取引なし。(ただし、JR北海道は過去に「フラノエクスプレス」の車体を納入した実績あり)
- 北越急行
- 681系電車(2000番台)
- JRW N700-7000series S1.jpg
N700系新幹線 山陽・九州直通用S編成
- JR-West 285-series.jpg
JR西日本・東海 285系
- WestJapanRailwayCompanyType321-1.jpg
JR西日本 321系
- JR Shikoku7000.jpg
JR四国 7000系
- Jrq303.jpg
JR九州 303系
- JRC-313-5000EC.jpg
JR東海 313系
- JRE751EC 20020731 016.jpg
JR東日本 E751系
- Hakuraka-sr681.jpeg
北越急行 681系2000番台
準大手・中小民鉄・公営鉄道(地下鉄を除く)
- 北九州高速鉄道
- JTRAM(広島電鉄5100形電車、広島電鉄1000形電車 (2代)、国産超低床LRV。三菱重工、東洋電機製造と提携)
- 叡山電鉄(デオ900形:デザインと台車製作を担当)
- 比叡山鉄道(車体製造)
- 北大阪急行電鉄(9000形)[6]
など
- 20070924hiroden5100.jpg
広島電鉄 5100形
- Kitakyū 9000 momoyamadai.JPG
北大阪急行電鉄
9000形
日本国外向け
- 香港九広鉄路1974年の客車
- 香港MTR(原九広鉄路)Ktt(九廣通:九龍-広東直通列車2階建て客車・東鉄線2次車SP1900形電車・西鉄線及び馬鞍山線全車両)
- エジプト・カイロ地下鉄(1号線・2号線・3号線用電車)
- シンガポール・マス・ラピッド・トランジット(C151形電車)
- フィリピン・マニラ・ライトレール向け軽量電車
- アメリカ合衆国(LRT車両製造が多い。70%低床車両では大きい市場シェアを占める。)
- Dallas Area Rapid Transit
- マサチューセッツ湾交通局 (MBTA : Massachusetts Bay Transportation Authority)地下鉄グリーンライン向け車両
- New Jersey Transit
- サンタクララバレー交通局 (VTA : Santa Clara Valley Transportation Authority) 向け超低床車両
- Valley Metro Rail
- Sound Transit
- メキシコ・チワワ太平洋鉄道向け客車
- ドバイメトロ向け全車両
- LFX-300 架線レス試作LRV
など
- MBTA-green line1.JPG
MBTAグリーンラインType7
- DART rail.jpg
DART 高床式LRV
- Hudson bergen exchange place.jpg
NJT Hudson–Bergen 超低床式LRV
- VTA LRT 2.JPG
VTA 超低床式LRV
- Sound Transit Link Light Rail Train.jpg
Sound Transit Central Link 超低床式LRV
- KCRER SP1900 20071117.jpg
香港KCR SP1900形
- Metro Dubai 2.JPG
ドバイメトロ
研究開発中
完成車両の輸送方法
徳庵から出場するJR西日本向けの車両は、一部の例外を除いて甲種輸送は行わず、工場から城東貨物線を経由して自力で出場してゆく。他のJR向けなどは甲種輸送が行われるが、新幹線車両はトレーラーと海上輸送で博多総合車両所や熊本総合車両所(大阪港―福岡港間海上)へ、親会社の近鉄向け車両は狭軌の南大阪線向けも含めトレーラーによる輸送で八尾市の「高安検修センター」へ搬入される。大阪市営地下鉄などJR線と線路がつながっていない地下鉄・私鉄向けについてもトレーラー輸送となる。
鉄道車両以外の製品
過去の製品
- バス車体
- 1960年代、近鉄自動車局向けに日本初の2階建てバス「ビスタコーチ」や部分低床バス(ノンステップバス)の製造を行った(シャシは日野自動車製)。また、名神ハイウェイバスに参入した近鉄系の日本高速自動車には、独自開発の高速バス車両を製造した実績がある。高速バスは当時日本では登場していなかったスケルトン構造も一部取り入れた特徴あるデザインであった。
- 創業間もない大正時代には東京市電からの受注に伴い東京にも工場を置いたが、進出と同時期に発生した関東大震災から復興のため市電に加え都営バスの元祖である「円太郎バス」130台の製造も受注している。また、昭和に入ってからも8〜16人乗りGMC型バスの製造を行い、阪神国道自動車(現在の阪神バス)などへ納入した[9]。
- 自動券売機
- 建材
- 鉄道コンテナ(コンテナ及びJR貨物のコンテナ形式参照)
- 旧国鉄(現・JR貨物)規格に準じた国内専用の鉄道貨物輸送用に私有コンテナを、当時近鉄グループの運輸会社であった近鉄運輸(現在は系列外の近物レックス)から、長さ20フィート型10トン積載のUC5形式ドライコンテナ[10]を、1971年11月に受注製造した。コンテナ本体の素材は、鉄道製造事業関連のアルミ製であった。しかし、当時はこれらと同一規格の大型コンテナが車輌製造同業他社からも大量に増備(1970年から1985年までの16年間に、延べ約4020本製造)されていたにも拘らず、同社としては最初にして最後の受注製造であった。これらのコンテナ製造には車両とは別に独自の各種規格や強度等が要求されていた為、コンテナ製造者には大掛かりな各種専用設備を要していた関係もあり、結果的には新製品参入の為に試験的に製造したと思われる。
- 産業機械・機器
- エクステリア製品
- バスシェルター、モニュメントなど
関連子会社
- 関連子会社としてケーエステクノスが同じ敷地内にあり、新聞販売機、駐輪場ポスト、車両用窓戸や内装部品などの製造を行っている。以前はアルミ合金押し出し型材も製造し最近は難燃性マグネシウム合金押し出し型材を手がけており、ETCレーンの遮断棒に利用されている。アルミ事業は2009年2月に営業を終了・事業撤退した。1979年に「近車サービス株式会社」として設立され、1998年に現商号に変更、2000年に「近畿アルミ株式会社」を合併した。
- 建材部門の関連会社としてスチールドア販売のコスモ近畿があった。同社はトステム(現・LIXIL)ほか大手建材メーカーとの共同出資企業であったが、現在はLIXIL鈴木シャッターに統合されている。
- なお、関連子会社であった近畿工業(現・日本ファシリオ)はすでに発行済み株式の9割を夢真ホールディングスの連結子会社へ売却しているため、現在は連結対象から外れている。同社はのちに夢真グループ時代の合併、さらに夢真からの株式譲渡でAPロジスティックスの子会社を経て綜合警備保障の子会社となったが、現在も近鉄グループ各社が株主となっている[11]。
- ケーエスデザイン(旧テクノデザイン)…2012年6月末を以て休眠会社に
- ケーエスサービス(旧きんきゴルフセンター)
- KINKISHARYO (USA) INC. (アメリカ・ボストンにある連結子会社)
- KINKISHARYO International, L.L.C. (アメリカ・パームハーバーにある連結子会社)
備考
- 当社製作の車両の走行試験の為の、試運転線が工場奥に敷設されている。 また集電装置としてパンタグラフの無い地下鉄車両などの構内試運転線では、発生品のDT33系台車の上にやぐらを組みパンタグラフを載せた集電装置を使用する。
- 昭和初期に現在地に工場が移転してから、本社事務所は二度移転している。当初は学研都市線への車両出場線の反対側にあるマンションが建っているところ(鉄道雑誌の写真でよく背景として写っている)にあった。 昭和40年代になると、ボウリングブームに乗ってボウリング場を建設・営業したがすぐにブームが去り、ほどなく廃業し、跡地に本社機能を移転した。
- 2004年に本社機能を旧技術研究所跡に移転。旧跡地は賃貸し、複合商業施設「フレスポ東大阪」となっている。2009年8月に3回目の移転を行ない、旧本社跡地にはガソリンスタンドとホリデイスポーツクラブが開業した。
- 東大阪スカイハイツ、メゾン・エスポアール、近鉄バス稲田営業所およびその並びは、かつて近畿車輌の土地であった。
注釈
関連項目
- 川崎重工業車両カンパニー - 同じく関西地方にある鉄道車両メーカー。
- 総合車両製作所(横浜事業所/新津事業所) - 東日本旅客鉄道(JR東日本)傘下の鉄道車両メーカーで、横浜事業所は旧東急車輛製造、新津事業所は旧東日本旅客鉄道(JR東日本)新津車両製作所。
- 日本車輌製造 - 東海旅客鉄道(JR東海)傘下の鉄道車両メーカー
- アルナ車両 - 阪急阪神ホールディングス(阪急阪神東宝グループ)傘下の鉄道車両メーカー
外部リンク
- ↑ 1.0 1.1 近畿車両、30年ぶりにディーゼル車両の生産再開 - 日本経済新聞電子版 2012年3月29日
- ↑ 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「kintetsu120510
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 近畿車輛株式会社の株式の一部取得と業務提携について - 西日本旅客鉄道プレスリリース
- ↑ 西日本旅客鉄道株式会社との業務提携に関するお知らせ - 近畿車輛プレスリリース 2012年5月10日
- ↑ 2015年開業の東西線用車両。仙台市交通局殿から東西線用新型車両2000系を受注しました - 近畿車輛 2012年5月2日
- ↑ テンプレート:PDFlink - 阪急阪神ホールディングス、2013年12月11日。
- ↑ 環境に配慮した、非電化路線用バッテリー電車「Smart BEST」の開発 - 近畿車輛 2012年10月10日
- ↑ 近畿車輛株式会社が開発した自己充電型バッテリー車両の走行試験について - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2012年10月30日
- ↑ 『近畿車輛のあゆみ 創業90周年記念』P.26 - 28 2011年 近畿車輛株式会社
- ↑ 登録番号UC5-424番から431番までの8本製造出典=コンテナの絵本
- ↑ 日本ファシリオ 会社概要