鉄道弘済会

公益財団法人鉄道弘済会（てつどうこうさいかい）は、障害者、児童、老人への福祉事業や駅売店のKiosk（キヨスク）への新聞、雑誌の取次ぎを行っている団体。国鉄時代においてはキヨスクを直営していた。

義足などの義肢装具の研究試作を身体障害者福祉事業の一環で行なっている。これは鉄道事故により身体障害を負った鉄道職員への福祉の必要性から始まった。

また旅行中のけが・病気に対応する旅行者援護事業も行っていた。1970年代までは全国各地の主要駅に援護所があったが、現在は全て廃止されている。

歴史

• 1932年（昭和7年） - 国鉄の職域福祉事業を目的として設立。同年、上野駅・東京駅構内の10箇所で物品販売を行う売店を開く（キヨスクの始まり）。
• 1947年（昭和22年） - 全額出資で大阪鉄道荷物株式会社を設立。
• 1949年（昭和24年）
  • 1月 - 日本通運などと共同で日本運輸倉庫株式会社を設立。
  • 財団法人鉄道協力会、日本通運、日本交通公社などと共同で「国鉄球団株式会社」（国鉄スワローズ）を設立。
• 1958年（昭和33年）2月 - 全額出資で株式会社弘済出版社を設立。
• 1959年（昭和34年）10月 - 全額出資で弘済建物株式会社を設立。
• 1962年（昭和37年） - 全額出資で関西弘済食堂株式会社を設立。
• 1963年（昭和38年） - 国鉄スワローズの経営から撤退。
• 1965年（昭和40年）4月 - 第三セクター「帯広ステーションビル」に出資・設立。
• 1969年（昭和44年）5月 - 東京都新宿区に東京身体障害者福祉センターを開設
• 1973年（昭和48年） - 駅売店の愛称をKiosk（キヨスク）と制定。（全国の1,819駅で4,279店舗のキヨスクを営業）
• 1987年（昭和62年） - 国鉄の分割民営化に合わせて、鉄道弘済会が「財団法人鉄道弘済会」とJRグループ各社が出資する6つのキヨスク会社に分割。キヨスク事業の大部分をキヨスク会社に譲渡する。
• 1997年（平成9年）4月 - 大阪鉄道荷物株式会社の株式51%を西日本旅客鉄道へ売却、株式会社ジェイアール西日本マルニックスに社名変更。
• 2000年（平成12年）4月 - 関西弘済食堂株式会社を株式会社ジェイアール西日本フードサービスネットに譲渡。
• 2001年（平成13年）
  • 5月 - 株式会社弘済出版社の株式を旅客鉄道会社6社（北海道・東日本・東海・西日本・四国・九州）に譲渡。交通新聞社へ改称した。
  • 静岡営業所を東海キヨスク株式会社へ事業譲渡
• 2005年（平成17年）6月 - 弘済建物株式会社が東京地裁へ特別清算を申し立て、実質倒産。
• 2006年（平成18年） - 東日本キヨスクに大宮営業所を事業譲渡(キヨスク事業から完全撤退)。
• 2008年（平成20年）5月13日 - 東京身体障害者福祉センターを隅田川駅敷地に移転し義肢装具サポートセンターに改称。
• 2012年（平成24年）3月 - 東京駅旅行者援護センター・名古屋駅旅行者援護所が業務を終了した。よって、旅行者援護所は京都駅のみとなった。
• 2012年（平成24年）12月 - 京都駅旅行者援護所が業務を終了した(旅行者援護事業から完全撤退)。[1]
• 2013年（平成25年）10月 - 公益財団法人へ移行する。

出資企業

• 北海道キヨスク（JR北海道と共同出資、10%保有）
• 高松駅弁（四国キヨスクと共同出資、約48%を保有）
• 弘済建物株式会社 - 1959年に鉄道弘済会が100%出資で設立した分譲住宅地のデベロッパー。バブル期を前後にコリーナ矢板・フィオーレ喜連川（JR東日本東京工事事務所と共同）・取手市藤代（竹中工務店・ファインズインターナショナルと共同）といった北関東の郊外に大規模な分譲住宅地を開発したが、各所の販売が進まず借入金負担が重荷となり、2005年に東京地裁に特別清算を申立し消滅。開発途中であった藤代の分譲住宅地については事業参画してた地場不動産会社のファインズインターナショナルが買収し「ファインズ桜が丘ニュータウン」に改称した。フィオーレ喜連川については販売に携わった同社元社員が不動産販売会社を起業し、新規分譲販売時の販売センター建物を社屋として承継している。
• 弘済サービス株式会社 - 弘済建物の上記住宅分譲地内の私道や温泉供給など各種インフラ施設の管理を受託していた会社。弘済建物の特別清算後に事業停止し、各管理組合は委託先をリプレイスした。
• 弘済事業株式会社 - 1998年（平成10年）に弘済建物からビル賃貸事業と藤代のゴルフ場（藤代ゴルフクラブ）運営事業を分社化。2009年（平成21年）に減損処理から債務超過に陥り、鉄道弘済会からの支援が困難になったとして7月30日に東京地裁に民事再生手続開始を申立。プレパッケージ（事前調整）型の民事再生処理でアコーディアゴルフがスポンサーとなり、2010年（平成22年）に同社へ譲渡され「取手桜が丘ゴルフクラブ」へ改称後、法人清算。鉄道弘済会が貸付金約100億円を債権放棄したためゴルフ会員権に一部返還金（弁済金）が発生した。

かつて出資していた会社

• JR東日本リテールネット - 旧社名は「東日本キヨスク」で、鉄道弘済会は1割弱の出資をしていたが、2006年（平成18年）に出資分を東日本旅客鉄道が買い上げて完全子会社し、社名変更を実施。
• 東海キヨスク - 鉄道弘済会は1割の出資をしていたが、2008年（平成20年）に出資分を東海キヨスクが買い上げて東海旅客鉄道の完全子会社となった。
• ジェイアール西日本デイリーサービスネット - 旧社名は「西日本キヨスク」で、鉄道弘済会は9%の出資をしていたが、後に西日本旅客鉄道の物販担当子会社との統合を経て同社の完全子会社となった。
• JR九州リテール - 旧社名は「九州キヨスク」で、鉄道弘済会が出資をしていたが、後に九州旅客鉄道の物販担当子会社との統合を経て同社の完全子会社となった。
• ジェイアール西日本マルニックス - 旧社名は「大阪鉄道荷物株式会社」で、鉄道弘済会は49%を出資。後に西日本旅客鉄道の完全子会社になった。

関連項目

• 交通新聞社（旧・弘済出版社）
• 鉄道荷物会社

外部リンク

• 公益財団法人鉄道弘済会 公式サイト