おしん

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テンプレート:Pathnav テンプレート:基礎情報 テレビ番組 テンプレート:Sidebar with collapsible listsおしん』とは、1983年昭和58年)4月4日から1984年(昭和59年)3月31日まで放送されたNHK連続テレビ小説第31作である。

8月15日から8月20日までの6日間は、『もうひとりのおしん』放送につき中断。連続テレビ小説では、『鳩子の海』以来の1年間放送となった。全297話。NHKテレビ放送開始30周年記念作品。

ドラマ

概要

連続テレビ小説の定番である“戦中と戦後の混乱期を逞しく生きた女一代記”の一つ。

  • 1983〜84年の平均視聴率52.6%最高視聴率62.9%。これはビデオリサーチの統計史上、テレビドラマの最高視聴率記録となっている。
  • 小林綾子の少女期おしんは第4回から第36回まで、田中裕子の青春・成年期おしんは第37回から第225回まで、乙羽信子の中年期おしんは第226回から。老年期(役は中年期と同じく乙羽。白髪の様相が特徴)おしんは第1回から登場するが、人生の進行に伴っては第285回から登場する。
  • スリランカインドネシアフィリピン台湾香港ベトナムアフガニスタンシンガポールエジプトイランなど世界68ヶ国や地域で放送され、苦難に遭いつつも決してあきらめず、明治大正昭和を生きた主人公・おしんの姿が、日本だけでなく世界各国で人々の共感を呼び、「おしんドローム」という言葉を生み出した。「世界で最もヒットした日本のテレビドラマ」とされなおファンが多く根強い人気がある。
  • 朝日新聞2010年9月25日付のbeランキング「心に残る朝ドラヒロイン」アンケート結果では、本作の田中裕子が第2位だった(第1位は樫山文枝おはなはん』、第3位は国仲涼子ちゅらさん』)。
  • 作品では、おしんの幼年期の苦労を描いただけではなく、義理や周りを見ることなく他人を押しのけてまで銭儲けをしてもいずれ自分を追いやってしまう、人として本当に大切な物は何かというメッセージが、おしんが人生の歩みの中で出会ってきた沢山の恩人の言葉を通して散りばめられている。

本編以降の放送日程

  • 90年代以降、総集編がBSと地上波で放送された。
放送日:BS2 1999年10年25日 - 1999年10月28日 20:00 - 21:30
地上波:2000年3月20日 - 2000年3月23日 21:35 - 23:05
  • 2003年4月からは、本放送20周年記念で、毎週月曜日 - 土曜日の夜7時30分からNHK衛星第2テレビジョンで全297話が再放送され、放送終了後の7時45分からは藤原勝也が司会進行で『BSおしんだいすき』という次回の話の予告や視聴者からのお便りなどを紹介した5分間のミニコーナーがあり、小林綾子丸山裕子今福將雄がゲストで登場することがあった。なお、当番組が放送されていたため、2000年から12月1日に放送されている『デジタルドリームライブ』は、この年に限って15分遅い放送開始となっている。
  • 2008年から2010年にはファミリー劇場でも2回リピートで全話再放送されている。
  • 連続テレビ小説の放送50周年を記念し「おしん総集編」が2011年11月25日にNHKよりDVDリリースされた。
総集編はおしんの成長に合わせた展開で進み、小林と田中が活躍する部分に旅する老年期のおしんは一切登場する事無いが、最終話「最上川・時の流れ」で山形と東京を見て回るシーンが少し挿入されている。
【収録内容】
・DISC.1 第一話「最上川・ふるさと」 第二話「結婚・大震災」
・DISC.2 第三話「流転」 最終話「最上川・時の流れ」
・DVD2枚組
・収録時間354分/画面サイズ4:3/モノラル/カラー/日本語字幕
総集編:2013年1月1日~4日 18:00~19:30
全297話:2013年1月6日~12月15日(予定) 毎週日曜日 10:00 - 11:30(毎週、1週間分を放送)、字幕放送

『おしん』誕生

  • 『おしん』誕生の切っ掛けは、「ある明治生まれの女性が、人に言えない過去を病床で綴ったものでした。子守り 奉公したり、“女郎屋”に売られたりね」という、1979年に原作者の橋田壽賀子へ寄せられた1通の手紙であった。静岡県榛原郡川根本町出身の丸山静江の半生を次女の千鶴子が代筆し、橋田壽賀子が「主婦と生活」誌で連載していた「母たちの遺産」に送った事が発端である。その後のドラマ化にあたり、橋田壽賀子やNHK番組関係者から取材を受け、脚本作りに協力した。ドラマでは、奉公に出る幼いおしんが、最上川で下るシーンが名場面として知られているが、丸山静江も榛原郡金谷に奉公に出る為、大井川を筏で下って行ったと言う[2]
  • 明治世代の人の苦労を伝えるのは、自分達の世代の義務だと感じた。「でもテーマが地味過ぎて、どのテレビ局にも断られました。NHKでも、かなり反対があったんですよ。“明治物は、当たらない”と言われてましたし…。川口幹夫放送総局長(当時)の賛成でやっと決まったんです」[4]

ドラマ撮影

  • 第7回で両親が奉公に出すおしんを見送る川下りのシーンは、窮乏と悲惨さを象徴し、本ドラマの代表シーンとして必ず引き合いに出されるほど有名である。しかし、父の作造が登場する場面は別撮りで後年、伊東四朗はおしんの姿を見ずに演じることが大変であったことを明かした。なお伊東は、2000年の連続テレビ小説『私の青空』にヒロインの父親として登場し、船に乗って旅立つヒロインとその子供を港で見送るという、当作のようなシーンが存在する。
  • 中村雅俊が演じる脱走兵・俊作がハーモニカで奏でている曲はアイルランド民謡原曲の『庭の千草[1]』という明治時代の小学唱歌で、何度かおしんも吹いている。

物語

1983年昭和58年)新春、北へ向かう列車の中である老婦人が座っていた。彼女の名は田倉(たのくら)しん。

三重県志摩半島各地に構えるスーパーマーケットの経営者であった彼女は、新店舗開店という記念すべき日に行方をくらましてしまった。一族が騒然とする中、しんとは血こそ繫がらないものの孫同然の間柄である大学生・八代圭(やしろ けい)は昔、しんが語ってくれた思い出話を頼りに山形県銀山温泉へ当ても無い捜索の旅に出た。

その地で偶然にしんと出会った圭は今すぐ三重へ戻るよう説得するも、しんは帰ろうとせず山形のとある廃村に行こうとしており、話を聞かない。だが圭はしんの願いを叶えてあげたいという気持ちになり、彼女をおぶって雪深い山道を進み、廃村へと辿り着いた。そこがしんの故郷であり、雪の中で廃屋となっていた我が家を見たしんの眼に涙が浮かんでいた。

そうして、しんは圭にこの家出が80年以上の人生で自分は一体何を得て、何を失ってしまったか。また、自分のことだけしか考えない経営方針に突き進む息子・仁(ひとし)をどこでそういう息子にしてしまったのかを振り返るための旅だとうち明けた。

物語は1907年明治40年)の春、明治も終わりにさしかかった山形の貧しい農村で生きる「おしん」の少女時代から始まる。

キャスト

主人公

オープニングの登場者名としては名字はなく全放送を通して、そのまま、「おしん」と画面に表示される。
谷村 しん(少女期) / 演 - 小林綾子
第1部ヒロイン。
1901年明治34年)生とされている。利発で心の優しい少女。家の貧しさと口減らしのため7歳で奉公に出される。
しかし奉公先の厳しさに耐えかね、抜け出し遭難しかけた所を脱走兵・俊作に助けてもらい様々なことを教わる。
その後、酒田の米問屋「加賀屋」に奉公に出ることになり、当家の跡取り娘・八代加代のかけがえの無い友情と、大奥様・くにの教えを一身に受け、立派に成長していく。
谷村 しん→田倉 しん(青春〜成年期) / 演 - 田中裕子
第2部ヒロイン。
16歳になったおしんは、くにの薦めで結婚することとなったが、農業運動を指導する浩太と出会い、一目惚れする。
そして、結婚は相手への強い抵抗によって破綻し、責任を感じたおしんは加賀屋を出ることになってしまった。家に戻ったおしんは、死んだ姉・はるの夢であった髪結いの見習いとなるため上京し「長谷川」の女主人・たかの下で、洋髪を主とした天才的な髪結いとして活躍することとなる。
そして、ふとしたきっかけで羅紗問屋「田倉商店」の主人・田倉竜三と出会い、親の反対を押し切って結婚。商売にも類稀な才能を発揮し、子供服の製造業で工場を構えるまでになったが、関東大震災で全てを失う。
後に竜三の故郷佐賀に移るが、姑の清の辛い仕打ちを受け、遂には死産を経験してしまう。心身ともに疲れ、耐えかねたおしんは佐賀を出る決心をし、雄を連れながらも持ち前の度胸と順応の速さにより新しく仕事を覚えては、その土地ごとで生活するようになる。
東京で露店業、酒田では食堂兼飲み屋、そして浩太の紹介で三重で魚の行商をはじめることになる。
田倉 しん(中年〜老年期) / 演 - 乙羽信子
第3部ヒロイン。
戦争で夫・竜三と長男・雄やすべての財産を失うが、魚の行商で一からやり直す。
次男の仁ら残された家族の支えもあり再び自分の店を構えるまでに立ち直るが、商売のことや子どもたちの結婚など苦労は絶えず、子どもたちを諭そうとしても「もう時代が変わったのだ」と言いくるめられてしまうこともしばしば。
自らの商売方針を堅持していたが、仁が持ち込んできた新しい商売をめぐり、大きな決断を下す…。
第1部・第2部は、老境に差し掛かったおしんがそれまでの半生を振り返り、義理の孫となる圭とともに思い出の土地を巡る旅をしつつ、圭に当時の出来事を語り次ぐという形式で描かれており、ストーリー全体の狂言回しの役割も果たしている。

谷村家

谷村 ふじ / 演 - 泉ピン子
おしんの母。貧しい小作人農家に嫁いできた働き者の嫁。普段は、家の炊事洗濯から朝から夕方まで田畑を耕す小作人の仕事をしていた。
それ以外にも銀山温泉で出稼ぎをすることもあった[注 1]。何かとおしんを気にかけ家族想いな性格で、何度かおしんが住む場所を訪ねてはおしんの支えになった。
現代のパートにおいておしんの部屋に置かれている古いこけしは、おしんが酒田の加賀屋に奉公する前に銀山のふじの宿に訪れて去る際に、母から買ってもらえた大事な物である。
谷村 作造(さくぞう) / 演 - 伊東四朗
おしんの父。貧しい小作人農家で働き者。厳しい性格だが、貧しい大家族を養うために辛い気持ちを人前では見せない。
しかし、7歳のおしんを奉公に出す際は川岸でおしんが乗る船を心配のあまり追いかけていくなど、根は悪い人ではない。おしんの結婚祝いの杯を交わしたその夜、肝硬変で死去。
谷村 なか / 演 - 大路三千緒
おしんの祖母。働き者だったが、おしんが物心つく頃にはリウマチにかかっており、かろうじて子守りやご飯の支度ができる程度の体になっていた。
初めての奉公へと旅立つおしんに50銭銀貨を与えるなど、孫の事をいつも気遣っていた。
故におしんも家を思うたびに祖母の事を気遣っていたが、加賀屋での奉公が順調に向かっていた頃に危篤に陥り、急遽帰郷できたおしんと再会してこの世を去った。
祖母の辛い生き様は小作ではなく商売人として生きてきたいというおしんの人生行路を築かせたが、孫を大切に思う気持ちは圭に対して同様なもので、祖母のを継承したと言える。
谷村 庄治(しょうじ) / 演 - 佐野大輔→吉岡祐一
おしんの兄。成人してからは父譲りの粗暴な面を見せるが、小作の長男として生まれてきたことを憾んでいる。
おしんが圭と一緒に実家の墓参りをする時の会話から、現在は亡くなっていることがわかる。
谷村 とら / 演 - 渡辺えり子(現:渡辺えり
庄治の妻。庄司と自分の子供たちとは普通の妻、母親として接するが姑のふじや時折実家に帰ってくるおしんのことは、口やかましいと思っており冷たい態度を取る。
昭和43年、突如として伊勢のおしんの元に家出して来る。理由は嫁と息子から邪険にされたことであった。しばらく滞在した後、迎えに来た庄治とともに帰って行った。
谷村 はる / 演 - 仙道敦子千野弘美
おしんの姉。貧しい家の家計を少しでも支えようと若い時から製糸工場で働くが、過酷な労働環境により肺結核で死亡。髪結になる夢をおしんに託す。享年19。
谷村 みつ / 演 - 長谷川真由美→古坂るみ子
おしんの姉
谷村 正助 / 演 - 住吉真沙樹→小林徹也
おしんの弟
谷村 こう / 演 - 片桐尚美→鍵本景子
おしんの妹
谷村 すみ / 演 - 柳美帆
おしんの妹で谷村家の末娘。貧しさのため母親ふじが銀山温泉へ働きに出ることになり、養育出来なくなり乳飲み子のうちに他家へ貰われていった。

田倉家(佐賀)

おしんの夫と義理の家族。

田倉 竜三(りゅうぞう) / 演 - 並木史朗
おしんの夫。明治28年(1895年)生まれ。佐賀の旧家の三男。跡継ぎではないため独立し、東京で羅紗問屋を開業していた。
髪結いのおしんの評判を聞きつけ、つきあいのあるカフェの女給のために彼女を呼び寄せたのがきっかけでおしんと知り合った。加代とも面識があり、帰郷した加代との連絡を取り持つうちにおしんに興味を抱き、やがて結婚に至る。
苦労しらずのお坊ちゃんだが、おしんや育ての親である源右衛門のことを誰よりも大切に思っている。
また、おしんが髪結いや商売を営むことに反対しがちだが、次第にその力を認め、共に事業の拡大に全力を注ぐ。
しかし関東大震災により事業財産の全てを失ってしまい、おしんと長男の雄を連れ佐賀の実家に戻る。
おしんが雄を連れて佐賀を離れた後も親子3人で暮らすため干拓事業に精を出していたが事業は台風によって失敗し、今度は満州開拓に乗り出そうとするが、別れのために訪れた伊勢で魚の行商をしていたおしんと再会。
夫婦共に伊勢で働くことを決心し、店を構え一家を養えるまでになる。戦時下には軍の仕事を引き受け羽振りが良く、戦争を嫌うおしんに対し積極的に戦争協力を行う。敗戦後、己のしてきたことを悔やみ、おしんと家族の事を思いながらも自決する。
田倉 清(きよ) / 演 - 高森和子
おしんの姑。神経質かつ昔気質の性格で、小作の娘ということからおしんと竜三の結婚に反対しており、佐賀ではおしんに辛く当たる。
働き者のおしんに対し、「家のことは、恒子(長兄の嫁)の仕事だから」と言い、髪結いをしたことがあったが「田倉家の恥だ!」として辞めさせ、おしんを嫁として認めなかった。
それでも、おしんが死産した時はさすがにやりすぎたと反省し、一時的に和解するがおしんの家出で破綻。おしんからの手紙も破り捨て竜三たちにも見せなかった[注 2]
だが竜三が伊勢でおしんと共に魚の行商をし始めたころから、息子がいかにおしんを妻として慕っているかを考えて、その仲を認めるようになる。
竜三の死後に伊勢のおしんを訪ね、再び和解する。そして、竜三の骨の一部を持って佐賀に帰っていった。
田倉 大五郎(だいごろう) / 演 - 北村和夫
おしんの舅。源右衛門とは共に育った間で、その源右衛門のとりなしもあって結婚には賛成していた。おしんに辛く当たる清をたびたび宥める。
なお、おしんが初子を迎えに東京を訪ねて来た頃には大五郎も清も既にこの世の人ではないことが、たか、健とおしんの会話で分かる。
田倉 福太郎(ふくたろう) / 演 - 北村総一朗
竜三の長兄。家庭内の揉め事には「見ざる、言わざる、聞かざる」の態度を取る、所謂事なかれ主義者。
田倉 恒子(つねこ) / 演 - 観世葉子
福太郎の妻。長兄の嫁と言えども清の厳しい態度の下、何年も田倉家で身を粉にして働いて耐えてきた。
初めはおしんを厄介者と扱うような態度をみせていたが、同じ嫁としての立場からおしんに共感。おしんを陰ながら支援するようになり、おしんのために産着を用意した他、おしんが佐賀を出る時は見舞いに出た清の隙をついて雄を連れ出し、おしんに引き渡した。また清が破り捨てていたおしんからの手紙を拾い集めて裏張りし、後に竜三に渡したりもしている。
佐太郎 / 演 - 木内聡
千代 / 演 - 藤田亜里早
千賀 / 演 - 金子成美
平吉 / 演 - 服部賢悟→四元りょう
福太郎、恒子夫妻の子ら。
なお佐太郎は現代のパートにも登場しており(老年期の配役は平島武広)、おしんに再会するも「見た事がある」と言うだけで殆ど忘れていた。
おしんも当時の辛い状況を考えて、話し合おうとはしなかった。
また、佐賀でお墓参りをするおしんと圭の会話から前述の清と大五郎の他に福太郎と恒子も現在は既に鬼籍に入っていることがわかる。
田倉 亀次郎(かめじろう) / 演 - 成瀬正
竜三の次兄。陸軍中佐。妻(ひろ子)と子もあるが登場はしていない。
伊勢で竜三に軍に魚を収める仕事を紹介し、雄には陸軍士官学校進学を勧める。
山根(田倉) 篤子(やまね(たのくら)あつこ) / 演 - 長谷直美
竜三の妹。おしんが田倉家に来る前に嫁に行っており、時々田倉家に戻っては清から手厚いもてなしを受けていた。おしんと同時期に妊娠し、彼女が田倉家で出産する事になったのも、おしんが長女の愛を死産する要因となった。その後、清はおしんの償い、篤子生まれの娘命名は「愛」。
今村 源右衛門(いまむら げんえもん) / 演 - 今福将雄
竜三の家の手伝い。元々は田倉の本家に仕えていたが、竜三のお目付け役として上京。
当初は貧しい小作人の娘ということで、田倉商店に転がり込んだおしんのことを快く思っていなかった。
だが家事全般はもちろん、読み書きやそろばん、お茶生け花などが出来る事を知り、気立てと威勢の良さから次第に彼女を認め、大五郎に竜三とおしんの結婚に太鼓判を押すほどになる。
田倉商会の工場落慶の際は商会本店で雄の世話をしていたが、関東大震災が発生すると本店の家屋が崩落。崩れてきた柱から雄を庇い、死亡した。
つぎ / 演 - 有明祥子
田倉家(佐賀)の奉公人。

田倉家(伊勢)

おしんの子供たちとその家族。

田倉 雄(ゆう) / 演 - 伊藤毅→萩堂譲二→山野礼央→槇浩→松田洋治冨家規政
おしんの長男。大正12年(1923年)1月14日生。伊勢での行商時代にも母子ともに過ごし、誰よりも母を想う青年に成長。
一時は陸軍士官学校進学を志すが、戦争を嫌う母の言葉、そして初子の言葉を受けて断念し、県立中学から三高そして京都帝大文科へ進む。
初子とは両思いの仲であったが、学徒出陣の出征後に戦死する。戦友川村の話及び雄自身の手記から餓死であったことが発覚する。
田倉 愛(あい) / 演 - なし
おしんの長女。大正13年(1924年)秋、佐賀で出生後、間もなく死亡。
田倉 仁(ひとし) / 演 - 望月匡貴→内田慎一→山下真司高橋悦史
おしんの次男。昭和4年(1929年)10月生まれ。
雄や希望とは異なり、粗暴な一面もあり戦時中には特攻隊へ志願するが、終戦によって一命を取り留める。
しかし、雄と同様に母や家族を想う優しい一面もあるものの、それが他人を思いやらない自己中心的な心に繋がり、おしんを苦しめてきた。
戦後には田倉家の跡取りとしての意識を強く持ち、戦後は進学せずにおしんと商売に精を出していたが、いつまで経っても儲からない商売に行き詰まっており、やがてセルフサービスの新しい商売の話を持ち出す。
田倉 剛(たけし) / 演 - 宮本宗明
仁の長男。スーパー田倉の営業部長。
田倉 幸子(ゆきこ) / 演 - 景山真弓
剛の嫁。
田倉 進 / 演 - 永山純一
剛の長男。おしんの曾孫。
田倉 道子(みちこ) / 演 - 田中美佐子浅茅陽子
仁の妻。裕福な家庭で育った現代的な女性で、一人娘として甘やかされて育ったため家事があまり得意でない。
貧しい小作人の娘という境遇や人一倍働き者のおしんとはたびたび確執を起こす。
結婚しても、同居生活や出産などでおしんたちと衝突を巻き起こし、耐えられないと決まれば実家に帰っていた。
中年期からは、おしんが彼女と距離を置きつつあったために、何事も問題無く通ってきたが、新舗開店時の家出で今までの鬱憤を含んで立腹。
しかし、おしんがいかに一族のために尽くしているかの姿を見て分かり合うようになる。
田倉 あかね / 演 - 鈴木美江
仁の長女。彼氏がいたが、ある事情で別れを告げられるが、なんとか立ち直る。
田倉 みどり / 演 - 川上麻衣子
仁の次女。名古屋の大学に通っている女子大生。
田倉 禎→崎田 禎(てい→さきた てい) / 演 - 野竹和子→山下陽子→浅沼友紀子吉野佳子
おしんの次女。昭和11年(1936年)2月26日生まれ。誕生日が明らかでない登場人物が多い中、禎は2.26事件当日に生まれたとドラマ中に描写されている。
一時は田倉家の家事をこなしていたが、自分の子どもには学問をさせたかったおしんの願いから名古屋の大学へ進学する。
大学では青春の日々を過ごしていたが、帰省した際に新しい商売に踏み切ったおしん達が身を粉にして働いている姿を見て大学での日々に違和感を覚え、遂には中退。
おしんの商売を手伝い、仁に勧められていた辰則との結婚も真剣に考えるようになる。だが、辰則との結婚の後は商売のみを考えるようになってしまった。
崎田 辰則(さきた たつのり) / 演 - 渡辺寛二→桐原史雄
禎の夫。仁の戦友で、アメリカのスーパーで働いていた経験を持つことから田倉商店の従業員として仁に招かれる。気さくな性格で商売の成功のため精力的に働く。
田倉 初子(はつこ) / 演 - 上中はるか→長島裕子[注 3]田中好子佐々木愛
おしんの養女。大正15年(1926年)生まれ、千人針の話から初子の生年が寅年であることがわかる。山形の小作の娘で、中沢健の遠縁。
おしんと似た境遇で、幼くして死んだ娘の愛と年が近いため、おしんは娘同様に育て、仁や希望にとっては優しい姉、雄とは相思相愛の仲になる。
雄の戦死後はおしんの元を去り、家に送金していた。実は東京でアメリカ兵相手の商売に身を落としていたのだが、昭和24年、おしんの説得で伊勢へ戻る。
再び田倉家の家事と商売を支え、仁から生活面の御礼として裁縫店を与えられるも、独身を通して実の母のように慕うおしんの面倒を見る。

加賀屋(八代家)

八代 加代(やしろ かよ) / 演 - 志喜屋文(少女期)→東てる美
おしんの二度目の奉公先である酒田の米問屋・加賀屋の娘。おしんとは同い年で、わがままで気が強く両親など周辺から甘やかされていたお嬢様であり、奉公入り当初はおしんを嫌っていたが、ふとした喧嘩や命を助けてもらった事で改心して、実の姉妹のように仲良くなった。
青春期は画家になることにあこがれて加賀屋を継ぐことを拒否。大正デモクラシーの風潮の中、社会主義に理想を抱き、偶然出会った社会主義者の高倉浩太に恋心を浮かべて、浩太を追って加賀屋から出奔。東京でしばらく浩太と同棲していたが、浩太はすぐに加代の元を離れていった。
そうして洋髪の業務で再会したおしんから妹の小夜の死を知り、酒田に帰郷する。あくまでも一時的な帰郷のつもりで、その後も浩太を思って家出しようとしたが、くにが倒れた事態と浩太から連絡がなかった(偶然、おしんは浩太と再会できたが、彼から口止めされていた)ために断念する。
大卒の政男と結婚してからは彼のやり方に不満を抱き、女一人で加賀屋を引っ張っていく。おしんが佐賀から家出してきて、くにの臨終を看取った後、事情を受け取り、酒田で加賀屋が保有していた空家をおしんに譲って、食堂兼飲み屋に仕立て上げた。そこでの業務には加代も大いに手伝った。
だが、おしんが伊勢に移った後に政男が自殺。その後、加賀屋は破産。凋落の末、東京の女郎屋へ身を落としてしまう。両親も相次いで死去。
おしん(と浩太)は加代の生活を救おうと、女郎屋に金銭(100円)を渡そうとしたが、借金は利子も含めて雪だるま式に増えて1000円にもなっており、果たせなかった。おしんと会った日の夜、飲酒から成る胃病のため喀血し、血がのどに詰まって窒息。昭和6年(1931年)に果てる。一人息子の希望はおしんがひきとり、遺骨はおしんが伊勢に建てたお墓に両親とともに納められた[注 4]
加代と浩太の関係を巡って、おしんがせざるを得なかった行為は、後に深い心の傷にもなってしまう。
八代 政男 / 演 - 森篤夫
加代の夫。加賀屋の婿養子で八代希望の実父。東京帝国大学卒。
婿養子であることを引け目に感じ、また加代が自分を好きでもない事も察しており、外に出て女を作って子供を産ませるなど放蕩三昧の生活を送る。そのため、夫婦仲は悪化した。くにの死後、仲人を介して詫びを入れ、加賀屋に戻る。加賀屋に戻ってからは加代を立て、おしんの店を手伝うのも認めていた。
昭和恐慌で米問屋の経営、株取引などうまく行かず商品先物の取り引きでも失敗し、加賀屋の破産の責任を取り昭和5(1930)年春に自殺した。
八代 くに / 演 - 長岡輝子
加代の祖母。加賀屋の「大奥様」。おしんの理解者。広い心で、幼いが向学心のあるおしんを見守る。
おしんの奉公人としての働きぶりや簡単な読み書きができ、向学心があることを知って、信頼を置くようになり、加代と一緒に勉強を教え、帳簿の見方や花嫁修業としてお茶や生け花も身につけさせ、おしんがこれから生活していく術を教えてくれた大恩人でもある。
加代の家出の件では心を痛め、加代が帰郷直後に再度家出しようとした時に心臓病で倒れる。おしんが佐賀から家出して山形の実家に帰った頃は危篤に陥っており、駆けつけたおしんに加代のことを頼んだ(その際、死んだふりをする茶目っ気も見せた)翌朝、76年の生涯を閉じた。
八代 みの / 演 - 小林千登勢
加代の母。当初、おしんにも優しかったが、娘の加代と奉公人のおしんに対するくにの考えにズレが生じ一時冷たくなる。
しかし、おしんが加代の命を助けたことで改心し、実の娘のように愛情を持って接するようになる。
加賀屋凋落後、3か月入院した後、東京で死亡。上述の理由で加代は死目にあえなかった。
八代 清太郎(せいたろう) / 演 - 石田太郎
加代の父。母親であり加賀屋の経営を取り仕切っているくにには頭が下がる若干頼りない性格。
しかし、娘の加代のことになると強気に。上記のみのと同じく途中からおしんを優しく接するようになる。
加賀屋凋落後、心労がたたり東京で脳卒中で死亡する。
八代 小夜(さよ) / 演 - 宮城望(乳児期)→大塚ちか
おしんが子守をした加代の妹。おしんが加賀屋を去った2年後に肺炎で亡くなる。
八代 希望(のぞみ) / 演 - 大渕貴人→萩原等司塩屋智章野村万之丞
加代の一人息子。加代の死後、おしん夫婦に養育され、仁とは年の同じ兄弟として育つ。
希望に加賀屋を再興させることが恩返しであると考えるおしんは希望に早くからそのことを伝え、希望も戦後の再出発においては進学せずに商売を手伝っていた。やがて自身が商売に向いていないことを悟り、田倉の家を出て陶芸家の道を志す。
親(おしん)思いで、穏やかな性格。
八代 百合(ゆり) / 演 - 丘山未央→寺田路恵
昭和25年から田倉商店で働く使用人。良く働き控えめな性格で、おしんや初子からも可愛がられていた。
仁と関係を持つが、昭和28年、仁の結婚に際してことが露見したため田倉家にいられなくなり、希望の陶匠で働く。
おしんは百合を不憫に思っていたが、後に希望の妻となる。しかし、息子・圭を産み、新居を構えてすぐに交通事故で死去してしまう。
八代 圭(けい) / 演 - 岩淵健大橋吾郎
希望の息子。大学生だが春休みの際に祖母代わりのおしんが家出したことを知り、捜索として訪れた銀山温泉で偶然に再会する。
おしんと血の繋がりがないことは知っていたが、それ以上の事(奉公や実の祖父母の事など)はこの時点では聞かされてはいなかった。その後、おしんが過去に過ごした土地を一緒に訪れ、おしんが今までひた隠しにしてきた人生を知ることとなる。
子供の頃、母の死によって一時おしんの下で生活していたことがあり、他の孫たちよりもおしんを慕っていて、おしんからも可愛がられていた。
物語終盤に実の祖母である加代、おしんの師匠であるくにといった先祖たちを思って、加賀屋の再興を目指そうと考えた。

山形の人々

りき / 演 - 渡辺富美子
山形の谷村家の近所の住人。
おしんが子供の頃に奉公先の口利きをしてくれたり、字が読めないふじたちの代わりに手紙を読んで聞かせるなどおしんたちを何かと助ける。
源助 / 演 - 小倉馨
口入れ屋。おしんの最初の奉公先の中川材木店を世話した。
中川軍次 / 演 - 平泉征(現:平泉成
おしんの最初の奉公先である中川材木店の主人。幼少のおしんのことを気にかけ、松田先生からの申し出を受け入れておしんを尋常小学校に通わせるなど良い人物である。しかし、つねの高圧的態度の前には何の役にも立ってはいなかった。
後年、老年期のおしんが訪れた時は中川材木店はなくなっており、土地の人の記憶にもなかった。後述する中川材木店の人達の消息は現在は不明である。
中川 きん / 演 - 今出川西紀
中川軍治の妻。彼女もおしんのことを気にかけていたが、それも大したものではなかった。
つね / 演 - 丸山裕子(声優)
中川材木店の使用人。おしんの躾け係。おしんに対して厳しく辛く当たる。そしてあるとき、自分の財布から50銭銀貨を盗んだ疑いをかけ、逃亡の原因を作ってしまう[注 5]
しかし、この時の厳しいしつけによりその後のおしんの辛抱強さと働き者の性格を身につけることができた。
定次 / 演 - 光石研
中川材木店の見習い。奉公に出るおしんを迎えに来た人物。以来、おしんを気にかけて声をかけたり、つねから庇ったりしていた。
おしんが書いた手紙を仕事のついでにふじの元に届けたり、その手紙を代読したりもしていた。
松田 / 演 - 三上寛
最初の奉公先近辺にある左澤尋常小学校の教師。
授業を興味深々に覗き込んでいたおしんを見つけ、自身も乳児を背負って就学していた経験があったために、中川家を説得して小学校に通わせた。
だがおしんは周囲の生徒からのいじめを受け、退学してしまう。
俊作(しゅんさく) / 演 - 中村雅俊
中川材木店から逃げ出したおしんを山中で助けた脱走兵。東京出身。日露戦争の203高地で受けた傷を持つ。
小学校を退学し勉強が中途半端のままであったおしんに読み書きや算数、与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」を教え、戦争の愚かさや命の尊さを説く。
その後、おしんの里帰りに同行したが憲兵に見つかり、逃亡しようとしたところ射殺されてしまう。
彼が大事に持っていた「君死にたまふことなかれ」の掲載された雑誌『明星』とハーモニカは里帰りの際におしんに手渡され、直後に形見となってしまったが、何時までも大切に取っておいた。
松造 / 演 - 大久保正信
俊作と共に暮らす炭焼き職人。息子を203高地で亡くしており、同じくそこで傷を負った俊作を匿っている。
最初、自身らの存在を知られたおしんを煙たがっていたが、次第に孫娘のようにかわいがる。
おしんが実家に戻ることになると別れるが俊作の死後、おしんが吹いていたハーモニカの音に気付いて訪ねてきて、俊作の経歴と立場をおしんにうち明かす。その後、どこかへ去っていった。
銀山温泉の宿の女将 / 演 - 草村礼子
番頭 / 演 - 小野泰次郎
加賀屋の番頭
きく / 演 - 吉宮君子
うめ / 演 - 佐藤仁美
加賀屋の奉公人。おしんの少女編に登場する先輩たち。
さく / 演 - 今野博美
たま / 演 - 井沢明子
加賀屋の奉公人。おしんの青春編に登場する。
桜木徳男 / 演 - 津村鷹志(津村隆)
おしんの元婚約者。
助平な男でお見合いの際におしんに抱き着き、おしんは抵抗の末、徳男を池の中に投げ落としてしまい、結果加賀屋の奉公が終わってしまう。
勝次 / 演 - 江幡高志
おしんが加賀屋を辞めた後の次の奉公先を斡旋した。
料理屋の酌婦という名目での斡旋だが実質は女郎であり勝次はいわゆる女衒である。
宿の仲居 / 演 - 芝田陽子
老年期のおしんが銀山温泉に回想の旅に出た時に宿泊した宿の仲居。

東京の人々

長谷川 たか(はせがわ たか) / 演 - 渡辺美佐子
おしんの髪結いの師匠。日本髪専門の髪結い「長谷川」の女主人だが、おしんが洋髪で独り立ちできるよう育ててくれる。
江戸っ子気質の義理人情の深い、加賀屋のくにと並ぶ、人生の師匠でもある。
昭和28年の時点では亡くなっていることが第239回のおしんのセリフでわかる(後述の健も同様)。
りつ / 演 - 名川忍
髪結い「長谷川」の奉公人。千葉の小作出身。最初、飛び込んできたおしんを厄介者と嫌っていたが、次第におしんを姉のように慕う。
洋髪主流の影響でほとんどの奉公人が辞めてしまった中、たかのために一人「長谷川」に残って奉公していた。
震災直後、田舎に戻り髪結いの店を持つ。
豊 / 演 - 田中世津子
その / 演 - 真野ゆうこ
袖 / 演 - 木瓜みらい
けい / 演 - 島村美紀
夏 / 演 - 富沢美智江
髪結い「長谷川」の奉公人。
つる / 演 - 此島愛子
おしんの出髪の競争相手。
中沢 健(なかざわ けん) / 演 - ガッツ石松
露天商の元締。彼の手下が無許可で露天をしていたおしんを傷つける。
だが度胸の良さに感心し、おしんが落とした売上金を返しにやって来たところ、山形出身ということでおしんと意気投合。
気前良く露天の出店許可を出し、おしんの商売に貢献する。亡くなった妹と似ていると、密かにおしんを慕う。
また、東京でおしんの人生の局面(佐賀からの家出、凋落した加代と対面するおしんへの助力、消息不明になった初子の調査など)で重要な役割を果たす。なお、戦争中に露天商からは足を洗い、戦後は堅気として暮らしていた。
ロク / 演 - おぼん
サブ /演 - こぼん
中沢健の子分。おしんが彼らに無断で露店をしていた所、おしんと押し問答となる。
しかし、親分とおしんの和解の後は、分かち合って手助けするようになる。
染子(そめこ) / 演 - 日向明子
神田のカフェー「アテネ」の女給。おしんにとって最初の髪結い客で、最初結った髪が気に入らず怒って帰ってしまったが、店で好評だったため贔屓の客になる。
「アテネ」の客であった竜三に軽い恋心を抱いて、字の書けるおしんに恋文を書くようにお願いしたことが、おしんと竜三の結婚のきっかけとなった。
両者の結婚には認め、仲間たちと共に暖かく見守る。ある時、田倉商店の危機に一人豪遊して「アテネ」に訪れた竜三を叱ったこともあった。
震災直後、おしんとは離れ離れになってしまい、消息は不明。
波子(なみこ) / 演 - 浦谷ひづる
八重子(やえこ) / 演 - 谷川みゆき
茂子 / 演 - 古館ゆき
神田のカフェー「アテネ」の女給たち。染子に影響されて、おしんの髪結いの常連客となる。
徳造 / 演 - 神田正夫
かね / 演 - 橋本菊子
おしんが髪結いとして初めて独立した時の最初の下宿先の大家夫婦。
留吉 / 演 - 中島元
大工、田倉商会を子供服縫製所への改造を請け負った。
中本 / 演 - 小池栄
婦人服の仕立屋。おしんは型紙の制作を依頼したり技術指導を受けたりした。
立原 / 演 - 大矢兼臣
長野 / 演 - 加賀谷純一
大野屋の仕入れ担当者
山口ミサ / 演 - 渡辺康子
ミシンの技術指導員
梅子 / 演 - 大畑ゆかり
糸子 / 演 - 中尾和子
敏子 / 演 - 百瀬三邦子
弓枝 / 演 - 西沢正代
勝子 / 演 - 野沢由香里
久代 / 演 - 大越章子
ミシンの縫い子

その他

高倉 浩太→並木 浩太(たかくら こうた→なみき こうた) / 演 - 渡瀬恒彦
農民運動の活動家。おしんの初恋相手で、竜三との結婚後も、伊勢での商売を紹介するなど生涯にわたっておしんを援助する。おしんの父作造が亡くなった直後に農民運動の関係でおしんの故郷を訪れたこともある。
戦時下には特高警察による拷問を受け、脚に障害を残し心身ともに荒廃する。
転向した後は運動から離れ、結婚して商売に精を出し成功し[注 6]、戦後には楽隠居の身となる。
未亡人となったおしんが店を出す際や加代の子である希望が独立する際も支援した。さらに、大型店に賭けたスーパーたのくらが倒産の危機にあった際、不採算の大型店を引き取って大手資本に仲介する話をまとめ、スーパーたのくらの窮地を救った。
並木 香子 / 演 - 片岡静香
浩太の妻。造り酒屋の一人娘。
並木 宗男 / 演 - 長谷川哲夫
浩太の息子。浩太の後を継いで食料品店を営む。スーパーたのくらの強引なやり方に激怒し、17号店出店反対運動の先頭に立つが、失敗。やがて自身の店を含めた商店街の土地を大手資本に提供し、自分は出来上がったスーパーにテナントに入るという戦法をとり、スーパーたのくらを窮地に追い込む。
耕造(こうぞう) / 演 - 隈本吉成
竜三の幼馴染で、田倉家の小作。居候になった竜三・おしんと一緒に畑仕事をする。
佐和(さわ) / 演 - 香野百合子
田倉家の小作・耕造の妻。元天草の女郎で近所から距離を置かれているがおしんと懇意にする。自身の境遇に悩んで身投げ騒ぎを起こした。
おしんは佐和の境遇に共感し、一度目の家出の時は彼女にお金を渡し、彼女と一緒に逃げる手はずになっていたが、彼女は計画を無謀とみて竜三に相談。そのため、おしんの家出は失敗したうえに、この時に肩に負った傷が元でおしんの右手が効かなくなり、結果的におしんを裏切ることになってしまった。
後におしんよりも一足先に東京へ逃亡。おしんが佐賀から上京した後で再会し、おしんからもらったお金を全額返済した。
神山 ひさ(かみやま-) / 演 - 赤木春恵
伊勢に住む浩太の親類。浩太の母のいとこである。特高警察に追われる浩太の身を案じる。
浩太の紹介でおしんと雄を預かり、おしんが魚の行商人として独り立ちする手助けをし、戦後には未亡人となり家を追われたおしんが再起するため再び行商の手助けをする。
なお、昭和28年の時点では亡くなっていることが第238回のおしんのセリフからわかる。
川村 清一 / 演 - 斉藤洋介
雄の戦友。戦時中におしんと初子が軍隊にいる雄に面会した時に同席し、おしんが持ってきたおはぎを食べさせてもらった。
戦後、戦死した雄の遺品を届けに田倉家を訪れ、さらに数年後、裏の仕事で大金を儲けて、初子に結婚を申し込む。
雄の代わりに親孝行の意味も込めて駅前の土地をおしんに譲渡する。しかしその直後、営んでいた高利貸しの債務者に襲われて28歳の若さで生涯を閉じる。
栄造 / 演 - 大友柳太朗
希望の陶芸の師匠。
ふみ / 演 - 風見章子
栄造の妻。
平野 / 演 - 金田明夫
おしんの姉・はるが働いていた製糸工場の監督員。はるが密かに恋心を抱いていた。
川部 仙造 / 演 - 長門裕之
道子の父。名古屋の衣類問屋の主人で、商売拡大のため道子と仁の結婚を進める。
スーパー創業の際に自分の商売への介入を嫌い出資を断るおしんの態度にはじめ反感を持つ。
やがて同じ時代を生きたもの同士として共感を示し、甘える道子や批判する波江よりもおしんの考え方を認めるようになる。
なお、現代は亡くなっている事が第289話の道子の台詞からわかる。
川部 波江 / 演 - 今井和子
道子の母。若い頃に嫁姑問題で苦い経験をしたため、一人娘の道子にはそういう思いはさせたくないとの考えから、結婚には当初から否定的で、結婚後も姑のおしんに冷たい態度をとることが多かった。
文子 / 演 - 伊藤公子
田倉家のお手伝い。
語り / 演 - 奈良岡朋子
本作のナレーション。
最終回に犬を連れて散歩する女性として顔出し出演し、海岸で共に歩くおしん・浩太を夫婦だと思って挨拶し、去って行った。

スタッフ

  • 脚本:橋田壽賀子
  • 音楽:坂田晃一
  • 制作:岡本由紀子
  • 演出:江口浩之、小林平八郎、竹本稔、望月良雄、一柳邦久、吉村文孝、江端二郎、大木一史、秋山茂樹
  • 山形ことば指導:芝田陽子
  • 酒田ことば指導:大久保正信
  • 佐賀ことば指導:吉岡節子
  • 島原ことば指導:山田孝子
  • 書道指導:星富恵子
  • 殺陣指導:林邦史朗
  • 茶道指導:戸田宗安

『おしん』の反響

日本での反響

  • 本放送の人気ぶりからオシンドロームと呼ばれるほどの社会現象を巻き起こした。この『オシンドローム』という言葉はアメリカのニュース雑誌「タイム」のフリー記者であるジェーン・コンドンが紙上で掲載したもので、1984年の第1回新語・流行語大賞の新語部門・金賞を受賞している[5]
  • 中曽根康弘首相は「おしん、康弘、隆の里」と自らを2名に準えて表現し、混迷する政局を耐え忍ぶ姿を自戒している。「隆の里」とは31歳で第59代横綱に昇進し、新横綱全勝優勝を遂げた力士・隆の里俊英の事で、苦難を越えて昇進した人物像から「おしん横綱」という愛称を持つ。
  • 田中角栄も己の人生と『おしん』を照らし合わせて、涙ながらに「俺は男おしんだ」と語っている。ただし橋田は後のインタビューで「教科書のような話を書いたつもりはないので政治家や財界人が訓示に引用するのには違和感を覚えた」と述べている。
  • 「おしんのしんは辛抱のしん」と辛抱を呼びかける現象までも発生したが、橋田は「あれは辛抱を描いたドラマではありません」と自粛を呼びかけていた。
  • TV放送をこよなく観賞していた昭和天皇も連続テレビ小説を良く視聴し、『おしん』を見た際に「ああいう具合に国民が苦しんでいたとは、知らなかった」と感想を述べたという[6]
  • 中曽根の言動を模したようなものに「おしん、家康、隆の里」というのがあるが、「家康」とは、おしんの同年に放送されたNHK大河ドラマ徳川家康』を示し、作中と史実において伝わってくる家康の忍耐心を隆の里、『おしん』となぞらえたもので、流行語となった[7]
  • 本放送時、札幌市水道局の水道使用量が急速に減少して警告が鳴り、ラジオドラマ『君の名は』の再来か、というエピソードが当時の北海道新聞に掲載された。
  • 嫁姑戦争の舞台となった佐賀県では、「県のイメージダウンになる」とNHK佐賀放送局に抗議の電話が殺到し、NHKが「もう少し見てもらえれば真意を汲み取ってもらえる」と釈明を出す必要に迫られた。この時、姑を演じた高森和子はテレビのトーク番組に出演し「あれは演技の上ですよ」と苦笑しながら釈明している。
  • ドラマと現実の区別がつかなくなった熱狂的な視聴者が、おしん役の小林や母ふじを演じた泉ピン子宛てに米を送ったり、「おしんに渡してほしい」と、NHKに多額の金銭を送ってきたこともあった。おしんの父・作造がおしんやふじに厳しく接するため、作造役の伊東四朗宅に「お宅のご主人は娘に厳しすぎる」と視聴者が抗議に訪れ、家人が「あれはそういう役」「うちには娘はいない」と応対するも最後には庭先で口論になったこともあったという。おしんと対立した姑を演じた高森和子は町中でにらみつけられたり、苦情を言われたこともあった。
  • おしんの奉公地に設定された山形県酒田市の出身である評論家佐高信は、「酒田周辺では、おしんよりもっと苦難を強いられた女性がたくさんいる」として、作品に批判的である。ただし、本編におけるおしん自身の述懐にも「奉公ならまだいいほうだよ。男相手に身売りさせられたなんてのは当たり前のことだったんだから。そのこと考えたら、畑や家のことや杉苗植えなんて、寝る暇もないぐらいこき使われたって、ありがたいと思わなきゃね」とある[8]
  • 当時の「おしんブーム」にあやかろうと演歌歌手・金沢明子が「おしんの子守唄」をリリースしている。なおB面曲の「おしん音頭」は、歌詞がユーモラスだったことから「笑っていいとも!」で取り上げられたことがある。シングルレコードのジャケット柄は宗美智子による漫画版『おしん』のイラストであり、1983年11月末までに6万枚を売り上げた[9]
  • 「おしんブーム」で山形県を訪れる観光客が増加、県内観光名所の飲食店のメニューに「大根めし」も登場し話題となった。
  • 『おしん』の幼年期については非常に反響が大きかったため、1984年夏にNHK総合テレビで幼年期のみ再放送されている。
  • 必殺仕事人IV』22話「主水、大根めしを食べる」において、中村主水がお灸に辛抱できない中で、上司の田中熊五郎が小説を読みながら、本作を連想させる発言をする。主水から毒づかれるが、ムキになっていた。
  • 1983年5月26日に発生した「日本海中部地震」を描いた矢口高雄のコミック「激濤 Magnitude 7.7」に、夫婦で出漁していた猟師が『おしん』のお昼の再放送を見ようと急いで港に戻るシーンが描かれている。なお、実際の当日の昼の放送は臨時ニュース放送のため休止された。
  • DVDに続いて、2013年9月27日に「少女編」「青春編」がブルーレイで発売され、2013年11月22日に「試練編」「自立編」「太平洋戦争編」2014年1月24日に「再起編」「完結編」がブルーレイでNHKエンタープライズから発売される予定。

外国での反響

番外編『もうひとりのおしん』

終戦記念日である8月15日からの6日間、ドラマ『おしん』を中断して放送された。これは田中裕子が疲労で倒れ、絶対安静を余儀なくされてドラマ撮影に支障が生じた事で急遽制作されたものである。

出演者

大橋吾郎小林綾子橋田壽賀子小木新造 ほか

スタッフ

放送日

放送回 放送日 サブタイトル
第1回 テンプレート:08月15日(月) いろりのまわりに家族がいた
第2回 テンプレート:08月16日(火) めしはいつも大根めし
第3回 テンプレート:08月17日(水) 女は一生働きづめ
第4回 テンプレート:08月18日(木) 夏も冬も着たきりすずめ
第5回 テンプレート:08月19日(金) ことばは国の手形
第6回 テンプレート:08月20日(土) 日本中のおしんたちへ

舞台

小説・文庫

  • 『小説 おしん〈上〉』(橋田壽賀子・三原庸子著、2003年3月、日本放送出版協会、ISBN 4140054077)
  • 『小説 おしん〈下〉』(橋田壽賀子・三原庸子著、2003年5月、日本放送出版協会、ISBN 4140054085)
  • 『おしんの遺言』(橋田壽賀子著、2010年8月26日、小学館、ISBN 4093881375)

漫画

演劇

  • 1984年3月明治座初演、6月名鉄ホール再演
  • 1995年2月小林綾子の成長で「おしん《青春編》」として東京宝塚劇場で再演。その後、たびたび再演され、中国、台湾の「おしん」人気で、アジアからも観客動員している。

映画

アニメ映画版

テレビドラマの第1部をアニメーション映画化したもの。1984年3月17日公開。高視聴率を挙げたドラマとは裏腹に上映打ち切りが相次ぎ、興行的には失敗に終わる。制作費3億円に対し配給収入は約2億円。失敗の原因に関してサンリオは「サンリオのファミリー映画はいつも子供が親を引っぱってきた。今回は子供にソッポを向かれたのが原因」としている。2006年、ポニーキャニオンから発売された『サンリオ映画シリーズ』の1作としてDVD化された。

  • アニメ版ではおしんの年齢や年号がはっきりと描写されている。
    • 物語の始まりは明治40年春、おしんは数えで7歳、満で5歳であった。
    • 俊作、松造とで雪山に篭っている時に明治40年暮れ明治41年となった。この2年前に日露戦争が終わっていた。
    • 加賀屋に奉公に来て最初の年に明治41年から明治42年になり加代と共に新年を祝った。
  • エンディングクレジットには「お豊」という登場人物がおり声を芝田陽子が担当している。芝田陽子はテレビドラマ版では銀山温泉の仲居として登場しているがアニメ版では存在を確認できない。
声の出演

 (●はこざとへんに孝)


スタッフ
主題歌
  • 「小さな願い」 歌:小林綾子
  • 「雪割草のように」 歌:上條恒彦
    作詞:山上路夫
作曲:坂田晃一

実写映画版

2012年6月11日にセディックインターナショナルから、実写映画化が発表された。放映開始30周年を迎える2013年10月12日に劇場公開された。主人公のおしん役は半年にわたる全国オーディションで[12]、約2500人の中から濱田ここねが選ばれた。またテレビドラマ版に出演した泉ピン子、小林綾子、ガッツ石松が別の役柄で出演する[13]。監督は山形県鶴岡市出身の冨樫森。山形県内でオールロケを敢行し、2013年2月15日にクランクインし、3月31日にクランクアップした[14]。第22回金鶏百花映画祭にて国際映画部門の最優秀作品賞を受賞。最終興行収入は4億円だった[15]

キャスト(実写映画)

スタッフ(実写映画)

受賞

関連項目

脚注

注釈

テンプレート:Reflist

出典

テンプレート:Reflist

外部リンク

NHK アカイさんノート

テンプレート:前後番組

テンプレート:NHK朝の連続テレビ小説
  1. テンプレート:Cite web
  2. おしんのモデルは川根本町の女性だった!静岡新聞2013年3月7月15:33配信 配信日に閲覧)
  3. 雪国舞台 日本人の苦難体現読売新聞 2011年11月9日配信 2013年3月7日閲覧)
  4. 参考資料:ザテレビジョン編集部[編]『TVの出来事まるごと10年!別冊ザテレビジョン』角川書店・1992、146ページ
  5. テンプレート:Cite web
  6. 「われらが遺言・五〇年目の二・二六事件」(『文藝春秋』1986年3月号)
  7. 参考・出典 大原誠・著「NHK大河ドラマの歳月」日本放送出版協会
  8. 少女編・第23回
  9. 『週刊日録20世紀 1983(昭和58年)』講談社、1998年、39頁。
  10. 2013年1月3日 ぴったんこカン・カンスペシャル
  11. 朝日新聞1989年2月3日 朝刊 2外◆「おしん」賛美、ホメイニ師「許さぬ」 責任者、一時は禁固刑
  12. テンプレート:Cite web
  13. テンプレート:Cite web
  14. テンプレート:Cite web
  15. テンプレート:Cite journal


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