ルフトハンザドイツ航空
ルフトハンザドイツ航空(ルフトハンザドイツこうくう、テンプレート:Lang-de, テンプレート:Lang-en)はケルンに本拠を置くドイツ最大の国際航空会社。ドイツのいわゆる「フラッグ・キャリア」とされているが、現在はドイツ国外の航空会社も多数傘下に置いている。
目次
概要
2004年8月時点で世界89カ国327都市に就航、旅客数はエールフランス‐KLMに次ぐ欧州第2位、世界でも十指に数えられる[注 1]大規模航空会社(メガ・キャリア)であり、スターアライアンスの創立メンバーでもある。日本への乗り入れ開始は1961年で、就航地は東京国際空港、成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港である。
社名「Lufthansa」は「空のハンザ同盟」の意。ドイツ・エアロ・ロイド(旧ドイツ・ルフト・レーデライ)とユンカース空輸の合併で誕生した会社として、中世ドイツの「商人組合」にかけて「旅商人組合(同盟)」の意味を込め「ドイツ・ルフト・ハンザ株式会社」 (Deutsche Luft Hansa Aktiengesellschaft) とされた。
シンボル(ロゴ)のモチーフとなっている鳥はツルで、その理由は、(1) 鳥の中で最大級の大きさであること、(2) お伽話や童話で「天国の使い」、「幸運を呼ぶ鳥」、「長命のシンボル」等として取り上げられていることから。野生のツルを保護する活動も行っている。
カラーリングとして使用される色にはそれぞれ以下の意味が込められている。
- 黄:「差別化」「発見」
- 銀:「高い技術水準」
- 白:「信頼」
- 灰:「品質」
綿密な機体整備は高く評価されている。ニューズウィーク誌の「最も安全な航空会社ランキング」の第1位に選出されている。同社中古機の人気は高く、1980年代のピープルエキスプレスなど、ルフトハンザの中古機材を用いて就航している格安航空会社も多い。
機内インターネットサービスのFly Net(Connexion by Boeing)を提供していたが2006年12月31日をもってサービスを終了した。2009年10月、機内すべての場所で無線ネット接続を行うことができるFly Netサービス再開を発表[1]。2010年下半期以降、長距離路線に順次導入される予定で、ドイツ主要都市とアメリカ主要都市を結ぶ路線が発表されている。
歴史
1926年1月、ドイツ政府26%、地方都市19%の出資によってJunkers LuftverkehrとDeutscher Aeroが合併し誕生した。これによって、DELAGを源流とするエアロユニオン系、海運会社ロイド(現・ハパックロイド)を中心とするロイド系、エンジンメーカのユンカース系と、それまでドイツにあった航空会社が1社に統合された[2]。合併後ヨーロッパ域内に路線網を拡大するほか、同盟国の日本や満州国への路線も計画するものの、1945年5月の第二次世界大戦の敗戦以降は営業を停止された。
その後営業を再開したものの、1949年の東西ドイツ分断時には西ドイツ側の航空会社となった(但し当初は東側にも別の「ルフトハンザドイツ航空」が設立された)。その後はヨーロッパ域内のみならず、アジア、南北アメリカ、中東、アフリカなど世界各国に路線網を広げる。1990年の東西ドイツ再統一時に、東ドイツ側の国営航空部門であるインターフルークの事業を引き継いだ。
1997年に、エア・カナダ、スカンジナビア航空、タイ国際航空、ユナイテッド航空とともに、世界最大の航空連合であるスターアライアンスを結成した。2005年にスイスインターナショナルエアラインズの買収を表明し、2006年に完全子会社化する。2009年9月、オーストリア航空を買収したことを公表した[3][4]。
ルフトハンザグループ
ルフトハンザは多くの子会社を所有している。主なものを以下に挙げる。
注)コンドル航空は、2009年よりトーマス・クック・グループへ移った模様。
- オーストリア航空 - オーストリアのフラッグ・キャリア 2009年9月に買収
- オーストリアン・アローズ(チロリアン航空) - オーストリアの近距離路線運航会社
- ラウダ航空 - 1991年に経営権をオーストリア航空に譲渡
- ジャーマンウィングス - ケルンに本社を置くドイツの格安航空会社 2009年1月に買収
- スイスインターナショナルエアラインズ - スイスのフラグ・キャリア 2007年7月に買収
- スイスヨーロピアンエアラインズ - スイスの近距離国際線運航会社
- ルフトハンザ・カーゴ
- ブリュッセル航空 - ベルギーのフラグ・キャリア 2008年9月に買収
- ルフトハンザ・シティーライン - ドイツを中心とした地域航空会社
- ルフトハンザ・イタリア - 2008年にイタリアのミラノを拠点として設立された航空会社
- ルフトハンザ・テクニック - 世界でも大きな航空機メンテナンス会社の1つ
- ルフトハンザ・システムズ - 世界でも大きな航空系IT企業の1つ
- ルフトハンザ・フライト・トレーニング (Lufthansa Flight Training) - 搭乗員養成会社
- bmi - イギリス第2位の航空会社 → 2011年11月にインターナショナル・エアラインズ・グループ(ブリティッシュ・エアウェイズ、イベリア航空の持株会社)へ売却すると発表された。2012年の3月までに売却される予定[5]。
- Delvag - 航空運輸専門の保険会社
現在、欧州内のドイツ語圏4か国(ドイツ、オーストリア、スイスの一部、ベルギーの一部)のフラッグ・キャリアが全てルフトハンザの傘下となっている。
就航都市
機材
運航機材
機材 | 保有数 | 発注数 | 座席数 | 備考 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
F | C | Y | 計 | ||||
エアバスA319-100 | 32 | 1 | 138 | 138 | |||
エアバスA320-200 | 60 | 41 | 168 | 168 | |||
エアバスA320neo | 0 | 60 | No Data | 順次導入予定 | |||
エアバスA321-100 | 20 | - | 200 | 200 | |||
エアバスA321-200 | 42 | 2 | |||||
エアバスA321neo | 0 | 40 | No Data | 順次導入予定 | |||
エアバスA330-300 | 18 | 1 | 8 | 48 | 161</br>165 | 217</br>221 | |
エアバスA340-300 | 22 | - | 8</br>8</br>テンプレート:0 | 48</br>36</br>44 | 165</br>197</br>222 | 221</br>241</br>266 | |
エアバスA340-600 | 24 | - | 8 | 60 | 238 | 306 | |
エアバスA350-900 | 0 | 25 | No Data | 2016年以降順次導入予定 | |||
エアバスA380-800 | 10 | 4 | 8 | 98 | 420 | 526 | |
ボーイング737-300 | 13 | - | 140 | 140 | 2015年までに順次退役予定 | ||
ボーイング737-500 | 13 | - | 120 | 120 | 2015年までに順次退役予定 | ||
ボーイング747-400 | 20 | - | 8 | 80</br>66 | 242</br>278 | 330</br>352 | |
ボーイング747-8I | 9 | 10 | 8 | 92</br>80 | 262</br>298 | 362</br>386 | ローンチカスタマー</br>2015年までに順次導入予定 |
ボーイング777-9X | 0 | 34 | No Data | 2020年以降導入予定 | |||
計 | 283 | 218 |
- 2014年5月現在。2014年11月より、B747-8Iを皮切りに新しく「プレミアムエコノミークラス(PY)」が有償提供される予定。
備考
- エアバス、ボーイングのどちらかに偏らず、複数の機種を数多く保有している。
- ルフトハンザが発注したボーイング社製航空機の顧客番号(カスタマーコード)は30で、航空機の形式名は747-230, 747-430, 747-430M などとなる。
- エアバスA380-800では、機体それぞれに都市の名前が付けられている[注 2]。
就航地(過去の就航地も含む)[注 3]:東京(D-AIMD)・北京(D-AIMC)・ヨハネスブルク(D-AIME)・ニューヨーク(D-AIMH)・サンフランシスコ
- ボーイング747-8では、機体にドイツの連邦州の名前が付けられており、初号機は「ブランデンブルク」と名付けられた[6]。
子会社運航機材
- Boeing MD-11F 18機[注 4]※
- Avro RJ85* 18機 近距離国際線・国内線
- Canadair CRJ100/200* 26機 近距離国際線・国内線
- Canadair CRJ700* 22機
- Canadair CRJ900* 12機(15機発注中)
- エンブラエル190* (30発注中)
※ルフトハンザ・カーゴによる運用。 *ルフトハンザ・シティラインによる運用。
過去に運航していた機材
- ユンカースJu-52
- フォッケウルフFw200
- ロッキード コンステレーション
- コンベア440
- ダグラスDC-8
- マクドネル・ダグラスDC-10
- ボーイング707
- ボーイング720
- ボーイング727
- ボーイング747
- エアバスA300
- エアバスA310
特別塗装機
- 「EXPO2000 HANNOVER」[注 5]
- ボーイング747-400(D-ABVK[注 6]),(*)
- 「STAR ALLIANCE」[注 7]
- ボーイング747-400 (D-ABTH),(*) エアバスA340-300 (D-AIGC(**)、D-AIGN), エアバスA319 (D-AILF), エアバスA320 (D-AIPD), エアバスA321 (D-AIRW), ボンバルディアCRJ700(D-ACPQ、D-ACPS、D-ACPT)
- 「50 YEARS Innovation Partnership Boeing and Lufthansa」
- ボーイング747-400 (D-ABVH)
- 「Fanhansa」[注 8]
- ボーイング747-400 (D-ABVK[注 9],D-ABVS), ボーイング747-8 (D-ABYI[注 10],D-ABYO), エアバスA320 (D-AIDG), エアバスA340 (D-AIHQ)
- 「Congraturations! BOEING 747 1500th」[注 11]
- ボーイング747-8 (D-ABYP)
(*)現在は、通常塗装による運航である。
ルフトハンザ・エアポート・エクスプレス
ルフトハンザはかつて、「エアポート・エクスプレス」という列車の運行に携わっていたこともある。これは都市から空港への連絡列車ではなく、航空便の代替を列車が行うという異例のものであった。
1982年から1993年にかけて、フランクフルト - デュッセルドルフ間のような短距離で採算性の低い国内線の代わりに当時のドイツ連邦鉄道(DB, 西ドイツの国鉄。現在は民営化されドイツ鉄道)に、チャーター列車「ルフトハンザ・エアポート・エクスプレス」を運行したのである。
エアポート・エクスプレスは、列車の運転はDBの職員が行うものの、運賃は航空運賃が適用され、客席の乗務員や車内の軽食サービスなどはルフトハンザが行うという形態を取っていた。運行当初DB内での扱いは営業用の「LH」と共に全車一等車ということから「TEE」の列車番号が当てられていた。また、DBの時刻表には掲載されていない。
当初はDBの定期運用から外れて保留となっていたインターシティ向け電車403形を使用し、その後2セクタ目となったシュトゥットガルト線は客車列車となった。
現在これを継承するものとして、DBの定期列車であるICEの一部区画を間借りしてルフトハンザ旅客専用とする「AIRail」サービスを、フランクフルト(FRA) - ケルン(QKL)・シュトゥットガルト(ZWS)間で行なっている。
脚注
注釈
出典
関連項目
- ルフトハンザドイツ航空 (ドイツ民主共和国)
- インターフルーク
- コードシェア便
- ハンザ同盟
- ルフトハンザ航空181便ハイジャック事件
- リモワ
- DELAG - 世界初の定期航空路会社で、前身の1つである。
外部リンク
引用エラー: 「注」という名前のグループの
<ref>
タグがありますが、対応する <references group="注"/>
タグが見つからない、または閉じる </ref>
タグがありません- ↑ ルフトハンザ航空、2010年から機内無線ネット接続サービス「FlyNet」再開
- ↑ 「航空情報 2010/12」酣燈社 p86-p90
- ↑ ルフトハンザ、オーストリア航空を月内グループ傘下に - 日本経済新聞
- ↑ ルフトハンザが欧州最大に オーストリア航空を買収 - 共同通信
- ↑ Lufthansa and IAG reach agreement in principle on the sale of British Midland Ltd. - ルフトハンザドイツ航空 (2011年11月4日)
- ↑ Die „Brandenburg“ grüßt Washington: Super-Jumbo B747-8 trägt Namen des Bundeslandes(ルフトハンザ公式サイト[ドイツ語版] 2012年6月1日)