重要伝統的建造物群保存地区
重要伝統的建造物群保存地区(じゅうようでんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく)は、日本の文化財保護法に規定する文化財種別のひとつ。日本の市町村が条例などにより決定した伝統的建造物群保存地区のうち、文化財保護法第144条の規定に基づき、特に価値が高いものとして国(文部科学大臣)が選定したものを指す。略称は重伝建地区(じゅうでんけんちく)、重伝建(じゅうでんけん)。
概要
文化財保護法でいう伝統的建造物群保存地区とは、城下町・宿場町・門前町・寺内町・港町・農村・漁村などの伝統的建造物群およびこれと一体をなして歴史的風致を形成している環境を保存するために市町村が定める地区を指す。この制度は、文化財としての建造物を「点」(単体)ではなく「面」(群)で保存しようとするもので、保存地区内では社寺・民家・蔵などの「建築物」はもちろん、門・土塀・石垣・水路・墓・石塔・石仏・燈籠などの「工作物」、庭園・生垣・樹木・水路などの「環境物件」を特定し保存措置を図ることとされている。
市町村は都市計画法に基づく都市計画または条例により伝統的建造物群保存地区を定め、文部科学大臣は市町村の申し出に基づき、その価値が特に高いものを重要伝統的建造物群保存地区として選定することとされている。2013年(平成25年)12月現在、日本全国で41道府県86市町村の106地区が選定されている。
一覧
- 2013年12月現在のもの。
- 市町村合併に伴い保存地区の名称が改称されたものについては、改称後の名称を表示した。
- 種別は重要伝統的建造物群保存地区一覧(外部リンクの項参照)による。
課題
重伝建に選定される伝統的建造物群の中の道路形態は、自動車交通に対応していないところが多い。これはインフラ整備などによる開発から取り残されたり元々交通の不便な島嶼や山間部にある集落で産業が衰退したことなどにより結果的に伝統的な建造物が残ったところが多いためであるが、重伝建選定時の伝統的建造物と都市計画決定済みの道路との関係や観光客の増加に伴う自動車交通への対応などが課題になることが多い。また重伝建の選定は建造物の増改築などに制約が掛かったり、増加した観光客のマナー問題(騒音、ごみ、交通渋滞など)によってそこで生活する住民にとってマイナス要素となることがある。
広島県福山市の鞆の浦では市の「鞆港埋立による架橋計画と町並み保存は一体」との考えから、埋め立て架橋計画の白紙化と共に町並み保存計画も白紙化されたテンプレート:要出典。重伝建の選定を望む住民などは、架橋計画とは切り離して町並み保存計画を進めるよう要望している。重伝建の選定にあたっては行政と住民の協力が欠かせないものとなっている。
関連項目
外部リンク
- 重要伝統的建造物群保存地区一覧 - 文化庁
- 全国の重要伝統的建造物群保存地区一覧 - 篠山市教育委員会
- 全国伝統的建造物群保存地区協議会