「中核市」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
(概要)
 
(相違点なし)

2014年8月25日 (月) 05:46時点における最新版

テンプレート:Imagemap 政令指定都市 中核市(ちゅうかくし)とは、日本地方公共団体のうち、地方自治法第252条の22第1項に定める政令による指定を受けた。日本の大都市制度の一つである。現在の指定要件は、法定人口が30万人以上であること。所属する都道府県の議会と、その市自身の市議会の議決を経て、総務大臣へ指定を申請する。

  • 地方自治法は、以下で条数のみ記載する。

概要

日本の大都市制度には、政令指定都市・中核市・特例市の別があり、中核市は1996年に施行された。いずれも都市の規模に応じて、市に都道府県の事務権限の一部を移譲する制度であり、中核市には政令指定都市に準じた事務の範囲が移譲されている。ただし、関与の特例については行政分野の大半に認められている政令指定都市と異なり、中核市では福祉に関する事務に限られる。

その後、特例市との区別を無くそうという意見が中核市市長会及び特例市市長会双方から出されており、これらの問題を取り扱う国の地方制度調査会側も前向きな姿勢を見せた[1]。その結果、2014年5月23日可決・成立の改正地方自治法(当該部分の施行は2015年4月1日)により、特例市制度が廃止されるとともに、中核市の人口要件が「20万人以上」に緩和されることとなった。なお、移行措置として、現行の特例市については、改正法施行後5年間に限り、人口が20万人未満となっていたとしても中核市に移行できるものとされている。ただし、2015年4月1日に指定される予定の越谷市と八王子市は、この特例市制度廃止と中核市人口要件緩和の可決・成立以前に決定したものであるため、この要件には当てはまらない。 テンプレート:-

中核市一覧

現在、以下の43市が中核市に指定されている。

地方 都府県(振興局) 中核市
指定日
特記事項
北海道 上川総合振興局 テンプレート:Display none30px 旭川市 2000年(平成12年)4月1日 総合振興局所在地
渡島総合振興局 テンプレート:Display none30px 函館市 2005年(平成17年)10月1日 総合振興局所在地。2005年9月30日まで特例市。
テンプレート:Nowrap begin東北地方テンプレート:Nowrap end 青森県 テンプレート:Display none30px 青森市 2006年(平成18年)10月1日 都道府県庁所在地
岩手県 テンプレート:Display none30px 盛岡市 2008年(平成20年)4月1日 都道府県庁所在地。2008年3月31日まで特例市。
秋田県 テンプレート:Display none30px 秋田市 1997年(平成9年)4月1日 都道府県庁所在地
福島県 テンプレート:Display none30px 郡山市 1997年(平成9年)4月1日
テンプレート:Display noneテンプレート:Nowrap begin30px いわき市テンプレート:Nowrap end 1999年(平成11年)4月1日
関東地方 栃木県 テンプレート:Display none30px 宇都宮市 1996年(平成8年)4月1日 都道府県庁所在地
群馬県 テンプレート:Display none30px 前橋市 2009年(平成21年)4月1日 都道府県庁所在地。2009年3月31日まで特例市。
テンプレート:Display none30px 高崎市 2011年(平成23年)4月1日 2011年3月31日まで特例市。
埼玉県 テンプレート:Display none30px 川越市 2003年(平成15年)4月1日
千葉県 テンプレート:Display none30px 柏市 2008年(平成20年)4月1日
テンプレート:Display none30px 船橋市 2003年(平成15年)4月1日 中核市で最も人口が多い[2]
神奈川県 テンプレート:Display none30px 横須賀市 2001年(平成13年)4月1日
中部地方 富山県 テンプレート:Display none30px 富山市 2005年(平成17年)4月1日 都道府県庁所在地。1996年(平成8年)4月1日に指定後、新設合併のため2005年(平成17年)4月1日に再指定。
石川県 テンプレート:Display none30px 金沢市 1996年(平成8年)4月1日 都道府県庁所在地
長野県 テンプレート:Display none30px 長野市 1999年(平成11年)4月1日 都道府県庁所在地
岐阜県 テンプレート:Display none30px 岐阜市 1996年(平成8年)4月1日 都道府県庁所在地
愛知県 テンプレート:Display none30px 豊橋市 1999年(平成11年)4月1日
テンプレート:Display none30px 岡崎市 2003年(平成15年)4月1日
テンプレート:Display none30px 豊田市 1998年(平成10年)4月1日
近畿地方 滋賀県 テンプレート:Display none30px 大津市 2009年(平成21年)4月1日 都道府県庁所在地。2009年3月31日まで特例市。
大阪府 テンプレート:Display none30px 豊中市 2012年(平成24年)4月1日 2012年3月31日まで特例市。
テンプレート:Display none30px 高槻市 2003年(平成15年)4月1日
テンプレート:Display none30px 枚方市 2014年(平成26年)4月1日 2014年3月31日まで特例市。[3][4]
テンプレート:Display none30px 東大阪市 2005年(平成17年)4月1日
兵庫県 テンプレート:Display none30px 尼崎市 2009年(平成21年)4月1日 2009年3月31日まで特例市。
テンプレート:Display none30px 西宮市 2008年(平成20年)4月1日
テンプレート:Display none30px 姫路市 1996年(平成8年)4月1日
奈良県 テンプレート:Display none30px 奈良市 2002年(平成14年)4月1日 都道府県庁所在地
和歌山県 テンプレート:Display none30px 和歌山市 1997年(平成9年)4月1日 都道府県庁所在地
中国地方 岡山県 テンプレート:Display none30px 倉敷市 2002年(平成14年)4月1日
広島県 テンプレート:Display none30px 福山市 1998年(平成10年)4月1日
山口県 テンプレート:Display none30px 下関市 2005年(平成17年)10月1日 2005年9月30日まで特例市。中核市で最も人口が少ない[2]
四国地方 香川県 テンプレート:Display none30px 高松市 1999年(平成11年)4月1日 都道府県庁所在地
愛媛県 テンプレート:Display none30px 松山市 2000年(平成12年)4月1日 都道府県庁所在地
高知県 テンプレート:Display none30px 高知市 1998年(平成10年)4月1日 都道府県庁所在地
九州地方 福岡県 テンプレート:Display none30px 久留米市 2008年(平成20年)4月1日 2008年3月31日まで特例市。九州地方の中核市で唯一、県庁所在地ではない。
長崎県 テンプレート:Display none30px 長崎市 1997年(平成9年)4月1日 都道府県庁所在地
大分県 テンプレート:Display none30px 大分市 1997年(平成9年)4月1日 都道府県庁所在地
宮崎県 テンプレート:Display none30px 宮崎市 1998年(平成10年)4月1日 都道府県庁所在地
テンプレート:Nowrap begin鹿児島県テンプレート:Nowrap end テンプレート:Display none30px 鹿児島市 1996年(平成8年)4月1日 都道府県庁所在地
沖縄県 テンプレート:Display none30px 那覇市 2013年(平成25年)4月1日 都道府県庁所在地

指定される予定の市

地方 都府県 中核市
指定日
特記事項
関東地方 埼玉県 テンプレート:Display none30px越谷市
2015年(平成27年)4月1日
特例市
東京都 テンプレート:Display none30px八王子市
2015年(平成27年)4月1日

過去に指定されていた市

移譲される事務

地方自治法第252条の22[5]で、中核市は「政令指定都市が処理することができる事務のうち、『都道府県が一体的に処理すべき』とされた事務以外のものを処理する」と定義され、具体的な定めは政令に委ねられている。

行政分野ごとに個別にみると、中核市は保健所を設置して保健衛生行政を担当するほか、民生行政・環境保全・都市計画・文化財の保護などの行政分野について、政令指定都市に準じた事務の範囲を都道府県から移譲されており、これらの事務処理を行使するために必要な財源として、地方交付税が増額される。もっとも、事務処理への都道府県の関与について政令指定都市においては都道府県知事都道府県の委員会

a.処分(許可、認可、承認等)を要すると法令で定めている事項のうちから、政令により、その処分を不要とするか、代わりに各大臣の処分を要するものとする、
b.命令を受けると法令で定めている事項のうちから、政令により、その命令に関する法令の規定を適用外とするか、代わりに各大臣の命令を受けるものとする、

ことになっている(第252条の19第2項)が、中核市に関しては、処分についてa.に相当する特例規定は無く、命令についてはb.に類似する特例規定はあるが、委員会の命令は対象とならない(第252条の22第2項、地方自治法施行令[6]第2編第8章)。

関与の特例が行政分野の大半に及ぶ政令指定都市と異なり、中核市における関与の特例は、福祉に関する事務のみに限定されている[7]

このようなことから中核市の権限は、都道府県並みあるいは都道府県と同等とされ行政区設置等の特例もある政令指定都市と比較すると小さい。

中核市に移譲される事務は、すべて列挙すれば1800件程度にのぼるため、ここでは主要な事務のみを抜粋して掲載する。なお、ここに掲げるのはあくまでも標準的な中核市の例であり、都道府県が独自の条例を制定して、更に多くの事務権限を移譲することも可能である。

事務 中核市が移譲される事務 政令市との違い(政令市に認められ、中核市に認められない事務)
民生行政に関する事務

社会福祉に関する事務。児童相談所の設置以外、政令市とほぼ同様の権限

左記の中核市の権限に加えて、

ただし例外あり。従来は都道府県及び政令指定都市のみに設置義務があったが、児童福祉法の改正によって、2006年4月より中核市でも設置が可能になった。金沢市横須賀市等で開設実績がある。

保健衛生行政に関する事務

保健所を自ら設置。政令市とほぼ同様の権限

政令市もほぼ同様

都市計画に関する事務

都市景観の保全などを除き、都道府県の一定の関与が残る。政令市は、都市計画の決定の自由度がより高いほか、市内の国道・都道府県道を自ら管理する。

左記の中核市の権限に加えて、

環境保全行政に関する事務

環境の保全に関する事務。政令市とほぼ同様の権限

政令市もほぼ同様

地方教育行政に関する事務

中核市は、教職員の研修を行う権限を持つ。政令市はこれに加え、教職員の人事権も持つ。

中核市には、教職員の研修実施の権限のみがあり、人事権はない。ただし、中核市市長会から「研修権限のみでは成果を得にくい」との要望が出ており、文部科学省では、中核市にも人事権を移譲する検討を進めている。#権限のさらなる移譲も参照[8]

左記の中核市の事務に加えて、

行政組織上の特例

原則として特例なし。

政令指定都市は行政単位としてのを設置することができる。平成の大合併で誕生した中核市の中には、合併特例区が設けられることがあるが、旧・合併特例法に基づく時限措置で、政令指定都市の区とは性格を異にする。テンプレート:Main
同様に、地域自治区を設ける中核市があるが、これには法人格がなく存続期間は定められておらず、やはり、政令指定都市の区とは性格を異にする。テンプレート:Main
なお、中核都市であることが合併特例区を設ける要件ではなく、旧・合併特例法の要件を満たす市区町村であれば設けることができる。同様に地域自治区地方自治法あるいは旧・合併特例法の要件を満たす市区町村であれば、設けることができる。
また、兵庫県姫路市(中核市)のように、編入した市町村の町名を区別するために、地名として「区」を表記する場合がある[9]
財政上の権限・その他

  • 計量法に基づく勧告、定期検査等(計量法関係)
  • 地方交付税の増額補正
増加した行政需要に対応するため、地方交付税の計算が、一般の市とは異なった算定式で計算される(増額)。
  • 一部につき関与の特例
関与の特例は原則としてない。ただし、中核市として移譲された民生行政関連事務については、通常都道府県知事の監督を受ける事務でも、直接主任の大臣(国)の監督となる。

左記の中核市の権限に加えて、

  • 都道府県と同じ財政上の権限
宝くじの発行が可能になるほか、道路特定財源軽油引取税の交付を受けられる。また地方交付税ないし地方譲与税が、政令市専用の算定式で計算されるため、増額される。地方債を発行する際の協議先が、都道府県知事ではなく総務大臣へ変わる。

政令指定都市として移譲された所管の事務については、都道府県知事の監督が外れ、県を通さずに直接国と接触できるようになる。  

権限のさらなる移譲

中核市に現行で移譲されている権限は不十分で、さらなる権限委譲を実施すべきだとする主張もある[10]

こうした指摘のうち、最も議論が盛んなのは、県費負担教職員(公立小中学校の教職員など)の人事権に関する問題である。現行の制度では、中核市には教職員の研修実施権限があるのみで、人事権は都道府県に留保されている。これに対して中核市側は、「研修実施権限のみ認められても、人事権がなければ成果を得にくい」として、人事権も移譲するよう求めている。都道府県側は、教職員採用希望者の都市部への集中を懸念して慎重な姿勢を示しているものの、文部科学省は人事権移譲に比較的前向きで[11]、実際に人事権を委譲した場合、どのような影響があるかを具体的に検討する方向で調整している。さらに、北海道を中心に盛り上がっている議論としては、「広域中核市制度」がある。これは30万人以上という人口要件を外し、政令市と同じ機能を持たせる制度。実現すれば県の業務は縮小し、市町村合併を加速させる効果がある。

中核市たる要件

  1. 人口が30万以上であること。
中核市は、関係市からの申出に基づき、市議会及び都道府県議会の議決を経て、政令で指定される。
 あくまで移行時の人口要件なので、現在は30万人を下回る中核市も存在する。
 なお、地方自治法改正により、平成27年4月1日以降は、人口要件が「20万以上」となる。

※かつての指定要件については、[表示]タブで表示。

要件を満たし指定を目指している市

2015年
時期未定

要件を満たすものの指定されていない市

人口30万人以上であるが、中核市ではない市の一覧(移行を予定・検討している市を除く。※は特例市)。

中核市や特例市は県の仕事が委譲されるものなので、市内に県庁がある県庁所在地の自治体や、都府県庁がすでに出先機関を置いている場合が多い三大都市圏内の人口の多い自治体は中核市・特例市となる動機が弱い。中核市・特例市ともに、県庁および県庁出先機関の機能が弱い中核都市、またはプライメイトシティである県庁所在地に適したシステムである。なお埼玉県の2市には県が独自に事務の委譲をおこなっている(彩の国中核都市)。



要件を満たしていないが指定を目指している市

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

以下に示す法令は総務省行政管理局提供の法令データ提供システムにより閲覧できます。

  1. 地方自治法第二百五十二条の二十二第一項の中核市の指定に関する政令(平成7年12月8日政令第408号)

テンプレート:日本の中核市

テンプレート:中核市市長
  1. 「中核市」と「特例市」の統合を DAILYSPORTONLINE2012年11月7日配信記事(同年11月8日閲覧))
  2. 2.0 2.1 2012年(平成24年)2月1日現在の推計人口日本の市の人口順位も参照のこと。
  3. 新藤総務大臣閣議後記者会見の概要(プレスリリース)、総務省(2013年11月26日)、2013年11月26日閲覧。
  4. 大阪府枚方市を中核市指定=佐賀は特例市-政府時事通信(2013年11月26日)、2013年11月26日閲覧。
  5. テンプレート:Cite web
  6. 地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)、法令データ提供システム、総務省。2008年10月15日閲覧。
  7. テンプレート:PDFlink - 2005年1月17日、総務省。総務省第28次地方制度調査会第14回専門小委員会(参照)における総務省配付資料。
  8. 読売新聞平成19年5月2日付
  9. テンプレート:Cite web
  10. 中核市市長会が自ら主張する事項の一例(中核市市長会サイト)
  11. 文部科学省「県費負担教職員の人事権……に関する審議会」において文部科学省事務当局が自ら発言したもの
  12. テンプレート:Cite news
  13. テンプレート:Cite news
  14. テンプレート:Cite news
  15. テンプレート:Cite news