富山地方鉄道富山市内軌道線
富山市内軌道線(とやましないきどうせん)は、富山市内で富山地方鉄道が運営する軌道路線(路面電車)の全体を指すが、同社では総称として「富山軌道線」と案内表示している。
車内アナウンスでは、「富山地鉄市内電車」とアナウンスされる。富山市が運営する富山市電だった時代があることから、民営となった現在でも「市内電車」・「市街電車」の意味で市電と呼ばれている。
「富山軌道線」は「富山市内の軌道線」とは同義ではない。「富山市内の軌道線」となると、富山軌道線とあわせて富山ライトレールが運営する軌道線(約1.1キロ)を含むこととなる。現在では様々な都市交通関連法の整備により、自治体が軌道を保有したり市内路線の整備・管理に大きな力を持つようになっていきていることから、本項では「富山市の交通政策」のうち市内の軌道交通に関連した施策や政策についてもあわせて取り上げ、解説に含める。
目次
路線データ
2012年(平成24年)4月現在
- 路線距離(営業キロ):7.3km(うち、0.9kmは富山市が保有)
- 軌間:1,067mm
- 停留場数:23(起終点含む)
- 複線区間:南富山駅前 - 大学前間(富山都心線を除く全線)
- 単線区間:丸の内 → 西町(富山都心線・一方通行)
- 電化区間:全線(直流600V)
正式には以下の5路線に分かれている。
- 本線(富山駅前 - 南富山駅前 3.6km 富山地方鉄道本線とは別)
- 支線(富山駅前 - 丸の内 1.0km)
- 安野屋線(丸の内 - 安野屋 0.6km)
- 呉羽線(安野屋 - 大学前 1.2km)
- 富山都心線(丸の内 - 西町 0.9km 路線は富山市所有)
運行形態
以下の3つの系統がある。
- 1系統:南富山 - 富山駅前
- 2系統:南富山 - 富山駅前 - 大学前
- 3系統(環状線):富山駅前 → 丸の内 → 大手モール → 荒町 → 富山駅前(片方向のみ運行)
1系統と2系統は基本的に交互に運転される。環状線は富山都心線経由で富山駅前 → 大手モール → 富山駅前間を反時計回りで運行する。日中は1系統・2系統それぞれが10分間隔(重複区間の南富山駅前 - 富山駅前は5分間隔)で、環状線は10 - 20分間隔で運行されている。
一時期、南富山駅前 - 県庁前の系統が試験的に設定されたことがあったが中止された。毎年8月1日の花火大会の日は南富山駅前・富山駅前と安野屋を結ぶ臨時列車が増発される。
運賃は、大人200円、子供100円の均一制である。
車両
- Toyamachitetsu 7000.jpg
7000形の全面広告車 (7015)
- 大学前電停に停車中の地鉄市内電車7017形.jpg
7000形の地鉄色 (7017)
- 201403Toyama tram No7022.jpg
7000形 レトロ電車 (7022)
- Toyama-chihou-railway-8000.JPG
8000形 (8001)
- Toyama Chiho Railway Centram 9001 01.png
セントラム(9000形)
- Santram.JPG
サントラム(T100形)
歴史
開業から最盛期
1913年(大正2年)9月1日に富山電気軌道として開業し、1920年(大正9年)7月1日に富山市に譲渡され富山市営軌道となった。1943年(昭和18年)1月1日、「陸上交通事業調整法」に基づき富山地方鉄道に譲渡された。
最盛期の1960年代には約11kmの路線を有していた。当時の路線は、現有路線のほかに以下の3路線があった。また新富山駅前(現:新富山)から射水線に乗り入れる系統や、南富山駅前から笹津線に乗り入れる系統もあった。
- 西部線(丸の内 - 旅籠町 - 西町、ただし越前町交差点 - 西町交差点間は現在の富山都心線と同一経路)
- 東部線(西町 - 中教院前 - 東田地方 - 地鉄ビル前)
- 山室線(中教院前 - 不二越駅前)
最盛期の系統は以下の通り。運行系統の数は6だが、奇数系統+1の偶数番号を同経路の逆方運行に割り振っていた。このため12の系統番号があった。
- 1系統:富山駅前→南富山駅前
- 2系統:南富山駅前→富山駅前
- 3系統:大学前→◎丸の内→富山駅前→東田地方→中教院前→西町→旅篭町→丸の内◎→大学前 (◎-◎間は大循環外回り)
- 4系統:大学前→◎丸の内→旅篭町→西町→中教院前→東田地方→富山駅前→丸の内◎→大学前 (◎-◎間は大循環内回り)
- 5系統:不二越駅前→西町→旅篭町→丸の内→大学前
- 6系統:大学前→丸の内→旅篭町→西町→不二越駅前
- 7系統:
- 8系統:
- 9系統:
- 10系統:
- 11系統:富山駅前→東田地方→中教院前→西町→旅篭町→丸の内→富山駅前(大循環外回り)
- 12系統:富山駅前→丸の内→旅篭町→西町→中教院前→東田地方→富山駅前(大循環内回り)
鉄道線乗り入れ系統(< >内は乗り入れ先の鉄道線区間)
- 射水線乗り入れ系統:西町(後年は富山駅前) - <新富山駅前(現:新富山) ― 高岡駅前(後年は新港東口駅)>
- 笹津線乗り入れ系統:富山駅前(当初は西町) - <南富山駅前 - 地鉄笹津(国鉄笹津駅前)>
合理化と路線縮小の衰退・停滞期
高度成長期を迎えた日本国内においては、急速な市街地の拡大とモータリゼーションの進展により、全国のほとんどの大・中都市で自動車利用者の増加ともに軌道系交通利用客数が漸減する傾向が次第に顕著化していった。富山市においてもその影響は次第に暗い影を落とすようになり、経営合理化のための乗務員削減を図るべく1969年(昭和44年)6月から一部系統のワンマン運転を開始し、翌1970年(昭和45年)4月までに全系統をワンマン運転に変更した。
しかし、自動車の増加による路面電車の鈍足化が利用客の減少に拍車をかける悪循環を食い止めることはできず、結局1972年(昭和47年)9月に東部線の一部(中教院前 - 北新町 - 地鉄ビル前間)が廃止となったのを皮切りに、翌1973年(昭和48年)3月には西部線(西町 - 旅籠町 - 丸の内間)が廃止され、環状運転系統が消滅した。
1977年(昭和52年)8月より、射水線の新富山駅前 - 富山駅前間への乗り入れを再開するなど、経営努力が続けられたがその射水線自体が1980年(昭和55年)4月に廃止となり、さらに1984年(昭和59年)には西町 から不二越駅前へ通じていた東部線の残り(西町 - 中教院前)と山室線(中教院前 - 不二越駅前)が廃止され、路線は南富山駅前から大学前までの一直線のみとなり、総延長も最盛期の半分近い6.4kmへと衰退してしまった。
その後、平成に入りバブルの崩壊と共に経済が停滞するようになると、急激な開発や市街地の拡大の速度が鈍化するとともに路面電車の代替交通機関としての新規鉄道路線や新交通システム・地下鉄等に対する自治体の高額の費用負担が不可能との判断がなされ、全国を荒れ狂っていた路面電車廃止の嵐は下火となり、現有路線を消極的に維持存続させる動きが主流となっていった。
路面電車の復権から再興期
20世紀末、環境問題が真剣に討議されはじめると、その世相を反映し欧米諸国を中心に排気ガスを出さない公共交通として電気鉄道が注目をあつめて復権、路面型都市交通を復活・または新規に導入する都市が急増し始めた。それらの都市の大半では超低床車を活用したバリアフリーな水平エレベーター的な存在として導入される例が多く、そのお洒落で洗練された姿が日本にも紹介されるようになった。
その結果、国内でも旧来の路面電車をそういった次世代型路面電車システム (LRT) に改修再編し、新しい都市機能として都市の活性化に役立てようという見方がなされるようになった。富山市においても、消極的な維持から積極的な発展へと路面電車に関する見方が変化するきっかけとなり、様々な計画が実行に移されることとなった。
富山都心線の開業(環状線の復活)
富山市では都心部の活性化及び市内の公共交通再編を路面電車を生かし発展させる方向で推進する政策を決定、その第一弾として2006年(平成18年)に富山ライトレールを開業したが、つづく第二弾として、路線縮小により消滅していた繁華街を回遊可能な環状線の復活を打ち出した。
計画当初は丸の内停留場を起点として1)すずかけ通りから旅籠町交差点を経て平和通を経由し西町停留場へ至る「旅籠町ルート」(旧西部線の路線復活)、2)県道44号線を東進し大手町交差点より大手モールを経由し富山国際会議場前や富山市民プラザ前を通り越前町交差点より平和通を経由して西町へ至る「大手町ルート」 の二案が検討されたが、2006年(平成18年)6月に、2)の「大手町ルート」を採用、丸の内から西町に至る940mを単線で敷設、富山駅前→丸の内→大手モール→荒町→富山駅前の約3.5kmを反時計回りでの環状運転とすることを決定[1]、 2007年(平成19年)11月15日に国土交通省にそのことを盛り込んだ「地域公共交通総合連携計画」を提出、同時に「軌道運送高度化実施計画」としての認定を申請した。これは、同年10月に施行された地域公共交通活性化法(LRTなどで上下分離方式を認めたもの)に基づき、市が軌道や電気設備・信号設備・車両等の建設整備・保有・開業後の補修を担当する軌道整備事業者、富山地鉄が富山市から施設や車両を借りて委託営業を実施する軌道運送事業者として認定を受ける「上下分離・官設民営方式」による事業を申請するもので、軌道法における免許取得申請に相当するものである。翌2008年2月28日に全国で初の「軌道運送高度化実施計画」第一号認定を受け、これにより事業費は約30億円のうち約13億円の国費補助を受け、市の負担は約17.5億へと軽減することとなった[2]。
市ではこの認可に先立ち2007年度中より路線予定道路における、上下水道・電線・ガス管といった地中埋設物の調査を完了、認定後の2008年(平成20年)4月、年度明けと同時に埋設物移設工事を開始した。このとき将来の乗客数増加を睨み、複線化が可能なように移設を実施している。さらに同年5月16日工事施行認可を国交省に申請、同年11月21日に認可され、12月には軌道敷設工事に着手した。新設部分の路線名は「富山都心線」と命名され、大手モール北端に国際会議場前停留場、同南端越前町交差点に大手モール停留場、平和通り総曲輪フェリオ前にグランドプラザ前停留場と電停3か所が新設された。軌道・架線・電停の工事は順調に進み、2009年(平成21年)11月末に概成した。
工事と並行して2008年(平成20年)10月、車両デザインが決定。車両は2006年(平成20年)に開業した富山ライトレールや高岡市の万葉線と全く同型同規格の新潟トランシス社製2車体連接LRV(超低床電車)であるが、富山ライトレールのレインボーカラー7色の車体色とは対照的な白・銀・黒のモノトーンを採用、内装もシートモケットはブラックとオレンジ、タイヤハウス部をライトブラウンとして温かみを持たせるなど環状線の独自性や個性を出すことにも留意されている[3]。また、前面および側面の行先表示に路面電車車両としては日本国内で初めてフルカラーLEDが採用された。車両の愛称は一般公募とされ、選考の結果「セントラム」という名称に決定した。これらの車両は2009年(平成21年)11月12日に白と銀色、11月18日に黒色と順次南富山車両基地に納入され[4][5]、12月2日より軌道工事が完工した新線も使用しての環状試運転が開始[6] された。
2009年(平成21年)12月23日、歩行者専用とした大手モールに三編成の環状線全車両を集結、市民に開放して車両の展示・撮影会を行った後、午後1時より富山市による開業記念式典が開催された。続いて午後2時より発車式を行い、開業記念イベントとして無料試乗会が実施された。この日の運行は大手モール停留場では乗車のみとし、グランドプラザ前停留場 - 富山駅前停留場方面 - 丸の内停留場では自由乗降、 国際会議場前停留場で全員降車、空車にて大手モール停留場へ回送して次の希望者を乗車させるという特別運行で、3000人以上が最新車両による新線走行を体験した。当日は22時までこの無料体験のみを行って運行を終了、正式な「市内線3系統」としての営業運転は翌12月24日の始発より開始された。
乗車運賃は既存線と共通の大人200円子供100円の均一運賃で、指定された乗り継ぎ停留場で1・2系統と3系統(環状線)の相互に向かわない方向に30分以内に乗り継ぐ場合のみ、それぞれの車内にて乗り継ぎ券の発行を受けて追加運賃無しで乗車可能となっている[7]。なお、新設軌道としての富山都心線の区間は丸の内停留場から西町停留場までである。しかし西町停留場の富山駅方面行きホームは西町交差点の南側にあって環状線の電車は停車できない。このため、富山都心線開業当初は1つ手前のグランドプラザ前停留場を西町停留場と同一停留場として扱い、丸の内停留場とともに乗り継ぎ停留場として指定していた。2013年5月17日に中町(西町北)停留場が西町交差点の西側に開業し[8]、環状線の1・2系統南富山方面との乗り継ぎ停留場をグランドプラザ前停留場から中町(西町北)停留場に変更した。
ICカード導入
市内線内では従来、磁気カード回数券「トラムカード」(販売額2000円で2300円分利用できるカードと販売額1900円で2200円分利用できるカードがあった)を発売していたが、市内のバス路線や2006年(平成18年)に開業した軌道線富山ライトレール線とは互換性がなかった。市内公共交通の共通乗車システムの構築を模索していた富山市は、環状線復活事業とあわせて全市内線をICカード対応化することを決定、システム整備支援費を2009年(平成21年)度予算案に計上した[9]。
2010年(平成22年)2月、カードの名称が「ecomyca(えこまいか)」に決定、17両の軌道線車両および3編成の環状線用車両すべての車両にカードリーダが導入された。同年3月14日の始発から軌道線全線で利用が開始された。ecomycaは富山ライトレール線で先行導入されていたICカード 「passca(パスカ)」と相互利用が可能で、環状線(セントラム)と他の系統を乗り換える際の乗継割引も自動で適用される。ICカードの利用開始に伴い従来の磁気式の「トラムカード」は販売終了し、トラムカードにあったプレミア分は、ecomyca利用時に運賃が170円に割り引かれるという形で引き継がれた。
2011年(平成23年)3月5日よりバス路線にも拡大導入され、2012年(平成24年)3月17日には、富山地方鉄道の鉄道線でも利用可能となった[10]。これにより、JR線以外のほぼすべての公共交通が一枚のカードで利用可能となった。
富山市内の交通系ICカード(えこまいか、パスカ)の特徴としては、公共交通の利用促進策として、軌道系交通(市内電車・富山ライトレール)を一日4回以上利用すると4回目以降が自動的に無料となる「オート1dayサービス」のほか、市街地との相互発展を支援する機能として、ICカードを利用して公共交通で市街地の加盟店(約100店舗)を訪れて買い物をし、ICカードのチャージ分で支払いをすると、その金額に応じてICカードにチャージ可能なポイント券が付与されるというキャッシュバックサービスが付加されている[11]。
全面低床車両導入
2010年(平成22年)4月に、豊橋鉄道が2008年(平成20年)に導入したアルナ車両製3車体連結全面低床車両T1000形と同型の低床車両・T100形を導入し「サントラム」という愛称が付けられた。旧来の主力車両であった7000形12両の老朽化に伴う車両更新と利便性向上を目的としており、富山地方鉄道としては初めての低床車両の購入となる[12]。2012年(平成24年)度予算にも1編成を導入する予算が計上され、以後は少しピッチを早めて2015年(平成27年)の北陸新幹線の開業から数年以内には営業用の7000形の全車を置き換える予定としている。2013年(平成25年)2月10日には乗り心地向上のため車両に一部改良を加えた2編成目が営業運転を開始した。また今後5 - 6年で4編成を導入する計画を発表した[13]。2014年(平成26年)5月には北陸新幹線の開業に合わせ、2014年度中の3編成目導入を発表した[14]。
T100形は2010年の導入直後は旧富山大橋の重量制限のため1系統のみでの運用であったが、2012年の富山大橋架け替え以降は1・2両系統で運用されている。新設の環状線に関しては運行には対応しており、2012年10月には車内ライブ電車として貸切での周回運行が実施された。しかし通常の営業運転には使用されていないが9000形(セントラム)が重要検査で入庫の場合や事故等で修理の時だけ運用される。
富山大橋の架け替えと単線区間の複線化
神通川に架かる富山大橋は道幅が狭く、また設計も古く老朽化と相まって強度不足のためサントラム・セントラム等の大型の連接低床車両が渡橋できないなどの制約がネックとなり、全線6.4kmのうち同橋東詰の安野屋より終点の大学前に至る呉羽線区間1.2kmは単線かつ旧型車両のみの運行といった制約が課されていた。富山県と富山市、地鉄の三者はこの区間の利便性の向上について協議の上、老朽化した橋梁を拡幅するのではなく架け替え、単線軌道区間も完全に複線化することを決定した。
新しい富山大橋は旧橋の供用を継続しつつ旧橋の下流側に新設する形で2006年(平成18年)11月に着工、2012年(平成24年)3月24日に開通した[15]。
この新橋の完成により、橋梁部及び周辺部の道路が大幅に拡幅され、一部電停を移設新築して雨よけ屋根を設置するなど設備面の充実が行われるとともに[16]、保有全車両形式の2系統への投入が可能となったことと相まって2系統(南富山駅前 - 大学前間)の終電を30分繰り下げるダイヤ改正が実施された[17]。現在は南富山から大学前まで全線複線化が完了している。
フリーペーパーの車内配布
リニューアル創刊されたリクルートジョブズ発行の求人フリーペーパー『タウンワーク富山・高岡版』専用の簡易ラックが、2011年4月に電車内の磁気カード式回数券「トラムカード」販売機跡に設置され、車内配布が行われている。
年表
- 1912年(大正元年)11月4日 富山電気軌道が軌道敷設特許取得[18]、富山市内に軌道路面電鉄の建設を開始。
- 1913年(大正2年)9月1日 本線 富山駅前 - 小泉町(現在の堀川小泉)、支線 富山駅前 - 総曲輪(現在の丸の内) - 西町間開業[18]。
- 1914年(大正3年)12月28日 軌道特許状下付(小泉町-堀川駅前間)[18]。
- 1915年(大正4年)
- 1916年(大正5年)11月22日 安野屋線 旅籠町交差点(駅としては郵便局前、後の越前町) - 護国神社前 - 安野屋間、呉羽線 安野屋 - 呉羽公園間開業[18]。
- 1920年(大正9年)7月1日 富山市に富山市電軌課発足、市に譲渡され富山市営軌道となる[19]。
- 1922年(大正11年)11月1日 軌道特許状下付(富山市西町-上新川郡奥田村間)[20]。
- 1928年(昭和3年)10月21日 西町 - 中教院前 - 赤十字病院前 - 東田地方(旧東田地方駅前)間開業[18]。
- 1935年(昭和10年)10月16日 軌道特許状下付(富山市東田地方町字指引割-同市同町字宮下割間)[21]。
- 1936年(昭和11年)4月15日 東田地方 - 電気ビル前間開業[18]。
- 1943年(昭和18年)1月1日 富山地方鉄道に譲渡される[22]。
- 1944年(昭和19年)5月17日 大学前 - 呉羽公園、赤十字病院前(後の東田地方) - 東田地方間廃止。
- 1950年(昭和25年)
- 1952年(昭和27年)8月5日 旅籠町 - 護国神社前 - 安野屋間廃止、丸の内 - 安野屋間開業。
- 1954年(昭和29年)4月1日 笹津線の乗り入れ区間を富山駅前へ延長。
- 1961年(昭和36年)7月18日 中教院前 - 不二越駅前間開業、射水線乗り入れ中止。
- 1964年(昭和39年)11月8日 東田地方 - 電気ビル前間廃止、東田地方 - 地鉄ビル前間開業。
- 1967年(昭和42年)10月10日 笹津線乗り入れ中止。
- 1969年(昭和44年)10月1日 球場前 - 大学前間廃止、球場前を大学前と改称。
- 1972年(昭和47年)9月21日 中教院前 - 地鉄ビル前間廃止。
- 1973年(昭和48年)3月31日 西町 - 旅籠町 - 丸の内間廃止。
- 1977年(昭和52年)8月31日 射水線、新富山駅前 - 富山駅前間への乗り入れ再開。
- 1980年(昭和55年)4月1日 射水線廃止により乗り入れ中止。
- 1984年(昭和59年)4月1日 西町 - 中教院前 - 不二越駅前間廃止。
- 2004年(平成16年)4月21日 富山ライトレール設立、JR富山港線を富山市が譲り受けて路面電車化し、北陸新幹線延伸開業後に在来線が高架化される富山駅の高架下を縦断して市内軌道線と接続し、相互乗り入れ計画が正式に始動。
- 2006年(平成18年)4月29日 富山ライトレール開業。富山市内で富山駅北口方面では初の軌道線敷設となる。
- 2009年(平成21年)12月23日 富山都心線 丸の内 - 西町間開業、環状運転を開始(この時点では西町電停に停車せず)[23]。
- 2010年(平成22年)3月14日 IC乗車カード「Ecomyca(えこまいか)」を導入。同日より富山ライトレールの「Passca(パスカ)」との相互利用を開始。
- 2012年(平成24年)3月24日 富山大橋架け替え、橋梁部分の線路が複線となる[24]。
- 2013年(平成25年)5月17日 中町(西町北)停留場開業[8]。
- 2014年(平成26年)1月27日 開業100周年を記念して7000形電車1両を水戸岡鋭治のデザインでリニューアルした「レトロ電車」を運行開始[25][26]。
今後の計画
上滝線との直通
2008年(平成20年)5月、富山市長・森雅志が上滝線のLRT化の検討を示唆した。そして市内軌道線との直通運転を行う構想が示された[27][28]。
富山ライトレールとの連結
富山ライトレールは2006年(平成18年)4月29日に西日本旅客鉄道(JR西日本)富山港線を一部路面電車化して引き継ぐかたちで開業した。これは、富山市内はもちろん、全国的に見ても久々の路面電車の新規開業・路線拡大として話題となったが、この路線は元々は私鉄の戦時買収により国鉄に買収される以前は富岩線という富山地方鉄道の一路線であった。富山駅が2015年(平成27年)の北陸新幹線延伸開業に伴い高架化される予定となったため、この路線の帰趨を巡っては、路面電車化のほか、鉄道線のままJR高架駅乗り入れや全線廃止してバス化するなどの様々な案が取り沙汰されたが、結果的に路面電車化した場合の社会的総便益が最も大きくなるとの結論に至り、路面電車として再出発することになったのである。
この判断には新幹線開業後に予定されている在来線高架化工事が完了し次第、富山ライトレールの路線を高架下から富山駅南口側へ延伸して地鉄市内軌道線と接続、直通運転を行うことで、富山中心市街地から岩瀬浜方面の交通利便を劇的に向上し得ることが当初より念頭に置かれていた。
富山市では「県都富山の新たな顔をつくる」として、富山駅高架下新幹線改札正面の南北自由通路にこの路面電車の南北接続線を通す設計で整備計画を進めており、そのコンセプトとして「セントラム・ポートラムが改札口から見える空間構成」を第一番に掲げている[29]。
2013年(平成25年)4月26日、国土交通省は富山地方鉄道と富山市が申請していた延伸事業を認定したと発表した[30][31]。それによると、富山駅高架下に新設予定の富山駅中央電停(仮称)から現軌道線との接続点までの160mを敷設して、北陸新幹線が開業する2014年度(平成26年度)末に開業し、全電車を富山駅中央電停まで運行するとしている。軌道施設などは富山市が建設・保有して、超低床電車の導入や電車の運行は富山地方鉄道が行う上下分離方式が採られる。富山ライトレール富山港線の富山駅中央電停までの延伸は、計画認定申請に係る審議時の配布資料によると概ね2018年度(平成30年度)の完成を目指すとしている[32]。なお富山市は、富山駅中央と仮称していた富山駅高架下に新設予定の停留場名について、「富山駅」に決定したと2014年6月2日に発表した[33]。
大学前電停からの延伸
富山大学は2012年(平成24年)1月26日、現在終点となっている大学前電停から同大工学部前までの延伸を富山地鉄や富山市、県に要望することを決めた。同大の延伸案では大学前電停から五福公園と五福キャンバスの間を南西方向に貫き、さらに南東方向に折れて同大工学部前まで伸ばし、県営球場付近と工学部前に新たな電停を設けるとしている。また同大では2013年4月を目処に学生証のICカード化を図り、学生証に「ecomyca」の機能を持たせることも検討している[34]。同大による市電延伸構想に対し、富山地鉄の川岸宏社長は3月16日に行われた新聞社とのインタビューで「クリアしなければならない問題はあるが前向きに捉えている」との立場を示し、富山地鉄が費用負担をしないことなどを条件に受け入れる考えを示している[35]。五福地区の地元住民も市電延伸案を説明するため1月26日に行われた富山大との懇談会でおおむね賛成の姿勢を示したが、ルートに関して「(現行案では)呉羽方面への延伸可能性が無くなるのではないか」との声も聞かれ、富山大では地元との協議を重ねることになった[36]。
停留場一覧
路線名 | 停留場名 | 読み | 駅間キロ | 営業キロ | 備考・駅周辺 |
---|---|---|---|---|---|
本線 | 南富山駅前駅 | みなみとやまえきまえ | - | 0.0 | 南富山駅(富山地方鉄道不二越線・富山地方鉄道上滝線) |
大町停留場 | おおまち | 0.3 | 0.3 | 富山高等学校 | |
堀川小泉停留場 | ほりかわこいずみ | 0.3 | 0.6 | 富山いずみ高等学校 | |
小泉町停留場 | こいずみちょう | 0.4 | 1.0 | 富山小泉郵便局 | |
西中野停留場 | にしなかの | 0.3 | 1.3 | 富山県立近代美術館・富山市科学博物館 | |
広貫堂前停留場 | こうかんどうまえ | 0.2 | 1.5 | 富山太田口郵便局・広貫堂 | |
上本町停留場 | かみほんまち | 0.3 | 1.8 | 日枝神社 | |
西町停留場 | にしちょう | 0.3 | 2.1 | 総曲輪通り商店街・総曲輪フェリオ(大和富山店)・中央通り商店街・北陸銀行本店・三井住友銀行富山支店 | |
中町(西町北)停留場 | なかまち にしちょうきた | 0.1 | 2.2 | 富山駅前・大学前方面のみに設置され、1・2系統は片方向のみが停車する変則的停留場 総曲輪通り商店街・中央通り商店街・北陸銀行本店・三井住友銀行富山支店 | |
荒町停留場 | あらまち | 0.2 | 2.4 | ダイワロイネットホテル富山・富山第一銀行本店・シダックス富山本町クラブ・富山総曲輪郵便局・ホテルα-1富山荒町 | |
桜橋停留場 | さくらばし | 0.4 | 2.8 | 富山マンテンホテル・富山市役所 | |
電気ビル前停留場 | でんきビルまえ | 0.3 | 3.1 | 富山電気ビルディング(ケーブルテレビ富山)・NTT西日本富山支店・みずほ銀行富山支店・名鉄トヤマホテル・富山中央警察署 | |
地鉄ビル前停留場 | ちてつビルまえ | 0.2 | 3.3 | 地鉄ビル(富山地方鉄道本社・三井住友信託銀行富山支店)・富山中央郵便局・富山地鉄ゴールデンボウル・アパホテル富山駅前・高志会館 | |
富山駅前停留場 | とやまえきまえ | 0.3 | 3.6 | 富山駅(JR北陸本線・高山本線)・電鉄富山駅(富山地方鉄道本線)・富山駅北停留場(富山ライトレール富山港線)・エスタ・富山地鉄ホテル・マリエとやま・東横インJr.富山駅前・CiC(シック)・富山エクセルホテル東急・ホテルα-1富山駅前・コンフォートホテル富山駅前 | |
支線 | |||||
(富山地鉄接続点) | 富山駅停留場(未開業)への分岐点 | ||||
新富町停留場 | しんとみちょう | 0.3 | 3.9 | ホテルルートイン富山 | |
県庁前停留場 | けんちょうまえ | 0.3 | 4.2 | 富山県庁・県庁前公園・富山県警察本部・北日本新聞本社・NHK富山放送局・富山県民会館・富山県総合福祉会館(サンシップとやま)・富山県教育文化会館・富山芝園郵便局・富山中部高等学校 | |
丸の内停留場 | まるのうち | 0.4 | 4.6 | 富山丸の内合同庁舎(富山税務署)・富山市立図書館・中央保健福祉センター・富山国際会議場・富山城址公園(富山城・富山市郷土博物館) | |
安野屋線 | |||||
諏訪川原停留場 | すわのかわら | 0.3 | 4.9 | 富山大橋通郵便局 | |
安野屋停留場 | やすのや | 0.3 | 5.2 | 富山逓信病院・富山縣護國神社・富山中部高等学校 | |
呉羽線 | |||||
新富山停留場 | しんとやま | 0.6 | 5.8 | 五福ショッピングセンターアリス(トイザらス富山店)・富山商業高等学校・富山県水墨美術館 | |
(鵯島信号所) | (ひよどりじま) | (0.1) | (5.9) | 2012年3月24日午後4時を以て路線複線化により廃止 | |
大学前停留場 | だいがくまえ | 0.6 | 6.4 | 富山大学五福キャンパス・富山工業高等学校・富山県五福公園(富山県五福公園陸上競技場、県営富山野球場など) |
路線名 | 停留場名 | 読み | 駅間キロ | 営業キロ | 備考・駅周辺 |
---|---|---|---|---|---|
富山都心線 | 丸の内停留場 | まるのうち | - | 0.0 | 上表参照 |
国際会議場前停留場 | こくさいかいぎじょうまえ | 0.3 | 0.3 | 富山国際会議場・ANAクラウンプラザホテル富山・富山城址公園(富山城・富山市郷土博物館)・大手モール・富山新聞本社・ホテルドーミーイン富山・富山商工会議所・富山県信用組合本店 | |
大手モール停留場 | おおてモール | 0.2 | 0.5 | 大手モール・富山市民プラザ・総曲輪通り商店街・富山越前町郵便局 | |
グランドプラザ前停留場 | グランドプラザまえ | 0.2 | 0.7 | グランドプラザ・総曲輪フェリオ(大和富山店)・総曲輪通り商店街・日枝神社 | |
西町停留場 | にしちょう | 0.2 | 0.9 | 上表参照 |
停留場名 | 読み | 駅間キロ | 営業キロ | 備考・駅周辺 |
---|---|---|---|---|
富山駅停留場 | とやまえき | - | 0.0 | 上表の富山駅前停留場参照 |
(富山地鉄接続点) | (0.16) | (0.16) | 富山駅前停留場・新富町停留場への分岐点 |
脚注
関連項目
外部リンク
- 鉄道 - 市内電車 - 時刻運賃 - 富山地方鉄道株式会社
- ↑ 市長定例記者会見・平成18年6月2日 (Internet Archive) - 富山市ホームページ
- ↑ テンプレート:PDFlink p.27 市内電車環状線化事業の事業費と国庫補助
- ↑ 「3色路面を走る 富山電車デザイン決定」テンプレート:リンク切れ 読売新聞 2008年10月30日
- ↑ 街に映える白と銀 富山・環状線の電車搬入(Internet Archive) 北日本新聞 2009年11月12日
- ↑ 「セントラム」黒色車両も搬入 富山の地鉄車両基地テンプレート:リンク切れ 北日本新聞 2009年11月19日
- ↑ セントラム日中の富山市内に 富山地鉄テンプレート:リンク切れ 読売新聞 2009年12月3日
- ↑ テンプレート:PDFlink 富山地方鉄道、2009年12月17日
- ↑ 8.0 8.1 テンプレート:PDFlink 富山地方鉄道、2013年5月10日
- ↑ 「路面電車にICカード 富山市・地鉄が連携」 2009年(平成21年)2月19日 北日本新聞22面
- ↑ テンプレート:PDFlink 富山地方鉄道、2012年2月24日
- ↑ テンプレート:PDFlink 富山地方鉄道等LRT整備計画(案)、2012年3月
- ↑ 「来春、3車体連結車両運行へ 富山地鉄」(Internet Archive) 北日本新聞 2009年6月10日
- ↑ 北日本新聞 2013年2月5日3面
- ↑ 「サントラム1編成追加 富山地鉄 新幹線開業へ利便性向上」北日本新聞 2014年5月27日5面
- ↑ 「新富山大橋が開通」KNBニュース 2012年3月24日
- ↑ 「富山大橋、24日供用開始 4車線化、歩道を拡幅」富山新聞 2012年3月23日
- ↑ 「テンプレート:PDFlink」富山地方鉄道、2012年3月25日閲覧
- ↑ 18.0 18.1 18.2 18.3 18.4 18.5 18.6 18.7 『地方鉄道及軌道一覧 : 昭和18年4月1日現在』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
- ↑ 1920年2月11日付大阪朝日新聞 北陸版(神戸大学附属図書館新聞記事文庫)
- ↑ 「軌道特許状下付」『官報』1922年11月3日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 「軌道特許状下付」『官報』1935年10月19日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 1942年12月7日軌道譲渡許可「軌道譲渡」『官報』1942年12月21日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ↑ 開業当日は試乗会扱いで、乗客が乗車できた区間は大手モール(乗車のみ) - 富山駅前間および富山駅前 - 国際会議場前(降車のみ)間であった。一般営業として富山都心線の環状運転が開始されたのは、翌12月24日の始発からとなる。
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 富山地方鉄道市内電車「レトロ電車」の運行開始について - 鉄道ホビダス 鉄道ニュース 最新鉄道情報、2014年1月23日
- ↑ 「富山地方鉄道株式会社」の英語名はTOYAMA CHIHO RAILROAD CO.,LTD.だが、レトロ電車には側面上部にTOYAMA REGIONAL RAILWAYと書かれていて、側面中央にはCHITETSU TRAMと表示されている。
- ↑ 「上滝線をLRTに既存の路線と接続。テンプレート:リンク切れ」(googleキャッシュ) 読売新聞 2008年5月20日
- ↑ 「上滝線LRT化検討、富山市 公共交通利用増へ素案」47NEWS 2008年5月21日
- ↑ 「テンプレート:PDFlink」富山駅周辺整備事業推進協議会報告書 2008年5月21日
- ↑ 富山市電がJR駅高架下まで延伸、国交省認定 - 鉄道コム、2013年4月26日
- ↑ 富山市および富山地方鉄道(株)申請の軌道運送高度化実施計画の認定について - 国土交通省、2013年4月25日
- ↑ テンプレート:PDFlink - 国土交通省、2013年3月28日
- ↑ 富山駅高架下の停留場は「富山駅」に…路面電車の南北接続事業 - レスポンス、2014年6月4日
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news