新潟トランシス
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テンプレート:Infobox 新潟トランシス株式会社(にいがたトランシス、Niigata Transys Co., Ltd.)は、鉄道車両・産業用車両・除雪機械などの製造・販売、案内軌条式鉄道システムの設計・製作および建設を行うIHIグループの企業。機器の製造は新潟県北蒲原郡聖籠町東港五丁目の新潟事業所で行われている。
沿革
- 2002年(平成14年)10月 - 新潟トランシスの前身の新潟鐵工所が会社更生法の適用を申請。石川島播磨重工業(現・IHI)がスポンサー契約を締結。
- 2003年(平成15年)2月3日 - 石川島播磨重工業が70%出資するなどし、新潟トランシスが設立(従業員などもそのまま引き継ぐ)。さらに富士重工業が鉄道車両の設計・製造から撤退した為、これも引き継いだ。
- 2006年(平成18年)9月1日 - 当初の計画であった、新潟トランシスの残り30%の株式を石川島播磨重工業が取得し、石川島播磨重工業の完全子会社となる。
主な事業
- 気動車では全国シェアの約8割を占める。特に第三セクター鉄道向け軽快気動車では独占的シェアを誇る。これは、同社がこの分野においてシェアを二分していた新潟鐵工所と富士重工業の両社から鉄道車両部門を統合する形で引き継いだためである。富士重工業は新潟トランシスへ鉄道事業を継承する際に設計図などを譲渡、設備・部品等を売却し、アフターサービス等を委託するとともに、業務履行の為に社員を出向させている。
- また、近年においてはブレーメン形と呼ばれる超低床LRV(超低床ライトレール車両)を、ドイツ・ボンバルディア・トランスポーテーション社(カナダに本社を持つボンバルディアグループの鉄道部門。大元は2001年にボンバルディアに買収されたドイツアドトランツ社である)より技術提供を受けてライセンス生産し、全国で6箇所の路面電車事業者に供給を行っていることでも有名である。
新潟トランシスとなってからの主な製造車両
- 電車
- 北越急行(681系2000番台、683系8000番台 (アルミ構体製造設備がないため、構体を川崎重工業で製造し、艤装以降を担当。)、HK100形)
- 上信電鉄(7000形)
- 気動車
- 北海道旅客鉄道(キハ261系1000番台(構体は川崎重工業で製造し、艤装以降を担当。))
- 東日本旅客鉄道(キハE120形、キハE130系、HB-E300系)
- 西日本旅客鉄道(キハ121系、キハ122系、キハ126系、キハ127系、キハ187系、キハ189系、キヤ141系、キヤ143形)
- 四国旅客鉄道(1500形)
- 九州旅客鉄道(キハ125形、キハ200系)
- 関東鉄道(キハ2400形、キハ5000形)
- 伊勢鉄道(イセIII形)
- 樽見鉄道(ハイモ295-516形)
- 長良川鉄道(ナガラ5形)
- 甘木鉄道(AR300形:AR304以降)
- 土佐くろしお鉄道(9640形)
- 伊予鉄道(坊っちゃん列車)
- 第三セクター鉄道向けNDCシリーズ
鉄道車両の輸送方法
工場内には鉄道路線が通じていないため、製造された鉄道車両は、まず工場からトラックで聖籠町藤寄(国道7号新新バイパス・東港IC付近)まで輸送される。そして同所の黒山駅分岐新潟東港専用線(通称新潟東港鉄道、旧新潟臨海鉄道)・旧藤寄駅で鉄道に乗せ換えられ、同線を経由して黒山駅でJR白新線に出、納入先まで回送される。改造等で工場入りする車両については、この逆となる。
但し2004年秋に新潟県中越地震が発生した際、上越線が通常の運行体制が維持できなかったことから、2005年1月に土佐くろしお鉄道のごめん・なはり線用に製造された車両(9640-11号「てのひらを太陽に号」)については、新潟から東京までトレーラーで陸送し、フェリーで徳島港経由で納車する体制が執られた。
なお、保線車両の納車についてはトレーラー輸送が主体となっている。