肥薩おれんじ鉄道

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テンプレート:統合文字 テンプレート:Infobox 肥薩おれんじ鉄道株式会社(ひさつおれんじてつどう、英文社名:Hisatsu Orange Railway Co., Ltd.)は、九州新幹線新八代 - 鹿児島中央間の開業に伴い、九州旅客鉄道(JR九州)から経営移管された元の鹿児島本線八代 - 川内間の運営を行っている、熊本県鹿児島県などの沿線自治体および日本貨物鉄道(JR貨物)が出資する第三セクター方式の鉄道会社である。本社は、熊本県八代市萩原町一丁目1番1号にある。

歴史

  • 1991年(平成3年) 鹿児島本線の八代 - 川内間を第三セクターで維持することを条件に九州新幹線が着工。
  • 2002年(平成14年)10月31日 設立。
  • 2004年(平成16年)3月13日 九州新幹線開業に伴い、九州旅客鉄道から八代 - 川内間を承継し開業。日奈久駅を日奈久温泉駅に改称。同時に津奈木 - 水俣間に存在していた初野信号所にホームを設置し、新水俣駅を新設開業。
  • 2005年(平成17年)3月1日 たのうら御立岬公園駅を新設。また、この改正から高校通学の利便性向上のために米ノ津駅発着の列車が平日のみ運行開始。
  • 2008年(平成20年)3月15日 土曜・休日に出水から熊本・鹿児島中央に直通する快速をそれぞれ2往復新設。
  • 2011年(平成23年)3月12日 平日のみ米ノ津駅 - 野田郷駅列車が朝1本増発。九州新幹線接続の利便性向上のために新八代駅発着列車が増発。
  • 2013年(平成25年)3月24日 新八代 - 川内間に観光列車「おれんじ食堂」の運行を開始[1][2]
  • 2013年(平成25年)8月8日 出水 - 八代・川内間で貸切専用列車「おれんじカフェ」運行開始[3]
  • 2013年(平成25年)10月1日 乗務員の制服を新制服に移行。
  • 2014年(平成26年)5月3日 阿久根駅駅舎がリニューアルオープン。

株主

路線

いわゆる私鉄としては路線延長が九州で最も長い。2006年に第三セクター最長であった北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線が廃止されたため第三セクター鉄道としては最長の路線となった。しかし、2010年12月4日に東北本線八戸 - 青森間が東日本旅客鉄道(JR東日本)から青い森鉄道に移管されて青い森鉄道線目時 - 青森間の営業距離が121.9kmとなり、肥薩おれんじ鉄道線は日本最長の第三セクター鉄道路線の座を明け渡した。

開業時から、九州新幹線接続と沿線の高校への利便性のために自社線内以外にJR鹿児島本線新八代駅 - 八代駅間と川内駅 - 隈之城駅間に乗り入れ運転している。並行在来線から転換された第三セクター鉄道では唯一県庁所在地(熊本市・鹿児島市)に直通しない鉄道だったが、2008年のダイヤ改正から土曜日・日曜日などの休日のみ出水駅から熊本駅を結ぶ快速列車「スーパーおれんじ」と鹿児島中央駅を結ぶ快速列車「オーシャンライナーさつま」が新設され、県庁所在地駅の熊本駅と鹿児島中央駅に乗り入れることになった。なお、上りの鹿児島中央駅発新八代駅行き「オーシャンライナーさつま4号」は肥薩おれんじ鉄道経由の列車では最長の169.0kmの距離を走り、鹿児島中央駅 - 阿久根駅間は快速運転で阿久根駅 - 新八代駅間は各駅に停車する。さらに観光客や沿線地元客誘致の強化のために2013年3月24日から新八代駅 - 川内駅間で観光列車「おれんじ食堂」、同年8月8日からは出水駅 - 八代駅または出水駅 - 川内駅間で「おれんじカフェ」の運行を開始し、「おれんじ食堂」は金曜日・土曜日・日曜日・祝祭日などを中心に、「おれんじカフェ」は貸切専用として運行されている。

ファイル:HSOR-115 Ocean liner Satsuma.jpg
オーシャンライナーさつま・八代駅行き (鹿児島中央駅にて)

経営状況

テンプレート:出典の明記 2004年3月にJR九州から経営分離され、第三セクター方式の鉄道として再出発した肥薩おれんじ鉄道だが、営業距離が長い割に沿線人口が少ない地域が多くて沿線道路も発達しているため、開業9年目の2013年現在も依然として経営は厳しい状況である。開業当初の計画では初代社長の嶋津忠裕の陣頭指揮の下で初期投資費用や人件費を極力抑えるためにJR九州時代の線路や施設をなるべくそのまま使い、社員も自社社員を必要最小限に止めてJR九州の出向社員やNPO法人団体の起用を中心とした「徹底した節約と現状維持」の運営方式で2013年度中に黒字決算にする予定であった。

しかし、開業2年目の2005年度決算で大幅な赤字に転落して早々に経営安定基金の切り崩しを行うなど、早くも経営危機を迎えている。さらに沿線人口の減少や高齢化も重なって2004年の開業時には年間188万人(収入額5億2300万円)だった利用者数が、6年後の2010年には37万人減の年間151万人(収入額3億9200万円)にまで落ち込んでしまい、収入全体も8億円に対して支出額は10億円と2億円もの赤字を抱えて経営悪化に繋がっている。2010年の収入の内訳は定期が78.8%、定期外が21.2%で通学客が約7割、観光客が2割を占めており、沿線住民の利用客はわずか1割程度と通学客や観光客に依存せざるを得ない状況になっている。

2009年7月には2代目社長に古木圭介が就任。2011年10月には本社内に営業部を新設して鉄道利用客以外の収入としてイベント開催の強化、沿線の豊富な観光資源を有効活用するための台湾や韓国などアジア地域を中心とした外国人向けの国内旅行「九州西海岸ウエストコーストツアー」の宣伝と実施、携帯電話専用アプリの「コロニーな生活☆PLUS(コロプラ)」や「おれんじ鉄道で行こう!」への参入、鉄道ファンへの鉄道関連グッズの販売強化、メディアへのプレスリリースの活用、「銀河鉄道999」や「くまモン」などといった数々のラッピング列車、観光列車おれんじ食堂の運行などの地元誘致活動を頻繁に行って積極的な経営に乗り出しており、2011年度決算からはこれらの鉄道利用客外収入が一般利用客の収入よりも上回って開業以来悪化を辿っていた業績は徐々にだが持ち直し始めている。 また、こうした地道な経営努力の結果、2011年度決算には開業7年目にして初めて純利益が1億5700万円の黒字を計上し、おれんじ食堂についても2013年4月と5月の運輸収入は1200万円となり、定期外収入が前年比で22.8 - 38%に増加した。

しかし、2011年の黒字決算は国の援助強化やJR貨物への線路使用料の大幅増額によるものが大きく、慢性的な赤字体質から完全に抜けたものとは言えない。2013年6月27日の株主総会において2012年度決算を発表したが、運行支援補助金の減額や人件費、設備投資費などへの投資が影響して前年の黒字から一転して1億8600万円の赤字に転落したことを表明した。加えて2014年度には鹿児島県が設置した経営安定基金が底を着くのが確実になるなど、今後の業績はまだ不透明である。

また株主総会では、同年9月末限りで古木が社長を退任し、10月より3代目社長に淵脇哲朗が内定したことや、7月から「観光列車おれんじ食堂」のほかに貸し切り専用列車「おれんじカフェ」の運行を開始する予定で、運輸収入の増加を図る予定であることも公式発表された[4][5]

その後、8月8日[3]から「おれんじカフェ」の運行を開始したほか、9月30日の臨時株主総会において淵脇哲朗の社長就任が決定。同日付けで古木が退任し、10月1日より淵脇が3代目社長に就任した。

10月1日より乗務員の制服が紺色の新制服に変更された。新制服はおれんじ食堂のデザインを手がけた水戸岡鋭治がデザインを担当しており、3月24日からしばらくはおれんじ食堂限定で着用されていたが、この日より開業時より使用されていたグレー基調の制服から新制服に完全統一され、名札もフルネームのものに変更された。

2014年5月3日、前年10月から改装工事をしていた水戸岡鋭治デザインの阿久根駅の駅舎が完成しリニューアルオープンし、新たに「にぎわい交流館阿久根駅」の愛称が付けられた。駅舎内にはオープンテラスカフェやレストラン、土産物屋、イベントスペースなどが設置され、新たな観光客の交流拠点として注目されている。

組織

組織は主に本社部門と運輸部門に分かれており、本社の総務部は熊本県八代市、営業部、運輸部の運転課、輸送指令室、検修課は鹿児島県出水市、工務課と電気課は熊本県葦北郡芦北町と鹿児島県阿久根市に所在している。

総務部(本社総務部)

総務課 
財務、資産運営や人事関係を担当。
経理課 
従業員の賃金、清算などを担当。

営業部(出水営業部)

営業課 
ホームページの運営のほか、各種イベントや企画乗車券の立案、企画、発行、開催、阿久根駅の運営(食堂、カフェ、土産物屋のスタッフ)などを担当。
旅行事業課(おれんじ食堂・おれんじカフェのパーサー、アテンダント) 
旅行企画(おれ旅ツアーや外国人向けツアー)、観光列車「おれんじ食堂」の乗務、団体乗車、貸切列車の受付や手配、添乗などを担当。旅行業登録番号は熊本県知事第2-207号。

運輸部

運転課(運転士) 
列車の運転を担当。八代駅 - 川内駅間の乗務のほかに九州旅客鉄道線内の八代駅 - 新八代駅間、川内駅 - 隈之城駅間も乗務する。営業距離が長いため八代駅 - 川内駅間の通し列車は運転士一人が全線を運転することはほとんど無く、原則として運輸部のある出水駅と起点の八代駅で交代を行う。なお快速「スーパーおれんじ」や「オーシャンライナーさつま」は、八代駅で九州旅客鉄道熊本鉄道事業部熊本乗務センター所属の運転士、川内駅で鹿児島鉄道事業部鹿児島乗務センター所属の運転士とそれぞれ交代する。
運転統括指令室(運転指令所) 
肥薩おれんじ鉄道全線の営業指令と輸送指令を担当。当路線はJR九州鹿児島本線と相互に直通する列車があるほか、JR九州の「博多総合指令センター(博多指令)」と指令管轄が重複している区間(八代駅 - 肥後高田駅間・上川内駅 - 川内駅間)があり、「博多指令」と区別するために「おれんじ指令」とも言われる。
検修課 
出水駅構内の車両基地にて車両の入換、連結と分割作業、点検、補修、改造、車体のラッピング作業などを担当。
工務課・電気課(工務員) 
出水駅構内に本部があるほか、佐敷駅構内に熊本県側の施設整備を受け持つ佐敷工務センター、阿久根駅構内に鹿児島県側の施設整備を受け持つ阿久根工務センターがあり、それぞれの工務員が線路や信号、電気、通信設備の保守、点検を担当。

肥薩おれんじ鉄道には新入社員の育成施設がほとんど無いため、新入社員(運転士候補生と工務員)の入社試験(主に適性検査)や運転士の甲種内燃車運転免許取得のための育成はすべて九州旅客鉄道に委託している。

有人駅の管理

駅業務(出改札業務、観光案内業務)や施設管理については肥薩おれんじ鉄道の直営ではなく、全て業務委託駅として沿線地域のNPO法人団体や財団法人などが受託して管理を行っている。管轄は次の通り。

車両

営業区間は交流電化されているが、車両は経費節減のために高価な交流電車を避けて気動車を採用している。しかし、接続するJR鹿児島本線から直通してくる貨物列車や検測列車があるため、電気設備は残されている。

  • HSOR-100形 - 101 - 117の17両が在籍。一般型車両。ただし114と116の2両は「おれんじ食堂」専用車両。
  • HSOR-150形 - 151 - 152の2両が在籍。本来はイベント用の特別車両だが、予備車両不足のため現在は2両とも一般車両と共に一般運用に就いている。

脚注

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外部リンク

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  3. 3.0 3.1 テンプレート:Cite web
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