経済学部
経済学部(けいざいがくぶ)は、大学において経済学を中心とする教育・研究を行う学部である。授与する学位は、学士(経済学)が主な例である(学士号が称号であった時代には経済学士といった)。但し、近年の経済学部はとりわけ学科の種類が多様であり、その分学位の名称も多様化している。
概要
日本の文系学部において、経済学部はその数からいっても最もメジャーな学部といえる。それだけに、経済学科だけでなく金融学科や経営学科、あるいは情報学やその他の法学・社会学等の社会科学を包括する学際系の学科を置いている大学も多い(例えば、東京大学は経済・金融・経営の3学科体制、滋賀大学は経済・ファイナンス・企業経営・会計情報・情報管理・社会システムの6学科体制)。また、他の文系学部と比べて理系から文系に転向する文転者が多いのは、経済学部において理系で発揮される能力を活かせるカリキュラムが用意されているためであり、そのことからも経済学部の良い意味での雑多性を理解することができる。就職先や進路は民間企業から公務員、公認会計士、税理士、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士、宅地建物取引主任者、ファイナンシャル・プランナー、コンサルタント等と多岐にわたる。
カリキュラム
ここでは、経済学部経済学科のカリキュラムを代表例として取り上げる。経済学部経済学科で履修できる科目は、数学等を使用して基礎理論を構築するミクロ経済学・マクロ経済学・計量経済学等の理論・数量系、その理論を適所で応用して政策的な指針を打ち出す労働経済学・公共経済学・国際経済学等の応用・政策系、これら全ての分野を検証・内省する役割を持った経済史・政治経済学・経済思想等の歴史・思想系、の三つのグループに大別することができる。
理論・数量系
解析学や線形代数等の数学科目も多く含まれ、数学や物理学、工学等の理工系のバックグラウンドを持つ教員が一定数在籍している。また、最先端の研究においては、理系の中でも数学を多用する分野である理論物理学や電気工学、情報工学にも劣らない程の極めて高度な数学能力およびコンピュータ活用能力を必要とする(ノーベル経済学賞受賞者には、ジョン・ナッシュのように数学者や理論物理学者が多い)。入学試験で数学を課す大学が多いのは経済学部のそういう側面を重視してのことである。ちなみに、高等学校の「数学」の教員免許が取得できる大学も存在する(例: 一橋大学経済学部)。
経済学科目
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 国際経済
- 景気循環論
- 実践景気分析
- 数理経済学
- 経済学の歴史
- 日本経済史
- 西洋経済史
- 東洋経済史
- 生活経済史
- 経済政策論
- 金融政策論
- 財政政策論
- 地方財政論
- 租税論
- 公共経済学
- 実践公共経済学
- 環境経済学
- 産業組織論
- 産業構造論
- 地域経済論
- 経済地理
- 労働経済学
- 社会保障論
- 現代ファイナンス
- 実践ファイナンス
- 国際ファイナンス論
- 実践国際ファイナンス
- 経済情報論
- 計量経済学
- 統計学演習
日本における歴史
- 1878年(明治11年) - 旧東京大学(東京帝国大学を経て現東京大学)が文学部第一科、史学哲学及び政治学科において経済学の講義を開始。
- 1879年(明治12年)
- 1880年(明治13年) - 専修学校(現専修大学)が日本で初めて独立した「経済科」を設置。
- 1884年(明治17年) - 商法講習所が農商務省の直轄となり東京商業学校に改称。
- 1885年(明治18年)
- 1887年(明治20年) - 東京商業学校が高等商業学校に改称。
- 1890年(明治23年) - 慶應義塾大学部が発足し文学科・法律科と並んで理財科を設置。
- 1897年(明治30年) - 高等商業学校が専攻部を設置
- 1908年(明治41年) - 東京帝国大学法科大学(法学部)が政治学科を政治学科と経済学科の2学科に分離。
- 1909年(明治42年)
- 文部省が東京高等商業学校の専攻部を東京帝国大学へ統合する省令を発令するも、東京高商側の学生総退学決議の抗議等に遭いこれを断念(申酉事件)。
- 東京帝国大学法科大学が商業学科を設置。
- 1919年(大正8年)
- 1920年(大正9年)
- 1922年(大正11年) - 専修大学が大学令による大学に昇格し、翌年1923年(大正12年)に経済学部を設置。
- 1924年(大正13年) - 関西大学が商学部を経済学部に改称。
- 1929年(昭和4年) - 神戸高等商業学校が大学令による神戸商業大学に昇格。
- 1931年(昭和6年) - 立教大学が商学部を経済学部に改称。
- 1944年(昭和19年) - 日本大学が商経学部を経済学部に改称。
- 1946年(昭和21年) - 関西学院大学が商経学部を経済学部に改称。
- 1948年(昭和23年) - 上智大学、同志社大学、立命館大学が新制大学に移行し、経済学部を設置。
- 1949年(昭和24年)
- 1950年(昭和25年) - 名古屋大学が法経学部を改組して経済学部を設置。
- 1953年(昭和28年)
経済学部を持つ日本の大学
大学院組織については経済学研究科を参照
国立
※「経済学部」という名称の学部を持つ大学(括弧内は2010年度の募集人員・志願者数)
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※「経済学部」という名称の学部は持たないがそれに準ずる経済学の教育組織を設置している大学(括弧内は2010年度の募集人員・志願者数)
- 小樽商科大学(370・1204) - 商学部
- 福島大学(160・714) - 人文社会学群経済経営学類
- 千葉大学(155・853) - 法経学部経済学科
- 金沢大学(165・499) - 人間社会学域経済学類
- 静岡大学(150・654) - 人文社会科学部経済学科
※経済学を専攻できるその他の大学
- 弘前大学 - 人文学部経済経営課程
- 岩手大学 - 人文社会科学部法学・経済課程
- 山形大学 - 人文学部法経政策学科
- 茨城大学 - 人文学部社会科学科
- 筑波大学 - 社会・国際学群社会学類経済学主専攻、理工学群社会工学類社会経済システム主専攻
- 宇都宮大学 - 国際学部国際社会学科
- 群馬大学 - 社会情報学部情報社会科学科
- 三重大学 - 人文学部法律経済学科
- 島根大学 - 法文学部法経学科
- 徳島大学 - 総合科学部社会創生学科
- 愛媛大学 - 法文学部総合政策学科
- 高知大学 - 人文学部社会経済学科
- 鹿児島大学 - 法文学部経済情報学科
- 琉球大学 - 法文学部総合社会システム学科
公立
※「経済学部」という名称の学部を持つ大学(括弧内は2010年度の募集人員・志願者数)
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※「経済学部」という名称の学部は持たないがそれに準ずる経済学の教育組織を設置している大学(括弧内は2010年度の募集人員・志願者数)
- 青森公立大学(140・737) - 経営経済学部
- 首都大学東京(201・1048) - 都市教養学部都市教養学科経営学系
- 横浜市立大学(240・904) - 国際総合科学部国際総合科学科経営科学系
- 尾道大学(130・932) - 経済情報学部
私立
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