埼玉大学

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テンプレート:Infobox 埼玉大学(さいたまだいがく、テンプレート:Lang-en)は、埼玉県さいたま市桜区下大久保255に本部を置く日本国立大学である。1949年に設置された。大学の略称は埼大(さいだい)。

概観

大学全体

埼玉大学は旧制浦和高等学校大正10年が起源の文科・理科からなる官立の旧制高等学校)、埼玉師範学校明治6年が起源)、埼玉青年師範学校大正11年が起源)の3校を統合して、昭和24年新制国立大学として設立された。現在では5学部(教養・教育・経済・理・工)、4大学院研究科(文化科学・教育学・経済科学・理工学)を有する総合大学である。

理念・基本方針

埼玉大学は以下の2つを理念・基本方針としている。

  1. 市民社会の中核となるべき人材の育成
  2. 時代の要請に応える知識と技術の創出

教育および研究

埼玉大学の教育は、以下の3つの原則を基礎としている。

  • 深さ(Depth) 高度な専門性
  • 広さ(Breadth) 幅広い知識と教養
  • 相互関連性(Coherence) 諸領域の知識の体系的関連性

上記原則を達成するために「副専攻プログラム」や「テーマ教育プログラム」を実施している。また、2005年度から、英語スキル教育プログラムとしてCALL(Computer Assisted Language Learning)というコンピュータ支援言語学習システムによる授業を行い、TOEICの試験を3回(入学時・1年次末・2年次末)実施し、600点の到達を目標としている。

沿革

年表

基礎データ

キャンパスおよび所在地

大久保キャンパス

  • 埼玉県さいたま市桜区下大久保255
  • 最寄駅:南与野駅北浦和駅浦和駅志木駅北朝霞駅よりバス、または南与野駅より徒歩約30分。
    1. 北浦和駅西口~南与野駅北入口~埼玉大学(北浦03)、南与野駅西口~埼玉大学(南与01、志03-3、北朝02)(国際興業バス西武バス
    2. 志木駅東口~埼玉大学~南与野駅西口(志03-3)、北朝霞駅~埼玉大学~南与野駅西口(北朝02)(国際興業バス)
    3. 浦和駅西口~十石田~埼大裏~下大久保~大久保浄水場(浦桜13-3、浦13、浦13-2)(国際興業バス)、十石田、または埼大裏下車
    4. 浦和駅西口~十石田~桜区役所(浦12-2、浦12、浦11)(国際興業バス)、十石田下車
    • 京浜東北線埼京線方面からの利用はほとんど北浦和線である。
    • 雨天時は、南与野駅北入口からはバスが満員のため乗れないこともある。現在では南与野駅西口の駅前ロータリー完成に伴い南与野駅西口停留所が新設され、埼玉大学方面のバスが1時間に2~3本程度運行されている。
    • 志木線は、東武東上線沿線からの利用がほとんど。2006年にそれまでの停留所から大学正門ロータリーにバス停変更。1時間に1~2本程度の運行となっている。
    • バス停南与野駅北入口より大学まで2.1km、また、北浦和駅西口より大学まで3.5km。ただし、南与野駅から南与野駅北入口バス停までは少し離れている。
    • 北朝霞線は2010年12月1日開設。武蔵野線からの通学に合わせた時間設定になっている。ただし本数が1日8往復のため、時刻に注意が必要である。

サテライトキャンパス

(2007年4月に移転)

象徴

スクールカラー
  • 埼玉大学のカレッジカラーは黄緑(ライトグリーン)である。
  • 各学部ごとのカレッジカラーも存在し、例えば教育学部は、教養学部は、理学部は橙色、工学部は、などとなっている。
校章

埼玉大学の校章は、旧高等学校の徽章に使われていた菊の花と旧師範学校の制服のボタンなどに使われていた勾玉とをあしらったものである。以前から使用されていたものだが、1999年に正式に「学章」となった。

シンボルマーク

埼玉大学のシンボルマークは、埼玉をローマ字表記したときの頭文字のSと埼玉の玉を表すを図案化したものであり、黄緑の2色構成である。本学に学ぶ人達が、真ん中の円で表された埼玉を巡りながら、知と技を身に着けて実社会に飛び立っていく様を表している。2006年制定。

校歌

長らく大学歌を持たないままだったが、2006年に埼玉大学大学歌の作詞、作曲が一般公募された。作詞は奈良県の男性(埼玉大学出身ではなく、埼玉県に以前在住)、作曲は埼玉県の男性による作品となった。

大学公認商品

学内の大学生協購買部などでは、商標登録された図形商標及びSaitama University名を入れた商品なども販売している。

教育および研究

組織

学部

  • 教養学部
    • 教養学科
      • グローバル・ガバナンス専修課程
        • 国際関係論専攻
        • 国際開発論専攻  
      • 現代社会専修課程
        • 社会学専攻
        • フィールド科学専攻
      • 哲学歴史専修課程
        • 哲学専攻
        • 芸術論専攻
        • 歴史学専攻  
      • ヨーロッパ・アメリカ文化専修課程
        • ヨーロッパ文化専攻
        • アメリカ研究専攻
      • 日本・アジア文化専修課程
        • 日本文化専攻
        • 東アジア文化専攻
      • 講座:文化環境、現代社会、哲学歴史、ヨーロッパ文化・アメリカ研究、日本・アジア研究
  • 教育学部
  • 経済学部
    • 昼間コース
    2年次に学科に分かれる
    • 夜間主コース
      • 経済学科
      • 経営学科
      • 社会環境設計学科
  • 理学部
    • 数学科
      • 講座:数理代数、大域幾何、数理解析
    • 物理学
      • 講座:物性物理学、核物理学
    • 基礎化学科
      • 講座:合成化学、解析化学
    • 分子生物学
      • 講座:生物分子、分子細胞
    • 生体制御学科
      • 講座:生体情報学、生体機能学、生体適応学
  • 工学部
    • 機械工学
      • 講座:設計・生産システム、メカニカルサイエンス、知能機械システム、支援システム工学
    • 電気電子システム工学科
      • 講座:電気電子制御、電子システム
    • 情報システム工学科
      • 講座:情報制御、知能システム
    • 応用化学科
      • 講座:無機材料化学、分子プロセス工学、環境設計制御
    • 機能材料工学科
      • 講座:機能量子工学、機能生体分子工学
    • 建設工学科
      • 講座:地圏システム工学、計画設計システム工学、環境システム工学
    • 環境共生学科
      • 講座:物質循環科学、応用生態学、環境評価学
講義内容・雰囲気など
  • 教養学部
    • それぞれの専攻に所属するのは2年次からである。1年次は学部が用意した専門基礎科目を受講する。その過程で自分が専攻科目にしたい学科を選択する。
    • 2009年度までは、専攻が以下のようになっていた
      • 文化環境専修課程(芸術論、地理学コミュニティ・デザイン、文化人類学専攻)
      • 現代社会専修課程(国際関係論社会学専攻)
      • 哲学歴史専修課程(哲学・人間システム論、歴史学専攻)
      • ヨーロッパ文化・アメリカ研究専修課程(ヨーロッパ文化、アメリカ研究専攻)
      • 日本・アジア文化専修課程(日本文化、東アジア文化専攻)
  • 教育学部
    • 学校教育教員養成課程
    • 養護教諭課程
      • 2006年より新設されたコース。現在の在籍は女子学生のみ。
    • 文部科学省に採択された教育プロジェクト
      • 文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」
        • 大学・地域・学校連携型特別支援教育の推進(2005年)
      • 文部科学省「質の高い教員養成推進プログラム(教員養成GP)」
        • 「協働する実践者」としての幼稚園教員養成(2006年)
  • 経済学部
    • 夜間主コース
      • 経済学部の全学科に夜間主コースが設置されている。
      • 現役勤労学生や社会人が6限(18:00-19:30)と7限(19:40-21:10)を中心に履修している。経済学部昼間主の学生、他学部学生が夜間講義に参加することも多く、講義受講者は多い。
      • 卒業要件の単位数に昼間主との違いは無く、昼間の講義を受講しても30単位まで卒業要件として認められる。
  • 工学部
    • 電気電子システム工学科
      • 電磁波工学、情報科学、コンピュータ言語を低学年の間に中心に学び、4年生になると、それぞれが望む研究室に配属され研究に励む。

大学院

理学部・工学部では、学部と博士前期課程の6年一貫教育体制を標準的なコースとしている。2010年における理学部の大学院進学率は63.4%、工学部の大学院進学率は58.5%であった。

文化科学研究科
  • 修士課程
    • 文化構造研究専攻
      • 専門分野:哲学、歴史学、国際関係論、欧米文化、言語学・心理学
    • 日本・アジア研究専攻
      • 専門分野:日本語学、日本文学、東アジア文化
    • 文化環境研究専攻
      • 専門分野:人類学地理学、情報メディア環境、芸術論
    博士後期課程
    • 日本・アジア文化研究専攻
      • 専門分野:言語文化研究系、歴史哲学文化研究系、社会文化環境研究系
    文部科学省「大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)」
    • 人文学によるスキル開発教育プログラム(2007年)
教育学研究科(修士課程)
  • 学校教育専攻
    • 学校教育専修
      • 教育学分野
      • 教育心理学分野
      • 幼児教育分野
    • 学校臨床心理専修
    • 学校保健学専修
  • 特別支援教育専攻
  • 教科教育専攻
    • 国語教育専修
    • 社会教育専修
    • 数学教育専修
    • 理科教育専修
    • 音楽教育専修
    • 美術教育専修
    • 保健体育専修
    • 技術教育専修
    • 家政教育専修
    • 英語教育専修
連合学校教育学研究科(博士課程)
東京学芸大学横浜国立大学千葉大学との間の連合大学院)
  • 学校教育学専攻
    • 教育構造論講座
    • 教育方法論講座
    • 発達支援講座
    • 言語文化系教育講座
    • 社会系教育講座
    • 自然系教育講座
    • 芸術系教育講座
    • 健康・スポーツ系教育講座
    • 生活・技術系教育講座
経済科学研究科
  • 主に社会人を対象としており、講義は平日夜間のほか、土曜日昼夜間も開講
    • 修士課程
      • 経済科学専攻
        • プログラム
      博士課程
      • 経済科学専攻
        • プログラム
          • 金融・経営システム研究
          • 地域公共システム研究
理工学研究科
理化学研究所と連携し、約30名の客員教員(理化学研究所主任研究員クラスが多い。)による研究指導が行われている。)
  • 研究部(教員組織)
    • 生命科学部門
    • 物質科学部門
      • 物質基礎領域
      • 物質機能領域
    • 数理電子情報部門
      • 数理領域
      • 電気電子システム領域
      • 情報領域
    • 人間支援・生産科学部門
      • 生産科学領域
      • 人間支援工学領域
    • 環境科学・社会基盤部門
      • 環境科学領域
      • 環境計画領域
      • 社会基盤創成領域
    • 連携先端研究部門
      • 粒子宇宙科学領域
      • 脳科学領域
      • 融合電子技術領域
      • AMI(アンビエント・モビリティ・インターフェイス)領域
    教育部(教育組織)
    • 博士前期課程
      • 生命科学系専攻
      • 物理機能系専攻
        • 物理学コース
        • 機能材料工学コース
      • 化学系専攻
        • 基礎化学コース
        • 応用化学コース
      • 数理電子情報系専攻
        • 数学コース
        • 電気電子システム工学コース
        • 情報システム工学コース
      • 機械科学系専攻
        • 機械工学コース
        • メカノロボット工学コース
      • 環境システム工学系専攻
        • 環境社会基盤国際コース
        • 環境制御システムコース
      博士後期課程
      • 理工学専攻
        • 生命科学コース
        • 物質科学コース
        • 数理電子情報コース
        • 人間支援・生産科学コース
        • 環境科学・社会基盤コース
        • 連携先端研究コース
      文部科学省「大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)」
      • 環境社会基盤国際連携大学院プログラム(2007年)

機構と付属施設

ファイル:Saitama-Univ-CRC.jpg
地域オープンイノベーションセンター

埼玉大学の付属施設および全学共同利用のセンターは教育・研究等評価センターと国際交流センターを除き、基本的に3つの機構のいずれかに割り振られている。

  • 教育機構
    • 教育企画室
    • 基盤教育研究センター
    • 英語教育開発センター
    • 日本語教育センター
    • 社会調査研究センター
    • アドミッションセンター
    • 学生支援センター
    • 保健センター
    • 教員免許センター
  • 研究機構
    • 研究企画推進室
      • 脳末梢科学研究センター
        • 脳機能解析応用部門
        • 脳末梢機能連関研究部門
      • 環境科学研究センター
      • アンビエント・モビリティ・インターフェイス研究センター
        • アンビエント・モビリティ部門
        • モビリティ・ダイナミクス部門
      • レジリエント社会研究センター
      • 科学分析支援センター
        • 生命科学分析分野
        • 機器分析分野
        • 環境分析分野
      • 総合技術支援センター
        • 機械建設系
        • 電気電子情報系
        • 物質・生命科学系
      • リサーチ・アドミニストレーターオフィス
        • URA部門
        • URA支援部門
    • オープンイノベーションセンター
      • 連携推進・知的財産部門
      • プロジェクト推進部門
  • 図書館
  • 情報メディア基盤センター
    • 学術情報処理研究開発部門
    • 高度情報共有環境研究開発部門
    • 情報メディア教育支援部門
  • 国際本部
    • 国際企画室
    • 留学交流支援室
    • 国際開発教育研究センター

過去存在した学生寮

蒼玄寮(男子寮)悠元寮(女子寮)
  • 埼玉大学の西門より道路を一つ挟んだ位置にあり、大学までは徒歩0分。完全な自治寮であり、寮生のみで構成された学寮運営委員会・蒼玄寮委員会・悠元寮委員会により運営されていた。

蒼玄寮では、3人若しくは2人で一部屋を共用し、悠元寮では4人若しくは2人で一部屋を使用する。寮内では、主にブロックと呼ばれる単位で活動し、自治のための会議や、イベントの企画運営などさまざまな活動が行われていた。一つの建屋の一フロアでそれぞれのブロックが構成される。

  • 寮の歴史は古く、学生運動の拠点として機能していた時期もあるらしく、寮内の落書きなどに当時の名残がうかがえる。
  • 建物の老朽化のため近年建て替えの計画があり、2007年時点期限付きの入寮となっている。
  • なお、2011年1月より、自治寮は廃止され大学の運営による学生宿舎(男子2棟、女子1棟)の運用が始まった。

附属学校園

大学関係者と組織

同窓会

埼玉大学の同窓会には、教養学部の「けやき会」、教育学部の「教友会」、経済学部の「経和会」などがあり、理学部、工学部などでは学科単位で同窓会が存在しているが、2003年12月6日に全学的な同窓会として「埼玉大学同窓会連合会」が発足した。同窓会連合会から東日本大震災で被災した学生への支援奨学金の拠出があった。

大学関係者一覧

大学・部局間交流協定締結校

大学間交流協定締結校
部局間交流協定締結校(大学間交流協定締結校を除く)

その他

  • 2008年4月まで教育学部だけ何故か大半の教室に冷房が着いていなかったが、教育学部棟の改修に併せてほぼ全ての教室にエアコンが設置された。
  • タバコの自動販売機は撤去されていて、学内にあるローソンでもタバコの販売は行われていない(ローソンではアルコール類の販売もない)が、生協の書籍購買部ではタバコの販売がされている。
  • 『読売ウィークリー』の主要56大学就職ランクの「公務員・教員就職力」で1位となった[1]
  • FM浦和に埼玉大学学生が制作を行っているラジオ番組「RadioCampus」があり、大学情報を発信している。
  • 正門付近のモニュメント建立の経緯を知る学生は少ない。当初はモニュメントのデザインの意味についての説明看板などが全くなかったが、現在はデザインした教員によると見られる表示板が設置されている。
  • 3年B組金八先生」、「レガッタ〜君といた永遠〜」のロケ地に使われ、速水もこみちも大学を訪れている。撮影は休日に行われ、人だかりができたくらいで大きな騒ぎにはならなかった。
  • 大学祭は「むつめ祭」。例年11月頭に開催される。むつめの名前の由来は、埼玉(さきたま)古墳から見つかった勾玉(まがたま)および仲睦まじい(なかむつまじい)より。
  • むつめ祭では、かつて夜通しでロックやパンクのライブをやり続ける「オールナイトロック」という目玉企画があった。サザンオールスターズ、レベッカ、エレファントカシマシ等、その後の日本ロック史を飾る多くのアーチスト達が、無名時代にこのライブに参加していたとことから、若きアマチュアバンドマン達にとっては伝説的なライブであったと言われている。
  • 埼玉県のサッカーの歴史は、明治41年埼玉師範学校(埼玉大学教育学部の前身校)に蹴球部が創設されたことをもって、その嚆矢としている。このこともあり、浦和レッズのエンブレムに描かれた建物は埼玉師範学校の校舎「鳳翔閣」がモデルとされている。
  • ある程度の規模の大学キャンパスが立地している場所の常ということは言えるものの、埼玉大学のキャンパスや最寄駅の周辺には、埼大の学生を主なターゲットにしていると思しきラーメン屋が数多く所在しており、埼玉県内でも有数の「ラーメン激戦区」の様相を呈している。そのため、埼玉県の店舗を掲載する「ラーメン本」などでは、県内広域のマップとは別に北浦和駅~埼玉大学とその周辺の店舗マップが別項目として掲載されることが時折見られる。

ギャラリー

参考文献

  1. 『読売ウィークリー』2008年2月17日,67巻7号,通巻3116号

関連項目

公式サイト

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