理学部
理学部(りがくぶ、Faculty of Science)は、大学の学部の一つ。理学(自然科学)の教育、研究などがなされる。学科には、数学科、物理学科、化学科、生物学科(生命科学科)、地学科(地球科学科)等がある。授与する学位の代表例は学士(理学)。
概要
大学における最も古典的な学部の一つである。 自然科学に関する学問を対象にする学部である。数学や物理学に見られる法則性や物質・生物・自然現象に見られる類型性のように原理そのものに関心を持つことが特徴であり、理論の活用に止まらず理論自体を理解し再構築する能力を培うことを重視している。
人間存在に対するとらえ方においては、工学部・医学部・農学部のように理論を応用し社会的現実に応じることをより重んじる学部とは異なる面がある。理学において人間存在は観察者であり理論の構築者である自らを指し、人間存在を主体としてとらえる傾向にある。こうした姿勢には、むしろ嘗ての哲学に近いものがある。 卒業・修了後は、教員や理論系の研究者になる者が大半であり、工学を自学し技術者となる者や、経済学、心理学など人文社会科学系の分野を専攻する者や、文化・哲学に携わる者も多い。
教員免許に必要な科目を履修することで、数学(数学科)、理科(数学科以外)の高等学校一種教員免許を取得できる大学が大半である。
平成時代に入ってからの大学院重点化により、組織の管理運営上の機能が大学院理学研究科に移行している例も見られる。
類型
名称として「理学部」を名乗る大学学部の他に、私立大学の半分以上は理工学部の理学系の学科も同様の研究教育活動を行っている。また、総合科学部(広島大学、徳島大学)、教育学部(早稲田大学)、教養学部(東京大学、国際基督教大学)、リベラルアーツ学群(桜美林大学)に理学(自然科学)の教育、研究がなされるコースが設置されている大学もある。
筑波大学においては、独自の「学群・学類」制度が敷かれ理学部という名称の学部は存在しないが、理工学群数学類・物理学類・化学類、生命環境学群地球学類・生物学類(生物学・基礎主専攻、生物学・応用主専攻、応用生物化学専攻)が他大学の理学部に相当している。金沢大学でも、理学部と工学部を母体として2008年に3学域構想の下に「理工学域」として統合・再編された。
理学(自然科学)の境界領域の教育、研究をする学科が設置している大学もあり、かつては、東京都立大学や東京教育大学では、他大学の大半で文学部に設置する地理学科が、北海道大学、大阪大学では他大学の大半で繊維学部や工学部で設置されていた高分子学科、広島大学では物性学科といった学科がこれに該当した。
近年では、理学部の学科を再編して複数のコースを設けた理学科とし、境界領域の教育、研究を容易にしている大学がある。
大学制度が成立した当時唯一の大学であった東京大学では理学部には8つの学科が置かれていたが、その内容は数学科、物理学科、化学科、生物学科、星学科、工学科、地質学科、採鉱冶金学科と今では工学部に相当するものも含み、いわゆる理系的分野を網羅するものだった。
岡山理科大学もかつては工学部に相当する学科(電子理学科、機械理学科等)を含んでいた。
東京理科大学では、他大学では工学部に設置される応用物理学科、応用化学科、高知大学には応用理学科といった応用理学の学科が、理学部にある。
理学部を持つ日本の大学
国公立
私立
参考文献
Rikejo編集部 (2012) "リガクル03 東京大学理学部の今がわかる本".