東海地方

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テンプレート:Infobox 東海地方(とうかいちほう)は、日本の地域区分の一つで、本州中央部のうち太平洋側の地方である。名称は五畿七道東海道による[1]

小学館の日本地名大百科では、愛知県岐阜県三重県静岡県の4県を指す[1]。ただし、テレビラジオ等のメディアでは、愛知県・岐阜県・三重県を放送対象地域にしていることから、この3県で東海3県と言うことが多い。これらの県は八地方では主に中部地方だが、三重県のみ近畿地方と間違えられることが多い。テンプレート:要出典範囲

東海地方は、古代の東海道とはかなり異なる。東海道は広大で、甲斐国(現在の山梨県)をも含み、東は関東東岸まで伸びる。一方、東海地方のうち、岐阜県(美濃国飛騨国)は東山道、三重県東紀州紀伊国の一部)は南海道であり、東海道ではない。

用例

東海4県

愛知県・岐阜県・三重県・静岡県。

東海3県

愛知県・岐阜県・三重県。名古屋市のメディアが「東海3県」と呼ぶ。

静岡県

地理

地形

岐阜県北部(主に飛騨地方)は造山活動によって形成された中央高地の一部で、飛騨山脈など日本有数の山岳地帯となっている。

地質的には、糸魚川静岡構造線(糸静線)や中央構造線が縦断している。沿岸がプレート境界になっているため、東海地震東南海地震などの警戒区域になっている。

伊勢湾沿岸は木曽三川などの河川の堆積作用により、濃尾平野伊勢平野などの大規模な平野が広がっている。

志摩半島から熊野灘沿岸はリアス式海岸となっている。

北から東にかけて富士山赤石山脈木曽山脈飛騨山脈など火山活動や造山運動により形成された中央高地と接し、南は太平洋に面している。

南東端の伊豆半島は火山活動と海面の上昇で形成されたリアス式海岸に山地が迫った地形である。

伊豆半島の西側に広がる駿河湾岸は火山活動や造山運動により形成された山岳地帯を狩野川富士川安倍川大井川といった大河川の浸食作用で形成された小規模な平野が分断している。

駿河湾の西側の遠州灘沿岸部及び三河湾沿岸部は駿河湾岸より火山活動や造山活動の停止が比較的早かったため、海面の下降により形成された台地が広がっている。

気候

三重県から愛知県、静岡県の沿岸が太平洋側気候、三重県の伊賀と岐阜県の大部分が内陸性気候、岐阜県西濃から飛騨地方日本海側気候である。濃尾平野は、は高温多湿で非常に蒸し暑く、全国でも有数の酷暑地帯として有名である。三重県南部は、雨の多い地域で、台風がよく通過するため、台風銀座と呼ばれている。は、濃尾平野で伊吹おろしという乾燥した冷たい風が吹く。このため体感温度が一気に北日本並みにまで低下する日もある。強い冬型の気圧配置になると雪雲が、日本海から伊吹山地や鈴鹿山脈を越えて、岐阜県西濃や愛知県西部、三重県北部などで局地的な大雪に見舞われることがある。1995年(平成7年)12月25日から12月27日にかけての寒波で、三重県四日市市で最深積雪53cm1996年(平成8年)1月9日から1月10日にかけての寒波で、岐阜県岐阜市で最深積雪48cmの大雪を記録した。岐阜県と静岡県の一部は豪雪地帯に指定されているところがある。

歴史

関東畿内との間の「廊下」として、鎌倉時代以降に権力者から重視された。

歴史地理学的な東海地方は、木曽三川富士川の間の東海道沿線に当たり、愛知県の全域と静岡県の富士川以西に当たる。これは、畿内政権の領土になった三重県と、関東の諸政権の領土になった静岡県東部の、双方に挟まれた地方という範囲である。

戦国時代から江戸時代にかけては、この木曽三川と富士川の間が、特に「海道」と呼ばれていた。主な用例として、「海道下り」、「海道一の大親分清水次郎長)」などがある。

古代

平野部は気候が温暖なので、登呂遺跡に見られるように、古代から人類の定住が見られた。特に濃尾平野においては、弥生人の勢力が隆盛を誇った。

律令制五畿七道東海道が整備されたが、東海道は字義通り、「へ通じるの道」であった。律令時代は山陽道が大動脈だった時代で、東海道は関東から畿内や北九州へ向かう防人の通行路となった。

鎌倉時代から室町時代まで

かつて源頼朝京都での内部抗争の末に、伊豆国蛭ヶ小島流刑された。後に頼朝が鎌倉幕府を開くと、富士川以東は鎌倉幕府の領土となった。

戦国時代

戦国時代になり戦国大名が濫立すると、東海道は権力争いの場となった。中でも尾張国西三河の2地域からは、織田信長豊臣秀吉徳川家康といった「三英傑」を輩出した。また駿府(静岡)は、今川義元と徳川家康の本拠地となった。

江戸時代

江戸幕府が開かれ江戸時代になると、江戸東京)と京都を結ぶ東海道五十三次が整備され、その往来は日本第一の規模となった。この東海道沿線の中には、宿場町城下町から発達した都市も多い。

明治から第二次世界大戦まで

明治維新中央集権体制が成立すると、名古屋が地方統治の拠点となり、それ以降は政府機関が集中するようになった。又、廃藩置県期の東海地方には、名古屋県額田県豊橋県浜松県静岡県足柄県などが分立していたが、1876年(明治9年)8月以後は愛知県と静岡県に削減され、現在に至っている。

1889年(明治22年)2月には東海道本線が開業し、天竜川木曽三川の間の地域は、綿織物工業の中心地となった。

第二次世界大戦後

高度経済成長期には、太平洋沿岸と瀬戸内海沿岸を中心に重化学工業地域が造成されたために、東海道線沿線には東海工業地域中京工業地帯が造成され、工業生産の中心地帯になった。

交通

鉄道・軌道

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主な道路

高速道路

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一般国道

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空港

第一種空港
第三種空港
その他公共用飛行場
公共用ヘリポート

経済と交通問題

2007年(平成19年度)の東海地方(4県)の県内総生産の合計は69兆6929億円である。日本のGDPの約13%を占めており、世界の国のGDPと比較しても、20番以内に入る経済体である。サウジアラビアアルゼンチンなど一部のG20加盟国の国より経済規模が大きい。

太平洋ベルト上に位置しており、日本を代表する工業地帯が形成されている。このうち、愛知県及び三重県北部を中京工業地帯、静岡県の主に臨海部一帯を東海工業地域と呼ぶ。

多くの工業都市が連なり、産業と人口が集積していることから、東京都区部から大阪市にかけての都市群を「東海道メガロポリス」という事もある。

自動車産業が地域経済の中心となっており、トヨタ自動車スズキの2社はこの地域に本社を構えるほか、デンソーアイシンなどの自動車関連企業の本社や工場、鈴鹿サーキットなどの自動車関連のレジャー施設などが集積している。

これらの特徴もあってモータリゼーションが日本で最も発達した地域でもあり、自家用車の保有台数は日本有数の高さを誇っている。 その反面、鉄道輸送力は関東・関西に対して劣っているほか、名鉄の一部路線の廃線をはじめとする鉄道・バスの存続問題などが叫ばれている。 また、愛知県の交通事故死亡者数は2005年(平成17年) - 2009年(平成21年)まで5年連続ワーストワンであり、自動車事故の多さはこの地域の自動車中心のライフスタイルを物語っている。

人口

ISO 3166-2 都道府県名 順位 人口 割合
JP-23 愛知県 4 7,161,891 5.60%
JP-21 岐阜県 17 2,115,336 1.70%
JP-24 三重県 22 1,864,185 1.50%
JP-22 静岡県 10 3,792,982 3.00%
合計 14,934,394 11.80%
  • 順位・人口・割合は2003年10月1日のデータによる。

年齢構成

次のグラフは愛知県・岐阜県・三重県・静岡県の人口を合計した。

年齢5歳階級別人口
2003年10月1日現在推計人口
総計 [単位 千人]

年齢 人口
0 - 4歳 ファイル:G50.pngファイル:G10.pngファイル:G05.pngファイル:G03.pngファイル:G01.png 729
5 - 9 ファイル:G50.pngファイル:G10.pngファイル:G10.png 742
10 - 14 ファイル:G50.pngファイル:G10.pngファイル:G05.pngファイル:G03.pngファイル:G01.png 729
15 - 19 ファイル:G50.pngファイル:G10.pngファイル:G10.pngファイル:G05.pngファイル:G01.pngファイル:G01.png 814
20 - 24 ファイル:G50.pngファイル:G30.pngファイル:G05.png 897
25 - 29 ファイル:G100.pngファイル:G01.png 1070
30 - 34 ファイル:G100.pngファイル:G10.pngファイル:G01.png 1177
35 - 39 ファイル:G50.pngファイル:G30.pngファイル:G10.pngファイル:G05.pngファイル:G01.png 1015
40 - 44 ファイル:G50.pngファイル:G30.pngファイル:G05.pngファイル:G01.pngファイル:G01.png 924
45 - 49 ファイル:G50.pngファイル:G30.pngファイル:G05.png 905
50 - 54 ファイル:G100.pngファイル:G05.pngファイル:G03.pngファイル:G01.png 1150
55 - 59 ファイル:G100.pngファイル:G03.png 1091
60 - 64 ファイル:G50.pngファイル:G30.pngファイル:G10.pngファイル:G03.png 987
65 - 69 ファイル:G50.pngファイル:G30.png 848
70 - 74 ファイル:G50.pngファイル:G10.pngファイル:G05.pngファイル:G01.png 705
75 - 79 ファイル:G50.pngファイル:G01.png 538
80歳以上 ファイル:G50.pngファイル:G05.pngファイル:G01.pngファイル:G01.png 601

年齢5歳階級別人口
2003年10月1日現在推計人口
男女別 [単位 千人]

年齢
375 ファイル:G30.pngファイル:G05.png 0 - 4歳 ファイル:R30.pngファイル:R03.png 354
380 ファイル:G30.pngファイル:G05.pngファイル:G01.png 5 - 9 ファイル:R30.pngファイル:R03.pngファイル:R01.png 362
374 ファイル:G30.pngファイル:G05.png 10 - 14 ファイル:R30.pngファイル:R03.png 355
418 ファイル:G30.pngファイル:G05.pngファイル:G03.pngファイル:G01.png 15 - 19 ファイル:R30.pngファイル:R05.pngファイル:R01.pngファイル:R01.png 396
463 ファイル:G30.pngファイル:G10.pngファイル:G03.png 20 - 24 ファイル:R30.pngファイル:R10.pngファイル:R01.png 434
546 ファイル:G50.pngファイル:G01.png 25 - 29 ファイル:R30.pngファイル:R10.pngファイル:R05.pngファイル:R03.pngファイル:R01.png 524
601 ファイル:G50.pngファイル:G05.pngファイル:G01.pngファイル:G01.png 30 - 34 ファイル:R50.pngファイル:R03.pngファイル:R01.png 576
520 ファイル:G30.pngファイル:G10.pngファイル:G05.pngファイル:G03.pngファイル:G01.png 35 - 39 ファイル:R30.pngファイル:R10.pngファイル:R05.pngファイル:R01.pngファイル:R01.png 495
469 ファイル:G30.pngファイル:G10.pngファイル:G03.pngファイル:G01.png 40 - 44 ファイル:R30.pngファイル:R10.pngファイル:R03.png 455
457 ファイル:G30.pngファイル:G10.pngファイル:G03.png 45 - 49 ファイル:R30.pngファイル:R10.pngファイル:R01.pngファイル:R01.png 448
576 ファイル:G50.pngファイル:G03.pngファイル:G01.png 50 - 54 ファイル:R50.pngファイル:R03.pngファイル:R01.png 574
545 ファイル:G50.pngファイル:G01.png 55 - 59 ファイル:R50.pngファイル:R01.png 546
489 ファイル:G30.pngファイル:G10.pngファイル:G05.pngファイル:G01.png 60 - 64 ファイル:R30.pngファイル:R10.pngファイル:R05.pngファイル:R01.pngファイル:R01.png 498
410 ファイル:G30.pngファイル:G05.pngファイル:G03.png 65 - 69 ファイル:R30.pngファイル:R10.pngファイル:R01.png 438
328 ファイル:G30.pngファイル:G01.png 70 - 74 ファイル:R30.pngファイル:R05.png 377
232 ファイル:G10.pngファイル:G10.pngファイル:G01.pngファイル:G01.png 75 - 79 ファイル:R10.pngファイル:R10.pngファイル:R05.pngファイル:R03.pngファイル:R01.png 306
189 ファイル:G10.pngファイル:G05.pngファイル:G01.pngファイル:G01.png 80歳以上 ファイル:R30.pngファイル:R05.pngファイル:R03.pngファイル:R01.png 412

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Col

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テンプレート:日本の地域
  1. 1.0 1.1 『日本地名大百科』、小学館、1996年、p.768 ISBN 4-09-523101-7