高島市
高島市(たかしまし)は、琵琶湖の北西側に位置する滋賀県の市。2005年1月1日に高島郡の5町1村が対等合併して成立。市の面積は、長浜市に次ぐ県下第二であるが、湖を含めた面積は県下一である。
目次
概要
安曇川と石田川流域の扇状地や三角州にまとまった平地があるほかは、比良山地や野坂山地など森林が広がり、また琵琶湖の汚染も少なく、自然豊か。日本さくら名所100選にも選定されているマキノ町海津大崎には、花見シーズンになると10万人を超える観光客が訪れる。またマキノ町のカタクリの花の群生地や今津町のザゼン草、新旭町針江区の川端(かばた)なども有名。安曇川沿いの扇骨生産、「琵琶湖周航の歌」の発祥地としても知られる。日本海側気候で、特に旧今津町・旧マキノ町・旧朽木村は豪雪地帯対策特別措置法における豪雪地帯となっており、それを利用したスキー場も賑わいを見せる。
2003年2月には当時日本の対人地雷処理が行われていた新旭町にて、その処理の終了をきっかけにNPO法人難民を助ける会との共催で「第1回地雷をなくそう! 全国子どもサミット」、引き続き2004年8月に「第1回地雷をなくそう! 世界こどもサミット」が開催された。また、高島市立今津中学校が行っている『アジア子どもプロジェクト』も有名で、2006年にはネパールからの奨学生を招いての交流を行った。
陸上自衛隊今津駐屯地及び、航空自衛隊饗庭野分屯基地があり、饗庭野演習場を有している。
地理
隣接している自治体・行政区
- 滋賀県
歴史
9世紀頃の高島郡は、『和名類聚抄』によると、木津・鞆結・善積・河上・角野・三尾など10郷の存在の記載がある。このうち木津荘(旧饗庭村)は、保延4年(1138年)山門領に加えられ、富永荘(伊香郡)、栗見荘(神崎郡)とともに、「三箇庄聖供領(千僧供領)」と言われ延暦寺の重要な経済基盤を担った。また、安曇川・鴨川デルタ地帯(旧新旭町・旧安曇川町・旧高島町)は、応永29年(1422年)の『木津荘検注帳』、年次不詳の『木津荘引田帳』などから条里制が敷かれていたことが知られている。
鎌倉時代初期、近江源氏である佐々木信綱の子の佐々木高信が、父信綱より高島郡に所領を分与されて高島氏を称し高島高信と名乗った。高島氏は後に数流に分かれたが、それぞれ高島郡の各所に居城を構え戦国期まで栄えた。高島一族には惣領家である高島氏を筆頭に、高島朽木氏・高島永田氏・高島平井氏・高島横山氏・高島田中氏らがあった。
高島高信以降の高島氏歴代は、高島平野の中央部(安曇川北岸の饗庭野丘陵末端・新旭)にある清水山の清水寺跡に清水山城を築いて居城とした。築城の年代は不詳であるが、北野天満宮史料『目安等諸記録書抜(文安4年(1448年)12月4日記録)』に、清水寺に関する記録があることから文安4年以降の築城と考えられる。鎌倉時代室町時代と将軍家に直属する奉公衆として栄えた。しかし享禄4年(1531年)より浅井郡の戦国大名浅井亮政の侵攻が始まり、永禄11年(1568年)には浅井氏の影響下に置かれることになった(『朽木文書』史料)。元亀年間、明智光秀ら織田軍の進攻により高島氏宗家は高島郡を追われた。朽木氏は市西部の朽木谷を鎌倉時代・室町時代を通して領しており、織田家および豊臣家・徳川家に従い、旗本として幕末まで転封することなく栄えた。
その後、磯野員昌により新庄城に政治の中心が移ったが、間もなく入城した津田信澄により大溝城に政治の中心が移された。信澄の後は京極高次などが大溝城主となったが、元和5年(1619年)に分部光信が伊勢上野より入封して大溝藩が成立し、以後、明治維新まで分部氏が治めた。江戸時代の高島郡は、天領・大溝藩および小浜藩の飛び地・加賀藩の飛び地・膳所藩の飛び地・郡山藩の飛び地・旗本朽木領等が混在していた。江戸時代は、幕府の役所が設置された海津村(旧マキノ町)と城下町である大溝村(旧高島町)を中心に発展した。
明治時代になり、陸軍の駐屯地・饗庭野演習場が置かれたことをきっかけに今津村(旧今津町)に高島郡役所が設置され、以後国・県の出先機関は今津に設置されるようになった。
沿革
※市制執行以前の市域の歴史については、高島郡も参照
- 2002年10月1日 - 高島地域合併協議会を設置(高島郡マキノ町、今津町、新旭町、安曇川町、高島町の5町が参加)
- 2003年3月11日 - 合併協議会が新市名を西近江市(にしおうみし)に決定。
- 2003年12月24日 - 住民投票の結果を受け、高島郡朽木村が合併協議会に加入。
- 2004年2月24日 - 新市名に対する多くの住民からの反対意見を受けて、合併協議会が新市名を再検討し、新市名を高島市に決定(一旦決めた合併後の新名称を再検討した例は、平成の大合併では西近江市が初)。
- 2005年1月1日 - 5町1村が合併して、市制施行。それと同時に、高島市が誕生。この結果、滋賀県から村が消滅。
- 2008年3月7日 - 中江藤樹生誕400年祭開催。
人口
行政
市長
歴代市長
歴代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
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市長職務執行者 | 玉垣勝 | 2005年1月1日 | 2005年2月12日 | 旧朽木村長 |
初代 | 海東英和 | 2005年2月13日 | 2009年2月12日 | 旧新旭町長 |
2代 | 西川喜代治 | 2009年2月13日 | 2013年2月12日 | 元高島市健康福祉部長 |
3代 | 福井正明 | 2013年2月13日 | 在職中 | 元滋賀県病院事業庁長 |
市役所
- 市役所(旧新旭町役場)
- マキノ支所(旧マキノ町役場)
- 今津支所(旧今津町役場)
- 朽木支所(旧朽木村役場)
- 安曇川支所(旧安曇川町役場)
- 高島支所(旧高島町役場)
現在の市役所は暫定的なもので、将来的には県道安曇川今津線に面する今津町今津字南沼に新庁舎を建設するとしている[1]。高島市の条例第1号でも「今津町今津448番地20」が「本市の事務所の位置」として明記されている。しかし、2013年1月の市長選で新庁舎建設凍結を公約の一つに掲げる福井正明が当選し、現庁舎を増改築する方針に転じた。これに対して旧今津町では「合併協定書を守る市民の会」が結成されるなど、方針転換への反発が起こっている。[2]
住所表記
- 合併後の旧各町村の住所表記は、旧高島町・旧朽木村以外は旧町名を踏襲している。旧高島町に関しては旧町名は省略、旧朽木村に関しては「朽木村○○」から「朽木○○」と変更されている。
公共機関
警察
消防
- 高島市消防本部
- 北部消防署
- 南部消防署
司法
高島簡易裁判所が設置されており、これに対応して高島区検察庁が設置されている。しかし、高島区検察庁には検察官は常駐しておらず、大津地方検察庁及び大津区検察庁の検事が事務取扱の発令を受けて、大津において事件を処理している。また、大津家庭裁判所の出張所が設置されている。以上のほか、平成21年末には高島法律事務所が開設され、弁護士3名が業務を行っている。
- 大津家庭裁判所高島出張所
- 高島簡易裁判所
その他
- 滋賀県高島合同庁舎
- 法務省
- 高島区検察庁
- 大津地方法務局高島出張所
- 財務省国税庁
- 厚生労働省
- 大津公共職業安定所高島出張所(ハローワーク高島)
- 防衛省
- 自衛隊滋賀地方協力本部高島地域事務所
- 陸上自衛隊今津駐屯地
- 航空自衛隊饗庭野分屯基地
経済
地場産業
農業
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水産業
漁業協同組合
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漁港
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主要企業
- 高島織物工業協同組合
- 滋賀県撚糸工業組合
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商業施設
観光業
- ウエストレイクホテル
- 今津サンブリッジホテル
- 奥琵琶湖マキノプリンスホテル
金融機関
姉妹都市・友好都市
- テンプレート:Flagicon 北海道虻田郡ニセコ町:1978年(昭和53年)に旧マキノ町が姉妹都市提携。
- テンプレート:Flagicon 大阪府守口市:1981年(昭和56年)に旧安曇川町が友好都市提携。
- テンプレート:Flagicon 愛媛県大洲市:1999年(平成11年)に旧安曇川町が友好都市提携。
- テンプレート:Flagicon ペトスキー市(アメリカ ミシガン州):1976年(昭和51年)に旧マキノ町が姉妹都市提携。
地域
医療・福祉
主な医療機関
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福祉機関
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- 高島市地域包括支援センター
- 精神障害者地域生活支援センター藤の樹
- 湖西障害者生活支援センターほろん
- 湖西地域働き・暮らし応援センター
- 湖西地域障害者生活支援センターわになろう
- 高島市教育支援センターすまいる
教育
小学校
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各校ホームページは[1]を参照。
中学校
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各校ホームページは[2]を参照。
高等学校
その他
- 滋賀県立新旭養護学校
郵便局
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市民活動
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交通
鉄道路線
市の中心駅は湖西線の代表駅でもある近江今津駅であるが、市役所への最寄り駅は新旭駅である。
バス路線
- 江若交通(朽木地区、安曇川地区)
- 西日本JRバス(今津地区)
- 湖国バス(今津地区、マキノ地区)
- 京都バス(朽木地区)
- 高島市コミュニティバス(市運営) 大人220円 子供110円(例外区間有り)
道路
- 一般国道
- 主な県道
- 道の駅
船舶
- 今津港
- 竹生島行き、竹生島から長浜港、彦根港、飯浦港行きに接続
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
自然
- 沖の白石
- 萩の浜(日本の渚百選)
- 八ッ淵の滝(日本の滝百選)
- 畑の棚田(日本の棚田百選)
- メタセコイア並木 (日本街路樹百景)
- 海津大崎(日本さくら名所100選)
- 生杉のブナ原生林
- 今津浜
- 今津のザゼンソウ群落(滋賀県緑地環境保全地域:国内南限のざぜん草群生地)
- 高島トレイル - 高島市内の中央分水嶺を縦走するトレッキングルート
- マキノ高原
神社・仏閣・教会
神社
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寺院
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教会
史跡
遺跡(古代)
- 鴨遺跡 - 平安時代前期の遺跡。木簡5点が出土した。
- 森浜遺跡 - 古代琴が出土した。
- 針江浜遺跡
- 堀川遺跡
- 熊野本遺跡 - 高地性集落の貴重な遺跡
- 日置前遺跡
- 北仰西海道遺跡 - 約100基の土器棺墓
遺跡(中近世)
古墳
城址
- 清水山城 - 高島氏の祖高島高信の築いた高島氏歴代の居城。国の史跡。JR新旭駅2km西方
- 朽木城 - 高島氏の支族である朽木氏の築いた陣屋。旧朽木村
- 永田城 - 旧高島町
- 横山城 - 旧高島町
- 田中城 - 高島氏の支族である田中氏の築いた城。旧安曇川町
- 舟木城 - 旧安曇川町
- 五番領城 - 旧安曇川町
- 吉武城 - 吉武壱岐守の居城。旧新旭町
- 新庄城 - 清水山城の中核的な出城。旧新旭町
- 大溝陣屋 - 大溝藩分部氏2万石の城址公園、城門、石垣が残る。
温泉
- くつき温泉
- 白谷温泉
- 宝船温泉
スポーツ
その他
- 新旭町針江区の「生水の郷委員会」「平成の水百選」
- 琵琶湖周航の歌資料館
- 今津ヴォーリズ資料館
- 日本基督教団今津教会会堂
- 旧今津郵便局
- ガリバー青少年旅行村
- 在原の町並み
名産物
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出身有名人
- 田中吉政 - 戦国大名、高島氏庶流田中氏、安曇川町田中出身
- 朽木元綱 - 戦国大名、高島氏庶流朽木氏、朽木出身
- 中江藤樹 - 江戸時代の陽明学者、安曇川町青柳出身
- 浅見絅斎 - 江戸時代の儒学者、新旭町太田出身
- 藤本太郎兵衛 - 江戸時代の事業家、親子三代をかけて琵琶湖の治水工事を行う、新旭町深溝出身
- 小野善助 - 江戸時代から明治時代にかけての豪商「小野組」の始祖、高島町勝野出身
- 木村理助 - 江戸末期の商人。盛岡井筒屋支配人。古河市兵衛の伯父。新旭町五十川出身
- 川島宇一郎 - 明治期の政治家(衆議院議員)、安曇川町長尾出身
- 中田長茂 - 明治期の政治家(衆議院議員)、高島町大溝出身
- 安原仁兵衛 - 大正期の政治家(衆議院議員)・実業家、安曇川町西万木出身
- 饗庭昌威 - 郷土史家・宗教家、新旭町霜降出身
- 清水安三 - 宗教家・教育者。桜美林学園を設立した。新旭町北畑出身
- 山下元利 - 政治家(元防衛庁長官・衆議院議員)、マキノ町山中出身
- 河本嘉久蔵 - 政治家(元国土庁長官・参議院議員)、安曇川町出身
- 宮前鳳州 - 宗教家。元駒澤大学理事長。新旭町饗庭出身
- 中村美重 - 教育者。第18回東レ理科教育賞受賞。新旭町饗庭出身
- 馬場章夫 - タレント、高島町出身
- 河本英典 - 政治家(参議院議員)、安曇川町出身
- 松本修 - 朝日放送製作局局長、マキノ町海津出身
- 世界のナベアツ - ジャリズム、安曇川町出身
- 渡辺仁 - 構成作家、放送作家、安曇川町出身
その他
百貨店「高島屋」の屋号は、創業者飯田新七の義父が現在の高島市にあたる近江国高島郡の出身であったことにちなんだものである。
脚注
関連項目
- 条里制
- 琵琶湖若狭湾快速鉄道(若狭リゾートライン)
- ひらがな・カタカナ地名#消滅したひらがな・カタカナ市町村名一覧 - 旧マキノ町
外部リンク
テンプレート:Navbox- ↑ 合併協議会だより第9号 - 高島地域合併協議会。2003年7月。
- ↑ 2014年2月9日付読売新聞大阪本社版朝刊滋賀面