農業
テンプレート:農業 テンプレート:ウィキプロジェクトリンク 農業(のうぎょう)とは、耕地等において植物(農作物)を栽培・収穫したり(農耕)、動物(家畜)を飼育し乳製品や皮革、肉、卵を得て(畜産)、人が生きていくうえで必要な食料、繊維、副産物などを生産する人間の根幹産業である[1]。人類の文明発達の鍵であり、動物の家畜化による畜産と植物(農産物)を生産者が消費する以上に生産することで人口の増大と社会の階層化を促した。農業を研究する学問分野を農学と呼ぶ。一部のアリやシロアリにも農耕を行うものがある[2][3]。
農業には単に耕作だけでなく、広い土地を耕作に適した農地にすること(開墾)や水路を作るなどの灌漑といった様々な専門的技法が含まれる。農業の基本は、依然として農地での農作物の栽培と牧草地での牧畜である。20世紀末以降、既存の農業への懸念から、持続可能な農業への関心が高まっている。品種改良、農薬や化学肥料などの技術革新によって収穫量は急激に増加したが、環境への悪影響や人間の人体への悪影響が起きている[4]。畜産においても品種改良や集約型の養豚・養鶏によって食肉生産高が劇的に増加したが、動物虐待や抗生物質や成長ホルモンなどの化学物質を投与することの人体への影響が懸念されている[5]。
主な農作物は大まかに、食品、繊維、燃料、各種原材料に分けられる。21世紀になって、植物の農作物がバイオ燃料、バイオ医薬品、バイオプラスチック[6]、薬剤(生薬)などの原料に使われることが多くなっている[7]。食品としては、穀物、野菜、果実、食肉などがある。繊維としては、木綿、ウール、麻、絹、アマがある。原材料としては、ゴムや竹、動物獣皮、革がある。農作物を原料とする他の素材としては、天然樹脂もある。バイオ燃料にはバイオマスから作られるメタン、エタノール、バイオディーゼル燃料などがある。切り花や花壇苗など各種装飾物もある。
2007年現在、全労働人口の3分の1が農業を中心とする第一次産業に従事している。世界全体では第三次産業に従事する人口が一次産業を凌駕している[8]。従事する労働者は多いものの、農業の生産高は世界総生産(国内総生産の総和)の5%に満たない。
目次
概要
農業は、伝統的な分類では林業・漁業と同じ第一次産業に分類される。農業・林業・水産業・畜産業などに関わる研究は、農学という学問の一分野を成している。農業を職業としている人は農家や農民と呼ばれる。農作物栽培の場合、基本的に自然を対象にするため、日照や気温、降水量などの気象状態に左右されやすく、また需給関係や投資の影響による市場での価格変動もあり、収入面の安定に欠ける面がある。
また、畜産では、市場での価格変動以外にも、飼育する家畜に対する水や飼料の給餌や運動など、早朝から深夜までの世話が毎日必要となり、休日が取り難く、従事者の肉体的・精神的な負担が大きい問題のほか、家畜の糞尿による悪臭や環境汚染などの問題を有する。
日本では、政府の主導で価格や流通管理がされているコメの栽培が多いが、コメの消費量低下と供給過剰による減反政策もあり、野菜など他の作物への転作や、離農が多くなっている。近年、日本においては農業には多面的機能があるとされ、国土保全、景観維持などのほか、アグリツーリズム(グリーンツーリズム)や地産地消の運動も行われている。総称して農業の多面的機能と呼ばれる。
トマス・ロバート・マルサスは、地球は人口増加を支えきれないと予言したが、緑の革命などのテクノロジーが食糧需要増に応えることを可能にした[9]。
多くの政府が適正な食品供給を保証するために農業に補助金や助成金を与えてきた。そういった農業補助金は、コムギ、トウモロコシ、米、ダイズ、乳といった特定の食品に対して与えられることが多い。先進国がそのような補助金制度を実施する場合、保護貿易と呼ばれ、非効率で環境に対しても悪影響があると評されることが多い[10]。
近年、集約農業の環境への悪影響(外部性)、特に水質汚染に対する反発から、有機農業を推進する動きが生まれた。例えば欧州連合は1991年に有機農産物の認証を始め、2005年には共通農業政策 (CAP) 改訂[11]で生産量と補助金を段階的に切り離すいわゆる「デカップリング方式」の導入を決めた。
2007年後半、いくつかの要因が重なって穀物の価格が急騰し(コムギは58%上昇、ダイズは32%上昇、トウモロコシは11%上昇)、穀物を飼料としている畜産物の価格も押し上げた[12][13]。世界中のいくつかの国で暴動まで発生した[14][15][16]。高騰の要因は、オーストラリアなどでの干ばつ、中国やインドなどの成長が著しい中流階級の食肉需要増、穀物をバイオ燃料生産に転換し始めたこと、いくつかの国が貿易を制限したことなどである。
近年、Ug99株のコムギに小麦さび病 (en) という伝染病がアフリカやアジアで広まっており、懸念が強まっている[17][18][19]。また、全世界の農地の約40%で土壌の荒廃が深刻な問題となっている[20]。国際連合大学のガーナに本拠地のあるアフリカ天然資源研究所は、アフリカでこのまま土壌の荒廃が進めば、2025年にはアフリカの人口の25%にしか食糧が行き渡らなくなる可能性があるとしている[21]。
農業の種類
農業をどのように種類分けするかは論者によって異なっており、それにより、実際にある地域の農業をどれに分類するかも変化する。また、ある地域の一つの農業が複数の要素を持つものとして捉えられることもある。以下では代表的な農業の種類を挙げる。
- 商業的農業
- 自給的農業
- 集団的農業(協同農業)
歴史
灌漑、輪作、肥料、農薬といった農業にまつわる事柄の起源は古いが、20世紀に大きく進歩した。農業は世界の歴史においても重要な位置を占めており、農業の進歩は世界的な社会経済的変動の重要な要因となってきた。農耕社会では、狩猟採集社会ではほとんど見られなかった分業が行われるようになり、職業の分化が一般化していった。叙事詩的な文学や記念碑的建築などの芸術、成文化した法律制度なども農耕社会あってのものである。農民が家族の食べるぶん以上に食糧を生産できるようになると、社会の他の人々は食糧確保以外のことに専念できるようになった。歴史学者や人類学者らは農業の発展が文明を可能にしたと主張している。
古代
レバント(歴史的シリア周辺、肥沃な三日月地帯の西半分)で最初の農業が始まったとも言われる。シリアのテル・アブ・フレイラ遺跡(11050BP, 紀元前9050年頃)では最古級の農耕の跡(ライムギ)が発見されている。他にもエジプトやインドで、それまで野生に生えていた植物の種を植えて収穫したことを示す遺跡が見つかっている。また、中国(黄河流域、長江流域)、アフリカのサヘル、ニューギニア島、南北アメリカの各所でそれぞれ独自に農業が始まった[22]。最初期の農業ではまずエンマーコムギとヒトツブコムギが作物として栽培され、続いてオオムギ、エンドウ、レンズマメ、bitter vetch、ヒヨコマメ、アマが栽培された。
エジプトで小規模な農耕が始まったのは紀元前7000年ごろである。インド亜大陸でも紀元前7000年ごろにコムギやオオムギを栽培していたことが、バルチスタン地方(現在のパキスタン)のメヘルガルの考古発掘で明らかになっている。紀元前6000年ごろまでに、ナイル川河岸で中規模農業が確立。この段階では灌漑技術は十分確立したとは言えない。同じころ、東アジアで米の栽培が始まっている。中国やインドネシアの農民はさらに、サトイモ、リョクトウやダイズやアズキといった豆類を栽培するようになる。これらは基本的に炭水化物源であり、それを補うタンパク源として魚を大量に確保すべく漁網が発達することになった。こういった農業と漁業の進歩により、それまでとは比べものにならない速度で人口が増加し始めた(今もそれが続いている)。
紀元前5000年ごろまでに、シュメール特にペルシア湾のデルタ地帯からチグリス川とユーフラテス川の合流点を結ぶシャットゥルアラブ川沿いで大規模な耕作、単一種の栽培、計画的灌漑、農業専門の労働力といった農耕技法が生まれた。野生のオーロックスを家畜化してウシとし、同じくムフロンを家畜化してヒツジとした。それによって食肉や羊毛を大規模に確保するとともに、荷車を牽かせて使役した。また、羊飼いが定住牧畜民または遊牧民として農民の仲間入りをするようになった。
アメリカ大陸では紀元前5200年ごろ、トウモロコシ、キャッサバ、クズウコンが農作物として栽培されるようになった[23]。アメリカ大陸発祥の農作物としては他にジャガイモ、トマト、トウガラシ属、いくつかの豆類、タバコなどがある。南アメリカではアンデス山脈沿いの険しい斜面に段々畑が発達した。メソアメリカでは6000年以上前に野生のテオシントに人間が手を加えて現代のトウモロコシの原種を作った。それが徐々に北アメリカに広まっていき、ヨーロッパの人々が新大陸に到達したころにはアメリカ先住民の主食になっていた[24]。メソアメリカ原産の作物としては他に数百種類のカボチャ類や豆類がある。カカオを作物としたのもメソアメリカである。食用に供される鳥であるシチメンチョウ属もメキシコからアメリカ南西部で家畜化された。南アメリカのアンデス山脈地域が発祥の重要な作物としてジャガイモがあり、5000年前ごろのこととされている。南アメリカでは様々な豆類も作物とされたが、リャマ、アルパカ、モルモットといった動物も家畜化された。アンデス地域発祥の作物としてはコカもあり、今も主要作物として栽培されている。
アメリカ合衆国東部の先住民も様々な植物を作物化した。ヒマワリ、タバコ[25]、カボチャ類、ケノポジ類などがあり、既に栽培されていない作物としてmarshelderやミナトムギクサもあった[26][27]。他にもマコモ(ワイルドライス)やサトウカエデなどは作物化には至らなかったが、採種栽培されたと見られている。イチゴの最も一般的な種であるオランダイチゴの元となった種はアメリカ北東部で作物化されたものである[28]。
紀元前3500年ごろ、"ard" と呼ばれる原始的なプラウが開発された。プラウが生まれる前は、単純な棒や鍬で耕していた。これらの農器具は耕地の養分が枯渇するほど継続的に同じ土地で農耕を行うとき、土を掘り返して養分を含む深い部分の土を表面に出すのに必要だった。メキシコでの発掘で、小さい農地で継続的に農耕を行い、生活していたことがわかっている。中欧ヨーロッパでも同様の農法が行われていた。その場合、プラウは棒よりもより効率的だった[29]。
古代ギリシアや古代ローマの農業はシュメールの農耕技法を元にしたものだが、いくつか根本的な改良も施した。ギリシャ南部は土地がやせていて、文明を開花させるのに苦労した。ローマ人は農作物を交易用に栽培したという点が特筆される。
中世
中世になると、北アフリカ、中東、ヨーロッパの農民は水理学や流体静力学の原理に基づいた灌漑技法(水車、揚水装置、ダム、ため池)などの農耕技術を使うようになっていった。それに加えて3年周期の輪作が考案され、モールドボード・プラウの発明もあって、農業の効率が大きく向上した。
中世ヨーロッパにおいては、農業は「7つの機械技術 (seven mechanical arts)」の1つに数えられた(他は、機織り、鍛冶、戦争、航海、狩猟、医療)。
農業に関する書籍、特に近代的農学が成立する以前の農業技術・農民生活についての著作物は農書と呼ばれ、各地域において残されており、かつての農業につき知ることが出来る。
近現代
1492年以降、世界的な農作物品種や家畜品種の交換が始まった(コロンブス交換)。新世界(南北アメリカ)から旧世界(ヨーロッパ)にもたらされた主要な作物として、トマト、トウモロコシ、ジャガイモ、キャッサバ、ココア、タバコがある。逆に新世界に持ち込まれた農作物として、コムギ、香辛料、コーヒー、サトウキビなどがある。新世界に持ち込まれた最も重要な家畜としてはウマとイヌがある(イヌはコロンブス以前からアメリカ大陸に生息していたが、数が少なく、農作業の補助に適した種類ではなかった)。食用の家畜ではないが、ウマ(およびロバやポニー)とイヌはすぐさま南北アメリカの農業で生産的役割を果たすようになった。
ジャガイモは北欧で重要な主要農作物となった[30]。トウモロコシとキャッサバは16世紀にポルトガル人が持ち込み[31]、主にアフリカで主要農作物となった[32]。
19世紀初めまでに農耕技法、農機具、栽培品種の改良が進み、中世に比べると格段に単位面積あたりの収穫量が増加した。20世紀を迎えるまでの農耕の発展の歴史の中でも、チャールズ・ダーウィンとグレゴール・ヨハン・メンデルが品種改良の科学的基礎を築いたことは最も重要な出来事である。それによって過去150年間の爆発的な農業生産量の増大がもたらされた[33]。
19世紀末から20世紀初頭の機械化(特にトラクター)の急激な進展により、農作業はかつてない速度と規模で実施可能となった。そういった進歩により、アメリカ合衆国、アルゼンチン、イスラエル、ドイツなどの国々でほぼ限界と思えるほど高密度に高品質な作物を栽培できるようになった。
ハーバー・ボッシュ法を使って肥料を合成できるようになり、それまで限界とされていた収量を超えた収穫が可能となった。20世紀の農業は生産性が向上し、化学肥料と農薬で手間を省いたが、水質汚染を招き、先進国では補助金がつきものとなった。従来の農業の環境への外部性効果への反発から、近年では有機農業を推進する動きが生じている。
米、トウモロコシ、小麦といった穀物は食糧供給の60%を占めている[34]。1700年から1980年の間に世界の全耕作地は46%増加し、品種改良、化学肥料、農薬、灌漑、機械化によって生産高はそれ以上に増加した[34]。例えばコロラド州東部のトウモロコシの生産高は、1940年から1997年の間に灌漑設備が整備されたことで400%から500%も増加した[34]。
しかし、そのような集約農業について持続可能性の面で懸念が生じている。インドなどのアジアでは集約農業によって土壌の質が低下し、人口増加によって食糧需要が今後も増大する中で、化学肥料や農薬の環境への影響も懸念されている。集約農業では単一品種を栽培することが多いが(モノカルチャー)、それによって病気や害虫も発生しやすくなり、農薬に頼らざるをえなくなる。数十年前から提唱されている総合的病害虫管理 (IPM) を行った成功例はあるものの、IPMは知識集約型であり、農業政策的には農薬の使用を推進した方が簡単だという現実がある[34]。
緑の革命でアジアでの米生産高が劇的に増大したが、過去15年から20年間は生産高があまり増加していない[35]。小麦については遺伝子上の「収穫量」を増大させることに成功しているが、米については1966年以降そのような品種改良が行われておらず、トウモロコシの場合は35年間で若干改良された程度である[35]。除草剤が開発されると、10年から20年でその除草剤に抵抗力のある雑草が出現し、害虫の場合は10年以内に農薬に抵抗力のあるものが出現する[35]。輪作はそのような抵抗力のあるものが出現するのを遅らせる効果もある[35]。
19世紀末以降、世界中から新たな品種を探し、新たな農法を探す調査が行われてきた。例えば Frank N. Meyer は1916年から1918年まで中国と日本を訪れ、果実や木の実の新品種採集を行った[36]。1929年から1931年にかけて、アメリカの調査団が中国、朝鮮、日本を訪れ、大豆の品種を持ち帰っている[37]。
国際通貨基金によれば、2009年現在、農業生産高では中国が世界一であり、それに欧州連合、インド、アメリカ合衆国が続いている。経済学者らが農業の全要素生産性 (TFP) を測定したところ、アメリカ合衆国の農業の生産性は1948年時点の2.6倍だという[38]。
アメリカ合衆国、カナダ、フランス、オーストラリア、タイの6カ国で穀物輸出量の90%を占めている[39]。中でもアメリカは穀物貿易の約半分を占めている[39]。アルジェリア、イラン、エジプト、メキシコといった国々では水不足によって穀物の輸入に頼らざるをえなくなっている[40]。中国やインドでも同様のことが起きるのではないかと懸念されている[41]。
耕作システム
耕作システムは利用可能な資源や制約条件(地形や気候、政府の政策、経済的・社会的・政治的な圧力、農家の経営方針や慣習)によって変化する[42][43]。
焼畑農業は毎年のように森林を燃やして、解放された栄養素を耕作に利用するシステムで、その後は多年生作物を数年間栽培する[44]。その区画はその後休閑地とされて森林に自然に戻り、10年から20年後に再度焼いて利用する。休閑期間は人口密度が増加すると短くなるため、肥料を導入したり、病害虫管理が必要となってくる。
次の段階は休閑期を設けない耕作システムであり、栄養管理と病害虫管理がさらに必要となる。その後さらに工業化が進展すると、単一作物の大規模栽培システムが登場する。特定の栽培品種だけを作付けすると、生物多様性が低下し、必要な栄養素も均一化し、病害虫も発生しやすくなる。そのため、農薬や化学肥料にさらに頼ることになる[43]。多毛作は1年間に複数種類の作物を次々と栽培するシステムで、間作は複数種類の作物を同時に栽培するシステムである。他にも混作という類似のシステムもある[44]。
熱帯では、これら全ての耕作システムが実際に行われている。亜熱帯や砂漠気候では、農作物の栽培は降雨の時期(雨期)に限定されて1年間に何度も栽培することができないか、さもなくば灌漑を必要とする。それらの環境では多年生作物(コーヒー、チョコレート)が栽培され、アグロフォレストリーのような耕作システムも行われている。温帯では草原やプレーリーが多く、年1回だけ収穫する生産性の高い耕作システムが支配的である[44]。
20世紀は集約農業、農業における集中と分業が進んだ時代であり、農業化学の新技術(化学肥料、農薬)、農業機械、品種改良(交雑や遺伝子組み換え作物)がそれを支えた。ここ数十年間、社会経済学的な公正さと資源保全の考え方や耕作システムにおける環境の考え方と結びついた持続可能な農業への動きもある[45][46]。この動きから従来の農業とは異なる様々な農業の形態が生まれた。例えば、有機農業、近郊農業、community supported agriculture(地域で支える農業)、エコ農業、integrated farming などがあり、全体として農業の多様化に向かう傾向が明らかとなってきている。
生産物
農業による生産物(農産物)として、コメやコムギ、オオムギ、トウモロコシなどの穀物、野菜や果物、花卉(かき)などの園芸作物、工芸作物、牛や馬、豚、鶏などの畜産物、綿や麻、絹などの繊維類などが挙げられる。
農業は生物を栽培、飼育等するものであり、特定の部位のみを作るというわけにはいかない。そのためある農産物を得ようとする場合、主な生産目的とされるもののほかに副次的な生産物が得られる場合も多く、その効率的な利用や、場合によっては廃棄が求められる。例えば稲作では、稲の種子であるコメの他、稲の茎が藁として俵や草鞋、紙など各種の製品の原料として利用されてきたし、酪農や養鶏などの畜産業では牛乳や肉、卵を得るほか、その皮や羽が衣服などとして、牛糞や鶏糞が肥料として利用されるなどその例は数多く、多岐にわたる。
農作物の重要な種類としては、穀物、擬穀、豆類、飼料作物、果実、野菜がある。それぞれの作物に生育に適した地域がある。国際連合食糧農業機関 (FAO) による作物の種類毎の生産量の推定を次に挙げる。
農作物の種類別生産量 (単位百万トン)2004年 | |
---|---|
穀物 | 2,263 |
野菜とウリ類 | 866 |
根と塊茎 | 715 |
乳 | 619 |
果実 | 503 |
食肉 | 259 |
植物油 | 133 |
魚類(2001年推定量) | 130 |
鶏卵 | 63 |
豆 | 60 |
植物繊維 | 30 |
出典: 国際連合食糧農業機関 (FAO)[47] |
農作物の作物別生産量 (単位百万トン)2004年 | |
---|---|
サトウキビ | 1,324 |
トウモロコシ | 721 |
コムギ | 627 |
米 | 605 |
ジャガイモ | 328 |
テンサイ | 249 |
ダイズ | 204 |
アブラヤシの実 | 162 |
オオムギ | 154 |
トマト | 120 |
出典: 国際連合食糧農業機関 (FAO)[47] |
畜産システム
ウマ、ラバ、ウシ、ラクダ、リャマ、アルパカ、イヌといった動物は、農地の耕作や作物の収穫、他の家畜の番、収穫物の運搬などに使役されてきた。畜産は、食肉や他の家畜由来の製品(乳、鶏卵、ウールなど)を得るためだけに動物を飼育することを指すわけではなく、使役するために動物を飼育することも含む。畜産システムには、まず飼料を供給する草原に基づくもの、混合型システム、土地を持たないシステムなどがある[48]。
草原に基づく畜産は、反芻動物の飼料を供給する低木林地、放牧地、牧草地のような草地に依存している。家畜の厩肥を肥料として直接草地に撒いたとしても、外部から肥料を導入することもある。畜産は気候や土壌のせいで農作物の栽培が現実的でない地域では特に重要であり、世界には3000万から4000万人の牧畜民がいる[44]。混合型システムでは、飼料作物や穀物を生産して反芻動物や単胃動物(主にニワトリとブタ)の飼料とする。厩肥は農作物の肥料として再利用される。農地の約68%は飼料作物栽培地として畜産向けに使われている[49]。
土地を持たないシステムでは、飼料は農場外から供給する。つまり飼料作物の生産と家畜の飼育を別々に行うもので、特に経済協力開発機構 (OECD) 加盟国によく見られる。アメリカでは生産した穀物の70%が飼料として消費される[44]。飼料作物の生産には化学肥料が多用されており、厩肥をどうするかが問題となっている。
農法
農法には次のような要素がある。
- 耕作
- 耕作とは、土壌を耕して作物を植えたり、肥料を土に混合したり、害虫駆除をする作業である。不耕起栽培のようにほとんど土地を耕さない農法もある。耕すことで土壌が暖まり、肥料を含ませ、雑草を除去することで生産性が改善される場合もあるが、表土が侵食されやすくなり、有機物の分解が促進されてCO2が放出され、土中の生物多様性が低下する原因にもなる[50][51]。
- 病害虫管理
- 雑草、昆虫、病気などを防ぐことを病害虫管理と呼ぶ。化学的駆除(農薬)、生物的防除、機械的駆除(耕作)、農耕慣習などがある。農耕慣習としては、輪作、間引き、被覆作物、間作、堆肥化、作物の抵抗力を高めるなどの技法がある。総合的病害虫管理ではこれらの技法を駆使して害虫が経済的損失を及ぼさない程度に抑えることを目標とし、農薬の使用は最後の手段としている[52]。
- 栄養管理(施肥)
- 栄養管理は、農作物と畜産物の生産において入力とする栄養素を管理するもので、家畜の生み出す厩肥の利用法を含む。与える栄養としては、肥料、厩肥、緑肥、堆肥、ミネラルなどがある[53]。輪作や休閑期をもうけるといった慣習も栄養管理としての一面がある[54][55]。厩肥は集中管理によるローテーション放牧 (en) のように牧草地に家畜を放牧することで利用したり、固形または液状の厩肥を耕作地や牧草地に撒くことで利用する。
- 用水管理
- 降水量が不十分な地域や降水量の変動が激しい地域では用水管理が必須であり、世界のほとんどの地域が多少なりとも用水管理を必要とする[44]。地域によっては降水量を補うために灌漑を行っている。アメリカやカナダのグレートプレーンズでは、休閑期をもうけることで土壌に水分を蓄えさせる地域もある[56]。世界の淡水利用の70%は農業用水である[57]。
個別の農法
加工・流通・マーケティング
アメリカ合衆国では家計における食費に占める農業のコストの割合が低下し、食品加工、流通、マーケティングのコストが増大している。これは農業の生産性が向上しただけでなく、高付加価値の食品が増えていることを意味する。1960年から1980年まで、食費に占める農業コストは40%前後だったが、1990年には30%、1998年には22.2%に低下している。寡占化も進んでおり、1995年には食品企業上位20社の製品が全体の半分を占めるようになっており、1954年に比べると倍増している。流通面でも寡占化が進んでおり、アメリカのスーパーマーケット上位6チェーンが食品販売に占める割合は、1992年には32%だったものが2000年には50%になった。寡占化はある意味で効率向上にもなっているが、農村にとっては悪影響があるかもしれない[58]。
品種改良とバイオテクノロジー
人類は文明の始まった数千年前から品種改良を行ってきた。人間によってよりよい特徴を持つ作物になるよう植物の遺伝構造を変更してきた。例えば、果実や種がより大きくなるようにしたり、干ばつへの耐性を持たせたり、害虫に強くしたりといった改良である。グレゴール・ヨハン・メンデル以降、品種改良技術が著しく進歩した。遺伝形質についてのメンデルの業績により、遺伝について理解が深まり、それによって品種改良の技法が発展したのである。望ましい特徴を持つ植物を選択し、自家受粉および他家受粉を駆使し、最終的には遺伝子組み換えを行うようになった[59]。
植物の品種改良により、徐々に収穫量が増えていき、病害や干ばつへの耐性が改善され、収穫が容易になり、作物の味と栄養価が高まった。慎重な選択と育種によって農作物の特徴は大きく変化していった。例えば1920年代から1930年代にかけて、ニュージーランドで選別と育種によって牧草やクローバーが改良された。1950年代にはX線や紫外線を使って突然変異率を高める原始的な遺伝子工学が生まれ、小麦、トウモロコシ、大麦などの品種改良が行われた[60][61]。
緑の革命では従来からの交雑技法を使うことが一般化し、生産性の高い品種を栽培することで収穫量が何倍にも高まった。例えば、アメリカでのトウモロコシの収穫量は1900年ごろには1ヘクタール当たり2.5トンだったが、2001年ごろには1ヘクタール当たり9.4トンになっている。同様に小麦の収穫量の世界平均は、1900年ごろには1ヘクタール当たり1トンだったものが、1990年には1ヘクタール当たり2.5トンになっている。南アメリカでの平均小麦収穫量は1ヘクタール当たり2トン、アフリカでは1トン以下だが、エジプトやアラビアの灌漑を行っている地域では3.5トンから4トンの収穫がある。これに対して技術の進んでいるフランスでは1ヘクタール当たり8トン以上の収穫がある。収穫量の地域差は主に気候、品種、耕作技法(肥料、害虫駆除、倒伏防止など)の差が原因である[62][63]。
遺伝子工学
テンプレート:Main 遺伝子組み換え作物 (GMO) は遺伝子工学の技法を使って遺伝子に修正を加えた作物(植物)である。遺伝子工学によって新品種の生殖系列を生み出すのに使える遺伝子の幅が広がった。1960年代初めに機械式トマト収穫機が開発されると、農学者は機械による収穫により適した遺伝子組み換えを施したトマトを作り出した。最近では遺伝子組み換え技術は様々な作物の新品種開発に使われている。
除草剤に耐性のある遺伝子組み換え作物
Roundup Ready と呼ばれる種は、グリホサート剤にさらされても影響を受けないよう除草剤に抵抗力のある遺伝子を持っている。ラウンドアップはグリホサート剤をベースとした非選択的にあらゆる雑草を殺す除草剤の商品名である。つまり Roundup Ready 種を使えば、グリホサート剤を散布しても作物だけは影響を受けず、あらゆる雑草を殺すことができる。除草剤に耐性のある作物は世界中で栽培されている。アメリカの大豆は作付面積の92%が除草剤に耐性のある品種(遺伝子組み換え作物)になっている[64]。
除草剤に耐性のある作物が多く栽培されるようになると、当然ながらグリホサート剤ベースの除草剤が散布されることが多くなる。中にはグリホサート剤に耐性のある雑草も出てきたため、別の除草剤への切り替えを余儀なくされた地域もある[65][66]。広範囲なグリホサート剤の使用が収穫量や作物の栄養価に与える影響、さらには経済や健康に与える影響について研究が行われている[67]。
害虫に強い遺伝子組み換え作物
害虫に強い遺伝子組み換え作物も開発されており、昆虫に作用する毒素を産出する土中バクテリアであるバチルス・チューリンゲンシスの遺伝子を組み込んでいる。そのような作物は昆虫に食い荒らされない。例えば、Starlink というトウモロコシがある。また、綿花でも同様の品種が作られており、アメリカでは綿花の63%がそういった品種になっている[64]。
遺伝子組み換えを行わなくとも、従来からの品種改良、特に野生種との交雑または他家受粉によって害虫に強い品種を作ることができるという者もいる。野生種は様々な耐性の源泉となることもある。野生種との交雑によって19の病害に耐性のあるトマトの栽培品種を作った例もある[68]。
遺伝子組み換え作物のコストと利点
遺伝子工学者はいずれ、灌漑や排水や保全などを気にしなくても栽培できる作物を生み出すかもしれない。そのような作物は大規模な灌漑に依存する不毛な地域で重要になるだろう。しかし、遺伝子組み換えには批判も多い。食の安全と環境という2つの面から遺伝子組み換え作物について問題提起されている。例えば、作物の次世代の種が発芽しないようにした「ターミネーター種」は環境学者や経済学者によって疑問を呈されている[69][70]。ターミネーター種には国際的に反対の声が強く、今のところ実際の作物には適用されていない[71]。
別の問題として、遺伝子組み換え技術で開発された新たな種の特許をどうやって保護するかという問題がある。開発企業がそのような種の知的財産権を所有し、その種を使って栽培した作物について条件を設定する権利を有している。現在10の種苗会社が世界的な種の販売の3分の2を制御している[72]。環境活動家ヴァンダナ・シヴァは、それら企業が生命について特許を取得し、それによって利益を得ようとしており、生物学的窃盗罪(バイオパイラシー)を犯していると主張する[73]。特許で保護された種を使っている農家は、翌年のための種を収穫から得られるとしても、毎年新たな種を購入しなければならない。収穫から翌年の種を得ることは普通に行われてきた習慣だが、特許侵害に問われないようにするためには、その習慣を変える必要がある[65][73]。
限られた地域に適応した種(土着種)は、品種改良された作物や遺伝子組み換え作物によって絶滅の危機にさらされている。そのような種は長い年月をかけてその地域の気候、土壌、その他の環境条件、田畑の設計、現地の民族の好みに適応してきたという意味で重要である[74]。遺伝子組み換え作物や交雑種を持ち込むと、土着種との交雑が起きる危険性がある。つまり遺伝子組み換え作物は土着種の持続可能性やその地域の文化に対する脅威となりうる。交雑によって土着種が遺伝子組み換え作物の形質を獲得したら、その種は特許を保持している企業の設定する条件の対象となりうる[75]。
食の安全、表示と規制
食の安全や食品表示の問題は、食品の安全性に関わる問題である。国際的にはバイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書によって遺伝子組み換え作物の貿易が規制されている。欧州連合では遺伝子組み換え作物を使った食品には表示が義務付けられているが、アメリカでは必ずしも必須ではない。遺伝子組み換え作物の安全性についてはまだ疑問があるため、遺伝子組み換え作物を使っているかどうかを食品に表示し、一般大衆が選べるようにすることが必須だと考える者もいる[76]。
国際連合食糧農業機関 (FAO) は飢餓の根絶を目標とし、加盟国が平等な立場で集まって食糧政策や農業の規制について話し合い、合意を形成する場を提供している。FAOの家畜生産・衛生部長 Samuel Jutzi によれば、巨大食品企業によるロビー活動が健康と環境の改善にむけた改革を妨害してきたとしている。彼は Compassion in World Farming (CIWF) の年次会合で「現実の真の問題は、強大な力を背景にしたロビイストの影響を受ける政治的プロセスでは解決されない」と述べた。例えば、畜産業界の自主規制案として単位面積あたりの家畜の頭数を制限して土地への長期的ダメージを低減するなどの環境対策が提案されたが、巨大食品企業の圧力によって廃案となった[77]。
環境への影響
農業は農薬、栄養流去、水の過剰使用などの問題により、社会に対して外部費用(公害)を課す。2000年に発表された研究で、イギリスにおける総外部費用の見積もりは1996年の時点で23億4300万ポンドで、1ヘクタールあたり208ポンドとなっている[78]。アメリカ合衆国の2005年時点の耕作に関わる外部費用はおよそ50億ドルから160億ドル(1ヘクタールあたり30ドルから96ドル)と見積もられており、畜産に関わる外部費用は7億1400万ドルと見積もられている[79]。どちらの研究も外部費用の内部化が必要だとしているが、補助金については分析しておらず、補助金も社会に対する農業のコストに影響していることを注記している。どちらの研究も純粋に経済的影響のみを述べている。2000年の研究は農薬汚染の報告を含んでいるが農薬の常用が及ぼす影響については考察しておらず、2004年の研究では1992年の農薬の影響見積もりに依存している。
ノーマン・ボーローグは革命的な農業技術を開発し、何十億もの命を救った重要人物である。彼の開発した品種は開発途上国の穀物生産量を大幅に増大させ、「緑の革命の父」と呼ばれるようになった。
畜産の問題
国連職員でこの問題に関する国連報告の共著者であるヘニング・スタインフェルドは「畜産は今日の環境問題の最も重要な原因の1つだ」と述べている[80]。畜産は農業が使用する総面積の70%を占めており、地球全体の30%の土地を使っている。温室効果ガスの最大の発生源でもあり、CO2 に換算すると全温室効果ガス発生量の18%が畜産に由来する。ちなみに、交通機関・輸送機関が放出するCO2の総計は全体の13.5%である。人間の活動で排出される亜酸化窒素の65%が畜産によるもので(CO2の296倍もの温室効果がある)、メタンの37%が畜産によるものである(CO2の23倍の温室効果がある)。また、アンモニアの64%が畜産によるもので、酸性雨や生態系の酸性化の原因とされている。畜産は森林伐採の主要因とされており、アマゾンで開墾された土地の70%が牧草地になっている(残りは耕作地)[81]。森林伐採や開墾を通して、畜産が生物多様性を低下させているとも言える。
土地開墾と荒廃
土地を開墾して農産や畜産に利用することは、地球の生態系に最も大きな影響を与える人類の活動であり、生物多様性を低下させる最大の原動力となっている。人類がこれまでに開墾した土地の見積もりは39%から50%まで様々である[82]。土地荒廃 (en) は生態系機能と生産性の長期低下を意味し、全世界の24%の土地(ほとんどが農地)で起きていると見積もられている[83]。国際連合食糧農業機関 (FAO) は土地荒廃の主要因は土地管理の問題だとし、15億人が荒廃した土地に頼って生きていると報告している。ここでいう荒廃とは、森林破壊、砂漠化、侵食、ミネラル分の枯渇、土壌の酸性化や塩害などを指す[44]。
富栄養化
富栄養化は水中の生態系が過剰な栄養を持つようになることで、藻類が繁茂し水中の酸素濃度が低下する。そのため魚類が生息できなくなり、生物多様性が失われ、その水も飲用や工業用に適さなくなる。耕作地への過剰な栄養(肥料)投与や家畜に過剰な飼料を与えることが窒素やリンといった栄養素の表面流出や浸出を招く。これらの栄養素は水中生態系の富栄養化を引き起こす主要な非特定汚染源負荷である[84]。
農薬
全世界での農薬の使用量は1950年以降、毎年250万トンずつ増加しているが、農作物の害虫被害はほぼ一定で推移している[85]。1992年、世界保健機関 (WHO) は毎年300万人が農薬中毒を起こし、およそ22万人がそのために亡くなっているとの見積もりを発表した[86]。農薬を使用し続けることでその農薬に耐性のある害虫だけが生き延び、さらに強力な農薬が必要になるというサイクルが生まれている[87]。
飢饉を防ぎつつ環境を守るために農薬を使用した集中的農法を正当化する論理として、Center for Global Food Issues のウェブサイトの冒頭に引用されていた「1エーカーあたりの収穫を増やすことで、より多くの土地を自然のままに残しておける」という考え方もある[88][89]。批評家は環境と食料需要のトレードオフは必ずしも必然的ではないとし[90]、農薬を減らして輪作などのよい農業経営の習慣を根付かせればよいと主張している[87]。
気候変動
農業は気温、降水量や降雨時期、CO2、太陽光、といった要素の変化、あるいはこれらの組み合わせによる気候変動に影響を受ける[44][91]。農業には地球温暖化を防ぐ面もあるし、悪化させる面もある。大気中のCO2増加の一因として、土壌中での有機物の腐敗があり、大気中に放出されるメタンの大部分は水田などの湿った土壌での有機物の分解によるものである[92]。さらに湿った嫌気性土壌では脱窒によって窒素を失い、温室効果ガスの一種である一酸化窒素の形で大気中に放出する[93]。土壌の管理をうまく行えばこれらの温室効果ガス放出を抑え、土壌に大気中のCO2を貯留させることも可能である[92]。
国際経済と農業
経済発展、人口密度、文化など世界の農家はそれぞれ全く異なる条件下で働いている。
アメリカの綿花農家は作付面積1エーカー当たり230ドルの補助金を受け取っているが(2003年時点)、一方でマリ共和国などの開発途上国の農家にはそのような補助金は出ていない[94]。価格が下落してもアメリカの綿花農家は補助金があるので生産量を減らす必要がないが、マリの綿花農家は価格下落の影響をもろに被って破産することもある。
韓国の畜産農家は政府に保護されており、子牛1頭あたり1300USドルの販売価格を見込むことができる。南米のメルコスール加盟国の農場経営者の場合、子牛の販売価格は120から200USドルである(どちらも2008年の値)[95]。前者は土地の不足と高コストを公的な補助金で補っており、後者は土地の広さと低コストによって補助金がないことを補っている。
中華人民共和国では、農家の平均的耕作地は1ヘクタールと言われている[96]。ブラジルやパラグアイなど海外の人間が土地を自由に購入できる国では、1ヘクタールあたり数百USドルで数千ヘクタールの農地や未開発の土地が国際的に販売されている[97][98]。
農業生産額
2011年の世界各国の農業生産高を以下に示す。
順位 | 国 | 生産額(10億米ドル) | GDP割合 (%) | 世界シェア(%) |
---|---|---|---|---|
— | テンプレート:Noflag 世界全体 | 4,249.237 | 6.1% | 100.0% |
1 | テンプレート:Flag | 737.113 | 10.1% | 17.3% |
— | テンプレート:Flag | 316.398 | 1.8% | 7.4% |
2 | テンプレート:Flag | 303.382 | 18.1% | 7.1% |
3 | テンプレート:Flag | 181.128 | 1.2% | 4.3% |
4 | テンプレート:Flag | 144.589 | 5.8% | 3.4% |
5 | テンプレート:Flag | 126.006 | 14.9% | 3.0% |
6 | テンプレート:Flag | 93.179 | 39.0% | 2.2% |
7 | テンプレート:Flag | 82.173 | 1.4% | 1.9% |
8 | テンプレート:Flag | 77.717 | 4.2% | 1.9% |
9 | テンプレート:Flag | 71.584 | 9.2% | 1.7% |
10 | テンプレート:Flag | 59.529 | 4.0% | 1.4% |
11 | テンプレート:Flag | 54.034 | 11.2% | 1.3% |
12 | テンプレート:Flag | 49.286 | 3.3% | 1.2% |
13 | テンプレート:Flag | 47.198 | 1.7% | 1.1% |
14 | テンプレート:Flag | 45.971 | 13.3% | 1.1% |
15 | テンプレート:Flag | 45.037 | 3.9% | 1.1% |
16 | テンプレート:Flag | 44.764 | 10.0% | 1.1% |
17 | テンプレート:Flag | 44.008 | 20.9% | 1.0% |
18 | テンプレート:Flag | 41.776 | 1.9% | 1.0% |
19 | テンプレート:Flag | 33.944 | 14.4% | 0.8% |
20 | テンプレート:Flag | 33.442 | 12.0% | 0.8% |
- | その他の国々 | 1,933.377 | 45.5% |
エネルギーと農業
1940年代以降、主にエネルギーを多用する機械化、肥料、農薬によって農業の生産性は急激に向上した。それらのエネルギー源のほとんどが化石燃料によるものである[99]。1950年から1984年にかけての緑の革命で世界中の農業が大きく変化し、世界人口が倍増する間に穀物生産量は250%も増加した[100]。現代の農業は石油化学製品と機械化に大きく依存しており、石油不足がコストを増大させて農業生産量を減少させ、食料危機を起こすのではないかという懸念が生じるようになった。
先進国3カ国で農業および食料システムが 消費するエネルギーの割合(%) | |||
---|---|---|---|
国 | 年 | 農業 (直接&間接) |
食料 システム |
イギリス[101] | 2005年 | 1.9 | 11 |
アメリカ合衆国[102] | 1996年 | 2.1 | 10 |
アメリカ合衆国[103] | 2002年 | 2.0 | 14 |
スウェーデン[104] | 2000年 | 2.5 | 13 |
現代の機械化された農業は2つの意味で化石燃料に依存している。1つは農場で燃料として直接使用しており、もう1つは農場で使用するものを製造する過程で間接的に使用している。直接消費としては、農業機械の燃料や潤滑油としての使用だけでなく、乾燥機、ポンプ、ヒーター、冷房などにガスや電力を使っている。2002年の時点でアメリカ合衆国の農家が直接消費したエネルギーは約1.2エクサジュールで、アメリカの全エネルギー消費の1%強程度である[105]。
間接消費は主に肥料と農薬の製造に使われた石油と天然ガスであり、2002年には0.6エクサジュールだった[105]。農業機械の製造に使われたエネルギーも間接消費の一種だが、アメリカ合衆国農務省の統計にはそれは含まれていない。合計すると、アメリカでの農業が直接・間接に消費するエネルギーは全体の約2%を占めている。アメリカでの農業の直接・間接のエネルギー消費量は1979年をピークとして、その後30年間は徐々に減少傾向にある[105]。
食料システムと言った場合、農業生産だけでなく、その後の加工、梱包、輸送、販売、消費、廃棄といった食料にまつわる全てが含まれる。アメリカでは食料システム全体のエネルギー消費に対して農業が占める割合は5分の1以下である[102][103]。
石油不足が生じた場合、食料供給に影響が生じる。現代的有機農法を採用している農家は、化学肥料や農薬を使わなくとも高い生産量を維持できると報告している。しかし、石油に基づいた技術で可能になった単作栽培で失われた土壌の栄養素の復元には時間がかかる[106][107][108][109]。
2007年、バイオ燃料用作物の栽培が農家をひきつけ[110]、他の要因(輸送コスト上昇、異常気象、中国やインドでの食料需要増、世界的な人口増加など)[111]も加わってアジア、中欧、アフリカ、メキシコなどで食料供給が逼迫し、世界全体で食品価格が高騰した[112][113]。2007年12月の時点で37カ国で食料危機が発生し、20カ国で何らかの食料価格の統制が行われている。この2007年-2008年の世界食料価格危機で暴動も起きている[14][15][16]。
農業に関連して最も化石燃料を消費しているのは、ハーバー・ボッシュ法で化学肥料を作る際に原料の水素を得るのに天然ガスを使っていることである[114]。天然ガスが使われているのは、水素の原料として今のところ最も安価だからである[115][116]。石油が減少してくれば、天然ガスがその代替として一時的に使われるようになり、需要と供給の関係で天然ガスはさらに高価になる。他の水素の原料が見つからなければハーバー・ボッシュ法による化学肥料の製造は高くつくようになり、化学肥料の入手が困難になることが予想される。そうすると、食品価格が急激に高騰し、世界的な食料危機になる可能性もある。
石油不足の影響の緩和
石油不足対策として有機農業への転換が考えられる。有機農業では、石油化学製品である殺虫剤、除草剤、化学肥料を使わない。現代的有機農法で生産量が減少しないことを実証した農家もある[106][107][108][109]。しかし有機農業は手間がかかるため、労働力の都市から地方へのシフトを必要とする[117]。
農村で廃棄物からバイオ炭や合成燃料を作って燃料として使うという方法も提案されている。合成燃料の場合、その場で作って使用することが可能であるためより効率的であり、新たな有機農業には十分な燃料を供給できる可能性がある[118][119]。
肥料が少なくても生産量が減らない遺伝子組み換え作物の開発も進められている[120]。しかし遺伝子組み換え作物については生態学者や経済学者から疑問が呈されており[121][122]、2008年1月には遺伝子組み換え作物が「環境面でも社会面でも経済面でも失敗だ」とする報告がなされた[123]。
モンサントの失敗例のように遺伝子組み換え作物による持続可能性の研究がある一方で、従来からの品種改良による作物の持続可能性の改良が行われている[124]。さらにアフリカの自給自足農家についてのバイオテクノロジー業界による調査によると、農家の抱える問題への対策のほとんどは遺伝子組み換えとは無関係のものだったとしている[125]。それにも関わらず、アフリカのいくつかの政府は遺伝子組み換え技術への投資が持続可能性を高めるのに必須だとしている[126]。
農業政策
テンプレート:Main 農業政策は農業生産の目標や手法を扱う。政策レベルでの主な農業の目標として次のものがある。
- 生態系の保全
- 経済的安定
- 持続可能性
- 食の品質: 食糧供給がある一定の品質を保つようにする。
- 食の安全: 食糧供給において汚染などがないようにする。
- 食料安全保障: 人口にみあった食料供給を確保する。[127][128]
- 貧困削減
農民の階層区分
脚注・出典
参考文献
- Alvarez, Robert A. (2007). "The March of Empire: Mangos, Avocados, and the Politics of Transfer". Gastronomica, Vol. 7, No. 3, 28-33. Retrieved on November 12, 2008.
- Bolens, L. (1997). "Agriculture" in Selin, Helaine (ed.), Encyclopedia of the history of Science, technology, and Medicine in Non Western Cultures. Kluwer Academic Publishers, Dordrecht/Boston/London, pp. 20–22.
- Collinson, M. (ed.) A History of Farming Systems Research. CABI Publishing, 2000. ISBN 978-0-85199-405-5
- Crosby, Alfred W.: The Columbian Exchange: Biological and Cultural Consequences of 1492. Praeger Publishers, 2003 (30th Anniversary Edition). ISBN 978-0-275-98073-3
- Davis, Donald R.; Riordan, Hugh D. (2004). "Changes in USDA Food Composition Data for 43 Garden Crops, 1950 to 1999". Journal of the American College of Nutrition, Vol. 23, No. 6, 669-682.
- Friedland, William H.; Barton, Amy (1975). "Destalking the Wily Tomato: A Case Study of Social Consequences in California Agricultural Research". Univ. California at Sta. Cruz, Research Monograph 15.
- Mazoyer, Marcel; Roudart, Laurence (2006). A history of world agriculture : from the Neolithic Age to the current crisis. Monthly Review Press, New York. ISBN 978-1-58367-121-4
- Saltini A. Storia delle scienze agrarie, 4 vols, Bologna 1984-89, ISBN 978-88-206-2412-5, ISBN 978-88-206-2413-2, ISBN 978-88-206-2414-9, ISBN 978-88-206-2414-9
- Watson, A.M. (1974). "The Arab agricultural revolution and its diffusion", in The Journal of Economic History, 34.
- Watson, A.M. (1983). Agricultural Innovation in the Early Islamic World, Cambridge University Press.
- Wells, Spencer (2003). The Journey of Man: A Genetic Odyssey. Princeton University Press. ISBN 978-0-691-11532-0
- Wickens, G.M. (1976). "What the West borrowed from the Middle East", in Savory, R.M. (ed.) Introduction to Islamic Civilization. Cambridge University Press.
関連項目
- 日本の農業、朝鮮の農業
- 農地、農場、集団農場
- 水産業、林業
- 畜産業、酪農、牧場
- 転作
- 農学、農学部、農業経済学、農業工学
- 農薬、肥料
- 有機農業、有機農家、生物農薬
- 農業政策、ドーハ開発ラウンド
- 適正農業規範、緑の革命、不耕起栽培
- 農林水産省
- 農業協同組合(農協、JA)
- 農業法人、農業生産法人
- 農業公園
- 家庭菜園
- 自給自足
- 食料自給率
- 遺伝子組み換え作物
- 小正月
- 農家レストラン
- 梅沢昌太郎『ミクロ農業マーケティング』
- 家畜一覧
外部リンク
- 統計情報 農林水産省
- JAグループ統一広報ホームページ
- The National Agricultural Law Center
- Agriculture from UCB Libraries GovPubs
- Agriculture and Rural development 世界銀行
- Gender in agriculture and rural development (FAO) 国際連合食糧農業機関
- Index to the Manuscript Collections Special Collections, National Agricultural Library
- The American Society of Agronomy (ASA)
- International Federation of Agricultural Producers (IFAP)
- NIOSH Agriculture Page - safety laws, tips, and guidelines
- UKAgriculture.com - Advance the education of the public in all aspects of agriculture, the countryside and the rural economy
- Agricultural Products - portal about agro products and agriculture industry.
- Guide to collections containing information on agriculture at the Eisenhower Presidential Library
テンプレート:Link GA
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ European Commission (2003), CAP Reform.
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 14.0 14.1 Watts, Jonathan (December 4, 2007). "Riots and hunger feared as demand for grain sends food costs soaring", The Guardian (London).
- ↑ 15.0 15.1 Mortished, Carl (March 7, 2008)."Already we have riots, hoarding, panic: the sign of things to come?", The Times (London).
- ↑ 16.0 16.1 Borger, Julian (February 26, 2008). "Feed the world? We are fighting a losing battle, UN admits", The Guardian (London).
- ↑ McKie, Robin; Rice, Xan (April 22, 2007). "Millions face famine as crop disease rages", The Observer' (London).
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ Leonard, K.J. Black stem rust biology and threat to wheat growers, USDA ARS
- ↑ Sample, Ian (August 31, 2007). "Global food crisis looms as climate change and population growth strip fertile land", The Guardian (London).
- ↑ "Africa may be able to feed only 25% of its population by 2025", mongabay.com, December 14, 2006.
- ↑ In particular, the history of maize cultivation in southern Mexico dates back 9000 years. New York Times, accessdate=2010-5-4
- ↑ "Farming older than thought", University of Calgary, February 19, 2007.
- ↑ S. Johannessen and C. A. Hastorf (eds.) Corn and Culture in the Prehistoric New World, Westview Press, Boulder, Colorado.
- ↑ Heiser, Carl B., Jr. (1992) On Possible Sources of the Tobacco of Prehistoric Eastern North America. Current Anthropology 33:54-56.
- ↑ Prehistoric Food Production in North America, edited by Richard I. Ford. Museum of Anthropology, University of Michigan, Anthropological Papers 75.
- ↑ Adair, Mary J. (1988) Prehistoric Agriculture in the Central Plains. Publications in Anthropology 16. University of Kansas, Lawrence.
- ↑ Paul E. Minnis (editor) (2003) People and Plants in Ancient Eastern North America. Smithsonian Institution Press, Washington, D.C.
- ↑ The seventy great inventions of the ancient world by Brian M.Fagan
- ↑ "The Impact of the Potato", History Magazine.
- ↑ Super-Sized Cassava Plants May Help Fight Hunger In Africa. The Ohio State University
- ↑ "Maize Streak Virus-Resistant Transgenic Maize: an African solution to an African Problem", scitizen.com, August 7, 2007.
- ↑ Noel Kingsbury (2009) Hybrid. The History and Science of Plant Breeding, University of Chicago Press, Chicago.
- ↑ 34.0 34.1 34.2 34.3 Matson et al. (1997). Agricultural Intensification and Ecosystem Properties. Science.
- ↑ 35.0 35.1 35.2 35.3 テンプレート:Cite journal
- ↑ USDA NAL Special Collections. South China explorations: typescript, July 25, 1916-September 21, 1918
- ↑ USDA NAL Special Collections. Dorsett-Morse Oriental Agricultural Exploration Expedition Collection
- ↑ USDA ERS. Agricultural Productivity in the United States
- ↑ 39.0 39.1 "The Food Bubble Economy". The Institute of Science in Society.
- ↑ "Global Water Shortages May Lead to Food Shortages-Aquifer Depletion", Lester R. Brown テンプレート:リンク切れ
- ↑ "India grows a grain crisis", Asia Times (Hong Kong). July 21, 2006.
- ↑ U.N. Food and Agriculture Organization. Rome. "Analysis of farming systems". Retrieved December 7, 2008.
- ↑ 43.0 43.1 Acquaah, G. 2002. Agricultural Production Systems. pp. 283-317 in "Principles of Crop Production, Theories, Techniques and Technology". Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ.
- ↑ 44.0 44.1 44.2 44.3 44.4 44.5 44.6 44.7 Chrispeels, M.J.; Sadava, D.E. 1994. "Farming Systems: Development, Productivity, and Sustainability". pp. 25-57 in Plants, Genes, and Agriculture. Jones and Bartlett, Boston, MA.
- ↑ Gold, M.V. 1999. USDA National Agriculture Library. Beltsville, MD. "Sustainable Agriculture: Definitions and Terms". Retrieved December 7, 2008.
- ↑ Earles, R.; Williams, P. 2005. ATTRA National Sustainable Agriculture Information Service. Fayetville, AR. "Sustainable Agriculture:An Introduction". Retrieved December 7, 2008.
- ↑ 47.0 47.1 テンプレート:Cite web
- ↑ Sere, C.; Steinfeld, H.; Groeneweld, J. 1995. "Description of Systems in World Livestock Systems - Current status issues and trends". U.N. Food and Agriculture Organization. Rome. Retrieved December 7, 2008.
- ↑ FAO Database, 2003
- ↑ Brady, N.C. and R.R. Weil. 2002. Elements of the Nature and Properties of Soils. Pearson Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ.
- ↑ Acquaah, G. 2002. "Land Preparation and Farm Energy" pp.318-338 in Principles of Crop Production, Theories, Techniques and Technology. Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ.
- ↑ Acquaah, G. 2002. "Pesticide Use in U.S. Crop Production" pp.240-282 in Principles of Crop Production, Theories, Techniques and Technology. Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ.
- ↑ Acquaah, G. 2002. "Soil and Land" pp.165-210 in Principles of Crop Production, Theories, Techniques and Technology. Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ.
- ↑ Chrispeels, M.J.; Sadava, D.E. 1994. "Nutrition from the Soil" pp.187-218 in Plants, Genes, and Agriculture. Jones and Bartlett, Boston, MA.
- ↑ Brady, N.C.; Weil, R.R. 2002. "Practical Nutrient Management" pp.472-515 in Elements of the Nature and Properties of Soils. Pearson Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ.
- ↑ Acquaah, G. 2002. "Plants and Soil Water" pp.211-239 in Principles of Crop Production, Theories, Techniques and Technology. Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ.
- ↑ Pimentel, D.; Berger, D.; Filberto, D.; Newton, M.; et al. 2004. "Water Resources: Agricultural and Environmental Issues". Bioscience 54:909-918.
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ History of Plant Breeding. Retrieved December 8, 2008.
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ 64.0 64.1 Adoption of Genetically Engineered Crops in the US: Extent of Adoption. Retrieved December 8, 2008.
- ↑ 65.0 65.1 Farmers Guide to GMOs. Retrieved December 8, 2008.
- ↑ Report Raises Alarm over 'Super-weeds'. Retrieved December 9, 2008.
- ↑ Ozturk, et al., "Glyphosate inhibition of ferric reductase activity in iron deficient sunflower roots", New Phtologist, 177:899-906, 2008.
- ↑ Kimbrell, A. Faltal Harvest: The Tragedy of Industrial Agriculture, Island Press, Washington, 2002.
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ UN biodiversity meet fails to address key outstanding issues, Third World Network. Retrieved December 9, 2008.
- ↑ Who Owns Nature?. Retrieved December 9, 2008.
- ↑ 73.0 73.1 Shiva, Vandana. Biopiracy, South End Press, Cambridge, MA, 1997.
- ↑ Nabhan, Gary Paul. Enduring Seeds, The University of Arizona Press, Tucson, 1989.
- ↑ Shiva, Vanadana. Stolen Harvest: The Hijacking of the Global Food Supply South End Press, Cambrdge, MA, 2000, pp. 90-93.
- ↑ Shiva, Vandana. Earth Democracy: Justice, Sustainability, and Peace, South End Press, Cambridge, MA, 2005.
- ↑ テンプレート:Cite news, The Guardian (UK), 2010 Sept. 22
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ Steinfeld, H.; Gerber, P.; Wassenaar, T.; Castel, V.; Rosales, M.; de Haan, C. 2006. U.N. Food and Agriculture Organization. Rome. "Livestock's Long Shadow - Environmental issues and options."
- ↑ Vitousek, P.M.; Mooney, H.A.; Lubchenco, J.; Melillo, J.M. 1997. "Human Domination of Earth's Ecosystems". Science 277:494-499.
- ↑ Bai, Z.G., D.L. Dent, L. Olsson, and M.E. Schaepman. 2008. Global assessment of land degradation and improvement 1:identification by remote sensing. Report 2008/01, FAO/ISRIC - Rome/Wageningen. Retrieved on December 5, 2008 from "Land degradation on the rise"
- ↑ Carpenter, S.R., N.F. Caraco, D.L. Correll, R.W. Howarth, A.N. Sharpley, and V.H. Smith. 1998. "Nonpoint Pollution of Surface Waters with Phosphorus and Nitrogen". Ecological Applications 8:559-568.
- ↑ Pimentel, D. T.W. Culliney, and T. Bashore. 1996. "Public health risks associated with pesticides and natural toxins in foods in Radcliffe's IPM World Textbook". Retrieved December 7, 2008.
- ↑ WHO. 1992. Our planet, our health: Report of the WHU commission on health and environment. Geneva: World Health Organization.
- ↑ 87.0 87.1 Chrispeels, M.J. and D.E. Sadava. 1994. "Strategies for Pest Control" pp.355-383 in Plants, Genes, and Agriculture. Jones and Bartlett, Boston, MA.
- ↑ Avery, D.T. 2000. Saving the Planet with Pesticides and Plastic: The Environmental Triumph of High-Yield Farming. Hudson Institute, Indianapolis, IN.
- ↑ Center for Global Food Issues. Churchville, VA. "Center for Global Food Issues.". Retrieved December 7, 2008.
- ↑ Lappe, F.M., J. Collins, and P. Rosset. 1998. "Myth 4: Food vs. Our Environment" pp. 42-57 in World Hunger, Twelve Myths, Grove Press, New York.
- ↑ Fraser, E.: “Crop yield and climate change”, Retrieved on September 14, 2009.
- ↑ 92.0 92.1 Brady, N.C. and R.R. Weil. 2002. "Soil Organic Matter" pp.353-385 in Elements of the Nature and Properties of Soils. Pearson Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ.
- ↑ Brady, N.C. and R.R. Weil. 2002. "Nitrogen and Sulfur Economy of Soils" pp.386-421 in Elements of the Nature and Properties of Soils. Pearson Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ.
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web テンプレート:リンク切れ
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ "World oil supplies are set to run out faster than expected, warn scientists". The Independent. June 14, 2007.
- ↑ The limits of a Green Revolution?
- ↑ Rebecca White (2007). "Carbon governance from a systems perspective: an investigation of food production and consumption in the UK," Oxford University Center for the Environment
- ↑ 102.0 102.1 Martin Heller and Gregory Keoleian (2000). "Life Cycle-Based Sustainability Indicators for Assessment of the U.S. Food System," University of Michigan Center for Sustainable Food Systems.
- ↑ 103.0 103.1 Patrick Canning, Ainsley Charles, Sonya Huang, Karen R. Polenske, and Arnold Waters (2010). "Energy Use in the U.S. Food System," USDA Economic Research Service Report No. ERR-94.
- ↑ Christine Wallgren & Mattias Hojer (2009). "Eating energy—Identifying possibilities for reduced energy use in the future." Energy Policy 37: 5803–5813. doi:10.1016/j.enpol.2009.08.046
- ↑ 105.0 105.1 105.2 Randy Schnepf (2004). "Energy use in Agriculture: Background and Issues," CRS Report for Congress.
- ↑ 106.0 106.1 Realities of organic farming
- ↑ 107.0 107.1 Comparison of Organic and Conventional Corn, Soybean, Alfalfa, Oats, and Rye Crops at the Neely-Kinyon LTAR
- ↑ 108.0 108.1 Organic Farming can Feed The World!
- ↑ 109.0 109.1 Organic Farms Use Less Energy And Water
- ↑ Smith, Kate; Edwards, Rob (March 8, 2008)."2008: The year of global food crisis", The Herald (Glasgow).
- ↑ "The global grain bubble", The Christian Science Monitor (Boston), January 18, 2008.
- ↑ "The cost of food: Facts and figures", BBC News Online (London), October 16, 2008.
- ↑ Walt, Vivienne (February 27, 2008)."The World's Growing Food-Price Crisis", Time (New York).
- ↑ Raw Material Reserves - International Fertilizer Industry Association テンプレート:リンク切れ
- ↑ Integrated Crop Management-Iowa State University January 29, 2001 [1]
- ↑ "The Hydrogen Economy", Physics Today, December 2004.
- ↑ Strochlic, R.; Sierra, L. (2007). Conventional, Mixed, and "Deregistered" Organic Farmers: Entry Barriers and Reasons for Exiting Organic Production in California. California Institute for Rural Studies.
- ↑ "Carbon cycle management with increased photo-synthesis and long-term sinks", (2007) Royal Society of New Zealand. テンプレート:リンク切れ
- ↑ Greene, Nathanael (December 2004). How biofuels can help end America's energy dependence.
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite journal テンプレート:リンク切れ
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ Record rise in wheat price prompts UN official to warn that surge in food prices may trigger social unrest in developing countries
- ↑ Trumbull, Mark (July 24, 2007). "Rising food prices curb aid to global poor", The Christian Science Monitor (Boston).