エンドウ
項目 | 分量(g) |
---|---|
脂肪 | 0.4 |
飽和脂肪酸 | 0.071 |
16:0(パルミチン酸) | 0.064 |
18:0(ステアリン酸) | 0.007 |
一価不飽和脂肪酸 | 0.035 |
18:1(オレイン酸) | 0.035 |
多価不飽和脂肪酸 | 0.187 |
18:2(リノール酸) | 0.152 |
18:3(α-リノレン酸) | 0.035 |
エンドウ(豌豆、学名:Pisum sativum L.)は、マメ科の一・二年草。広く栽培され、食用となっている。一般に、エンドウマメとも。別名にノラマメ、グリンピース(未熟の種子を食用とする場合の呼び方)、サヤエンドウ(莢豌豆・絹莢、未熟の莢を食用とする場合の呼び方)。日本での栽培種には、ウスイエンドウ(うすい豆)[2]、キヌサヤエンドウ、オランダエンドウ、がある。
古代オリエント地方や地中海地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された豆で、原種は近東地方に今日でも野生している P. humile Boiss. et Noö. と推察されている。もともとは麦類の間で雑草として生えてきたこの原種の野生植物を、種実を食用にしたり、根粒菌による土の肥沃化に効果があるなどの利用価値を発見することで、麦類とともに混ぜ植え栽培するようになり、次第に栽培植物として品種改良が進んだと考えられている。この地域では農耕開始期に、カラスノエンドウもエンドウと同時に同様の利用が行われ始めたが、こちらの栽培利用はその後断絶し、今日では雑草とみなされている。また、同じ地域に起源を持つマメ科作物としては、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメが挙げられる。麦作農耕とともにユーラシア各地に広まり、中国に伝わったのは5世紀、日本へは9-10世紀には伝わった。 また、メンデルが実験材料としたことでも知られている。
特徴
さやの硬さにより、硬莢種(こうきょうしゅ) P. s. ssp. arvense テンプレート:Taxonomist と軟莢種(なんきょうしゅ)P. s. ssp.hortense テンプレート:Taxonomist がある。硬莢種はその名のとおり莢(さや)が固く、主として完熟して乾燥した豆を収穫して利用する。花は紅色である。軟莢種は莢が柔らかく、未熟な莢をサヤエンドウとして利用したり、成長を終えて乾燥前の生の豆をグリーンピースとして利用する。花は白いものが多い。スナップエンドウは軟莢種の中でも豆が大きく成長しても莢が柔らかく、豆と莢の両方を野菜として利用できる品種である。
原産地が冬に雨が多い地中海性気候の近東地方であるため、夏の高温期は成長適期ではなく、麦類と同様に基本的には秋まきして翌春収穫する。冬の寒さの厳しい東北北部や北海道では春まきして初夏に収穫する。連作に弱く、一度栽培した土地では数年間栽培が困難となる。また、原産地が土壌にカルシウムなどが多い乾燥地帯であることから想像できるように、酸性土壌にも弱い。
発芽に際しては同じマメ科のダイズのように胚軸が伸張して地上で子葉を双葉として展開するのではなく、上胚軸だけが伸張して地上に本葉だけを展開し、子葉は地中に残る。
食品として
硬莢種は古くから乾燥種実として利用されており、日本ではアオエンドウは煎り豆、煮豆、餡(鶯餡)などに加工され、アカエンドウはみつまめやゆで豆として利用される。ヨーロッパでは煮込んでスープなどとして利用されてきた。
しかし、今日、世界中でもっとも大量に消費されているのは乾燥していない未熟の莢や種実を野菜として利用する軟莢種である。東アジアでは未熟な莢を利用するサヤエンドウとして、インドから西では完熟直前の種実を利用するグリーンピースとして、主に消費されている。両者の性質を兼ね備えたのがスナップエンドウで、グリーンピースと同様に種実が完熟寸前まで大きく成長したものを収穫するが、莢もサヤエンドウと同様にやわらかく、果実全体が食べられる。
2004年には、サッポロビールによりエンドウのタンパクを用いた第三のビールが開発され、新たな食品を生み出す素材として注目を浴びた。
種実以外の利用もあり、若い苗や蔓の先の柔らかい茎葉も野菜として利用される。中国ではこれを豆苗(トウミョウ)と呼ぶ。
メンデルの実験材料として
メンデルは遺伝の研究を行ない、現在はメンデルの法則として知られる法則を発見し、遺伝学の歴史に大きな足跡をのこした。 特に1遺伝子雑種と2遺伝子雑種の研究が有名である。 1遺伝子雑種に研究について
- エンドウの種子には丸型としわ型がある。
- 純系の丸型としわ型を自家受精させたものの種子を調べると全て丸型であった。
- これは丸型の形質がしわ型の形質に対して優性であることを示している。
メンデルはこれを『優性の法則』と呼んだ。
また、
- 生まれてきた丸型の種子を自家受精させると、丸型:しわ型=3:1の比率で種子ができた。
これは体細胞で対になっている対立遺伝子は配偶子形成の減数分裂第一分裂の際、二手にわかれそれぞれ別の配偶子に入ることを示していた。
メンデルはこれを『分離の法則』と呼んだ。
メンデルがエンドウを材料に使った理由は、そのころすでに数人の研究者によって、遺伝実験の材料として使われた事があったためと思われる。エンドウは自家受粉が可能で、このことも遺伝の実験には好都合だったと見られる。
栽培
- 株間
- 矮性 20-30cm
- 高性 30-40cm
- 播種
- 1株3-4粒、のち2本に間引く。
脚注
関連項目
テンプレート:Link GA
- ↑ Basic Report Nutrient data for 11304, Peas, green, raw National Agricultural Library (USDA)
- ↑ 名称は明治時代にアメリカから大阪府羽曳野市碓井地区に導入されたことに由来する。