乳製品
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乳製品とは、動物の乳、とくに牛乳を加工してつくられる製品の総称。乳製品を製造することを製酪または製乳という。
主な乳製品
- ヨーグルト - 乳をそのまま発酵させたもの。
- クリーム - 乳の乳脂肪分を取り出したもの。加工していない乳を(煮沸消毒後)放置すると上部にたまるのがクリーム。
- チーズ - 乳から固形分を取り出し、固めたもの。更に発酵させたものが一般的である。
- バター - クリームから油分を分離させたもの。単にクリームを撹拌することで作られる。保存のために(?)塩分が追加される。
- バターミルク - バター製造時に出来る液体のことである。欧米ではスーパーマーケットで買えるほどメジャーな飲料であるが、日本では省令上乳製品にならないため主にバターミルクパウダーに加工される。
- ギー - バターを更に精製したもの。低温で加熱することにより一部の成分が固まり沈澱するのでそれを取り除いて作られる。普通の食糧油と同じように常温で長期の保存ができる。精製バターとも呼ばれる。バターと違い塩は加えられていない。
- 酒 - 発酵(ヨーグルト同様の乳酸発酵である)させたのみの醸造酒はアルコール度は低く、ヨーグルトのように用いられる。蒸留酒は、通常の酒のように飲まれる。モンゴルの馬乳酒(アイラグ 地域により呼び名は異なる)等がある。中国には「奶醸啤酒」(ナイニャンピージウ)という発泡酒がある。日本では米とともに発酵させた牛乳焼酎が少量製造されている。
- 乳脂 - 主に工業原料としての乳脂肪。石鹸の原料などに使われることがある。
- カゼイン - 主に工業原料としての乳蛋白成分。栄養剤、安定剤、印章の原料などに使われる。
日本の法律に基づく乳および乳製品
食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」では次のように分類される。
- (省令上の)乳
- (省令上の)乳製品
- クリーム
- バター
- バターオイル - バター又はクリームからほとんどすべての乳脂肪以外の成分を除去したもの(乳等省令第2条第15項)
- チーズ
- 濃縮ホエイ
- アイスクリーム類
- アイスクリーム
- アイスミルク
- ラクトアイス
- 濃縮乳
- 脱脂濃縮乳
- 無糖れん乳 - 「エバーミルク」など
- 無糖脱脂れん乳
- 加糖れん乳 - 「コンデンスミルク」など
- 加糖脱脂れん乳
- 全粉乳
- 脱脂粉乳 - 「スキムミルク」など
- クリームパウダー
- ホエイパウダー
- たんぱく質濃縮ホエイパウダー
- バターミルクパウダー
- 加糖粉乳
- 調整粉乳 - 育児用粉ミルクなど
- はつ酵乳 - ヨーグルトなど
- 乳酸菌飲料 -「ヤクルト」など
- 乳飲料 - コーヒー牛乳、カルシウムなどの栄養強化乳など
健康との関連
日本の国立がん研究センターが4万3000人を追跡した大規模調査では、乳製品の摂取が前立腺癌のリスクを上げることを示し、カルシウムや飽和脂肪酸の摂取が前立腺癌のリスクをやや上げることを示した。乳製品を頻繁に摂取する人は最も摂取しない人より1.5~1.6倍前立腺がんのリスクが高いとされている[1]。
乳製品の国際流通
2010年FAO推計による輸出量4,700万トン
- 1位 ニュージーランド 30.4%
- 2位 EU 24.5%
- 3位 米国 9.8%
- 4位 オーストラリア 6.6%
- 5位 ベラルーシ 5.1%
- 6位 アルゼンチン 3.2%
脚注
関連項目
- ↑ 乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんとの関連について―概要― PMID 18398033