コムギ
項目 | 分量 |
---|---|
炭水化物 | 72.2 g |
食物繊維総量 | 10.8 g |
水溶性食物繊維 | 0.7 g |
不溶性食物繊維 | 10.1 g |
コムギ(小麦、英名: Wheat)は、イネ科コムギ属に属する一年草の植物。一般的にはパンコムギ(学名: Triticum aestivum)を指すが、広義にはT. compactum(クラブコムギ、テンプレート:Lang-en-short)や T. durum(デュラムコムギ、テンプレート:Lang-en-short、マカロニコムギ、テンプレート:Lang-en-short)などコムギ属 (学名: Triticum、テンプレート:Lang-en-short) 植物全般を指す。世界三大穀物の一つ。古くから栽培され、世界で最も生産量の多い穀物のひとつである。年間生産量は6億トン近くありトウモロコシの8億トンに並んでいる。
他の三大穀物と同じく基礎食料であり、各国で生産された小麦はまずは国内で消費され、剰余が輸出される。
日本国内において、麦(小麦・大麦・はだか麦)は食糧法により価格統制が存在する。
目次
構造・生態
コムギの実は硬い外皮に覆われ、その中に可食部である胚乳と、胚芽が存在する。この3部分の割合は外皮が13.5%、胚乳が84%、胚芽が2.5%である[2]。主に食用とするのは胚乳部分であり、製粉して小麦粉とするのはこの部分である。果皮や胚芽部分(ふすま)も食用とすることはできるが、食味に劣るうえ小麦粉に混入すると品質が劣化しやすくなるため、一般的な小麦粉に使用することはない。しかし、ふすま部分には独特の風味があるため、これを取り除かずそのまま粉にした全粒粉も存在する。
コムギは本来は越年生の植物であり、秋に種をまいて越年させ、春に発芽し夏に収穫するのが基本形である。これは、発芽のためにある程度の低温期間が継続する必要があるためである。しかし、突然変異によって低温期間を必要としない品種が生まれ、寒さが激しく種が冬を越せない地方や、逆に本来の収穫期に雨季を迎え収穫が困難になる地域において栽培されるようになった。この品種は春に播いて、夏の終わりに収穫するのが一般的である。播く時期から、前者を秋播き小麦、後者を春播き小麦と称する。
秋播きは10月中から11月初頭にかけてが良く、11月下旬から12月に入ってからの霜が降りる時期になると極端に発芽率が悪くなる。秋播きコムギの開花・結実は5月から6月、春播きコムギのそれは7月から8月であるが、この時期に雨が多いとコムギの種子内のグルテンの形成が鈍くなる。
用途
収穫された種子は粉にして小麦粉として使われる。小麦粉はパンやうどん、中華麺、菓子、パスタ、そうめん、クスクスなどの原料となる。粒の硬さにより、生成される小麦粉の種類、用途が異なる。ビールは通常オオムギから作られるものであるが、白ビールはコムギの麦芽を多く使用して作られる。ウイスキーや工業用アルコールの原料にもなる。また、小麦粉からはグルテンを作ることができ、グルテンを加工すると麩を作ることができる。また、グルテンからは代用肉であるグルテンミート(セイタン)も作られ、ベジタリアンやマクロビオティック用、アレルギーや食事制限用の肉代用品として使用されている。
品質が劣るものや製粉の際に出るふすま(麩・麬=コムギの糠)は家畜の飼料となる。ふすまは、セルロースなど不溶性食物繊維を豊富に含むことが着目され、朝食用シリアル等にも用いられるようになった。また、コムギの胚芽には油が含まれ、食用の小麦胚芽油をとることができる。
分類
クロンキスト体系によるコムギ属の分類
生物的分類
コムギ属 Triticum は、1小穂の稔実粒数、染色体数、ゲノム構成によって以下のように分けられる。
- 1粒系(稔実粒数1、2n = 14、ゲノムAA)
- T. aegilopoides
- T. thaoudar
- T. monococcum(1粒コムギ)
- 2粒系(稔実粒数2、2n = 28、ゲノムAABB)
- 普通系(稔実粒数3~5、2n = 42、ゲノムAABBDD)
- チモフェービ系(稔実粒数2、2n = 28、ゲノムAAGG)
- T. timopheevi
その他
小麦は栽培時期等によって以下のように区別される。
- 播種時期 - 春播き小麦、秋播き小麦:コムギは秋播きが本来の作型であるが、低温要求性が小さい品種が作られ、それらが春播き小麦として利用されている。
- 粒の色 - 赤小麦、白小麦
- 粒の硬さ - 硬質小麦、中間質小麦、軟質小麦
歴史
世界
中央アジアのコーカサス地方から西アジアのイラン周辺が原産地と考えられている。1粒系コムギの栽培は1万5千年前頃に始まった。その後1粒系コムギはクサビコムギAegilops speltoidesと交雑し2粒コムギになり、さらに紀元前5500年頃に2粒系コムギは野生種のタルホコムギAe. squarrosaと交雑し、普通コムギT. aestivumが生まれたといわれる。
普通コムギの栽培はメソポタミア地方で始まり、紀元前3000年ごろにはヨーロッパやアフリカに伝えられた。テル・アブ・フレイラなどから採掘された古代の野生種ムギはもともと成熟すると麦穂が風などにより容易に飛び散る性質を持っており、当初のコムギも収穫には非常に手間のかかる作物であったと考えられている。このため、その貴重さと保蔵のしやすさから一種の交換の媒体、通貨として取り扱われていたのではないかと推測されている。シリア地方からヨーロッパなどに広く栽培の範囲が広がるにつれ品種淘汰がなされ、この種子の飛び散りやすさの特性が失われ主食穀物としての座を獲得することになった。栽培植物化の時期はオオムギのほうがやや早く、当初はオオムギのほうが重要な作物であった。これは、オオムギの収量の多さや収穫時期の早さ、粒の大きさなどによる。また、この時期はコムギもオオムギも粥として煮て食べるものであったため、調理方法の差が重要となることはなかった。しかし、製粉技術が進歩し碾き臼が登場すると、グルテンを持ち様々な料理へと加工することが容易なコムギがオオムギに代わって最重要の作物となっていった。
聖書の中にも頻繁に「麦」や「小麦」が登場し、重要な作物であったことがわかる。聖書の中で小麦が最初に登場するのは、最初の書である創世記(30章14節)である。
中国への小麦の伝来も文献などからシルクロードが開かれた紀元前1世紀頃(前漢時代)と考えるのが一般的[3]である。だが、当時の中国における主食であった粟や稲と違って小麦には製粉の必要があり、当時の中国で用いられていた製粉用の碾き臼である碾磑を動かすために大変な労力が必要とされたために、栽培が広まったのは水車を用いた碾磑(水碾)が導入された魏晋時代になって安定した製粉作業が行えるようになって以降の事であり、積極的に小麦の栽培がされるようになったのは胡食の文化が流入した唐に入ってからである。これは、冬作物で粟・稲の端境期に収穫されたことから、早くから栽培がおこなわれていた大麦とは対照的である[4]。
中世にはヨーロッパではすでにコムギが最も重要な作物となっていたが、特に農民や下層の都市住民にはコムギだけで作られたパンはぜいたく品であり、オオムギやエンバク、ライムギといった安価な穀物が食生活の中心となっていた[5]。一方で栽培されるコムギにおいても、パンコムギはエンマーコムギやスペルトコムギよりも優勢であり、より高く評価されていた。パンコムギには易脱穀性があり、難脱穀性のエンマーコムギやスペルトコムギに比べ脱穀の手間が少なかったためである[6]。
大航海時代に入ると、新大陸に移住したヨーロッパ人植民者たちが故郷からコムギを持ち込んで栽培し、新大陸においても基幹食料となっていった。アメリカやカナダ、オーストラリアといった現在のコムギ主要生産国にコムギが持ち込まれたのもこの時期のことである。また、18世紀ごろからヨーロッパでは徐々に市民の生活が向上し、また農法の改善や生産地の拡大によってコムギ生産が拡大するとともにコムギが食生活の中心となっていき、量の面でもライムギにかわってコムギが中心となっていった[7]。
20世紀後半、ノーマン・ボーローグらによる小麦農林10号を親としたコムギの短稈種の研究が進められ、肥料を多量に使用しても丈が高くならず、倒伏の危険なしに大量の収穫が見込める品種が次々と開発された。この研究から緑の革命がおこり、これによって多収量の上安定した収穫が望める新品種が発展途上国を中心に普及し、メキシコなど多くの発展途上国でコムギは大幅な増収となり、生産性も大幅に改善された。
日本
中国経由で伝来されたと考えられている日本でも約2000年前の遺跡から小麦が出土しており、伝わったのはそれから遠くない弥生時代であると考えられている。奈良・平安期には五穀の1つとして重視された(『和名類聚抄』には「古牟岐(コムギ)・末牟岐(マムギ=「真麦」)」の名で伝わる)が、一方で収穫前の大麦・小麦の青草を貴族や有力豪族が農民から買い上げて馬の飼料にすることが行われ、当時の政府がこれを禁止する太政官符が度々発令(751年・808年・819年・839年)されており、稲や粟と比較して食用作物としての認識が十分に広まっていなかったとする見方もある。ただ、これには当時の日本に製粉用の碾き臼がほとんど普及していない、という事情があった。柔らかい胚乳が硬い表皮で覆われた構造の麦粒を食用にするには、全体をひき潰してから小麦粉とふすまに分離する必要がある。碾き臼を持たない庶民は、搗き臼を使っての非効率な製粉作業に甘んじるしかなかった。その手間を嫌い、手早く利益を得る方法として小麦を飼料用に販売したとも考えられる。それ以降もコムギは全国で栽培され続けたが、製粉技術が未発達だったために使用法が限定されていた。それでも鎌倉時代にはいって二毛作がはじまると、稲の裏作作物としてコムギが採用され、室町時代に入ると米に比べてムギの税率が軽かったために裏作でのコムギの栽培量が急速に増加した。
日本では製粉技術が未発達だったゆえ、小麦その他「粉」を使用した食品は、長らくぜいたく品とされた。庶民がうどん、饅頭、ほうとう、すいとんなどの粉食品を気軽に口にできるようになったのは、碾き臼が普及した江戸時代以降である。稲の裏作として麦の生産が盛んに行われるようになり、粒のまま食べるオオムギと粉にして食べるコムギがともに食用として栽培された。都市では小麦粉を使用したうどんや天ぷらといった料理や饅頭などの和菓子の消費が大きくなる一方、自家消費の割合の大きい農村では製粉という手間のかかるコムギは日常ではなかなか口にできるものではなかった。このため、コムギなどの粉食はハレの日の料理として扱われることが多かった。
明治時代に入り、欧米からパンなど様々なコムギ料理が伝わってくるとコムギの消費も増大した。明治時代初期には36万haだった栽培面積は、大正時代には50万ha、最も栽培面積の大きくなった第二次世界大戦中には70万から80万haにのぼるようになった。第二次世界大戦後には学校給食がはじまり、パン主体の給食と食の欧米化、多様化はコムギの消費をさらに拡大させた。一方で、アメリカなどから安いコムギが大量に入ってくるようになったことや二毛作自体の衰退、そして1963年の三八豪雪と夏の多雨により小麦生産が大打撃を受けたことにより、栽培面積は急速に減少して、1963年には栽培面積60万ha、自給率20%前後だったものが、1973年には栽培面積は7.5万haにまで減少し、自給率はわずか4%となった[8]。その後、減反政策によってコムギの生産が奨励され、生産はやや復調傾向にある[9]。2005年には栽培面積は21万ha、自給率は14%となっている[10]。
生産
コムギは、温帯から亜寒帯にかけて栽培されている。比較的乾燥に強く、生産限界は年間降水量500mmである。灌漑設備が整っている場合は、さらに乾燥した地域でも栽培できる。
地域別ではアジア州が4割強、ヨーロッパ州が3割強、北アメリカ州が1割強となる。国際連合食糧農業機関の統計資料 (FAOSTAT)[11] によると、2006年の世界生産量は6億0595万トン。これは米の生産量(6億3461万トン)に匹敵する。トウモロコシ(6億9523万トン、2006年)についで生産量の多い農作物である。上位5位までの生産国、すなわち、中華人民共和国、インド、アメリカ合衆国、ロシア、フランスで総生産量のちょうど5割を生産している。
コムギの反収は、国によって大きな差がある。2006年の10アール当たりの反収は、集約型の農業が行われているイギリスやフランス、ドイツでは700㎏以上に達し、非常に多収となっている。日本では384㎏であり、ヨーロッパ諸国の半分程度である。これは、日本では、本州以南では、水田稲作の裏作として副次的に作付されることが多く、コムギに最適な土壌管理等がなされにくいこと、また、北海道以外では、コムギの登熟期が梅雨にかかってしまい、収穫量や品質に重大な影響をあたえることがしばしばあるためである。一方、コムギの大生産国であるアメリカでは290㎏、オーストラリアでは190㎏と反収は低い[12]。こういった国々では反収の低さを農園の広大さで補い、粗放型の農業がおこなわれている。また、コムギにおいては反収は先進国と発展途上国の間に明確な差はない。エジプトや、1980年代から1990年代にかけてのジンバブエ(ジンバブエ政府の政策により、2000年代には350㎏前後にまで激減した)のように10アール当たりの反収が550㎏から600㎏にものぼり、世界最高水準に達している途上国もある一方で、ロシアの反収は100㎏前後にすぎない[13]。
日本の生産量は、86万300トン(2005年)、うち北海道での生産が全体の65%を占める。世界的に問題となる生育期の降水量に関しては、本州以南も申し分ないが、逆に、本州の多くでは、収穫期に梅雨入りしてしまい、コムギの収量・品質に多大な影響を与えてしまうため、国内では梅雨がない北海道が、栽培に適するためである[14](熟したコムギは水分を得ると発芽する(穂発芽)。穂発芽を起こしたコムギの値段は一気に下がる[14])。 国内の栽培品種についても、梅雨の存在が影を落としている。とりわけ東北南部以南では、水田における裏作として伝統的に栽培されてきた、登熟が早く、収穫期の多湿多雨に比較的強い、うどん等の在来麺類向けの品種が専ら生産され、パン向けは国内生産の半分に満たない。これは、パン向けのコムギは、特に収穫期の高温多湿多雨に弱いため、国内では品質・収量ともに安定的な生産が難しく、農家が敬遠する傾向があるため[14]である。しかし、近年のコムギ国際価格の高騰と、製パン向けの国内産小麦に対する根強い国内需要があることから、パン向けの品種改良や、数少ない国内産のパン用小麦の争奪戦がおこなわれている。
国名 | 順位 | 生産量 | 比率 |
---|---|---|---|
中華人民共和国 | 1 | 1億447万トン | 17.2% |
インド | 2 | 6935万トン | 11.4% |
アメリカ合衆国 | 3 | 5730万トン | 9.5% |
ロシア | 4 | 4501万トン | 7.4% |
フランス | 5 | 3537万トン | 5.8% |
カナダ | 6 | 2728万トン | 4.5% |
ドイツ | 7 | 2243万トン | 3.7% |
パキスタン | 8 | 2128万トン | 3.5% |
トルコ | 9 | 2001万トン | 3.3% |
イギリス | 10 | 1474万トン | 2.4% |
イラン | 11 | 1450万トン | 2.4% |
アルゼンチン | 12 | 1400万トン | 2.3% |
ウクライナ | 13 | 1400万トン | 2.3% |
カザフスタン | 14 | 1350万トン | 2.2% |
オーストラリア | 15 | 982万トン | 1.6% |
貿易
コムギは最も貿易量が多い穀物である。2005年時点の総輸出量は1億2027万トン、総輸入量は1億2018万トン[15]。例えばトウモロコシの総輸出量は8964万トン、米は2503万トンに過ぎない。輸出国はアメリカ合衆国 2749万トン (22.9%)、フランス1602万トン (13.3%)、カナダ 1398万トン (11.6%)、オーストラリア1392万トン (11.6%)、アルゼンチン1042万トン (8.7%) の順であり、この5カ国だけで全輸出量の2/3を占める。輸入国は、スペイン (6.2%)、エジプト、イタリア、アルジェリア、日本、ブラジル、インドネシアの順に多い。この5カ国で全輸入量の35%を占める。日本の輸入量は全輸入量の4.6%。
日本のコムギ輸入相手国は、アメリカ合衆国 (55.9%)、オーストラリア (22.2%)、カナダ (21.2%) であり、その他の国は0.7%に過ぎない。
日本の麦流通
テンプレート:節stub 食糧法第三章により、麦は政府の価格統制が存在する。
政府麦
四十二条により、政府は麦等の輸入を目的とする買入れを行うことができる(政府麦)[16]
日本政府は、商社が輸入した小麦を購入した上で、政府売り渡し価格を製粉会社に提示、引き渡す制度になっている。製粉会社は、マークアップと呼ばれる上乗せ金 16,868円/tを政府に、拠出金 1,530円/tを、農水省OBが中心の組織、製粉振興会に支払うことで、原料を購入する事ができる。売り渡し価格は、年3回(現行年2回)、10%程度の増減幅で見直されているが、上記の情勢や天候に大きく左右されれば国際価格に影響を受ける。
2006年頃から上昇傾向にあった小麦価格は、2007年には主にオーストラリアでの大規模な不作によって小麦価格が高騰、それに伴い政府価格も改定[17]し、パンや焼きそばなど小麦粉を使う製品の値段が上昇した。2008年10月には、売渡価格が20%値上げされる他、2009年には国産買取価格も30%値上げされた。
政府流通外の麦
四十五条により、政府および政府に委託を受けた以外の者が日本に小麦を輸入する際には、輸入関税に加え、国内生産農家保護のため麦等輸入納付金を納付しなければならない[18]。
- 第四十五条三項に基づき輸入
- 45.20円/kg(小麦 メスリン及びライ小麦)
- その他の輸入
品種等
日本における農林水産省が認定する「農林認定品種」は、2010年までに170種を超える[19]。日本に輸入される外国産の小麦は、複数品種をブレンドした銘柄で取引される。作付面積は農林水産省調べ[20]で、産年による。
品種名・銘柄名 | 農林番号 | 旧系統名 | 誕生年、開発者など | 元になった品種(♀×♂) | 特 徴 | リンク |
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農林61号 | 小麦農林61号 | 西海75号 | 1944年 佐賀県農業試験場 | 福岡小麦18号 × 新中長 | 短稈で、穂数が多く、倒れにくく多収、萎縮病、縞萎縮病、黄銹病の抵抗性が強く、赤かび病の被害が少ないことから、日本の水田裏作栽培で最も多く栽培されている品種である。記録の残る1959年以降、1980年までおよび1984年より1987年まで日本での作付面積が第1位で、最大約22.4万ヘクタール(1962年)栽培された。現在でも関東以西の地域では基幹品種である。 | AgriKnowledge |
ホロシリコムギ | 小麦農林114号 | 北見23号 | 1974年 北海道立北見農業試験場 | 北系8 × 北海240号 | 1981年より1983年まで日本での作付面積が第1位で、最大約8.7万ヘクタール(1981年)栽培された。現在も北海道において秋まき小麦として栽培されている。 | AgriKnowledge |
チホクコムギ | 小麦農林126号 | 北見42号 | 1981年 北海道立北見農業試験場 | (北見18号 × 北見19号)F1 ×北系320 | 1988年より1996年まで日本での作付面積が第1位で、最大約8.6万ヘクタール(1992年)栽培された。かつての北海道の基幹品種で、うどん用品質が良かったが、耐病性等が劣った。 | AgriKnowledge |
ホクシン | 小麦農林142号 | 北見66号 | 1995年 北海道立北見農業試験場 | 北見35号 × 北見42号 | 「チホクコムギ」の後継として開発され、1997年より2010年まで日本での作付面積が第1位で、最大約10.5万ヘクタール(2006年)栽培された。「チホクコムギ」に比べてやや早生で耐病性等が優る。北海道において秋まき小麦として栽培されている。 | AgriKnowledge |
きたほなみ | 小麦農林168号 | 北見81号 | 2006年 北海道立北見農業試験場 | 北見72号 × 北系1660 | 「ホクシン」の後継として開発され、2011年より日本での作付面積が第1位の小麦品種である。「ホクシン」に比べて穂発芽性や品質が優る。北海道において秋まき小麦として栽培されている。 | AgriKnowledge |
小麦農林10号 | 小麦農林10号 | 東北34号 | 1935年 岩手県農業試験場 | ターキーレッド × フルツ達磨 | 短稈(半矮性)、直立するため間作に便利で、耐寒耐雪性が強い。 緑の革命の原動力として世界的なコムギの生産性向上に大きく貢献した。 | AgriKnowledge |
農林26号 | 小麦農林26号 | 近畿10号 | 1937年 奈良県農業試験場 | 新中長 × 埼玉小麦29号 | かつての岐阜県、奈良県、香川県等の基幹品種で、関東から九州まで広く作付けられ、最大約4.9万ヘクタール(1961年)栽培された。 | AgriKnowledge |
農林50号 | 小麦農林50号 | 北関東28号 | 1942年 群馬県農業試験場 | 小麦農林9号 × 新中長 | 関東を中心に最大2.1万ヘクタール(1959年)栽培された。 | AgriKnowledge |
農林52号 | 小麦農林52号 | 中国33号 | 1943年 岡山県農業試験場 | 新中長 × 江島神力 | かつての岡山県、徳島県の基幹品種で最大約1.3万ヘクタール(1959年)栽培された。 | AgriKnowledge |
農林53号 | 小麦農林53号 | 東海29号 | 1943年 愛知県農業試験場 | 埼玉小麦29号 × 鴻巣26号 | 主に関東から東海にかけて最大約1.2万ヘクタール(1959年)栽培された。 | AgriKnowledge |
農林64号 | 小麦農林64号 | 北関東34号 | 1944年 群馬県農業試験場 | 小麦農林9号 × 新中長 | 福島県および関東を中心に最大1.4万ヘクタール(1961年)栽培された。 | AgriKnowledge |
アオバコムギ | 小麦農林81号 | 東北79号 | 1951年 東北農業試験場 | 小麦農林7号 × Ardito | 強力銘柄品種であり、かつての宮城県、福島県等の基幹品種で、東北、関東を中心に最大約2.1万ヘクタール(1962年)栽培された。 | AgriKnowledge |
シラサギコムギ | 小麦農林95号 | 中国79号 | 1956年 中国農業試験場 | 新中長 × 近畿35号 | 中国、四国の基幹品種として、最大約2.1万ヘクタール(1963年)栽培された。 | AgriKnowledge |
ムカコムギ | 小麦農林108号 | 北見11号 | 1969年 北海道立北見農業試験場 | (Kanred × ナンブコムギ)F1 × 北成9号 | 小麦急増期の北海道の基幹品種として、最大1.6万ヘクタール(1975年)栽培された。 | AgriKnowledge |
タクネコムギ | 小麦農林115号 | 北見30号 | 1974年 北海道立北見農業試験場 | 東北118号×北系221 | 北海道で最大約1.2万ヘクタール(1982年)栽培された。成熟すると穂が赤色になることから赤麦とも呼ばれる。主に醤油醸造に用いられる。 | AgriKnowledge |
シロガネコムギ | 小麦農林117号 | 西海120号 | 1974年 九州農業試験場 | シラサギコムギ × 西海104号 | 兵庫県、佐賀県等の基幹品種で、関東から九州にかけて最大約2.9万ヘクタール(1988年)栽培された。 | AgriKnowledge |
セトコムギ | 小麦農林120号 | 西海134号 | 1976年 九州農業試験場 | 西海113号 × 農林26号 | かつての大分県等の基幹品種で、中国、四国、九州で最大約1.0万ヘクタール(1987年)栽培された。 | AgriKnowledge |
アサカゼコムギ | 小麦農林123号 | 西海144号 | 1978年 九州農業試験場 | 西海115号(後のヒヨクコムギ) × 西海120号 | 中国、九州を中心に最大約1.2万ヘクタール(1987年)栽培された。 | AgriKnowledge |
ニシカゼコムギ | 小麦農林129号 | 西海154号 | 1984年 九州農業試験場 | 西海120号 × ウシオコムギ | かつての福岡県等の基幹品種で、九州を中心に最大約1.6万ヘクタール(1989年)栽培された。 | AgriKnowledge |
シラネコムギ | 小麦農林131号 | 東山17号 | 1986年 長野県 | 北陸49号 × 東海80号 | 秋播き型の早生品種で、耐寒性に優れ主に長野県、宮城県で栽培されている。 | AgriKnowledge |
チクゴイズミ | 小麦農林141号 | 西海171号 | 1996年(独)農業・食品産業技術総合研究機構 | 関東107 号 × アサカゼコムギ | 九州沖縄農業研究センター(筑後市)が育成した、西日本を中心に多く栽培されている品種である。「農林61号」など従来の品種に比べアミロース含量が低い「低アミロース品種」で、柔らかくモチモチとした食感が特徴である。 | AgriKnowledge |
きたもえ | 小麦農林149号 | 北見72号 | 2001年 北海道立北見農業試験場 | 59045(後のホクシン)×北系1354 | 縞萎縮病抵抗性やや強、耐雪性やや強、耐倒伏性強で、北海道において秋まき小麦として栽培されている。 | AgriKnowledge |
ミナミノカオリ | 小麦農林160号 | 西海186号 | 2006年(独)農業・食品産業技術総合研究機構 | Pampa INTA × 西海167号 | 暖地向けに改良された、蛋白質に富みパンや醤油に向く品種である。 | AgriKnowledge |
もち姫 | 小麦農林糯166号 | 2006年(独)農業・食品産業技術総合研究機構 | もち盛系C-D1478 × (もち盛系C-G1517 × 盛系B-8605)F1 | 実用性が改良されたもち小麦(低アミロース)品種である。 | AgriKnowledge | |
さぬきの夢2000 | 香育7号 | 2000年 香川県農業試験場 | 西海173号(後のニシホナミ) × 中国142号 | 讃岐うどん用として開発された製麺用の品種で、半数体育種法で作出された。讃岐うどんのなめらかさ、粘り、かたさ(噛みごたえ)に最適化するため、「チクゴイズミ」ほど低アミロースにはしていない。 | 登録品種データベース | |
春よ恋 | HW1号 | 2001年 ホクレン農業協同組合連合会 | ハルユタカ × Stoa | 北海道で栽培されているパン用の春播き品種で、日本で初めて葯(やく)培養により育成された小麦品種である。 | 登録品種データベース | |
オーストラリア産スタンダードホワイト (ASW) | オーストラリア | オーストラリアの製麺用小麦銘柄で、日本へ輸出するために数種類をブレンドして、安定した高品質を確保している。背丈が長く倒れ易い、赤かび病に弱い。 | ||||
デュラム | パスタで用いられている、グルテン(蛋白質)の多い種 (T. durum)で、日本での栽培は難しく、ほとんどが輸入物である。超硬質で黄色いのが特徴であり、通常、セモリナ粉(粗挽き粉)として用いられる。 | |||||
プライムハード (PH) | オーストラリア | 強力粉用銘柄でパンや中華めん等の原料として用いられる。 | ||||
ウエスタンホワイト (WW) | アメリカ | 通称「ダブダブ」。薄力粉用銘柄で、菓子やケーキ用として用いられる。クラブコムギ (T. compactum) を含む。 | ||||
ダークノーザンスプリング (DNS) | アメリカ | 強力粉用銘柄で、パンの原料として用いられる。 | ||||
カナダウエスタンレッドスプリング (CWRS) | カナダ | 強力粉用銘柄で、パンや中華めん等の原料として用いられる。 |
脚注
関連項目
外部リンク
- コムギ - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- コムギの話 KOMUGI NETWORK(日本のコムギの遺伝・育種の研究者が構築したデータベース)
- 新形質低アミロース小麦の 加工適性と用途開発(財)北海道科学技術総合振興センター
- ↑ 五訂増補日本食品標準成分表
- ↑ 「コムギの食文化を知る事典」p26 岡田哲 東京堂出版 平成13年7月15日初版発行
- ↑ 篠田統『中国食物史』柴田書店、1976年、P54-56
- ↑ 古賀登『両税法成立史の研究』雄山閣、2012年、P198
- ↑ 『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』 南直人 講談社選書メチエ 1998年2月10日第1刷 p54
- ↑ 「中世ヨーロッパ 食の生活史」pp57-58 ブリュノ・ロリウー著 吉田春美訳 原書房 2003年10月4日第1刷
- ↑ 「商業史」p123 石坂昭雄、壽永欣三郎、諸田實、山下幸夫著 有斐閣 1980年11月20日初版第1刷
- ↑ 「コムギが日本に来た道」pp113-115 加藤鎌司/「麦の自然史 人と自然が育んだムギ農耕」内所収 佐藤洋一郎・加藤鎌司編著 北海道大学出版会 2010年3月31日第1刷
- ↑ 「新訂 食用作物」p145 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版
- ↑ 「コムギが日本に来た道」p115 加藤鎌司/「麦の自然史 人と自然が育んだムギ農耕」内所収 佐藤洋一郎・加藤鎌司編著 北海道大学出版会 2010年3月31日第1刷
- ↑ FAOSTAT [1]
- ↑ http://www.s.affrc.go.jp/docs/report/report22/no22_p6.htm 農林水産技術会議/売れる麦に向けた新技術、6ページ目 2012年12月18日閲覧
- ↑ 「図説アフリカ経済」(平野克己著、日本評論社、2002年)pp46-48
- ↑ 14.0 14.1 14.2 宮嶋康彦「大規模農家の豊かさに隠れた開拓者精神と努力 「たった一晩」で数百万円の損害が出る繊細な作物との格闘」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年7月31日付配信
- ↑ 総輸出量と総輸入量が等しくならないのは、輸送に要する時間が原因である。
- ↑ 総務省法令データ提供システム - 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律。
- ↑ [2]
- ↑ 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の施行に関する件 農林水産省告示第四百五十七号
- ↑ 農林認定品種データベース
- ↑ 農林水産省図書館 - 麦の品種別作付面積