アズキ
項目 | 分量 |
---|---|
炭水化物 | 58.7 g |
食物繊維総量 | 17.8 g |
水溶性食物繊維 | 1.2 g |
不溶性食物繊維 | 16.6 g |
アズキ(小豆、荅、テンプレート:Snamei)は、マメ科ササゲ属の一年草。
原産地は東アジア。過去にリョクトウ (テンプレート:Snamei) の変種やインゲンマメ属 (テンプレート:Snamei) の一種と分類されたことがあり、インド原産と誤解されているが、祖先野生種のヤブツルアズキ (テンプレート:Snamei (Willd.) var. テンプレート:Snamei) は日本からヒマラヤの照葉樹林帯に分布し、栽培種のアズキは極東のヤブツルアズキと同じ遺伝的特徴をもつため、東アジア原産とすべきである[2]。日本では古くから親しまれ、縄文遺跡から発掘されているほか、古事記にもその記述がある。
歴史
アズキは中国が原産と考えられているが、前述のようにアズキの祖先と考えられる野生種が日本でも見つかっていることから、東部アジアの各地で独自に栽培が始まった可能性がある[3]。日本ではアズキは滋賀県の粟津湖底遺跡(紀元前4000年頃)[4]や登呂遺跡(弥生時代、紀元1世紀頃)などから出土しており、古代より各地で栽培されていたと考えられる。
ダイズという名前は大陸の漢字の「大豆」由来と考えられるが、アズキには「小豆」と漢字が当てられるが、その読みはショウズであり、アズキは大和言葉(和名)であると考えられる。「アズキ」の名称の由来については、以下の各説がある[5][6]。
- アは赤を意味し、ツキ・ズキが溶けることを意味し、他の豆より調理時間が短いことを意味していた。
- 地方用語でアズ・アヅとは崩れやすいという意味であり、そこから煮崩れしやすいアズキと名付けられた。
- 赤粒木(あかつぶき)からアズキとなった
- 平安時代の「本草和名(ホンゾウワミョウ)」には阿加阿都岐(アカアツキ)と記述されており、後にアズキとなった。
何れにしても文字(漢字)が充てられる前に、すでに和名があった可能性もある。
栽培、品種
テンプレート:節stub 日本における栽培面積の6割以上、生産量の4分の3を北海道が占める[7]。北海道のほか丹波・備中が、日本の三大産地である。 低温に弱く、霜害を受けやすいため、霜の降りなくなった時期に播種される。
国産の品種には以下のようなものがある。 えりも小豆の開発によって、収穫量は大幅に増大した。
- 大納言(大粒種) - 丹波、馬路、備中、美方、あかね、ほくと、とよみ
- 中納言、普通小豆 - えりも、しゅまり、きたのおとめ、さほろ
- 白小豆 - 主な産地は、備中、丹波、北海道。希少で高価。とくに備中白小豆は最高級とされる。
- 黒小豆
利用
アズキは他の豆類同様に高蛋白低脂質であり、無機質やビタミンも多く含む。アズキの約20%はタンパク質で、栄養価が高いほか、赤い品種の皮にはアントシアニンが含まれ、亜鉛などのミネラル分も豊富である。
食用
- 和菓子や中華菓子の重要な原料の一つ。和菓子業界ではしょうずとも呼ぶ。餡(あん)にして、饅頭、最中、どら焼き、あんパンなどの中に入れる。牡丹餅の重要な材料でもあり、節句などの行事でも使用されている。
- 煮てから寒天などを加えて羊羹(ようかん)にする。
- 煮て小豆汁にし、お餅などを入れて汁粉にする。
- 煮た餡状ものに餅を入れぜんざいにしたり、かき氷やハロハロ、パッピンスにかけたり、アイスキャンディーの原料にも使用される。
- 古くは赤米で炊いたご飯が赤飯であったが、現在はもち米に少量の白米とアズキを混ぜて炊いたものが、一部地域を除いて、最も一般的な赤飯となっており、お目出たい行事の際の食事として普及している(ただし、ササゲを用いる場合に比べて小豆を用いる場合には胴割れを起こしやすいという難点がある)。
- 同様に白米と小豆で作った小豆粥もお目出たい行事の際の食事として行われている。
- 味噌や醤油を作るのに大豆の代わりに用いる例もある。
- 地域によってアズキと他のものを一緒に煮た「いとこ煮」「煮ごめ」という郷土料理が伝わっている。
- サポニンによる鎮咳作用やタンパク質、ミネラルの作用を利用した薬膳にも欠かせない素材のひとつである。
- アズキのサポニンには、血糖値を抑制する効果のあるα-グルコシダーゼ阻害作用がある[8](詳細は豆を参照のこと)。
- アズキのフラボノイド類やポリフェノールにはビタミンCや抗酸化剤であるBHAと同程度の抗酸化作用を示した[9]。
- 界面活性作用があるサポニンには、抗菌作用、溶血作用、抗炎症作用、脂質代謝改善作用などが報告されている[10]。
- アズキ煮汁抽出物は、ヒト胃がん細胞にアポトーシスを誘導したが正常細胞には影響を与えなかった[10]。
食用以外の用途
逸話など
- アズキは商品先物取引の対象になっているが、生産が天候に左右されやすく年によって価格が乱高下するほか、投機の対象としても国内外の資金が大量に流入することによる暴騰暴落が古くより幾度も繰り返されてきた歴史があるなど、他品目との比較でもハイリスクハイリターンという一面があり、かつては「素人は小豆と生糸には手を出すな」という言葉もあった。また梶山季之の著書にも小豆市場を題材とした小説『赤いダイヤ』がある。ただ、現状では商品先物取引においてアズキの取引高は他の上場商品と比べて少なくなっており、それも『過去のもの』となっている。ちなみに、商品先物取引においては、小豆は「アズキ」より「ショウズ」という言い方が一般的である。
- 第一次世界大戦戦中戦後、エンドウ、インゲンの産地である中欧方面が戦火で荒廃し代用として、ヨーロッパへ日本から大量に輸出された。砂糖を大量に使った餡としてではなく、専ら、煮込料理やスープの材料とする食文化の違いのため、渋く苦いものという印象をヨーロッパ人に植え付けた。
- 地方によっては小豆洗いという妖怪が民話に登場する。この他、『遠野物語』の記述では、体中にあずきをまとった得体の知れぬもの(未確認生物)が物見山中に現れ、南部藩の侍が鉄砲を撃つも玉が当たらず、逃げられ、この件から「小豆平」という地名になったという由来がある。
- 井村屋製菓では、毎月1日をあずきの日と定めている。