ジンクス
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テンプレート:Notice テンプレート:未検証 ジンクス(英語:jinx)とは、縁起の悪い言い伝え。さまざまなものがあり、生活に密着した教訓・習慣・法則の一つ。科学的根拠に基づかず、経験に基づき唱えられる場合が多いため、前後即因果の誤謬に陥っているものが少なくないが、近世になってから裏付けがとれたものもあり、全てが迷信とは言いきれるわけではない。また、縁起担ぎに関するものでは類感呪術的な発想も多い。
語源は不鮮明だが、ギリシア語のjynx(アリスイ。キツツキの一種)に起因するという説がある。アリスイは、自らの首を180度回転させ真後ろを向けられるため、不吉とされてきた背景があり、しばしば魔法と占いに用いられた。
なお、本来の語義は「縁起が悪い」、「運が悪い」など悪いものであるが、日本においては良い縁起という意味でも使われる。
目次
日本のジンクス
生活
- 三代目が家を潰す。特に商家や同族経営の会社に対して。「売家と 唐様で書く 三代目」という川柳が江戸時代からある[1]。
- 忌み数
- 4は「死」、9は「苦」に通じることから[2]、縁起が悪いとしてホテルや病院の部屋番号や階層、鉄道車両の番号等で使用を避けることがある(「3」も「惨」に通じることから、使用を控えた会社があった)。自動車のナンバープレートでは、末尾「42」と「49」を飛ばして付番されており、車種を示す平仮名も『し』は『死』を、『へ』は『屁』を連想させるため使われていない。また駐車場でも、4と9のつく番号を飛ばしているところは少なくない。しかし、葬儀業者の電話番号は『1142(いい死に)』『4142(良い死に)』『4242(死に死に)』などとしているところが多い。日本プロ野球でもこれらの番号はよく思われないことが多かった。ただ42はメジャー史上最初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンの背番号と同じ番号のため黒人選手にはむしろ好まれる番号でもある。またメジャーリーグ全球団共通の永久欠番であることから、助っ人外国人選手がこの番号を希望することがある。近年では、ほとんどの日本人選手もこの迷信が通用しないため、この番号を希望することもある。キリスト教圏では、イエス・キリストの最後の晩餐に出席した人数が13人であったことから「13」を不吉な番号として、また「666」を悪魔の番号であるとして使用を控えることがある。
- 4つの選択肢の中から1つを選ぼうとすると不幸が起こる。
- シクラメンを見舞いに持って行ってはいけない(49という語呂合わせ)。
- 靴紐が切れると悪い事が起きる(元々は鼻緒だったが、洋装の普及によって靴紐に変化)。
- 「寝付く」と「根付く」の語呂合わせから、病院に鉢植えなどの根が付いた植物を持って行ってはならない。
政治
- 知事経験者は他の都道府県の知事選に出馬しても勝てない - 1947年に知事が公選制となり普通選挙で選出されるようになって以降、複数の都道府県で知事を歴任した人物はいない[3]。
- 政変が起こると(東京に)雪が降る - 逆に「東京で雪が降ると政変が起こる」という表現もある。
- プロ野球で中日ドラゴンズが優勝すると政変が起きる(※後述)
- 選挙の月には宿泊施設の客が減る - ホテル・旅館業界の政治に絡むジンクス[4]
- FIFAワールドカップ直後の国政選挙は与党が敗れる[5]。
経済
天候
(農民、漁民などから生まれたジンクス。観天望気に基づく確率の高いものもある[8])
- 猫が顔を洗うと雨が降る(顔程度では降らないが、耳まで洗うと降るという人もいる)
- 朝焼けは雨の予兆。夕焼けは晴れの予兆(ただし西の晴天は東へ移るという根拠がある)[8]。
- ツバメが低く飛ぶと、雨が降る[8](これも曇天の時は上昇気流が起こらないので、餌になる虫が低空を飛ぶという裏付けがある)。
スポーツ
- 2年目のジンクス -1年目に活躍した選手は2年目に活躍できないというもの。
オリンピック
- オリンピック日本選手団主将は好成績を残せない。北京オリンピックまでの10大会中5大会で柔道から選出されている。石井慧はロンドンオリンピックで主将に指名されることを拒否する発言をしている[9]。
大相撲
- 「弓取式」を務める力士は出世しない。また「初切」(しょっきり)を務める力士は大成できない。
- 「序盤、平幕、初顔合わせ」
- 「平幕優勝に大関なし」
- 「荒れる春場所」「荒れる名古屋」
- 本場所の春(3月)場所と名古屋(7月)場所において、大番狂わせや優勝争いの混戦、平幕優勝などが多いこと。
- 春場所は気温の変化の激しい日が多く、また名古屋場所は気温が高い夏場の開催により、それぞれ体調管理が難しい事から、調子を落とす上位力士が多くなるのが要因とされている。他のスポーツでもいえることだが、相撲取りは体質的に暑さには弱いとされていて、特に猛暑の年の名古屋場所は大きく荒れるとも言われる。
- 土俵入りで「不知火型」を選んだ横綱は短命に終わる。 - 「横綱土俵入り」を参照
- 43の呪い - 大相撲において連勝記録は43で止まるというジンクスがある[10][11]。
野球
- 「投手は点を取った回とその次の回に気をつけろ」 - 味方チームに点が入った回は油断してその回と次のイニングに点が入る、チャンスが出る事が多い。
- ラッキーセブン - 7回の攻撃で得点が入りやすいこと。- これは試合の終盤に入り先発投手の疲れが見え始める為と言われることがある。
- 代わった所に打球が飛ぶ - 交代した直後の選手の所に球が飛ぶ。著名な例では、1996年夏・第78回選手権大会決勝戦の奇跡のバックホームなどが有る。
- スミ1 - 1回の表か裏に1点が入って、その後膠着状態となるような試合展開のこと。1点を追う側にとっては、その1点が結局決勝点になってしまうという意味で、守る側からすると結局その1点しか取れないという意味で、双方から不吉とされる。
- 会心の当たりは野手のいるところに飛ぶ - もともと野球の野手の守備位置は、打球の飛びやすい場所を考慮してつくられたものであるから、とも。
- ピンチの後にチャンスあり(あるいはその逆) - チャンスを得点につなげられなかった失意やプレッシャーが守備のミスを生みやすく、ピンチをファインプレーなどで切り抜けたことが攻撃の勢いにつながるからとも。似たようなものに、「無死満塁は(1アウトを取られると)点が入らない」というものがある。これは、無死で迎えた打者の「無死満塁ならどうやっても(安打や犠飛、最悪でも併殺打)点が入るだろう」という期待、一死を取られた後に打席に立つ打者の「併殺打を打ってしまうとチャンスが潰れてしまう」という圧力、二死満塁の場合は「安打でなければ点が入らない」という状況によるものだと言われている。ただ、後述の分析結果によると錯覚に過ぎないとされている。
- 野球は9回二死から - ツーアウトと追い詰められた後、思いがけない連打や得点機の生まれること。逆転のPL、サヨナラゲーム#最終回二死から9点差を逆転しサヨナラ、第91回選手権大会決勝戦などを参照。
- 三振前の大当たり(三振前の大ファウル) - ホームラン性の大当たり(ポール際へのファウル)を打った後は三振になりやすい。
- 打ち疲れ - 大量得点差で勝った次の試合は大量失点・無得点で負ける。
- 「あと1人」の悲劇 - 先発投手があと1人というところで相手打者に初安打を許し、完全試合やノーヒットノーランが完封止まり(所謂、一安打完封)になり、最悪の場合同点や逆転を許すことや降板させられて完投までも逃すこともある。また、これらの大記録は放送席で過去の達成例が調べられた直後に途切れることも多い。
- この他、「優勝まであと一人(アウト1つ)」としながら最終的に逆転負けを喫した場合も、「『あと1人』の悲劇 」に含まれることがある(1958年の日本シリーズ・1986年のワールドシリーズなど)。
- 『優勝旗は白河の関を越えない』 - 日本の高校野球で言われている、東北地方・北海道勢は優勝できないというジンクス[12]。東北地方・北海道と西日本を比較すると、気温差や積雪の影響で冬場の練習環境に格差があったためと思われるテンプレート:誰2。だが、2004年夏・第86回選手権大会で、南北海道代表の駒大苫小牧高校の優勝によりこのジンクスは打ち破られ、さらには津軽海峡まで一気に飛び越えた[13]。とはいえ、2013年現在東北勢の優勝はいまだなく、そのため東北では『優勝旗は白河の関を越えていない』とされている[14]。
- 『打線は水物』 - 打線は長く好調を維持できず、不安定であるということ。
なお、加藤英明・名古屋大学大学院教授らが2005年プロ野球公式戦データを基にして取った統計によると、「チャンスを逃すとピンチあり」「大量得点をした次の試合は打てない」は錯覚であるという。「人は印象が強いと、本当は頻繁に起きていないことでも確率が高いと思い込みがちだ。通説にも錯覚がかなりあるのではないか」と加藤は話している[15]。
プロ野球
- 優勝のジンクス
- 前述の中日ドラゴンズの優勝ジンクスは、1954年日本一時の造船疑獄による吉田内閣退陣、1974年優勝時の金脈問題による田中内閣退陣、1982年優勝時の鈴木内閣退陣、1988年優勝時のリクルート事件(翌年竹下内閣退陣,昭和天皇崩御)、1999年の(中日が優勝を決めた日に)東海村JCO臨界事故、2004年の新潟県中越地震など古くからささやかれており、メディアで取り上げられるケースも多い[16]。
- 読売ジャイアンツが優勝した年、またはその翌年は景気が悪くなる。
- 阪神タイガースが優勝した年、またはその翌年は景気が良くなる。
- 阪神が優勝した年において、日経平均株価が大きく上昇する年が重なっているというもの[17]。
- 球団にまつわるジンクス
- 阪神タイガースは全国高等学校野球選手権大会の開催中は成績が悪くなる。
- →死のロードを参照。
- マーティ・ブラウン監督(元広島東洋カープ・東北楽天ゴールデンイーグルス監督)が退場すると勝つ[18] が、翌試合は負ける[19]。
- 千葉ロッテマリーンズで選手の応援・記念弁当を作ると、その後故障や成績不振に見舞われる。
- →弁当の呪いを参照。
競馬
- 京都新聞杯が秋に施行されていたころ、日本ダービーを勝ち、かつ京都新聞杯を勝った馬は菊花賞に勝てなかった。1992年のミホノブルボン、1993年のウイニングチケット、1998年のスペシャルウィーク、1999年のアドマイヤベガなどが当てはまる。
- フルゲートが28頭であった時代の日本ダービーでは、8枠の馬は勝てないというジンクスが存在した。
- デビュー戦を小倉競馬場で迎えた馬は日本ダービーを勝てないというジンクスが存在した。2005年に小倉でデビューしたメイショウサムソンが翌2006年の日本ダービーを制し、このジンクスは破れた。
- 南関東公営競馬の的場文男騎手は東京ダービーに過去27回挑戦し、2着が8回あるものの未勝利で、「南関東の七不思議(のひとつ)」と言われている[20]。
- 弥生賞で優勝した馬は皐月賞では勝てない[21][22]。
サッカー
- 前田の呪い - 前田遼一がシーズン初ゴールを決めた相手チームは、必ずJ2陥落となる。デスゴールなどとも呼ばれる。
- サッカー日本代表で背番号1を付けたゴールキーパーはFIFAワールドカップのピッチに立てない[25]。しかし川島永嗣がこのジンクスを破った。
日本以外のジンクス
- 災難
- 黒猫が前を横切ると災厄に見舞われる(一方、イギリスでは黒猫は幸運の象徴とされる)。例としてはメジャーリーグのシカゴ・カブスが1969年9月9日のニューヨーク・メッツ戦でネクストバッターサークルにいた主将のロン・サントの後ろを黒猫が横切り、その試合を落としたのをきっかけとして、その後大失速し、最大8ゲーム差をひっくり返されリーグ優勝を逃したことなどが挙げられる。(The Black Cat)
- 部屋の中で傘を開くと不幸が訪れる。
- 中国や韓国でも、日本同様数字の『4』は『死』を連想させる忌み数として避けられる。中国語(『スー(si)』)、韓国語(『サー(사、sa)』)でも、『四』と『死』の発音が同じためだとされる。
- 麻雀のスーカンツ(四槓子)は、中国では「カンカンフー」と言い換えられている。
- 韓国では病院のほか、マンションでも「4階」が存在しないことが多い。3階のすぐ上が5階であったり、「F階」となっている。
- 「交響曲第9番」を作曲すると死ぬ。→「第九の呪い」
- “XXX0年”の選挙で選出されたアメリカ合衆国の大統領は、暗殺や病死などで任期を全う出来ない→「テカムセの呪い」
- ロシア革命以降の旧ソ連・ロシアの最高権力者は、頭髪の薄い人物と頭髪の多い人物が入れ替わりに就いている。→「つるふさの法則」
- 魔の8月 - ロシアに関連する大事件は8月に発生するということをこう呼ぶ[26]。オスカー型原子力潜水艦の沈没事故(2000年)、2004年ロシア航空機爆破事件、南オセチア紛争におけるグルジア軍の南オセチア侵攻(2008年)など[26]。
- ジミー・カーターと会談した独裁者はそれから間もなくして亡くなる[27]。レオニード・ブレジネフ、朴正煕、金日成らがあたる[27]。
- 世界選手権自転車競技大会で優勝しマイヨ・アルカンシエルを獲得した者は、翌年成績がガタ落ちしたり不幸に見舞われる(マイヨ・アルカンシエル#「アルカンシエルの呪い」)。
- FIFAワールドカップにおいて、以下の国は優勝できない。
- 前年にバロンドールを受賞した選手を擁する国(「バロンドールの呪い」とも)→バロンドール#ジンクスを参照。
- ペレのW杯優勝予想は外れる。またペレが躍進をすると予想した若手は伸び悩む。→ペレ#ペレの呪いを参照。
- マスターズ・トーナメントのパー3コンテストで優勝した選手はマスターズ本戦で優勝できない[28]。
- 影響力のあるミュージシャンは27歳で急逝する。主にブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、カート・コバーンが挙げられ、彼らは27歳クラブ(通称「愚か者のクラブ」)と呼ばれる。2011年にはエイミー・ワインハウスが、やはり27歳で急死した。
- マッデンNFLでパッケージの表紙を飾った選手は大怪我をするかスランプに陥る→マッデンNFL#マッデンの呪いを参照
メジャーリーグベースボール
- ベーブ・ルースを放出したボストン・レッドソックスはワールドシリーズで優勝できない(バンビーノの呪い)。しかし2004年にワールドシリーズを制覇し、ジンクスは破られた。
- シカゴ・カブスはリーグ優勝・ワールドシリーズ出場ができない(ヤギの呪い)。
- シカゴ・ホワイトソックスは2005年にワールドシリーズを制覇するまで、「ブラックソックスの呪い」というジンクスも存在した。
- キャプテンエディーの呪い
- 名選手、名監督にならず[30] - 選手時代に活躍したり著名になった者が、指導者としても優れているとは限らない。
- リーグチャンピオンシップシリーズを4連勝で突破すると、ワールドシリーズでは勝てない。
- リーグチャンピオンシップシリーズが4戦先取制になった1985年以降、4連勝で突破した6チーム(2012年現在)のうちワールドシリーズを制覇したのは1995年のアトランタ・ブレーブスのみである[31]。
- アメリカ合衆国大統領選挙の年のワールドシリーズで、アメリカンリーグ所属チームが勝てば共和党が、ナショナルリーグ所属チームが勝てば民主党が勝利する確率が高い[32]。