双日
テンプレート:Infobox 双日株式会社(そうじつ、英称:Sojitz Corporation)は、日本の総合商社である。
目次
概要
社名は、母体がニチメン(日綿實業)、日商岩井という、ともに「日」を頭文字とする商社2社であったことに由来する(詳細は沿革を参照)。三菱東京UFJ銀行(旧三和銀行→旧UFJ銀行)を主力取引銀行とするため、UFJグループに属する。但し、前身企業の日商岩井は三和グループと第一勧銀グループに重複加盟していた。現在、大輪会にも所属していて、りそな銀行とも親密である。
かつては十大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事、日商岩井、トーメン、兼松、ニチメン、安宅産業)の一角を占めた。 ロゴマークは、双日の双を模している。
スローガンは「New Way , New Value」。
ビジネス概要
機械部門
アジア・北米における交通プロジェクト、世界各国での自動車の組み立て・販売事業(スズキ・三菱・スバル・ヒュンダイ・いすゞ等)などを行っている。また、半世紀以上にわたりボーイング社と一体となって民間航空機の販売活動に携わっており、その国内シェアは85%以上に達している。それだけではなく、現在、ベトナム、メキシコ、スリランカを始め世界各地で発電事業会社に参入しており、2010年に入ってからも、サウジアラビア「リヤドPP11」(1,720MW)、オマーン「バルカ3」(744MW)、同「ソハール2」(744MW)の大型案件3件を連続受注した。40年以上にわたり汎用性の高い中・小型ばら積み船を中心とした船舶保有事業も続けている。 2012年10月にはガーナにおいてサブサハラ初の海水淡水化案件にも参画、アフリカインフラ案件の先駆者でもある。
エネルギー・金属部門
石炭事業においては、日本向け輸入取扱シェアトップであるロシア炭やインドネシア炭を中心とした国内向け販売量の拡大を行う一方、2007年に中国に設立した石炭販売会社を通じての中国向け販売およびその他第三国向けの開拓にも注力している。投資事業では、2009年に生産開始された豪州原料炭炭鉱(バーモント炭鉱)につづき、2007年に取得した豪州の大型一般炭炭鉱(ムーラーベン炭鉱)が2010年中の生産開始を予定している。
石油・ガス上流権益事業においては、英国領北海、米国メキシコ湾、カタール、ガボン、エジプト、ブラジルなどの既得権益に加え、米国メキシコ湾大水深における石油開発事業、米国テキサス州陸上タイトガス開発事業、豪州ヴィクトリア州沖での石油・ガス開発など新規事業にも取り組んでいる。LNG事業においては、すでに生産を開始しているカタールのラスラファンプロジェクトに続き、インドネシア・タングープロジェクトが2009年に生産を開始した。
合金鉄・レアメタル事業では日本企業トップクラスであり、鉄鋼原料用途などのモリブデン、バナジウム、タングステン、マンガン、クロム、ニッケル、ニオブなどの国家備蓄対象に多くの権益を保有している。
鉄鉱石事業については、ブラジル産鉄鉱石を主体に対日市場の鉄鉱石取扱いでは業界トップクラスであり、日本の製鉄会社とともにブラジルでの鉄鉱石ペレット製造事業や、ベネズエラでの還元鉄事業に出資している。
環境・新エネルギー分野にも注力しており、アメリカ・ドイツで太陽光発電、ナミビアで風力発電事業に参画している。
化学部門
レアアース事業では、日本企業トップの取扱量を誇り、豪ライナス社と10年に亘って日本の消費量の約3 割にあたる年間約8,500トン(±500トン)以上のレアアース製品を長期供給する契約を締結したことは、ニュースや新聞等でも報じられた。
化粧品部門にも注力しており、自社ブランドも持つ。
生活産業部門
チップ・植林事業ではベトナム・豪州で事業を推進しており、地元の植林会社への融資、苗木の無償配布などの活動を含めると、その面積は65千HAになり、ほぼ琵琶湖の面積に達する。また、ベトナムで築いた植林・チップ事業モデルをアフリカのモザンビークに導入しようと、現在準備を進めている。
生活消費財事業では、カジュアルシューズの「Admiral」、アメリカを拠点にグローバル展開するサーフブランド「REEF」やドイツのスーツケース「TITAN」など、市場ニーズを創造する付加価値の高い生活消費財の販売を手掛けている。
NIKE事業では、双日米国会社物資部が1972年のNike社発足当時からのビジネスパートナーであり、トレードファイナンスサービスを提供することで、アジア、南米を中心とした海外ナイキ販売子会社向けグローバルサプライチェーンの一翼を担い、同社の世界展開に協力している。
穀物事業では、伝統的な小麦の輸出国である米国・カナダ・豪州に加え、欧州など各国の小麦を年間約3百万トン取り扱っている。2007年6月には、ベトナム製粉大手インターフラワー・ベトナム社の発行済株式の20%を取得。2010年11月末同社の港湾施設が完成し、12月1日にベトナム政府関係者の出席も得て港湾完成記念式典を開催した。
商社として初のマグロの養殖事業にも参入し、2008年9月には、長崎県松浦市に双日ツナファーム鷹島を設立、2010年12月8日よりホンマグロの出荷を開始した。
たばこ事業では、マルボロ、ラーク、フィリップ・モリス、パーラメント、バージニアスリムなどで知られるフィリップモリス社製輸入煙草の独占卸売販売権を所有。
住宅事業では、35年以上の長きにわたり、業界の先駆者として累計約8万戸のマンションを供給してきた。全国4か所で巨大ショッピングモールの運営も行っている。
沿革
- 1877年 - 日商岩井の前身鈴木商店(神戸市)が発足
- 1896年 - 日商岩井の前身岩井商店(大阪市)が発足
- 1892年11月 - ニチメンの前身日本綿花株式会社(大阪市)設立
- 1912年10月 - 岩井商店が株式会社岩井商店を設立
- 1928年2月 - 鈴木商店の子会社であった日本商業株式会社が、倒産した鈴木商店の商事部門を引き継ぎ日商株式会社となる
- 1943年4月 - 日本綿花株式会社が日綿實業株式会社に商号変更
- 1943年6月 - 株式会社岩井商店が岩井産業株式会社に商号変更
- 1968年10月 - 日商と岩井産業が合併し日商岩井株式会社(大阪市)となる
- 1982年6月 - 日綿實業株式会社がニチメン株式会社(大阪市)に商号変更
- 2003年4月 - ニチメンと日商岩井が株式移転によりニチメン・日商岩井ホールディングス株式会社(NNHD)を設立
- 2004年4月 - ニチメンが存続会社となり日商岩井と合併し、(旧)双日株式会社となる
- 2004年7月 - ニチメン・日商岩井ホールディングス株式会社が双日ホールディングス株式会社に商号変更
- 2005年10月 - 双日ホールディングス株式会社が(旧)双日株式会社を合併して、商号を双日株式会社に変更(HDを存続会社にしたのは上場維持のため)
拠点
- 本社所在地
- 拠点
- 国内 8拠点(東京、大阪、札幌、仙台、名古屋、福岡、長崎、那覇)
- 海外 91拠点(ニューヨーク、ワシントン、ポートランド、シアトル、ヒューストン、バンクーバー、トロント、リオデジャネイロ、ブエノスアイレス、マドリード、ロンドン、キエフ、モスクワ、イスタンブール、ブダペスト、ハンブルク、デュッセルドルフ、パリ、ミラノ、プラハ、サンクトペテルブルク、北京、上海、天津、大連、ソウル、シンガポール、香港、マニラ、ポートモレスビー、メルボルン、パース、シドニー、オークランド、ラゴス、テヘラン、カイロ、ルアンダ、ヨハネスブルグ、ジェッダ、サナア、マスカット、ドバイ、アルコバール、カサブランカ、トリポリ、バグダッド、アルジェ、リマ他多数)
双日グループ
- 双日システムズ(旧 ニチメンコンピュータシステムズ)
- 日商LPガス(大阪ガス傘下。旧社名は"日商岩井石油ガス")
- 総合エネルギー(旧 ニチメンエネルギー+旧 日商岩井石油→双日エネルギー。2013年にコスモ石油の子会社となり商号変更)
- 双日マシナリー(機械専門商社)
- 双日ツーリスト(旅行会社)
- 双日インシュアランス(保険会社)
- 日本橋梁(みどり会にも加盟)
- ニチリン(旧 鈴木商店グループ)
- 日本精鉱(旧 鈴木商店グループ)
- 日商エレクトロニクス
- カノークス(日新製鋼グループ)
- 大末建設(双日グループがUFJ銀行・大京・セコムらとの支援)
- エヌアイたばこ(フィリップ・モリスの西日本特約代理店)
- 双日ジュエリー(旧 ニチメンジュエリー)
- ヤマザキナビスコ(ヤマザキパングループ)
- 双日新都市開発(旧 双日リアルネット)
- メタルワン(旧 三菱商事鉄鋼部門+旧 日商岩井鉄鋼部門)
- フュージョンコミュニケーションズ(現在は東京電力グループ色)
- 双日プラネット(旧 ニチメン合樹部門+旧 日商岩井プラスチック+旧 蝶理プラテクノ)
- 三元化成
- 双日テクノプラス(旧 エヌアイテクノプラス)
- 双日インフィニティ(旧 ニチメンインフィニティ)
- メタルアート
- ベルミテック
- ボルクレイジャパン
- 双日食料(旧 日商岩井食料)
- 秋田新都心ビル(秋田拠点センターアルヴェの運営・管理)
- ニチパック
- 日商岩井紙パルプ
- 双日マリンアンドエンジニアリング(旧 日商岩井船舶)
- 双日総合管理(建物管理会社)
- JALUX(日本航空から株式を30%取得)
- さくらインターネット
- 第一紡績株式会社(100%出資の子会社)
- フジ日本精糖
他多数
出資会社
取引銀行に関する歴史的経緯
- 前身会社の一つ、日商は鈴木商店の流れをくむ会社。十五銀行や第一銀行をメインバンクとしており、戦後も第一銀行の「第一原子力グループ」に中核商社として参加。日商岩井となってからも第一勧業銀行の「三金会」メンバーとなるなど、現在のみずほグループとの繋がりがあった。
- 旧大和銀行が主催する大輪会にも所属しているため、りそな銀行とも一部取引がある。
- しかし日商は、並行メインとして三和銀行とも取引していた。三和銀行と取引のあった商社には、日商のほか岩井産業や日綿実業(のちのニチメン)があった。やがて三和銀行主導で日商岩井が発足。さらに日商岩井とニチメンも、オリエントリース(現:オリックス)やジェーシービーに対して共同で資本参加するなど、三和銀行を介して両社の友好関係が生まれていた。双日がUFJグループの商社に位置付けられているのは、この経緯による。
その他
- 同社の前身である日商岩井とニチメンはともに19世紀末からの歴史を持ち、機械・綿製品の輸出入などに強い商社として存在してきた。一方、1979年に日商岩井で航空自衛隊のアメリカ製航空機購入を巡るダグラス・グラマン事件により当時の副社長が逮捕され、翌年に執行猶予付きの有罪判決が確定したこともあった。
- 両社ともバブル経済の崩壊にともない多額の不良債権を抱えていた。ニチメン・日商岩井の合併が間近となった2004年3月時点で、有利子債務は両社合計で1兆5000億円に達していた[1]。当時は、UFJ銀行をメーン銀行とする日商岩井、豊田通商、トーメン、ニチメンの4社大合併という案もあったが、実現はしなかった(なお、豊田通商とトーメンは2006年に合併)。投資格付けにおける等級も引き下げられ、「生き残りに迫られた弱者連合」との批評を受けるなかで発足した「双日」であったが、社長に就任したニチメン出身の土橋昭夫(1949年1月2日 - )のもと、事業再編成や人員削減などを含む中期経営計画を実行。資本準備金の取り崩しによる約5700億円の損失金処理などで経営環境を改善した結果、中期経営計画が達成されたと発表し、新たな中期経営計画として2006年4月に「New Stage 2008」を発表した。
- 2006年5月、野村証券を買い受け先とする総額3000億円のMSCBを発行。この額は発表時の同社時価総額を上回った。
- 2007年4月1日、3年間にわたり社長を務めたニチメン出身の土橋昭夫が代表権を持つ会長に就任し、旧日商岩井出身の加瀬豊が副社長から社長に昇格した[2]。
- 2007年12月、優先株の一掃、復配、投資適格級格付け取得の会社再生の3点セットを達成した。
- 2012年4月1日、中期経営計画「Shine-2011」完了に伴い、代表取締役社長CEOに日商岩井出身の佐藤洋二が就任、前社長加瀬豊は代表取締役会長に、前会長土橋昭夫は取締役(同年6月に特別顧問に退く)に異動[3]。
関連項目
双日に関連した著名人
- 小川善美(インデックス〈旧法人〉社長)
- 下坂藤太郎(日商初代社長)
- 速水優(日銀理事を経て日商岩井の専務取締役、社長、会長を歴任、のちに日銀総裁)
- 吉崎達彦(双日総合研究所取締役副所長、同社主任エコノミスト)
- 宮内義彦(オリックス会長兼CEO。旧・日綿實業出身。オリックス(当時は、オリエントリース)は、旧日綿實業→旧・ニチメン主体となって設立されており、宮内は設立メンバーとして関わっていた)
- 古田陽久(世界遺産総合研究所所長)
- 加瀬亮 - 俳優。会長、加瀬豊の息子。