丸紅

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テンプレート:Infobox テンプレート:Notice 丸紅株式会社(まるべに、英文社名:Marubeni Corporation)は、芙蓉グループ総合商社であり、三菱商事三井物産伊藤忠商事住友商事と並んで日本を代表する総合商社。いわゆる五大商社の一つ。

近江商人」を淵源とする。東京証券取引所市場第一部上場証券コード8002。資本金2,627億円、2014年3月期の連結売上高は13兆6,335億円、連結当期純利益は2,109億円である。三菱商事、伊藤忠商事に続き,売上高業界第3位。

ファイル:Chūbee Itō I.jpg
初代伊藤忠兵衛

歴史

1858年初代伊藤忠兵衛が麻布の「持下り」行商を開始したことをもって創業としている。そのため、同業の伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠」)とは同根。その後、いったん伊藤忠と分割されたものの、戦時中に再度合併(大建産業)、戦後の財閥解体措置により再度両社は分割され、1949年に現在と直接つながる丸紅株式会社が設立された。

社名は、創業者の伊藤忠兵衛が、「紅は高貴な色である」として実家の屋号「紅長」から1文字をとった「紅忠」という商号を使用して、○の中に紅という文字を入れた印を暖簾や半纏に使ったことに由来する。

1960年代から1970年代前半には三菱商事三井物産と並んでスリーエムと称される総合商社トップ3の一角であったが、その後伊藤忠が安宅産業を合併して力を付けたことや、住友商事の台頭、さらにはロッキード事件の影響などもあって、総合商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商双日)中、第5位に甘んじていた。

1997年アジア通貨危機によって各商社は甚大な負債や不良債権を抱え、それによって丸紅も一時倒産の危機に直面したものの、中期再建計画であるAction21 A Planに沿って業績のV字回復を達成する。その後は、他商社とともに「商社夏の時代」を謳歌している。特に丸紅は、伝統的に電力部門や紙・パルプ部門、食料部門に強みを持っている他、空前の資源高の恩恵、またはリスク・マネジメントの強化などもあって、2013年3月期は2期連続で過去最高益を更新し、売上高は七大商社中第3位となった。

かつては十大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事、日商岩井トーメン兼松ニチメン、安宅産業)の一角を占めた。

旧大阪本社(旧本店)は、本店・本社機能を東京へ移転して支社へ格下げされた。

沿革

  • 1858年5月 伊藤忠兵衛が麻布類の卸売業として大阪に創業。
  • 1872年1月 紅忠(べんちゅう)を創立する。
  • 1914年12月 伊藤忠合名会社に改組する。
  • 1918年12月 伊藤忠合名会社を株式会社伊藤忠商店(丸紅の前身)と伊藤忠商事株式会社に分割する。
  • 1921年3月 伊藤忠商店と伊藤長兵衛商店(伊藤忠兵衛の兄の六代伊藤長兵衛が創立)が合併して、株式会社丸紅商店となる。初代社長には七代伊藤長兵衛が就任する。
  • 1941年9月 丸紅商店、伊藤忠商事、岸本商店の3社が合併して、三興株式会社となる。
  • 1944年9月 三興、大同貿易、呉羽紡績の3社が合併して、大建産業となる。
  • 1949年12月1日 大建産業が過度経済力集中排除法の適用を受け、4社(伊藤忠商事、丸紅、呉羽紡績、尼崎製釘所)に分割され、丸紅株式会社として設立される。
  • 1955年9月 貿易会社の高島屋飯田株式会社(高島屋系)と合併し、商号を丸紅飯田株式会社に変更する。
  • 1966年4月 東通株式会社(旧・浅野財閥)を合併する。その際に管理本部機能の殆どを大阪本社から東京支店に移した。
  • 1972年1月 商号を丸紅株式会社に変更する。
  • 1973年1月 株式会社南洋物産を合併する。
  • 2001年10月 伊藤忠商事株式会社と鉄鋼製品部門を統合し、伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社が発足する。
  • 2003年6月 本店を大阪市中央区から東京都千代田区に移転する。

歴代社長

丸紅株式会社発足後。名前の後ろは在任期間。

龍野社長以降4代の社長はすべて資材・パルプ部門(旧物資部門)の出身であり、同一部門の出身者が20年にわたって社長の座を独占してきたが、同部門が同社の部門別売上・利益においてトップの立場にあるわけではない。 なお、現会長の朝田照男(元・運輸事務次官で日本航空社長、朝田静夫の子息)は、一貫して管理部門を歩み営業経験がなく、社長就任時には商社のトップとしては異例の経歴として注目されていた。

コンプライアンス問題

インドネシア発電所開発をめぐる贈賄事件

2002年以降丸紅はフランス企業アルストムの米国子会社と共謀し、インドネシアスマトラ島タラハン火力発電所の事業契約(1億1800万ドル相当)が受注されるよう、インドネシアの国会議員や国有電力会社幹部に依頼。丸紅は受注成功の見返りとして米国内にあるコンサルタント会社の銀行口座を経由して数十万ドルをインドネシアの銀行口座に送金した。この贈賄工作により、2004年7月丸紅は事業を受注、2007年に発電所は完工した。2014年事実の調査に当ったアメリカ合衆国司法省は丸紅に調査協力を促したが丸紅はこれを拒否。司法省は丸紅を連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)違反などの罪状でコネチカット連邦地方裁判所に提訴した。2014年3月19日丸紅はFCPA違反など8件の容疑事実を認め、罰金8800万ドル(約91億円)を支払う司法取引に合意。連邦地方裁判所は2014年5月15日に判決を出すことを決定した。2014年3月20日丸紅はニュースリリースのなかで2014年3月期連結業績予想(2100億円)に変更はないと見解を出したが、新たな独立コンプライアンスコンサルタントを起用する計画は否定した。丸紅の東証一部株価は発表後3週間で約80円下落。2014年3月26日、日本国外務省は政府開発援助借款事業であるタラハン火力発電所事業において丸紅が不正を行いアメリカ司法省と司法取引をしたことに対し遺憾を表明し、丸紅に対し平成26年3月26日から平成26年12月25日までの9か月間ODA事業参加排除措置を執った。日本国には1998年に改定された不正競争防止法第18条で海外贈賄行為に対し10年以下の懲役もしくは1千万円以下の禁止罰金規定を定めているが、日本国の司法当局は本件事案に関し捜査を開始していない。[1][2][3][4][5][6][7][8]

日本国内店

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丸紅大阪支社ビル(大阪市中央区)

関連企業

持分法適用関連会社(上場会社)

2014年3月31日現在

非上場企業

他多数

主な出資該当企業

2009年4月現在

過去に傘下にあった子会社

脚注

  1. 「丸紅が罰金90億円支払い合意 インドネシアで贈賄」 朝日新聞DEGITAL 2014年3月20日10時49分 2014年4月20日閲覧
  2. 「丸紅、インドネシアで贈賄 米司法省に罰金90億円 火力発電事業の受注巡り」 日本経済新聞電子版2014年3月20日15時16分 2014年4月20日閲覧
  3. 「米司法省、丸紅に罰金90億円=インドネシアで贈賄」 2014年3月20日11時11分時事ドットコム 2014年4月20日閲覧
  4. 「丸紅が米当局に罰金90億円 インドネシアでの贈賄で」 2014年3月20日10時29分産経新聞 2014年4月20日閲覧
  5. 「インドネシア火力発電所向ボイラー案件に関する米国司法省との合意について」 2014年3月20日丸紅株式会社 2014年4月20日閲覧
  6. 丸紅東証一部株価 2014年4月20日閲覧
  7. "Marubeni Pleads Guilty to U.S. Charges Over Indonesia Bribes (1)" Bloomberg News 2014年3月19日 2014年4月20日閲覧
  8. 「我が国の政府開発援助(ODA)事業において不正行為を行った企業に対する措置の実施 外務省」 平成26年3月26日 2014年4月20日閲覧


関連項目


外部リンク

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