クロム

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クロムテンプレート:Lang-en-shortテンプレート:Lang-la-short)は原子番号24の元素元素記号Crクロム族元素の1つ。銀白色の金属で、硬く、融点は1903 テンプレート:℃沸点は2200 テンプレート:℃(他に融点に関しては1857 テンプレート:℃、沸点に関しては2670 テンプレート:℃、2690 テンプレート:℃という値がある)。常温、常圧で安定な結晶構造は、体心立方構造 (BCC)。表面はすぐさま酸化皮膜に覆われ不動態を形成するのでさびにくく、めっきによく用いられる(クロムめっき)。希塩酸希硫酸には溶けるが、濃硝酸王水など酸化力の強いには不動態をつくり反応しにくい。クロムに1%程度のマンガンを混ぜると反強磁性金属となる。別名:クロミウム

歴史

1797年フランスルイ=ニコラ・ヴォークランによってシベリア産の紅鉛鉱(クロム酸鉛、PbCrO4)から発見され、酸化状態によってさまざまな色を呈することからギリシャ語の χρωμα(chrōma、色)にちなんでルネ=ジュスト・アユイにより命名された。ヴォークランはこの翌年(1798年ルビーが赤いこと、エメラルドが緑色であることについて、クロムが不純物として入っているためであることを発見した。

一方で始皇帝兵馬傭坑より出土した青銅の剣や矛・戟・弓矢にもクロムメッキが施されており、それらは2000年以上経った発掘時にも錆びた痕跡が無いほどであった。このクロム技術は秦の古文書には一切残っておらず、その後の時代の出土品にはクロム技術が伝承されていないことから、なぜ秦の時代にクロムが用いられ、そして以後の歴史で失われたのかは兵馬俑の数ある謎の一つとなっている。

用途

金属としての利用は、光沢があること、固いこと、耐食性があることを利用するクロムめっきとしての用途が大きい。また、鉄とニッケルと10.5%以上のクロムを含む合金フェロクロム)はステンレス鋼と呼ぶ。ステンレス鋼ではクロムが不動態皮膜を形成するため、ほとんどを生じないので車両機械といった重工業製品から流し台包丁などの台所用品まで幅広い用途がある。

この金属は、日本国内において産業上、重要性が高いものの、産出地に偏りがあり供給構造が脆弱である。日本では、国内で消費される鉱物資源の多くが他国からの輸入で賄われている実情から、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として、国内消費量の最低60分を国家備蓄すると定められている。

必須元素としてのクロム

インスリンが体内でレセプターと結合するのを助ける働きをしている耐糖因子を構成する材料となる3価のクロムが体内で不足すると、糖代謝の異常が起こり糖尿病の発症に至る可能性があることが明らかにされている。この方面の研究によって、人間にとって必須の栄養素であることがわかってきた。

1日の必要量は、50-200 µg。クロムを多く含む食品は、ビール酵母レバーエビ、未精製の穀類豆類キノコ類黒胡椒などである。

もともと、クロムは体内に吸収されにくいミネラルであるが、穀物を精製するとクロムが大幅に失われてしまう問題が存在する。小麦粉の場合、精白すると98%のクロムが失われ、を精米すると92%のクロムが失われるとされている。そのため、体内へのクロム吸収率の向上を図ったサプリメントなども開発・販売されている。また精製された砂糖にはクロムの体外排出を促進してしまう働きがあるため、クロムを効率よく摂取する際にはこれらを極力控える必要がある。

クロムの毒性

クロム単体および3価のクロムには毒性が知られていない。ステンレスなどの工業製品として出回っている物の中に含まれているクロムは毒性を持たない。3価のクロムは人体の必須栄養素でもある。

6価のクロム化合物(六価クロム)は極めて毒性が高い。かつては六価クロムをめっき用途として使うことが多かったが、土壌汚染を起こすなどでしばしば問題視され、使われなくなってきている。また、4価のクロム化合物は WHO の下部機関 IARC より発癌性があると (Type1) 勧告されている。

RoHS規制物質としてのクロム

EU-RoHS においては6価クロムの濃度を1000 ppm以下に抑えること、中国版 RoHS においては意図的添加、処理を対象としている。検出方法としてはジフェニルカルバジド法を用いる。これは6価クロムが1,5-ジフェニルカルボノヒドラジドと酸性溶液中で反応してクロム‐ジフェニルカルバゾン錯体を形成することを利用したもので、紫外可視分光光度計を用いて吸光度を測定し、濃度を求める。この際、共存元素(3価、5価バナジウム、6価モリブデン)の影響を受ける。

クロムの化合物

同位体

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出典

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関連項目

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外部リンク

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