ジョイフル
株式会社ジョイフル (Joyfull Co., Ltd.) は、九州を中心にファミリーレストラン「ジョイフル」をチェーン展開する企業である。
本社は大分県大分市三川新町1丁目1-45。1993年6月8日、福岡証券取引所上場。単独上場銘柄(証券コードは9942)。「Joyfull」はjoy(楽しさ)とfull(いっぱい)を足し合わせた造語で、英語形容詞の「joyful」とは綴りが異なる。
目次
概要
小商圏への出店と低価格戦略を特徴とする。また、各店舗玄関の表札に開業年月日を記載している。
1号店は、1979年2月に大分県大分市萩原に開店した萩原店(ただし店舗は現存しているが、1998年に改築されたため当時の店舗としては現存していない)。
原則全店直営だが、長崎県(波佐見店は除く)、沖縄県、鹿児島県奄美地方などはフランチャイズである。かつては地域子会社による店舗展開が行われていたが、2004年6月1日までにすべてジョイフル本社に合併されている。
また、新業態としてショッピングセンターのフードコート内に出店する「ジョイフルQ」と「はらぺこ丸」の展開を開始し、2005年3月22日に福岡県筑紫野市に1号店が開店したものの、これは失敗に終わり、2007年には閉店している[1]。
また、コンビニよりも早い時期に24時間営業を開始している[2]。また、2000年には22時以降の来店客から徴収していた深夜割増料金を撤廃している。これまで全店24時間営業で、また不採算を理由とした閉店を行わなかったが、2004年より不採算店舗を閉鎖、また一部の店舗で24時間営業を取りやめている。閉鎖第1号は高知県中村市(現・四万十市)の高知西中村店で、わずか3年ほどの営業だった。ただ、このときは当初約30店舗の閉鎖・約100店舗の深夜営業取りやめを予定していたものの、実際はそれより少ない数にとどまった。
2014年1月現在721店舗(交通事故のため2013年12月より長期休業中の呉羽店を含む)。北海道、宮城県以外の東北地方、甲信越地方、神奈川県には全く店舗がない。また、群馬県以外の関東6都県、岐阜県以外の東海3県は県庁所在地に店舗がない。一時期はハイペースで出店していたが業績の悪化により、2005年12月15日開店の高松扇町店(香川県高松市)を最後に直営での新規出店を凍結することとなった(フランチャイズの鹿児島県奄美・沖縄県では2011年現在も新規出店展開中)。
一時期別府市の老舗ホテル・亀の井ホテルを傘下にしていた。1994年に買収したが、本業集中のため2002年にジョイフル創業者で当時の社長だった穴見保雄(一部は当時の亀の井ホテル社長の古川功)が株式(約95%の株式を保有していた)を引き取り、グループを離れた。
Jリーグの大分トリニータのスポンサーである。2005年はドリンク券の絵柄にトリニータの選手の写真を使用していた。また、過去にはデビッド・ベッカムのドリンク券とそれを収納するホルダーを販売していたこともある。
2003年度のイメージキャラクターに初めてアニメのパワーパフガールズを採用し、その後も仮面ライダーシリーズ・プリキュアシリーズ(2007~2009年)のキャンペーン展開をしていたが、現在はイメージキャラクターの採用及びタイアップはしていない。
2007年7月21日、当時社長の穴見陽一が外食売上低迷を打開する為、中国に進出したいと抱負を述べ、中国準備室を設置し来年夏をめどに北京、上海に一号店を開店させたいと語った。また、同年度から初めてアメリカ(ロサンゼルス)、中国(上海)へ正社員の海外研修制度が始まった。2008年に2店舗を開業したものの、2009年5月末の営業休止が決まった[3]。その後2010年4月12日にその子会社も解散し、正式に撤退した[4]。
2007年12月13日、穴見陽一の次期衆議院選挙立候補表明を受け、2008年1月1日付で常務の長尾一徳が社長に就任し、穴見は代表権のある会長に就任した。創業家以外では初の社長だが、同時にプロパーでもない社長(長尾はサントリーフーズから送り込まれた)でもある。また同時に、代表権のある副社長に就任した井上博基もプロパーではない。その直後には、2年ぶりの直営新店舗である高知金田店(高知県高知市)を開業させている。また、原油高の影響で郊外店の売上が伸び悩んでいる影響で、同年11月までに130店舗以上で深夜の営業を取りやめることとなった。新たに都市部の顧客を狙う為に、2008年9月に福岡・天神(福岡警固公園前店)に初めて都市部に出店することとなった。
一方で、全店舗的に売上が低迷し、2008年下期に不採算7店舗の閉鎖を発表。これに世界同時不況が追い討ちをかける形となり、同年通期には赤字に転落した。この責任を取る形で2009年3月26日に長尾一徳は代表権のない社長となり、穴見陽一と井上博基はジョイフルを去り、代表権は会長の児玉幸子[5]のみが持つことになる。また、2008年12月期の有価証券報告書によれば、不採算店舗については土地賃貸契約の期間満了をもって閉鎖することも検討すると示されているが、翌期には不採算店舗の撤退に関する文言はなくなっている。
2010年3月25日の定時株主総会をもって長尾が取締役社長を退任し、会長の児玉が社長に就任した[6]。前社長の児玉幸子は社長個人としてのメディア取材は一切受けず、また、公式ホームページにも写真を出さず、地元財界の会合にも出ていないが、2011年1月発行のジョイフル労働組合の機関誌「ジョイくみ」にて初めて顔が公開された。
2011年3月24日、穴見陽一が社長に復帰し、児玉は代表権のない会長となった。
2012年3月23日、穴見陽一の妻の穴見くるみが社長となったが、同日の定時株主総会で、共同代表制を否定し、代表取締役は1名のみとする定款改正が行われたため、代表権はなく、相談役となった陽一のみが代表権を持ち、対外的な対応をつとめている。
2013年3月に、ロゴマークを変更。同時に、シンボルマークも新設した。また、久しく出店していなかった関東地方への出店も再開している。
2013年3月24日の定時株主総会で、穴見陽一が前年の第46回衆議院議員総選挙で当選したのを受け、一度は否定した共同代表制を復活させ、社長のくるみも代表権を持つこととなった。ただ、前会長の児玉幸子はこのときに取締役を退任したものの、議決権の3分の1超を保有するジョイ開発の社長であることから、顧問として今なおジョイフルへの影響力を持ち続けている。
主要取引銀行は伊予銀行で、大株主でもある。これに続くのが西日本シティ銀行(旧西日本銀行の流れ)で、こちらは子会社の西日本信用保証が大株主となっている。また、ジョイフルもこの両行の株式を保有している[7]。地元の大分銀行も取引はあるが、この両行ほど親密ではない。
- 現在の最北端かつ最東端店舗:気仙沼松川店(宮城県気仙沼市。東日本大震災で被災し閉店した気仙沼店とは別の店舗)
- 現在の最南端店舗かつ最西端店舗:宮古店(沖縄県宮古島市)
- 現在の最西端直営店舗:佐賀伊万里店(佐賀県伊万里市)
- 現在の最南端直営店舗:指宿山川店(鹿児島県指宿市)
子会社
- 株式会社ジョイフルサービス
- 2005年に設立された特例子会社。登記上の本店はジョイフル本社内で、ウェブサイトにも同所で記載されているが、タウンページにはそこからやや西に行った大分県大分市高松東3丁目6-17で記載されている。損害保険代理業・人材派遣業を営む。
かつての地域子会社の営業エリア
- ジョイフル本社 山口県、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、愛媛県南予地方、高知県
- 中国ジョイフル(岡山県倉敷市、2002年11月1日合併) 岡山県、広島県、香川県、愛媛県川之江市(現・四国中央市)、兵庫県姫路市
- 近畿ジョイフル(滋賀県大津市、2004年6月1日合併) 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(姫路市・加古川市を除く)、奈良県、和歌山県
- 北陸ジョイフル(石川県金沢市、2004年6月1日合併) 富山県、石川県、福井県
- 中部ジョイフル(愛知県豊橋市、2004年6月1日合併) 静岡県、愛知県、岐阜県、三重県
- 関東ジョイフル(東京都青梅市、2002年6月1日ジョイフル本社に営業譲渡、清算) 栃木県、群馬県、埼玉県、東京都
- 東京ジョイフル(千葉県松戸市、2004年6月1日合併) 茨城県、千葉県
- 東北ジョイフル(宮城県仙台市泉区、2004年6月1日合併) 宮城県
ジョイフル本社は地域子会社と区別するため「九州ジョイフル」と呼ばれていた。
地域子会社の資本金は中部が2億円、東北が1億5000万円、それ以外が1億円だった。ジョイフル本社の地域子会社の出資比率は90%で、残りの10%は当該地域子会社の社長が保有していた。合併直前の2004年2月に株式交換で完全子会社となった。
中国ジョイフルは前社長の穴見陽一が社長をしていた。その関係で合併当初は中国事業部として本社とは切り離された運営がなされていた。中国事業部時代の2003年に加古川市に出店している。しかし、2004年には全国一社体制になることから、権限を縮小され中国管理部と改称した。2005年3月に廃止され、現在倉敷市の旧中国ジョイフル本社ビルは1階のジョイフル倉敷本店以外空き部屋になっている。
なお、合併後近畿以東の管理部門は一時期大阪府に新設した事務所(詳細な場所は非公表)にて行っていたが、現在は管理統制機能の全てが大分の本社に集約されている。テンプレート:要出典。
過去に存在したジョイフルの店舗
- 市町村名は閉鎖時点のもの。
宮城県
- 仙台荒巻店(仙台市青葉区) - 2010年5月17日閉店、荒巻セントラルプラザ内。
- 気仙沼店(気仙沼市) - 東日本大震災で被災し、早期の営業再開は不可能として2011年6月1日付で一時閉店。なお同店は最北端かつ最東端の店舗だった。2011年9月20日付で完全閉店。
- 2013年1月1日付の大分合同新聞にて同市内において移転再出店予定であることが報道された。
- 2013年10月25日、気仙沼内陸部にジョイフル気仙沼松川前店として実質移転出店。再び最北端かつ最東端の店舗となった。
- 仙台鶴ヶ谷店(仙台市宮城野区)
埼玉県
- 本庄店(本庄市)
東京都
群馬県
岐阜県
- 岐大ヤナゲン店(瑞穂市)→ 2012年8月24日、岐阜瑞穂店として実質的に営業再開。
石川県
岡山県
山口県
- 山口埴生店(山陽小野田市)
愛媛県
高知県
福岡県
- 白水大池店(春日市)
- 上津役店(北九州市八幡西区)
- 福岡北野店(三井郡北野町)
- 八女立花店(八女市)
- 福岡福間店(福津市) - 土地収用に伴う閉鎖で、福岡福津店が代替店舗として新たに開業した。
- 湯川店(北九州市小倉南区)
- 穂波店(飯塚市)
- 片江店(福岡市城南区)
- 新宮店(糟屋郡新宮町)
- ジョイフルQゆめタウン筑紫野店(筑紫野市)
- はらぺこ丸ゆめタウン筑紫野店(筑紫野市)
- ジョイフルジュニア福岡甘木インターホテル内店(朝倉市)
佐賀県
長崎県
- 大村店(大村市)
熊本県
- 熊本小島店(熊本市)
大分県
- 賀来店(大分市) - 古い店舗であったが、すぐ近くの大分賀来店開業に伴い移転・閉鎖。
- 中島店(大分市) - 2008年に改装・業態転換し、ジョイフルが運営する「旬菜ブッフェ陽菜多」となる。
- (佐賀関店(大分市) - 2008年9月閉店。実質的には大分県初の閉鎖店舗。)2008年10月27日より営業再開。[1]
- ジョイパンセ別府店(別府市) - ジョイタウン別府内のパン屋。現在はコインランドリーが設置されている。
- はらぺこ丸明野店 → こだんせ明野店(大分市) - 2010年6月6日閉店もはらぺこ丸として復活。
- (旧)やまなみ店(別府市) - 2001年12月に火災で全焼。その後再建。日本で一番店内面積の小さな店舗である。
鹿児島県
沖縄県
- 久米店(那覇市)
上海市
- 華山路店(中国上海市、2009年5月28日に閉店)
- 田林路店(中国上海市、閉店)
- 中国法人「上海巧艺府餐飲有限公司」が運営していたが、2009年5月30日をもって営業中止になった。前述の通り、同社は2010年4月12日に解散。
この他、お祭り一番館5店舗を2004年11月をもって亀の井ホテル(当時)に事業譲渡している。
公式サイトに掲載されていない店舗
- 旬菜ブッフェ陽菜多 - 地産地消バイキングレストラン。
- 中島店(大分県大分市)
- はらぺこ丸 - 定食屋。
- 萩原店(大分県大分市)
- ミニジョイフル - 沖縄地区でFC展開する総合スーパー「サンエー」が店舗内で展開。かつての「ジョイフルQ」と同業態。
- サンエー那覇メインプレイス店
- サンエー具志川メインシティ店
- サンエー西原シティ店
- サンエー経塚シティ店
- サンエー豊見城ウイングシティ店
- サンエー石川ショッピングタウン店
かつての関連企業
資本関係はないが創業家が経営する企業
- 有限会社グッドイン - ビジネスホテル経営。前社長・穴見陽一の実母かつ前会長・児玉幸子の実姉でジョイフルの第8位の株主である穴見加代が社長。
- 有限会社ジェイズ - パチンコ店経営。穴見陽一の実弟で、ジョイフルの第3位の株主である穴見賢一が社長。
CMソング
関連項目
- フレンドリー - 関西地方のファミリーレストラン。ジョイフル設立時にノウハウの提供を受けた。
- サンエー - 沖縄県におけるフランチャイジー。
- ひぐちグループ - 長崎県におけるフランチャイジー(波佐見店を除く)。
- 西川グループ - 鹿児島県奄美地方におけるフランチャイジー。奄美空港にも出店している。
- コスモス薬品 - 九州限定でタイアップキャンペーンを展開している。
脚注
- ↑ 大分県内には数店舗存続しているが、ウェブサイトには記載されていない。
- ↑ ただし、24時間営業の開始時期はデニーズのほうが2年ほど早い。デニーズは1974年に創業し、1977年に初の24時間営業として開始している。
- ↑ 海外子会社の営業休止に関するお知らせ
- ↑ http://www.joyfull.co.jp/ir/news_r/img/100412_2.pdf
- ↑ 穴見保雄の義妹でジョイ開発社長。創業以来取締役に名を連ねていたが2004年に監査役に回り、2006年3月にジョイフルを去っていた。2008年12月に顧問として復帰。
- ↑ https://www.release.tdnet.info/inbs/140120100325054682.pdf
- ↑ 2010年12月期有価証券報告書p.32。
- ↑ 同社の本社に併設されている鶴崎店を含む。なお、ホテル内店舗の一部は店舗ブランドが「ジョイフルジュニア」となっており、一部提供できない商品がある。