勇者シリーズ

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テンプレート:複数の問題 勇者シリーズ(ゆうしゃシリーズ)とは、サンライズ名古屋テレビ東急エージェンシー1990年から1998年までにわたり製作した一連のロボットアニメ作品の総称。「勇者」をキーワードとして、心を持ったロボット「勇者ロボ」と少年の交流やメカのアクション、ロボットの合体、そのほか番組ごとの独自のテーマで物語が展開される[1]

シリーズはテレビアニメ版全8作品で構成されているが、『勇者指令ダグオン』と『勇者王ガオガイガー』ではOVAがリリースされている。またテレビゲーム版のオリジナル作品も場合によってはシリーズに含むため[注釈 1]、下記に合わせて記載する。

沿革

アニメ製作のサンライズにとってはリアルロボット路線に代わるロボットアニメとして、玩具スポンサーのタカラにとっては『トランスフォーマー』に代わる玩具シリーズとして、1990年2月に始まった『勇者エクスカイザー』でスタートを切った。最低10年間は続けるという意気込みでシリーズは始まり、3歳から5歳の幼児をターゲットとしていた[2]

シリーズ開始時はアニメ雑誌に載らないようなアニメというのがスローガンだった[3]が、1993年の『勇者特急マイトガイン』から徐々にアニメファンの注目を浴びるようになりテンプレート:要出典1996年の『勇者指令ダグオン』では高校生以上の女性ファンが大半を占め[4]、最終作となった『勇者王ガオガイガー』ではそれまでのファン以外からも支持を受けた[5]。この人気を受け、『ダグオン』・『ガオガイガー』の2作ではOVAが制作されている。

しかし『ダグオン』は女性に人気が出た一方で子供への浸透率が今ひとつとなり[4]、『ガオガイガー』は決して人気とはいえない視聴率だったテンプレート:要出典。そのため1998年1月に『ガオガイガー』が終了したことで、テレビシリーズとしての勇者シリーズは8年で途中終了(シリーズ打ち切り)した。

勇者シリーズ終了はすなわち、日本のロボットアニメの歴史の一遍とも呼べる名古屋テレビ発ロボットアニメの歴史が途絶えることになり、新聞発表まで行われた。まず1997年12月22日朝日新聞名古屋版の夕刊のトップ記事となって報じられ、その後翌年1月5日に全国版にも掲載された。そこでは少子化とゲームの人気によりロボット路線をやめると解説がなされていた[6]東京新聞1998年2月4日朝刊13面では「消えた巨大ロボット」という、あたかも巨大ロボットというジャンル自体が無くなるかのような見出しで報道された。同記事によると視聴率・玩具売り上げ双方の低迷によりシリーズ終了に至ったとされている。また少子化等の原因が重なった結果としている。なお大人向けの限定されたメディアと断ったうえではあるが1998年4月の『ブレンパワード』で巨大ロボットアニメが復活することにも触れられており、そちらは3月13日朝刊15面で詳しく報じられている。その中で富野由悠季は「ロボットアニメの終焉がはっきりしたから、ガンダム以外のロボットアニメを作ることにした」という旨を述べている。

作風

勇者エクスカイザー』(1990年)と『太陽の勇者ファイバード』(1991年)の関係を例外として、各作品間には世界観や時間軸に直接の関係が無い[注釈 2][注釈 3]。そのためほぼ全ての作品が独立した世界観を持ち、作風もその都度大きく変化している。

シリーズ中に登場するロボットは「勇者ロボ」と呼称される[7]。勇者ロボにはパトカー・救急車・消防車・飛行機・新幹線といった子供にとって身近な乗り物が変形する[2]。これは身近な乗り物をモチーフとして設定した方が子供が共感しやすいと判断されたため[8]。勇者ロボは意志を持ち会話することが可能で、ロボットに生命エネルギーが宿った「生命体型」、人間の手でロボットに知能を持たせた「超AI型」、主人公がロボットと融合する「融合型」の3つに分類できる[7]

スポンサー

共通するスポンサーは玩具メーカーのタカラ(現:タカラトミー)と菓子メーカーのカバヤ食品

トランスフォーマー』シリーズを手がけてきたタカラらしく、シリーズに登場する人型ロボットは車両や飛行機などが変形するギミックで一貫しており登場するロボットたちがそれぞれ自我を持ち会話を行うという設定も受け継いでいる。

更に勇者シリーズ各作品スタート時のメインメンバーが合体戦士で構成され、主人公が2段合体でパワーアップするというシリーズの基本フォーマットは勇者シリーズ開始前年の作品の『戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマーV』で確立されたものである。

中には過去のトランスフォーマー商品から金型を流用した商品の登場[注釈 4]や、勇者として商品化されたものの元はトランスフォーマーの企画だった物[注釈 5]がある。

テレビシリーズ

1.勇者エクスカイザー
1990年(平成2年)2月3日1991年(平成3年)1月26日(全48話)
監督:谷田部勝義・演出チーフ:福田満夫・シリーズ構成:平野靖士
※本作の34話以降とこれ以降の作品は、放映時間が土曜17時台前半に移動。
2.太陽の勇者ファイバード
1991年(平成3年)2月2日1992年(平成4年)2月1日(全48話)
監督:谷田部勝義・演出チーフ:日高政光・シリーズ構成:平野靖士
3.伝説の勇者ダ・ガーン
1992年(平成4年)2月8日1993年(平成5年)1月23日(全46話)
監督:谷田部勝義・演出チーフ:高松信司・シリーズ構成:五武冬史/平野靖士
4.勇者特急マイトガイン
1993年(平成5年)1月30日1994年(平成6年)1月22日(全47話)
監督:高松信司・チーフライター:小山高生
5.勇者警察ジェイデッカー
1994年(平成6年)1月29日1995年(平成7年)1月28日(全48話)
監督:高松信司・シリーズ構成:川崎ヒロユキ
6.黄金勇者ゴルドラン
1995年(平成7年)2月4日1996年(平成8年)1月27日(全48話)
監督:高松信司・シリーズ構成:川崎ヒロユキ
7.勇者指令ダグオン
1996年(平成8年)2月3日‐1997年(平成9年)1月25日(全48話)
監督:望月智充・シリーズ構成:荒木憲一
8.勇者王ガオガイガー
1997年(平成9年)2月1日‐1998年(平成10年)1月31日(全49話)
監督:米たにヨシトモ・シリーズ構成:五武冬史
※シリーズ唯一のステレオ放送作品。
  • Number.44「終焉序曲」で名古屋テレビ制作全国ネットアニメ通算1,000回目の放送を迎えた。
勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING
2005年(平成17年)4月11日6月27日(全12話)
監督:米たにヨシトモ
OVA『勇者王ガオガイガーFINAL』をテレビ放送用に再編集した物。この作品のみテレビ東京で月曜25時台後半に放送された。

放映時間・放映期間

放送は、名古屋テレビをキー局にテレビ朝日系で行なわれた。第1作『勇者エクスカイザー』前半の約8ヶ月間のみ、かつて「ガンダムシリーズ」などが放送された毎週土曜日の17時30分からの30分枠で放送されたが、1990年10月からはニュース枠拡充に伴い、毎週土曜日の17時からの30分枠での放送となった(但しABCテレビのみ例外で、『勇者王ガオガイガー』の途中までは毎週金曜日の17時から先行放送。それ以降は金曜16時30分開始。)。

原則として、2月初旬に始まり、翌年1月下旬に終わる。1年間の放映期間はシリーズ通して共通だが、放映開始・終了期間には例外も存在する。以下にその例外を記す。

  • 『太陽の勇者ファイバード』は2月から翌年2月初旬まで。
  • 『勇者特急マイトガイン』は1月から翌年1月まで。

ネット局

太字=クロスネット局が優先ネットを組んだ系列

  • NBN 名古屋テレビ放送(サンライズとの共同制作局)
  • ANB(現・EX) テレビ朝日
  • HTB 北海道テレビ放送(『勇者エクスカイザー』の34話から48話まで[9]及び『太陽の勇者ファイバード』の1話から9話まで毎週金曜17:00から先行放送されたが、10話以降は毎週土曜17:00に変更)
  • ATV 青森テレビ(TBS系)→ABA 青森朝日放送
  • IBC岩手放送(TBS系)(『勇者エクスカイザー』のみ月遅れ・別時間帯で放送)→ IAT 岩手朝日テレビ(ANN系列)
    • 新設当時の本放送開始前の試験放送期間中に、『勇者指令ダグオン』を途中から連日放映。局が正式に放送開始になると、1996年10月5日放映の第35話「電撃登場ダグサンダー」から『勇者王ガオガイガー』最終話までをリアルタイム放送。初代から『勇者指令ダグオン』第35話までの中断期間約5年9ヵ月。総合放映期間約2年3ヵ月。2007年現在、『太陽の勇者ファイバード』から『勇者指令ダグオン』(未放送部分)の放送予定無し。
  • KHB 東日本放送
  • ABS 秋田放送(日本テレビ系)(『勇者エクスカイザー』第1話から『太陽の勇者ファイバード』最終話まで時差放送)→AAB 秋田朝日放送
    • 『伝説の勇者ダ・ガーン』の第3クール目の終わり付近から『勇者王ガオガイガー』最終話までリアルタイム放送。なお、AABで途中から放送を開始した『伝説の勇者ダ・ガーン』はAABで1994年頃に第1話から最終話まで改めて放送される。
  • TUY テレビユー山形(TBS系)→YTS 山形テレビ
  • KFB 福島放送
  • NT21(現・UX) 新潟テレビ21
  • TSB テレビ信州(当時日本テレビ系・テレビ朝日系クロスネット)→ABN 長野朝日放送
  • YBS 山梨放送(日本テレビ系)(『勇者エクスカイザー』のみ)→UTY テレビ山梨(TBS系)
  • BBT 富山テレビ放送(フジテレビ系)
    • ただし、『勇者特急マイトガイン』のみKNB 北日本放送(日本テレビ系)。『勇者指令ダグオン』を以ってシリーズ途中で打ち切り(従って『勇者王ガオガイガー』は未放送となった)。
  • ITC 石川テレビ放送(フジテレビ系)→HAB 北陸朝日放送
  • FBC 福井放送日本テレビ系・テレビ朝日系クロスネット)『勇者エクスカイザー』『太陽の勇者ファイバード』のみ放映
  • SATV 静岡朝日テレビ
  • ABC 朝日放送
    • 当時、関西ローカルの『部長刑事』シリーズを土曜夜7時30分枠にて放映していた関係で、同時刻のテレビ朝日系列全国ネット番組を土曜夕方5時枠で先行放映していたことで、当シリーズは系列局で唯一金曜日17:00(末期は16:30)から先行放送された。夏休み期間中は関西ローカルで『全国高等学校野球選手権大会』を中継するため3 - 4試合開催日は番組を休止し、放送できなかった分は大会終了後に『子供アニメ大会』枠内で時差放送していた。
  • KSB 瀬戸内海放送
    • 夏休み期間中(7月中旬ごろ)に『全国高校野球地区予選 香川・岡山ハイライト』を放映し、番組を休止。『勇者警察ジェイデッカー』までは休止した回は平日の夕方に遅れ放送していたが、『黄金勇者ゴルドラン』以降の作品は休止した回の遅れ放送をせず、このまま飛ばして放送した。また、『勇者指令ダグオン』に至っては、1996年2月10日に起こった北海道の豊浜トンネル岩盤崩落事故の臨時ニュースが流れ、番組は休止。他局では後日別の時間帯に遅れ放送していたが、KSBだけは休止した回の遅れ放送をせず、このまま飛ばして放送した。
  • HOME 広島ホームテレビ
  • TYS テレビ山口(TBS系)→YAB 山口朝日放送
  • JRT 四国放送(日本テレビ系)
    • 『勇者特急マイトガイン』と『勇者王ガオガイガー』は未放送。
  • EBC テレビ愛媛(フジテレビ系)→EAT 愛媛朝日テレビ
  • KUTV テレビ高知(TBS系)
    • 『勇者王ガオガイガー』の終盤数話は打ち切りのため未放送。
  • KBC 九州朝日放送
  • NCC 長崎文化放送
    • 『勇者エクスカイザー』は開局の2ヶ月前に放送開始しているため4月1日開局時から7日の本放送直前まで集中放送を実施。それ以降は通常放送。
  • KAB 熊本朝日放送
  • OBS 大分放送(TBS系)(『伝説の勇者ダ・ガーン』の途中を以って打ち切り)→92年10月から1年間大分では未放送→OAB 大分朝日放送
  • UMK テレビ宮崎フジテレビ系・日本テレビ系・テレビ朝日系クロスネット)
    • ただし、『勇者特急マイトガイン』のみMRT 宮崎放送(TBS系)で本放送終了後に放送。
  • KKB 鹿児島放送
  • RBC 琉球放送(TBS系)→QAB 琉球朝日放送

DVDソフト化

  • 現在までにTVシリーズの全作品がDVDで発売されているが、単品発売が行われた『ガオガイガー』以外はいずれも「DVD-BOX」としての発売のみである。
  • レンタルは第1作の『勇者エクスカイザー』が、2008年1月より各巻6話ずつ全8巻で開始されている。

ラジオ

テレビでの放送と平行してラジオ番組が放送されており、番組内で放送されたドラマについてはCDが発売されている。

  • 勇者指令ダグオン
  • 勇者王への道
    • 1997年(平成9年)4月‐1997年(平成9年)9月 文化放送
    • 子安武人によるディスクジョッキーと1クール目は作品関係者を招いたトーク、2クール目はドラマを放送
      • 伝説の勇者ダ・ガーン「ミステリアス・ツアー」
      • 勇者特急マイトガイン「嵐を呼ぶハネムーン」
      • 太陽の勇者ファイバード「ユリちゃんに愛の花束を…」

オリジナルビデオアニメシリーズ

勇者指令ダグオン 水晶の瞳の少年
1997年10月12月(全2話)
勇者王ガオガイガーFINAL
2000年1月2003年3月(全8話)

テレビゲーム

タカラより、以下のゲームがクロスオーバー作品として現在までにリリースされている。

新世代ロボット戦記ブレイブサーガ
発売日:1998年12月17日プレイステーション用ソフト
ブレイブサーガ2
発売日:2000年5月2日・プレイステーション用ソフト
ブレイブサーガ 新章 アスタリア
発売日:2001年1月26日ゲームボーイカラー用ソフト
シリーズを通してオリジナルタイトル『勇者聖戦バーンガーン』が登場。
新世紀勇者大戦
発売日:2005年2月17日プレイステーション2用ソフト
オリジナルタイトル『量子跳躍レイゼルバー』が登場。

このほかテレビシリーズ単独作品としては『勇者王ガオガイガー』が1999年にプレイステーション用ソフトとして、またアイレムからは『太陽の勇者ファイバード』が放送期間中にゲームボーイファミリーコンピュータ用ソフトとしてゲーム化されている。

幻の9作目

一般的に、勇者シリーズは『勇者王ガオガイガー』をもってシリーズは終了予定だったとされるが、その一方で後年に出た各種書籍において、『フォトグライザー』と呼ばれる『ガオガイガー』の後番組の企画の存在が明らかにされている。

コンセプトとしては、デジタルカメラ双眼鏡などといった身近なアイテムが、デフォルメロボへと変形。さらにこれが動物やビークルモチーフのメカと合体することでリアルな等身のヒーローロボットとなるというものである。

このデフォルメロボは1/1サイズとして主人公と行動を共にするなどと設定されていたようで、勇者シリーズの基本コンセプトである「純然たる子供向けアニメを作る」という路線に立ち返ったものとなっている。しかしこの企画は勇者シリーズ自体の終了によりお蔵入りになる。

勇者シリーズ15周年企画

2005年2月に生誕15周年を迎えた勇者シリーズを記念し、2004年7月 - 2006年11月にかけて、シリーズ全作(OVAも含む)がセルDVD化され、関連書籍・ゲーム・玩具等も特に力を入れて売りだされた。公式サイトが開設されたのもこの時期である。

15周年の記念作として同年4月11日から6月27日までの3ヶ月間OVA版を再編集をした『勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING』がテレビ東京で放送された。

勇者シリーズでは『エクスカイザー』・『マイトガイン』・『ダグオン』(ただしセルでは全話収録されている)のレンタル用スペシャルセレクションで収録されていない話と『ゴルドラン』の後半を除く全作・全話がレンタルVHSLD(『ファイバード』・『ダ・ガーン』・『マイトガイン』まではBOXも発売)化されたほか、2008年1月25日より『エクスカイザー』のDVDがレンタル化された。

楽曲

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勇者シリーズ20周年記念企画

脚注

注釈

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出典

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関連項目

脚注

  1. 『勇者シリーズ コンプリートマニュアル』2頁。
  2. 2.0 2.1 『電撃B-Magazine 1998年10月号』43頁。
  3. アニメージュ』2005年7月号
  4. 4.0 4.1 『電撃B-Magazine 1998年10月号』46頁。
  5. 『勇者シリーズ コンプリートマニュアル』41頁。
  6. 氷川竜介『世紀末アニメ熱論』キネマ旬報社、2000年、p70
  7. 7.0 7.1 『電撃B-Magazine 1998年10月号』42頁。
  8. 『勇者シリーズ コンプリートマニュアル』190頁。
  9. 45話以外

外部リンク

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