準急列車

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準急列車(じゅんきゅうれっしゃ)は、停車駅が急行列車または快速列車より多く普通列車より少ない列車のこと。準急行列車(じゅんきゅうこうれっしゃ)ともいい、略して準急(じゅんきゅう)という。

通常英訳には「Semi Express」および、略語「Semi-Exp.」が当てられるが、事業者によっては「LOCAL EXP」と表記される。

本項では、以下ともに総括して詳述する。

  • かつて日本国有鉄道(国鉄)で運行されていた、優等列車長距離列車)としての準急列車
  • 国鉄線内は準急、私鉄線内は特急として運行されていた「特別準急」
  • 現在私鉄で運行されている、料金不要の普通列車としての準急
  • 鉄道以外の準急

国鉄

国鉄では戦前と戦後の一時期に準急列車が設定されていた。 戦前の列車は運賃のみで乗車できたのに対し、戦後のものは準急料金が徴収されるなど、その性質が異なる。

戦前の準急列車

1926年(大正15年)9月に東海道本線東京駅 - 名古屋駅、名古屋駅 - 神戸駅間に設定された列車が「準急」を名乗ったのが始まりである[1]。この当時は比較的長距離を、運賃以外の料金が不要で急行列車よりやや劣る速度で走る、現在の快速列車に相当するサービス的列車であった[2]。したがって、「準急」は現在の快速列車の当時の呼称ともいえ、一部の地域では同様の列車が既に「快速列車」・「快速度列車」とも呼ばれていたとされる。

その後は長 - 短距離で同種の列車が設定された。戦前の黄金期といえる1934年(昭和9年)12月の改正当時の特徴的な列車としては、次のようなものがあげられる。

また翌1935年(昭和10年)12月には、関西本線の湊町駅(現、JR難波) - 名古屋駅間を3時間1分で結ぶ列車も設定されている。なお急行「かすが」が2006年の廃止直前時点で名古屋駅 - 奈良駅間を約2時間10分で結んでいたが、天王寺駅方面から奈良駅までを走る快速の所要時間を加味すると、70年前の当時とほとんど変わりが無い。

さらに鉄道省では関東大震災昭和金融恐慌世界恐慌などの影響を受けて日本が深刻な不況に陥り、それを受けて利用客の減少に悩まされていたことから、イメージアップと呼び込みを兼ねてシーズンになると観光地へ向けて臨時の準急列車をいくつも走らせた[2]。その中には、当時正式には特急列車にしか付けられていなかった列車愛称を地方局独自でつけていたものもあった。代表的なものに下記がある。

しかしこれらの列車は、1937年(昭和12年)の日中戦争開戦後、戦時体制が強まるにつれて同年12月15日に廃止された。

戦後の準急列車

戦後1946年(昭和21年)11月、上野駅 - 金沢駅間と上野駅 - 秋田駅間に再び「準急」と名乗る列車が登場した。「急行」として運転するには設備・車両が不十分であるという理由から設定され、この時から「準急料金」というものが定められて「優等列車」となった。しかし当時は運転事情が安定せず、翌1947年(昭和22年)の1月から6月にかけて石炭・車両事情の悪化から一時消滅し、6月から再び中央本線日豊本線山陰本線予讃本線土讃本線などに設定されている[2]

その後は比較的近距離(300km未満)の区間に設定され、急行列車の補助としての役割を果たしていくが、昭和30年代には次のような急行を凌ぐ列車も設定されている。

  • かすが (関西本線)名古屋駅 - 湊町駅間運転。
    • 1949年(昭和24年)9月に関西本線には3往復の準急列車が設定されるが、その内1往復が1955年(昭和30年)7月に日本初気動車による準急列車となる。翌年7月にはすべての準急列車が気動車に置き換わった。1956年(昭和31年)11月当時は、東海道本線の特急が名古屋駅 - 大阪駅間を2時間30分 - 35分、急行が3時間 - 3時間15分で走る中、2時間47分 - 3時間で走破していた。当時は近畿日本鉄道(近鉄)も大阪線と名古屋線の軌間相違から伊勢中川駅での乗り換えを要したため、名阪間の輸送においては最も優位に立っていた。1958年(昭和33年)11月に「かすが」と命名されている。1966年(昭和41年)3月、急行列車に昇格(近鉄と競合する国鉄・JR線の優等列車も参照)。
  • 日光 (東北本線、日光線)上野駅 - 日光駅間運転。
    • 1956年(昭和31年)10月に、戦前同様競争状態にあった東武鉄道との対抗馬として、客車列車と同水準の設備を持ったキハ55系気動車を使用し運転を開始する。当初、上野駅 - 日光駅間を2時間で結んだ。東武鉄道の優等列車の始発が浅草駅であるのに対し、国鉄は上野駅でアクセスのよさでは格段の差があり、運賃も安かったこともあって東武鉄道に大きな痛手を負わせる事に成功する。翌1957年(昭和32年)10月には東京駅始発となり、利便が図られた。1959年(昭和34年)9月に宇都宮 - 日光間が電化されたのに伴い、「日光」は特急列車並の設備を持った157系電車に置き換えられた。1966年(昭和41年)3月、急行列車に格上げとなる(国鉄・JR日光線の優等列車も参照)。
  • ひかり鹿児島本線、日豊本線、豊肥本線博多駅門司港駅 - 小倉駅 - 大分駅 - 熊本駅間運転。
    • 1958年(昭和33年)4月、博多駅 - 小倉駅 - 別府駅間に気動車(キハ55形)の臨時急行列車として設定。同年8月に運転区間を前述のように拡大した上、定期の準急列車となる。準急といっても気動車であるから、例えば小倉駅 - 大分駅間では「サン・ロク・トオ」と呼ばれた1961年(昭和36年)10月改正当時、急行列車「日向」・「高千穂」などが同区間を約2時間50分で運転していたのに対して、「ひかり」は2時間9分で走破し俊足を見せ付けた。1962年(昭和37年)10月に急行に格上げとなる。この2年後、「ひかり」の愛称名も東海道新幹線の速達列車に使われることになり、「ひまわり」・「くさせんり」へ改称されることになる。

急行の準急への格下げ

なお、急行列車の一部区間のみ「準急」として運行する事例が存在した[3] 。この場合の料金は、急行区間のみを利用する場合は急行料金を、準急区間のみを利用する場合は準急料金を、急行区間と準急区間を跨って利用する場合は全乗車区間の営業キロに対応する急行料金をそれぞれ徴収していた。

この初例として一般にいわれているテンプレート:誰ものは、函館本線を運行した急行列車「あかしあ」である。この列車は当初函館駅 - 札幌駅間を運行する急行列車として設定されたが、運行区間を旭川駅まで延長した際に従来小樽駅 - 旭川駅間を運行していた準急列車「石狩」のダイヤを踏襲する関係から小樽駅を境に函館駅 - 小樽駅間を急行列車、小樽駅 - 旭川駅間を準急列車の扱いとした[4]。このため、函館駅 - 旭川駅間など小樽駅を通過して乗車する際には「急行・準急券」が発行された。 テンプレート:Main

また、こうした施策は支線直通急行列車に用いれることが多かった。たとえば、中央本線で運行していた急行「天竜」は、中央本線内(新宿 - 辰野間)は急行、飯田線内(辰野 - 天竜峡間)は準急となっていた。また、急行「白馬」は、中央本線・篠ノ井線内(新宿 - 松本間)は急行、大糸線内(松本 - 信濃森上間)は準急となっていた[5]テンプレート:Main

準急列車の廃止とその後

1966年(昭和41年)3月に、準急行券の販売を営業キロ100kmまでに制限し、その額をその距離の急行料金と同額にした[2]。また、準急行券での急行の利用(100km以下の利用)、急行券での準急の利用を、それぞれ可能とした。これにより100kmを超えて走行する準急はすべて急行列車となった。

そして、「ヨン・サン・トオ改正」と称される1968年(昭和43年)10月のダイヤ改正で、残った準急列車も全て急行列車に統合され、これをもって国鉄の準急列車は消滅した。準急という列車種別は消滅したものの、かつての国鉄の準急列車の多くは、JRの特急列車のネットワークに形を変えて現在に引き継がれている。

特別準急

かつて存在した列車種別として「特別準急」がある。これは、国鉄乗り入れの際に準急として運行されるが、自社線内は特急扱いで運行された列車のことで、以下の会社・路線・列車で使用されていた。

また国鉄準急のうち、157系電車を使用したものがこのように称されたこともあった。これについての詳細は国鉄157系電車の項を参照のこと。

なお、かつては名古屋鉄道南海電気鉄道においても、国鉄に乗り入れて国鉄線内で準急列車として運転される有料の気動車列車が存在したが、そこでも自社線内では「特急」として運転された。ちなみに小田急とは異なり、自社線内では旅客案内上も名鉄では「座席指定特急」、南海では「特急」であった。

私鉄・地下鉄

現在、準急という種別の列車は私鉄地下鉄の一部で運行されている。また、「準急」の名がつく派生種別を運行している事業者もある。

扱いについては各事業者一様ではないが、多くの事業者に共通することは、普通列車のうち原則として通過運転を行なう列車で最も停車駅の多い種別という扱いになっている[6]。なお、優等列車として準急料金が必要な列車(いわゆる旧国鉄に相当する列車)は現存しない。

2010年現在では津軽鉄道名古屋鉄道[注釈 1]と、阪急電鉄近畿日本鉄道のうち一部のもの[注釈 2]を除いた、大半の私鉄の準急が都市部付近では急行(西武池袋線阪急京都本線は快速)と同じ停車駅で運行し、郊外では各駅停車になる、区間急行的な種別として設定されており、急行や区間急行と並行して設定されている路線では一部の例外を除き、急行運転区間では急行と同じかそれよりもこまめに停車し、区間急行よりも通過運転区間が短い種別として設定される傾向にある[6]

小田急線の準急も、登戸駅を境に、都市部付近では急行と同じ停車駅で運行し、郊外では各駅停車になる、区間急行的な種別として設定されている。上り方面行き(新宿駅行き又は東京メトロ千代田線直通綾瀬駅行き)に関しては、登戸駅以西の駅(新百合ヶ丘駅町田駅など)では「登戸まで各駅に停まります」とアナウンスされるが、実質、登戸駅の1つ前である向ヶ丘遊園駅から急行運転とみなされており[注釈 3]、同駅からの複々線区間では原則、内側の急行線を走行する(反対に、下り方面では登戸駅から各駅停車同様のアナウンスに切り替わる)。近年この種別は小田原線のみでの運行であったが、2014年ダイヤ改正にて多摩線(新百合ヶ丘駅~唐木田駅)にも新設された。但し、2014年現在、多摩線を走行する準急列車は平日朝の下り(新宿駅発、唐木田駅行き)1本のみの運行となっている。

東急田園都市線の準急は一般的な私鉄の準急とは逆で、郊外側の長津田駅(一部中央林間駅始発)から二子玉川駅まで急行運転を行い、二子玉川駅から先の渋谷方面(都市側、東京メトロ半蔵門線内を含む地下の区間)で各駅停車になる。これは旧新玉川線区間(二子玉川~渋谷間、田園都市線が地下を走る区間)において、改正前まで各駅停車の乗客が途中の桜新町駅における急行の通過待ちを嫌って急行電車に殺到することにより混雑率の増大ならびに列車遅延が発生していたことを踏まえ、この通過待ちをなくすために新玉川線内を各駅に停車させることで混雑率の均等化を図り、路線全体の遅延を抑制することを狙ったものである[7]。行き先はほとんどの列車が押上駅或いは手前の清澄白河駅止まりであるが、東武伊勢崎線に直通する列車3本はいずれも久喜駅行きで、押上駅から先の東武伊勢崎線内では急行列車となる。

阪急京都線で2001年まで運転されていた茨木市駅発(土曜日は高槻市駅発)梅田駅行き準急もほぼ同様で淡路駅までは急行(現快速急行)、淡路駅からは各駅停車となる[注釈 4]

東武伊勢崎線には、2003年まで準急(現・区間急行)の内A・Bと称される列車も運行された[8]。ただし、Aは日中の伊勢崎発着のみが設定されていたが、Bは東武日光線直通列車を含め全時間に設定され、複々線を擁する北千住駅 - 北越谷駅間では急行線の基礎列車の役割も果たしていた。

名古屋鉄道では路線ごとに性格が異なり、犬山線と瀬戸線のものは他社でよく見られるような、都市部付近では急行停車駅に停車して郊外側では各駅に停車、というようなパターンで、そのほかの路線については、名古屋本線では8駅、常滑線では2駅、西尾線では1駅、急行よりも停車駅が多くなっている。また、豊川線・河和線・空港線・津島線(上りにのみ設定)・尾西線(佐屋駅 - 須ヶ口駅間の上りにのみ設定)においても準急が設定されているが、これらの路線内での停車駅は急行と同一である[9]

南海電気鉄道泉北高速鉄道では準急列車を表記上は「準急」、アナウンスでは「準急行」と使い分けている[10]

京阪電気鉄道では他の私鉄の一般的な種別立てと異なり、急行より下位、区間急行より上位という位置づけとなっている[11]。そのためか、本来の準急の英語名「Semi Express」は区間急行に割り当てられ、準急には本来区間急行で使われる「Sub Express」の英語名が割り当てられている。

阪神電気鉄道においては、阪神なんば線内は各駅に停車し近鉄奈良線に乗り入れる、尼崎発着の準急のみが設定されている[12]2009年3月19日までは、本線でも運行されていた[13]。本線での準急は、ラッシュ時に各駅停車用車両が不足することと、一部の駅のホームの有効長が4両分しかないなどの事情から「主にラッシュ時に運転される、6両編成の急行用車両を用いた普通を補完するための列車」という位置づけだった。前述のホーム有効長の問題と高加減速性能を有する各駅停車用車両を使用した普通列車との性能差を調整するためにごく一部の駅を通過扱いにしているだけで、二駅連続して通過する区間が皆無である[注釈 5]

準急列車を運行する鉄道事業者および路線

運行事業者 運行線区 他の優等列車 備考
通過駅あり 各駅に停車 準急の
派生種別
その他の優等種別の有無
津軽鉄道 津軽鉄道線 なし なし
西武鉄道 新宿線 拝島線 なし あり 英訳はSEMI EXP.(またはSemi Exp.)
新宿線は平日は早朝から朝ラッシュ時と深夜、夕ラッシュ時の上りのみ運転、土休日は早朝と深夜のみ運転
拝島線は平日の下りは朝のみ、上りは朝夕のみ運転
池袋線 有楽町線狭山線 あり あり 英訳はSEMI EXP.(またはSemi Exp.)
派生種別として通勤準急(英訳:COM SEMI EXP.)がある。
東京地下鉄 半蔵門線 なし あり 東武伊勢崎線への直通運転
千代田線 なし あり 小田急線への直通運転
東武鉄道 伊勢崎線 日光線 あり あり
東上線 なし あり 英訳はSEMI EXP.(またはSemi Exp.)
東京急行電鉄 田園都市線 なし あり 平日夕ラッシュ時を除く
小田急電鉄 小田原線 多摩線 あり あり 平日は朝夕ラッシュ深夜の上り、土休日は下りは朝、上りは深夜1本のみ
名古屋鉄道 瀬戸線 なし あり 英訳は「Sub Express」(表記は「Sub EXP.」)
新型車両への置き換えによって「Semi Express」へ移行中
名古屋本線
常滑線
河和線
犬山線
西尾線
津島線
豊川線
空港線
尾西線
なし あり 正式名称は「準急行列車」[14]
英訳は「Semi Express
近畿日本鉄道 大阪線   あり あり 英訳はSEMI-EXP.
奈良線は日中と深夜以外運転
京都線は平日は朝、夕のみ運転、土休日は1往復のみ運転
吉野線は土休日下り1本、上り2本のみ
御所線は朝の上りのみ運転
奈良線 難波線 あり あり
京都線 なし あり
名古屋線 なし あり
南大阪線 吉野線
御所線
長野線
なし あり
京阪電気鉄道 京阪本線 鴨東線
中之島線
あり あり 英訳は「Sub-express」(表記は「Sub-exp.」)
南海電気鉄道 南海本線 なし あり 平日朝ラッシュ時に羽倉崎駅発が2本と春木駅発が1本(いずれも難波駅行き)のみ運転
高野線 なし あり 基本的に難波駅 - 中百舌鳥駅間で中百舌鳥駅から泉北高速鉄道に乗り入れる。ただし平日朝ラッシュ時に三日市町駅発が1本と河内長野駅発と千代田駅発が2本の難波行きが、また平日深夜に難波駅発三日市町駅行きが1本設定されている。
泉北高速鉄道  泉北高速鉄道線 なし あり 南海高野線からの直通運転であり、自社線内は各駅に停車する。 上りに限り準急の他に区間急行を設定
阪急電鉄 神戸線
今津(北)線
あり あり 英訳はSemi-Exp.
平日朝ラッシュ時のみ宝塚駅梅田駅間のみ運転、また線形の都合上、特急停車駅である西宮北口駅を通過する。
宝塚線 箕面線 あり あり 英訳はSemi-Exp.
派生種別として通勤準急がある(箕面線は通勤準急のみ)。
通勤のつかない準急は平日朝ラッシュ時宝塚駅→梅田駅間のみ運転
京都本線
千里線[注釈 6]
あり あり 英訳はSemi-Exp.
一度廃止されたが、2007年3月のダイヤ改正で「急行」の格下げにより復活。
派生種別として堺筋準急がある(ただし運行表示幕は「準急」)。
大阪市交通局
大阪市営地下鉄
堺筋線 なし 臨時列車のみ 平日の朝・夕ラッシュ時と土休日の昼間運転(使用車両は阪急車のみ)
阪急京都線河原町駅の直通運転
阪神電気鉄道 阪神なんば線 あり あり 近鉄奈良線・難波線からの直通列車のみであり、自社線内は各駅に停車する。阪神なんば線開通前は本線でも運行されていた。
神戸電鉄 有馬線 三田線
粟生線
神戸高速線
なし あり

過去には上信電鉄秩父鉄道京王電鉄京王線京阪京津線福井鉄道北陸鉄道石川線高松琴平電気鉄道琴平線西日本鉄道にも存在していたが、廃止されている。そのほか、東京メトロ有楽町線においても地下鉄線内の速達目的で運転されていたが、2010年3月6日のダイヤ改正で廃止されている[15]箱根登山鉄道では小田急線に直通する準急列車を運行していたが、2008年3月のダイヤ改正で廃止された[16]

準急の派生種別

ファイル:Hankyu tsukin-junkyu mq.jpg
阪急電鉄宝塚線・箕面線の通勤準急表示例
ファイル:Section Semi Express of OER 3000.jpg
小田急多摩線を走る区間準急
ファイル:Kintetsu1020Series01.jpg
近鉄奈良線の区間準急

準急の派生種別として通勤種別通勤準急[注釈 7]や、準急よりもさらに通過駅が少なく各駅停車区間が長い区間準急(「Section Semi Express」「Suburban Semi Express」)がある。

小田急小田原線では、快速準急と称する列車種別も存在した(1971年に運行終了)。これは、同線の準急を昼間時に速達化する目的で運行されていたもの(停車駅は当時の急行停車駅に経堂、休日ダイヤではこれに加えて読売ランド前と鶴川に停車)である。

通勤準急

通勤時間帯に運行される列車種別であり、以下の会社・路線で運行されている。

阪急宝塚本線で運行されている通勤準急は、朝ラッシュ時に運行される箕面線からの直通急行を、本線の急行と区別するためにつけられているもので、停車駅は、箕面から豊中までの各駅と十三、梅田のみで急行と変わりがない[17]。準急の停車する岡町、曽根、中津は停車しない。

西武池袋線で運行されている通勤準急は、急行停車駅である石神井公園に停車しない準急である[18]。朝ラッシュ時に所沢小手指発池袋行きの上り列車が運転されている。同時間帯には地下鉄線へ直通する通常の準急も運転されている。

西武池袋線は、石神井公園、大泉学園保谷ひばりヶ丘と5万人以上の乗降客のある駅が続くため、大泉学園、石神井公園での乗降客の分散化を目的に運転。いずれの列車もひばりヶ丘で急行の追い抜きがある。2008年6月14日のダイヤ改正までは練馬も通過していた。かつては飯能始発上りや池袋発小手指・所沢行きの下りなども設定されていた。

京阪電気鉄道では2008年10月19日ダイヤ改定に伴い、2008年10月20日から運行を開始した。平日朝ラッシュ時に淀屋橋行きと中之島行きを運行する。停車駅は改正後の準急の停車駅から守口市を除いたもので、京橋 - 萱島間が無停車で、その先は各駅に停車する。なお、同改正以前は、準急は時間帯によって守口市を通過するものと停車するものの両方が存在しており(以前は日中以外は守口市を通過していた)、この改正で守口市を通過する準急を「通勤準急」として独立させたものである[19]

過去には東武鉄道(本線系統のみ)が2003年3月19日から2006年3月17日まで設定していた(停車駅は現在の急行と同じ)。また小田急電鉄や京成電鉄でも設定されていた。なお、通勤準急の名称を最初に使用したのは京成電鉄であった(1955年頃)。

また、小田急電鉄では通勤準急とは称されないものの平日朝ラッシュ時に乗降客の分散化を目的に、通常は停車駅である経堂駅を通過する準急が存在する[20]

区間準急

区間準急という種別は以下の路線で運行されている。

運行事業者 運行線区 備考
通過駅あり 各駅に停車
東武鉄道 伊勢崎線 日光線 運行時期により、停車駅・運行区間の設定に差違が生じている。
  1. 1997年の登場時は、北千住駅発着で、北千住駅 - 新越谷駅[注釈 8]
  2. 2003年より営団(→東京メトロ)半蔵門線及び東急田園都市線直通で曳舟駅 - 新越谷駅間
  3. 2006年より浅草駅・北千住駅(つまり東武線内)発着で北千住駅 - 新越谷駅間

英語表記は、SECTION SEMI EXP.

小田急電鉄 小田原線 多摩線

小田原線複々線化工事に伴う東北沢駅待避設備撤去により、新宿から複々線区間の入口である梅ヶ丘駅までの間を上位種別の列車から逃げ切り運転することを目的に、普通列車を格上げする形で新設された。
設定された事情が他社の同種別とは異なるため、全運転区間に対する通過運転区間の割合が非常に短い点が特徴である。
英語表記は、SECTION SEMI EXP.

近畿日本鉄道 奈良線 難波線 阪神なんば線の区間準急が直通乗り入れしている。
日中と深夜(土休日の上りはない)運転
英語表記は、SUB. SEMI-EXP. (正式: Suburban Semi-Express)。
大阪線 日中と早朝の上りに運転
英語表記は、SUB. SEMI-EXP. (正式: Suburban Semi-Express)。
阪神電気鉄道 阪神なんば線 近鉄奈良線の区間準急が直通乗り入れしている。なお、阪神線内は各駅に停車する[21]
日中と深夜(土休日の上りはない)運転。
英語表記は、SUB. SEMI-EXP. (正式: Suburban Semi-Express)。

過去には西武鉄道でも設定されていた(池袋線において1998年改正より2003年改正まで)が、廃止されている[22]。この列車は準急が通過する練馬 - 石神井公園間を各駅に停車するもの(つまり通過運転区間は池袋 - 練馬のみ)で、有楽町線への直通列車設定で朝ラッシュ時に西武池袋発着の各駅停車が減少する途中駅救済の意味合いがあったテンプレート:要出典。廃止後も行先表示器の字幕自体は新タイプを含めそのまま存在している。 なお、ダイヤが乱れている等で池袋線と有楽町線・副都心線との直通運転を中止した時に、練馬 - 石神井公園間に停車する列車が激減することを救済する目的で準急電車が練馬以降各駅停車なる場合には、池袋駅で『区間準急』と案内されることがある。

日本国外の同種列車

日本国外の列車は日本の列車種別を明確に当てはめることは難しいが、台湾台湾鉄路管理局における座席指定優等列車である復興号は日本国有鉄道(国鉄)の準急列車に相当する列車種別として扱われることがある。ただし運賃制度上は座席指定の有無以外は区間車・区間快車と同格であるため[23]、全席指定の快速列車に相当する場合もある[24]

漢字表記について

大半は「準急」の表記を使用するが、過去に西日本鉄道天神大牟田線で運転されていた列車は「准急」の表記を使用していた(西鉄天神大牟田線#准急を参照)。

路線バスにおける準急

テンプレート:See also 路線バスにおいては下記の会社・路線にて運行されている。

神姫バス11系統 (準急)新三田駅 - センチュリープラザ前 - 関西学院前 - 美奈木台 - 渡瀬
        55系統 (準急)新三田駅 - センチュリープラザ前 - 三田西陵高校前 - 関西学院前 - 相野駅 - つつじが丘北口

注釈

  1. 例外として、犬山線と瀬戸線に限り各駅停車となる区間が存在する。
  2. 阪急宝塚本線と近鉄の名古屋線・京都線以外の準急が存在する路線は準急が通過運転を行う区間でも急行よりも停車駅が多い。
  3. 実際、向ヶ丘遊園駅到着直前の段階で、「この電車は準急○○行きです」とアナウンスされる。
  4. ただし中津駅は京都線にホームがないので通過
  5. 尼崎発甲子園行で途中通過駅が1駅(尼崎センタープール前駅)だけという列車も存在した。
  6. 阪急千里線では堺筋線直通(天神橋筋六丁目駅 - 淡路)のみで運行されているが、日本万国博覧会(大阪万博)開催期間中は梅田・堺筋線方面 - 北千里駅間の直通も運行されていた。
  7. 現行ではほとんどの鉄道事業者においては英文表記に「Semi Express」を用いるが、京阪電気鉄道では「Commuter Sub-express」を用いる。
  8. 登場時から深夜に一本だけ浅草駅発が設定されていたが、それだけは一貫して浅草駅 - 北千住駅間を各駅停車している。

参照元

  1. 出典:『国鉄準急列車物語』(キャンブックス刊)
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 準急行券 http://kametani.net/3/3_1.htm
  3. Rail Art:準急運行当時の時刻表が確認できる。 http://w01.tp1.jp/~a073009361/
  4. 当時の時刻表 http://w01.tp1.jp/~a073009361/JIKOKU/oldexp/taisetsu2.htm#y5611
  5. 当時の時刻表 http://w01.tp1.jp/~a073009361/JIKOKU/oldexp/tenryu.htm#y69
  6. 6.0 6.1 私鉄各社のホームページにある「停車駅案内」などで確認できる
  7. 朝ラッシュ時(渋谷着8時台)、田園都市線上り急行を「準急」にします http://www.tokyu.co.jp/railway/hot/0703/densya01.html 東京急行電鉄、2007年3月。
  8. A準急消滅 http://homepage2.nifty.com/takasuzuki/semiexp.htmテンプレート:出典無効
  9. [1]から入り、各路線の停車駅表示にて記載
  10. 参考動画 http://www.youtube.com/watch?v=30yaE0ySmi8&feature=relmfu
  11. 京阪電気鉄道 停車駅案内 http://www.keihan.co.jp/traffic/station/pdf/rosenzu_20110528.pdf
  12. 阪神電気鉄道 停車駅案内(種別をクリックすると確認できる)http://rail.hanshin.co.jp/station/
  13. 平成21年1月16日 阪神電気鉄道株式会社 プレスリリース http://www.hanshin.co.jp/company/press/pdf/20090116-2.pdf
  14. テンプレート:Cite book
  15. 東京メトロ 2010年2月3日 ニュースリリース http://www.tokyometro.jp/news/2010/2010-06.html
  16. 交通新聞社『2006 小田急時刻表』
  17. 停車駅のご案内 阪急電鉄 http://rail.hankyu.co.jp/station/rosen.html
  18. 西武鉄道 路線図・停車駅 http://www.seibu-group.co.jp/railways/railway/rosen/index.html
  19. 京阪電気鉄道 平成20年8月25日 プレスリリース http://www.keihan.co.jp/corporate/release/orig_pdf/data_h20/2008-08-25.pdf
  20. 小田急電鉄 停車駅案内(種別をクリックすると停車駅が確認できる) http://www.odakyu.jp/station/by_train/semi_express/
  21. テンプレート:PDFlink 阪神電気鉄道 2009年1月16日。
  22. 西武鉄道見聞録 http://www.geocities.jp/budoutou_c6h12o6/news/no_0068.htmlテンプレート:出典無効
  23. 交通新聞社 『トラベルMOOK 台湾鉄道パーフェクト』p.18
  24. 東京堂出版 谷川一巳『普通列車の謎と不思議』p.251 - 252

関連項目

テンプレート:日本における列車種別一覧