名鉄空港線

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|} 空港線(くうこうせん)は、愛知県常滑市常滑駅中部国際空港駅とを結ぶ名古屋鉄道(名鉄)の鉄道路線

概要

中部国際空港へのアクセス路線として名鉄常滑線から延伸して建設された。この路線は中部国際空港連絡鉄道第三種鉄道事業者として施設の建設・保有を行い、名古屋鉄道が第二種鉄道事業者として施設を借り受けて運営を行っている。

運賃計算区分はB(運賃計算に用いる距離は営業キロの1.15倍)で、さらに加算運賃を適用する。すべての駅でmanacaなどの交通系ICカード全国相互利用サービス対応カードが使用できる。

なお、『鉄道要覧』による起点は常滑駅だが、列車運行および旅客案内、列車番号の設定においては、中部国際空港駅から常滑駅へ向かう列車が下り、逆方向が上りとなっている。

路線データ

運行形態

2004年10月の空港関係者限定開業時は、常滑 - 中部国際空港間の線内折り返し列車のみが運行され、中間駅のりんくう常滑駅は通過していた。一般旅客の誤乗を避けるため種別幕には「回送」または「団体」が表示されていた。車両は3100系などの編成数に余裕があるものが使用されていた。

2005年1月の一般旅客向け営業開始から2008年12月のダイヤ改正までは、昼間時間帯に新鵜沼駅名鉄岐阜駅発着の快速特急(全車特別車)が毎時各1本、名鉄岐阜駅・豊橋駅発着の特急(一部特別車)が各毎時1本、犬山駅方面発着の急行新可児駅または各務原線経由名鉄岐阜駅発着。2008年6月までの平日夕ラッシュ時には御嵩駅発着の列車もあった)が毎時2本の1時間あたり合計6本運行された。このときから線内折り返し列車は設定されておらず、すべて常滑線へ直通している。

2011年3月のダイヤ改正時点で以下の列車が運行されている。「常滑線の運行形態」も参照。線内折り返し列車は普通列車を含めて運転されていない。

規制値を超える強風時は全線で運転を見合わせる。中部国際空港へ向かう全ての列車が常滑駅止まりとなり、空港線内はセントレアラインが通行止めにならない限り、バスによる代行輸送となる。

ミュースカイ

テンプレート:See also 2008年12月のダイヤ改正および、「特急政策の見直し」に伴い登場した新種別。改正以前、快速特急(全車特別車)として運行されたものがこれにあたる。

すべて全車特別車で、2000系(愛称:「ミュースカイ」)による専用運行。神宮前駅 - 中部国際空港駅間はノンストップで運行し、名鉄名古屋駅まで最速28分で結ぶ。

朝夕は新鵜沼駅・名鉄岐阜駅発着がそれぞれ毎時1本であるが、2011年3月26日のダイヤ改正より昼間(10-15時台)は名鉄岐阜発着の列車のみ、名鉄名古屋駅折り返しとなっている。名鉄名古屋駅 - 中部国際空港間では合わせて毎時2本30分間隔で運行される。同改正より前は、一部をのぞき終日新鵜沼駅・名鉄岐阜駅発着だった。

夕方のみ広見線新可児駅行き(犬山駅まで新鵜沼行きと連結)も設定されている。新可児行きは2006年4月29日の改正で一旦消滅したが、「ミュースカイ」の設定に伴い復活した。また、平日朝のみ新可児・各務原線三柿野駅発の列車が設定されている。

また、中部国際空港始発から8時台まで常滑線太田川駅尾張横須賀駅朝倉駅新舞子駅常滑駅に特別停車する列車も設定されている。この列車は改正以前は、2000系による全車特別車の特急だったが、「特急政策の見直し」に伴い、2000系使用の特急・快速特急は「ミュースカイ」に種別変更されたため常滑線・空港線内で特急と同じ停車駅になっている。

特急

テンプレート:See also 2011年3月のダイヤ改正で、一部特別車・全車一般車で運行となっている。

一部特別車
主に、名鉄岐阜駅 - 中部国際空港駅間で、毎時2本運行されている。
2008年12月のダイヤ改正まで、昼間帯は豊橋駅・名鉄岐阜駅発着が各毎時1本(金山駅 - 中部国際空港駅間は合わせて毎時2本30分間隔)、夕方以降は、毎時2本すべて名鉄名古屋駅発着となっていた。
豊橋駅発着の列車は、金山駅折り返しのため、神宮前駅に2回停車していた。2008年12月のダイヤ改正までは、名鉄岐阜駅発着の列車と交互で昼間に毎時1本、ダイヤ改正以降は、早朝の豊橋駅発1本のみとなっていたが、2011年3月のダイヤ改正で消滅した。
2011年3月のダイヤ改正では、名古屋本線・犬山線の特急増発のため、平日朝ラッシュ帯の運行本数は減少したが、減った分を補完する形で上り(中部国際空港方面)にのみ快速急行が運行されている(快速急行は、常滑線・空港線内の停車駅は特急と同じである)。
車両は2200系または1700-2300系6両編成で運行される。平日の朝の新鵜沼駅発中部国際空港行きのうち1本は岐阜寄りに3100系または3150系2両を増結した8両編成で運転されている。また、これ以外にも平日夕方の岐阜行きの列車では常滑線の太田川駅で岐阜寄りに2両の増結を行う。また、2008年12月改正までは主に豊橋駅発着の系統で1000-1200系による運用も存在した。
全車一般車
空港線最終列車として、名鉄岐阜駅行きが深夜に1本設定されている。
2008年12月のダイヤ改正まで、同じく空港線最終列車として金山駅行きが深夜に1本、さらに名鉄一宮駅始発で早朝に1本設定されていた。ダイヤ改正以降は、常滑線・空港線内の停車駅と発車時刻は同じで「快速急行」に種別が変更されていたが、2011年3月のダイヤ改正で再登場した(早朝の名鉄一宮駅始発は、ダイヤ改正以降も「快速急行」のまま)。
2011年3月のダイヤ改正では、名鉄岐阜駅まで延長され、名古屋本線名鉄岐阜駅方面の最終列車の役割も持つようになった。
3500系などの6両編成で運行されている。

このほか、2008年12月の改正までは、朝の名鉄名古屋方面にのみ全車特別車の特急が設定されていた。改正後は「ミュースカイ」として運行するが、停車駅は特急と同じである(常滑線の特急停車駅に特別停車)。

快速急行

平日の朝の時間帯と、休日の早朝に(名鉄一宮発)1本設定されている。いずれも上り(中部国際空港方面)にのみ設定されている。常滑線・空港線内の停車駅は特急と同じであるが、朝の一部は常滑線・大江駅にも特別停車する。

早朝の名鉄一宮駅始発の列車は、2008年12月の改正まで全車一般車の特急として運行されていた。5300・5700系の4両で運行される。

2008年12月の改正までは、朝に数本設定されており、常滑線の大江駅を通過する以外は急行と同じ停車駅だった。ダイヤ改正以降は、全車一般車の特急として運行されていた早朝の名鉄一宮駅始発と空港線最終の金山駅行きが、快速急行に変更され、常滑線・空港線内の停車駅は特急と同じとなった(河和線直通の快速急行とは異なり増発された一部の列車は大江駅にも停車)。2011年3月の改正からは、一部特別車の特急を補完するため、平日の朝ラッシュ帯の運行本数を増発。また、空港線最終の金山駅行きは再び全車一般車の特急へ種別変更され、名鉄岐阜駅行きとなった。

急行・準急

主に新可児駅発着の準急を毎時2本運行し、上り・下り共に常滑線聚楽園駅で、後続の「ミュースカイ」に追い越される。全列車、6000系や3500系などの3ドア車両で運転されるが、2011年3月改正以降、5000系は休日のみの使用となった。準急は聚楽園駅のホーム有効長の関係から8両で運転されることはなく、6両または4両で運転される。

急行は昼間時間帯以外に運転され、太田川駅でミュースカイや河和線直通列車などに追い越されるか接続することがある。常滑線の大同町駅、聚楽園駅を通過する以外は、準急と同じ停車駅である(ただし、平日朝ラッシュ帯の一部は特別停車)。

2008年12月の改正までは、「準急」は設定されておらず、朝の一部を除き「急行」が終日設定されていた。下り(名鉄名古屋方面)は基本的に新可児行き(2008年6月まで平日夕ラッシュ時は御嵩駅まで延長)で深夜のみ新鵜沼行きまたは犬山行きとして運転され、上り(中部国際空港方面)は昼間帯は各務原線名鉄岐阜駅発(各務原線内は普通、犬山線内は準急)、夕方は下りと同じく新可児駅発(2008年6月改正までの平日のみ御嵩駅発)、夜間は犬山駅発で運行されていた。下りは太田川駅で後続のミュースカイと河和線の特急に追い越され、上りは原則、終点まで先着となっていた。また、太田川駅で、車両の増結、解放を行う列車が多く、平日ラッシュ時間帯では8両での運行(太田川駅 - 中部国際空港駅間は4両または、6両)も多く見られた。2008年6月改正までは7000系パノラマカー)の6両編成も昼間の一部列車に使用されていた。

普通

開業当初は常滑線太田川駅・神宮前駅方面からの普通列車はほとんどが常滑駅折り返しで、空港線直通の普通列車は朝の数本だけであった。しかし、空港線の利用が好調なことから、2006年4月29日のダイヤ改正で、昼間以降も一部の普通列車が中部国際空港駅発着になった(空港線内では昼間は空港行き、夕方は太田川行きのみ運転。送り込みまたは折り返しは常滑まで回送)。常滑駅折り返しの普通には、準急列車が連絡している。常滑線内では普通は毎時2本 - 4本運行される。編成は4両または2両が多く、ごくわずかに6両での運転もある。ほとんど太田川駅以遠へ直通するが早朝の空港行き2本は西ノ口駅が始発である。

利用状況

空港線は、開業時に輸送力の限界が問題視されていた。

名鉄が開業時ダイヤを編成した当時は、中部国際空港への就航便の数が確定していなかったため、開業前の需要予測に基づいてダイヤを編成したと思われる。しかしその後、就航便の数が当初の目標便数よりも多くなったため、アクセスのピークとなる午前8時台の輸送力が不足する恐れが指摘されはじめた。

中部国際空港の開港に先立ち2005年1月29日に空港線が開通した。この日は空港開港前でターミナルビルには入れないことが案内されていたにもかかわらず、1日で14,000人の乗客が中部国際空港駅を利用し、輸送力への不安をさらにかき立てた。名鉄では朝の通勤時間帯に重なり、地上設備などの関係上本数の増発が困難であることから、中部国際空港開港日である2月17日より当該時間帯の列車5本の編成を長くすることで輸送力を約50%増強し、混雑の緩和を図る方針であることを発表した。

開港日当日の同年2月17日には約96,000人の利用者が空港を訪れ、そのうち約52,000人が空港線を利用した。名鉄では前述の輸送力増強のほか、この日の早朝に臨時の特急(全車一般車)2本を設定していたが、空港線は始発便をはじめ軒並み乗車率が200%に達し、一部の駅で積み残しを出すなど、輸送力の不足を示した。空港開業日の利用者数は予測の170%だった。1月29日の空港線開業以来20日間で約23万人の乗客があり、名鉄の事前の需要予測を約5万人上回った。ただし名鉄ではこの状態は一時的なものとして、年間の利用予測の修正は考えていないとのことである。

国土交通省中部運輸局によると、開港後3日間の公共アクセスの集計では、名鉄が全体の約84%にあたる1日平均約43,000人の利用があった。空港利用者の数から推計すると全利用者の約4割が公共交通機関を利用しており、クルマ社会の東海地方の中で健闘していると言える。

また、中部国際空港は海上に作られた人工島の上にあるため交通手段が制限される。空港内の売店などの商業施設の営業終了時刻が早いという空港利用者からの意見が出た際、従業員が空港線の最終列車の時刻に制約されるという声があった。そのため、名鉄は3月10日に早朝および深夜帯の列車の増発、最終列車の繰り下げ、編成増結を柱としたダイヤ改正を発表、3月22日より実施した。これにより早朝時間帯の混雑率がやや緩和された。

名鉄では空港線の混雑のピーク需要をみるため、開業後初の繁忙期となるゴールデンウィークに、役員が空港線を利用するなど実態調査を行った。その後輸送力増強のため、快速特急「ミュースカイ」の増結および新造、さらに中部国際空港駅のホーム増設が行われた。

2005年6月3日には、「ミュースカイ」の利用者が100万人を達成したと発表された。

中部国際空港アクセスとして有力なライバルと見られていたジェイアール東海バスが運営する名古屋駅 - 中部国際空港を結ぶリムジンバスは業績不振により2006年9月30日をもって廃止された。翌10月1日より平和コーポレーションにより中津川 - 中部国際空港路線が名古屋駅を経由する形で継続したが、2008年3月31日をもって名古屋駅停留所は廃止された。

多くの路線の廃止など守りの経営が続いてきた名鉄にとって、空港線の開業は新車両の投入の機会でもあり、久々に積極的に投資をする事業となった。

歴史

空港管理会社の職員の足を確保するため、空港関係者に旅客を限定して2004年10月16日に暫定開業し、中部国際空港開港(2005年2月17日)前の2005年1月29日に一般旅客向けの営業を開始した。

  • 2004年(平成16年)
    • 7月10日 試運転開始。
    • 10月16日 常滑 - 中部国際空港間が空港関係者限定で開業。りんくう常滑駅は全列車通過。
  • 2005年(平成17年)
    • 1月29日 一般旅客向け営業開始。りんくう常滑駅開業。トランパス利用可能に。
    • 3月22日 利用者増加に伴うダイヤ改正。全車一般車特急を設定。
  • 2006年(平成18年)4月29日 ダイヤ改正に伴い中部国際空港駅新1番線ホーム(ミュースカイ専用ホーム)の利用を開始。
  • 2008年(平成20年)12月27日 「特急政策の見直し」に伴うダイヤ改正。新種別「ミュースカイ」「準急」の設定や系統・停車駅の見直しなど、大幅な改正を実施。
  • 2011年(平成23年)
    • 2月11日 ICカード乗車券「manaca」供用開始。
    • 3月26日 ダイヤ改正で全車一般車特急を再設定。
  • 2012年(平成24年)2月29日 トランパス供用終了。

加算額

空港線は新線であり、また名古屋鉄道が第二種鉄道事業者(線路は中部国際空港連絡鉄道の所有)で路線の維持費および使用料がかかるため、運賃のほかに空港線内の利用区間に応じた加算運賃を要する。大人への普通運賃に対する加算額は以下のとおり。

利用区間 加算額
常滑駅 - 中部国際空港駅間 80円
常滑駅 - りんくう常滑駅間 30円
りんくう常滑駅 - 中部国際空港駅間 50円

駅一覧

  • 全駅愛知県常滑市に所在。
  • 停車駅は2008年12月27日からのもの。
  • 普通は全駅に停車(表中省略)。
凡例
●:全列車停車 ▲:一部の列車が停車|:全列車通過
駅名 駅間キロ 営業キロ 準急 急行 快速急行 特急
ュ丨スカイ
接続路線
常滑駅 - 0.0 名古屋鉄道:常滑線
りんくう常滑駅 1.6 1.6  
中部国際空港駅 2.6 4.2  

東海地震への対応

空港線では常滑駅 - 中部国際空港駅間の全線(および常滑線の全線)が東海地震の防災対策強化地域に含まれており、東海地震に関する警戒宣言が発令された場合、列車の運行が休止されることになっている[1]

その他

  • 2005年6月15日に発売された、SUPER BELL''Zのアルバム「The Very Best of MOTOR MAN」に名鉄空港線ミュースカイを題材にした曲が収録されている。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. 列車運行に支障がある場合の取扱い 名古屋鉄道

関連項目

外部リンク

テンプレート:名古屋鉄道路線