開幕戦
開幕戦(かいまくせん)はスポーツなどでのシーズンや大会の最初の試合のこと。英語ではopening game(オープニングゲーム)と言う。
目次
日本プロ野球開幕戦
日本プロ野球では2001年以前は前年度の公式戦の成績を反映して上位3チームの本拠地球場で開幕戦を実施していた。しかし、阪神タイガースの本拠地である阪神甲子園球場の場合、開幕戦が選抜高等学校野球大会の時期と重なる場合は、前年度Bクラスチームの本拠地でロードゲームとして開幕するなど、別の球場での試合となっていた(参考・阪神タイガース#主催ゲームの開幕戦)。
開幕戦の対戦カードの組み合わせは、1999年のシーズンまでは両リーグとも原則として前年度の最終的な順位の優勝対4位、2位対5位、3位対最下位の対戦であった。それ以降もパシフィック・リーグでは同様の組み合わせで行われているが、セントラル・リーグでは1999年9月にアグリーメント(試合協定)を改定し、組み合わせにこだわらず前年度(2003年以降は2年前)の順位により優勝、2位、3位の3球団が主催することとした。2000年開幕戦の組み合わせは優勝対4位、2位対5位、3位対最下位となっているが、前年度順位にこだわらずに組み合わせを決めた結果が偶然その組み合わせとなった。2010年では2008年優勝対同年5位、同年2位対同年最下位、同年3位対同年4位となっている。
過去、後楽園球場→東京ドームで本拠地を併用していた読売ジャイアンツと1962年までの毎日オリオンズ→毎日大映オリオンズ、1964年から2003年までの東映フライヤーズ→日拓ホームフライヤーズ→日本ハムファイターズが前年度の順位でAクラスを獲得した場合、本来であれば主催ゲームの試合日程や開催球場を調整していたが、開幕戦に関しては同日または1日遅れの開幕である場合は変則ダブルヘッダーとして、どちらかが13時試合開始のデーゲームを行った後、一旦観客の入れ替えなどをして19時試合開始のナイターを行ったケースがあった。しかし、現在は日本ハムファイターズが本拠地を札幌ドームに移転したため[1]、このような開幕戦変則ダブルヘッダーとなるケースはなくなった。
開幕戦カードは普通ほとんどの試合で満員に近い観客動員数を記録し、開幕戦の先発投手は開幕投手と呼ばれる。
例外
先述の阪神タイガースがAクラスに入り開幕主催権を得ても、選抜高等学校野球大会の開催に伴って開幕主催権を得られなかったケースがある以外に、以下の例外がある。
- 1992年の開幕戦はオリックス・ブルーウェーブと千葉ロッテマリーンズの対戦で、開幕主催権はオリックスが持っていたが、この年から千葉マリンスタジアムに移転、新本拠地としたロッテに開幕権を譲り、千葉でのロッテ対オリックスの開幕戦となった。
- 2002年は、特例的に全国6大都市(札幌、東京、名古屋、大阪、広島、福岡)で開幕戦を施行した。本来は各球団の本拠地球場が使われるが、当時はまだ日本ハムファイターズが札幌移転の前で、西武ライオンズは当時準本拠地を計画していた札幌ドームで開幕戦を主催した。
- 2005年のパシフィック・リーグに関しては、2003年3位の大阪近鉄バファローズが同年最下位のオリックス・ブルーウェーブに吸収合併され、オリックス・バファローズへの移行に伴い、開幕権に関しては、同年4位だった千葉ロッテマリーンズが3位扱いで取得できた。
- 2012年は、セントラル・リーグは本来と同じ2010年のAクラス球団が主催するが、パシフィック・リーグは本来2011年に行使する予定であった2009年のAクラス球団の主催をそのままスライドする形となった。なお、2013年以降もセ・リーグは2年前、パ・リーグは3年前のAクラス球団主催として開幕戦を開催する。
東日本大震災電力不足問題
東日本大震災の発生を受けて日本野球機構は、セントラル・リーグは観客や選手の安全確保を最優先した上で予定通り3月25日に、パシフィック・リーグは予定を変更し4月12日に開幕すると発表したが[2]、可能な限り東京電力・東北電力管内以外の地域で開催し、管内での夜間の開催は厳に慎むよう文部科学省から要請[3]があったため、セ・リーグは見直し・検討した結果、3月29日開幕予定となる。ナイトゲームは4月5日から開始予定となった[4]。しかし、3月29日開幕について文部科学省から再考を求められ、予想以上の世論の反発があったため、4月12日の開幕となった[5][6]。
- この問題に対して、セ・リーグは延期する理由が無いと話した中日[7]、親会社の損失が大きいという理由のヤクルト[8]、できるところでやめるのは得策ではないと考えた阪神[9]、野球人として責務を果たしたい話す巨人や日程的に無理とした広島[10]と、セ・リーグの中では横浜だけが当初から3月25日開幕に反対していた[11]。
- 巨人は最後まで可能な限り通常通りに開幕するという方針だったが[12]、文部科学省の要請や世論(3月17日のフジテレビすぽるとの視聴者アンケートコーナーである、SPORT Q&Aの「セ・リーグの開幕は・・・」という質問に対し、94%が延期すべきと答えた)に促された形で、ヤクルト[13]、阪神[14]、中日[15]が延期反対派から賛成派へ移行したこともあり、巨人が折れる形となった。
- 選手会は当初から一貫してパ・リーグとの同時開幕を望んでおり[16]、同時開幕が受け入れられなかった場合でのストライキやボイコットをちらつかせたが[17]、この要望が受け入れられなかったとしても、ストライキは起こさないと後日発表した[18]。
- この東日本大震災による日程見直しで当初の3月25日から4月12日の開幕に変更されたことで、セ・リーグは巨人、阪神、横浜、パ・リーグは日本ハム、ロッテ、オリックスがそれぞれ開幕主催権を得た。但し、巨人は東京ドームではなく元々から地方遠征で予定していた宇部市野球場で開幕(巨人してはフランチャイズ制を導入した1952年以降としては初の地方球場での開幕戦)。パ・リーグは本来は2009年のBクラスでこの年はビジター開幕のはずだった西武、ロッテ、オリックスが主催権を得ることになっていたが、西武が西武ドームの構造上の問題で4月中の開催を返上したため、当時組まれていた日本ハム戦の主催権を入れ替える処置を取った。
- このあくる年の2012年は、セ・リーグは慣例の通り2010年度の上位順位球団の主催だったが、パ・リーグは本来2011年に開幕主催をすべきであった2009年の上位順位球団がそのままスライドして主催した。以後パ・リーグは3年前の順位を参考として開幕戦主催を決めるようになった。
アメリカメジャースポーツ
MLB、NFL、NBA、NHLのいわゆるアメリカ4大メジャースポーツでは、北アメリカに属するアメリカ合衆国やカナダ以外の国で開幕戦の1カードが開催されるケースがある。
1990年のNBA開幕戦であるフェニックス・サンズ対ユタ・ジャズが東京体育館で開催されたのが最初であり、公式戦としても最初の北アメリカ以外の国での開催である。
なお、開幕戦に出場登録された選手のことを開幕ロースターと呼ぶ。
Jリーグ開幕戦
Jリーグでは、開幕前年の12月に実行委員会が行われ、翌年度開幕カードが組まれる。
Jリーグ規約において前年のJ1リーグ戦優勝クラブにはホームでの開幕権が与えられることが規定されている。ただし必ずしも行使しなければならないわけではなく、2014シーズンでは2013年優勝のサンフレッチェ広島はアウェイのヤンマースタジアム長居で開幕戦を戦った。またJ1においては、前年度上位チーム同士の対戦や、ダービーマッチなど話題性のあるカードが開幕戦で組まれることが多くなっている。
2006年はガンバ大阪対浦和レッドダイヤモンズという1週間前のゼロックス・スーパーカップと同一のカードが場所を万博記念競技場に移して行われた。このカードは最終節でも行われ、リーグ優勝決定戦となった他、天皇杯の決勝戦でも顔を合わせることになる。
2004年以後はJリーグ・マッチ・スケジューラー(日程くん)という試合日程作成用のソフトウェアを活用し、開幕戦や最終戦ではできる限り同じ都道府県・市区町村クラブ同士のダービーマッチなどの開催は避けて、サポーターの注目度の集まる試合日程を組むように編成されている。そのため開幕戦であってもプロ野球のように必ずしも前年上位クラブが開幕主催権利を得るというわけではない。
FIFAワールドカップ
- FIFAワールドカップにおける開幕戦は、開催国の試合が行われる。但し1974年西ドイツ大会から2002年日韓大会までは前回優勝国(シード)の試合が組まれていた。
- 1次リーグの組み合わせ抽選に際しても、開幕戦を行う国については予め「A組」に入れられ、その第1シードとされている。
その他の開幕戦で知られている大会
- 都市対抗野球大会
- 1996年まで、前回優勝チーム(無条件で次回大会推薦でシード出場)の試合が開幕戦に充てられていたが、1997年に一度廃止。2011年に前回優勝チームの推薦出場が再開され、開幕戦出場も復活。
- 全国高等学校サッカー選手権大会
- 『オープニングマッチ』とも呼ばれている。1999年度の第78回大会から12月30日に国立競技場で開会式直後に、この日1回戦1試合だけ行なわれる。それまでの国立競技場は、開会式と準決勝・決勝のみ行われていたが、開会式当日に試合自体は行われていなかったため[19]開会式の観客動員の減少が懸念されていた。これをふまえ、國學院久我山(東京都)-具志川高校(沖縄県)の試合から初めて開催された。2007年度第86回大会より、開幕戦の出場条件は優先順に以下の通り。
- 組み合わせ抽選後、東京都B代表校のチームが抽選で1回戦に組まれた試合及び、その対戦校。
- 1回戦の対戦試合のうち神奈川県、千葉県、埼玉県代表校の試合を除いた、試合抽選。
- デイトナ500
- NASCARスプリントカップシリーズの開幕戦
- ヒュンダイ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ
- アメリカ男子プロゴルフPGAツアーの開幕戦
- マスターズ
- アメリカ男子プロゴルフでの四大メジャー・開幕戦
- 三菱電機選手権
- アメリカ男子プロゴルフチャンピオンズツアーの開幕戦
- フェブラリーステークス
- 中央競馬における当該年度のGIレース開幕戦
- 総理大臣杯競走
- 競艇における当該年度のSGレース開幕戦
- プロレス
- 日本のプロレス界では、シリーズごとの第一戦のことを開幕戦と呼ぶ。世界最強タッグ決定リーグ戦などリーグ戦が行われるシリーズでは開会式が行われる他、そうでない場合でもシリーズの方針を示す主要カードが組まれる。一時期の世界最強タッグ決定リーグ戦のように開幕戦の会場を後楽園ホールに固定していた例もある。
- K-1
- K-1 WORLD GP及びK-1 WORLD MAXでは、本大会として16人参加のトーナメントが開かれるが、トーナメントは1回戦と準々決勝以降の2大会に分けられ、そのうち1回戦として行う大会を開幕戦と呼ぶ。
脚注
- ↑ 球団名も現在の北海道日本ハムファイターズに変更している。
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 社団法人日本野球機構に対する通知について 文部科学省 平成23年3月18日
- ↑ セ・リーグ配布「ファンの皆様へ」全文 デイリースポーツ2011年3月19日
- ↑ プロ野球:巨人・渡辺会長「しゃあない」 開幕日再延期 毎日新聞 2011年4月4日
- ↑ セ・リーグ折れた!4・12同時開幕へ最終調整 サンスポ 2011.3.24
- ↑ 中日西脇代表「セは延期する理由ない」nikkansports.com 2011年3月15日
- ↑ ヤクルトに抗議電話殺到 セ開幕決定一夜明け デイリースポーツ3月18日
- ↑ 阪神 経済活動停滞させてはいけない デイリー2011年3月14日
- ↑ 巨人「勇気を伝えることも必要」開幕へ前向き、広島も延期に反対 スポニチアネックス2011年3月14日
- ↑ セは25日開幕強行、分離開催濃厚 nikkansports.com 2011年3月15日
- ↑ 阪神「4・12」譲歩へ 巨人説得にも乗り出す スポニチアネックス2011年3月23日
- ↑ セ理事長「4月12日開幕にしたかった」nikkansports.com 2011年3月19日
- ↑ 阪神「4・12」譲歩へ 巨人説得にも乗り出す スポニチアネックス2011年3月23日
- ↑ 開幕1カ月延期を=中日・西川社長-プロ野球 時事ドットコム 3月18日
- ↑ セ・リーグ開幕延期決定についての見解 日本プロ野球選手会公式ホームページ 2011年3月23日
- ↑ 選手会も開幕延期を再要求…ストライキも? スポニチアネックス2011年3月19日
- ↑ 同時開催要望も 新井会長“納得できないがボイコットはしない”SponichiAnnex 2011年3月21日
- ↑ 1993年度の第72回大会までは天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝戦の前座として行われていた。