千葉マリンスタジアム

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テンプレート:野球場情報ボックス テンプレート:Infobox 千葉マリンスタジアム(ちばマリンスタジアム)は、日本千葉県千葉市美浜区県立幕張海浜公園内にある多目的野球場日本プロ野球千葉ロッテマリーンズ専用球場(本拠地)として使用している。

地名を冠せずにマリンスタジアムマリスタ、或いは千葉マリンマリンといった形で略した通称も使用される。

QVCジャパン施設命名権(ネーミングライツ)を取得し、2011年3月1日より呼称をQVCマリンフィールド(キューヴイシー マリンフィールド)としている(詳細は後述)。

概要

球場施設は千葉市、駐車場などの土地部分は千葉県がそれぞれ所有し、千葉ロッテマリーンズが指定管理者として運営管理を行っており、管理業務は県・市・ロッテ球団などが出資する第三セクター・株式会社千葉マリンスタジアムが受託している。ロッテの本拠地球場として利用されている他、夏の全国高等学校野球選手権千葉大会の開会式と準々決勝以降の試合(ロッテの日程の兼ね合いで5回戦以下の試合で使用される場合もある)や社会人野球でも使用されている。

コンサートでも数多く利用されており、1990年4月、完成間もなく杮落としイベントとなったマドンナのコンサートを始め、近年では都市型音楽フェスティバルのサマーソニックでお馴染みの会場となっている。

JR東日本京葉線海浜幕張駅から徒歩圏内にあり、隣接した場所に幕張メッセアパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉(旧幕張プリンスホテル)、ホテルニューオータニ幕張三井アウトレットパーク 幕張(旧ガーデンウォ〜ク幕張)、コストコ幕張店、イオンモール幕張新都心や大規模マンションなどがある。

他球場と同じく草野球場としての一般貸し出しも行っているが、使用条件があり千葉市・千葉県関係者を中心とした開放に限らせている[1]

歴史

千葉県ではメインとなる野球場として千葉県総合スポーツセンター内の千葉県野球場1968年完成)が使用されていた。しかし、千葉県野球場はナイター設備がないことや収容人数が30,000人に満たないこと、さらに当時はモノレールも未開通だったことなど問題点が多く、プロ野球公式戦は長らく県内では行われていなかった。また、老朽化しかつ狭隘な川崎球場を本拠地とし、観客動員が伸び悩んでいたロッテオリオンズは関東の他球場への本拠地移転を検討した際、候補の1つとして千葉県野球場を挙げていたが同様の理由で断念している。千葉市は1980年代初頭に大規模野球場を建設する計画を立てたがこれは頓挫した。その後幕張新都心計画に組み込まれる形で計画が復活し、多目的野球場として建設されることになった。

起工式は1988年2月22日に行われた。竣工を前にした1989年、県民・市民や県内政財界関係者によって結成された「千葉にプロ野球を誘致する県民会議」はマリンスタジアムにプロ球団を誘致しようと活動を進め、陳情書を県・市に提出しいずれも採決された。これを受け、県・市は首都圏に本拠を置く6球団に対し公式戦やオープン戦の開催を求めるなど誘致活動を進めた。竣工は1990年2月22日で同年3月に開場した。総建設費133億円。

球場開きは社会人野球公式戦のJABA千葉市長杯争奪野球大会の第1回大会。同大会はマリンスタジアムの竣工を機に行われたもので、日立製作所が第1回の優勝チームとなった。アマチュア野球ではこの他、高校野球も行われるようになる。プロ野球の誘致活動が実り、同年3月24日には読売ジャイアンツロッテオリオンズ(当時)のオープン戦が行われ、1991年にはヤクルトスワローズ(その後2005年まで実施)とロッテ主催の公式戦も行われ始めた。プロ野球公式戦第1号の本塁打はヤクルトの荒井幸雄が放ったランニング本塁打だった。

県や市は首都圏6球団の中で特に川崎球場へ不満を募らせ続けていたロッテに対して、千葉への本拠地移転を前提として誘致を進めた。その結果、ロッテは1991年夏に本拠地の千葉移転を決定。ロッテ主催による千葉マリン初のパ・リーグ公式戦(対西武ライオンズ戦)が開催された7月31日、同日のオーナー会議で正式に移転が表明された。そして9月4日の実行委員会でロッテの保護地域の千葉県への移転が承認され、10月31日のオーナー会議での承認を経て、1992年からロッテは千葉マリンに本拠地を移すことが決定した。移転の際、当初球団名は地名を冠した「千葉ロッテオリオンズ」を予定していたが、一般公募を基に改称することとなり、選考の結果、新たな愛称は「千葉ロッテマリーンズ」と決まった(応募1位の愛称は「ドルフィンズ」だったが、中日ドラゴンズと被るという理由で採用されなかった。他にも「パイレーツ」などが上位だった)。

ロッテの観客動員は移転初年度こそ移転景気で球団新記録を達成したが、その後はチーム成績および観客動員共にジリ貧の闘いを強いられた。1990年代後半には県や市の政財界関係者の一部の間で、伸び悩むロッテの観客動員と強風など気象条件に左右されやすい環境を改善する打開策として「千葉マリンのドーム化」を求める動きが起こった。1999年にロッテがシーズン序盤好調だった際には、時の市長が「優勝した場合はドーム化を検討する」と表明したが、この構想にはファンや市民の多くが異議を唱えた。ロッテの観客動員の回復やファンや市民の反対意見、自治体による球場施設に対する各種規制による財政難などもあって、具体化するまでには至らなかった。

ロッテは2004年から球団の営業戦略の一環として、千葉マリンをファンに親しみやすく、多くの観客がより快適に観戦できるよう改善を進めるべく「ボールパーク化構想」を方針付け、県や市に対し協力を要請した。球場は行政側が所有・管理するものであり、プロ野球だけでなくアマチュア野球や県内・市内在住者向けの一般利用にも供用される公共施設であることから様々な規制があり、行政側はこれを盾に球団から提出された様々な利用申請に対して認可を渋り続けてきた。

同年に起きたプロ野球再編問題の際、ロッテも当時オーナー企業だったダイエーの経営不振で球団の継続保持が困難といわれていた福岡ダイエーホークス(当時)と合併し「福岡ロッテホークス」とする構想が取り沙汰されたことから行政側にも危機感が生じ、これまで設けていた規制を大幅に緩和した上で2006年からロッテ球団を千葉マリンスタジアムの指定管理者に指名して施設管理権を球団に委譲した。こうして、球場場外での屋台や露店の営業が可能となり、場内で様々なサービスが開始された他、外野フェンスの広告掲出も開始されるなど、スタジアム内外でファンサービスの拡充や施設収益の改善を目的とした数多くの活動が実施されている。

2010年国民体育大会ゆめ半島千葉国体)の開会式会場となった。野球場で国体の開会式をするのは初めて。2010年にロッテがクライマックスシリーズに進出した際には、ファーストステージならびにファイナルステージ全試合のパブリックビューイングが元ロッテの立川隆史をゲストに行われ、最終戦には公式戦並みの約1万3千人の観客を集めた[2]

2010年末にQVCジャパンが施設命名権を取得し、2011年3月1日から呼称を「QVCマリンフィールド」としている(施設命名権に関する詳細は後述)。

2011年3月11日に発生した東日本大震災の際、球場自体には大きな被害はなかったが駐車場や海浜幕張駅周辺で液状化が発生。観客の安全に配慮して同月15日と16日のオープン戦が中止となった[3][4]

観客向け設備の拡充

2000年以降に実施された、ファンサービス向上を目的とした施設拡充について下記に挙げる。

  • 2001年 - 球場近くの知的障害者支援施設が寄贈した「絵馬堂」を設置。
  • 2003年 - 児童用遊戯施設および託児所、授乳室、ベビーベッドを設置。授乳室・ベビーベッドについては花王が命名権を獲得し「メリーズ ベビールーム」(現在は命名権を解消して「キッズハウス」)として、遊戯施設についてはイケアが命名権を獲得し「イケア キッズスクエア」(現在はリクルートが命名権を獲得して「スーモ キッズスクエア」)として運用している。
  • 2006年 - 管理権が市からロッテ球団に移行。フェンス広告の解禁をはじめ、ファンの「マッサージを受けながら試合を見たい」と言う声に応えたマッサージ席やフィールドシート(フィールドウイングシートと呼称)を新たに設けるなど、大幅なリニューアルが行われる。ラブラドール・レトリバーのボールドッグ“エルフ”登場。同年8月1日、スタジアム敷地内に「マリーンズ・ミュージアム」がオープン。シーズン途中より、リリーフカーがボールが半分に割られたような車体のゴルフカートを改造した電気自動車(ロッテ移転前はマツダユーノスロードスターで、投手が助手席のドアを開けていた)からボルボ・C70クーペカブリオレオープンカー。球場使用にあたり投手がすぐに降りられるように助手席側ドアと助手席がないカスタムモデル)に替わった。
  • 2007年 - 同年シーズンから一塁側自由席に限り、横断幕の使用を許可。シーズン開幕戦はサッカースタジアムのような雰囲気となり、よりホーム色が強くなった。3月30日からライトゲート付近にバッティングセンターを設置。目玉は渡辺俊介アンダースローを再現した、地上5センチからボールが撃ち出される、映像つきのバッティングマシン。その他にも硬球が打ちだされ、木製バットも用意されていて実際のトスバッティングを体験できるトスバッティングマシンも用意されている。
  • 2008年 - 1階席と2階席のひさし部分に、右翼ポールからバックネットを経由して左翼ポールまで、三菱電機製の帯状映像装置「オーロラリボン」を設置、バックスクリーンの映像装置も大型化し、同社製オーロラビジョンに更新。球場内のテレビカメラもハイビジョン対応となった。レフトスタンド上段センター寄りをスタンドデッキに変更。このためにビジター側応援席の最大収容人数が縮小されることになり、批判の対象となっている。
  • 2009年8月 - 6月11日広島戦で達成した日本プロ野球記録となる“1イニング15得点”の記念碑を設置(当時の画像を記録したデジタルフォトフレームと打席に立った選手達が使ったバット、スコアシートの写真が嵌め込まれている)。

施設概要

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千葉マリンスタジアム外観
ファイル:Chiba Marine Stadium Fireworks.jpg
夏季のナイターゲームで行われる打ち上げ花火

サッカーアメリカンフットボールでの使用も視野に入れた真円形のスタンドを採用しているが、可動席(現在は廃止)には他の多くの円形兼用球場のようなスライド式ではなく取り外し式のものが採用されている。

球場データ

  • 構造:地上5階(RC造S造
  • 建築面積:14,938m²(コンコース含まず)
  • 大庇先端高さ:内野33.9m、外野23.02m
  • グラウンド面積:非公表
    • 開場当初から2005年までは14,674m²、最大グラウンド面積:15,018m²(可動席取り外し時)
  • グラウンド:全面透水性人工芝(アストロ製 アストロステージMJ〔マリンヴァージョン〕、パイル長32mm+アンダーパッド)
  • グラウンド規模:両翼99.5m、左右中間116.3m、中堅122m
  • 外野フェンス高さ:4.4m(ラバーフェンス2.4m+金網フェンス2.0m)
  • 照明設備:大庇先端上投光器照明方式(小糸工業製:通称「サークルライン方式」。最大24種の点灯パターンにより照度可変)
  • 電光掲示板:3か所(スコアボード・サブスコアボード・帯状映像装置)
  • スタンド:内野2層式、外野1層式、全席個別座席
  • 収容人員:30,082人
    • 2006年より小規模な改修が毎年繰り返されており座席数が増減しているが、その変更に対しての増減は細かく発表されていない。ロッテ球団公式サイトによれば2012年2月現在の定員は30,082人。最高観客動員数は2006年の31,024人である。プロ野球公式戦の場合は入場者が30,000人を超えた時点で「満員御礼」が出る。

スタンド

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内野スタンド(オーロラリボン設置後)
ファイル:Chiba Marine Stadium FieldWingSeat.jpg
フィールドウイングシート(緑色の席)

内野は二層、外野は一層式。全体の形状は円形であるが、外形は内野席の比率が大きくなるようになっている。かつてはサッカーコートをフィールド内に収めるための取り外し式可動席がダッグアウト横にあったが、フィールドシート増設時に廃止され可動席部分もフィールドシートとなった。球場の管理権が球団に移った2006年以降には小規模な改装が繰り返されており、通常の座席がボックスシートに変更されている箇所がある。また内野下段スタンドの最上段には室内観覧席が設置されている他、バックストップ裏(バックネット裏下)1階部分の記者席一塁寄りを「マリーンズ・プレスシート」として観客席としている。

内野スタンドと外野スタンドは分かれた構造となっており、場内通路で繋がれている。ロッテ主催試合では外野席の入場者は内野部分に入れるが、逆に内野席の入場者は2006年から外野部分に入れなくなった。2005年までは、外野席が満員になった試合、優勝決定ゲームなど混雑が予想される試合のみ。

2005年のプレーオフ第1ステージ第1戦では、ライト側(ロッテ側)外野席が満員となり、レフト側(西武側)の一部をロッテファン用に開放したものの、ロッテファンの一部がチケットを持っているにも関わらず入場できないという混乱が起きた。現在では、レフト側外野席のセンター寄り部分をマリーンズ側として設定しており(一部対戦は除く)、ビジター、ホームの席の割合が3:7となっている。(スタンドデッキという水平床のテーブル席がビジター側あり、TV中継等では、ビジター客が非常に少なく見えるため、他球団のファンからは、批判の対象となっている。) 紙テープや紙吹雪は許可が下りた場合のみ可。ダッグアウトに選手が入る際、ベンチにはテンピュール製のクッションが配備される。

フィールド

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2011年人工芝の張り替え工事中

サッカーコートが収まる大きさにしていたがスライド式可動席を採用しなかったため、同クラスのフェアグラウンドを持つ野球場よりかなりファウルグラウンドが大きくなっている。ロッテが本拠地としてからフィールドウイングシートが増設されるまで、NPBの球団が一軍本拠地とする球場の中でグラウンド面積が最も広かった(公式発表では阪神甲子園球場がより広かったが訂正されている)。フィールドウイングシート設置後のグラウンド面積は公表されていない。

アメリカンフットボールはフィールドシート増設後でも使用可能で、社会人リーグであるXリーグの公式戦も行われている(オービックシーガルズが本拠地のように表現している)。使われるのは外野部分で、その際にはライト側とレフト側にゴールポストが設置される。

グラウンドは全面人工芝で、2003年初めにアストロ製のショートパイル人工芝「ネクストターフ」(パイル長30mm)に張り替えられた。張替え当時はいわゆる「ハイテク人工芝」と称された高機能型であった。2009年頃からパイル硬化などの劣化が指摘され、ロッテは同年オフ、千葉市に対し人工芝の張替えを求める要望書を提出した。千葉市は慢性的な財政難のため、張替え費用を捻出することが困難としたため、約5億円の工費はロッテ球団が立て替え、市が2011年度から6か年かけて返済する形で費用を工面することが決定した。

2010年オフから張替えに着手し、同年末に着工して2011年2月下旬に竣工。アストロ製のショートパイル型「アストロステージMJ〔マリンヴァージョン〕」(パイル長32mm)が採用された。基本は西武ドームなどに敷設されているものと同品種だが、マリンスタジアムではロッテ選手会の要望などを踏まえ、芝の下に敷設するアンダーパッドの下部に緩衝材を敷き、足腰への衝撃を軽減する工夫が施されている。パイル一本一本には芯が入っており、より天然芝の感触に近付けて仕上げている。施工したアストロの関係者は「選手の要望にいかに応えられるかが醍醐味。選手が最高のプレーをして、勝ってくれるのが一番嬉しい」と話している。

市はこの人工芝張り替えに関する問題を契機に、築20年を経過して老朽化が進んでいる球場全体の施設改修などを計画的に進めるため、市民をはじめ全国のファンから寄せられた募金・寄付金や「ふるさと納税制度」を活用して広く協力を求める「千葉マリンスタジアム基金」を創設し、2010年9月1日から受付を開始している。2011年3月1日からスタジアムに施設命名権が導入され、売却益の一部は改修費用に充当される(基金の名称は命名権導入に伴い、同日より「マリン基金」に改称。命名権の導入経緯については後述)。

スコアボード

テンプレート:Vertical images list 開場当初、スコア表示部は白色電光式で、ロッテの本拠地となった1992年に高輝度放電管の大型映像装置を増設した(松下電器産業アストロビジョン、H 7.844 × W 9.911 m)。老朽化のため2002年に全面改修を行った際はスコア表示部にLEDを採用した。さらに2008年の改修において映像装置が従来よりやや大きな三菱電機製のLED式オーロラビジョンに更新された。映像装置には1992年の設置当初から「マリンビジョン」の愛称が付いている。ライト側に風速表示、レフト側にサッカー用と思われる45分計とアメフト用と思われる経過時間計がある。風速表示の真上に風車型風速計が設けられている。2011年からボールカウントの表示方式を、従来の「SBO(上からストライク・ボール・アウト)」順から、国際ルールに則った「BSO」順に変更している。また球場命名権の設置に伴い、マリンビジョン上部の電光表示広告を、前年までの「LOTTERIA」に代えて「QVCマリンフィールド」に電光表示を変更、下部の「JR東海」の看板広告に変えて、「CHIBA LOTTE MARINES」の看板を掲げた(2013年はサントリーの『ソウルマッコリ』、2014年からは三井住友銀行が掲示されている)。2012年から審判の上に投球数が表示されるようになった。高校野球開催時にイニング得点に表示される校名部分は2文字しか表示できない。球速を表示する専用の欄があるにもかかわらず、字が小さいためか試合中は球速を中央のオーロラビジョンに(広告とともに)表示する。 2014年8月19日ロッテ-オリックス戦においてスコアボードが故障。オリックスの選手の名は全員消え、ロッテは加藤、角中、岡田、益田の4人だけとなった。

リボンビジョン

2008年の改修で、内野席1階席直上の庇部分に増設された。三菱電機製の「オーロラリボン」を採用している。ファンからの公募による「marines wing vision(マリーンズ・ウイング・ビジョン)」の愛称が付いている。ホームゲームの際、マリーンズの好プレイ(安打、本塁打、盗塁成功など)を称えるメッセージやリリーフ登板に「It's your time」「We believe」の文字を流したり、マリンビジョンでのCMに対応するメッセージ、他に球場側からの告知事項を表示する。

照明

スタンド上部の庇にサーチライトを架設。照明塔を使わないため外観をスマートに保つ事ができる上、高い照明効果を得られるなどのメリットがある。球場の外周全面に高い壁を造る必要があるため日本国内の屋外野球場でこの方式を全面採用しているのは千葉マリンだけだが、内野スタンドの庇先端部にサーチライトを分散させる手法は後に岡山県倉敷スポーツ公園野球場(マスカットスタジアム)や松山中央公園野球場(坊っちゃんスタジアム)、秋田県立野球場(こまちスタジアム)、新潟県立野球場(HARD OFF ECOスタジアム新潟)、改修された阪神甲子園球場(改修前は集中的に設置)などでも取り入れられている。

ブルペン

ブルペンは内野スタンドの外野寄り1階にあり、プロ野球ではリリーフピッチャーは内野スタンドと外野スタンドの間(LゲートおよびRゲートの手前。場外からの搬入口にもなっている)からリリーフカーに乗って登場する。まれにリリーフカーに乗らず、ゲートからランニングで入って来る投手もいる。

広告

1992年のロッテ千葉移転後、外野席にプリズムビジョン形式の広告両サイド6枚ずつの12枚を設置している。その後ポール際に両サイド1枚ずつの2枚が追加され14枚となった。2005年には、武富士との契約期間満了をもって、消費者金融の広告を外した。2006年からロッテ球団が指定管理者になり、内外野フェンスの広告が設置され(外野は白一色、内野はカラー広告)、2008年にはバックスクリーンにプリズムビジョンが設置された。

マリーンズ・ミュージアム

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2006年8月1日に開館したマリーンズ・ミュージアム

2006年にオープンした「マリーンズ・ミュージアム」では、ロッテにまつわる様々な資料が展示されている。

  • 支配下登録選手一覧、写真パネルで見る優勝パレード、2005年に日本一を含めた6冠となった際に贈られた4つのトロフィーの受賞者保存用レプリカ
  • 実際に使用されていたミニカーを使ったリリーフカー
  • 球場で実際に使われているダッグアウトや芝および照明灯、ファウルポール周辺部分の実物大外野フェンス、実際に操作出来るボールカウント表示器。2010年9月から11年7月までストライクのカウントは作動するがボールは壊れて反応しなかった。四球を出すとバレンタイン監督の喝が飛ぶ仕組み。切り出した形でのマウンドとホームベースエリアの再現
  • ロッカールームの再現。選手から寄贈を受けた使用済みのスパイクやグローブ、バット他が置かれており、里崎智也ワールド・ベースボール・クラシックに出場した際に着用した日本代表ユニフォーム、成瀬善久北京オリンピック野球日本代表として出場した際に着用したベースボールキャップとグラウンドコートも飾られている。
  • 前身「毎日オリオンズ」以来の千葉ロッテマリーンズの歴史
  • 入り口すぐ脇の屋外にマリンスタジアム竣工当時に敷かれていた初代の人工芝のマット

室内練習場

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千葉ロッテマリーンズ 屋内練習場

室内練習場は建設時からなく、やや離れた場所にある稲毛海浜公園の練習場が使用されていた。選手側からの要望もあり、2012年からの使用を目指して球場場外に建設され、2012年2月14日に竣工した[5]

ドーム球場ではなく、しかもに極端に近いため、秒速10mを超えることも珍しくない強い海陸風(通称「マリン風」)がある。本来なら外野まで飛ぶような打球が内野まで押し戻されたり、投手の投げた球が予想外の変化をすることは日常茶飯事である。しかも球場の構造上、球場上空とフィールド上では風向が異なるという現象が起こるため、多くの選手がこの風に悩まされる。このため、スコアボードに風向と風速を表示できるようになっている珍しい球場である。風速が秒速18mを超えた場合、プレー進行の障害となるため、試合は中止となるケースがある[6][7]。ロッテの選手達は逆に「マリン風」に鍛えられていると言える。渡辺俊介はヒーローインタビューで「マリンの風は友。強風の日は負けない」と発言している。その他にも様々な気象現象に見舞われている。

また夏季のナイトゲーム時には5回終了時にスコアボード裏の海岸側から花火を打ち上げているが、これも強風(秒速10m以上)時やホーム方向に風が吹いている場合(特に秒速4-6mが最も危険とされる)は火の粉がグラウンド内に降り注ぐ恐れがある為に中止になる場合がある。

施設命名権

ファイル:QVC Marine Field, front.jpg
QVCマリンフィールド外観
施設命名権による呼称
  • QVCマリンフィールド(2011年3月1日 - 2020年11月30日)
※命名権導入後も、千葉市の条例上の施設名称は「千葉マリンスタジアム」を維持している。

千葉マリンスタジアムを所有・管理する市、マリンスタジアム社およびロッテ球団の3者は2005年からマリンスタジアムに対する施設命名権(ネーミングライツ)の売却について検討を開始。数社から買収に関する問い合わせがあったものの、正式契約には至らなかった。2006年2月には、同年4月からロッテ球団が施設の指定管理者になるのに合わせ、命名権をロッテ本社が買収した上で、球団がファンの背番号として「26」を欠番にしているのに因み、呼称を「ロッテ26スタジアム」とする構想が一部で報道されたものの、当時ロッテ本社が命名権の売却・取得ともに消極的だったこともあって、実現には至らなかった。

施設全体への命名権売却は見送られたものの、前述の3者はゲートや座席など球場内の設備に対する命名権売却を引き続き検討した。座席については2009年シーズン前、内野スタンド1層三塁側上段のグループ向け個室「ボールパークルーム」をロッテと東日本電信電話(NTT東日本)千葉支社との共同事業で改修し「フレッツ光 バルコニースイート」と改称した例がある他、イベントスペースにスポンサー名を冠するなどの試みも行われている。

市の財政難はこの間にも悪化の一途をたどり、2009年秋には2010年度の予算編成において約270億円の収支不足が見込まれたため、千葉市の熊谷俊人市長が10月21日付で「『脱・財政危機』宣言」を発出し、収支バランスの安定化に向けて施策の方針転換が図られることになった。一環として、施設命名権導入の是非が長らく棚上げされていた千葉マリンスタジアムについても、市はロッテ側に対しスタジアムの施設全体の命名権売却を強く要望し続け、2010年10月、市とロッテ球団は2011年シーズンから命名権を導入することで合意し[8]、これを受けて市は売却先の募集要項を11月4日に発表した。11月5日から11月25日にかけて売却先の公募を実施し、売却条件は原則として契約期間3年以上、年額2億円以上に設定し、地域貢献に関する提案などを考慮して優先交渉権を決定した上で、12月上旬を目途に売却先を選定、2011年1月に新呼称を公表し、同年シーズン開幕時から採用する旨が発表された。市の担当者は「マリンスタジアムの名前は浸透しているし、思い入れがある方も多い。相手先の自由だが、残してもらえるとありがたい」と新呼称に対する意向を話した。

結局売却先の公募には、締切日までに4社が応募した。市は応募企業名を非公表としたが、球場近隣の美浜区・幕張新都心に本社を置きファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ11月17日、公募に申し込んだ旨を自ら公表し、同日から11月23日に掛けて同社サイトで取得に向けた署名活動を実施し15,977名の署名を集めた他、署名と同時に募集した命名案では「ZOZOマリンスタジアム」が664件と最も多かった。

市は応募した4社について審査した結果、テレビ通販業「QVC」の日本法人で、幕張新都心に本社を置くQVCジャパンを交渉先に選定した旨を12月7日に発表した[9]。同社は契約期間10年と、新名称の一部に「マリン」を残したものを提案したのに加え、社員の幕張周辺への在住支援やイベントの実施などといった地域貢献策も提示した。選定理由について、熊谷市長は定例記者会見で「金額面を一番重視した。地元への貢献など様々な提案があったが、大きな差はなかった。命名権を持つオーナー企業として、幕張全体の活性化をリードする役割も市と一緒に担って頂きたい」と述べた。応募した4社はいずれも、市の提示条件をクリアしていたといい「いろんな要素が絡み合って、予想していたよりも遥かにいい条件で応募してもらった。何よりロッテが(リーグ3位から日本シリーズ制覇などで)頑張ってくれた」と安堵した表情を見せた。優先交渉権獲得に対し、QVCジャパンのクリス・ホロビンCEOは「命名権は日本や千葉へのQVCの長期的コミットメントを強化するきっかけとなるでしょう」とコメントした。選定から漏れたスタートトゥデイの前澤友作代表取締役は結果に関し「当社、僕自身の地元愛がなんら揺らぐことはございません」と引き続き地域貢献策を進めるとし、選定が決まったQVCジャパンに対しては「一緒に幕張を盛り上げましょうね」と共闘を誓い、その上で前掲の「千葉マリンスタジアム基金」にふるさと納税制度を利用して寄付した旨を表明した。

市およびロッテ球団はQVCジャパンとの間で交渉を進めた結果、12月24日までに基本合意に達し、3者は12月27日にマリンスタジアムで合同記者会見を行った。契約金額は年額2億7500万円の10年間契約で総額27億5000万円と、日本のプロ野球本拠地球場の施設命名権としては過去最長の契約期間となった。呼称は「QVCマリンフィールド」とすることも決定した[10][11]。QVCジャパンの佐々木迅社長は契約期間について「海浜幕張地区と共に歩み、末永く根を下ろしてやっていくという決意の表れ」と話し、呼称については同年「和」をスローガンに日本シリーズを制したロッテと、映画『フィールド・オブ・ドリームス』をイメージしたと述べた上で「日本のプロ本拠地で『フィールド』が付く球場は初めて。闘いの場、夢を育む場という意味で敢えて使うことにした」と説明した。熊谷市長は呼称に対し「県民の9割が『マリン』を残してほしいと言っていた心情に配慮してくれた。一ファンとしても嬉しい」と評価した。

その後3者はさらに交渉を進め、契約内容の細部調整を図った上で2011年2月28日付で正式契約を締結し、新名称は3月1日から採用された。QVCジャパンは今後10年間、市とロッテ球団に対し契約額のそれぞれ半額となる年額1億3750万円ずつを支払う予定で、収益の一部は前述の人工芝張り替えなどの施設改修に充当される。但し、千葉市の条例上の施設名称やスタジアムを運営する第三セクターの商号などは「千葉マリンスタジアム」のままである。

ヤクルト主催の公式戦

東京ヤクルトスワローズ主催のセ・リーグ公式戦は1991年に始まり、ロッテが本拠地を置いてからも2005年まで主に5月下旬または6月上旬の週末に年間1カード2、3試合行われていた。この時期にはヤクルトが本拠地としている明治神宮野球場東京六大学野球春季リーグの最終節である早慶戦があり、多くの来場者が見込まれ同日に共用した場合には周辺の混雑や観客の入れ替え時の混乱が予想されるため、それらを避けるという意味で行われていた。

この当時、ヤクルトには千葉県出身や同県の高校出身の選手が多数在籍しており(飯田哲也拓大紅陵出身)、石井一久(千葉市出身、東京学館浦安出身)、土橋勝征(船橋市出身、印旛高出身)、城友博(習志野市出身、習志野高出身)ら)、公式戦開催のポスターにはこれらの選手が用いられていた。

当時、ヤクルトが首都圏で開催する唯一のデーゲームによる公式戦だったが、2005年は5月上旬から6月中旬にかけてセ・パ交流戦が行われるのに伴い、早慶戦を考慮する必要が少なくなったことから千葉マリンでの主催公式戦は開催時期を7月にずらして行った。2006年からは大学野球側との調整の結果、神宮でもデーゲーム開催が可能となったことなどからヤクルト主催では千葉マリンの公式戦を開催していない。但しセ・パ交流戦ではビジターとしてロッテと対戦するため、ヤクルト戦そのものは現在も年間2試合が開催されている。

交通アクセス

鉄道

バス

  • 海浜幕張駅南口にあるプレナ幕張の西側(マリーンズ ストア 海浜幕張店前)からは、千葉ロッテマリーンズ主催試合時に限り京成グループのバスによる臨時シャトルバスが運行される(運賃は現金で大人100円後払い。車内では選手によるマナー喚起などの車内放送が流される)。駅北口ターミナル発の定期路線バスも通常通り運行される(同じく料金は大人100円)。
  • その他の駅から路線バスでのアクセスは、本数からJR総武線および京成千葉線の幕張本郷駅からがメインとなるが、JR幕張駅やJR稲毛駅からのバスも土曜と休日の日中は約25分から30分間隔、平日日中はJR幕張駅発が60分間隔、JR稲毛駅発が30分から60分間隔でそれぞれ定期便が運行されている。
  • 試合終了時には海浜幕張駅、幕張本郷駅、JR稲毛駅(京葉線 検見川浜駅稲毛海岸駅経由)、JR幕張駅(直通)への臨時バスが京成バス、千葉海浜交通、千葉シーサイドバスによってそれぞれ運行される。このうち海浜幕張駅行と幕張本郷駅発着便にはノンストップ便もある(幕張本郷駅発着便は、幕張新都心地区を通らず、免許センター交差点からメッセ大橋交差点に出て県道千葉船橋海浜線を経由して幕張海浜公園交差点に出る順路)。
  • 運賃
    • 海浜幕張駅(北口2番のりば): QVCマリンフィールド(京成バス・千葉中央バス・ちばグリーンバス・ちばフラワーバス) 大人100円 ※現金払いのみ(ワンコイン区間)
    • 幕張本郷駅(1番のりば): QVCマリンフィールド(京成バス) 大人250円
    • JR稲毛駅(西口5番のりば): (京成稲毛駅入口) - (稲毛海岸駅) - (検見川浜駅) - (海浜幕張駅) - QVCマリンフィールド(千葉海浜交通) 大人250円
    • JR幕張駅(北口2番のりば): マリンスタジアム(千葉シーサイドバス) 大人200円 ※千葉シーサイドバスのみSuica・PASMOの使用は不可

高速バス

自動車

球場内および付近に駐車場が多数存在する。

駐車場

※多数あるため、プロ野球開催時にメインとなるもののみ

※駐車場の空き状況確認は下記リンクを参照

  • 幕張海浜公園駐車場Fブロック(千葉市美浜区美浜1-1) ※球場まで徒歩1-2分
    • 収容台数: 普通車 577台
    • 営業時間: 8:30 - 21:00(但し、ナイター時最大23:00まで)
    • 利用料金: 普通車 600円/日
球場隣接の唯一の駐車場だが、収容台数が少ないためプロ野球デーゲームや人気カード時には、試合開始の数時間前で満車となる場合が多く、その他の試合も試合開始時にはすでに満車となっている場合が多い。
  • 幕張海浜公園駐車場Dブロック(千葉市美浜区美浜1-1) ※球場まで徒歩7-8分
    • 収容台数: 普通車 833台
    • 営業時間: ※プロ野球開催時に限り試合終了後1時間まで営業。通常時8:30-17:30 但し、4月~6月は8:30~18:30 、7月~9月は8:30~19:30
    • 利用料金: 普通車 600円/日
上記のFブロック駐車場が慢性的に満車となるため、対策としてプロ野球開催時に限り延長営業するようになった駐車場。料金もF駐車場と同じく普通車600円。球場まで若干距離があるが、歩行者・バス等で混雑する海浜公園交差点でなく隣の見浜園交差点を利用するため、車の出入りはF駐車場よりもしやすくなっている。
  • 幕張メッセ駐車場(千葉市美浜区豊砂3-1) ※球場まで徒歩10分
    • 収容台数: 普通車 5,500台、大型車 120台、二輪車 50台
    • 営業時間: 8:00 - 23:00(入庫は21:00まで)
    • 利用料金: 普通車 1,000円/日、大型車 4,100円/日、二輪車 200円/日
名前の通り、隣接する幕張メッセと併用の大型駐車場である。収容台数が多いため、球場のイベントのみで満車となることはない。だが、幕張メッセの大型イベント(ニコニコ超会議どきどきフリーマーケットワンダーフェスティバル等)とプロ野球開催が重なった場合、満車となることがある。さらに、その際大きく混雑するので時間に余裕を持つか、公共交通機関を利用することが推奨される。
上記の海浜公園駐車場が満車の場合、主にこちらを利用することになる。
  • 他の駐車場はプロ野球開催時には、営業時間・球場までの距離・収容台数等に大きな制約があるため本項では割愛する。
  • イベント時も駐車場の予約・前売券購入などは不要である。

脚注

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関連項目

外部リンク

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